JPH06336671A - 金属帯の連続浸炭炉 - Google Patents

金属帯の連続浸炭炉

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JPH06336671A
JPH06336671A JP12975193A JP12975193A JPH06336671A JP H06336671 A JPH06336671 A JP H06336671A JP 12975193 A JP12975193 A JP 12975193A JP 12975193 A JP12975193 A JP 12975193A JP H06336671 A JPH06336671 A JP H06336671A
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JP
Japan
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carburizing
strip
furnace
continuous
gas
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Application number
JP12975193A
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English (en)
Inventor
Futahiko Nakagawa
二彦 中川
Hiroshi Kuramoto
浩史 蔵本
Jiyun Morozumi
順 諸住
Nobuaki Hanazono
宣昭 花園
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】複数の縦パスを有する竪型連続ガス浸炭炉内の
雰囲気均一化を攪拌ファンを用いて場合の具体的な構造
手段を備えた金属帯の連続浸炭炉を提供する。 【構成】通板されるストリップAの幅方向側面に対向し
て複数基設けられた攪拌ファン14により板面に沿う循
環流が発生させ、炉内温度を制御するためのラジアント
チューブ15は,この循環流を阻害しない箇所に配設し
て、当該循環流によって雰囲気ガス組成,組成濃度,浸
炭温度等の雰囲気を均一化する。また、ハースロール1
0を区画するための設けられたシール装置11の手前に
は防風板16を設け、この防風板16によりロール室1
2内に侵入する循環流を規制し、浸炭雰囲気ガスのロー
ル室12内への侵入を防止してハースロール10の炭化
による耐用寿命低下を抑制する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低炭素鋼板を連接した
一連のストリップ等の金属帯が,上下方向若しくはほぼ
上下方向に連続的に通板されるパスを複数有する竪型の
連続ガス浸炭炉に関するものであり、特に浸炭炉内の雰
囲気ガス組成,組成ガス濃度,浸炭温度等の雰囲気を均
一化するのに適するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車産業のような金属二次加工
産業界では、加工対象金属板に対してより高い加工性と
強度との両立が要求されている。具体的に前記自動車産
業界では、昨今問題化されている地球環境問題から低燃
費化を追求するために車体を軽量化する必要から、プレ
ス加工焼付塗装鋼板等に対して従来の深絞り性を維持し
た上でより強度の高い薄鋼板が要求される。
【0003】このような金属板の評価指標としては、例
えば延性,深絞り性,時効性,強度,二次加工脆性,焼
付硬化性,スポット溶接性等が考えられる。そこで、前
記の深絞り性を特に重要視して,この深絞り性をランク
フォード値(以下r値:金属板幅歪み/板厚歪み)で評
価した場合、鋼中の炭素(以下Cと記す)量を低減する
ことが最も有利であることは公知であり、加えてこの低
炭素化により延性(Elongation:El)や常温遅時効性
(Aging Index :AIは一般に低い程良い)も向上す
る。ところが一方で、鋼中のC量が低下するに従ってそ
の他の評価指標は大方について劣化する。例えば、析出
物が減少して組織強度が低下するために引張強度(Tens
ile Strength:TS)が低下し、粒界強度が低下するた
めに二次加工脆性が劣化し、固溶C量が低下するために
焼付硬化性が劣化する。また、鋼中C量が50ppm以
下では,溶接による加熱で粒成長速度が促進されて,熱
影響部(Heat Affected Zone:HAZ)の粗粒化によっ
てスポット溶接性が劣化する。
【0004】そこで、図1に示すように極低炭素鋼から
なる金属帯を連続焼鈍処理によって再結晶焼鈍すること
により前記延性,深絞り性,時効性を得ながら、これに
続いて,連続浸炭処理によって表層部に固溶Cを存在さ
せることにより前記引張強度,二次加工脆性,BH性,
スポット溶接性を向上するために、本出願人は図2に示
すような特開平4−88126号公報に記載される連続
焼鈍浸炭設備を開発した。
【0005】この連続焼鈍浸炭設備によれば、加熱帯2
又は均熱帯3で金属帯に対して所定の再結晶焼鈍を行っ
た後、浸炭帯4で鋼板温度,雰囲気諸元,搬送速度(在
炉時間),及び第1及び第2冷却帯5,6で冷却条件を
制御した適切な浸炭処理を行うことにより、金属帯の材
質仕様を満足させながら表層浸炭深さと濃度分布を所望
の値とした金属帯を連続的に製造することを可能とす
る。この金属帯には、種々の材質仕様の鋼板を溶接等に
より一連に接続したストリップが用いられることが多
い。
【0006】ところで、このような連続焼鈍浸炭設備等
に適用される浸炭帯の浸炭炉では、関連するその他の設
備の諸条件にも鑑みた浸炭処理の実際から数〜百メート
ル程度の有効浸炭長が必要となる(実際にはその他の設
備にも一連に通板されるストリップの通板速度によると
ころが大きい)。このため、省スペースの実現を含め
て,この種の連続焼鈍浸炭設備には、ストリップが上下
方向若しくはほぼ上下方向に連続的に通板される複数の
パスを有する,所謂竪型の連続ガス浸炭炉が使用され
る。この竪型の連続ガス浸炭炉によれば、小さな所要床
面積で大きな有効浸炭長が得られる。
【0007】このような連続ガス浸炭炉では、ガス浸炭
処理に用いられる浸炭雰囲気ガスに一酸化炭素や水素,
或いはこれらの加えて二酸化炭素やH2 O等が含有され
ているために、浸炭温度(主に加熱及び均熱)の制御
は,通常の産業用連続熱処理炉に使用されているのと同
様のラジアントチューブが使用される。このラジアント
チューブはその名が呈するように,通板路となる各パス
の近傍に多数設けられ、その内部に供給される燃焼ガス
を燃焼せしめて,その輻射熱により炉内雰囲気の加熱及
び均熱を行う。勿論、このラジアントチューブ内に送給
される気体又は流体が雰囲気温度よりも低い場合には,
その吸熱作用によって雰囲気の冷却も可能である。
【0008】一方、前記竪型連続ガス浸炭炉内を上下に
折り返されるように通板されるストリップは,図2に示
すようにハースロールを介して通板方向が変更される。
具体的にハースロール外周のほぼ半周にわたってストリ
ップを巻回すれば180°の方向変換が可能となる。こ
のハースロールは,その高温での使用条件下における機
械的強度を向上するためにクロムCr合金を使用するこ
とが行われているが、このCr化合物を含有するハース
ロールを,前記浸炭雰囲気ガス中に曝すと、浸炭されて
耐用寿命が低下することが明らかとなってきた。具体的
には、浸炭によってC炭化物が析出し、結晶粒破壊や体
積膨張を起こして,ロール表面から孔状の腐食が促進
し、その結果,ストリップ表面にロールの腐食に起因す
るきずが発生する。そのために、このハースロールを,
前記浸炭処理を行う熱処理室とは個別のロール室内に区
画し、通板路の近傍の熱処理室とロール室との間には接
触式,非接触式等の適宜のシール装置を介装して,両室
内を個別に雰囲気制御する必要がある。具体的には、浸
炭熱処理室内の浸炭雰囲気に対して、ロール室内は,ハ
ースロールの浸炭を促進しない程度の弱浸炭雰囲気か若
しくは非浸炭雰囲気に制御しようとするものである。従
って、前記シール装置は,その目的から熱処理室内の浸
炭雰囲気ガスがロール室内に侵入するのを防止しなけれ
ばならない。
【0009】ところで、浸炭反応におけるFeと遊離C
との結合反応速度及び固溶Cの内部拡散速度を同時に考
慮した浸炭速度については、葉らの報告(葉 煦雲,春
山志郎ら:日本金属学会誌 49(1985)7,529)によって,
図3に示すように金属表層部のC量がある程度高く且つ
浸炭時間が長い場合、浸炭の速度は表層部のC濃度が平
衡濃度に達した後、Cが金属組織内に拡散していく速度
に比例するため、通常,時間の平方根に比例することに
なり、この時間浸炭利得域を拡散律速域と称するが、一
方、前記のように金属表層部のC量が極めて低く且つ浸
炭時間が極めて短い場合は、該表層部のC濃度が平衡濃
度に達しないため、浸炭の速度は金属表層部と炭素とが
直接的に反応する速度に比例することになり、この時間
浸炭利得域を表面反応律速域と称することが知られてい
る。
【0010】そこで、例えば前記の耐二次加工脆性の向
上を対象とする金属に要求される仕様から(特開平3−
199344号公報など)当該金属帯の浸炭条件を求め
ると、浸炭濃度も浸炭深さも極めて小さいため、この場
合には表面反応律速域での浸炭処理を行う必要がある。
このような表面反応律速域の工業的連続浸炭操業では,
限られた有効浸炭長(浸炭時間)で所望する金属帯仕様
諸元を安定して達成するために、浸炭炉内,特に前記熱
処理室内における浸炭雰囲気ガス組成,ガス組成濃度,
浸炭温度等の雰囲気の均一化が不可欠である。
【0011】浸炭炉内における雰囲気の均一化には、従
来,歯車等の不連続物の浸炭処理に採用されている攪拌
ファンを使用することが考えられる。しかしながら、通
板される連続物である金属帯の浸炭炉内に攪拌ファンを
使用する場合には、金属帯の表面の雰囲気を均一化する
ことを重視する必要があり、そのために攪拌ファンの設
置箇所や通板の方向等を十分に考慮しなければならな
い。このような問題を解決するために、本出願人は実公
昭63−21555号公報に記載される攪拌ファンを提
案した。この攪拌ファンを備えた連続浸炭炉によれば、
当該攪拌ファンにより板面に沿って雰囲気ガスの循環流
を生じせしめ、もって金属帯表面の雰囲気を有効に均一
化することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記実
公昭63−21555号公報に記載される攪拌ファンを
備えた浸炭炉は、金属帯が横方向,即ち水平方向若しく
はほぼ水平方向に通板される所謂横型のものであり、し
かも通板路となるパスは一つしかない。また、加熱設備
としては,金属帯からかなり離間した箇所に設けられた
ヒータを用いている。
【0013】ところが、実際の薄金属帯の工業的浸炭処
理設備は,前述したように複数のパスの夫々の近傍に多
数のラジアントチューブを配設した竪型の連続ガス浸炭
炉が用いられているために、前記公報の攪拌ファンをそ
のまま転用することは困難である。理論的には板面に循
環流を生じせしめるように攪拌ファンを設けることは共
通するが、既存の浸炭炉にそのまま攪拌ファンを取付け
たのでは,前記ラジアントチューブが循環流を阻害して
しまう。また、この循環流が前記ロール室に浸炭雰囲気
ガスを侵入させるように作用したのでは,前記シール装
置の効果が低減してしまう。従って、実際の工業的連続
ガス浸炭炉では,これらの問題を複合的に解決する具体
的な手段が必要となる。
【0014】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、攪拌ファンを用いて浸炭炉内の雰囲気均
一化を行う場合の具体的な構造手段を備えた金属帯の連
続浸炭炉を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本件発明者等は前記諸問
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果,以下の知見
を得て本発明を開発した。即ち、前記金属帯板面に沿っ
た循環流によって雰囲気の均一化を図ることは当然だ
が、これを重視するあまり,ラジアントチューブ等の温
度制御用チューブを通板される金属帯から離間してしま
ったのでは、輻射熱等による温度制御の熱効率が低下し
てしまう。一方、前記循環流は金属帯板面に沿って広が
ろうとするから、この循環流が浸炭雰囲気ガスをロール
室内に侵入させてしまう可能性もある。そこで、この循
環流をシール装置の手前で堰止め,気流の方向をその近
傍で規制すればよい。
【0016】而して本発明の金属帯の連続浸炭炉は、金
属帯が上下方向若しくはほぼ上下方向に連続的に通板さ
れるパスを複数有する竪型のガス浸炭炉であって,各パ
スの近傍には多数の温度制御用チューブが配設され、各
パスに通板される金属帯はロールを介して方向の変換が
行われ、前記ロールは,浸炭処理を行う熱処理室とは個
別のロール室に区画され、各ロール室と熱処理室との間
にはシール装置を介装して,個別の雰囲気制御を可能と
した金属帯の連続浸炭炉において、金属帯の板面に沿っ
た循環流を発生させるために,通板される金属帯の幅方
向側面に対向する攪拌ファンを一以上設け、前記板面に
沿って発生する循環流を阻害しない箇所に温度制御用チ
ューブを配設し、前記シール装置を通過して,熱処理室
内の雰囲気ガスがロール室内に侵入又はロール室内の雰
囲気ガスが熱処理室内に侵入する循環流を防止する防風
板を設置したことを特徴とするものである。
【0017】
【作用】本発明の金属帯の連続浸炭炉では、通板される
金属帯の幅方向側面に対向して一以上設けられた攪拌フ
ァンによって当該金属帯の板面に沿って循環流が発生す
る。そして、ラジアントチューブ等の温度制御用チュー
ブは,この循環流を阻害しない箇所に配設されているた
めに、当該循環流によって金属帯表面における雰囲気ガ
ス組成,組成濃度,浸炭温度等の雰囲気が均一化され易
い。一方、前記板面に沿う循環流を阻害しなければ,ラ
ジアントチューブ等の温度制御用チューブは通板される
金属帯の近傍に配設することができるので、これらの温
度制御用チューブによる温度制御の熱効率が低下するこ
とはない。また、前記防風板によって前記循環流を積極
的に堰止め,その近傍の気流の方向を制御することによ
り、前記ロール室と熱処理室との間のシール装置を通過
して当該ロール室内に侵入する循環流を防止することが
できるから、この循環流に伴って浸炭雰囲気ガスがロー
ル室内に侵入することがなく、もってハースロール等の
浸炭による耐用寿命低下を抑制することができ、またロ
ール室内の雰囲気ガスが浸炭室内に流入する循環流をも
防止することによって,浸炭雰囲気の均一化が図られ、
浸炭雰囲気に曝される,所謂有効浸炭炉長が確保される
から金属帯への浸炭量を制御し易くなる。
【0018】
【実施例】図2は本発明の金属帯の連続浸炭炉を用い
た,極低炭素鋼からなるストリップの連続焼鈍浸炭設備
の一例を示すものである。同図において所望される仕様
諸元の異なる鋼板をも含む各極低炭素鋼板は、コイル巻
戻し機,溶接機,洗浄機等を有する図示しない入側設備
によって一連のストリップとなされ、このストリップA
は、前記入側設備から予熱帯1、加熱帯2、均熱帯3、
浸炭帯4、第1冷却帯5、第2冷却帯6、剪断機,巻取
り機等の図示しない出側設備の順に通板される。
【0019】前記加熱帯2は、入側設備から連続的に送
給されて予熱帯1で予熱されたストリップAを再結晶温
度以上まで加熱するものであり、具体的には炉内温度が
850〜1000℃でストリップAの温度が700〜9
50℃になるように当該ストリップを加熱する。そして
加熱されたストリップAは前記均熱帯3で必要な時間,
再結晶温度以上に保持されることにより、深絞り性に有
利な{1,1,1}集合組織を発達させることができ
る。
【0020】この加熱帯2及び均熱帯3内を,ハースロ
ールを介して上下に昇降しながら通板されるストリップ
の通板路近傍には,図示されない多数のラジアントチュ
ーブが配設されており、このラジアントチューブに送給
される燃料ガスを燃焼させて炉内温度(炉温)を制御す
る。本実施例では、この燃料ガスの供給流量の設定は,
通板されて炉から熱量を運び出すストリップへの加熱量
に排ガス損失熱及び炉体放散熱等を加えた炉内の熱収支
から求まる炉の要求(必要)熱量と同等と見なされて、
図示されないホストコンピュータによりライン全体の制
御ロジックに則って行われる。
【0021】前記浸炭帯4は、ストリップA表面の極薄
い部分(表層部)に固溶炭素(C)が存在する浸炭層を
形成するために、該浸炭帯4内の浸炭炉は図示されない
ホストコンピュータにより700〜950℃の炉内温度
に制御して,ストリップ温度(板温)が700℃以上,
好ましくは再結晶温度以下となるようにし、またストリ
ップが浸炭炉内を10〜120秒で通過するように通板
速度が制御される。ちなみに前記炉温制御は、浸炭量
(浸炭反応速度)をストリップの通板方向に対して一定
とし、材質上のバラツキを抑止するために行う。
【0022】この浸炭帯4に使用される連続ガス浸炭炉
の詳細を図4に示す。同図に示すように均熱帯3から送
給されたストリップAは一旦,炉内を上昇し、更に下降
し、再び上昇し,再び下降してから前記第1冷却帯5に
向けて送出される。従って、本実施例の連続ガス浸炭炉
は4つのパスを有することになり、夫々,通板される順
に第1パス〜第4パスと記す。各パス間のストリップA
の通板方向の変換は、ハースロール10によって行わ
れ、故に浸炭炉の上方には2つ,下方には3つのハース
ロール10が,夫々,その軸線をストリップAの通板方
向と直交するように配設されている。なお、図示される
各ハースロール10は、夫々,個別の駆動モータ20に
よって単独に回転駆動されるようにしてあるが、これは
ストリップの張力による摩擦力で,当該ストリップの通
板に伴って回転される,所謂非回転駆動としてもよい。
【0023】これらのハースロール10は、その高温下
での強度及び耐磨耗性向上のために,クロムCr合金が
使用されており、また,その回転性及びロールクラウン
を所定状態に保持するために,例えば軸受近傍等が冷却
されているが、それ故に,耐用寿命が低下する問題が発
生しており、それは凡そ以下のような原因による。例え
ば、前記浸炭雰囲気ガスがハースロール近傍まで及ぶと
冷却されてスーティングが進行するため、ハースロール
にCが付着した後、ハースロール内部にCが拡散する。
このようになると前記CrとCが結合してCr炭化物が
析出し、これによりハースロールに用いられている耐熱
合金の結晶粒が破壊され或いは膨張し、一方で固溶Cr
が減少するため、ハースロールが脆化,酸化されること
により孔状の腐食が進行する。このようにハースロール
を浸炭雰囲気ガス中に曝すと、本件発明者等の実験によ
れば1年以内でハースロールを交換しなければならない
ことが判明している。
【0024】そこで本実施例では、ハースロール室12
を非接触のシール装置11によって浸炭雰囲気から分離
してハースロール10の劣化を防止するようにし、また
該ハースロール室12内を前記ハースロール10の劣化
が進行しない程度の微弱浸炭状態とすることによって、
分離されたハースロール室12内をストリップAが通過
する間に浸炭された表層部からCが放散する,所謂脱炭
を防止することに成功した。なお、ストリップAがハー
スロール室12を通過する時間が極めて短く,当該時間
に係る鋼板表層部からの脱炭が問題とならない場合に
は、前記ハースロール室12内を非浸炭雰囲気としても
よい。
【0025】前記シール装置11はここではその構造を
詳述しないが、例えばハースロール室12と浸炭雰囲気
室(熱処理室)13との間に介装されたシール層を3層
構造とし、このうちハースロール室12側のシール層に
は前記弱浸炭雰囲気ガスを噴出し、浸炭雰囲気室側のシ
ール層には前記浸炭雰囲気ガスを噴出し、中間のシール
層からは排気を行うようにし、更に各雰囲気ガスの噴射
方向及び噴射流量を制御して各雰囲気ガスの流れが前記
中間のシール層側に向かうようにすると共に、ストリッ
プの通板に伴う板層流によって発生する循環流をシール
層のうちストリップの幅方向端面に形成された排出口か
ら排気する構成とした。
【0026】一方、各パスを通板されるストリップAの
幅方向端面に対向する,浸炭炉の側壁には、複数の攪拌
ファン14が設けられている。具体的にこれらの攪拌フ
ァン14は、前記第1パスと第2パスとの間,及び第3
パスと第4パスとの間で、図4aの左方側壁の上方部と
下方部とに夫々2基,右方側壁の中央部に夫々2基ず
つ、その軸線がストリップAの幅方向端面に対向するよ
うに千鳥状に配設されている。これらの攪拌ファン14
は、夫々個別の駆動モータ21によって回転駆動される
ようにしてあり、前述した実公昭63−21555号公
報と同様に,通板されるストリップAの板面に沿って図
4aに矢印で示されるような浸炭雰囲気ガスの気流,即
ち循環流を生じせしめ、後述するラジアントチューブに
よる浸炭温度,浸炭雰囲気ガス組成,ガス組成濃度等の
ばらつきを抑制して、浸炭雰囲気の均一化を行うもので
ある。なお、これらの攪拌ファンの設置箇所や設置数等
は浸炭炉内における雰囲気のばらつきや,循環流の発生
状況に応じて適宜選定すればよく、場合によっては1基
だけでもよい。また、炉内の適宜箇所にガス組成濃度セ
ンサや温度センサを設け、これらのセンサの検出値のバ
ラツキに応じて各駆動モータ21の回転数を制御するこ
とにより,攪拌ファン14による攪拌速度を制御するよ
うにしてもよい。また、そのように各攪拌ファンを個別
に回転制御する必要のない場合には,例えばギヤトレイ
ンやチェンドライブなどによって一括に回転駆動される
ようにしてもよい。
【0027】また、各パスを通板されるストリップAの
近傍には多数のラジアントチューブ15が配設されてい
る。このラジアントチューブ15は、内部に送給される
燃焼ガスを燃焼させることにより,当該チューブ表面か
らの輻射熱によって浸炭炉内の温度を制御(主に加熱及
び均熱制御)するものであり、その制御量は,前記加熱
帯2や均熱帯3と同様に燃焼ガスの送給量によってコン
トロールされ、これも前記図示されないホストコンピュ
ータにより制御ロジックに従って重要に管理されてい
る。
【0028】一方、前記浸炭炉の側壁のうち,前記各シ
ール装置11の直近には、通板されるストリップAの幅
方向端面に当接しない程度の防風板16が突設されてい
る。この防風板16は、前記攪拌ファン14によって発
生した板面に沿う循環流が前記シール装置11を通過し
て,浸炭雰囲気ガスがハースロール室12内に侵入及び
ハースロール室12内の雰囲気ガスが熱処理室13内に
流入するのを防止するためのものである。この防風板1
6は、前記循環流の流れを抑制するだけでなく,積極的
に循環流を堰止し、これによって生じる淀み点若しくは
その近傍の気流を規制することによって,全体的な循環
流の方向を導出し、浸炭炉内の均一化を図るものであ
る。
【0029】浸炭帯4から送出されたストリップAは前
記第1冷却帯5に送給される。この第1冷却帯5ではス
トリップの表層部のうち表面の極薄い範囲にのみ固溶C
を固定するため、浸炭後のストリップを、鋼板温度が6
00℃以下,好ましくは500〜400℃程度になるま
で10℃/sec.以上の冷却速度で急冷する。この第1冷
却帯5内ではこの冷却条件が達成できるように,前記ホ
ストコンピュータにより冷却帯内を搬送されるストリッ
プに対して冷却ガスジェットから吹付けられる吹付けら
れる冷却ガス流量,流速及び冷却ロールの温度,巻付け
角等が制御される。
【0030】前記第1冷却帯5から送出されたストリッ
プAは次いで第2冷却帯6に送給される。この第2冷却
帯6では鋼板温度が250〜200℃程度までガス冷却
が行われる。このようにして最終的には表層部にのみ固
溶Cが存在する極低炭素のプレス成形用冷延鋼板を得る
ことができる。図5aに本実施例の金属帯の連続浸炭炉
によって攪拌を行った場合のストリップ長手方向への浸
炭C濃度分布を,同図bにストリップ幅方向への浸炭C
濃度分布を実線で示す。また、比較例として夫々の攪拌
を行わない場合を破線で示す。これらは共に、全炉長α
m,ロール室有効長βm,浸炭温度T℃,浸炭時間tse
c.,浸炭雰囲気組成CO=a%,H2 =b%一定の条件
下で一様のストリップに対して連続浸炭を行ったもので
ある。同図から明らかなように本実施例の金属帯の連続
浸炭炉によって攪拌を行った場合のストリップへの浸炭
C濃度は目標値によく一致し、しかも長手,幅方向共に
変動(バラツキ)が小さい。これに対して比較例のもの
では、目標値に対して長手方向にはよく一致しているも
のの、幅方向では端部の浸炭量が10〜15%,中央部
に比べて高くなる。このような浸炭C濃度の幅方向への
バラツキは,鋼板の製品品質上,好ましくなく、前記の
ように絶対的な浸炭量の小さい前記耐二次加工脆性向上
鋼板等では、鋼板の機械的特性に直接的な影響を及ぼす
虞れがあり、本実施例による鋼板としての製品品質が極
めて高い次元で安定していることが分かる。
【0031】また、図6は本実施例の金属帯の連続浸炭
炉によって前記防風板を用いて連続浸炭処理を行った場
合の,攪拌ファンによる攪拌速度をパラメータとしたロ
ール室内へのCO及びH2 の侵入濃度を示すものであ
る。また、比較例として防風板を用いない場合のCO及
びH2 の侵入濃度も併記した。いずれもシール装置の稼
動条件は一定とした。同図から明らかなように本実施例
の金属帯の連続浸炭炉によって防風板を用いて連続浸炭
処理を行った場合には、ロール室内への浸炭雰囲気ガス
の侵入量は或るレベルで抑制されるのに対して、比較例
では攪拌速度の増大に伴って浸炭雰囲気ガスの侵入量も
増大し続ける。このことは、単に前記ハースロールの浸
炭腐食に伴う耐用寿命の低減を抑制するばかりでなく、
シール装置によるシール効率を向上することにも繋が
り、例えば前述したガス吐排出式の非接触型シール装置
では,特にガスの吐出量を増大する必要がないから、そ
の分だけ省エネルギーにも貢献することができる。
【0032】ちなみに、攪拌ファンによる攪拌速度を変
更して浸炭量の比率を浸炭促進効果として調査したが、
これにはとりたてて変化がなかった。なお、本実施例で
は表面反応においてCO,H2 ,CO2 及びH2 Oの影
響のみを考慮して表面反応速度を算出する場合について
詳述したが、その他の雰囲気ガス組成,例えば重炭化水
素の影響を考慮して表面反応速度を算出するようにして
もよい。
【0033】また、本実施例では特に極低炭素鋼からな
るストリップを連続焼鈍・浸炭して,浸炭濃度が平衡濃
度に達する以前で浸炭速度が表面反応速度に律速される
表面反応律速域での浸炭についてのみ詳述したが、本発
明の連続浸炭炉は,前記浸炭速度が金属帯表面から内部
への拡散速度に律速される拡散律速域においても適用可
能であることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明の金属帯の連
続浸炭炉によれば、攪拌ファンによって当該金属帯の板
面に沿って発生する循環流を阻害しない箇所に温度制御
用チューブが配設されているために、当該循環流によっ
て金属帯表面における雰囲気ガス組成,組成濃度,浸炭
温度等の雰囲気が均一化され易い。逆に、前記板面に沿
う循環流を阻害しない程度に,ラジアントチューブ等の
温度制御用チューブを通板される金属帯の近傍に配設す
れば、これらの温度制御用チューブによる温度制御の熱
効率が低下することはない。また、前記防風板によりシ
ール装置を通過してロール室内に侵入する循環流を防止
することができるから、この循環流に伴って浸炭雰囲気
ガスがロール室内に侵入することがなく、もってロール
への浸炭腐食による耐用寿命の低下を抑制することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続焼鈍浸炭設備で行われる熱処理工程の概念
説明図である。
【図2】本発明の金属帯の連続浸炭炉を用いた浸炭制御
の対象となる連続焼鈍浸炭設備の一例を示す概略構成図
である。
【図3】金属帯表層部の炭素濃度が平衡濃度に達した後
の拡散律速域と該平衡濃度に達する以前の表面反応律速
域との説明図である。
【図4】図2の連続焼鈍浸炭設備で使用される連続ガス
浸炭炉を示すものであり、(a)は縦断面正面図,
(b)は縦断面側面図,(c)は同図aのA部詳細図で
ある。
【図5】本発明の金属帯の連続浸炭炉を用いて攪拌を行
った場合と行わない場合のストリップ長手方向と幅方向
との浸炭濃度分布を示す説明図である。
【図6】本発明の金属帯の連続浸炭炉を用いた場合のロ
ール室への浸炭雰囲気ガスの侵入を示す説明図である。
【符号の説明】
1は予熱帯 2は加熱帯 3は均熱帯 4は浸炭帯 5は第1冷却帯 6は第2冷却帯 10はハースロール 11はシール装置 12はハースロール室 13は熱処理室 14は攪拌ファン 15はラジアントチューブ 16は防風板 Aはストリップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 諸住 順 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 花園 宣昭 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯が上下方向若しくはほぼ上下方向
    に連続的に通板されるパスを複数有する竪型のガス浸炭
    炉であって,各パスの近傍には多数の温度制御用チュー
    ブが配設され、各パスに通板される金属帯はロールを介
    して方向の変換が行われ、前記ロールは,浸炭処理を行
    う熱処理室とは個別のロール室に区画され、各ロール室
    と熱処理室との間にはシール装置を介装して,個別の雰
    囲気制御を可能とした金属帯の連続浸炭炉において、金
    属帯の板面に沿った循環流を発生させるために,通板さ
    れる金属帯の幅方向側面に対向する攪拌ファンを一以上
    設け、前記板面に沿って発生する循環流を阻害しない箇
    所に温度制御用チューブを配設し、前記シール装置を通
    過して,熱処理室内の雰囲気ガスがロール室内に侵入又
    はロール室内の雰囲気ガスが熱処理室内に侵入する循環
    流を防止する防風板を設置したことを特徴とする金属帯
    の連続浸炭炉。
JP12975193A 1993-05-31 1993-05-31 金属帯の連続浸炭炉 Pending JPH06336671A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016172898A (ja) * 2015-03-17 2016-09-29 株式会社豊田中央研究所 浸炭解析装置及び浸炭解析方法
CN113235039A (zh) * 2021-03-31 2021-08-10 合肥赛飞斯金属科技有限公司 一种大尺寸齿圈qpq处理工艺用的井式炉装置

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