JPH06330427A - ナイロン被覆弾性糸の製造方法 - Google Patents
ナイロン被覆弾性糸の製造方法Info
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- JPH06330427A JPH06330427A JP14554593A JP14554593A JPH06330427A JP H06330427 A JPH06330427 A JP H06330427A JP 14554593 A JP14554593 A JP 14554593A JP 14554593 A JP14554593 A JP 14554593A JP H06330427 A JPH06330427 A JP H06330427A
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- yarns
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- Chemical Treatment Of Fibers During Manufacturing Processes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 半延伸ナイロンフィラメント糸を用いて安定
に弾性糸を被覆する方法を提供すること。 【構成】 3000m/分以上の紡速で紡糸された実質
的に無撚の半延伸ナイロンマルチフィラメント糸に、3
個/m以上の交絡と、脂肪酸エステルを主成分とする非
水系油剤を0.3〜3重量%付与した後、直ちにH型ボ
ビンに巻き取り、該H型ボビンを中空スピンドルに挿着
して10000rpm以上で回転せしめ、弾性糸をカバ
リングする。
に弾性糸を被覆する方法を提供すること。 【構成】 3000m/分以上の紡速で紡糸された実質
的に無撚の半延伸ナイロンマルチフィラメント糸に、3
個/m以上の交絡と、脂肪酸エステルを主成分とする非
水系油剤を0.3〜3重量%付与した後、直ちにH型ボ
ビンに巻き取り、該H型ボビンを中空スピンドルに挿着
して10000rpm以上で回転せしめ、弾性糸をカバ
リングする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はストッキング等の靴下用
素材として好適なナイロン被覆弾性糸の製造に際し、半
延伸ナイロンフィラメント糸を用いて安定に弾性糸を被
覆する方法に関する。
素材として好適なナイロン被覆弾性糸の製造に際し、半
延伸ナイロンフィラメント糸を用いて安定に弾性糸を被
覆する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、婦人用ストッキングは、ナイロン
フィラメント糸に強撚を施した実撚トルク糸あるいはナ
イロンフィラメント糸に仮撚加工を施したウーリーナイ
ロン糸が使用されている。しかし、かかるストッキング
はナイロンの撚トルク力あるいは仮撚糸の捲縮伸縮力を
利用したストッキングのため、長時間着用したり、水に
濡れたりした時には、膝や足首等にタルミが生じる。こ
のため、かかる欠点を克服したストッキングとして、細
デニールポリウレタン弾性体にナイロンフィラメント糸
を巻き付けた被覆弾性糸を用いたストッキング(以下サ
ポートストッキングという)が用いられている。サポー
トストッキングは前記の如きタルミが生じることが少な
く、これは長時間の着用でも変わることはないため着用
時のフィット性、耐久性に優れる。
フィラメント糸に強撚を施した実撚トルク糸あるいはナ
イロンフィラメント糸に仮撚加工を施したウーリーナイ
ロン糸が使用されている。しかし、かかるストッキング
はナイロンの撚トルク力あるいは仮撚糸の捲縮伸縮力を
利用したストッキングのため、長時間着用したり、水に
濡れたりした時には、膝や足首等にタルミが生じる。こ
のため、かかる欠点を克服したストッキングとして、細
デニールポリウレタン弾性体にナイロンフィラメント糸
を巻き付けた被覆弾性糸を用いたストッキング(以下サ
ポートストッキングという)が用いられている。サポー
トストッキングは前記の如きタルミが生じることが少な
く、これは長時間の着用でも変わることはないため着用
時のフィット性、耐久性に優れる。
【0003】一方、サポートストッキングは、ナイロン
フィラメント糸を高撚数で巻き付けているため従来のス
トッキングに比べ風合いタッチが硬く、更に製造工程に
おいても編収縮率が大きいため引き吊れが発生して歩留
りが低いという問題点があった。かかる問題点に対して
は、特公平3−17935号公報や特公平4−6109
9号公報に、低ヤング率のナイロンフィラメント糸、す
なはち高速紡糸により得られた半延伸糸を被覆糸に用い
ることが開示されており、このような半延伸糸は柔軟で
熱収縮率が低いため、前記問題点を解決することができ
る。
フィラメント糸を高撚数で巻き付けているため従来のス
トッキングに比べ風合いタッチが硬く、更に製造工程に
おいても編収縮率が大きいため引き吊れが発生して歩留
りが低いという問題点があった。かかる問題点に対して
は、特公平3−17935号公報や特公平4−6109
9号公報に、低ヤング率のナイロンフィラメント糸、す
なはち高速紡糸により得られた半延伸糸を被覆糸に用い
ることが開示されており、このような半延伸糸は柔軟で
熱収縮率が低いため、前記問題点を解決することができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
半延伸糸を被覆糸として用い、被覆弾性糸を製造しよう
とすると次の如き問題点が発生する。すなはち、通常の
高速紡糸機のワインダーにより巻かれた糸は、無撚状態
であるため単糸の集束性が低く、中空スピンドル方式で
カバーリングを行おうとするとバルーニングに解舒遅れ
が生じ糸切れを誘発してしまい高速ではカバーリングを
行うことが困難であった。
半延伸糸を被覆糸として用い、被覆弾性糸を製造しよう
とすると次の如き問題点が発生する。すなはち、通常の
高速紡糸機のワインダーにより巻かれた糸は、無撚状態
であるため単糸の集束性が低く、中空スピンドル方式で
カバーリングを行おうとするとバルーニングに解舒遅れ
が生じ糸切れを誘発してしまい高速ではカバーリングを
行うことが困難であった。
【0005】更に、半延伸糸は、結晶化を促進するため
通常は常温で数カ月放置した後(エージング)加工を行
うが、このようにエージングを行った原糸はモノマーや
オリゴマーが白粉となって発生し、加工時に糸道で擦れ
て脱落し糸道に付着するため張力が変動したり糸切れが
発生したりする。従って、工業的に、半延伸糸使いの被
覆弾性糸を安定してしかも効率良く製造することは従来
できなかった。本発明はかかる問題点を解決するもので
あって、その目的は、半延伸ナイロンフィラメント糸を
用いて安定に弾性糸を被覆する方法を提供することにあ
る。
通常は常温で数カ月放置した後(エージング)加工を行
うが、このようにエージングを行った原糸はモノマーや
オリゴマーが白粉となって発生し、加工時に糸道で擦れ
て脱落し糸道に付着するため張力が変動したり糸切れが
発生したりする。従って、工業的に、半延伸糸使いの被
覆弾性糸を安定してしかも効率良く製造することは従来
できなかった。本発明はかかる問題点を解決するもので
あって、その目的は、半延伸ナイロンフィラメント糸を
用いて安定に弾性糸を被覆する方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、3000m/
分以上の紡速で紡糸された実質的に無撚の半延伸ナイロ
ンマルチフィラメント糸に、3個/m以上の交絡と、脂
肪酸エステルを主成分とする非水系油剤を0.3〜3重
量%付与した後、直ちにH型ボビンに巻き取り、該H型
ボビンを中空スピンドルに挿着して10000rpm以
上で回転せしめ、弾性糸をカバリングするものである。
分以上の紡速で紡糸された実質的に無撚の半延伸ナイロ
ンマルチフィラメント糸に、3個/m以上の交絡と、脂
肪酸エステルを主成分とする非水系油剤を0.3〜3重
量%付与した後、直ちにH型ボビンに巻き取り、該H型
ボビンを中空スピンドルに挿着して10000rpm以
上で回転せしめ、弾性糸をカバリングするものである。
【0007】本発明で用いるナイロンマルチフィラメン
ト糸は6ナイロン、66ナイロン、やこれらの共重合体
を溶融紡糸法等で紡糸したものであり、特に6ナイロン
が好ましい。また、該ナイロンマルチフィラメント糸の
単糸繊度は2〜5デニール、フィラメント数は3〜8本
程度が好ましい。更に、本発明で用いるナイロンマルチ
フィラメント糸は、3000m/分以上、好ましくは3
500〜5000m/分の紡速で引き取られたものであ
り、所謂半延伸糸や中間配向糸と呼ばれているものであ
って、破断伸度が40%以上、ヤング率が20g/d以
下となるようなものである。また、該ナイロンマルチフ
ィラメント糸は実質的に無撚であって、延撚工程等を経
ることなく直接紡糸法や直接紡糸延伸法で巻き取られた
ものである。
ト糸は6ナイロン、66ナイロン、やこれらの共重合体
を溶融紡糸法等で紡糸したものであり、特に6ナイロン
が好ましい。また、該ナイロンマルチフィラメント糸の
単糸繊度は2〜5デニール、フィラメント数は3〜8本
程度が好ましい。更に、本発明で用いるナイロンマルチ
フィラメント糸は、3000m/分以上、好ましくは3
500〜5000m/分の紡速で引き取られたものであ
り、所謂半延伸糸や中間配向糸と呼ばれているものであ
って、破断伸度が40%以上、ヤング率が20g/d以
下となるようなものである。また、該ナイロンマルチフ
ィラメント糸は実質的に無撚であって、延撚工程等を経
ることなく直接紡糸法や直接紡糸延伸法で巻き取られた
ものである。
【0008】本発明で重要なことは、該ナイロンマルチ
フィラメント糸に以下に述べる交絡と油剤が付与されて
いることである。かかる付与工程は、前記の紡糸巻き取
り工程中で行っても良いが、紡糸巻き取り工程は300
0m/分以上の高速で糸条が走行しているため安定に付
与を行うことが困難であり、一旦チーズ形状等に巻き取
った後、図1に示すような装置を用いて付与を行うと良
い。
フィラメント糸に以下に述べる交絡と油剤が付与されて
いることである。かかる付与工程は、前記の紡糸巻き取
り工程中で行っても良いが、紡糸巻き取り工程は300
0m/分以上の高速で糸条が走行しているため安定に付
与を行うことが困難であり、一旦チーズ形状等に巻き取
った後、図1に示すような装置を用いて付与を行うと良
い。
【0009】図1は、チーズ(1)に巻き取られたナイ
ロンマルチフィラメント糸(N)をH型ボビン(2)に
捲き取るためのHボビンワインダーの説明図であって、
解舒されたナイロンマルチフィラメント糸(N)はイン
ターレースノズル(3)、ガイド1(4)、テンション
装置(5)、オイリングローラ(6)、ガイド2(7)
を経てH型ボビン(2)に捲き取られる。インターレー
スノズル(3)は、走行するナイロンマルチフィラメン
ト糸(N)に対し直角方向から空気等の流体を吹きつけ
単糸を交絡させるもので、合成繊維の製造工程において
通常用いられているもので良い。また、オイリングロー
ラ(6)は通常のローラを用いるものの他に、オイリン
グポンプとオイリングノズルを用いるもの等が挙げら
れ、テンション装置(5)は数個のリングを用いるリン
グテンサーが望ましい。
ロンマルチフィラメント糸(N)をH型ボビン(2)に
捲き取るためのHボビンワインダーの説明図であって、
解舒されたナイロンマルチフィラメント糸(N)はイン
ターレースノズル(3)、ガイド1(4)、テンション
装置(5)、オイリングローラ(6)、ガイド2(7)
を経てH型ボビン(2)に捲き取られる。インターレー
スノズル(3)は、走行するナイロンマルチフィラメン
ト糸(N)に対し直角方向から空気等の流体を吹きつけ
単糸を交絡させるもので、合成繊維の製造工程において
通常用いられているもので良い。また、オイリングロー
ラ(6)は通常のローラを用いるものの他に、オイリン
グポンプとオイリングノズルを用いるもの等が挙げら
れ、テンション装置(5)は数個のリングを用いるリン
グテンサーが望ましい。
【0010】交絡は、H型ボビンに巻き取られた糸条
を、交絡度測定装置TYPE−3(鐘紡エンジニアリン
グ製)にて60m/分の引き取り速度で測定し、3個/
m以上、好ましくは3〜25個/mとなるよう付与す
る。該交絡数が3個/m以下ではカバーリング工程の糸
切れ紡糸効果が殆ど望めず、また25個/mを越えると
ストッキング等に編立た際交絡部が顕著となるおそれが
ある。
を、交絡度測定装置TYPE−3(鐘紡エンジニアリン
グ製)にて60m/分の引き取り速度で測定し、3個/
m以上、好ましくは3〜25個/mとなるよう付与す
る。該交絡数が3個/m以下ではカバーリング工程の糸
切れ紡糸効果が殆ど望めず、また25個/mを越えると
ストッキング等に編立た際交絡部が顕著となるおそれが
ある。
【0011】次に本発明で用いる油剤について説明す
る。該油剤は、脂肪酸エステルを主成分とする低粘度の
非水系油剤であって、エマルジョン系油剤では白粉防止
効果は得られない。脂肪酸エステルとしては、高級アル
コールのOH基に脂肪酸のCOOHを反応させた化合物
であり、特にC3 〜C10のアルコールにC10〜C18の脂
肪酸を反応させた脂肪酸エステルが好ましい。また、該
油剤は脂肪酸エステル以外に鉱物油や制電防止効果のあ
る各種界面活性剤を添加してもよいが、主成分である脂
肪酸エステルの比率は40重量%以上とすることが好ま
しい。更に、ナイロンマルチフィラメント糸に対する該
油剤の付着量は0.3〜3重量%である。油剤の付着量
が0.3重量%以下では白粉発生防止効果が得られず、
3重量%を越えるとカバーリング工程で油剤が飛散して
安定に加工することが困難となる。
る。該油剤は、脂肪酸エステルを主成分とする低粘度の
非水系油剤であって、エマルジョン系油剤では白粉防止
効果は得られない。脂肪酸エステルとしては、高級アル
コールのOH基に脂肪酸のCOOHを反応させた化合物
であり、特にC3 〜C10のアルコールにC10〜C18の脂
肪酸を反応させた脂肪酸エステルが好ましい。また、該
油剤は脂肪酸エステル以外に鉱物油や制電防止効果のあ
る各種界面活性剤を添加してもよいが、主成分である脂
肪酸エステルの比率は40重量%以上とすることが好ま
しい。更に、ナイロンマルチフィラメント糸に対する該
油剤の付着量は0.3〜3重量%である。油剤の付着量
が0.3重量%以下では白粉発生防止効果が得られず、
3重量%を越えるとカバーリング工程で油剤が飛散して
安定に加工することが困難となる。
【0012】前記の如き付与を行った後は、図1の如く
加工糸条を一旦他の形状等に捲き取ることなく直ちにH
型ボビンに捲き取る。H型ボビンは、次に述べる中空ス
ピンドルを用いてカバーリングを行うためのものであっ
て、図2に示す如く、中空状の円筒部と該円筒部の両端
に設けられたフランジ部とからなるボビンである。本発
明の場合、フランジ部の直径(L1)と円筒部の長さ
(L2)の比率が0.6〜0.9程度のボビンを用いる
のが好ましい。
加工糸条を一旦他の形状等に捲き取ることなく直ちにH
型ボビンに捲き取る。H型ボビンは、次に述べる中空ス
ピンドルを用いてカバーリングを行うためのものであっ
て、図2に示す如く、中空状の円筒部と該円筒部の両端
に設けられたフランジ部とからなるボビンである。本発
明の場合、フランジ部の直径(L1)と円筒部の長さ
(L2)の比率が0.6〜0.9程度のボビンを用いる
のが好ましい。
【0013】以上の如くして、H型ボビンが準備できた
ならこれを中空スピンドルに挿着してカバーリングを行
う。カバーリング工程自体は通常のものと大差はなく、
中空スピンドルの中に弾性糸を走行せしめながら、H型
ボビンを回転させて巻き付けを行うものである。
ならこれを中空スピンドルに挿着してカバーリングを行
う。カバーリング工程自体は通常のものと大差はなく、
中空スピンドルの中に弾性糸を走行せしめながら、H型
ボビンを回転させて巻き付けを行うものである。
【0014】本発明で用いる弾性糸は特に限定されない
がポリウレタン系弾性糸が好適であり、特に溶融紡糸法
により得られたポリエーテル系又はポリエステル系のポ
リウレタン弾性糸が好ましい。カバーリング工程は、ポ
リウレタン弾性糸の場合、これを2.0〜4.5倍程度
に伸長しながら中空スピンドル内を3〜30m/分で走
行せしめ、他方H型ボビンを10000rpm以上、好
ましくは10000〜35000rpmで回転せしめ、
弾性糸の周囲に1重または2重に巻き付ける。また、カ
バーリング撚数は1000〜3500T/M程度が好ま
しい。本発明により得られた被覆弾性糸は、ストッキン
グ等の素材として最適であり、ストッキングを編立る際
は、該被覆弾性糸のみでレッグ部を構成したり、多口編
機にてナイロンフィラメントと一本交互に配したりする
と良い。
がポリウレタン系弾性糸が好適であり、特に溶融紡糸法
により得られたポリエーテル系又はポリエステル系のポ
リウレタン弾性糸が好ましい。カバーリング工程は、ポ
リウレタン弾性糸の場合、これを2.0〜4.5倍程度
に伸長しながら中空スピンドル内を3〜30m/分で走
行せしめ、他方H型ボビンを10000rpm以上、好
ましくは10000〜35000rpmで回転せしめ、
弾性糸の周囲に1重または2重に巻き付ける。また、カ
バーリング撚数は1000〜3500T/M程度が好ま
しい。本発明により得られた被覆弾性糸は、ストッキン
グ等の素材として最適であり、ストッキングを編立る際
は、該被覆弾性糸のみでレッグ部を構成したり、多口編
機にてナイロンフィラメントと一本交互に配したりする
と良い。
【0015】
【作用】本発明では、半延伸ナイロンマルチフィラメン
ト糸を鞘糸として用いているため、柔軟な風合いと低熱
収縮率を有した被覆弾性糸が得られるのであるが、一般
に半延伸糸は高速紡糸法により製造され、しかもストッ
キング用原糸の場合フィラメント数が少ないためインタ
ーレース法等で安定して交絡を付与することが困難であ
る。更に、追撚は工程を複雑にするため、容易には集束
性を与えることができず糸切れが発生し易いため、工業
的には半延伸糸を被覆弾性糸となすことが困難である。
更に、半延伸糸のエージング工程で発生する白粉は、紡
糸工程で付与される水分に起因するが、水分を用いずに
巻き取りを行うと吸湿により安定した巻き取りができな
い。本発明では、このような半延伸糸のカバーリングに
おける問題点に対し、H型ボビンに巻き取りを行う際、
交絡と非水系油剤の付与を行うことにより、適度な集束
作用と白粉の脱落防止作用を生ぜしめ、その解決を図っ
たのである。
ト糸を鞘糸として用いているため、柔軟な風合いと低熱
収縮率を有した被覆弾性糸が得られるのであるが、一般
に半延伸糸は高速紡糸法により製造され、しかもストッ
キング用原糸の場合フィラメント数が少ないためインタ
ーレース法等で安定して交絡を付与することが困難であ
る。更に、追撚は工程を複雑にするため、容易には集束
性を与えることができず糸切れが発生し易いため、工業
的には半延伸糸を被覆弾性糸となすことが困難である。
更に、半延伸糸のエージング工程で発生する白粉は、紡
糸工程で付与される水分に起因するが、水分を用いずに
巻き取りを行うと吸湿により安定した巻き取りができな
い。本発明では、このような半延伸糸のカバーリングに
おける問題点に対し、H型ボビンに巻き取りを行う際、
交絡と非水系油剤の付与を行うことにより、適度な集束
作用と白粉の脱落防止作用を生ぜしめ、その解決を図っ
たのである。
【0016】
実施例1 硫酸中で測定した相対粘度2.8の6ナイロンポリマー
を280℃で溶融し5ホールノズルより空気中に紡糸し
て空冷にて冷却固化し、オクチルステアレートと鉱物油
を主成分とする5%エマルジョンを付与しながら、表面
速度4000m/分で回転する紙管チューブに実質的に
無撚の状態で巻き取り12デニール5フィラメントの6
ナイロン半延伸糸を得た。巻き取ったチーズを1週間〜
20週間常温に放置後、図1に示すH型ボビンワインダ
ーを用いて、図2に示すカバーリング用Hボビン(L1
=76mm、L2=105mm)に600m/分の糸速
にて250gづつ巻き取り、インターレースノズルのエ
アー圧力、オイリング条件、テンション装置条件を変更
して9種類のHボビン捲糸体を各50個づつ巻き取っ
た。また、オイリングローラにて付与した油剤はイソオ
クチルラウレートを主成分とする非水系油剤を用いた。
を280℃で溶融し5ホールノズルより空気中に紡糸し
て空冷にて冷却固化し、オクチルステアレートと鉱物油
を主成分とする5%エマルジョンを付与しながら、表面
速度4000m/分で回転する紙管チューブに実質的に
無撚の状態で巻き取り12デニール5フィラメントの6
ナイロン半延伸糸を得た。巻き取ったチーズを1週間〜
20週間常温に放置後、図1に示すH型ボビンワインダ
ーを用いて、図2に示すカバーリング用Hボビン(L1
=76mm、L2=105mm)に600m/分の糸速
にて250gづつ巻き取り、インターレースノズルのエ
アー圧力、オイリング条件、テンション装置条件を変更
して9種類のHボビン捲糸体を各50個づつ巻き取っ
た。また、オイリングローラにて付与した油剤はイソオ
クチルラウレートを主成分とする非水系油剤を用いた。
【0017】次いで、通常のシングルカバリング装置を
用い、30000rpmで回転する中空スピンドルに前
記H型ボビンを挿着し、3.5倍に引き伸ばした20デ
ニールのポリウレタン弾性糸に撚数1800T/Mの条
件にてカバーリングを行い、操業性を評価した。尚、カ
バーリングの糸切れ回数は1日100錘当たりの糸切れ
回数に換算した。結果を表1に示す。
用い、30000rpmで回転する中空スピンドルに前
記H型ボビンを挿着し、3.5倍に引き伸ばした20デ
ニールのポリウレタン弾性糸に撚数1800T/Mの条
件にてカバーリングを行い、操業性を評価した。尚、カ
バーリングの糸切れ回数は1日100錘当たりの糸切れ
回数に換算した。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】インターレース及び油剤の付与を行わずに
H型ボビンに巻き取ってカバーリングしたNo1はカバ
ーリング開始直後から、各フィラメント単糸の解舒遅れ
が見られ、糸切れが多発して操業不能であった。インタ
ーレースのみを付与したNo7は油剤も付与したNo2
〜6の約10倍程度の糸切れがあり、20週間のエージ
ングを施してインターレースのみを付与したNo8は、
カバーリング2日目よりH型ボビンのエッジに白粉が多
発して、3日目以後は糸切れが多発し操業が困難であっ
た。以上の結果が示すように、インターレース及び非水
系油剤を付与したものは長時間のエージングが施された
原糸であっても安定したカバーリングが可能であった。
H型ボビンに巻き取ってカバーリングしたNo1はカバ
ーリング開始直後から、各フィラメント単糸の解舒遅れ
が見られ、糸切れが多発して操業不能であった。インタ
ーレースのみを付与したNo7は油剤も付与したNo2
〜6の約10倍程度の糸切れがあり、20週間のエージ
ングを施してインターレースのみを付与したNo8は、
カバーリング2日目よりH型ボビンのエッジに白粉が多
発して、3日目以後は糸切れが多発し操業が困難であっ
た。以上の結果が示すように、インターレース及び非水
系油剤を付与したものは長時間のエージングが施された
原糸であっても安定したカバーリングが可能であった。
【0020】更に、得られたカバーリング糸を用いて、
4口シームレス編機にて6ナイロンフィラメント13デ
ニール/3フィラメントと1本交互に編立て、常法に従
ってストッキングに仕上げた。その結果、No8のカバ
ーリング糸は編機ガイドに白粉が多発し、安定して編立
ることができず、No6のカバーリング糸から得られた
ストッキングはインターレースマークが見え編面が劣っ
た。
4口シームレス編機にて6ナイロンフィラメント13デ
ニール/3フィラメントと1本交互に編立て、常法に従
ってストッキングに仕上げた。その結果、No8のカバ
ーリング糸は編機ガイドに白粉が多発し、安定して編立
ることができず、No6のカバーリング糸から得られた
ストッキングはインターレースマークが見え編面が劣っ
た。
【0021】実施例2 66ナイロンポリマーを290℃で溶融し7ホールノズ
ルより空気中に紡糸して空冷にて冷却固化し、エマルジ
ョン系油剤を付与しながら、表面速度4500m/分で
回転する紙管チューブに実質的に無撚の状態で巻き取り
15デニール7フィラメントの66ナイロン半延伸糸を
得た。巻き取ったチーズを5か月間常温に放置後、図1
に示すHボビンワインダーを用いて、図2に示すカバー
リング用H型ボビン(L1=70mm、L2=85m
m)に、500m/分の糸速にて巻き取った。また、オ
イリングローラにて付与した油剤はイソオクチルラウレ
ートを主成分とする非水系油剤を用いた。
ルより空気中に紡糸して空冷にて冷却固化し、エマルジ
ョン系油剤を付与しながら、表面速度4500m/分で
回転する紙管チューブに実質的に無撚の状態で巻き取り
15デニール7フィラメントの66ナイロン半延伸糸を
得た。巻き取ったチーズを5か月間常温に放置後、図1
に示すHボビンワインダーを用いて、図2に示すカバー
リング用H型ボビン(L1=70mm、L2=85m
m)に、500m/分の糸速にて巻き取った。また、オ
イリングローラにて付与した油剤はイソオクチルラウレ
ートを主成分とする非水系油剤を用いた。
【0022】次いで、通常のシングルカバリング装置を
用い、25000rpmで回転する中空スピンドルに前
記H型ボビンを挿着し、3.5倍に引き伸ばした20デ
ニールのポリウレタン弾性糸に撚数1500T/Mの条
件にてカバーリングをおこなった。更に、得られたカバ
ーリング糸を用いて、4口シームレス編機にて66ナイ
ロンフィラメント15デニール/3フィラメントと1本
交互に編立て、常法に従ってストッキングに仕上げた。
結果を表2に示す。
用い、25000rpmで回転する中空スピンドルに前
記H型ボビンを挿着し、3.5倍に引き伸ばした20デ
ニールのポリウレタン弾性糸に撚数1500T/Mの条
件にてカバーリングをおこなった。更に、得られたカバ
ーリング糸を用いて、4口シームレス編機にて66ナイ
ロンフィラメント15デニール/3フィラメントと1本
交互に編立て、常法に従ってストッキングに仕上げた。
結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】インターレース及び油剤の付与を行わずに
H型ボビンに巻き取ってカバーリングしたNo10はカ
バーリング開始直後から、各フィラメント単糸の解舒遅
れが見られ、糸切れが多発して操業不能であった。イン
ターレースのみを付与したNo11はカバーリング1日
目よりH型ボビンのエッジに白粉が多発して、2日目以
後は糸切れが多発し操業が困難であった。又、編立工程
においても編機ガイドに白粉が多発し、編立張力の変動
により斑のあるストッキングしか得られなかった。
H型ボビンに巻き取ってカバーリングしたNo10はカ
バーリング開始直後から、各フィラメント単糸の解舒遅
れが見られ、糸切れが多発して操業不能であった。イン
ターレースのみを付与したNo11はカバーリング1日
目よりH型ボビンのエッジに白粉が多発して、2日目以
後は糸切れが多発し操業が困難であった。又、編立工程
においても編機ガイドに白粉が多発し、編立張力の変動
により斑のあるストッキングしか得られなかった。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、半延伸ナイロンマルチ
フィラメント糸を鞘糸とする被覆弾性糸を、工業的に安
定して製造することができ、更に、半延伸糸は比較的長
期間のエージングを行ったものでも使用可能である。こ
のようにして得られた半延伸糸使いのストッキングは、
数1に示す編収縮率が、従来のストッキングでは15〜
20%であるのに比べ10〜15%程度であるため、引
き吊れ傷が少なく歩留りの高い生産が可能となる。ま
た、半延伸糸使いにより、柔軟な風合いとなり、更にイ
ンターレース効果により鞘糸の集束性が良く透明感のあ
るストッキングが得られる。
フィラメント糸を鞘糸とする被覆弾性糸を、工業的に安
定して製造することができ、更に、半延伸糸は比較的長
期間のエージングを行ったものでも使用可能である。こ
のようにして得られた半延伸糸使いのストッキングは、
数1に示す編収縮率が、従来のストッキングでは15〜
20%であるのに比べ10〜15%程度であるため、引
き吊れ傷が少なく歩留りの高い生産が可能となる。ま
た、半延伸糸使いにより、柔軟な風合いとなり、更にイ
ンターレース効果により鞘糸の集束性が良く透明感のあ
るストッキングが得られる。
【数1】
【図1】本発明に適するH型ボビンワインダーの説明図
である。
である。
【図2】H型ボビンの一例を示す説明図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 3000m/分以上の紡速で紡糸された
実質的に無撚の半延伸ナイロンマルチフィラメント糸
に、3個/m以上の交絡と、脂肪酸エステルを主成分と
する非水系油剤を0.3〜3重量%付与した後、直ちに
H型ボビンに巻き取り、該H型ボビンを中空スピンドル
に挿着して10000rpm以上で回転せしめ、弾性糸
をカバリングすることを特徴とするナイロン被覆弾性糸
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05145545A JP3080815B2 (ja) | 1993-05-24 | 1993-05-24 | ナイロン被覆弾性糸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05145545A JP3080815B2 (ja) | 1993-05-24 | 1993-05-24 | ナイロン被覆弾性糸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06330427A true JPH06330427A (ja) | 1994-11-29 |
JP3080815B2 JP3080815B2 (ja) | 2000-08-28 |
Family
ID=15387663
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05145545A Expired - Fee Related JP3080815B2 (ja) | 1993-05-24 | 1993-05-24 | ナイロン被覆弾性糸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3080815B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10310903A (ja) * | 1997-05-02 | 1998-11-24 | Nakai Nitto Kk | 靴 下 |
JP2000017503A (ja) * | 1998-06-30 | 2000-01-18 | Nakai Nitto Kk | 靴 下 |
-
1993
- 1993-05-24 JP JP05145545A patent/JP3080815B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10310903A (ja) * | 1997-05-02 | 1998-11-24 | Nakai Nitto Kk | 靴 下 |
JP2000017503A (ja) * | 1998-06-30 | 2000-01-18 | Nakai Nitto Kk | 靴 下 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3080815B2 (ja) | 2000-08-28 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |