JPH0633259B2 - ベルベリンアルカロイドの分離精製法 - Google Patents

ベルベリンアルカロイドの分離精製法

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JPH0633259B2
JPH0633259B2 JP60149263A JP14926385A JPH0633259B2 JP H0633259 B2 JPH0633259 B2 JP H0633259B2 JP 60149263 A JP60149263 A JP 60149263A JP 14926385 A JP14926385 A JP 14926385A JP H0633259 B2 JPH0633259 B2 JP H0633259B2
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SEITAI KINO RYO KAGAKUHIN SHINSEIZO GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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SEITAI KINO RYO KAGAKUHIN SHINSEIZO GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はベルベリンアルカロイド含有物からベルベリン
アルカロイドを分離精製する方法に関する。ベルベリン
アルカロイドは整腸薬、細菌性腸疾患治療剤、黄色系の
染料などとして需要のある化合物である。
〔従来の技術〕 ベルベリンアルカロイド含有物からベルベリンアルカロ
イドを分離する従来の方法に関しては、ベルベリンアル
カロイドを生産する植物、例えばミカン科に属する黄
柏、キンポウゲ科に属するオウレン等の植物の組織ある
いは該組織を組織培養することによつて得られるカルス
を原料としてこれよりベルベリンを分離精製する方法が
いくつか報告されている。
例えば、特開昭47-30897号公報には組織培養によつて得
たカルスを粉砕してこれをメタノールで抽出し、該抽出
物を濃縮後これに塩酸を加えて酸性にしてからエーテル
抽出を行い、エーテル不溶部をアンモニアでアルカリ性
としてからクロロホルムで抽出しこのクロロホルム可溶
部を濃縮したものを薄層クロマトグラフイー(T.L.C.)に
かけてベルベリンを分取する方法が開示されている。
また、特開昭50-13519号公報及び特開昭51-12993号公報
には、組織培養によつて得られた黄柏カルスを粉砕して
これを熱水あるいはメタノールで抽出し、この抽出液を
減圧濃縮した後、塩酸で酸性としてメタノールを溶出剤
としてアルミナを用いたカラムクロマトグラフイーにか
けて夾雑物を除き、得られたベルベリン含有メタノール
溶液に熱水を加えて均一にしてから冷却することにより
塩化ベルベリンを析出分離する方法が開示されている。
また特開昭55-155056号公報にはキハダの粉砕物に95%
エタノールを加えて加温抽出を行い、次にこの抽出液を
濃縮後これに水とタルクを加えて加温抽出を行つてから
濾過することにより不純物を除去して、ベルベリンを含
有した色素抽出液を得る方法が開示されている。該方法
はベルベリン抽出液を得る方法であつて、ベルベリンを
単離する方法については該公報には何も示されていな
い。
また特開昭57-144992号公報にはツヅラフジ科植物の組
織培養によつて得られた培養物からジヤトロリジン、パ
ルマチンのベルベリンアルカロイドを分離する方法が開
示されている。該方法によれば培養物は培養細胞と培養
液に濾別された後、風乾した培養細胞をエタノールで抽
出し、一方培養液はアルカリ性にしてからクロロホルム
で抽出され、次にそれぞれの抽出物を濃縮した後、これ
を薄層クロマトグラフイー(T.L.C.)で展開して目的成分
を含むスポツトを分画し、これを水溶液にしてからヨウ
化カリウムを加えてヨード塩として沈澱させて目的のベ
ルベリンアルカロイドを分離する方法が示されている。
以上示した従来のベルベリンアルカロイドの分離精製法
はいずれも操作工程が非常に多く繁雑であり、しかも得
ようとするベルベリンアルカロイドの回収効率が低く、
効率が悪い上に更に抽出時に不純物である各種の脂肪酸
エステルが随伴されるので後でこれをエーテル処理によ
つて脱脂処理する必要があるなど欠点を有する。
前記方法とは異なる新しい分離方法として本出願人は、
特願昭59-82951号によつて、アキカラマツの組織培養に
よつて得られる培養細胞と培養液からなる培養混合物、
あるいは培養細胞から培養液中に放出されたベルベリン
アルカロイドを含む培養液に塩素イオンまたは硝酸イオ
ンを添加してベルベリンアルカロイドを難溶性の黄色結
晶として析出させ、これを単離し、必要に応じて再結晶
してベルベリンアルカロイドを分離精製する方法を示し
た。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者等はベルベリンアルカロイドの分離精製に関す
る従来の方法について検討した所、特願昭59-82951号を
除く他の方法はいずれも前述したように操作工程が多く
繁雑で回収効率が低いなど種々の欠点を有していること
を認めた。一方特願昭59-82951号の方法は、培養中に培
養細胞から液体培地中に放出されてこれに溶解したベル
ベリンアルカロイド含有水溶液、あるいは培養細胞を破
砕処理してベルベリンアルカロイドを細胞外へ抽出した
ベルベリンアルカロイド含有水溶液を原料として、これ
に塩素イオン又は硝酸イオンを添加してベルベリンアル
カロイドを析出させる方法であるが、更に一層の改良が
望まれる。例えば培養細胞を必ずしも機械的に破砕処理
しなくても良く、又分離されたベルベリンアルカロイド
の純度を高くできる方法が望まれる。
こういつた背景のもとに本発明者等は従来法とは違つ
て、工程数の少ない簡単な方法によつて、しかも高い回
収率でもつてベルベリンアルカロイドを高純度で、ベル
ベリンアルカロイド含有物から分離精製する方法につい
て鋭意検討した。
〔問題点を解決するための手段と作用〕
その結果、下記方法を採用すれば前記目的を達成できる
ことを見出し本発明を完成するに到つた。
すなわち、本発明の方法によれば、 式(I) で示されるベルベリン(R1、R2=-OCH2O-、R3、R4
=-OCH3)、パルマチン(R1、R2、R3、R4=-OC
H3)、コプテイシン(R1、R2=-OCH2O-、R3、R4=-
OCH2O-)、ジャトロリジン(R1=-OH、R2、R3、R4
=-OCH3)、コルムバミン(R1、R3、R4=-OCH3、R2
=-OH)、サリフエンジン(R1、R2=-OCH2O-、R3=-
OCH3、R4=-OH)から選ばれるイソキノリン系アルカロ
イドを含有する植物の組織片又は細胞を硫酸で処理して
得られる抽出液に、塩素イオン又は/および硝酸イオン
を含む塩交換剤を加えてイソキノリン系アルカロイドを
該イオンの塩として析出させてこれを分離することを特
徴とするイソキノリン系アルカロイドの分離精製法、が
提供される。
本発明のベルベリンアルカロイドの分離精製法において
原料として用いられるベルベリンアルカロイドを含有す
る植物の組織片又は細胞として具体的にはオウレン、ア
キカラマツ等のキンポウゲ科植物、キハダ等のミカン科
植物、ツヅラフジ科植物などのベルベリンアルカロイド
生産性植物の組織片あるいは該植物組織片の組織培養に
よつて得られる培養細胞(カルスも含める)である。培
養細胞は通常は培養細胞と培地の混合物となつているの
で、例えば培地として液体培地を用いた場合には培養混
合物は必要に応じて培養細胞と培養液に分けられる。ベ
ルベリンアルカロイドを含む培養細胞は湿潤の状態であ
るいは風乾等によつて乾燥させて、後述する本発明の硫
酸で処理する次の抽出操作の原料として用いることがで
きる。一方、培養液には培養細胞からベルベリンアルカ
ロイドが細胞外へ一部放出されている場合があるが、こ
の場合には培養細胞と液体培地を分けて培養細胞を後述
の硫酸で処理した水溶液を液体培地と一諸にしてこれに
後述の塩交換剤を加えても良いし、あるいは培養混合物
の全体に硫酸を添加して処理して細胞内にあるベルベリ
ンアルカロイドを細胞外の水溶液中に抽出し、次に硫酸
で処理された培養混合物中の細胞残渣を濾過等によつて
除いた後のベルベリンアルカロイド含有水溶液に後述の
塩交換剤を加える方法を採用しても良い。
本発明の方法によつて分離精製されるベルベリンアルカ
ロイドとして具体的には式〔I〕 で示されるベルベリン(R1、R2=-OCH2O-、R3、R4
=-OCH3)、パルマチン(R1、R2、R3、R4=-OC
H3)、コプテイシン(R1、R2=-OCH2O-、R3、R4=-
OCH2O-)、ジャトロリジン(R1=-OH、R2、R3、R4
=-OCH3)、コルムバミン(R1、R3、R4=-OCH3、R2
=-OH)、サリフエンジン(R1、R2=-OCH2O-、R3=-
OCH3、R4=-OH)等のイソキノリン系アルカロイドであ
る。本発明ではこれらの中ではベルベリンが好ましい。
本発明では、前記したベルベリンアルカロイド含有物は
硫酸で処理されてベルベリンアルカロイドを含む抽出液
が得られる。この場合の抽出剤としての硫酸は通常は硫
酸水溶液が使用され、このときの硫酸濃度としては通常
は0.1ないし3規定(N)、好ましくは0.2ないし0.5規
定の範囲にある。本発明では前記抽出剤の使用量として
は、前記ベルベリン含有物の1重量部当たり前記濃度範
囲の硫酸水溶液が通常は1ないし5倍重量部、好ましく
は3ないし4倍重量部用いられて、通常10ないし50℃の
温度で、約1時間以上浸漬して通常は攪拌下に抽出が行
われる。抽出処理後は通常の方法によつて固型物の抽残
物を濾過等によつて除きベルベリンアルカロイドを含有
する抽出液が得られる。
本発明では、前記方法によつて得られたベルベリンアル
カロイドを含有する抽出液は、これに塩素イオン又は/
および硝酸イオンを含む塩交換剤を加えることによつて
ベルベリンアルカロイドは該イオンの塩となつて析出さ
れる。
本発明では先の抽出液に塩交換剤を加える場合、必要に
応じてこの抽出液を適宜の濃度を有する固型物を含有し
ない溶液に濃縮しても差し支えない。本発明で使用され
る塩交換剤は塩素イオン又は/および硝酸イオンを含ん
だ水溶性の化合物であつて具体的には、塩化水素、塩
酸、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝
酸、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等を
例示できる。本発明ではこれらの中では塩化水素、塩
酸、硝酸を使用することが好ましく、この場合塩酸、硝
酸としては適宜濃度の水溶液のものを使用することが出
来るが通常は3ないし14.5規定の濃度のものが使用され
る。
本発明では前記抽出液に塩交換剤を加える場合の添加量
としては、抽出液中のベルベリンアルカロイドの1モル
部に対して塩素イオン又は/および硝酸イオンの量が通
常は10ないし40倍モル部、好ましくは20ないし30倍モル
部である。本発明では塩交換剤の添加量をこのように選
ぶことによつて、抽出液中のベルベリンアルカロイドを
該抽出液に対して難溶性のベルベリンアルカロイドの塩
酸塩あるいは硝酸塩に効率良く変えて析出させることが
できる。この場合の析出させる際の温度としては通常0
ないし50℃、好ましくは10ないし30℃である。本発明で
はこのようにして溶液中のベルベリンアルカロイドを難
溶性の塩に変えて析出させた後、該析出物は濾過等の通
常の方法によつて溶液から分離される。
本発明では前記方法によつて溶液から分離されたベルベ
リンアルカロイドの塩酸塩又は/硝酸塩は、例えば水、
含水メタノール、含水エタノール、メタノール、エタノ
ール、アセトン等の洗浄剤で洗浄される。洗浄後、メタ
ノール、エタノールなどの低級脂肪族アルコール等の再
結晶溶媒を用いて適宜の回数再結晶等の精製操作を行う
ことにより、ベルベリンアルカロイドを純度の高い該ア
ルカロイドの塩酸塩又は硝酸塩として得ることができ
る。
〔発明の効果〕
本発明の方法によればベルベリンアルカロイド含有物か
ら従来法に比べて工程数の少ない簡単な方法によつてベ
ルベリンアルカロイドを高純度でかつ高い回収率でもつ
て分離精製することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の方法を実施例によつて具体的に説明す
る。
実施例1 攪拌機を備えた25抽出槽に、組織培養法で得られたオ
ーレンの生カルス6.7kg(ベルベリン含有率:2.0%)、
0.3N硫酸14.7kgを入れ25℃で3hr攪拌したのち濾過し
た。この濾液に室温下攪拌しながらNaCl550gを入れ、
3hr攪拌を続けた。生成した粗塩化ベルベリンの沈澱を
濾別後水洗、乾燥した。この粗塩化ベルベリン110gを
メタノール900gに加熱溶解させ、不溶物を熱時濾過し
た。濾液を攪拌しながら室温まで徐冷すると、黄色の精
塩化ベルベリンが析出した。これを濾過し、メタノール
90gで洗浄したのち乾燥すると、高純度の精塩化ベルベ
リン100g(回収率75%/生カルス含有ベルベリン基
準、純度99.5%)を得た。
実施例2 実施例1において、生カルスからベルベリンを抽出する
際生カルス-0.3N硫酸からなるスラリーを攪拌すること
なく、単に25℃で4hr浸漬した以外は実施例1と同様に
処理したところ、実施例1と同様の結果を得た。
実施例3 実施例1において、抽出液の塩交換反応でNaClの代りに
濃塩酸950gを投入した以外は実施例1と同様に処理し
たところ、精塩化ベルベリンが101g(回収率76%、純
度99.5%)得られた。
実施例4 実施例1において、粗塩化ベルベリンの再結晶に用いる
メタノールの代りにエタノール1200gで再結晶し、得ら
れた精製結晶をエタノール120gで洗浄した以外は実施
例1と同様に処理したところ、精塩化ベルベリンが99g
(回収率94%、純度99.0%)得られた。
実施例5 実施例1において、ベルベリン含有濾液にNaClを加える
代わりに13.4N硝酸940gを使用した以外は実施例1と同
様に行つたところ、高純度の硝酸ベルベリンが回収率69
%で得られた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) で示されるベルベリン(R1、R2=-OCH2O-、R3、R4
    =-OCH3)、パルマチン(R1、R2、R3、R4=-OC
    H3)、コプテイシン(R1、R2=-OCH2O-、R3、R4=-
    OCH2O-)、ジャトロリジン(R1=-OH、R2、R3、R4
    =-OCH3)、コルムバミン(R1、R3、R4=-OCH3、R2
    =-OH)、サリフエンジン(R1、R2=-OCH2O-、R3=-
    OCH3、R4=-OH)から選ばれるイソキノリン系アルカロ
    イドを含有する植物の組織片又は細胞を硫酸で処理して
    得られる抽出液に、塩素イオン又は/および硝酸イオン
    を含む塩交換剤を加えてイソキノリン系アルカロイドを
    該イオンの塩として析出させてこれを分離することを特
    徴とするイソキノリン系アルカロイドの分離精製法。
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