JPH0632885U - ホース用口金 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ゴム製パッキンを用いることなく、高いシール
性を確保する。 【構成】ホースに挿入されるパイプ１と、略円筒状のス
リーブ２とからなり、スリーブ２の中心孔２１にパイプ
１が挿入され一体的に締結されてなるホース口金におい
て、スリーブ２とパイプ１とは液状ガスケット３を介し
て締結されていることを特徴とする。液状ガスケット３
は締結時に流動して圧接力の小さい部位に流入し、その
部分を充填するため、高いシール性が得られるととも
に、内部応力の発生がないので耐久性に優れている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はホース用口金に関し、詳しくは自動車のエアコンホース、ブレーキホ ースなど、気密性を有する中高圧流体が流れるホースに利用されるホース用口金 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

パイプとスリーブからなるホース用口金は、切削などで一体的に製造されたも のと、それぞれ別体として製作されたパイプとスリーブを一体的に組付けて製造 されたものの二種類が知られている。このうち別体のパイプとスリーブを一体的 に組付けて一体化する方法としては、以下の３つの方法が知られている。 （１）パイプ外周表面を一周して形成されたリング状溝にスリーブの中心孔を形 成する周端壁を係合させ、スリーブの中心孔を縮径するようにかしめ変形させて 締結する方法。 （２）パイプの所定位置に円周方向に延びて形成された一対のビード部の間にス リーブの中心孔の周端壁を位置させ、一対のビード部でスリーブの底部を挟持し て締結する方法。 （３）パイプとスリーブをロウ付けなどで一体化する方法。

【０００３】 切削などで口金全体を一体的に形成する方法は、工数が多大であるばかりか材 料の歩留りも悪いため、近年ではパイプとスリーブを別に製作後上記の方法で一 体化する方法が主流である。しかし上記（３）の方法は工数が多大であるために 、上記（１）または（２）の方法で製造されるのが一般的である。 ところが、上記（１）及び（２）の機械的な押圧により金属どうしを一体的に 締結する方法にあっては、円周方向に押圧力のばらつきが生じたり、それぞれの 部品に充分な精度が得られなかったりする場合があると、締結強度にばらつきが 生じる場合があり、完全なシール性を確保することが困難である。

【０００４】 そこでローラ加締めなどを用いて円周方向の押圧力を均一としたり、寸法精度 を向上させたりすれば高いシール性を確保することができるが、反面、工数が多 大となったり良品率が低かったりして、生産性に問題がありコスト面で不具合が ある。 そこで例えば実開昭５４−１３２０２６号公報には、圧接部分にゴム弾性体製 リング状パッキンを介在させたホース継手が開示されている。このホース継手に よれば、パッキンの存在により高いシール性を確保できる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところがゴム製パッキンでは、その成形時にある程度の肉厚が必要となり、締 結時の変形により内部応力が発生しているため経時変化でヘタリなどの劣化が生 じ、シール性が徐々に低下する心配がある。また締結時にパッキンが変形してパ イプとスリーブの間の環状空間にはみ出したりすると、ホースと干渉してホース の挿入が不十分となる場合もある。

【０００６】 本考案はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ゴム製パッキンを用い ることなく高いシール性を確保することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決する本考案のホース用口金は、ホースに挿入されるパイプと、 一端面にパイプが挿入固定される中心孔をもち他端は開口となっている略円筒状 のスリーブとからなり、スリーブの中心孔にパイプが挿入され一体的に締結され てなるホース口金において、 スリーブとパイプとは液状ガスケットを介して締結されていることを特徴とす る。

【０００８】

【作用】

本考案のホース用口金では、それぞれ別体として形成されたパイプとスリーブ が、液状ガスケットを介して締結されている。すなわち本考案の口金を製造する には、先ず締結部分の表面に液状ガスケットを塗布する。この塗布量は、０．１ 〜０．３ｍｇ／ｃｍ² 程度の少量でよい。その後、両者が締結される。

【０００９】 この時液状ガスケットは液状であるため、パイプとスリーブが圧接する部分か ら液状ガスケットが押圧されて容易に移動し、締結が不十分な部分に充填される 。したがって高いシール性を有した状態で締結される。 また液状ガスケットは液状であるため、押圧により移動しても内部応力の発生 がない。したがって経時によるヘタリなどが生じにくく、安定したシール性を長 期間確保することができる。

【００１０】 なお、液状ガスケットは、２５℃において粘度１００００ｃＰ以上のものを用 いるのが好ましい。１００００ｃＰよりも小さな粘度のものでは、ワークである パイプを回転させてその全周に肉盛り状に塗布する時に、重力等によって流動し て均一な肉盛りに塗布できない。

【００１１】

【実施例】

以下、実施例により具体的に説明する。 （実施例１） 図１に本考案の一実施例のホース用口金を示す。このホース用口金は、パイプ １と、スリーブ２と、液状ガスケット３とから構成されている。

【００１２】 パイプ１は、一端部の外周表面に平行な２本の抜け止め凸部１０を持ち、この 一端部がホースに挿入される。また、他端にはホースから供給される流体を他部 署へ供給する図示しない口金が設けられている。そして抜け止め凸部１０よりや や他端部寄りの外周表面には、一周するリング状溝１１が形成されている。 スリーブ２は、中心孔２１をもつ底部２０と、底部２０の周縁部から筒状に延 びるスリーブ部２２とから構成され、底部２０の中心孔２１の周端壁がパイプ１ のリング状溝１１と係合して締結固定されている。

【００１３】 液状ガスケット３はシリコーン系の液状ガスケット（「１２１５」スリーボン ド（株）製、粘度７００００ｃＰ（２５℃））からなり、底部２０の中心孔２１ の周端壁とリング状溝１１の間に介在してシール性を発揮している。なお、本実 施例では液状ガスケットとしてシリコーン系のものを用いたが、これに限られる ものではなく、樹脂系、ゴム系或いは乾性、不乾性のものなど、条件に応じて種 々のものを用いることができるが、塗布時の均一な肉盛り状の塗布ができるよう に、２５℃の粘度１００００ｃＰ以上のものが良い。また、無溶剤タイプのもの が特に望ましい。

【００１４】 このホース用口金を製造するには、先ず切削、鍛造などによりパイプ１とスリ ーブ２を別体として製造する。次に図２に示すように、パイプ１を回転させなが らカートリッジ４から液状ガスケット３をリング状溝１１に供給して、リング状 溝１１に液状ガスケット３を塗布する。因みに、リング状溝１１の幅は３．４ｍ ｍ、外径は９．４ｍｍであり、液状ガスケット３は０．２ｍｇ塗布された。この 時、液状ガスケット３は溝１１の底面に２条に肉盛り状態で塗布される。

【００１５】 次にパイプ１をスリーブ２の中心孔２１に挿通し、底部２０の中心孔２１の周 端壁をリング状溝１１の位置に配置する。その状態で底部２０の外周部をローラ 加締めにより絞り加工し、中心孔２１を縮径させる。すると底部２０の中心孔２ １の周端壁とリング状溝１１表面とが圧接し、液状ガスケット３は液状であるが 故に圧接力に応じて流動して分布する。すなわち万一圧接力が円周方向で部分的 に異なったとしても、液状ガスケット３は圧接力が大きい部位では押し出されて 少なくなり、押し出された分が圧接力が小さい部位に流入してその部位に充填さ れる。なお、液状ガスケット３は溝１１からあふれ出さない程度の量で良く、あ ふれ出た場合に生じる外観の見映え悪さや、ホースの端末部の挿入不足等を生じ させるようなことはない。

【００１６】 そして液状ガスケット３はその後脱オキシム反応により硬化し、上記分布状態 を維持した状態で硬化する。 このホース用口金を使用するには、ホースをスリーブ部２２内に挿入するとと もに、ホースの中心孔にパイプ１の一端部を挿入する。そしてスリーブ部２２を 外周表面から加締めることにより縮径させ、ホースをパイプ１とスリーブ２の間 で挟持して締結する。

【００１７】 従来の金属どうしの圧接により締結された口金では、耐圧性はせいぜい７０ｋ ｇ／ｃｍ² であるが、本実施例の口金では３００ｋｇ／ｃｍ² 以上の高い耐圧性 を示し、シール性が極めて向上していた。 （実施例２） 図３に本考案の第２の実施例のホース用口金を示す。この口金は、パイプ１’ とスリーブ２との締結構造が異なること以外は実施例１と同様である。

【００１８】 パイプ１’の外周表面には、径方向に膨出する２個一対の膨出部１２，１３が 形成され、スリーブ２の底部２０の中心孔２１の周端壁が一対の膨出部１２，１ ３で挟持されて締結されている。そして液状ガスケット３が中心孔２１の周端壁 と膨出部１２，１３の間に介在してシールされている。 この口金を製造するには、先ず膨出部１２をもつパイプ１’を用意し、実施例 １と同様に膨出部１２に隣接する部分のパイプ１’表面に液状ガスケット３を塗 布する。そして一端部側からスリーブ２の中心孔２１に挿通して、底部２１を膨 出部１２に当接させた状態で保持する。その後スリーブ２内に膨出部１３を形成 し、膨出部１３の膨出の応力により、膨出部１２と膨出部１３の間で底部２０を 挟持する。

【００１９】 この時、実施例１と同様に液状ガスケットが流動して圧接力の小さい部位を優 先的に充填し、高いシール力が得られる。

【００２０】

【考案の効果】

したがって本考案のホース用口金によれば、金属どうしの圧接によるシールに 比べて４倍以上の高いシール性が得られる。そして液状ガスケットにはヘタリな どの劣化が生じないので、高いシール性を長期間維持することができ、耐久性に も優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例のホース用口金の断面図であ
る。

【図２】本考案の一実施例のホース用口金を製造途中の
状態を示し、液状ガスケットを塗布している状態の斜視
説明図である。

【図３】本考案の第２の実施例のホース用口金の断面図
である。

【符号の説明】

１：パイプ ２：スリーブ ３：液状ガスケット
４：カートリッジ １１：リング状溝 １２，１３：膨出部
２０：底部 ２１：中心孔 ２２：スリーブ部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホースに挿入されるパイプと、一端面に
   該パイプが挿入固定される中心孔をもち他端は開口とな
   っている略円筒状のスリーブとからなり、該スリーブの
   該中心孔に該パイプが挿入され一体的に締結されてなる
   ホース口金において、 前記スリーブと前記パイプとは液状ガスケットを介して
   締結されていることを特徴とするホース用口金。