JPH0633242Y2 - ４輪駆動トランスファ装置の潤滑構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、湿式多板クラッチ機構を有する４輪駆動トラ
ンスファ装置の潤滑構造に関する。

［従来の技術］ 従来の４輪駆動トランスファ装置の潤滑構造としては、
例えば第３図に示すようなものがある。

第３図において、５５，４２はケーシング、４３はケー
シング５５，４２に回転自在に支持されるメインシャフ
ト、４４は遊星歯車機構、４５は遊星歯車機構４４をロ
ーまたはハイに切換える切換機構である。また、４６は
２駆−４輪切換及び伝達トルクを変動させる湿式多板ク
ラッチ機構、４７は湿式多板クラッチ機構４６と連結さ
れるドライブスプロケット、４８はドライブスプロケッ
ト４７にチェーン４９を介して連結されるドリブンスプ
ロケット、５０はドリブンスプロケット４８を一体形成
したフロントドライブシャフトである。

メインシャフト４３の回転力は、遊星歯車機構４４を介
して切換機構４５によりローまたはハイに切換えられ、
湿式多板クラッチ機構４６を介してドライブスプロケッ
ト４７に伝達され、ドライブスプロケット４７から４９
およびドリブンスプロケット４８を介してフロントドラ
イブシャフト５０に伝達される。こうして、回転力はフ
ロントドライブシャフト５０から前輪に伝達され、４輪
駆動の走行状態になる。

ここで、第４図に示すように、ハブ５１には潤滑用の油
孔５２が形成されており、オイルポンプ５３からメイン
シャフト４３に形成したオイル通路５４および前記油孔
５２を経て潤滑油を湿式多板クラッチ機構４６に供給す
るようにしている。

この場合、前記油孔５２は、第５図に示すように、２つ
の方向からそれぞれ孔加工することにより、形成してい
た。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、このような従来の潤滑構造にあっては、
湿式多板クラッチ機構を潤滑するための油孔をハブに形
成するが、この油路を２方向からの孔加工により形成す
るようにしていたため、孔加工工程が多くなり、加工コ
ストが上昇するという問題点があった。

本考案は、このような従来の問題点に鑑みてなされたも
のであって、ハブの溝底に外周よりに油孔を形成し、溝
加工時に外周に開口させることにより、孔加工工程が少
なく、加工コストを低減することができる潤滑構造を提
供することを目的としている。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するために、本考案は、ケーシングに回
転自在に支持されるメインシャフトの回転力を湿式多板
クラッチ機構を介してスプロケットからフロントドライ
ブシャフトに伝達する４輪駆動トランスファ装置におい
て、前記湿式多板クラッチ機構のハブの溝底に、溝加工
前にあらかじめ外周よりに油孔を形成して、溝加工時に
外周に開口させ、該油孔を前記湿式多板クラッチ機構を
潤滑する潤滑用油孔としたものである。

［作用］ 本考案においては、溝加工時にあらかじめ、ハブの溝底
に油孔を外周よりに形成して、溝加工時に外周に開口さ
せ、この油孔を湿式多板クラッチ機構に潤滑油を供給す
る潤滑油孔とした。

油孔は、一方向からのみ形成されるので、孔加工工程が
少なくなり、加工コストを低減することができる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図および第２図は本考案の一実施例を示す図であ
る。

まず、構成を説明すると、第２図において、１および２
はケーシングであり、メインシャフト３はこれらのケー
シング１，２にベアリング４，５を介して回転自在に支
持されている。なお、メインシャフト３の内部には各潤
滑部位を潤滑するためのオイル通路６が形成されてい
る。

７は遊星歯車機構であり、遊星歯車機構７は、サンギア
８と、リングギア９と、これらと同じ軸上で回転するキ
ャリア１０と、キャリア１０に支持されているプラネタ
リギア１１、より構成されている。１２は遊星歯車機構
７をロー（Ｌ）またはハイ（Ｈ）に切換える切換機構で
あり、切換機構１２は、キャリア１０に回転自在に支持
されたハブ１３と、キャリア１０にスプライン結合され
たドックギア１４と、ケーシング１５に固定されたクラ
ッチギア１６と、これらに噛合するカップリングスリー
ブ１７と、カップリングスリーブ１７を移動させるフォ
ーク１８より構成されている。

１９は２駆−４駆切換及び伝達トルクを変動させる湿式
多板クラッチ機構であり、湿式多板クラッチ機構１９
は、メインシャフト３にスプライン結合されたドラム２
０と、ドラム２０の内周にスプライン結合されたプレー
ト２１と、ドライブスプロケット２２にスプライン結合
したハブ２３と、ハブ２３にスプライン結合されたプレ
ート２４と、これらのプレート２１，２４を押圧するピ
ストン２５より構成されている。

ドライブスプロケット２２とドリブンスプロケット２６
との間にはチェーン２７が架設され、ドリブンスプロケ
ット２６はフロントドライブシャフト２８に一体形成さ
れている。フロントドライブシャフト２８はベアリング
２９，３０を介してケーシング１，２に回転自在に支持
されている。

３１はポンプハウジングであり、ポンプハウジング３１
内にはインナーギア３２とアウターギア３３からなるオ
イルポンプ３４が設けられ、オイルポンプ３４は前記オ
イル通路６に潤滑用オイルを供給する。

また、ポンプハウジング３１に接したカバー３５内には
ピストン２５を駆動させるためのオイルを導入する導入
通路３６が形成され、導入通路３６はピストン液室３７
に連通している。

ここで、前記メインシャフト３には、オイル通路６に連
通する油路３８が垂直方向に形成され、また、ドライブ
スプロケット２２にも油路３８に連通する油路３９が垂
直方向に形成されている。

また、ハブ２３には油路３９に連通する油路４０と、油
路４０に連通する油孔４１が、それぞれ形成されてい
る。

したがって、オイルポンプ３４からの潤滑油は、オイル
通路６、油路３８，３９，４０を経て油孔４１から湿式
多板クラッチ機構１９に強制的に供給されるようになっ
ている。

油孔４１は、第１図に示すように、ハブ２３の溝加工前
にあらかじめ、ハブ２３の溝底に外周よりに一方向から
のみ形成され、溝加工時に外周に開口する。したがっ
て、溝加工後には油孔４１は、湿式多板クラッチ機構１
９に潤滑油を供給するための潤滑用油孔として機能す
る。

次に、作用を説明する。

メインシャフト３の回転によりオイルポンプ３４が駆動
され、潤滑油は、オイル通路６に供給される。オイル通
路６に供給された潤滑油は、油路３８，３９，４０を経
て油孔４１からプレート２１，２４に供給される。こう
してオイルポンプ３４により油孔４１を介して強制的
に、湿式多板クラッチ機構１９を潤滑するようにしてい
る。

ここで、本実施例にあっては、第１図に示すように、溝
加工前にあらかじめ、ハブ２３の溝底に外周よりに一方
向にのみ油孔４１を形成し、溝加工時に外周に開口させ
るようにしたため、従来のように、２方向から加工孔を
行なう場合に比較して、孔加工工程が少なくなり、加工
コストを低減することができる。

［考案の効果］ 以上説明してきたように、本考案によれば、溝加工前に
あらかじめ、ハブの溝底に外周よりに一方向にのみ油孔
を形成し、溝加工時に外周に開口させ、この油孔を湿式
多板クラッチ機構を潤滑するための潤滑用油孔としたた
め、孔加工工程を少なくすることができ、加工コストを
低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す要部断面図、 第２図は装置全体を示す断面図、 第３図は従来の装置全体図を示す断面図、 第４図はその要部断面図、 第５図は第４図のＡ−Ａ矢視図である。 図中、 １，２，１５：ケーシング、 ３：メインシャフト、 ４，５，２９，３０：ベアリング、 ６：オイル通路、 ７：遊星歯車機構、 ８：サンギア、 ９：リングギア、 １０：キャリア、 １１：プラネタリギア、 １２：切換機構、 １３：ハブ、 １４：ドックギア、 １６：クラッチギア、 １７：カップリングスリーブ、 １８：フォーク、 １９：湿式多板クラッチ機構、 ２０：ドラム、 ２１，２４：プレート、 ２２：ドライブスプロケット、 ２３：ハブ、 ２５：ピストン、 ２６：ドリブンスプロケット、 ２７：チェーン、 ２８：フロントドライブシャフト、 ３１：ポンプハウジング、 ３２：インナーギア、 ３３：アウターギア、 ３４：オイルポンプ、 ３５：カバー、 ３６：導入通路、 ３７：ピストン液室、 ３８〜４０：油路、 ４１：油孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ケーシングに回転自在に支持されるメイン
   シャフトの回転力を湿式多板クラッチ機構を介してスプ
   ロケットからフロントドライブシャフトに伝達する４輪
   駆動トランスファ装置において、前記湿式多板クラッチ
   機構のハブの溝底に、溝加工前にあらかじめ外周よりに
   油孔を形成して、溝加工時に外周に開口させ、該油孔を
   前記湿式多板クラッチ機構を潤滑する潤滑用孔としたこ
   とを特徴とする４輪駆動トランスファ装置の潤滑構造。