JPH0633261B2 - 新規なイミダゾ[4,5−bピリジン誘導体、その製造法及びそれを含有する抗潰瘍剤 - Google Patents

新規なイミダゾ[4,5−bピリジン誘導体、その製造法及びそれを含有する抗潰瘍剤

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JPH0633261B2
JPH0633261B2 JP1078888A JP1078888A JPH0633261B2 JP H0633261 B2 JPH0633261 B2 JP H0633261B2 JP 1078888 A JP1078888 A JP 1078888A JP 1078888 A JP1078888 A JP 1078888A JP H0633261 B2 JPH0633261 B2 JP H0633261B2
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清一 村上
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は新規なイミダゾ[4,5−b]ピリジン誘導
体、その製造法及びそれを含有する抗潰瘍剤並びに製造
中間体及びその製造法に関する。本発明のイミダゾ
[4,5−b]ピリジン誘導体は、胃又は十二指腸潰瘍
の治療薬として利用できるものである。
従来の技術 胃又は十二指腸潰瘍における近年の病態生理の研究で
は、胃小胞体ベシクル内での塩酸産生に関与するカリウ
ムイオン依存性アデノシントリホスファターゼ[以下
(H+K)ATPアーゼと略す。]の挙動が注目さ
れ、この酵素の活性阻害の有無が抗潰瘍剤の一つの指標
とされるに至って来た[ガストロエンテロロジィー(Gas
troenterology)1巻420頁1943年;同73巻921頁1977
年]。無置換乃至三置換ピリジルメチルスルフィニル基
を側鎖に有する化合物において、かかる観点から、現
在、抗潰瘍剤として開発が進められている代表的なもの
としては、ベンズイミダゾール骨格を持つオメプラゾー
ル[特開昭54-141783号公報;ブリティッシュ・メディ
カル・ジャーナル(British Medical Journal)287巻12頁
1983年]が知られている。一方、イミダゾピリジン化合
物において、当該酵素の阻害作用が確認又は示唆されて
いる代表的なものとしては、下記一般式 (式中、XおよびYは、一方が=CH−基で他方が=N
−基を示し、R1′およびR2′は、同一または異なっ
て、それぞれ水素原子、低級アルコキシカルボニル基、
ハロゲン原子、低級アルキル基、アミノ基または水酸
基、R3′およびR4′およびR5′は、同一または異
なって、それぞれ水素原子、低級アルコキシ基または低
級アルキル基、Aは低級アルキレン基、lは0または1
を示す。ただし、Yが=CH−基、Xが=N−基、lが
0の場合は、R3′、R4′およびR5′は同時に水素
原子であることはない)で表わされる化合物(以下公知
イミダゾピリジン誘導体と仮称する。)が報告されてい
る(特開昭61-145182号公報)。
発明が解決しようとする問題点 オメプラゾール並びに公知イミダゾピリジン誘導体の具
体的代表例である、2−[2−(3,5−ジメチル−4
−メトキシ)ピリジルメチルスルフィニル]−6−ブロ
モイミダゾ[4,5−b]ピリジン(以下化合物αと仮
称する。)及び2−[2−(3,5−ジメチル−4−メ
トキシ)ピリジルメチルスルフィニル]−6−メチルイ
ミダゾ[4,5−b]ピリジン(以下化合物βと仮称す
る。)を用いて本発明者らが種々の試験を行ったとこ
ろ、これら化合物はインビトロ(in vitro)試験では高い
(H+K)ATPアーゼ阻害作用が認められるもの
の、インビボ(in vivo)での胃酸分泌抑制試験では、そ
の作用が十分に反映されないという事実が判明した。
本発明者らは、これらの事情に鑑み、上述の公知イミダ
ゾピリジン誘導体の周辺化合物を鋭意探索した結果、化
合物α及びβの臭素原子又はメチル基を種々のアルコキ
シ基に変換した化合物が、インビトロ(in vitro)及びイ
ンビボ(in vivo)での種々の試験において良好な抗潰瘍
作用を示すことを知り、本発明に到達した。
問題点を解決するための手段 本発明によれば、下記一般式[I] (式中、Rは環状アルキル基で置換されていてもよい
炭素数1〜4個の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基
又は2,2,2−トリフルオロエトキシ基を表わし、R
は炭素数2〜4個の直鎖状もしくは分岐状のアルコキ
シ基又は2,2,2−トリフルオロエトキシ基を表わ
し、R及びRは同一又は異なって夫々水素原子又は
メチル基を表わす。)で示されるイミダゾ[4,5−
b]ピリジン誘導体が提供される。
一般式[I]で示されるイミダゾ[4,5−b]ピリジ
ン誘導体には、下記一般式[I′] (式中、R、R、R及びRは前記と同意義であ
る。)で示される互変異性体も包含される。
一般式[I]及び[I′]においてRで表わされるア
ルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロ
ピルオキシ基、n−プロピルオキシ基、sec-ブチルオキ
シ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n
−ブチルオキシ基、シクロプロピルメチルオキシ基、
2,2,2−トリフルオロエトキシ基などが挙げられ
る。
前記一般式[I]及び[I′]で示されるイミダゾ
[4,5−b]ピリジン誘導体(以下単に本発明化合物
と略す。)は、下記一般式[II] (式中、R、R、R及びRは前記と同意義であ
る。)で示されるスルフィド化合物を、適当な反応溶媒
の存在下に酸化剤を用いて酸化させることにより製造す
ることができる。反応割合はスルフィド化合物[II]に対
して酸化剤を1.0〜1.3倍モル量とする。使用できる酸化
剤としては、例えばm−クロロ過安息香酸、過安息香酸
又は過酢酸などの過酸化物が挙げられるが、安定性が高
いという点において、m−クロロ過安息香酸が好まし
い。適当な反応溶媒としては、例えばクロロホルムもし
くはテトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、
メタノール、エタノール、プロパノールもしくはブタノ
ールなどのアルコール類又はこれらの二種以上からなる
混合液が挙げられる。しかしながら、酸化反応における
選択性及び収率の点において、特にクロロホルム又はク
ロロホルムとメタノールの混合液が好ましい。反応温度
は-70〜30℃、好ましくは-20〜10℃の範囲内とし、反応
時間は1分間〜24時間、好ましくは5分間〜1時間程度
とする。
上述のスルフィド化合物[II]は、下記一般式[III] (式中、Rは前記と同意義である。)で示されるチオ
ール化合物と、下記一般式[IV] (式中、R、R及びRは前記と同意義である。)
で示されるピリジン化合物とを、反応溶媒中で塩基の存
在下又は非存在下で縮合させることにより製造すること
ができる。塩基の非存在下で行うとスルフィド化合物[I
I]は塩酸塩として生成するので脱酸剤によって脱塩酸を
行なう。反応割合はチオール化合物[III]に対して、ピ
リジン化合物[IV]を等モル量、塩基を2.0〜3.0倍モル量
とする。使用できる塩基としては、例えば炭酸水素ナト
リウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリ
ウム又は水酸化カリウムなどが挙げられる。反応溶媒と
しては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール
もしくはブタノールなどのアルコール類、ジメチルホル
ムアミドもしくはジメチルスルホキシドなどの非プロト
ン性極性溶媒もしくは水又はこれらの二種以上からなる
混合液が挙げられる。反応は10〜200℃、好ましくは60
〜80℃の範囲で行い、反応時間は1分間〜12時間、好ま
しくは5分間〜4時間程度とする。出発原料となるチオ
ール化合物[III]は、公知の方法、例えばジャーナル・
オブ・オルガニック・ケミストリー(Journal of Organi
c Chemistry)24巻1455頁1959年に記載された方法に準じ
て製造することができる。
作用及び発明の効果 本発明化合物[I]のインビトロ(in vitro)での(H
+K)ATPアーゼ阻害活性及びインビボ(in vivo)
での胃酸分泌抑制作用について以下に詳述する。被験化
合物としては、本発明化合物[I]の代表例である以下
に列記の化合物を用いた。なお、各化合物名のあとの括
弧内の表示は、本明細書におけるそれら化合物の仮称名
を夫々意味し、かつ後述の実施例に夫々対応するもので
ある。
2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)ピリジ
ルメチルスルフィニル]−5−メトキシイミダゾ[4,
5−b]ピリジン(実施例1)、 2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)ピリジ
ルメチルスルフィニル]−5−イソプロルオキシイミダ
ゾ[4,5−b]ピリジン(実施例2)、 2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)ピリジ
ルメチルスルフィニル]−5−シクロプロピルメチルオ
キシイミダゾ[4,5−b]ピリジン(実施例3)、 2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)ピリジ
ルメチルスルフィニル]−5−(2,2,2−トリフル
オロエトキシ)イミダゾ[4,5−b]ピリジン(実施
例4)、 2−[2−(3−メチル−4−エトキシ)ピリジルメチ
ルスルフィニル]−5−イソブチルオキシイミダゾ
[4,5−b]ピリジン(実施例5)、 2−[2−(5−メチル−4−エトキシ)ピリジルメチ
ルスルフィニル]−5−エトキシイミダゾ[4,5−
b]ピリジン(実施例6)、 2−[2−(4−エトキシ)ピリジルメチルスルフィニ
ル]−5−イソプロピルオキシイミダゾ[4,5−b]
ピリジン(実施例7)、 2−[2−(4−エトキシ)ピリジルメチルスルフィニ
ル]−5−シクロプロピルメチルオキシイミダゾ[4,
5−b]ピリジン(実施例8)、 2−[2−(3,5−ジメチル−4−n−プロピルオキ
シ)ピリジルメチルスルフィニル]−5−n−ブチルオ
キシイミダゾ[4,5−b]ピリジン(実施例9)、 2−[2−(5−メチル−4−n−プロピルオキシ)ピ
リジルメチルスルフィニル]−5−メトキシイミダゾ
[4,5−b]ピリジン(実施例10)、 2−[2−(4−n−プロピルオキシ)ピリジルメチル
スルフィニル]−5−エトキシイミダゾ[4,5−b]
ピリジン(実施例11)、 2−[2−(4−イソプロピルオキシ)ピリジルメチル
スルフィニル]−5−イソブチルオキシイミダゾ[4,
5−b]ピリジン(実施例12)、 2−[2−(4−n−ブチルオキシ)ピリジルメチルス
ルフィニル]−5−シクロプロピルメチルオキシイミダ
ゾ[4,5−b]ピリジン(実施例13)、 2−[2−(4−イソブチルオキシ)ピリジルメチルス
ルフィニル]−5−(2,2,2−トリフルオロエトキ
シ)イミダゾ[4,5−b]ピリジン(実施例14)、 2−{2−[3−メチル−4−(2,2,2−トリフル
オロエトキシ)ピリジルメチルスルフィニル}−5−メ
トキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン(実施例1
5)、 2−{2−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキ
シ)ピリジルメチルスルフィニル}−5−イソプロピル
オキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン(実施例1
6)。
(イ)(H+K)ATPアーゼ阻害活性 本発明化合物[I]の(H+K)ATPアーゼ阻害
活性の試験は、蛋白質量に換算して300〜500μgの該酵
素を含有する溶液に被験化合物を添加し、これを35〜37
℃で5〜30分間反応させたのち、反応液中の(H+K
)ATPアーゼの残存活性を測定することにより行っ
た。被験化合物は予めメタノール又はエタノールに溶解
したものを用い、反応系における被験化合物の濃度が1
×10-3モル濃度になるように加えた。(H+K
ATPアーゼは食用豚(Hog)の新鮮な胃底腺部よりサッ
コマニ(Saccomani)らの方法[ザ・ジャーナル・オブ・
バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biolog
ical Chemistry)251巻23号7690頁1976年]に従って調製
したものを使用した。(H+K)ATPアーゼの残
存活性は得られた反応液に塩化マグネシウム及び塩化カ
リウムを混和し、これにアデノシン三燐酸を添加して37
℃で5〜15分間酵素反応を行い、ついで遊離してくる無
機リン酸をモリブデン酸アンモニウム試薬を用いて比色
定量することにより求めた。塩化マグネシウム、塩化カ
リウム及びアデノシン三燐酸の初発濃度はそれぞれ2ミ
リモル濃度、20ミリモル濃度及び2ミリモル濃度とし
た。比色は360〜400nmの波長で行った。また、被験化合
物を添加しなった場合の(H+K)ATPアーゼの
残存活性も上述と同様な操作をして測定し、これを対照
実験とした。結果を第1表に示す。表中、阻害効果は、
対照実験で得られた測定値と被験化合物を添加した場合
の測定値との差を求め、これを対照実験の測定値の百分
率で表示した。なお、同表には上述と同様な方法で測定
したオメプラゾール並びに化合物α及びβの(H+K
)ATPアーゼの阻害活性を比較の為併記した。
第1表から明白なように、本発明化合物[I]のインビ
トロ(in vitro)における(H+K)ATPアーゼ阻
害活性は、オメプラゾールより遥かに優れ、化合物α及
びβと比較しても遜色がないことが認められる。
(ロ)胃酸分泌抑制作用 本発明化合物[I]による胃酸分泌抑制作用の試験は、
一夜絶食後、幽門部を結紮させたウィスター系雄性ラッ
ト(1群5匹;体重200g前後)を用い、1〜100mg/kg
の被験化合物を経口投与し、4時間経過したのちの各ラ
ットにおける胃液の総酸度を測定することにより行っ
た。被験化合物は結紮30分前に、0.5%カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム水溶液に懸濁して投与した。胃
液は各ラットを屠殺し、開腹して採取した。胃液の総酸
度は0.1規定水酸化ナトリウム水溶液を用い、胃液のpH
値が7.0になるまで滴定することにより求めた。対照実
験として、無投与群の胃液総酸度も上述と同様に操作し
て測定した。胃酸分泌抑制作用は、胃酸分泌、即ち胃液
総酸度を50%抑制するのに必要な投与量(mg/kg;以下
ED50と略す。)で評価した。ED50値は、まず無投与
群と各被験化合物投与群との総酸度の差をとり、これを
無投与群の総酸度で除して抑制率を算出し、ついでこの
抑制率に基づいて作図した用量作用曲線から求めた。結
果を第2表に示す。なお、同表には上述と同様にして求
めたオメプラゾール並びに化合物α及びβのED50値を
比較の為併記した。
第2表から明らかなように、本発明化合物[I]はオメ
プラゾール、化合物α及びβに比べて、インビボ(in vi
vo)での胃酸分泌抑制作用を顕著に発揮することが認め
られる。
(ハ)毒性試験 5週令のウィスター系雄性ラットを用い、本発明の代表
的化合物として実施例2,3,4,12及び15の化合
物について急性毒性(LD50)試験を行った。LD50
はいずれの化合物とも経口投与で4000mg/kg以上、腹腔
内投与で500mg/kg以上であった。オメプラゾールのLD
50値は経口投与で4000mg/kg以上であった。
上述の各試験結果を考慮すれば、本発明化合物[I]は
胃又は十二指腸潰瘍の有力な治療薬ということができ
る。
本発明化合物[I]は通常の製剤担体を配合することに
より錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤等の固形
製剤、注射剤、シロップ剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液
剤に調製できる。固形剤にあっては、コーティング法に
より腸溶性コーティング剤に調製してもよい。また、液
剤は、本発明化合物[I]をアルカリと生理的に許容で
きる塩を形成してから水に溶解するか又は本発明化合物
[I]をアルカリ水溶液に溶解することにより調製す
る。配合する製剤担体としては、所望の剤型に応じ適宜
選択して使用すればよく、例えば、トウモロコシ澱粉、
デキストリン、α、βもしくはγ−シクロデキストリ
ン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、メチルセルロール、エチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウ
ム、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、アル
ギン酸ナトリウム、ウィテプソールW35、ウィテプソ
ールE85、ポリビニルアルコールもしくは合成ケイ酸
アルミニウムなどの賦形剤、結合剤もしくは崩壊剤;タ
ルク、ワックス類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチル
メチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリ
ビニルアルコールフタレート、スチレン無水マレイン酸
共重合体もしくはポリビニルアセタルジエチルアミノア
セテートなどの滑沢剤もしくは被覆剤;グリセリン、プ
ロピレングリコールもしくはマンニトールなどの溶解補
助剤;ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエ
チレンセチルアルコールエーテル、ポリエチレングリコ
ールもしくはポリビニルピロリドンなどの乳化剤もしく
は懸濁剤;もしくはソルビトール、ツィーン80、スパ
ン60もしくは油脂類等の安定化剤;又は各種の溶剤が
挙げられる。
本発明化合物[I]の患者への投与量は、年令、病気の
症状などにより異なるが、一般に成人に対し一日当り0.
5〜2000mg、好ましくは3〜200mgを1〜6回、好ましく
は1〜3回に分けて投与する。
本発明を参考例及び実施例をもって更に説明する。参考
例はスルフィド化合物[II]の製造例である。
参考例 2−メルカプト−5−メトキシイミダゾ[4,5−b]
ピリジン1.81g(0.01モル)及び2−クロロメチル−4
−エトキシ−3,5−ジメチルピリジン塩酸塩2.36g
(0.01モル)を、エタノール100ml中に加え、60℃で2
時間攪拌した。この反応液を減圧濃縮し、残渣に飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液150mlを加え攪拌し、ついでこ
れよりクロロホルム300mlで抽出した。得られた抽出液
を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後減圧乾固した。得ら
れた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[展開
溶媒 クロロホルム:エタノール(50:1)]に付し、単離
精製して2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキ
シ)ピリジルメチルチオ]−5−メトキシイミダゾ
[4,5−b]ピリジンの無色結晶3.02g(収率87.8
%)を得た。
2−メルカプト−5−メトキシイミダゾ[4,5−b]
ピリジンを対応するチオール化合物[III](0.01モル)
に、2−クロロメチル−4−エトキシ−3,5−ジメチ
ルピリジン塩酸塩を対応するピリジン化合物[IV](0.01
モル)に夫々変更した以外は上述とほぼ同様に処理し、
以下の十五化合物を製造した。
2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)ピリジ
ルメチルチオ]−5−イソプロピルオキシイミダゾ
[4,5−b]ピリジン、 2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)ピリジ
ルメチルチオ]−5−シクロプロピルメチルオキシイミ
ダゾ[4,5−b]ピリジン、 2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)ピリジ
ルメチルチオ]−5−(2,2,2−トリフルオロエト
キシ)イミダゾ[4,5−b]ピリジン、 2−[2−(3−メチル−4−エトキシ)ピリジルメチ
ルチオ]−5−イソブチルオキシイミダゾ[4,5−
b]ピリジン、 2−[2−(5−メチル−4−エトキシ)ピリジルメチ
ルチオ]−5−エトキシイミダゾ[4,5−b]ピリジ
ン、 2−[2−(4−エトキシ)ピリジルメチルチオ]−5
−イソプロピルオキシイミダゾ[4,5−b]ピリジ
ン、 2−[2−(4−エトキシ)ピリジルメチルチオ]−5
−シクロプロピルメチルオキシイミダゾ[4,5−b]
ピリジン、 2−[2−(3,5−ジメチル−4−n−プロピルオキ
シ)ピリジルメチルチオ]−5−n−ブチルオキシイミ
ダゾ[4,5−b]ピリジン、 2−[2−(5−メチル−4−n−プロピルオキシ)ピ
リジルメチルチオ]−5−メトキシイミダゾ[4,5−
b]ピリジン、 2−[2−(4−n−プロピルオキシ)ピリジルメチル
チオ]−5−エトキシイミダゾ[4,5−b]ピリジ
ン、 2−[2−(4−イソプロピルオキシ)ピリジルメチル
チオ]−5−イソブチルオキシイミダゾ[4,5−b]
ピリジン、 2−[2−(4−n−ブチルオキシ)ピリジルメチルチ
オ]−5−シクロプロピルメチルオキシイミダゾ[4,
5−b]ピリジン、 2−[2−(4−イソブチルオキシ)ピリジルメチルチ
オ]−5−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)イミ
ダゾ[4,5−b]ピリジン、 2−{2−[3−メチル−4−(2,2,2−トリフロ
オロエトキシ)ピリジルメチルチオ}−5−メトキシイ
ミダゾ[4,5−b]ピリジン、 2−{2−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキ
シ)ピリジルメチルチオ}−5−イソプロピルオキシイ
ミダゾ[4,5−b]ピリジン。
実施例1 2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)ピリジ
ルメチルチオ]−5−メトキシイミダゾ[4,5−b]
ピリジン1.72g(0.005モル)をクロロホルム150mlに溶
解し、これにm−クロロ過安息香酸0.86g(0.005モ
ル)を0〜5℃で徐々に添加し、同温度で10分間攪拌し
た。この反応液に、5%炭酸水素ナトリウム水溶液30mlを
0〜5℃で注入混合し、ついでクロロホルム層を分取し
た。このクロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し
たのち減圧乾固した。得られた残渣を酢酸エチルで再結
晶し、2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)
ピリジルメチルスルフィニル]−5−メトキシイミダゾ
[4,5−b]ピリジンの無色結晶1.45g(収率80.6
%)を得た。融点は141〜143℃であった。
赤外線吸収スペクトル(KBr,cm-1): 1060(S=0) 元素分析値(C1720Sとして): 理論値(%);C,56.65H,5.59N,15.54 実測値(%);C,56.42H,5.75N,15.58 実施例2〜16 2−[2−(3,5−ジメチル−4−エトキシ)ピリジ
ルメチルチオ]−5−メトキシイミダゾ[4,5−b]
ピリジン(0.005モル)を対応するスルフィド化合物[I
I](0.005モル)に変更し、反応時間及び反応温度等を
若干変更した以外は実施例1とほぼ同様に処理し、第3
表に示す化合物を収率70.5〜91.3%で製造した。
次に本発明化合物[I]の製剤例について示す。
(錠剤) 重量(%) (1)実施例2の化合物 25.0 (2)乳糖 41.0 (3)トウモロコシ澱粉 15.0 (4)結晶セルロース 15.0 (5)ヒドロキシプロピルセルロース 0.3(6)ステアリン酸マグネシウム 1.0 100.0 上述の(1)〜(5)を混合し、水を添加して造粒し、ついで
乾燥した。得られた顆粒を整粒したのち、(6)を加えて
混合し、これらを圧縮成形して1錠100mgの錠剤を調製
した。
(カプセル剤) 重量(%) (1)実施例15の化合物 25.0 (2)乳糖 50.0 (3)トウモロコシ澱粉 20.0 (4)ヒドロキシプロピルセルロース 3.0 (5)合成ケイ酸アルミニウム 1.0(6)ステアリン酸マグネシウム 1.0 100.0 常法に従って、上述の成分を混和して顆粒とした。これ
をカプセルに充填し、1個100mgのカプセル剤を調製し
た。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Rは環状アルキル基で置換されていてもよい
    炭素数1〜4個の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基
    又は2,2,2−トリフルオロエトキシ基を表わし、R
    は炭素数2〜4個の直鎖状もしくは分岐状のアルコキ
    シ基又は2,2,2−トリフルオロエトキシ基を表わ
    し、R及びRは同一又は異なって夫々水素原子又は
    メチル基を表わす。)で示されるイミダゾ[4,5−
    b]ピリジン誘導体。
  2. 【請求項2】一般式 (式中、Rは環状アルキル基で置換されていてもよい
    炭素数1〜4個の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基
    又は2,2,2−トリフルオロエトキシ基を表わし、R
    は炭素数2〜4個の直鎖状もしくは分岐状のアルコキ
    シ基又は2,2,2−トリフルオロエトキシ基を表わ
    し、R及びRは同一又は異なって夫々水素原子又は
    メチル基を表わす。)で示されるスルフィド化合物を酸
    化することによる請求項(1)記載のイミダゾ[4,5
    −b]ピリジン誘導体の製造法。
  3. 【請求項3】一般式 (式中、R、R、R及びRは前記と同意義であ
    る。)で示されるスルフィド化合物。
  4. 【請求項4】一般式 (式中、Rは前記と同意義である。)で示されるチオ
    ール化合物と、一般式 (式中、R、R及びRは前記と同意義である。)
    で示されるピリジン化合物とを縮合させることによる請
    求項(3)記載のスルフィド化合物の製造法。
  5. 【請求項5】請求項(1)記載のイミダゾ[4,5−
    b]ピリジン誘導体を有効成分とする抗潰瘍剤。
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