JPH06329405A - 第4リン酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

第4リン酸カルシウムの製造方法

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JPH06329405A
JPH06329405A JP11864093A JP11864093A JPH06329405A JP H06329405 A JPH06329405 A JP H06329405A JP 11864093 A JP11864093 A JP 11864093A JP 11864093 A JP11864093 A JP 11864093A JP H06329405 A JPH06329405 A JP H06329405A
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昌弘 平野
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 カルシウム供給原料及びリン供給原料を含む
原料成分を湿式合成して原料スラリーを得、該原料スラ
リーを乾燥後、400〜1200℃で仮焼成し、更に1
300〜1500℃にて本焼成することを特徴とする第
4リン酸カルシウムの製造方法。 【効果】 本発明の製造方法では、従来の乾式法やメカ
ノケミカル粉砕法によって製造した第4リン酸カルシウ
ムに比して、特に生体用リン酸カルシウムの原料として
より優れた特性を有する第4リン酸カルシウムを得るこ
とができる。また湿式法を採用することにより大量合成
が可能であって、工業的に極めて有用であある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、適度な粉砕性を有し、
生体用セメント等の成分として利用可能な第4リン酸カ
ルシウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生体親和性が良好で、単に水と練和する
だけで実用的な時間内に硬化する生体用リン酸カルシウ
ムセメントが開発されている(例えば、FC REPORT,vol.
6(1988),p.475〜480,「バイオセラミックスとしての水硬
性アパタイト」)。このようなリン酸カルシウムセメント
の主硬化成分は、α型第3リン酸カルシウムや第4リン
酸カルシウムである。これらのうち第4リン酸カルシウ
ムの製造方法としては、乾式法(例えば、石膏と石灰、
No.202,p151〜155,(1986)「リン酸四カルシウムの合成」)
及びメカノケミカル粉砕法(例えば、第9回無機リン化
学討論会 講演予稿集、p19〜20(1992)「リン酸四カルシ
ウムの合成」)による合成法が提案されている。
【0003】しかしながら、前記乾式法によって得られ
る第4リン酸カルシウムは粉砕性が良好過ぎるため、得
られる粉体が比較的狭い範囲の粒度分布を有するものし
か得られず、水で練和した際のペーストの流動性が悪
く、その結果高強度が得られないという問題がある。一
方前記メカノケミカル粉砕法の場合には、1500℃を
超える高温焼成を行なう必要があるため、大量合成には
不向きであるのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生体
用リン酸カルシウムセメント等の構成成分として適度な
粉砕性を有し、その結果として得られる生体用セメント
等を高強度にすることが可能な第4リン酸カルシウムの
製造方法を提供することにある。
【0005】本発明の別の目的は、大量合成が可能な第
4リン酸カルシウムの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、カルシ
ウム供給原料及びリン供給原料を含む原料成分を湿式合
成して原料スラリーを得、該原料スラリーを乾燥後、4
00〜1200℃で仮焼成し、更に1300〜1500
℃にて本焼成することを特徴とする第4リン酸カルシウ
ムの製造方法が提供される。
【0007】以下本発明を更に詳細に説明する。
【0008】本発明の製造方法では、まずカルシウム供
給原料及びリン供給原料を含む原料成分を水溶液中にて
湿式合成して原料スラリーを調製する。
【0009】前記カルシウム供給原料及びリン供給原料
としては、第4リン酸カルシウムを構成することが可能
であるものであれば特に限定されるものではなく、カル
シウム供給原料としては、例えばCaCl2、Ca(N
32、Ca(OH)2等を挙げることができ、リン供
給原料としては、H3PO4、KH2PO4、(NH42
PO4、NH42PO4等を挙げることができる。前記カ
ルシウム供給原料及びリン供給原料の湿式合成する際の
混合割合は、Ca/Pモル比で1.95〜2.00であ
るのが好ましい。Ca/Pモル比が1.95未満の場合
には最終焼成物中にヒドロキシアパタイトが混入し、ま
た2.00を超える場合には遊離石灰が混入するので好
ましくない。
【0010】前記原料成分を湿式合成して原料スラリー
を調製するには、例えば前記カルシウム供給原料を含む
水溶液に、前記リン供給原料を含む水溶液を徐々に撹拌
下滴下する方法等により得ることができる。この際反応
熱を抑えて反応を促進し、あるいは常に同条件で合成す
るために、反応系の温度を制御して一定温度条件下合成
するのが好ましい。制御温度は特に限定されないが、反
応熱の抑制効果等を発揮させるために40℃以下が好ま
しく、また下限温度は前記各水溶液が凍結しない温度で
あれば十分である。
【0011】次いで本発明の製造方法では、前記原料ス
ラリーを乾燥する。該乾燥は例えばスプレードライヤー
を用いた噴霧乾燥により行なうこともできるが、前記湿
式合成において、未反応のカルシウム供給原料が水に溶
けた状態で残存することが多く、水溶液も含めて全原料
スラリーを乾燥しないと所望の組成物が得られない可能
性が生じるので、乾燥時に合成物が凝集する通常の乾燥
機を用いた乾燥方法が好ましい。
【0012】本発明の製造方法では、前記乾燥の後、特
定温度で仮焼成及び本焼成を行なうことにより、所望の
第4リン酸カルシウムを得ることができる。
【0013】仮焼成は、前記乾燥した原料中の未反応の
カルシウム供給原料が、次の本焼成後に遊離石灰として
残留することを防止するための必須工程であって、この
ような遊離石灰の残留を防止するために、400〜12
00℃の温度範囲で行なう必要がある。また前記本焼成
は、好ましくは仮焼成して得られた仮焼成物を、擂潰機
等で粉砕して均一な粉体とした後行なうのが望ましく、
その焼成温度は1300〜1500℃の温度範囲で行な
う必要がある。この際1300℃未満の場合、単独の第
4リン酸カルシウムが得られず、1500℃を超える場
合には電気炉等の消耗を早め、且つコストアップにつな
がり大量生産が困難である。前記仮焼成及び本焼成の時
間は、合計1〜10時間の範囲とするのが好ましい。
【0014】本発明の製造方法で得られた第4リン酸カ
ルシウムを、リン酸カルシウム原料として使用する場合
には、例えば前記本焼成後、第4リン酸カルシウムを粉
砕し、粉体として使用するのが好ましい。粉体の平均粒
径は3〜10μm程度が好ましいが、セメントを水で練
和した際のペーストの流動性を高め、セメントの強度を
高くするために、比較的広範囲な粒度分布を有する粉体
を使用するのが好ましい。このような粉体を得るには、
例えば擂潰機を用いた30分〜3時間程度の乾燥粉砕等
により得ることができる。
【0015】
【発明の効果】本発明の第4リン酸カルシウムの製造方
法では、原料成分を湿式合成によりスラリー化し、乾燥
後、特定温度で仮焼成及び本焼成を行なうので、得られ
る第4リン酸カルシウムは、従来の乾式法やメカノケミ
カル粉砕法によって製造した第4リン酸カルシウムに比
して、特に生体用リン酸カルシウムの原料としてより優
れた特性を有する。また湿式法を採用することにより大
量合成が可能である。
【0016】
【実施例】以下実施例及び比較例により更に詳細に説明
するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
【実施例1〜4】4個の2リットルビーカーにそれぞれ
1.5リットルの水を投入し、表1に示すカルシウム供
給原料をそれぞれのビーカーに3モル投入して十分に撹
拌した。次いで表1に示すリン供給原料をそれぞれ別個
に、前記カルシウム供給原料と反応させた際Ca/Pモ
ル比が1.99となる量だけ、水200mlに溶解した
後、得られた水溶液を対応する前記ビーカーに撹拌しな
がら徐々に2時間かけて滴下反応させた。反応終了後1
日放置し、全量を乾燥機により乾燥した。次に得られた
乾燥物を1000℃にて3時間仮焼成した。得られた仮
焼成物を擂潰機(株式会社石川工場製「撹拌擂潰機たて
型20号」)で30分間粉砕し、均一な粉体とした後、
1400℃にて3時間本焼成を行なった。最後に得られ
た焼成物を前記と同様な擂潰機を用いて1時間粉砕し、
平均粒径6〜7μmの粉体を得た。得られた粉体をX線
解析装置(商品名「RU−200型」、理学電機株式会
社製)により同定したところ、いずれも第4リン酸カル
シウムの単相であることが確認できた。
【0018】
【表1】
【0019】
【実施例5】実施例3で合成した第4リン酸カルシウム
と、第2リン酸カルシウム(和光純薬株式会社製、特
級)とをモル比で1:1に混合し、リン酸カルシウムセ
メントを調製した。得られたセメントと水とを重量比1
00:35で練和し、セメントペーストとし、直径7m
m、高さ14mmの型枠に流し込んだ。この際セメント
ペーストの流動性は良好であり、操作性に優れていた。
流し込んだセメントペーストを、37℃、湿度100%
にて硬化させた。硬化後生理食塩水に7日間浸漬し、取
り出した硬化体を濡れたまま圧縮強度測定したところ、
47.7±4.9MPaであった。測定はインストロン
社製の万能試験機「1125型」を用いた。
【0020】
【比較例1】第2リン酸カルシウム2水和物(和光純薬
株式会社製、特級)344gを、550℃にて3時間焼
成してピロリン酸カルシウム254gを得た。次いで得
られたピロリン酸カルシウムと、炭酸カルシウム(関東
化学株式会社製、特級)とをCa/Pモル比が1.99
になるように混合した。その後1400℃にて3時間の
焼成を2度繰り返し、単一相の第4リン酸カルシウムを
得た。これを実施例1〜4と同様な擂潰機で30分間粉
砕したところ、すでに平均粒径は4.5μmであり、粒
度分布の広がりは、実施例1〜4のいずれと比較しても
明らかに狭かった。
【0021】次に得られた第4リン酸カルシウムと第2
リン酸カルシウムとをモル比で1:1に混合し、実施例
5に準じて硬化体を作製し、圧縮強度を測定した。この
際セメントペーストの流動性が実施例5に比して悪かっ
たため、セメントと水との重量比は、100:40にせ
ざるをえなかった。その結果圧縮強度は36.3±7.
1MPaと実施例5に比して明らかに低い値であった。
【0022】
【実施例6】Ca(OH)2(カシルード株式会社製、
超高純度品)及びH3PO4(和光純薬工業株式会社製、
食品添加物用)を、Ca/Pモル比1.99となるよう
に湿式合成した後、乾燥機で乾燥した。得られた乾燥物
に対して、表2に示す仮焼成及び本焼成をそれぞれ3時
間行なった。得られた焼成物をX線解析装置(商品名
「RU−200型」、理学電機株式会社製)により同定
した。結果を表2に示す。
【0023】
【比較例2】仮焼成及び本焼成の温度を表2に示すとお
り代えた以外は、実施例6と同様に焼成物を得、X線解
析装置により同定を行なった。その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム供給原料及びリン供給原料を
    含む原料成分を湿式合成して原料スラリーを得、該原料
    スラリーを乾燥後、400〜1200℃で仮焼成し、更
    に1300〜1500℃にて本焼成することを特徴とす
    る第4リン酸カルシウムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10322211B2 (en) 2014-03-06 2019-06-18 Medical U & A, Inc. Method for controlling work time for forming shape of biphasic self-setting calcium phosphate

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