JPH06327180A - 回転電機の水路付固定子枠体及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 軽合金材料を用いた水路付固定子枠体にお
いて、モータの超寿命化及びより過酷な条件下での使用
を可能にし、且つ冷却性の向上等の性能をあわせもつ事
を可能とすることである。また、水路流入口部分と固定
子枠体部分を適且機種毎に選択組み合わせ出来る利用範
囲の広い水路付固定子枠体とその製作方法を提供する。 【効果】 水中ポンプ用モータの水路付固定子枠体の
水路流入口部分及び下部軸受ハウジング部に鉄鋼材料を
用いる事により、水路付固定子枠体の耐久性が向上しモ
ータのより長寿命化が図れる。また、モータの固定子鉄
心を装着する固定子枠体部分にアルミニウム等の材料を
使用する為、冷却作用の向上が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は消失模型鋳造法におい
て、溶解鋳造用金属を注入して形成される水中モータ等
回転電機の固定子枠体の構造及び製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】水中モータポンプは例えば建設工事現場
における湧き水の排水用として土砂を含む水中に設置さ
れるものがあり、その構造例を図５に示す。図５におい
てポンプ本体１はモータケーシング２とポンプケーシン
グ３とで形成されている。モータケーシング２はモータ
室４とオイル室５とを有しており、このモータケーシン
グ２の外側面には円弧形の水路６が鋳造により一体形成
され、固定子枠体７と上部軸受ブラケット８に分離され
る。下部軸受ハウジング９は、固定子枠体７とも一体と
なっている。ポンプケーシング３にはポンプ室３ａが形
成され、下部には吸込口１０と吐出口１１が形成されて
いる。この吐出口１１はモータケーシング２の固定子枠
体７の水路６に接合面シール用パッキン１２を介し接続
されている。

【０００３】そして、モータ室４にはモータ１３がポン
プ室３ａにはインペラ３ｂが配設され、これらは各室を
仕切る仕切り壁３ｃ，９ａを貫通する回転軸１４により
直結され、オイル室５は軸封部材１５ａ，１５ｂにより
回転軸１４とで油封されている。また、この回転軸１４
はモータ側軸受１６ａ，１６ｂにより軸支される。

【０００４】従来この種の縦形水中ポンプ用モータで
は、小形軽量化による可燃性向上並びにモータの冷却性
の向上を目的として、固定子枠体や軸受ブラケット等の
モータケーシングに軽合金材料であるアルミニウムを使
用する場合があり、固定子枠体を形成する製造手段とし
て、鋳造，ダイキャスト等により製作していた。これら
の固定子枠体を用いた縦形水中ポンプ用モータとして図
６に示す構成のものがある。

【０００５】この図６について説明すると、固定子鉄心
１７は固定子枠体７に装着固定されており、固定子枠体
７と一体化した下部軸受ハウシング９に対し上部軸受１
６ａと下部軸受１６ｂによって支承回転する回転子１８
と一体固定された回転軸１４によって構成されている。
上部軸受ブラケット８と固定子枠体７の接合面にはＯリ
ング１９が装着してある。また上部軸受ブラケット８と
固定子枠体７の水路６接合面はシール用パッキン２０に
よってシールされている。

【０００６】ポンプ排水は、上記吸込口１０から吸引し
インペラ３ｂを介しポンプケーシング３の吐出口及び固
定子枠体７の水路６を経由し、モータを冷却しつつ上部
軸受ブラケット８の吐出口から外部に排出される。これ
らの水中ポンプは用途およびポンプ性能面から、同一定
格のモータであっても水路６の形状並びに通水面積を変
化させて、夫々の要求に合った形状で製作されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】この様に、アルミニウ
ム製で成る軽合金材料で円弧形の水路を一体鋳造した固
定子枠体を使用する水中ポンプ用モータは、土砂を含む
排水が水路を常時通過する為、特にポンプケーシングか
ら固定子枠体の水路への流入口部分を中心に局部摩耗を
生じる等、水路部の摩耗耐久性能の低下が生じていた。
従って、排水中に多量の土砂が混入する様な条件下では
モータの寿命が短くなったり、場合によっては適用出来
ない等の問題があった。

【０００８】また、下部軸受ハウジングには、軸受外輪
の移動回転による軸受ハウジングの摩耗防止の為、鋳物
或いは鋼材等の耐摩耗性を有する材料を一体鋳造する必
要があった。更に、これら水路を一体鋳造した固定子枠
体を使用する水中ポンプ用モータにおいては、用途によ
り水路面積を変える様な場合に夫々固定子枠体を製作す
る金型を機種毎に製作しなければならず不経済であっ
た。

【０００９】本発明の目的は上記した様な欠点を改良し
たもので、軽合金材料を用いた水路付固定子枠体におい
て、モータの超寿命化及びより過酷な条件下での使用を
可能にし、且つ冷却性の向上等の性能をあわせもつ事を
可能とすることである。また、水路流入口部分と固定子
枠体部分を適且機種毎に選択組み合わせ出来る利用範囲
の広い水路付固定子枠体とその製作方法を提供する事を
目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題点を
解決するため、水路付固定子枠体の製作方法として消失
模型鋳造法を用いるものである。消失模型鋳造方法は鋳
造する製品と同一形状の発泡ビーズから成る模型を鋳物
砂の中に埋設し、鋳造する溶融金属の熱により模型を蒸
発消失させ、そこに溶融金属を充填鋳造する方法であ
る。鋳鉄材料から成る水路流入口部分並びに下部軸受ハ
ウジング部分と消失模型により製作した固定子枠体部分
を組み立て、前記消失模型鋳造法により水路の一部を軽
合金材料の固定子枠体に鋳ぐるみ製作した構成に特徴を
有する。

【００１１】

【作用】水中ポンプ用モータの水路付固定子枠体の水路
流入口部分および下部軸受ハウジング部に鉄鋼材料を用
いる事により、水路付固定子枠体の耐久性が向上しモー
タのより長寿命化が図れる。また、モータの固定子鉄心
を装着する固定子枠体部分にアルミニウム等の材料を使
用する為、冷却作用の向上が図れる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例につき図１から図４
を参照し説明する。図１において、前記従来例の図７と
同一部品は同一記号を使用しその説明は省略する。ここ
で２７は水路付固定子枠体である。２７ａは消失模型に
よりアルミニウム材料を用いて製作する水路付固定子枠
体２７の胴体枠であり、２７ｂは鋳鉄材料で形成した水
路付固定子枠体２７の軸受ハウジング付枠（以下ＢＨ付
枠と呼ぶ）で、水路流入口部分６ａおよび下部軸受ハウ
ジング（以下下部ＢＨ付枠と呼ぶ）９等から成る。

【００１３】図２は図示しない発泡ビーズから成る消失
模型を用い、アルミニウム材料を用いて製作する胴体枠
２７ａを示す斜視図である。図３は図１に示す鋳鉄材料
で形成するＢＨ付枠２７ｂの水路流入口２６ａおよび下
部ＢＨ付枠２９の斜視図で、水路２６は鋳造により製作
し消失模型との接合基準面２７ｃは鋳造後に旋削加工が
施される。この接合基準面２７ｃに対し、図２に示す胴
体枠２７ａの消失模型２７ａａの端部２７ｄｄを当該に
接着させ、図４に示す水路付固定子枠体消失模型７７７
を製作する。

【００１４】この消失模型の表面に塗型によるコーティ
ングを行い、水路付固定子枠体消失模型７７７をフラス
コの中に設置し、そのフラスコに振動を加えながら砂込
めを行う。この時、ＢＨ付枠２７ｂは消失模型２７ａａ
と共に直接砂の中に一体化状態で埋設保持され、砂込め
完了後消失模型２７ａａに鋳造用溶融金属としてアルミ
ニウムを注入する事により、消失模型２７ａａを蒸発消
失させ空洞部に溶融金属が充填されるため、ＢＨ付枠２
７ｂを鋳ぐるみ一体化したアルミニュウム材料の複合材
料から成る固定子枠体２７が形成される。

【００１５】以上の構成によって、ポンプ排水は吸込口
１０から吸引しインペラ３ｂを介し、ポンプケーシング
３を経由し固定子枠体７の水路６により整流され、モー
タ部を冷却しつつ上部軸受ブラケット８の吐出口外部に
排出される。水流がポンプケーシング３を出て固定子枠
体２７の水路部２６へ流入口付近２６ａで整流される
為、この水路流入口２６ａ付近では水路摩耗が最も生じ
やすくなる。

【００１６】しかし、水路付固定子枠体２７の水路部分
２７ｂに耐摩耗性，耐久性に優れた鋳鉄材料を用いる事
ができる様になる為、排水中に多量の土砂が混入する様
な水中ポンプ用モータの使用条件下においても軽合金材
料を用いた水路付固定枠体２７の適用が可能となり耐久
性が向上する。

【００１７】本実施例によれば、軽合金材料を用いた水
路付固定子枠体２７の水路２７ａの耐摩耗性，耐久性が
向上する為、従来より水中ポンプ用モータの耐久性が向
上しモータのより長寿命化が実現できる。

【００１８】

【発明の効果】以上の様に本発明によれば、軽合金材料
を用いた水中ポンプ用モータの水路付固定子枠体の耐久
性を向上させ、従来では適用できなかった様な多量の土
砂混入水の排水用にも適用できるようになった。また、
モータの冷却に最も有効な部分はアルミニウム材により
形成されており、効率よく冷却出来る為、モータの小形
軽量化に対しても効果がある。更に同一の水路流入口側
固定子枠体を用いて、適宜水路面積の異なる機種への応
用拡大等、利用範囲の広い水路付固定子枠体の製作方法
を提供する事が出来る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の水中モータの断面図，

【図２】本発明の水中モータの消失模型を用いた固定子
枠体の斜視図，

【図３】本発明による鋳鉄材料で形成する水路付固定子
枠体の斜視図，

【図４】本発明の水中モータの固定子枠体消失模型の斜
視図，

【図５】従来の水中モータポンプの構造断面図，

【図６】従来の水中モータ断面図。

【符号の説明】

６，２６…水路、 ６ａ，２６ａ…水路
流入口、７，２７…固定子枠体、 ７ａ，２７
ａ…固定子枠体、７ｂ…鋳鉄材料の固定子枠体、 ２
７ｃ…消失模型接合基準面、２７ｄ…消失模型の端部、
８…上部軸受ブラケット。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転電機の固定子枠体において、鋳鉄材
   料から成る水路付の軸受ブラケットと、消失模型鋳造法
   により軽合金材料で成る水路付の固定子枠体とで水密一
   体構造に形成したことを特徴とする回転電機の水路付固
   定子枠体。
2. 【請求項２】 回転電機の水路付固定子枠体の製造方法
   において、水路付固定子枠の胴体枠と、この胴体枠の一
   方端と当接し耐摩耗性を有する鋳鉄材料から成る水路付
   軸受ブラケット部とを備え、前記胴体枠を消失模型で形
   成し、この消失模型の一方端を前記水路付軸受ブラケッ
   トのインロウ部に嵌込み、消失模型に軽合金材を鋳込み
   水路付固定子枠の胴体枠と水路付軸受ブラケット部とを
   水密一体に形成したことを特徴とする回転電機の水路付
   固定子枠体の製造方法。