JPH06334335A - スルーホールメッキ法 - Google Patents

スルーホールメッキ法

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JPH06334335A
JPH06334335A JP14673493A JP14673493A JPH06334335A JP H06334335 A JPH06334335 A JP H06334335A JP 14673493 A JP14673493 A JP 14673493A JP 14673493 A JP14673493 A JP 14673493A JP H06334335 A JPH06334335 A JP H06334335A
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JP
Japan
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layer
hole
conductor layer
metal conductor
plating
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Application number
JP14673493A
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English (en)
Inventor
Toshio Mugishima
利夫 麦島
Kenichi Otani
健一 大谷
Osamu Seki
収 関
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FURUKAWA SAAKITSUTO FOIL KK
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
FURUKAWA SAAKITSUTO FOIL KK
Furukawa Electric Co Ltd
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Publication date
Application filed by FURUKAWA SAAKITSUTO FOIL KK, Furukawa Electric Co Ltd filed Critical FURUKAWA SAAKITSUTO FOIL KK
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  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
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  • Printing Elements For Providing Electric Connections Between Printed Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長尺のスルーホール付き両面テープキャリア
の製造に適したスルーホールメッキ法を提供する。 【構成】 フィルム状の樹脂製絶縁基板に形成されたス
ルーホールの内面にスルーホール導体層を形成する際
に、スルーホールが形成された前記基板の少なくとも一
方の面側の前記絶縁体層の表面を露出させた状態で、前
記基板に対して物理的蒸着処理を施すことにより前記ス
ルーホールの内面と前記露出された絶縁体層表面に導電
性材料の蒸着層を形成する工程を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスルーホールメッキ法に
関するものであり、特に両面に金属導体層を有する所謂
両面フレキシブル基板(FPC)や、複数の金属導体層
と絶縁体層を積層した多層基板、更には両面に金属導体
層を有するTAB用キャリアテープ等の作製において、
絶縁体層を介して金属導体層間を電気的に接続する為の
スルーホール導体層を形成する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】例えば従来から使用されているキャリア
テープは、その基本構造によって、単独の金属導体層の
みからなる一層テープと、絶縁体層上に金属導体層が形
成された複層テープとに分類されることが知られてい
る。さらに後者には、金属導体層が絶縁体層の表面に直
接(接着剤層を介さずに)形成された二層テープ構造の
ものと、金属導体層が絶縁体層の表面に接着剤層を介し
て張り合された所謂三層テープ構造のものとがある。
【0003】二層テープの製造方法としては概ね二つの
方法に分けられ、第1の方法は、絶縁体層となる樹脂フ
ィルムを準備し、このフィルム上に金属被膜を成長させ
て金属導体層を形成する方式であり、例えばポリイミド
やポリエステル等の絶縁性高分子フィルム部材の表面に
所定厚さの銅などの金属導体層が形成される。
【0004】この金属導体層の形成は、先ず始めに、無
電解メッキ、蒸着、スパッタリング等の方法でフィルム
部材上に薄い金属被膜を直接形成し、その後、電解メッ
キにより増肉して所定の厚さの金属導体層とするのが一
般的であり、絶縁体層に対する金属導体層の密着性を考
慮すると、当初の金属被膜の形成はスパッタリングによ
る方法が最も一般的である。
【0005】第2の方法は、フィルム状の金属導体層を
あらかじめ準備し、この表面に例えば絶縁性高分子ワニ
スを流延した後、これをキュアして絶縁体層を形成する
方法である。
【0006】以下、本明細書においては、金属導体層が
絶縁体層の両面に直接形成された二層テープ構造の両面
テープを出発材料としてスルーホールメッキを行う場合
について主に説明するが、これは本発明を限定する意図
を意味するものではなく、本発明は上述した三層テープ
構造のものにも変わりなく適用できるものである。
【0007】近年、絶縁体層を挟んで両面に金属導体層
を有するいわゆるマイクロストリップライン構造のTA
B(Tape Automated Bonding)用キャリアテープが注目さ
れている。このような構造のキャリアテープでは、表裏
の金属導体層間を電気的に接続するスルーホール導体層
が必要となることも多い。このようなスルーホール導体
層を有する両面キャリアテープの作製においては、出発
材料としては接着剤層を有する三層テープ構造のものよ
りも、両面の金属導体層と絶縁体層のみからなる二層テ
ープ構造のものを用いることが多い。
【0008】これは、絶縁体層と金属導体層との間に接
着剤層が存在すると、スルーホールの形成のために絶縁
体層をエッチングする際にエッチング液のしみ込みによ
るサイドエッチングが生じ、このため小径のスルーホー
ルが形成しにくいという問題があるためであり、また、
接着剤層を介して絶縁体層の両面に金属導体層を貼着す
ると、基板全体としては接着剤層が二層分となるのでそ
の厚みが無視できないからである。
【0009】更には、一般に接着剤として用いられるエ
ポキシ系樹脂は絶縁性高分子フィルムに比べて硬化後の
可撓性が劣る為、接着剤層が二層分となるとチップキャ
リアとして要求される可撓性が大きく損なわれる問題も
生じ、加えて接着材層の誘電率が一般に用いられる絶縁
性高分子フィルムに比べて高く、キャリアテープの高周
波特性に問題を生じる等の理由もある。
【0010】このような両面テープに対するスルーホー
ルメッキ法は、二層テープ構造でも三層テープ構造でも
ほぼ同様であり、一般には図5に示したような工程を経
て行われている。
【0011】即ち、出発材料として、図5aに示すよう
に絶縁体層56の両面に銅等の金属導体層57a,57
bを有する基板フィルムが準備され、フォトリソグラフ
ィ手法によるエッチング処理によって図5bに示すよう
に一方の金属導体層57aのスルーホール形成部分57
cが除去されることにより、該部分57cの絶縁体層の
表面が露出状態にされる。
【0012】次いで、この部分的に除去された金属導体
層57aをマスクとして露出部分57cの絶縁体層56
がウエットエッチングにより除去され、図5cに示すよ
うに裏面部の金属導体層57bの内面側を露出させるこ
とによりスルーホール54が形成される。
【0013】更にスルーホール54の開口側からの無電
解メッキにより、図5dに示すようにスルーホール54
の内壁面および裏面部の金属導体層57bの内面を覆う
導体層50と金属導体層57a上の表面を覆う導体層5
2とが一体的に形成され、両面の金属導体層57a,5
7bの導通がとられる。
【0014】この後は、通常のパネルメッキ法、あるい
はパターンメッキ法など、各種のアディティブ手法また
はサブトラクティブ手法を適宜用いて、図5eに示すよ
うに所定厚さの回路導体層上にマスク59を用いて所望
のパターンの回路形成が行われることになる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前述のような従来のス
ルーホールメッキ法では、スルーホール導体層50の特
にスルーホール内壁面における厚さが回路形成部分の金
属導体層52および57aの合計厚さに比べて薄くなる
という問題点がある。即ち、この場合はスルーホール5
4内壁面とスルーホール周囲に残されている金属導体層
57aの表面とに同時に無電解メッキが施される為、回
路面となるフィルム表面の金属導体層は導体層57aと
導体層52との積層構造となるが、無電解メッキ層のみ
からなるスルーホール内壁面の導体層50の厚みは積層
部分に比べて必然的に薄くなる。
【0016】このように、スルーホール内壁面の導体層
50の厚みが回路面の導体層の厚みより薄くなると、両
面の導体層間の導通を担うスルーホール導電層における
回路の電気抵抗が無視できなくなるという問題が生じ、
加えて不良品発生率の上昇等の問題をも招く結果となっ
ている。
【0017】特に最近では、より微細な回路パターンが
要求されており、これに伴ってチップキャリアとしての
回路導体層の厚さも、従来の35μm厚(いわゆる1oz
/ft2箔)から18μm厚、さらには10μm厚へと移行
しつつあり、その結果、前述の従来法によるときはスル
ーホール導体層の厚みがさらに減少するものとなってい
る。このため、スルーホール内壁面と回路形成部分の各
導体層の厚みの相違に伴う問題がさらに重要視されてい
る状況にあることは事実である。
【0018】また、無電解メッキ層とスルーホール内壁
面との密着力が劣ることも従来法の問題の一つである。
これは、絶縁体層としてのポリイミド等の樹脂フィルム
との密着力は、スパッタリング等の物理的蒸着法に比べ
て、無電解メッキによる析出層の方が一般的に劣ってい
る為である。このため、製品段階においてはスルーホー
ルにおける導通不良に基づく不良品の発生率が上昇する
結果となっている。
【0019】さらに、従来の方法で形成したスルーホー
ル54(図5c)は、一方が金属導体層57bで塞がれ
たブラインドホールである為、絶縁体層のエッチング不
良によりホール底部に絶縁体層材料が一部残存すること
がある。これは、不完全なエッチングによる残存物また
はエッチング後の不十分な洗浄による残渣等と考えられ
るが、何れにしてもこれらの残存物や残渣が存在するこ
とにより、後のメッキ工程で形成されるスルーホール導
体層と裏面側の金属導体層との間に電気的な接続不良箇
所が生じ易くなるという問題が生じる。
【0020】また、裏面側の金属導体層57bにも回路
パターンを形成する場合、前述のようにスルーホール5
4がブラインドホールであると裏面側からスルーホール
の位置が視認できない為、スルーホールと裏面側回路パ
ターンとの位置合わせや製品検査の際にスルーホールと
回路パターンとの位置ズレを発見することなどが困難と
なる。
【0021】特に前述のエッチング不良や洗浄不良によ
る問題は、スルーホールの径が小さくなればなるほど、
また孔の数が増えれば増えるほど大きな問題となり、例
えば絶縁体層が50μm厚の場合、スルーホール孔径が
50μm以下となると、ホール底部の裏面側金属導体層
の内面がホール内に完全露出しているか否か、そしてエ
ッチング残渣が残っているか否かを確実に検査すること
は事実上不可能である。
【0022】さらに、スルーホールの内壁面に導体層を
形成する場合、無電解メッキによる導体層の形成では、
小径かつ高アスペクト比(深さ/孔径)のスルーホール
にはメッキ液が入り難く、この為メッキ不良が生ずるこ
とがある。
【0023】加えて、上記の従来法による一番の問題点
は、無電解メッキ工程を含んでいることからテープキャ
リアのように長尺の製品を一度に或いは連続して製造す
ることが困難な点である。すなわち、従来のスルーホー
ルメッキ法では、表裏の金属導体層同士をスルーホール
メッキによって電気的に接続するために無電解メッキと
電解メッキとを併用しているが、これは、無電解メッキ
では絶縁体上に直接メッキできるけれどもメッキ速度
(積層速度)が遅いので厚メッキには不都合であり、一
方、電解メッキでは絶縁体上に直接メッキすることはで
きないものの、メッキ速度が早いので厚メッキに向いて
いるからであり、先に無電解メッキによって絶縁体上に
薄い導電被膜を析出させ、その上に電解メッキを行なっ
て増肉することにより、両者の欠点を補間しようとして
いるわけである。
【0024】しかしながら、このような併用方式を採用
する場合、無電解メッキと電解メッキとでは薄い被膜を
析出させるだけでもメッキ時間の違いが大き過ぎ、また
無電解メッキの後はメッキ面を乾燥させることなく直ち
に電解メッキ工程に移行しなければならないため、キャ
リアテープのような長尺品に対する連続的なスルーホー
ルメッキ工程のプロセス設計や設備設計は、現実には極
めて困難であり、仮にそのような工程を連続的に行なう
設備を設計しようとすれば、相互のメッキ時間の相違を
考慮すると長大な設備となるので現実的ではない。
【0025】このような理由から、従来、TAB用のキ
ャリアテープ等の長尺製品、例えば20m以上の長さを
有するテープに無電解メッキと電解メッキとを連続的に
行なうことは事実上不可能であった。従って、従来で
は、TAB用キャリアテープにスルーホールを形成する
場合には、テープを短冊状に切り分けて所謂スライドキ
ャリアとし、個々のスライドキャリアをバッチ方式で順
次無電解メッキおよび電解メッキにより処理する方法の
採用が余儀なくされていた。
【0026】しかしながら、このことは、リール・ツー
・リールで連続的にICチップの実装を可能とするとい
うキャリアテープの優れた特徴を大きく損ねる結果とな
り、特に実装作業のためにTAB用のリール・ツー・リ
ールでのボンディング装置を既に導入している場合に
は、スライドキャリアを取扱うためにボンディング装置
の改造または更新が必要となり、新たな負担が生じると
いう問題がある。
【0027】長尺キャリアテープを連続的に製造する場
合に前述の問題点の幾つかを解決する可能性のある方法
として、従来のスルーホールメッキ法における無電解メ
ッキ工程をスパッタリング等の物理的蒸着工程に置き換
えることが考えられる。すなわち、図5dにおける無電
解メッキ工程の代わりに物理的蒸着工程を行ない、その
後、電解メッキ工程により導体層を所定の厚さまで増肉
する方法である。
【0028】この方法によれば、出発材料としての二層
テープ構造の両面テープの作製に巻取式の蒸着装置やス
パッタリング装置を用いていることが多いという状況を
考慮に入れると、これらの装置をそのままスルーホール
への最初の導体層の形成工程に利用することができるの
で、高価な無電解メッキラインを導入する必要なしに長
尺製品を連続的に製造することができるという利点が得
られるはずである。
【0029】しかしながら、この方法を実際に試みてみ
たところ、スルーホール内壁面に形成される導体層がテ
ープ表面の回路パターンの導体層よりも薄くなること
や、絶縁体層のスルーホールがブラインドホールである
ことによる従来の問題点は依然として解決されないだけ
でなく、新たに以下のような問題点を生じることが判明
した。
【0030】すなわち、図5a〜cに示したような工程
を経て両面テープの片側からスルーホール54を形成し
た後に、スルーホール開口側から物理的蒸着を行なう
と、絶縁体層の表面の金属導体層と絶縁体層との間に、
蒸着の進行と共にいわゆる膨れを生じることがあるとい
うのが第1の新たな問題点である。これは、絶縁体層内
の残留ガス、あるいはスルーホール形成のために金属導
体層をエッチングした際に絶縁体層に吸収あるいは拡散
されていた水分が、絶縁体層の表面に金属導体層が存在
することにより充分に抜けることができずに残留し、こ
の水分や残留ガスが蒸着時の熱によって膨張し、絶縁体
層と金属導体層との間に膨れを生じさせるものと考えら
れる。
【0031】また、無電解メッキの場合にはメッキ前の
酸洗により金属導体層表面の酸化層が除去されたが、物
理的蒸着法による場合にはこの酸化層が存在したままで
あるため、金属導体層とその上に蒸着される導体層との
間に酸化層が介在して密着性が低下し、回路パターン形
成後に時として蒸着層が剥離してしまうことがあるとい
うのが第2の新たな問題点である。
【0032】このように、無電解メッキ工程を含む従来
のスルーホールメッキ法では数多くの問題点があり、ま
た無電解メッキ工程を単純に物理的蒸着工程に置き換え
ただけのスルーホールメッキ法でも、上述したような未
解決の問題点と新たな問題点が残されているのが現状で
ある。本発明は、これらの問題点を解決すべくなされた
ものであり、両面フレキシブル基板や多層基板の製造を
始め、長尺の両面TABキャリアテープの連続的な製造
にも有利に適用することのできるスルーホールメッキ法
を提供することを目的とするものである。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項1に記載した発明は、フィルム状の樹脂絶縁基板の
表面に形成される金属導体層から前記基板の絶縁体層を
貫通するスルーホールを介して電気的導通をとるために
前記スルーホールの内面にスルーホール導体層を形成す
るスルーホールメッキ法において、スルーホールが形成
された前記基板の少なくとも一方の面側に前記絶縁体層
の表面を露出させた状態で、前記基板に対して物理的蒸
着処理を施すことにより前記スルーホールの内面と前記
露出された絶縁体層表面に導電性材料の蒸着層を形成す
る工程を含むことを特徴とするものである。
【0034】また、請求項2に記載した発明は、請求項
1によるスルーホールメッキ法において、予め前記基板
の表面に形成された金属導体層をフォトリソグラフィの
手法によってパターニングすることによりスルーホール
形成のためのマスキング層とし、次いで、エッチングに
よりマスキング層の開口部から前記絶縁体層を除去して
スルーホールを形成する工程を含むことを特徴とするも
のである。
【0035】更に、請求項3に記載した発明は、請求項
2によるスルーホールメッキ法において、前記マスキン
グ層とした金属導体層を除去することにより前記絶縁体
層の表面を露出させる工程を含むことを特徴とするもの
である。
【0036】
【作用】上記のように構成された本発明のスルーホール
メッキ法は、端的に言えば従来法における無電解メッキ
工程をスパッタリング等の物理的蒸着工程に置き換える
と共にその際の前述問題点を解決し、従来法の無電解メ
ッキとの組み合わせ工程によるものでは不可能であった
連続的なスルーホールメッキプロセスを実現可能にした
ものである。
【0037】すなわち本発明は、基本的にはフィルム状
の樹脂絶縁基板の表面に形成される金属導体層から前記
基板の絶縁体層を貫通するスルーホールを介して電気的
導通をとるために前記基板に形成されたスルーホールの
内壁面にスルーホール導体層を形成するスルーホールメ
ッキ法に関するものであり、スルーホール内壁面に導体
層を形成することにより、この形成された導体層を介し
て絶縁体層を挟んで形成される複数の金属導体層間の電
気的接続を行なわせるものである。
【0038】請求項1に記載した発明では、このような
スルーホールメッキ法において、先ず始めにスルーホー
ル導体層形成の初期工程として、スルーホールが形成さ
れた前記基板の少なくとも一方の面側の前記絶縁体層の
表面を好ましくは全面に亙って露出させた状態下で、前
記基板に対して物理的蒸着処理を施すことにより前記ス
ルーホールの内面と前記露出された絶縁体層表面に導電
性材料の蒸着層が形成される。この蒸着層によって導電
性が付与されたスルーホール内壁面と絶縁体層表面に対
しては、その後に通常の通りに電解メッキ等のメッキ速
度の比較的速い増肉処理を行なってスルーホール導体層
および表面の金属導体層を形成し、適当なサブトラクテ
ィブ法またはアデティブ法によって表面の回路パターン
等を形成すればよく、これらは一連の連続工程として無
理なく実現可能である。
【0039】即ち、本発明ではスルーホールメッキの初
期工程に物理的蒸着工程を用いているが、この蒸着工程
は、基板の少なくとも一方の面側の前記絶縁体層の表面
を実質的に露出させた状態で行なわれる。従って、絶縁
体層内に残留した水分や残留ガスが存在していても、こ
れらは蒸着前の適当な乾燥工程や蒸着装置内での真空引
きなどによって絶縁体層の全露出面から容易に抜くこと
ができ、基板表面が蒸着時に加熱されても蒸着膜が全面
を密に覆うまでにはほぼ完全に抜けてしまうので、蒸着
熱等による導体層の膨れの原因となることがない。この
場合、絶縁体層の表面に例えば島状にある程度の導体層
が残っていても、実質的に前記残留水分や残留ガスが良
好に抜ける程度のものであれば差し支えない。
【0040】なお、本発明において、事前に形成される
スルーホールは他方の面側に既に形成された金属導体層
によって有底とされたブラインドホールであってもよ
く、この場合にスルーホール底面に現れる金属導体層内
面に対して、蒸着工程に先立って酸化層の除去処理を行
なうことは、例えばスルーホールによる電気的接続の信
頼性向上の面からも好ましいことである。
【0041】又、本発明において絶縁体層の両面が露出
された状態でスルーホール内壁面を含めて蒸着工程を行
なう場合、片面側からの蒸着工程の後に他面側からの蒸
着工程を行なってもよく、この場合、最初の蒸着工程に
よる熱により絶縁体層内の残留水分や残留ガス等は既に
充分に抜けているので、後の蒸着工程でも導体層の膨れ
等は生じない。
【0042】請求項1によるスルーホールメッキ法にお
いては、絶縁体層には事前にスルーホールは形成される
が、このスルーホールの形成に際してリソグラフィ手法
を用いることができる。特に請求項2による発明では、
予め前記基板の表面に形成された金属導体層をフォトリ
ソグラフィの手法によってパターニングすることにより
スルーホール形成のためのマスキング層とし、次いで、
エッチングによりマスキング層の開口部から前記絶縁体
層を除去してスルーホールを形成する。
【0043】即ち、この場合は、基板の絶縁体層にスル
ーホールをエッチングによって形成する際に、予め金属
導体層が少なくとも何れか一方の面に形成された基板を
用い、その金属導体層を絶縁体層をエッチングする際の
マスクとして利用する。この為、絶縁体層のエッチング
のためのマスク形成工程が簡素化される。これは、絶縁
体層のエッチング用マスクを形成する工程を製造ライン
上に別に設けなくても、従来からある蒸着装置を含む製
造設備をそのまま利用できると共に、このスルーホール
形成工程の後に行なわれるスルーホールメッキの初期工
程としての蒸着工程も同じ蒸着装置で行なえるという利
点をもたらすものである。
【0044】請求項3の発明では、請求項2によるスル
ーホールメッキ法において、前記マスキング層とした金
属導体層をスルーホール形成後に除去することにより、
その後に行なわれるスルーホールメッキの初期工程とし
ての蒸着工程のために前記絶縁体層の表面を露出させ
る。
【0045】この場合、前記マスキング層のための金属
導体層は、少なくとも絶縁体層のエッチングに耐え得る
ものであれば良いため、この点のみを考慮すれば電気的
特性や回路パターン等としての強度などを考慮せずに比
較的薄い層でも充分である。このため、マスキング用の
金属導体層は、スルーホール形成後に行なわれるスルー
ホールメッキの初期工程と共通に用いることのできる蒸
着装置で極めて簡単かつ短時間で形成できるものであ
り、更にこのように形成したマスキング用の金属導体層
をスルーホール形成後に除去する工程も同様に簡単かつ
短時間で行なうことが可能となる。
【0046】以上のようにして本発明に係るスルーホー
ルメッキ法でスルーホール蒸着層を形成した後の各工程
には、従来から知られている通常の電解メッキにより金
属導体層を所定の厚さに増肉する工程や、適当なサブト
ラクティブ法、アディティブ法またはセミアディティブ
法等によって所定の回路パターン等を形成する工程など
をそのまま利用することが可能である。
【0047】従って、本発明に係るスルーホールメッキ
法に従って製造工程を組むことにより、製造設備の簡素
化とスループットの向上が図れることとなり、しかも不
良品発生率が低下するので製品に対する歩留も向上する
こととなる。
【0048】
【実施例】(実施例1)本発明の好適な実施例を図面と
共に詳しく説明すれば、図1は本発明の第1実施例に係
るスルーホールメッキ法の工程図であり、この第1実施
例では、図1aに示すように、絶縁体層16を挟んで両
面に金属導体層17a,17bが設けられた二層テープ
構造の両面テープを出発材料としてテープキャリアを作
成する場合を示している。
【0049】すなわち、第1実施例で用いた出発材料の
両面テープは、50μm厚のポリイミド(PI)フィル
ム『東レ・デュポン社製、KAPTON−200H』の
両面に巻取式のマグネトロンスパッタリング装置で1μ
m厚の銅層をそれぞれ設けた後、連続的な電解メッキ処
理によって表裏面の銅層を10μm厚としたものであ
り、テープ幅は70mmに調整され、両脇部にはパンチ
ングでスプロケットホールが形成されている。
【0050】この両面テープに対して、図1bに示すよ
うに、フォトリソグラフィの手法により一方の金属導体
層17aのスルーホール形成部分をエッチング除去して
口径150μmの円形開口部17cを形成した。なお、
このエッチングに際して裏面側の金属導体層17bの表
面は保護レジストで覆っておき、エッチング終了後にこ
れを除去した。
【0051】この状態の金属導体層17aをマスクとし
て、8規定の水酸化カリウム溶液からなるエッチング液
中で開口部17cに露出した絶縁体層16をエッチング
処理し、裏面側の金属導体層17bの内面が露出するま
でスルーホール部分の絶縁体層(PI)を除去した時点
でエッチングを終了して湯洗したところ、図1cに示す
ように、絶縁体層16を貫通するスルーホール14が形
成された。
【0052】次いでスルーホール14が形成された両面
テープを塩化第二銅溶液からなる金属エッチング液に浸
漬し、図1dに示すように表裏面の導体層17a,17
bを全てエッチング除去して絶縁体層16の表面を全て
露出させ、その後、充分に洗浄並びに乾燥させた。
【0053】この状態の両面テープに対してスパッタリ
ング等の物理的蒸着方法により全面に導電性を付与する
が、これには先と同じ巻取式のマグネトロンスパッタリ
ング装置を用い、図1eに示すように絶縁体層16の両
面並びにスルーホール内壁面の全てに1μm厚の銅被膜
を形成した。
【0054】次いで、この状態から必要に応じて電解メ
ッキ等により増肉を行なって金属導体層を積層するが、
本実施例では35μm厚の銅層となるように前記銅被膜
の上に電解メッキを行なって、図1eに示すように表裏
面の金属導体層12a,12b並びにスルーホール内壁
面の導体層10を形成した。その後、ドライフィルム1
9をレジストとしてエッチング法等により所定の回路パ
ターンを形成した(図1f)。
【0055】本実施例における絶縁体層16は、誘電率
等の電気的特性、耐熱性、機械的性質等を勘案して最適
と判断されるポリイミド樹脂であるが、この他にも例え
ばポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエステル等の有機絶縁材料を用
いることができる。また絶縁体層16の厚さには特に制
限はないが、そこに設けるスルーホールの口径、作製す
る回路基板またはチップキャリアとしての必要な機械的
強度、あるいは特性インピーダンス等を考慮して決定す
れば良い。
【0056】また、出発材料となる二層テープ等の基板
の作製は、あらかじめ準備されたフィルム等の絶縁体層
の表面に後から金属導体層を形成する方法でも、或いは
あらかじめ準備された金属箔等の導体層の表面に後から
絶縁体層を形成する方法でも何れでも良い。但し、本発
明では、基板作製の後にスルーホール内壁面を含めて物
理的蒸着法により導体層を形成する工程が存在するの
で、全体の製造設備を簡素化するためには同じ蒸着設備
を共用できる前者の基板作製方法、即ち絶縁体層上に物
理的蒸着法により導体層を形成する方法を採用すること
が好ましい。
【0057】本実施例において、出発材料に形成された
金属導体層17aは、後のスルーホールメッキに先立っ
て裏面側の金属導体層17bと共に除去されるものであ
り、特に金属導電層17aの機能は、スルーホール形成
時のマスキング層として使用されるに過ぎないものであ
る。この為、金属導体層17aとしては、スルーホール
メッキに先立ってエッチングにより除去し易いこと、絶
縁体層16のエッチング液に侵されないこと、絶縁体層
16との間に充分な密着性があり絶縁体層のエッチング
の際にサイドエッチが生じにくいこと等の条件を満足す
るものであれば特に制限はない。裏面側の金属導体層1
7bも同様であるが、金属導体層17bを絶縁体層16
のエッチング時におけるエッチング完了の電気的な検出
に利用する場合はそれに適した特性を備えたものとす
る。
【0058】これらの導体層17a,17bは、通常は
第1実施例のごとく銅等の金属層により形成されるが、
本発明は必ずしも金属層に限定されるものではない。但
し、後のスルーホールメッキ工程との設備の共用を考慮
すれば、物理的蒸着手段により形成される金属層(一般
的には、銅又は銅を主成分とする合金等)とすることが
全工程並びに装置の簡略化を図る上で望ましい。
【0059】一般的に導体層17aの厚みは、前述の諸
条件を満足するするものであれば、回路パターン形成に
要求される程の厚みは不要であり、余り厚過ぎるとマス
キング層を形成する際に充分な精度を以てエッチングす
ることが困難であり、後にこれを除去する際のエッチン
グに時間がかかる不都合が生ずる。逆に、薄過ぎると金
属導体層にピンホールが生じて絶縁体層のエッチング用
マスクとしての機能が損なわれることがある。この為、
導体層17aの厚みとしては3μm〜35μm程度であ
れば良いが、望ましくは8μm〜18μm程度とする。
【0060】この導体層17aをスルーホール形成用の
マスキング層として利用する場合には、スルーホールの
形成位置においてあらかじめ定められた形状に導体層1
7aをエッチング除去し、これにより形成された開口部
17cから絶縁体層16の表面を露出させる。
【0061】このようなスルーホール形成のための絶縁
体層の部分除去に際しては、例えばヒドラジンあるいは
水酸化カリウム溶液等によるウェットエッチングの他
に、エキシマレーザー、反応性プラズマ等によるドライ
エッチング等、種々の手法を用いることもできる。
【0062】本発明に従えば、スルーホールメッキを行
なう前に、絶縁体層16の少なくとも一方の面側に形成
された導体層17aまたは17bが除去され、絶縁体層
の表面が露出された状態とされるが、この第1実施例で
は、両面の導体層17a,17bをすべて除去する場合
を示している。
【0063】導体層17a,17bの除去に際しては、
例えば絶縁体層16から導体層17a,17bを引き剥
す方法等も考えられるが、好ましくは本実施例のように
エッチング処理により行なうのがよい。導体層を引き剥
す方法では、導体層と絶縁体層の密着力が強い場合に絶
縁体層の表面が破壊されて無用な粗面化を引き起こす
か、予期しない剥し残り等が残存する問題があるからで
ある。
【0064】第1実施例では、絶縁体層16の表面全体
が露出した状態で後の作業が行なわれ、従って絶縁体層
16を貫通するスルーホール14が視認できる為、後の
回路パターン形成時の位置合わせや表裏面パターンの位
置合わせ等における位置ずれ検出等が容易に行なえるも
のとなっている。
【0065】このように、絶縁体層16の表面全体が露
出している状態で、スルーホール14の内壁面を含めて
絶縁体層の全面に薄い蒸着被膜が形成され、次いで電解
メッキによる増肉が行なわれる。このようにして、絶縁
体層表裏面の導体層12a,12b並びにスルーホール
内壁面の導体層10が夫々連続工程で形成され、表裏面
の導体層12a,12bが導体層10により電気的に導
通される。
【0066】ここで、本発明で用いられる物理的蒸着手
段とは、例えばスパッタリング、エレクトロン・ビーム
(EB)蒸着等の物理的手段により、原子もしくは分子
を飛散させ、絶縁基板表面にその被膜を沈着させる手段
を総称するものである。本実施例では、物理的蒸着手段
にスパッタリング方式のものを採用し、蒸着材料として
は銅を用いている。
【0067】この物理的蒸着工程を行なう際に、本実施
例のように絶縁基板16の両面が露出している状態で行
なう場合には、蒸着作業の初期段階において露出面から
絶縁体層内の残留水分等が抜けるので両面側から同時に
蒸着しても良い。また、別の作業として片側ずつ蒸着作
業を行なうこともでき、この場合は、最初の蒸着作業に
おいて他方の露出面側から絶縁体層内の残留水分等が抜
けるので膨れ等の問題は確実に予防できる。
【0068】なお、蒸着作業に際しては、蒸着層の密着
力や耐熱性等を高めるために、蒸着前に絶縁体層に対し
て、例えばアルゴン、酸素、窒素等のプラズマ処理を施
しても良いし、例えば銅を蒸着する場合には、蒸着層と
絶縁体層の界面に、例えばCr,Ni,Zn,Al等の
異種金属層を設けるようにしても良い。さらに、本実施
例では、この蒸着作業でスルーホール内壁面と基板表面
のすべての導体層を形成する為、基板表面の酸化層や絶
縁体層内の残留物に伴う問題点は生じない。
【0069】このようにして、絶縁体層16の表裏面並
びにスルーホール内壁面に導電性の蒸着層が形成された
状態で、表裏面の双方もしくは何れか一方の蒸着層の上
に回路パターンの形成が行なわれる。この回路パターン
の形成方法は、例えばパネルメッキ法(サブトラクト
法)、パターンメッキ法あるいはセミアディティブ法等
の周知の方法を用いればよい。
【0070】尚、ここでいうセミアディティブ法とは、
蒸着面上に所望の回路パターンとネガ像の関係にあるレ
ジスト層を形成し、下地の蒸着層を通じて給電しつつパ
ターン形状に電解メッキを行なって所望の厚みのパター
ンを得た後、レジストを剥離して短時間のエッチング
(いわゆるフラッシュエッチング)を行ない、蒸着層の
みの部分を除去して回路パターンを形成する方法であ
る。
【0071】また、サブトラクト法とは、前記セミアデ
ティブ法とは逆に、先にスルーホールを含む領域全体に
電解メッキを行なって所望厚みの金属導体層を形成した
後、回路パターン状にレジストを形成して不要部分の金
属導体層をエッチング除去することにより回路パターン
を形成する方法である。第1実施例では、このサブトラ
クト法により回路パターンを形成する場合のレジスト
(ドライフィルム19)を形成した状態を図1fに示し
ている。
【0072】以上のようにして作製されたテープキャリ
アのスルーホール部分の断面を観察したところ、表裏面
の金属導体層12a,bの厚さはほぼ同一であり、さら
に小径のスルーホールにもかかわらず、孔の内壁面全体
に亙って均一かつ確実な導体層10が形成されており、
メッキ不良は見られなかった。また、スルーホール部分
の導体層10の電気抵抗を測定したところ、従来法によ
るスルーホール導体層の電気抵抗値の約半分に相当する
低抵抗値であることが確認された。一方、テープキャリ
アとしての半田耐熱試験、ヒートショックテストを行な
ったが、いずれも全く不良は生じなかった。
【0073】これらの良好な結果は、スパッタリングに
よりスルーホールメッキの初期工程を行なっているた
め、スルーホール内壁面を含めてメッキ層と絶縁体層の
密着力が高いこと、また、スパッタにより飛来する金属
原子が高いエネルギーを持つため、スルーホールの細孔
の奥まで充分に到達できたこと等によるものと考えられ
る。ここで、本実施例の絶縁体層には出発材料の金属導
体層の形成とスルーホールメッキの初期工程との二度の
スパッタが施されたが、二回目のスッパタ処理の前に適
当なプラズマ処理を施すことにより、更に充分な密着力
が得らることも確認された。
【0074】また、テープキャリア全体に亙って金属導
体層には膨れ等の欠陥を発見することはできなかった。
これは、スルーホールメッキの際に一旦形成した導体層
を除去して絶縁体層の表面が露出された状態で蒸着処理
を行っている為、スパッタ作業前の乾燥や真空引き等の
工程中にPIフィルム中の残留水分やガス等が充分に除
去できたためと考えられる。さらに、出発材料の二層テ
ープ構造の両面テープを物理的蒸着方法(本実施例では
マグネトロンスパッタ)により作製すると共にスルーホ
ールメッキの初期工程に際しても同じスパッタ装置を共
用したので、ライン設備自体の改造は最小限に抑えるこ
とができた。
【0075】なお、本実施例ではスルーホールが完全な
貫通孔となる為、このスルーホール内にエッチング残り
やエッチング残渣が存在しないことが光学観察機器によ
り視認によって容易に確認できた。また、パターン形成
時並びにパターン形成後の検査工程におけるスルーホー
ルと回路パターンの位置ずれ検査や位置合わせが容易に
行なえる利点があった。
【0076】(実施例2)次に、本発明の第2実施例に
ついて図2を参照して説明する。この第2実施例では、
先の第1実施例とは異なり、図2aに示すように絶縁体
層26の片面側にのみ金属導体層27が形成された二層
テープ構造の片面テープを出発材料としており、この絶
縁体層26には、前述した第1実施例と同じPIフィル
ムが用いられた。
【0077】第2実施例でも、金属導体層27のスルー
ホール形成部分をフォトリソグラフィの手法により除去
して開口部27cを形成するが、この後の絶縁体層26
のエッチングに先立って、絶縁体層26の既に露出され
ている裏面側は図2bに示すように耐アルカリ有機レジ
スト層28によって全面被覆され、裏面側から絶縁体層
26がエッチングされることを防止している。
【0078】この状態で絶縁体層26のエッチングを行
なってスルーホール24を形成した後、裏面のレジスト
層28を剥離した(図2c)。さらに、表面に残った導
体層27をエッチングにより除去して充分な洗浄と乾燥
を行なった(図2d)。この後、第1実施例と同様にし
てスルーホール内壁面およびテープ表裏面のスパッタ蒸
着工程および電解メッキ工程を行い、各部の金属導体層
20,22a,22bを形成した(図2e)。その後、
ドライフィルム29をレジストとしてドライエッチング
法等により所定の回路パターンを形成した(図2f)。
【0079】このようにして得られたテープキャリア
は、スルーホール部の裏面側開口部の口径が第1実施例
のそれに比べて若干大きくなっていた。これは、スルー
ホール24を形成するためのエッチングの際に、裏面側
のレジスト層として金属導体層を利用した第1実施例に
比べ、有機レジスト層28を用いたことにより若干のサ
イドエッチングが生じた為と考えられる。但し、この口
径変化は実用上全く支障の無い範囲である。
【0080】この第2実施例によるテープキャリアの電
気的特性や機械的特性、並びに導体層の密着状態等は上
述した第1実施例と同様であった。但し、第1実施例で
は表裏面の蒸着工程が前処理を含めて実質4回必要であ
ったが、第2実施例では三回で済み、蒸着工程の時間と
費用が節約できることが明らかである。
【0081】(実施例3)次に、本発明の第3実施例を
図3と共に説明する。この第3実施例では、図3aに示
すように絶縁体層36の表裏面に金属導体層37a,3
7bを備えた第1実施例と同じ二層テープ構造の両面テ
ープを出発材料としているが、裏面側の金属導体層37
bを途中で除去することなくスルーホールメッキ工程を
行なう点が第1実施例と異なっている。
【0082】先ず、図3bに示すように表面側の金属導
体層37aを部分的に除去して開口部37cを形成し、
この開口部37cをもつ金属導体層37aをマスキング
層として絶縁体層36のエッチング処理によりスルーホ
ール34を設けるまでの工程は第1実施例と同様である
が、このスルーホール34は図3cに示すように裏面側
の金属導体層37bにより有底とされたブラインドホー
ルである。
【0083】次いで、表面側の金属導体層37aのみを
エッチング除去して裏面側の導体層37bは残したまま
とするが、この際、裏面側導体層37bの表面は保護レ
ジスト層(図示せず)で全面被覆すると共に、スルーホ
ール34の底面に露出した導体層37bの内面には極く
薄いCr層(図示せず)を予め形成して導体層37aの
エッチング処理時のレジストとした。このようにして表
面側導体層37aをエッチングにより除去し、次いで前
記Cr層をエッチング除去し、さらに裏面の保護レジス
ト層を除去して図3dに示す状態とした。
【0084】この状態で開口部34側から銅のスパッタ
リング被着を行ない、スルーホール内壁面と底面および
絶縁体層の露出表面に1μm厚の銅被膜を形成して導電
性を付与した後、裏面側導体層37bの表面を含めて全
面に電解銅メッキを行ない、図3eに示すように夫々1
0μm厚の表面側導体層32a並びにスルーホール導体
層30を形成した。その後、ドライフィルム39をレジ
ストとしてドライエッチング法等により所定の回路パタ
ーンを形成した(図3f)。
【0085】なお、この際、裏面側導体層は当初の蒸着
による金属導体層37bと前記電解メッキによる金属導
体層32cとの積層構造となり、従って本実施例により
作製されたテープキャリアでは、表面側と裏面側の導体
層の厚みに差異が生じた。但し、このことは欠点ではな
く、例えば表裏に形成する回路パターンの形状や機能の
差異を前提として予め異なる厚さの導体層を表裏に持つ
ものを意図する場合もあり、そのような場合には本実施
例の方法は却って有効である。なお、この場合でも表面
側導体層32a並びにスルーホール導体層30の厚さは
同じであり、これらの導体層の特性は前記各実施例と同
様である。
【0086】第3実施例により作製したテープキャリア
においても、全体に亙って膨れ等の欠陥は発見できなか
った。前述した第1及び第2実施例のようにスルーホー
ルメッキの際に全ての導体層を除去する方法とは異な
り、第3実施例では片面の金属導体層のみを除去して絶
縁体層の片面のみを露出状態としたが、前記膨れ等の欠
陥が生じなかったことは、絶縁体層が片面のみであって
もその殆ど全面が露出されているため、スパッタ作業前
の乾燥や真空引き等の工程中またはスパッタ工程の初期
段階においてPIフィルム中の残留水分やガス等が露出
面から充分に除去できたためと考えられる。
【0087】この第3実施例では、出発材料の二層テー
プ構造の両面テープをスパッタにより作成している為、
スルーホールメッキの初期蒸着工程に際しても同じスパ
ッタ装置を共用でき、従って設備の改造等が最小限に抑
えられると共に、片面に導体層を残したままスルーホー
ルメッキ工程を実施しているため、スパッタ工程は前処
理を含めて三回で済むものとなっている。
【0088】また、本実施例ではスルーホール34の底
部が裏面側導体層37bにより塞がれてブラインドホー
ルとなっているため、スルーホールメッキの際のスパッ
タリングの前処理として、ホール底部に露出した導体層
37bの内面から酸化層を取り除く処理を付加的に行っ
た。本実施例では、この酸化層除去方法として、テープ
を水素プラズマ中に通過させることにより、酸化層を還
元することで除去を行なった。
【0089】また、スルーホール34がブラインドホー
ルであるため、回路パターン形成時の位置合わせには従
来法と同様な作業が必要となる。また、スルーホール底
部のエッチング残り等の確認の為の導通検査が必要とな
るがこれも従来法と同様である。ちなみに、本実施例に
より作製されたテープキャリアではスルーホール部の導
通不良は生じなかった。
【0090】(実施例4)次に、本発明の第4実施例を
図4と共に説明する。この第4実施例では、出発材料と
して図4aに示すように絶縁体層46の片面のみに導体
層47が形成された第2実施例と同様の二層テープ構造
の片面テープを用いている。
【0091】図4bに示すように導体層47にスルーホ
ールのための開口部47cを形成してマスキング層と
し、裏面側に耐アルカリレジスト層48を設け、この状
態で絶縁体層46のエッチング処理を行うことにより図
4cに示すようにスルーホール44を設ける工程までは
前述の第2実施例と同様である。
【0092】第4実施例では、第2実施例とは異なっ
て、スルーホール形成後に導体層47をエッチングせず
に残存させ、代わりに耐アルカリレジスト層48を除去
して絶縁体層46の裏面側を露出させた状態(図4c)
とした。この状態で銅のスパッタリングを行なって、ス
ルーホール内壁面並びに絶縁体層裏面側に導電性を付与
した後、さらに全面に電解銅メッキを行ない、図4dに
示すようにそれぞれ10μm厚の裏面側導体層42d並
びにスルーホール導体層40を形成し、表面側には既存
の導体層47と前記電解銅メッキによる導体層42aと
の積層からなる厚肉導体層を形成した。その後、ドライ
フィルム49をレジストとしてドライエッチング法等に
より所定の回路パターンを形成した(図4e)。
【0093】ここで、表面側導体層は当初の蒸着導体層
47と電解メッキ導体層42aとの積層により形成され
るため、第3実施例により作製されたテープキャリアと
同様に表面側と裏面側の導体層の厚みに差が生じること
になるが、これは第3実施例で述べたのと同様に欠点を
構成するものではない。
【0094】このようにして各導体層を形成したテープ
の表裏面に この第4実施例により作成されたテープキ
ャリアにおいても、スルーホール導体層40やその他の
導体層並びにこれらと絶縁体層46との密着性、電気的
特性、機械的特性は、前述の各実施例と同様に優れたも
のであった。
【0095】さらに、第4実施例ではスパッタリング工
程が前処理を含めて二回で済む為、この点に関しては前
述の各実施例よりも有利であるといえる。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スルーホールメッキ法における従来の諸問題点を解決
し、簡単かつ確実にスルーホール導体層を形成すること
ができ、特に、スルーホールに形成される導体層が回路
パターン部分の導体層と同じ厚みを確保できるので、回
路パターンの微細化に伴って導体層の厚みを減少しなく
てはならない場合でも、スルーホール内壁面の導体層の
厚みだけが相対的に不足してしまうというような問題は
生じない。
【0097】また、本発明では下地メッキ処理として物
理的蒸着処理により蒸着層を形成した上に導体層を形成
するので、従来の無電解メッキによるものに比べて絶縁
体層との密着性が格段に向上し、また、従来のようにス
ルーホール内壁面の下地メッキ処理にメッキ液を使用し
ないので、スルーホールが小径であってもその内壁面に
孔の奥まで確実に導体層を形成することができると共
に、絶縁体層が薄い場合やスルーホール内壁面の面積が
小さい場合であっても、そこに形成される導体層には充
分な強度が確保できるものであり、スルーホールの導電
性等に関して信頼性が向上すると共に、結果として従来
より小径で深いスルーホールの導通を果たすことが可能
である。
【0098】また、本発明ではスルーホールメッキの初
期工程を物理的蒸着工程によって行うことから後続の電
解メッキ等の比較的高速の増肉工程と一連の連続工程を
組むことが容易であり、従ってテープキャリア等の長尺
製品を作製する場合にも利用できるので、従来不可能で
あった長尺製品を連続的に製造して、そのリール・ツー
・リールによる実装作業の利点を損なうことがないとい
う利点も得られる。
【0099】また、本発明の方法を利用すれば、スルー
ホールメッキ工程を行なう装置の簡素化が図れる利点も
ある。これは、従来法における無電解メッキ工程が不要
となると共に、既存の蒸着装置を共用して簡単な設備改
造でスルーホールメッキが行なえるためであり、設備投
資も最小限に抑えられるものとなろう。
【0100】更に、本発明に係るスルーホールメッキ法
をテープキャリア製造と半導体チップ等の電子部品の実
装までも含めた電子装置の製造設備ラインに組み入れる
ことにより、テープキャリア並びに電子装置の製造に対
する全体設備の簡素化とスループットの向上が図れるこ
ととなり、しかも不良品発生率が低下するので歩留も向
上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るスルーホールメッキ
法によるテープキャリアの製造工程を示す説明図であ
る。
【図2】本発明の第2実施例に係るスルーホールメッキ
法によるテープキャリアの製造工程を示す説明図であ
る。
【図3】本発明の第3実施例に係るスルーホールメッキ
法によるテープキャリアの製造工程を示す説明図であ
る。
【図4】本発明の第4実施例に係るスルーホールメッキ
法によるテープキャリアの製造工程を示す説明図であ
る。
【図5】従来法によるテープキャリアの製造工程を示す
説明図である。
【符号の説明】
10,20,30,40 …スルーホール導体層 12a,12b,22a,22b,32a,32b,42a,42b …金属導体層 14,24,34,44,54…スルーホール 16,26,36,46 …絶縁体層 17a,27,37a,47 …マスキング層 17c,27c,37c,47c …開口部 19,29,39,49,59…パターン形成用マスク層
フロントページの続き (72)発明者 関 収 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルム状の樹脂絶縁基板の表面に形成
    される金属導体層から前記基板の絶縁体層を貫通するス
    ルーホールを介して電気的導通をとるために前記スルー
    ホールの内面にスルーホール導体層を形成するスルーホ
    ールメッキ法において、スルーホールが形成された前記
    基板の少なくとも一方の面側に前記絶縁体層の表面を露
    出させた状態で、前記基板に対して物理的蒸着処理を施
    すことにより前記スルーホールの内面と前記露出された
    絶縁体層表面に導電性材料の蒸着層を形成する工程を含
    むことを特徴とするスルーホールメッキ法。
  2. 【請求項2】 予め前記基板の表面に形成された金属導
    体層をフォトリソグラフィの手法によってパターニング
    することによりスルーホール形成のためのマスキング層
    とし、次いで、エッチングによりマスキング層の開口部
    から前記絶縁体層を除去してスルーホールを形成する工
    程を含むことを特徴とする請求項1記載のスルーホール
    メッキ法。
  3. 【請求項3】 前記マスキング層とした金属導体層を除
    去することにより前記絶縁体層の表面を露出させる工程
    を含むことを特徴とする請求項2記載のスルーホールメ
    ッキ法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1012677A (ja) * 1996-04-23 1998-01-16 Hitachi Cable Ltd 半導体装置用両面配線テープキャリアの製造方法
JP2002009418A (ja) * 2000-06-20 2002-01-11 Toray Eng Co Ltd ポリイミドフィルム基材のエッチングにおける貫通孔径制御方法

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