JPH06328677A - 液状体担持部材用搬送機構及び装置とインク記録装置 - Google Patents

液状体担持部材用搬送機構及び装置とインク記録装置

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JPH06328677A
JPH06328677A JP12147093A JP12147093A JPH06328677A JP H06328677 A JPH06328677 A JP H06328677A JP 12147093 A JP12147093 A JP 12147093A JP 12147093 A JP12147093 A JP 12147093A JP H06328677 A JPH06328677 A JP H06328677A
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JP12147093A
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Kentaro Yano
健太郎 矢野
Naoji Otsuka
尚次 大塚
Atsushi Arai
篤 新井
Hitoshi Sugimoto
仁 杉本
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 顕著な画像の低下をもたらすことを防止しつ
つ、所望の搬送状態に安定もしくは強制的に変化させる
ことの出来る、液体接触タイプの搬送機構を提供する。 【構成】 液状体担持部材とその液状体との結合力及び
液状体自体の凝集力との総和よりも液状体との結合力を
小さくする液分離特性を備えた連続周面を有する回転可
能部材を、該液状体担持部材の搬送方向に対して交差す
る方向に関して、1個以上/cmの割合で複数個備え
た。 【効果】 所望の方向に記録画像を乱すことなく又、再
転写もない安定した搬送状態を得ることができ、耐久性
に優れ、記録領域の環境を乱さない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インク、固体インクを
溶解状態としたインク、粉体を溶解したトナーといった
液状体の付着物を担持した部材である紙、布、特種シー
トといった被搬送部材をその液体付着物に接触する側の
搬送機構及び装置とインク記録装置に関し、複写機、フ
ァクシミリ等の記録機器、通信機器、事務機器、複合機
器、プリンタ等に適用可能な発明に関する。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は、液状体に接触搬送しても
液状体を再転写しないで済むという画期的な効果を提供
できる発明として、特開平3−101943号公報に開
示した「液状体担持部材とその液状体との結合力及び液
状体自体の凝集力との総和よりも液状体との結合力を小
さくする液分離特性を備えた連続周面を有するコロ状の
回転拍車」を提案している。この発明は、プリンタの小
型化を一層推進でき、最終画質を乱さずに済むことで、
大きな利点があるため多く採用されている。又、通常の
インクジェットプリンタは、簡単な搬送であるために、
この拍車の設置間隔(5〜8cm間隔)も従来と同様に
使用されているのが現状である。
【0003】
【技術課題】従来の搬送コロによる記録紙の排出は、単
純に排出できれば良く、その方向性や斜行、ヨレといっ
た排出状態をそれほど考慮することが無い。他方、記録
紙を強制的に所定の方向に変化させる場合や、記録紙を
その幅を広げる方向に両端側を共に強制的に引く場合で
は、搬送コロ単体の幅は大きくなり、記録紙の中央側に
大きな接触面積を必要としていた。従って、液状体を記
録画像として担持した記録済の担持部材をこのような所
望の搬送状態に安定もしくは強制的に変化させること
は、顕著な画像の低下をもたらすため従来ではいっこう
に行われてはいなかった。
【0004】又、記録紙の搬送経路において、記録領域
の上流側記録紙挟持部は実質的に記録紙の幅に相当する
ローラ対の圧接領域で、記録領域の下流側記録紙挟持部
は部分的な挟持部が5〜8個分散しているものであるこ
とが通常である。ところが、記録紙の先端が下流側記録
紙挟持部に到達すると、部分的な挟持部の夫々に組み込
まれる瞬間に「突入ショック」が発生し、記録媒体の搬
送状態に変化をもたらし、記録品位を低下させてしまう
ことがある。逆に、上流側記録紙挟持部を記録紙の後端
が離脱すると、そのローラ対に紙後端が蹴られ「脱ショ
ック」を起こすことになり、紙後端側の記録品位を低下
する原因になる。この傾向は、記録手段がどのようなも
のでも無視できない現象として発生している。特に、液
状体を記録画像として担持する担持部材にとっては、記
録紙の搬送不良が品質を低下せしめ、コックリングと呼
ばれる波打ち状態の部分がインクジェット記録ヘッドに
接触して記録ヘッド自体の液体吐出能力を低下してしま
う問題もある。
【0005】更に、液状体を記録画像として担持した記
録済の担持部材の画像定着性を向上するために、加熱さ
れた加熱プレート上にこの担持部材を摺動搬送させる構
成を採用した場合、液状体画像を含めた含有水分量の部
分的な相違から歪みこの担持部材は加熱プレート上で効
率的な加熱を受けることができず、記録領域の記録紙に
もその影響が大きく出てしまい、記録間隙を乱してしま
う。従って、記録不良が生じることも問題である。
【0006】このように、記録媒体である担持部材の各
種の搬送状況に対して、共通していることは、以下に安
定した搬送を画像自体あるいは画像形成領域における記
録環境を乱さずに、確実な搬送力を達成でき、好ましく
は液状体の画像に対して接触しても接触による画像乱し
や再転写による不要画像の形成を防止できる搬送機構及
び搬送装置、そしてインク記録装置を提供することが本
発明の第1の技術課題といえる。本発明の他の技術課題
は以下の実施例中の説明から理解できよう。
【0007】
【発明の概要】本発明の液状体担持部材用搬送機構は、
上記技術課題を解決するべく、先に発明した「液状体担
持部材とその液状体との結合力及び液状体自体の凝集力
との総和よりも液状体との結合力を小さくする液分離特
性を備えた連続周面を有する回転可能部材」の特性を利
用して、その能力を一層向上したもので、この回転可能
部材を1個以上/cmの割合で複数個備えるという簡単
な構成で、単一での回転可能部材自体の耐久性向上や材
質強化をしなくても、上記課題を解決できるという画期
的な効果を得ることができたものである。
【0008】ここで、上記液分離特性の内容としては、
液状体担持部材に連続して接触可能な外周部域がソロバ
ン玉状の外周部形状もしくは同一幅外周部形状で、以下
の特性の少なくとも1つ以上を満足するものとして挙げ
ることができる。第1の最適な条件は、その周面より
0.1mm内径側での回転方向の幅Wが0.7mm以下
であることである。又、ソロバン玉状の外周部形状の場
合の第2の別の最適条件は、外周部形状と液状体担持部
材とのなす角度θが45度以上90度以下であることで
ある。これらの最適条件に加える好ましい条件は、水に
対する撥水性が30度以上であること、その周面の表面
粗さが最大で日本工業規格2S以下であることが挙げら
れる。特に、この第2の別の最適条件の場合は、第1の
最適条件である上記幅Wが1.0mm以下であることが
好ましく、より好ましくは0.7mm以下である。更
に、最適の付加条件は、液状体担持部材との当接幅が3
00μm以下であることである。これらの数値的意味は
以下の実施例中の説明で理解できよう。
【0009】尚、上記「脱ショック」の問題を解決でき
る条件は、搬送ベルトの如き無端回転シートに一体的に
上記分離特性のある突起部分が当接領域を直線となるこ
とで上記1個以上/cmの割合条件を緩和でき(例え
ば、1個以上/3cmの割合)製造費用を低減出来る。
【0010】又、上記複数個の回転可能部材は、夫々該
液状体担持部材の搬送方向に対して垂直な液状体担持部
材の幅方向に関して配列されたコロ状回転体で、幅の中
央側のコロ状回転体の直径が端部側のコロ状回転体の直
径より大であるか或は、液状体担持部材の搬送方向に対
して交差する方向に関しての液状体担持部材の幅の片側
半分の領域に、該片側半分領域側へ液状体担持部材を斜
行搬送する分力を与えるように配置すること、又は、こ
れに加えて回転可能部材を、該液状体担持部材の搬送方
向に対して交差する方向に関しての液状体担持部材の幅
の他の片側半分の領域に、該他の片側半分領域側へ液状
体担持部材を斜行搬送する分力を与えるように複数個配
列することで、所望の方向に記録画像を乱すことなく
又、再転写もない安定した搬送状態を得ることができ
た。
【0011】更に、インク記録手段により形成された液
状体画像を液状体担持部材に加熱定着するための加熱作
用面を備えた加熱定着手段を背面側にして、液状体画像
に押圧接触して加熱作用面に液状体担持部材を慴動せし
める構成にすることで、定着性を向上しつつ記録領域の
記録環境を乱すことがなくなり、全体としての効果は好
ましいものとなる。
【0012】
【実施例】以下図1乃至図14を用いて、本発明の代表
的実施例について説明する。
【0013】以下の実施例中、記録媒体の副走査方向に
張力を与える構成をとれているので、記録媒体に張りを
与え、コックリングを低減し記録媒体と記録ヘッド・キ
ャリッジとの接触を防ぐことができ、結果として、記録
面汚れを防止し、記録ヘッドを搭載しているキャリッジ
の脱調を防止でき、記録媒体が正常に搬送できなくなる
ことにより生じるジャム頻度を低減することができる。
【0014】又、副走査方向の一方を中心に張力を持た
せる構成とすることにより、搬送時に記録媒体が定めら
れた方向へ寄る力が与えられ、該方向にガイドを設けて
おくことにより搬送斜行等を防止し、安定した搬送系を
実現できる。
【0015】図1はインクジェット方式の記録装置の説
明図であり、図2は図1のI−I′断面模式図であり、
図3は記録媒体の走査方向説明図、図4は図1のJ部上
面模式図である。これらの図において、本発明でいう
「液分離特性」を満足する回転体は、拍車と呼び1個以
上/cmの割合で存在しているものであるが、図面上は
数個のみの図示として代表する。
【0016】先ず記録装置の全体構成を説明すると、図
1、図2に於て、1は記録ヘッドとインクタンクが一体
となったカートリッジであり、2はカートリッジを乗せ
て副走査方向へスキャンする為のキャリッジであり、3
はそのキャリッジのガイド軸である。4は一部切り欠き
のある給紙ローラであり、5aは拍車機能を有する拍車
搬送ローラ、5bは記録媒体を搬送する主搬送機能を有
する搬送ローラであり、6aは拍車機能を有する拍車排
紙ローラ、6bは記録媒体を排出する排紙機能を有する
排紙ローラである。7aは拍車機能を有する拍車張力ロ
ーラ、7bは該拍車張力ローラの受けローラの機能を有
する張力ローラ、8は5bを駆動するステッピングモー
タである搬送モータであり、9は拍車搬送ローラ5aを
搬送ローラ5bに圧する機能を有する拍車バネである。
Pは記録媒体を示す。
【0017】次に上記構成に於いて動作を説明すると、
図1、図2に於いて、Pで示す記録媒体が不図示のステ
ッピングモーターによって駆動される給紙ローラ4によ
って1枚づつ給紙され図1のように記録装置にセットさ
れる。記録ヘッドを内蔵したカートリッジ1は、キャリ
ッジ2に搭載され、該キャリッジ2には不図示のベル
ト、プーリ及びプーリを駆動するステッピングモータが
連結しており、該ステッピングモータの駆動により前記
キャリッジ2がガイド軸3に沿って副走査方向へ走査
し、カートリッジ1のノズルから画信号に応じてインク
が吐出されることにより、記録媒体Pへ記録が行われ
る。
【0018】1行記録が行われた後、搬送モータ18の
駆動により搬送ローラ5bが回転し記録媒体Pが規定量
搬送される。ここで、拍車バネ9のバネ圧により拍車搬
送ローラ5aが記録媒体Pを搬送ローラ5bに圧する力
を「N」、副走査方向に配列された拍車搬送ローラ5a
の個数を「n」、記録媒体P・搬送ローラ5b間の静摩
擦係数を「μ」、記録媒体Pの搬送力を「F」とする
と、 F=n・μ・N となる。
【0019】記録媒体Pが搬送されることにより発生す
る。摩擦抵抗等の搬送負荷の総和を「F′」とする時、
搬送力「F」が搬送負荷「F′」よりも充分大きくなる
(F>F′)ように、拍車搬送ローラ5aの配置個数
「n」及び圧接力「N」を設定することにより、記録媒
体Pが搬送可能となるよう構成する。
【0020】尚、拍車搬送ローラ5aを搬送ローラ5b
に圧説する機能を有する拍車バネ9は、例えば板バネ、
コイルバネ、モールド部材、ゴム部材等、変位に対して
復元力を発する部材であり、且つ前記の条件(F>
F′)を満足する圧接力「N」を達成できる部材であれ
ば材種に制限はない。
【0021】記録媒体Pを排紙する機能を有する拍車排
紙ローラ6a及び排紙ローラ6bの機構も、拍車搬送ロ
ーラ5a、搬送ローラ5bの機構と同様である。すなわ
ち、不図示のステッピングモータの駆動により排紙ロー
ラ6bが回転し記録媒体Pが規定量排紙される。この時
の排紙力は、不図示の排紙拍車バネにより拍車排紙ロー
ラ6aが排紙ローラ6bに圧せられる圧接力、拍車排紙
ローラ6aの配置個数、記録媒体Pと排紙ローラ6bと
の間の静摩擦係数、及び記録媒体Pが排紙されることに
より発生する排紙負荷、以上のバランスをとることによ
り、記録媒体Pを排紙できるよう構成している。
【0022】従来では記録媒体Pにインクを吐出される
と記録媒体上のインクを吐出した面と、その裏面で含有
水分量に大きな差が生じる。該含有水分量の差が記録媒
体の表・裏面の膨張率を異にさせ、歪を生じさせる。該
歪により記録媒体はコックリングと呼ばれるボコツキを
生じていた。又、コックリングが生じると、記録媒体と
記録ヘッド間は通常0.8mm程度しかないので、記録
媒体と記録ヘッドが接触を起こし、記録面を汚してしま
うことや、記録媒体Pにキヤリッジ2が接触し記録媒体
Pが正常に搬送されることを妨げられジャム等を起こし
たり、キャリッジ2が脱調を起こしたり等の問題を生じ
ていたが、本実施例では、これらを解決できた。
【0023】副走査方向に張力を与える構成を以下説明
する。
【0024】図3に於いて、記録媒体P上の定点Aにベ
クトルFの搬送力を与えたとする。この時、F>(f1
+f2 +f3 +f4 )の条件を満たせば記録媒体は動き
出す。しかし、移動方向はベクトルFの方向ではなく、
Fと(f1 +f2 +f3 +f4 )のモーメントの作用に
よりB方向に搬送される(但し、f1 〜f4 は記録媒体
が搬送されることにより発生する摩擦負荷等の搬送負荷
である。)。
【0025】図4は図1の図中J部の上面図である。図
4に於いて、記録媒体Pの左側半分を考えると、拍車張
力ローラ7aL1 〜7aL4 はFL1〜FL4の搬送力を発生す
る。ここで、各拍車搬送ローラの記録媒体への圧接力が
aL1 <7aL2 <7aL3 <7al4 とすると、各拍車張力
ローラ7aL1 〜7al4 によって生じる搬送力はFL1<F
L2<FL3<FL4となり、記録媒体Pは図中FL 方向の搬
送力を受ける。ベクトルFL はFLVとFLHに分解でき
る。すなわち拍車張力ローラ7aL1 〜7aL4 は記録媒体
Pに対して副走査方向にベクトルFLHの力(副走査方向
の張力)を発生させる。
【0026】同様に、図4の記録媒体Pの右側半分を考
えると、各拍車搬送ローラの記録媒体への圧接力が7
aR1 <7aR2 <7aR3 <7aR4 ならば、記録媒体Pは図
中FR方向の搬送力を生じ、ベクトルFR はFRVとFRH
に分解でき、副走査方向へのFRHの張力が得られる。
【0027】以上のように、副走査方向に配列された拍
車張力ローラの記録媒体への圧接力に於いて、記録媒体
中央部付近の圧接力を最も大きくし、記録媒体の端部に
行くに従って圧接力を小さくしていくことにより、各拍
車張力ローラにより生じる搬送力に差を生じさせ、結果
として副走査方向に張力を与えられる。該張力によって
コックリングが最小限に抑えられ、記録ヘッド・キャリ
ッジと記録媒体との接触する頻度を低減することが可能
となる。
【0028】尚、副走査方向に配置された各拍車張力ロ
ーラの記録媒体への圧接力は、拍車搬送ローラ5aの圧
接力の管理の仕方と同様に、拍車バネ等により個々管理
する構成をとっている。
【0029】また、本実施例では拍車張力ローラによる
搬送力が、中央部から端部に向かうに従って連続的に小
さくなっているが、FL ・FR のベクトルが記録媒体P
に張力を与える系であれば、必ずしも、連続的に拍車張
力ローラの圧を変える必要はない。例えば、部分的には
aL4 =7aL3 のように同圧で、同搬送力の部分があっ
ても良い。
【0030】また、本実施例では、拍車搬送ローラ・拍
車排紙ローラと拍車張力ローラを別々に設けたが、拍車
排紙ローラが拍車張力ローラを兼ねる構成であっても、
拍車搬送ローラが拍車張力ローラを兼ねる構成であって
も良い。
【0031】次に、図5を用いて副走査方向の一方向に
のみ張力を与える実施例について説明する。
【0032】図5に於て、副走査方向に複数個並べられ
ている拍車搬送ローラ5a、拍車排紙ローラ6aの圧接
力の管理の仕方は前記実施例と同様に拍車バネにより管
理されている。また、その圧接力はガイド板10の方向
(図中左方向)へ行くに従って小さくなっている。よっ
て、圧が大きい図中右側に配置された拍車による搬送力
の方が、図中左側に配置されている拍車により発生する
搬送力よりも大きくなり、記録媒体Pは、図中FL の方
向の搬送力を受ける。すなわち、記録媒体Pには、主走
査方向であるFLV方向のベクトルと、ガイド板10側に
寄ろうとするFLHベクトルの2方向への搬送力が生じ
る。
【0033】該FLHベクトルの力により、記録媒体Pは
図中左側へ寄ろうとするが、ガイド板10が障壁となり
寄ることができず、結果、ガイド板10に沿ってまっす
ぐ主走査方向へ搬送される。よって、少ない搬送力であ
っても、絶えず変動している搬送負荷に左右されること
なく、斜行等を防止でき、搬送安定性に優れた搬送系を
達成できる。
【0034】前記のごとく、記録媒体の副走査方向の一
方向へのみ張力を生じさせ、該張力の働く方向に記録媒
体が寄ることの障壁となる部材を配したことにより、少
ない搬送力でも安定して搬送が行えるようになるので、
拍車の記録媒体への圧接力を最小限に設定でき、高耐久
性を実現した、拍車による搬送系を達成できる。
【0035】また、本実施例では副走査方向に配置され
た各拍車圧が、図中右側から左側に向かうに従って連続
的に小さくなっているが、搬送を安定化させるに足るF
LHベクトルが得られる範囲において同等の圧の拍車が並
べられていても良い。
【0036】また、本実施例では、拍車搬送ローラと拍
車排紙ローラが、記録媒体に張力を与えるローラの役割
を兼ねているが、張力ローラを別に設ける構成であって
もよい。副走査方向への拍車の配列の構成手段以外の構
成及び作用は、前記実施例と同様であるので説明は省略
する。
【0037】次に図6、図7を用いて副走査方向への張
力を発生させる他の実施例について説明する。
【0038】前記実施例では、副走査方向に配された各
拍車の記録媒体への圧接力を変えることで、副走査方向
の張力を発生させたが、以下のように、主走査方向とは
異なる方向へ記録媒体を搬送するローラを設ける構成に
しても良い。
【0039】図6に於いて、拍車排紙ローラ6aが各々
図中FL 、FR の方向へ記録媒体Pを搬送するように構
成されている。よって、記録媒体Pには、FLH、FRH
副走査方向の張力が作用し、第1実施例同様、コックリ
ング等の防止が可能となる。
【0040】図7では、拍車排紙ローラ6aが図中FL
の方向へ記録媒体Pを搬送するよう構成されている。よ
って、記録媒体Pには、FLHの副走査方向への張力が作
用し、第2実施例同様、斜行等の防止が可能となり、搬
送安定性が達成される。
【0041】第1実施例、第2実施例の方式では、副走
査方向に配された各拍車の記録媒体への圧接力を変える
ことにより、副走査方向への張力を発生させ、全体とし
て、少ない搬送力で確実に搬送性能を安定化させること
が可能となったが、搬送系によっては必ずしも全ての拍
車が少ない圧接力であるとは限らない場合があり得る。
例えば図1に於いては拍車張力ローラの各拍車列の中央
付近の拍車が、図5に於いては、拍車搬送ローラ・拍車
排紙ローラの図中右側に配置された拍車が、高い圧接力
下で使用しなければならない場合が有り得る。
【0042】しかし、本実施例では、全ての拍車の圧接
力を均等にして、副走査方向の張力を発生させられるの
で、全ての拍車に対して高い圧接力下で使用することが
避けられる。
【0043】尚、本実施例では拍車排紙ローラ6aによ
って副走査方向の張力を生じさせたが、拍車搬送ローラ
5aを用いても、あるいは、別個に張力発生ローラを設
けても良い。副走査方向への張力の発生のさせ方の構成
手段以外の構成及び作用は、前記実施例と同様であるの
で説明は省略する。
【0044】次に図8を用いて、ラ線形状拍車の如き副
走査方向へ張力を発生させる他の実施例について説明す
る。
【0045】前記実施例では、主走査方向とは異なる方
向へ記録媒体を搬送する方法として拍車の搬送方向(回
転方向)を主走査方向と異にさせることで、副走査方向
に張力を発生させたが、以下のような拍車の構成で副走
査方向の張力を生じさせる方式であっても良い。
【0046】図8のように、拍車をラセン上に構成し、
該ラセン拍車11を拍車排紙ローラ6aとして、あるい
は、拍車搬送ローラ5aとして用いることにより、副走
査方向の張力を発生させられる。
【0047】尚、従動駆動のラセン拍車11では、記録
媒体の副走査方向への張力が不十分である場合には単独
で駆動する方式にしても良い。例えば、不図示のステッ
ピングモータを駆動源としてラセン拍車11を駆動する
方式にしても良い。副走査方向への張力の発生のさせ方
の構成手段以外の構成及び作用は、前記実施例と同様で
あるので説明は省略する。
【0048】ここで表1〜5と、図9〜図14を用い
て、本発明でいう「液分離特性」について簡単に説明す
る。
【0049】表1は本実施例に於ける図2の形状かつ図
9に示すようにテーパー部の印字面とのなす角θが80
°のもので紙面に対する当接圧を20gに設定して表面
の撥水性の異なるサンプルを湿度の異なる環境下でベタ
黒のラインを印字直後ホームフィードを行い拍車跡が出
たかどうかのテストである。
【0050】表2は同様のテストを従来ののこぎり刃の
如き形状で他の条件を同じにして行ったもの。
【0051】表3は表1で示したテストに対して、拍車
の表面粗さを変化させたもの。
【0052】表4は表1で示したテストに対して撥水性
110°のものを使用してテーパー部の印字面とのなす
角を変化させたものである。
【0053】撥水性のテストはパラメータとして水に対
する接触角を目安として行った。当接圧のテストは印字
面に対する各拍車の1つ当りの全圧で示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】表1〜表4に示したデータは、前述のテス
ト形式により行った本実施例、従来例をも含めたテスト
データを示す。
【0059】表1によれば、他のパラメータを固定した
場合には、本実施例においては60°以上の水に対する
接触角をもった撥水性の拍車を用いれば、まったく環境
湿度によるインクの定着性の良し悪しに関係しない拍車
を得られることがわかる。逆に表2に示す様に従来タイ
プの拍車に於いては、110°以上の撥水性の非常に高
い拍車を使用しても転写が起きてしまい、データに環境
湿度依存性があることがわかる。これは前述の原理から
考えてみれば明らかなことであり、本発明に於ける拍車
は、インク液中を転がしても前述の原理によりもともと
転写されない訳であるから高湿下の未定着インクの上を
通過しても良い訳である。表1の高湿下で接触30°の
所でNGになっているのはこの近傍に撥水性のパラメー
タによる良し悪しの境目が本実施例の設定にあってあっ
たと考えられる。いずれにしても、従来拍車の欠点を1
ランク以上解決していることが表1、2の比較で理解で
きよう。
【0060】表2の従来例のデータに於いては、50%
RHの常温で110°以上の接触角を持ったものを使用
すれば良くなっているが、このレベルは丁度インクが定
着しはじめたレベルで増粘していて、前述の原理に於い
て記録媒体上への付着力の方が少し強くなった為と考え
られる。
【0061】又、10%RHの低湿下ですべてOKにな
っているのは、前述までの原理によるものではなく、超
低湿の為にすでに乾燥していて転写をすでに起こさなく
なっていることによる為である。
【0062】又、表3は発明の方式による実施例に於い
て拍車の表面粗さを変化させたものであるが、ここでは
便宜的にRmaxでの数値をパラメータとしたが、やは
り表面粗さが小さい方がインクを引きずり降ろす力がす
べりが良くなり抵抗が下がるので小さくてすむ為良好と
なる。表面粗さについては素材により数値上同じでも粗
さの形状等が異なるとともに、撥水性による付着力との
組合せで特にその良し悪しが決定されるものである。
【0063】表4は、印字面とのなす角による変化を示
したものであるが、やはり印字面に対してできるだけ垂
直に近い方が良い結果となった。これは、インクが拍車
から引きずり降ろされる際に、印字面に対して垂直な方
向へ引きはがし力がかかる為であり、この方向への力が
かかりやすい方が良いという結果となったものである。
【0064】次に、図11乃至図14を用いて、本発明
の基本的条件の1つについて説明する。
【0065】上記実施例は、搬送性と拍車跡を大幅に防
止したものであるが、搬送力や耐久性UPの為に印字面
への当接幅を広くすると、拍車跡は出ない範囲にあって
も180dpiや300dpi以上の高精細グラフィッ
ク対応のものに於いてはハーフトーン印字が多用される
為、定着しにくい高湿下にあっては、50%〜100%
未満の印字duty(濃度)のハーフトーン印字等を行
った場合拍車が通った後は、画像つぶれが従来よりはる
かに少ないがわずかに目立つ黒スジ状のハーフトーン部
が発生する場合があった。しかし、180dpi程度以
下の印字品位の低いものやキャラクターやベタ印字がメ
インのものではこのような恐れは実際上は少なかった。
しかし、又、記録媒体上への当接幅がさらに広くなる
と、拍車上へベタ黒部から非印字部へ拍車が通過する境
目でのみ拍車上へインクが1点だけ転写し、次のその点
の当接で1点だけ小さい画像汚れが生じることが見られ
た。
【0066】これは、通常の印字では問題にならないも
のであるが、インク記録を写真並みに得る場合には解決
すべきものであることを本発明者達は見い出したのであ
る。これを達成する発明をまとめると以下となる。即
ち、記録媒体に当接し、回転する紙送り用部材に於い
て、その周面が連続的に記録媒体に当接し、かつその周
面より0.1mm内径側での回転軸方向の幅を(1.0
mm以下、より好ましくは)0.7mm以下にすること
により、記録媒体面上のインクをベタ黒上はもちろんの
こと、ベタ黒部と非印字部の境い目のインクの拍車上へ
の転写をもあらゆる媒体上でも妨げることを可能とした
ものである。それにより搬送性とまったく拍車跡の出な
い印字の両立を可能としたものである。
【0067】表5は本実施例に於ける図9の形状かつテ
ーパ部の印字面とのなす角が80°のもので紙面に対す
る当接圧を20gに設定して先端の幅の異なるサンプル
を湿度の異なる環境下でベタ黒のラインを印字直後ホー
ムフィードを行い上記1点の拍車跡が出たかどうかのテ
ストである。
【0068】
【表5】
【0069】表5でわかるように、上記形状の拍車8の
幅Wを1.0mm以下、最適には0.7mm以下とする
ことで上述した1点拍車跡の発生も防止できた。本発明
者達はこの幅Wの条件0.7mm以下において、上述し
た表1、3、4の条件で好ましい範囲のものが最適であ
ることを確認したが、表4の角度θを小さくしても(例
えば30°)、実用上良好な結果が得られることも確認
した。又、同様に幅0.7mm以下では撥水性の条件も
緩和できることも確認した。
【0070】尚、上記25℃/10%RHで1点拍車跡
の発生が見られないのは、インク像がかなり定着されて
いるためと考えられる。
【0071】撥水性の高い材料例としては、一般に用い
られる様な、フッ素化合物系材料である四フッ化エチレ
ン樹脂、パーフルオロ−アルコキシ樹脂、六フッ化プロ
ピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合
樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹
脂や又、高密度ポリエチレンやポリエチレン、ポリプロ
ピレン、トリメチルペンテン、ポリアセタール、ナイロ
ン、ポリサルフォン、フェノールなどのポリマーやそれ
らのポリマーを表面にコーティングした部材が好まし
い。基本的には撥水性と耐インク性と摩耗、変形強度を
加味して決定されるものである。
【0072】図11、図12及び図13、図14は本発
明の他の実施例を示す。図11、図12は先端部の拡大
図であり図11は角部がR形状ものを示す。図12は当
接面も含めてR形状相当のものを示す。どちらも周面が
連続的に紙面に当接し、かつ幅が0.7mmのものの先
端部を示すものであり、この限りにおいては、さらに言
えば周面は円でなくても良く多角形でも長円でも、また
ベルト状の不定形のものでも良く、要は当接点近傍に於
いてインクとの接触が切れることなく連続であれば良い
ことである。
【0073】次に、図1の搬送構成中、拍車ローラ7
a、7bを除いた、記録域の前後の搬送機構5a、5
b、6a、6bに対して、本発明のベルト状の拍車(液
分離特性を有する)と、コロ状の拍車を5a、6aに夫
々用いた例を説明する。図15乃至図19は、単位長さ
あたりにかかる圧接圧が、従来の点接触で記録媒体を搬
送する点接触搬送拍車部材と比べて、飛躍的に微弱な圧
接力で安定した記録媒体の搬送が可能となり、高寿命・
高信頼性の搬送系を実現できるものである。
【0074】これらの図中で5aはインクの液分離特性
と同等の非転写機能を有するベルト拍車であり、拍車を
走査させる搬送ローラ対にかけわたされている。5bは
記録媒体をベルト拍車に圧接する機能を有するプラテン
であり、6aはインク非転写機能を有する拍車排紙ロー
ラ、6bは記録媒体を排出する排紙機能を有する排紙ロ
ーラである。
【0075】図15乃至図19も、前記同様模式的表現
となっているが、実施例は、搬送方向に関して交差する
方向に、1個以上/cm(好ましくは1個以上/3c
m)という割合で拍車部分が設けられている。従来で
は、拍車を用いて且つ多くの耐久枚数を必要とする機種
では、拍車の圧接力を大きく設定できないので、十分な
搬送力を確保出来なくなることが懸念されるが、本実施
例ではインク非転写機能を有する拍車を記録媒体に対し
て点接触ではなく、線接触となるよう構成しているの
で、記録媒体に当接している拍車の単位長さあたりの圧
接力は点接触時と比べ格段に低減され、長期に渡ってイ
ンクの非転写機能を有し続け且つ安定した搬送力を持た
せることが可能となる。
【0076】インク非転写のベルト状拍車を構成したも
のが図16ベルト拍車であり、該ベルト拍車を搭載した
全体構成の実施例が図15である。
【0077】図15に於いて、仮に搬送負荷が「200
g」(F′=200→F>200)、記録媒体の静摩擦
係数が「1」(μ=1)、記録媒体Pと接触しているベ
ルト拍車4の接触本数を「5本」(n=5)とした場
合、ベルト拍車4の記録媒体Pへの圧接負荷は「40
g」以上(N=>40)となり、点接触の拍車では耐久
を保証するのが非常に困難なレベルとなるが、本実施例
では拍車が線接触となっているので、単位長さ当たりに
かかっている圧接負荷は極微圧であり、長期耐久後も初
期性能を維持できる。尚、ベルト拍車5aの記録媒体P
への圧接力は、ベルト拍車5aの張力がプラテン5bを
押し上げようとする力により発生させる。
【0078】また、本実施例に於いては、排紙部材とし
て前記実施例の1個以上/cm割合の点接触のインク非
転写拍車である拍車排紙ローラ6aを用いたが、排紙部
材、或いは不図示の給紙部材として線接触のベルト拍車
を配する構成であっても良い。
【0079】また、図15に搭載されている、図16の
ベルト拍車5aの構成を、図17に記すような構成にし
ても良い。すなわち、記録媒体と当接する幾本かの拍車
を、図16のようにベルト上に一体で成型するのではな
く、図17のように一本一本紐上に構成させても良い。
【0080】図18は、ベルト拍車が搬送ガイドを兼ね
る構成の本実施例の説明図である。
【0081】先に説明したように記録媒体Pの最先端か
ら記録を行いたい場合などには、排紙ローラに噛み込ん
でいない場所から記録を始めなければならない。記録が
進み、記録媒体Pの最先端部が排紙ローラの位置まで搬
送されると、記録媒体Pは排紙ローラに噛み込まれる瞬
間に「突入ショック」を起こし、記録媒体Pの搬送量に
若干の狂いを生じさせ記録品位を劣化させてしまう。同
様に、記録媒体Pの最下端部まで記録を行う場合には、
レジストローラや搬送ローラに蹴られて「脱ショック」
を起こす。
【0082】前記実施例の図15のような記録媒体を水
平に搬送する搬送系と比べ、本実施例図18のような記
録媒体を1つの大きなローラーに巻き付けて搬送する搬
送系の方が、搬送負荷は通常大きい。よって、巻き付け
型の搬送系の方がより大きな搬送力を必要とする為、記
録媒体を圧する各ローラーの圧接力も大きくなり、該
「突入ショック」「脱ショック」は大きくなる。
【0083】また、「突入ショック」「脱ショック」に
よる画像品位劣化の現象はハーフトーンの記録やカラー
記録を行ったときに顕著に現れる。特にカラー記録の時
には記録媒体Pを前後させて異色のインクを重ね合わせ
て色を新たに作る操作を行うので、該「突入ショック」
や「脱ショック」による搬送量の狂いは画像品位を大き
く劣化させる。
【0084】図18はベルト拍車が搬送ガイドを兼ねる
構成の一実施例であるが、記録媒体Pと主走査方向に線
接触するベルト拍車を用いたことにより、部品点数を削
減できコスト・組立性に於いて有利になるばかりか、主
走査方向へのショックに対して格段に強くなり、他ロー
ラへの「突入ショック・脱ショック」も低減でき、高画
像品位の記録装置を実現できる。
【0085】また、本実施例に於いては、排紙部材とし
て点接触のインク非転写拍車である拍車排紙ローラ6a
を用いたが、排紙部材、或いは不図示の給紙部材として
線接触のベルト拍車を配する構成であっても良い。
【0086】また、図18に搭載されている、図16の
ベルト拍車4の構成を、図17に記すような構成にして
も良い。すなわち、記録媒体と当接する幾本かの拍車
を、図16のようにベルト上に一体で成型するのではな
く、図17のように一本一本紐上に構成させても良い。
ベルト拍車が搬送ガイド機能を兼ねたことによる構成手
段及び作用効果以外の構成及び作用効果は、前記実施例
と同様であるので説明は省略する。
【0087】次にベルト拍車に熱を持たせた場合の実施
例について図19を用いて説明する。
【0088】図19は本実施例の腰部である発熱するベ
ルト拍車の構成の説明図である。前述の通り、インクジ
ェット記録装置では液体インクを記録媒体に吐出して記
録を行う方式である為に、記録部に吐出された未定着イ
ンク上を走査してもいかに問題を起こさないかの技術開
発とともに、いかに早くインクを定着(乾燥)させるか
の技術開発も重要な要素技術となっている。インクの理
想的な定着促進手法はインクの乾燥を促進させるだけで
は不十分で、記録媒体の歪問題や、ノズルへの弊害をも
たらさない手法でなくてはならない。
【0089】図19は、電気・熱変換体を有する発熱ロ
ーラHをベルト拍車5aの走査用ローラとして用いるこ
とにより、ベルト拍車5a上の記録媒体Pと接触する当
接部が発熱し、記録画上の未定着インクが直接熱せら
れ、効率よく且つ弊害を引き起こすことなく定着促進す
ることを可能にした一実施例の説明図である。
【0090】本実施例では記録部の裏面を熱する方式で
はないので、膨張率の差異による歪を促進させるのでは
なく、歪を解消する方向へ作用し、また、熱風などの気
流等を媒体とした間接的方式ではないので、記録ヘッド
のノズル部のインクまで乾燥させてしまったり、塵や紙
粉をまき散らしノズルに付着して正常な吐出を妨げる等
の弊害を最小限に抑えられる。
【0091】尚、べルト拍車5aには必要な熱量が供給
されれば良いのであり、その手法は発熱ローラHが電気
・熱変換体を内蔵する構成であるのに限るものではな
い。例えば、外部の熱源から熱量が供給される構成であ
っても良い。
【0092】べルト拍車5aに熱を供給する構成手段及
び作用効果以外の構成及び作用効果は、前記実施例と同
様であるので説明は省略する。
【0093】最後に図20乃至図30を用いて、定着手
段の前後又は、定着処理域に対して有効な本発明の実施
例を説明する。
【0094】先に利用した図番の構成はそのまま用い
て、搬送ガイド11を図20では印字領域に設けてお
り、図23、25では、搬送ガイド11の下流側に加熱
定着器用板HTを設けた構成としている。本実施例は先
に説明したように「液分離特性」のある拍車部分(周面
部分)が1個以上/cmの割合で搬送機構に備えられて
いるため、良搬送性、コックリング防止効果、再転写防
止効果、耐久性の向上(搬送機構自体)を奏するもので
ある。
【0095】拍車ローラ81が記録媒体Pを搬送ローラ
91に圧する力を「N」、副走査方向に配列された拍車
ローラ81が記録媒体Pを搬送ローラに圧する当接部の
数を「n」、記録媒体P、搬送ローラ91との間の静摩
擦係数を「μ」、記録媒体Pの搬送力を「F」とする
と、F=n・μ・Nとなる。
【0096】各々の当接部での圧接力Nが耐久性という
点から高くすることができなくても、本発明の拍車のよ
うに拍車と記録材の当接間隔を短くし拍車8と記録材P
の当接部の数nを多くしてやることにより記録材Pの搬
送力を高くすることができ、安定した搬送性を得ること
が可能となった。本発明の拍車を用いれば記録の際のイ
ンクの吐出によるコックリングが生じた場合でも副走査
方向のボコツキ、波打ち状態に対しては図21のように
記録材の副走査方向のほぼ全域を均等に圧接しているた
めに抑えることができるし、主走査方向へのボコツキ、
波打ち状態も上述したように記録材への当接部の数を多
くしたことにより記録材の搬送力を大きくすることで、
従来よりも主走査方向への張力を増すことができるため
コックリングによる弊害を防止することが可能となっ
た。
【0097】尚、図22は従来の間隔で「液分離特性」
のある拍車8(図9)を設けた場合に見られたコックリ
ング状態を示すもので、本発明実施例の高密度設置によ
る搬送性の相違が明らかとなる。又、図22では、1つ
の拍車8に対して加わる接触状況が紙の変形によって変
動し易く個別の耐久性を異ならせる危険があるが、図2
1ではこれをも防止している。
【0098】図23、25は、加熱定着器HTに本発明
搬送機構(以下、拍車ローラという)を導入したもの
で、図24、26は夫々の部分上面図を示している。
【0099】HTは、インクジェット記録装置によりイ
ンクを吐出された記録媒体の乾燥定着を促進させる為の
定着器である。定着器HTは熱を発して記録媒体に接触
させて、定着させるものであれば熱源や材質構成には制
限はないものとする。拍車ローラは定着器HTに所定の
圧接力となるように不図示の拍車バネで圧接している。
図24、26で定着器HTに拍車81が圧接し、記録材
Pをf方向に搬送している様子を示している。記録ヘッ
ドからインクが吐出され、記録紙にインク滴が付着して
記録が行われ、記録された記録材Pは定着器上に送られ
てくるわけであるが、拍車ローラ81が無い場合、記録
材Pはコックリングによってボコツキ、波打ち状態にな
っているため定着器HTと完全に密着せず部分的に浮き
上がった状態になる。
【0100】このため、定着器HTと密着しなかった場
合は乾燥定着不十分となり未定着のまま排紙されてしま
う。しかし本発明のように、拍車の当接部間隔を極力短
くし記録材P全体を均一に定着器に押しつけているため
記録材Pの裏全面を定着器に密着させるため、確実にム
ラなく定着させることが可能となった。
【0101】本実施例においては、定着器HTと拍車ロ
ーラ8が圧接する構成となっているため定着器が熱エネ
ルギーによっている場合は拍車ローラの材質は耐熱性の
高いものであることが望ましい。耐熱性にそれほど優れ
た材質でない場合でも記録材の有無を検知するセンサー
を備え、記録材が無い場合は定着器と拍車ローラ8を離
し、記録材が送られてきた時にのみ拍車ローラ8を定着
器に圧接する構成とするのも良い。
【0102】又この構成とした場合、拍車ローラ81の
記録媒体への当接密度が高いため拍車ローラ81自体を
加熱して定着器とするのも良いものとする。
【0103】図25は1つの拍車ローラ8を設けている
のに対し、図23は定着器HTの上流部域と下流部域に
非転写機能を有する拍車ローラ81を配置したものであ
り、定着器HT自体に上流部域と下流部域で記録材を密
着させることで、さらに定着器HTと記録材Pとの密着
面積を大きくしたため、より定着性を向上させたもので
ある。これによるさらなる効果は、定着域の状況をより
定着化に必要なものとしつつ、印字領域のヘッド・紙間
隔の印字条件をより安定化できるものである。又、下部
の拍車ローラの搬送力よりも上部の拍車ローラの搬送力
を高めることによって上部と下部の拍車ローラ間の記録
材Pに主走査方向に張力を持たせ、記録材Pの主走査方
向のボコツキ、波打ちを抑えることができより定着器H
Tに密着させることができ定着性を向上させることがで
きる。尚本実施例では定着器HTの上部と下部に2本拍
車ローラを配置したが3本以上の構成としても良いし、
定着器の外側に、拍車ローラを配置した組み合わせとし
ても良い。
【0104】又この構成とした場合、図25の場合より
もさらに拍車ローラ8の記録媒体への当接密度が高くな
るため拍車ローラ8自体を加熱して定着器するのも良い
ものとする。
【0105】図28、図29および図30は本発明の搬
送機構例を示す。どれも周面が連続的に紙面に当接する
ものであり、この限りにおいてはさらに言えば周面は円
でなくてもよく、多角形でも長円でもまたベルト状の不
定形のものでも良く、要は当接点近傍に於いてインクと
の接触が切れることなく連続であれば良い。特に図30
は、周面がラセン状につながっている構成としたもので
ある。いずれの図28〜30も、実質的な拍車周面が存
在するピッチが従来のような大幅な隔間でなく、1個以
上/cmの割合としたことで耐久性のある強制搬送機構
として実現、実施できたことに重要なポイントがある。
尚、1個/2cmの割合で設けたところ、定着搬送には
好ましくはない部分的な浮きは見られた。
【0106】
【発明の効果】本発明は前述の「液分離特性」を有する
搬送周面を1cm当り1個以上の割合で設けたことで、
又、これを複数個近接するように配置あるいは所定の間
隔で当接するように一体的に形成して記録媒体との当接
点密度を上げたことにより、副走査方向(記録媒体の幅
方向)のコックリングを低減し、さらに搬送力を向上す
ることができる。又、記録媒体の主走査方向への張力を
持たせることができ、記録ヘッドおよびキャリッジと記
録媒体との接触による記録面の汚れを防止することがで
き、さらに記録ヘッド記録媒体との距離にムラがなくな
ったためインク滴の着弾点のムラがなくなり、画像品位
も向上できた。
【0107】又、定着器上に上述した本発明の搬送機構
を圧接させることにより、記録された記録媒体と定着器
との密着が良くなり、定着性の良好なインクジェット記
録装置を実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明インクジェット記録装置例の概略図であ
る。
【図2】本発明搬送機構の模式図である。
【図3】本発明の搬送力を説明するための概念図であ
る。
【図4】本発明の搬送機構の作用・構成説明図である。
【図5】本発明の片側付勢力を示すシート搬送装置の説
明図である。
【図6】本発明の紙両側引張り力を示すシート搬送装置
の説明図である。
【図7】図5実施例の異なる構成の装置説明図である。
【図8】図5実施例に用いられるラセン状周面の搬送機
構説明図である。
【図9】本発明の「液分離特性」を説明するための拍車
正面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】本発明の「液分離特性」の基本条件の1つを
説明するための概念図である。
【図12】図11の側面図である。
【図13】本発明の基本条件をもつ周面の変形例の概念
図である。
【図14】図13の側面図である。
【図15】本発明のベルト状搬送機構を用いたインク記
録装置の説明図である。
【図16】図15に採用されるベルト状搬送機構の構成
略図である。
【図17】図16の変形実施例の構成略図である。
【図18】図15実施例にガイド作用を付加した変形実
施例の説明図である。
【図19】本発明ベルト状搬送機構の別の実施例の概念
図である。
【図20】本発明の密接配置型拍車を用いたインクジェ
ット記録装置の略図である。
【図21】本発明の密接配置拍車の搬送機構の作用説明
図である。
【図22】従来の間隔で配置した「液分離特性」の拍車
の作用説明図である。
【図23】本発明の定着装置への実施を示すインク記録
装置の略図である。
【図24】図23の部分上面図である。
【図25】本発明の定着領域に搬送機構を用いたインク
記録装置の略図である。
【図26】図25の部分上面図である。
【図27】本発明の第1の搬送機構用の拍車ローラ正面
図である。
【図28】本発明の第2の搬送機構用の拍車ローラ正面
図である。
【図29】本発明の第3の搬送機構用の拍車ローラ正面
図である。
【図30】本発明の定着域での斜行付勢用の拍車ローラ
正面図である。
【符号の説明】
1 カートリッジ 2 キャリッジ 3 ガイド軸 4 給紙ローラ 5a 拍車搬送ローラ 5b 搬送ローラ 6a 拍車排紙ローラ 6b 排紙ローラ 7a 拍車張力ローラ 7b 張力ローラ 18 搬送モータ 9 拍車バネ 10 ガイド板 P 記録媒体 81 拍車ローラ HT 定着器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状体担持部材とその液状体との結合力
    及び液状体自体の凝集力との総和よりも液状体との結合
    力を小さくする液分離特性を備えた連続周面を有する回
    転可能部材を、該液状体担持部材の搬送方向に対して交
    差する方向に関して、1個以上/cmの割合で複数個備
    えたことを特徴とする液状体担持部材用搬送機構。
  2. 【請求項2】 上記複数個の回転可能部材は、同一の軸
    に一体化されている請求項1に記載の液状体担持部材用
    搬送機構。
  3. 【請求項3】 上記複数個の回転可能部材は、上記連続
    周面が上記液状体担持部材に当接する当接領域を直線と
    する請求項1又は請求項2に記載の液状体担持部材用搬
    送機構。
  4. 【請求項4】 上記複数個の回転可能部材は、夫々該液
    状体担持部材の搬送方向に対して垂直な液状体担持部材
    の幅方向に関して配列されたコロ状回転体で、幅の中央
    側のコロ状回転体の直径が端部側のコロ状回転体の直径
    より大である請求項1に記載の液状体担持部材用搬送機
    構。
  5. 【請求項5】 液状体担持部材とその液状体との結合力
    及び液状体自体の凝集力との総和よりも液状体との結合
    力を小さくする液分離特性を備えた連続周面を有する回
    転可能部材を、該液状体担持部材の搬送方向に対して交
    差する方向に関しての液状体担持部材の幅の片側半分の
    領域に、該片側半分領域側へ液状体担持部材を斜行搬送
    する分力を与えるように、1個以上/cmの割合で複数
    個配列したことを特徴とする液状体担持部材用搬送機
    構。
  6. 【請求項6】 液状体担持部材とその液状体との結合力
    及び液状体自体の凝集力との総和よりも液状体との結合
    力を小さくする液分離特性を備えた連続周面を、該液状
    体担持部材の搬送方向に対して交差する方向にわたって
    螺旋状に備えたことを特徴とする液状体担持部材用搬送
    機構。
  7. 【請求項7】 液状体担持部材にインクで記録を行い液
    状体画像を形成するインク記録手段と、該インク記録手
    段によって記録された液状体担持部材の液状体画像に接
    触可能な位置に設けられた、請求項1ないし請求項6の
    いずれかの液状体担持部材用搬送機構体と、を有するこ
    とを特徴とするインク記録装置。
  8. 【請求項8】 液状体担持部材とその液状体との結合力
    及び液状体自体の凝集力との総和よりも液状体との結合
    力を小さくする液分離特性を備えた連続周面を有する回
    転可能部材を、該液状体担持部材の搬送方向に対して交
    差する方向に関しての液状体担持部材の幅の片側半分の
    領域に、該片側半分領域側へ液状体担持部材を斜行搬送
    する分力を与えるように、1個以上/cmの割合で複数
    個備えた液状体担持部材用搬送機構と、該液状体担持部
    材の該片側半分の領域側端を案内する案内部材と、を備
    えた搬送装置。
  9. 【請求項9】 液状体担持部材とその液状体との結合力
    及び液状体自体の凝集力との総和よりも液状体との結合
    力を小さくする液分離特性を備えた連続周面を有する回
    転可能部材を、該液状体担持部材の搬送方向に対して交
    差する方向に関しての液状体担持部材の幅の片側半分の
    領域に、該片側半分領域側へ液状体担持部材を斜行搬送
    する分力を与えるように、1個以上/cmの割合で複数
    個配列したことを特徴とする第1液状体担持部材用搬送
    機構と、 液状体担持部材とその液状体との結合力及び液状体自体
    の凝集力との総和よりも液状体との結合力を小さくする
    液分離特性を備えた連続周面を有する回転可能部材を、
    該液状体担持部材の搬送方向に対して交差する方向に関
    しての液状体担持部材の幅の他の片側半分の領域に、該
    他の片側半分領域側へ液状体担持部材を斜行搬送する分
    力を与えるように、1個以上/cmの割合で複数個配列
    したことを特徴とする第2液状体担持部材用搬送機構
    と、を備えた搬送装置。
  10. 【請求項10】 液状体担持部材にインクで記録を行い
    液状体画像を形成するインク記録手段と、該液状体画像
    を液状体担持部材に加熱定着するための加熱作用面を備
    えた加熱定着手段と、該インク記録手段によって記録さ
    れた液状体担持部材の液状体画像に押圧接触して該加熱
    作用面に液状体担持部材を摺動せしめる位置に設けら
    れ、液状体担持部材とその液状体との結合力及び液状体
    自体の凝集力との総和よりも液状体との結合力を小さく
    する液分離特性を備えた連続周面を有する回転可能部材
    を該液状体担持部材の搬送方向に対して交差する方向に
    関して1個以上/cmの割合で複数個備えた液状体担持
    部材用搬送機構と、を備えたインク記録装置。
  11. 【請求項11】 液状体を担持するための担持部材をイ
    ンク記録領域に搬送する第1搬送手段と、第1搬送手段
    が搬送する担持部材にインク記録領域でインク記録を行
    う記録手段と、該記録領域通過後の液状体担持部材を搬
    送する第2搬送手段を備えたインク記録装置において、 上記第1搬送手段は、液状体担持部材とその液状体との
    結合力及び液状体自体の凝集力との総和よりも液状体と
    の結合力を小さくする液分離特性を備えた連続周面が担
    持部材に当接する当接領域を直線とす回転可能部材を複
    数個有し、上記第2搬送手段は、液状体担持部材とその
    液状体との結合力及び液状体自体の凝集力との総和より
    も液状体との結合力を小さくする液分離特性を備えた連
    続周面が担持部材に当接する当接領域を実質的な点接触
    とを有する回転可能部材を複数固有していることを特徴
    とするインク記録装置。
JP12147093A 1993-05-24 1993-05-24 液状体担持部材用搬送機構及び装置とインク記録装置 Withdrawn JPH06328677A (ja)

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