JPH06327965A - 有害物質の除去剤、除去方法及び有害物質除去装置 - Google Patents

有害物質の除去剤、除去方法及び有害物質除去装置

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JPH06327965A
JPH06327965A JP5341505A JP34150593A JPH06327965A JP H06327965 A JPH06327965 A JP H06327965A JP 5341505 A JP5341505 A JP 5341505A JP 34150593 A JP34150593 A JP 34150593A JP H06327965 A JPH06327965 A JP H06327965A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 少ない使用量で、迅速に、効率よく有害物質
を除去することができる有害物質の除去剤、除去方法及
び除去装置を提供する。 【構成】 二酸化チタン10重量部と焼石膏10重量部
とを混合し、これに水20重量部を徐々に添加しなが
ら、ミキサーを用いて練り合わせて混練物を得、これを
20℃の雰囲気中に12時間放置し、さらに120℃の
オーブン内に5時間放置して、有害物質除去剤を得た。
該有害物質除去剤を紫外線照射等の周りに配置し、該除
去剤と紫外線照射灯との間隙にエチレンを含有する気体
を送り込む装置からなる有害物質除去装置を用いてエチ
レンを除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有害物質の除去剤、除去
方法及び除去装置に関する。更に詳しくはメルカプタ
ン、アンモニア等の悪臭物質、青果物や花卉類などの鮮
度を低下させるエチレン等の成長促進物質などのごとき
有害物質を効率的に除去できる有害物質除去剤、除去方
法及び除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活レベルの向上に伴って、工場
などから発生する悪臭、家庭や飲食店から発生する悪臭
を除去することが要望されている。一方、青果物などの
商品価値の低下を防ぎ、鮮度を保持するために、エチレ
ンなどの成長促進物質を除去することが要望されてい
る。これらの悪臭物質、成長促進物質などの除去剤とし
ては、二酸化チタンを、石膏、セメント等の支持体にバ
インダーを用いて担持して得られる除去剤が知られてい
る。この除去剤は、担持の際に、バインダーなどが二酸
化チタンを覆ってしまうので、除去性能が低い。別の除
去剤として、二酸化チタン等の半導体と粘土とを練り合
わせ、乾燥して得られる除去剤が提案されている(特開
平2−273514号公報)。この除去剤は、確かに、
二酸化チタンの除去性能が低下せず、効率よく有害物質
を除去できるのであるが、除去速度が低いため、除去剤
を多量に使用しなければならない問題があることがわか
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、少な
い使用量で、迅速に、効率よく有害物質を除去すること
ができる有害物質の除去剤、除去方法及び除去装置を提
供することにある。本発明者らは、前記目的を達成すべ
く鋭意検討した結果、特定の半導体と水硬性化合物と水
とを練り合わせることによって、本目的を達成できるこ
とを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0004】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、水硬性化合物の水和凝集物に、0.5〜5eVの禁
止帯幅を有する半導体が分散してなることを特徴とする
有害物質除去剤が提供される。本発明によれば、前記有
害物質除去剤に、有害物質を含有する気体を接触させ、
光を照射することを特徴とする有害物質の除去方法が提
供される。また、本発明によれば、紫外線照射灯と、そ
の周りに形成される前記有害物質除去剤からなる触媒層
と、該灯と該触媒層との間隙に有害物質を含有する気体
を流通させるための手段とからなる有害物質除去装置が
提供される。
【0005】本発明の有害物質除去剤は、水硬性化合物
の水和凝集物に、半導体が分散してなるものである。
【0006】本発明に用いられる半導体は、その禁止帯
幅が0.5〜5eVのもの、好ましくは1〜3eVのも
のである。この半導体は、禁止帯幅以上のエネルギを有
する光を照射することにより、価電子帯から伝導帯へ電
子励起が生じて、価電子帯に正孔が、伝導帯に電子が生
成し、この正孔および電子が半導体表面に拡散等により
現れて、気相または液相において光触媒として反応を促
進するものである。この半導体の具体例としては、二酸
化スズ、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化セリウム
二酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化第二鉄などの金
属酸化物;硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化鉛、セレン
化亜鉛、セレン化カドミウムなどの金属カルコゲナイ
ド;シリコン、ゲルマニウム等の第IV属元素;ガリウム
リン、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの第III族元
素と第V族元素との化合物;ポリアセチレン、ポリピロ
ール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリビニルカル
バゾールなどの有機半導体が挙げられる。本発明におい
ては、特に酸化亜鉛、三酸化タングステン、二酸化チタ
ン、酸化セリウムなどの金属酸化物が好適に用いられ
る。また、半導体に白金などの貴金属を担持させたもの
は有害物質除去剤の除去性能が向上するので好ましく用
いられる。半導体は、通常粉末で使用する。粉末でない
ものは、水硬性化合物の水和凝集物の中に均一に分散で
きなくなるので、有害物質除去剤の除去性能にばらつき
を生じることがある。
【0007】本発明に用いられる水硬性化合物とは、水
と反応して水和物を生成し凝集する性質を有する無機化
合物をいう。この水硬性化合物は、土木建設分野などに
おいて無機質接着剤として一般に用いられているもので
ある。具体的には、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウ
ム、アルミン酸カルシウム、鉄酸カルシウム、セリッ
ト、シーライト、ゲーレナイト、灰長石、ドロマイトな
どが挙げられる。さらに水硬性化合物としては、これら
の化合物を原料として得られる、焼石膏、ポルトランド
セメント、ドロマイトプラスター、石灰火山灰セメン
ト、アルミナセメント、マグネシアセメントなどが含ま
れる。本発明においては、特に硫酸カルシウム及びこれ
を主原料として得られる焼石膏が好適である。水硬性化
合物は通常粉末で使用する。粉末でないものは、半導体
を均一に分散できなくなるので、有害物質除去剤の除去
性能にばらつきを生じることがある。
【0008】本発明の有害物質除去剤は、半導体と水硬
性化合物と水とを練り合わせることにより得られる。練
り合わせることによって、水硬性化合物と水とが反応
(水和反応)して水和凝集物を生成させることができ、
同時に半導体を水和凝集物の中に分散させることができ
る。
【0009】練り合わせる方法は特に限定されず、例え
ば、混練機、乳鉢などを用いて練り合わせる。半導体と
水硬性化合物と水とを練り合わせる手順は、限定され
ず、半導体の粉末と水硬性化合物の粉末とを混合し攪拌
して混合物を得た後、水を添加して練り合わせてもよい
し、半導体の粉末に水を添加して混練した後、水硬性化
合物を添加して練り合わせてもよい。特に本発明におい
ては、半導体の粉末と水硬性化合物の粉末とを混合し攪
拌して混合物を得た後、水を添加して練り合わせる手順
で行うことが、半導体を水硬性化合物の水和凝集物の中
に均一に分散できるので好適である。
【0010】半導体と水硬性化合物との重量比率は1
0:1〜1:10、好ましくは6:1〜1:6である。
この範囲外では有害物質除去剤の除去性能が低くなるこ
とがある。また、水の量は、半導体と水硬性化合物との
合計量100重量部に対して、通常、25〜200重量
部である。少なすぎると練り合わせることができないこ
とがある。多すぎると乾燥に時間を要し経済的でないこ
とがある。
【0011】練り合わせた後、通常8分以上経過する
と、水硬性化合物は凝集しはじめる。半導体と水硬性化
合物と水との混練物を加熱する必要はないが、水硬性化
合物の水和反応を促進させるために加熱することができ
る。加熱温度は、通常、300℃以下、好ましくは15
0℃以下である。300℃を超えると、水和反応の反応
速度よりも逆反応(脱水反応)の反応速度が早くなっ
て、水和凝集物が得られないことがある。練り合わせた
後、水硬性化合物が凝集する前に、該混練物を型などに
流し込み、任意の形状に適宜成形することができる。な
お、本発明の有害物質除去剤は、水硬性化合物が凝集し
た後、粉砕して使用してもよい。
【0012】本発明の有害物質の除去方法は、前記有害
物質除去剤に、有害物質を含有する気体を接触させ、光
を照射するものである。
【0013】本発明に用いる光は、紫外線を含む光であ
る。特に波長400nm〜200nmの近紫外線を含む
光は、除去効率が高くなるので好適である。光には、紫
外線以外の可視光線、赤外線を含んでいても良い。
【0014】光を照射する方法は、超高圧水銀灯、キセ
ノン灯、低圧水銀灯等の紫外線照射灯によって光を発生
させ、本発明の有害物質除去剤の表面に照射すればよ
い。光を照射する際、紫外線照射灯を有害物質除去剤に
可能な限り近づけて照射することが除去効率を向上させ
るので好ましい。
【0015】本発明の有害物質の除去方法は、通常、−
20〜150℃の温度範囲で行うことができる。−20
℃未満では紫外線照射灯の光度が低下するので除去効率
が低下傾向になり、150℃を超えると紫外線照射灯の
電気効率が低下するので、実用的でなくなる傾向にあ
る。圧力その他の条件は紫外線照射灯が使用可能な環境
であればよい。
【0016】本発明を適用できる有害物質は、メルカプ
タン類、アンモニア、硫化水素、アミン類などの悪臭物
質およびエチレンなどの成長促進物質である。有害物質
を含有する気体において、その有害物質の濃度は、通
常、0.1ppm〜10重量%である。0.1ppm未
満では、有害物質除去剤と有害物質とが接触する確率が
低くなるので除去効率が低下傾向になる。10重量%を
超えると有害物質の除去効率が低下傾向になる。有害物
質を含有する気体には、有害物質の除去効率が高くなる
ので、酸素が共存することが好ましい。
【0017】有害物質を含有する気体を有害物質除去剤
に接触させる方法は、特に限定されない。たとえば、有
害物質除去剤を設置した反応器に、ファンなどを用いて
有害物質を含有する気体を導入する方法が挙げられる。
【0018】本発明の除去方法において、前記有害物質
除去剤の使用量は、有害物質の種類、光の照度などによ
り異なる。しかし、同一操作条件においては、半導体を
単独で使用して除去する方法や、半導体と粘土とを練り
合わせて得られる除去剤を使用して除去する方法に比較
して、本発明の除去方法では、有害物質除去剤の除去性
能が高いので、有害物質除去剤の使用量は少なくてす
む。
【0019】本発明の有害物質除去装置は、紫外線照射
灯と、その周りに形成される前記有害物質除去剤からな
る触媒層と、該灯と該触媒層との間隙に、有害物質を含
有する気体を流通させるための手段とからなるものであ
る。
【0020】紫外線照射灯としては、前記光を照射する
方法において挙げたものが挙げられる。紫外線照射灯の
大きさ及び形状は、通常、長さ1〜200cm、直径
0.2〜10cmの棒状のものである。紫外線照射灯
は、通常、0℃以下の温度条件下では光度が低下傾向に
なるので、紫外線照射灯に送電するためのソケット及び
バラストを保温することが好ましい。保温の方法は、通
常、ソケット及びバラストの周りを保温材で包む方法が
採られる。逆に、40℃を超える温度条件下でも光度が
低下傾向になるので、放熱板を取り付けるか、水冷又は
空冷装置を取り付けることが好ましい。
【0021】触媒層は、前記有害物質除去剤からなるも
のである。この触媒層は、紫外線照射灯から照射される
光を受け得る範囲で、紫外線照射灯を囲むように設置さ
れ、有害物質を含有する気体の吸い込み口と吐き出し口
とを有する筒状のものである。触媒層は、有害物質除去
剤自体を円筒状、三角筒状、四角筒状などの筒状に形成
したもの、有害物質除去剤の粉粒体を筒状の触媒層保持
部内面に保持させたもの(図6)などいずれでもよい。
また図3のごとく紫外線照射灯の取り外しが容易にでき
るように筒の一部を取り除いた形状のものでもよい。該
筒の両端には開口部があり、それぞれ有害物質を含有す
る気体の吸い込み口又は吐き出し口となる。触媒層の長
さは、紫外線照射灯の長さと同じであり、通常、1〜2
00cmである。触媒層の厚みは、通常、30mm以
下、好ましくは1〜10mmである。30mmを超える
と有害物質除去剤の使用量に対する除去効率が低下傾向
になる。触媒層の内直径は、紫外線照射灯の直径より大
きいものであり、通常0.3〜60cmである。
【0022】紫外線照射灯に対向する触媒層の内面は、
通常、平らな面、好ましくは波状又は凹凸状の面(図4
及び図5)である。波状又は凹凸状の面であると触媒層
の表面積が大きくなり、また有害物質を含有する気体の
流れを乱すので、有害物質が触媒層に接触しやすくなり
除去効率が高くなる。
【0023】触媒層は、通常、半導体と水硬性化合物と
を水で練り合わせた後、筒状の型に流し込み凝集させて
得るか又は任意形状の型あるいは容器に流し込む凝集さ
せた後破砕し、その破砕物を接着剤等を用いて筒状の触
媒層保持部に付着させて得る。なお、触媒層保持部は、
触媒層が移動しないように保持できる筒状のものであ
る。
【0024】紫外線照射灯と、触媒層との間隙は、その
間隙長が、通常、1〜500mm、好ましくは5〜10
0mmである。1mm未満では有害物質を含有する気体
を送り込むことが難しくなる傾向になり、逆に500m
mを超えると有害物質の除去性能が低下傾向になる。紫
外線照射灯と触媒層との間隙には、有害物質を含有する
気体の流れを乱し、有害物質が触媒層に接触しやすくす
るために、整流板、邪魔板などを設置することができる
(図6)。
【0025】有害物質を含有する気体を流通させるため
の手段は、紫外線照射灯と触媒層との間隙に有害物質を
含有する気体を流通させるものである。気体を流通させ
るための手段としては、通常、遠心ファン、軸流ファ
ン、差圧送風機等が挙げられる。この気体を流通させる
ための手段は、触媒層の気体吸い込み口又は吐き出し口
のいずれかの部分に取り付ける。
【0026】有害物質触媒装置に流通させる有害物質を
含有する気体の量は、空塔速度で通常、10〜600,
000kg/cm2・hr、好ましくは20〜3,000
kg/cm2・hr、さらに好ましくは20〜250kg
/cm2・hrである。10kg/cm2・hr未満では、
有害物質を含有する気体の処理量が少なくなる傾向にあ
り、600,000kg/cm2・hrを超えると有害物
質の除去効率が低下傾向になる。
【0027】本発明の有害物質除去装置は、紫外線照射
灯を点灯し光を照射させた状態で、有害物質を含有する
気体を流通させるための手段を作動させて有害物質を含
有する気体を触媒層と紫外線照射灯の間隙に流通させて
使用する。本発明の有害物質除去装置の設置場所として
は、通常、有害物質を含有する気体が充満した容器ある
いは部屋の中に又は該容器あるいは部屋から気体を取り
出す穴と本発明装置の気体吸い込み口とを接続し且つ本
発明装置の気体吐き出し口と容器あるいは部屋に気体を
送り込む穴とを接続して該容器あるいは部屋の外側に設
置する。
【0028】本発明の有害物質除去剤の好適な態様を以
下に示す。 (1) 水硬性化合物が硫酸カルシウム又はこれを主原
料として得られる焼石膏である本発明の有害物質除去
剤。 (2) 半導体に貴金属を担持させたものを、水硬性化
合物の水和凝集物に分散してなる本発明の有害物質除去
剤。 (3) 半導体が酸化チタンである本発明の有害物質除
去剤。 (4) 半導体と、水硬性化合物との重量比が10:1
〜1:10である本発明の有害物質除去剤。
【0029】本発明の有害物質除去方法の好適な態様を
以下に示す。 (1) 有害物質を含有する気体が、酸素を共存するも
のである本発明の除去方法。 (2) 光が、波長400〜200nmの近紫外線を含
む光である本発明の除去方法。
【0030】本発明の有害物質除去装置の好適な態様を
以下に示す。 (1) 触媒層表面が波状又は凹凸状になっている本発
明の有害物質除去装置。 (2) 触媒層と紫外線照射灯との間隙に邪魔板又は整
流板が設置されている本発明の有害物質除去装置。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、少ない使用量で、迅速
に、効率よく有害物質を除去することができる有害物質
の除去剤および除去方法が得られる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。なお、実施例中の部は特に断わりのない限
り、重量基準である。
【0033】本実施例で行った評価方法は以下のごとく
である。 (有害物質除去剤のエチレン除去性能)有害物質除去剤
10gを1.2lの無色透明なアクリル容器内に投入
し、濃度6ppmのエチレンを含有する空気でアクリル
容器内を置換した後、密栓した。次に有害物質除去剤か
ら25mmの距離に設置された超高圧水銀灯(70W、
主波長365nm)を用いて光を照射した。光照射中、
容器内は常圧で温度20〜25℃であった。容器内のエ
チレンの濃度をガスクロマトグラフィーで測定し、その
経時変化を追跡し、エチレンの除去性能を評価した。
【0034】実施例1 二酸化チタン(アナターゼ型)10部と焼石膏(吉野石
膏製、B級)10部とを混合し、これに水20部を徐々
に添加しながら、ミキサーを用いて練り合わせて混練物
を得た。つぎに直径50mmの円筒状アルミ皿に該混練
物20部を流し込み、20℃の雰囲気中に12時間放置
し、さらに120℃のオーブン内に5時間放置して、有
害物質除去剤を得た。
【0035】実施例2 実施例1において、焼石膏の量を30部に、水の量を4
0部にそれぞれ変えた他は実施例1と同じ方法で有害物
質除去剤を得た。
【0036】実施例3 実施例1において、二酸化チタンの量を20部に、水の
量を30部にそれぞれ変えた他は実施例1と同じ方法で
有害物質除去剤を得た。
【0037】実施例4 実施例1において、焼石膏の代わりに硫酸カルシウム半
水和物を用いた他は実施例1と同じ方法で有害物質除去
剤を得た。
【0038】比較例1 二酸化チタン10部と笠岡粘土30部とを混合し、これ
に水40部を徐々に添加しながら、ミキサーを用いて練
り合わせて混練物を得た。つぎに直径50mmの円筒状
アルミ皿に該混練物20部を流し込み、20℃の雰囲気
中に12時間放置し、さらに120℃のオーブン内に5
時間放置して、除去剤を得た。
【0039】比較例2 二酸化チタン10部を、粉体圧縮成形機を用いて直径5
0mm厚さ5mmの円筒状に成形した後、120℃のオ
ーブン内に5時間放置して除去剤を得た。
【0040】比較例3 焼石膏15部に水15部を徐々に添加しながら、ミキサ
ーを用いて練り合わせて混練物を得た。つぎに直径50
mmの円筒状アルミ皿に該混練物20部を流し込み、2
0℃の雰囲気中に10分間放置した。次に、アルミ皿に
流し込んだ焼石膏の混練物の表面に、二酸化チタン0.
5部を振りかけた後、さらに20℃の雰囲気中に12時
間放置して除去剤を得た。
【0041】
【表1】
【0042】表1から、二酸化チタンと粘土との混練物
からなる除去剤(比較例1)は、エチレンなどを除去で
きるが、除去性能は低いことがわかる。二酸化チタンの
成形物からなる除去剤(比較例2)では除去性能が低い
ことがわかる。二酸化チタンを石膏に担持して得られる
除去剤(比較例3)は、除去性能が低いことがわかる。
これに対して、本願発明によれば、石膏などの水硬性化
合物の水和凝集物の中に二酸化チタンが分散してなる有
害物質除去剤は、除去性能が高く、エチレンを効率的に
除去できることがわかる。
【0043】実施例5 図1は本発明の有害物質除去装置の一例である。紫外線
照射灯(1)、ソケット(2)、触媒層(3)、触媒層
保持部(4)及びファン(5)からなるものである。触
媒層は、長さ550mm、筒外面の一辺長さ55mmの
四角形中筒を、長さ550mm、筒内面の一辺長さ65
mmの四角形外筒に差込み、その間隙に実施例1と同じ
方法で得られた混練物を流し込み、水和凝集させた後、
中筒を取り除き、厚さ5mmの触媒層を四角形外筒の内
面に形成したものである。触媒層保持部は塩化ビニル樹
脂製の前記四角形外筒からなる。紫外線照射灯は長さ5
80mm、直径32mmの20W蛍光灯である。紫外線
照射灯は、触媒層が固定された前記筒に挿入されてい
る。紫外線照射灯と触媒層との最小間隙長は11.5m
mである。ファンは触媒層の気体吸い込み口に取付けて
ある。この有害物質除去装置に、エチレンを5ppm含
有する、温度23℃の空気を、空塔速度22.8kg/
cm2・hrで送り込んだ。装置出口におけるエチレン濃
度は1.3ppmであった。
【0044】実施例6 図2は、有害物質除去装置の触媒層の一例を示す図であ
る。この触媒層は長さ550mm、外直径48mmの塩
化ビニル樹脂製の内管を長さ550mm、内直径67m
mの塩化ビニル樹脂製の外管に差込み、その間隙に実施
例1と同じ方法で得られた混練物を流し込み、水和凝集
させた後、内管を取り除き、厚さ9.5mmの層を外管
の内面に形成したものである。紫外線照射灯、ファンは
実施例5と同じである。この装置を、エチレンを1.5
ppm含有する空気が充満した、温度5℃、4.5m3
の部屋に設置し、空塔速度228kg/cm2・hrで3
時間運転した。部屋のエチレン濃度は0.1ppmにな
った。なお、図3は、図2の有害物質除去装置におい
て、紫外線照射灯を取り外した状態を示す図である。触
媒層の形状を図3のごとくすることにより紫外線照射灯
の交換が容易にできる。
【0045】実施例7 図7は、有害物質除去装置の触媒層の一例を示す図であ
る。この触媒層は、長さ550mm、内直径67mmの
塩化ビニル樹脂製の管の内面に、ウレタン樹脂エマルジ
ョン型バインダー(スーパーフレックス、第一工業製薬
社製)を乾燥膜厚0.5mmとなるように塗布した後、
その塗布面に実施例1で得られた有害物質除去剤を平均
粒子径5mmに破砕したものを散布し、接着したもので
ある。実施例6と同様にして運転した。部屋のエチレン
濃度は0.08ppmになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有害物質除去装置の例の図である。
【図2】 触媒層を円筒状にした例の図である。
【図3】 図2の有害物質除去装置において、紫外線照
射灯を取り外した状態を表した図である。
【図4】 触媒層内面を波状面にした例の図である。
【図5】 触媒層内面を波状面にした別の例の図であ
る。
【図6】 紫外線照射灯と触媒層との間隙に邪魔板を取
り付けた例の図である。
【図7】 触媒層として、破砕した有害物質除去剤を付
着させたものを用いた例の図である。
【符号の説明】
1・・・紫外線照射灯 2・・・ソケット 3・・・触媒層 4・・・触媒層保持部 5・・・ファン 6・・・邪魔板 7・・・紫外線照射灯台座

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水硬性化合物の水和凝集物に、0.5〜
    5eVの禁止帯幅を有する半導体が分散してなることを
    特徴とする有害物質除去剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の有害物質除去剤に、有害
    物質を含有する気体を接触させ、光を照射することを特
    徴とする有害物質の除去方法。
  3. 【請求項3】 紫外線照射灯と、その周りに形成される
    請求項1記載の有害物質除去剤からなる触媒層と、該灯
    と該触媒層との間隙に有害物質を含有する気体を流通さ
    せるための手段とからなる有害物質除去装置。
JP05341505A 1993-03-24 1993-12-10 悪臭物質または成長促進物質の除去方法ならびにそれらの除去装置 Expired - Fee Related JP3123330B2 (ja)

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