JPH0633236B2 - シリコン単結晶の熱処理方法および装置ならびに製造装置 - Google Patents

シリコン単結晶の熱処理方法および装置ならびに製造装置

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JPH0633236B2
JPH0633236B2 JP1227534A JP22753489A JPH0633236B2 JP H0633236 B2 JPH0633236 B2 JP H0633236B2 JP 1227534 A JP1227534 A JP 1227534A JP 22753489 A JP22753489 A JP 22753489A JP H0633236 B2 JPH0633236 B2 JP H0633236B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、酸化膜耐圧特性に優れ、かつ酸化誘起積層欠
陥(以下OSFという)の発生し難いシリコン単結晶を
得るための熱処理方法および装置、らびにそのような単
結晶の製造装置に関する。
[従来の技術] 従来、ICやLSIなどのデバイス製造用シリンコ単結
晶の育成に関して種々の方法が知られている。なかで
も、石英坩堝中のシリコン融液に漬けた種結晶を引き上
げることにより単結晶棒を育成させるチョクラルスキー
法は、同法で製造されたシリコンウェハ(以下、CZ
ウェハという)が繰り返し熱処理を受けても反り難い、
イントリンジック・ゲッタリング作用があるためにデ
バイス製造プロセスからの重合金属汚染に対して抵抗力
がある、などの理由により工業的に広く利用されてい
る。CZウェハにおける上記2つの長所はいずれも結晶
中に含まれる酸素に起因している。しかし、この酸素は
一方で、熱処理誘起結晶欠陥の原因となる。結晶欠陥が
デバイスの能動領域に現われるとデバイス特性が著しく
劣化するため、その低減方法が模索されてきた。とりわ
け、酸化プロセスで発生するOSFは、酸化熱処理がL
SI製造プロセスでは必須であるため極めて重要な問題
であり、デバイス用シリコン単結晶にはOSFの発生し
難いという特性が必須となっている。また、近年、MO
Sデバイス集積度の増大にともないゲート酸化膜の信頼
性向上が強く望まれるところとなり、酸化膜耐圧はその
信頼性を決定する重要な材料特性の1つであるため、C
Zウェハには、優れた酸化膜耐圧特性も求められてい
る。
チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶
(以下、CZシリコン単結晶という)のOSF発生挙動
が結晶成長条件に影響されることは広く知られており、
従来は結晶引き速度を、1.3mm/min程度以上にするこ
とでOSFの発生し難いシリコン単結晶を製造している
(例えば、星金治ら「NIKKEI MICRODEVICES 1986年7月
号」、p87〜108)。本発明者らの知見によれば、結晶引
き上げ速度を大きくするほどOSFが発生し難くなる傾
向にある。しかし、上述したような結晶引き上げ速度で
CZシリコン単結晶を育成した場合、該単結晶の酸化膜
耐圧特性は、後述する実施例に見られるように、満足す
べきレベルにはならない。本発明者らの知見によれば、
結晶引き上げ速度を大きくするほど酸化膜耐圧特性は低
下する傾向にある。すなわち、このような相反する傾向
が見られるゆえに、酸化膜耐圧特性に優れ、かつOSF
の発生し難いシリコン単結晶を製造することは従来の製
造技術では困難であった。
OSFの発生し難いシリコン単結晶を製造する方法とし
ては、例えば特開昭55-127024号公報に示されているよ
うに微量の酸素を含むAr雰囲気中でシリコンウェハを
熱処理する方法がある。酸化膜耐圧特性の優れたシリコ
ン単結晶を製造する方法としては、1000〜1150
℃の高温でシリコンウェハを犠牲酸化する方法が知られ
ている(例えば、山部紀久夫「薄いシリコン酸化膜(第
22回半導体専門講習会予行集於山形)」1984年8月、p6
1〜92)。いずれもシリコンウェハの熱処理によって該
ウェハの材料特性を改善する試みである。CZシリコン
ウェハを、例えば1150℃程度あるいはそれ以上の温
度で熱処理すると、CZシリコン単結晶に特有な過飽和
固溶酸素の外方向拡散により、該ウェハ表面にはデヌー
デッド・ゾーン(以下DZという)と呼ばれる、固溶酸
素濃度の低い表面無欠陥層が生成する。後述するよう
に、上記方法による材料特性の改善は該DZの形成に基
づくものであるが、電子デバイスの製造プロセスは各メ
ーカーにより異なるため、あらかじめDZを形成するこ
のような方法は時には利用し難いことがあり、全面的な
肯定的評価を与えられてはいない。特に、CZシリコン
単結晶製造業者にとっては、従来法を利用することは種
々の事情から困難である。
CZシリコン単結晶中の固溶酸素濃度を低下させればO
SFの発生が抑制されることは多くの文献ですでに明ら
かにされている(例えば、岸野正剛「超LSIプロセス
データハンドブック、第1章第4節熱処理誘起微小欠
陥」(昭和57年4月15日発行)、(株)サイエンスフォ
ーラム、P91)。また、CZシリコンウェハの高温熱処
理でDZが形成されることにより該ウェハの酸化膜耐圧
は改善されるが、該DZを研磨等の方法により除去すれ
ば酸化膜耐圧は再び低下することが知られている(例え
ば、山部紀久夫「薄いシリコン酸化膜(第22回半導体専
門講習会予行集於山形)」1984年8月、p61〜92)。し
たがって、シリコンウェハの高温熱処理によって材料特
性を改善する従来法は、前述したように、固溶酸素濃度
の低いDZの生成を利用したものであると言うことがで
きる。
従来、チョクラルスキー法により製造されたシリコン単
結晶ウェハ用の熱処理炉として種々のもの、例えば縦型
炉あるいは横型炉と呼ばれる型式のものが知られてい
る。しかしいずれもシリコン単結晶ウェハ用の熱処理炉
であって、CZシリコン単結晶用の高温熱処理炉として
は利用し難い構造となっているため、熱処理中に転位が
発生するなどの問題があった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、上述した諸問題にかんがみ、DZの形成によ
らず、また転位発生などの問題なく、酸膜耐圧特性に優
れ、かつOSFの発生し難い特性をCZシリコン単結晶
に与えるための熱処理方法および装置、ならびに上記特
性を有するCZシリコン単結晶を製造するための装置を
提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明の熱処理方法は、CZシリコン単結晶を真空また
は不活性ガス中にて1300℃以上1400℃以下の温
度に10分間以上保持し、続いてその温度から1200
℃までの間を1.7℃/分以下の冷却速度で降温するこ
とを特徴とするものである。
本発明の熱処理装置は、CZシリコン単結晶を懸垂保持
する機構と該単結晶の周囲に配置された加熱手段とを備
え、かつ、該加熱機構および該単結晶のどちらか一方ま
たは両方を上下動させる機構と鉛直線を軸として該単結
晶を回転させる機構とを備え、CZシリコン単結晶を真
空または不活性ガス中にて1300℃以上1400℃以
下の温度に10分間以上保持し、続いてその温度から1
200℃までの間を1.7℃/分以下の冷却速度で降温
することを特徴とするものである。
本発明の熱処理方法および熱処理装置において、処理さ
れるCZシリコン単結晶は育成されたままの単結晶棒の
ほか、これを適宜長さに切断した単結晶塊でもよい。
さらに、本発明のシリコン単結晶の製造装置は、原料を
加熱溶融する坩堝と、該坩堝内の融液からシリコン単結
晶を引き上げる手段とを備えたチョクラルスキー法によ
るシリコン単結晶の製造装置において、該引き上げられ
た単結晶の周囲に配置された加熱手段を備え、CZシリ
コン単結晶を真空または不活性ガス中にて1300℃以
上1400℃以下の温度に10分間以上保持し、続いて
その温度から1200℃までの間を1.7℃/分以下の
冷却速度で降温することを特徴とする。
[作用] 以下、図表を参照しながら、本発明の具体的構成と作用
を説明するが、まず本発明の説明に先立ち、CZシリコ
ン単結晶の特性を調べるために用いた評価法について述
べる。
第5図は、CZシリコン単結晶の酸化膜耐圧を評価する
際、該単結晶から得られたシリコンウェハ上に実装され
たMOSダイオードの断面であり、シリコンウェハ28
の上にSiO層27が形成され、その上に上層がアル
ミニウム24、下層がドーブされた多結晶シリコン25
からなる直径5mmの2層ゲート電極26が第6図のよう
に多数個形成されている。
本発明により得られたシリコン単結晶の酸化膜耐圧特性
の評価手段を第1表により説明する。本発明に係わる該
単結晶をスライスし、ラッピング、ポリッシングなど、
通常、シリコンウェハを工業的に製造するために必要な
諸工程を経て製造されたウェハを洗浄し(1)、ゲート
酸化を行なってSiO層を形成し(2)、多結晶シリ
コン膜を堆積させ(3)、この多結晶シリコンにイオン
注入してドープする(6)。酸化前洗浄(4)及び多結
晶シリコンの酸化(5)はイオン注入(6)の前処理で
ある。ついで、アニール前洗浄(7)を行ない、ドライ
ブアニールして多結晶シリコン中のドーパントを固溶化
し(8)、多結晶シリコン酸化膜をエッチング除去し
(9)、アルミニウムを蒸着してアルミニウム層を形成
する(10)。つぎに、直径5mmの2層ゲート電極を実
装するために、リソグラフィー(11)によりポジレジ
スト膜をコートして、パターニングした後、アルミニウ
ム層をエッチングし(12)、多結晶シリコン膜をエッ
チングして(13)、レジスト膜を除去する(14)。
そして、水素アニールによりSi/SiO界面を安定
化した後(15)、表面にレジスト膜を塗布してMOS
ダイオードを保護し(16)、プラズマエッチングによ
り裏面単結晶シリコン膜を除去する(17)。表面に保
護用のレジスト膜を再度塗布して(18)、裏面酸化膜
をエッチングにより除去し(19)、p型の場合には
金、n型の場合には金・アンチモン合金を蒸着して裏面
電極を形成する(20)。最後に、保護用レジスト膜を
除去した後(21)、電圧ランピング法により酸化膜耐
圧特性を評価する(22)。電圧ランピング法とは、第
5図において、基板シリコンから多数キャリアが注入さ
れる極性の直流電圧をアルミニウム層24と裏面電極と
の間に印加し、その電圧を時間に対してステップ状に増
加させる方法である。なおこの評価法においては、該電
圧ランピング法の1ステップあたりの電圧増加を電界換
算で0.25MV/cm、保持時間を200ms/ステップと
し、第5図におけるSiO層27を通して流れる電流
密度が1.0μA/cm2となるときにSiO層27にか
かる平均電界が8.0MV/cm以上を示すMOSダイオー
ドの個数の割合(これをCモード合格率という)でシリ
コン単結晶の酸化膜耐圧特性を評価した。
次に、本発明により得られたシリコン単結晶のOSF発
生特性の評価法を第2表により説明する。該単結晶をス
ライスし、ラッピング、ポリッシングなど、通常シリコ
ンウェハを工業的に製造するために必要な諸工程を経て
得られたウェハを洗浄し(1)、パイロジェニック法に
よる1100℃、60分間のウェット酸化を行ない
(2)、HF水溶液中で表面酸化膜を除去した後
(3)、90秒間のライト・エッチング(エッチング量
約1.5μm)でウェハ表面に発生したエッチピット数
を顕微鏡により測定し(4)、十字形に配置された隣合
せの5視野(直径0.174cm×5)の面積から該測定
部位におけるOSF密度を求める。このOSF密度の測
定をウェハ全面にわたって行い、その最大値でシリコン
単結晶のOSF発生特性を評価した。なおこの評価法に
おいては、面方位が(111)のウェハでOSF密度の
最大値が20個/cm2以下、(100)ウェハで50個
/cm2以下であればOSFが発生しないと判定した。
本発明の熱処理方法における限定理由について後述する
実験結果に基づき説明する。まず熱処理を施さなかった
場合、第3表に示すように、引き上げ速度を上げたNo.
4ではOSFは発生しないが、Cモード合格率が低く酸
化膜耐圧特性は改善されない。一方、引き上げ速度の小
さいNo.5では、酸化膜耐圧特性は若干改善されるが、
OSFが発生する。次に熱処理温度が1300℃未満で
あったり、あるいは1300℃以上でも保持時間が10
分未満であったりすると、第3表および第4表に示すよ
うに、酸化膜耐圧特性あるいはOSF発生特性が改善さ
れない。また、1300℃以上の温度から1200℃ま
での冷却速度が1.7℃/分を越えても酸化膜耐圧特性
あるいはOSF発生特性が改善されない。それゆえ、本
発明においてはCZシリコン単結晶の熱処理温度の下限
を1300℃、保持時間の下限を10分、1300℃以
上から1200℃までの冷却速度の上限を1.7℃/分
としたものである。該熱処理温度の真の上限はシリコン
の融点であるが、1400℃を越えると温度制御か難し
くなり、時として、転位が発生したり、シリコン単結晶
の表面が著しく損傷したりすることがある。それゆえ、
本発明においては熱処理温度の上限を1400℃とし
た。なお、本発明の熱処理方法において、シリコン単結
晶の熱処理温度が1340〜1360℃、保持時間が2
0〜40分であり、前記熱処理温度から1200℃まで
の冷却速度が0.5〜1.5℃/分であることが、より
望ましい条件範囲として挙げることができる。
本発明の方法においては、1200℃よりも低い温度に
おける冷却速度については特に規定しないが、結晶品質
を安定化するためには1.7℃/分またはそれ以下であ
ることが好ましい。
本発明の熱処理法を施したCZシリコン単結晶について
のOSF発生特性および酸化膜耐圧の評価にあたって
は、該単結晶からスライスされたのち所定の工程をへて
製造さたシリコンウェハを、高温前熱処理することなし
に試験した。したがって、該CZシリコンウェハにDZ
が形成されていないことは明白であり、本発明の方法は
前記従来法とは材料特性改善の原理が根本的に異なる。
また、本発明の方法を開発するにあたって本発明者らが
新たに得た知見として、高温熱処理後の冷却速度がCZ
シリコン単結晶のOSF特性と酸化膜耐圧とを支配する
という事実がある。本発明のように、CZシリコン単結
晶の材料特性をDZの形成によらずに改善するには、単
に高温に保持するだけでは不充分であり、実施例に示し
たように冷却速度をも制御しなければならないのであ
る。これに対して上述の従来法はウェハの熱処理である
ため、本発明の範囲で規定した冷却速度の範囲を越えて
該ウェハが急冷されることは明らかである。以上既述し
たように、本発明の方法は従来の方法とは異なる。
本発明の熱処理装置を第1図の例により説明する。第1
図は本発明の熱処理装置の一実施態様の構造を示す断面
図である。第1図に示す熱処理装置においては、チャン
バー13中に懸垂された単結晶16が加熱手段としての
高周波コイル18により加熱される。高周波コイル18
は上下5つのゾーンに分割され、上下動が可能であり、
対応する単結晶16の各部位に望みの熱履歴を与えるこ
とができる。本発明の熱処理装置において、加熱手段は
この実施態様におけるように、上下2ゾーンまたはそれ
以上の多ゾーンに分割されているのが好ましいが、単ゾ
ーン式でもよい。単結晶16を懸垂する機構は、チャッ
ク15、ワイヤー14およびワイヤー巻取り機8からな
り、ワイヤー巻取り機8は鉛直線を軸として回転でき
る。したがって、単結晶16を回転させたり、上下に移
動させることができる。このような熱処理装置は、例え
ば第3図に示すように、CZシリコン単結晶引き上げ装
置の上部に設置し、引き上げられた単結晶16を熱処理
してもよく、また、独立した熱処理装置としてもよい。
第3図において、単結晶16の加熱は抵抗発熱体18′
により行なわれるが、第1図のように高周波加熱方式を
利用してもよい。また、第3図において20は、引き上
げ部と熱処理部を仕切る仕切り部である。
本発明の熱処理装置を使用して、前記のごとく、CZシ
リコン単結晶を1300℃以上1400℃以下の温度に
10分間保持し、続いてその温度から1200℃までの
間を1.7℃/分以下の冷却速度で降温することにより
酸化膜耐圧特性に優れ、かつOSFの発生し難いシリコ
ン単結晶が得られる。
本発明の製造装置を第2図の例により説明する。第2図
は本発明の製造装置の一実施態様の構成を示す断面図で
ある。第2図に示す製造装置においては、坩堝6に満た
された融液7より、ワイヤーにより懸垂されたチャック
1に吊り下げられた種結晶12から育成されるCZシリ
コン単結晶2が引き上げられる。単結晶2の上方には該
単結晶を取りまくように加熱手段3が取り付けられてい
る。加熱手段3は冷却速度が制御しやすいように上下2
ゾーンまたはそれ以上の多ゾーンに分割されているのが
好ましいが、単ゾーン式でもよい。また、加熱手段3は
抵抗発熱体であっても、高周波加熱コイルであってもよ
い。加熱手段3は必しも円筒形である必要はなく、例え
ば第4図に示したように、円錘台と円筒とを組み合わせ
たような構造でもかまわない。第4図のような形状の加
熱手段は1300℃以下の冷却速度を制御しやすいとい
う特徴を有する。加熱手段3の周囲にはガス流れ制御板
4が設置されており、ガス導入口11から供給されたガ
スはガス流れ制御板4の外側を通り、一部は加熱手段3
の付近を、一部は融液7の付近を経由して外部に排気さ
れる。ガス流れ制御板4は熱遮蔽の役割も兼ね、固液界
面からガス流れ制御板の下端までの間の単結晶棒2の部
位の冷却が効率的に行なわれるように設計されている。
ガス流れ制御板4には覗き窓が取り付けられており、チ
ャンバー5の上部から凝固界面の様子が観察可能であ
る。
本発明の製造装置を使用して、融液からCZシリコン単
結晶を育成しつつ、該シリコン単結晶を、前記したよう
に、1300℃以上1400℃以下の温度に10分間以
上保持し、続いてその温度から1200℃の間を1.7
℃/分以下の冷却速度で降温することにより酸化膜耐圧
特性に優れかつOSFの発生し難いシリコン単結晶が容
易に得られる。
[実施例] 次に本発明の実施例を説明する。
実施例1 第7図に示した装置を使用して、結晶引き上げ前の原料
融液7の量を35〜65kg、チャンバー5の内圧を7〜
50mb、不活性ガスとしてのアルゴン吹き込み流量を5
〜10×10-2Nm3/minとして、CZシリコン単結晶2
を約1.3mm/minの成長速度で引き上げた後、第1図に
示した熱処理装置を使用しての熱処理方法を実施した。
CZシリコン単結晶16を真空または不活性ガスとして
のAr雰囲気下で1300℃以上1400℃以下の温度
に10分間以上保持し、続いてその温度から1200℃
までの間を1.7℃/分以下の冷却速度で降温した。本
発明の方法との比較のために、上記範囲外の条件で熱処
理した単結晶も製造した。また、第3図に示した熱処理
装置を使用して、本発明の熱処理方法を実施した。結晶
引き上げ前の原料融液7の量を35〜65kg、チャンバ
ー5の内圧を7〜50mb・不活性ガスとしてのアルゴン
吹き込み流量を5〜10×10-2Nm3/minとして、CZ
シリコン単結晶16を約0.9mm/minの成長速度で引き
上げた後、仕切り部20を開いて単結晶16を熱処理チ
ャンバー23内に収容し、仕切り部20を再び閉じて、
上述した本発明の条件で単結晶16を熱処理した。これ
らの単結晶からウェハを切り出し、酸素ドナー処理、ラ
ッピング、ポリッシングなど、通常、シリコンウェハを
工業的に製造するために必要な工程を経て、片面が鏡面
のCZウェハを作製した。
CZウェハのOSF発生特性は、第2表の工程によりウ
ェハ毎のOSF密度の最大値を求め、評価した。また、
酸化膜耐圧特性は、前述のように第1表の工程によりC
モード合格率を求め、評価した。熱処理条件および材料
特性評価結果を第3表に示す。本発明の熱処理装置を用
いて、CZシリコン単結晶の熱処理条件を本発明の範囲
にすることにより、酸化膜耐圧特性に優れ、OSFの発
生し難い理想的なデバイス用シリコン単結晶が得られ
た。
実施例2 第2図に示した製造装置を使用してシリコン単結晶を製
造しつつ、本発明の熱処理方法を実施した。結晶引き上
げ前の原料融液7の量を35〜65kg、チャンバー5の
内圧を7〜50mb・不活性ガスとしてのアルゴン吹き込
み流量を5〜10×10-2Nm3/minとして、単結晶2を
引き上げながら、シリコン単結晶2を1300℃以上1
400℃以下の温度に10分間以上保持し、続いてその
温度から1200℃までの間を1.7℃/分以下の冷却
速度で降温した。本発明の方法との比較のために、上記
範囲外の熱履歴を受けた単結晶棒も製造した。これらの
単結晶棒からウェハを切り出し、酸素ドナー処理、ラッ
ピング、ポリッシングなど、通常、シリコンウェハを工
業的に製造するために必要な工程を経て、片面が鏡面の
CZウェハを作製した。
これらCZウェハのOSF発生特性は、第2表の工程に
よりウェハ毎のOSF密度の最大値を求め、評価した。
また、酸化膜耐圧特性は、前述のように第1表の工程に
よりCモード合格率を求め、評価した。熱処理条件およ
び材料特性評価結果を第4表に示す。本発明の製造装置
を用いて、CZシリコン単結晶を育成しつつ熱処理条件
を本発明の範囲にすることにより、酸化膜耐圧特性に優
れ、OSFの発生し難い理想的なデバイス用シリコン単
結晶が得られた。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明のCZシリコン単結晶熱処
理方法によれば酸化膜耐圧特性に優れ、かつ酸化誘起積
層欠陥の発生し難い高品質CZシリコン単結晶が得られ
る。また、本発明の熱処理装置を用いればCZシリコン
単結晶に本発明の方法で規定した熱履歴を付与すること
が容易にでき、従来法で製造されたCZシリコン単結晶
の酸化膜特性あるいはOSF発生特性のとちらか一方、
またはその両方を改善することができる。さらに、本発
明のCZシリコン単結晶製造装置によれば本発明の方法
で規定した熱履歴を付与しながらCZシリコン単結晶を
引き上げることができ、従来法では困難であった酸化膜
耐圧特性に優れ、かつ酸化誘起積層欠陥の発生し難い高
品質シリコン単結晶が容易に得られる。高品質のCZシ
リコン単結晶が容易に得られる本発明にかかわる方法お
よび装置は、ICやLSIなど、電子デバイス産業の発
展に資する。
【図面の簡単な説明】
第1図および第3図はそれぞれ本発明の熱処理装置の一
実施態様の構造を示す断面図、第2図および第4図はそ
れぞれ本発明のシリコン単結晶製造装置の一実施例の構
造を示す断面図、第5図はシリコン単結晶の酸化膜耐圧
特性を評価するためにシリコンウェハ上に実装したMO
Sダイオードの一部断面図、第6図はMOSダイオード
を実装した該ウェハの平面図、第7図は従来のチョクラ
ルスキー法単結晶引き上げ装置の構造を示す断面図であ
る。 1……チャック、2……CZシリコン単結晶棒、 3……加熱手段、4……ガス流れ制御板、 5……チャンバー、6……坩堝、7……融液、 8……ワイヤー取巻き機、9……断熱材、 10……ヒーター、11……ガス導入口、 12……種結晶、13……石英ガラス製チャンバー、 14……ワイヤー、15……チャック、 16……CZシリコン単結晶、17……ガス導入口、 18……高周波コイル、18′……抵抗発熱体、 19……断熱材、20……仕切り部、 21……パイロメーター、 22……覗き窓、23……チャンバー、 24……アルミニウム層、 25……ドープされた多結晶シリコン層、 26……2層ゲート電極、 27……SiO膜(ゲート酸化膜)、 28……シリコンウェハ、 29……MOSダイオード(電極直径5mm)、 30……MOSダイオード(電極直径1、2、3、4、
6mm)、 31……基板シリコン、 32……ガス出口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高尾 滋良 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式會社光製鐵所内 (72)発明者 山内 剛 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式會社光製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭59−190300(JP,A) 特開 昭63−60190(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チョクラルスキー法により育成されたシリ
    コン単結晶を、真空または不活性ガス中にて1300℃
    以上1400℃以下の温度に10分間以上保持し、続い
    てその温度から1200℃までの間を1.7℃/分以下
    の冷却速度で降温することを特徴とするシリコン単結晶
    の熱処理方法。
  2. 【請求項2】チョクラルスキー法により製造されたシリ
    コン単結晶を懸垂保持する機構と該単結晶の周囲に配置
    された加熱手段とを備え、かつ、該加熱手段および該単
    結晶のどちらか一方または両方を上下動させる機構と鉛
    直線を軸として該単結晶を回転させる機構とを備え、チ
    ョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶を、
    真空または不活性ガス中にて1300℃以上1400℃
    以下の温度に10分間以上保持し、続いてその温度から
    1200℃までの間を1.7℃/分以下の冷却速度で降
    温することを特徴とするシリコン単結晶の熱処理装置。
  3. 【請求項3】原料を加熱溶融する坩堝と、該坩堝内の融
    液からシリコン単結晶を引き上げる手段とを備えたチョ
    クラルスキー法によるシリコン単結晶の製造装置におい
    て、該引き上げられた単結晶の周囲に配置された加熱手
    段を備え、チョクラルスキー法により育成されたシリコ
    ン単結晶を、真空または不活性ガス中にて1300℃以
    上1400℃以下の温度に10分間以上保持し、続いて
    その温度から1200℃までの間を1.7℃/分以下の
    冷却速度で降温することを特徴とするシリコン単結晶の
    製造装置。
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