JPH0632614A - 耐火被覆材 - Google Patents

耐火被覆材

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JPH0632614A
JPH0632614A JP21092292A JP21092292A JPH0632614A JP H0632614 A JPH0632614 A JP H0632614A JP 21092292 A JP21092292 A JP 21092292A JP 21092292 A JP21092292 A JP 21092292A JP H0632614 A JPH0632614 A JP H0632614A
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JP
Japan
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inorganic
coating
steel
coating material
refractory
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JP21092292A
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Kazuki Inoue
一樹 井上
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AMUKO ENTERP KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 充分な耐火性を発揮するとともに所定の表面
硬度を有する耐火被覆層を形成して、運搬時に取扱いや
すくまた建築現場での作業を大幅に改善できる耐火被覆
材を提供する。 【構成】 鋼材の表面に被覆される耐火被覆材におい
て、無機質結合材と、一般式M2O・nTiO2(式中、
符号Mはアルカリ金属を、符号nは4以上の整数をそれ
ぞれ表す)で表されるチタン酸アルカリから選ばれる少
なくとも一種と、無機質の加熱膨張材、並びに有機質及
び無機質の複合体からなる加熱膨張材から選ばれる少な
くとも一種と、無機質高温溶融結合材及び焼結助材から
選ばれる少なくとも一種とを配合してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築構造物等の鋼材に
被覆する耐火被覆材の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】ビルディング等の建築構造物の柱や梁に
は、鉄骨等の各種の鋼材が使用されている。かかる建築
物が万一火災にあうと、建築物は非常な高温にさらされ
ることとなり、遂には鉄骨等が高熱により曲がってしま
い建物の倒壊を招くこととなる。
【0003】そこで、我国の建築基準法は、建物内の人
間が避難できる時間を確保するために、所定の大きさ以
上のビルディングに使用される上記鉄骨等の鋼材には耐
火被覆を行うことを義務づけている。例えば、ビルディ
ングの上部に使用される鋼材には1時間の加熱時間に耐
え得るような耐火性能が、同じく下部の鋼材には2乃至
3時間の加熱時間に耐え得るような耐火性能が、それぞ
れ求められている。
【0004】そのために、鋼材には耐火被覆が行われて
いるが、その手段としては従来から以下の4つの方法が
採られている。第1の方法としては、まず、ロックウー
ル及びセラミックウール等の無機繊維と、焼成バーミキ
ュライト、石膏、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム
等の無機質耐火材と、ポルトランドセメント等の無機質
結合材と、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分
子からなる結合助材とを水に混合して無機繊維配合系の
被覆用液を作成する。そしてこの被覆用液を、1乃至3
時間の耐火性能に応じて厚み25乃至60mmの範囲で所
定の厚みまで鉄骨に吹付ける湿式耐火被覆の方法があ
る。
【0005】第2の方法としては、炭酸カルシウム、水
酸化アルミニウム、石膏、焼成バーミキュライト、珪酸
カルシウム等のセラミック系耐火材と、ポルトランドセ
メント、水ガラス等の無機質結合材と、カルボキシメチ
ルセルローズ等の水溶性高分子からなる結合助材と、水
とを混合し、このセラミック系の混合物を、鉄骨鋼材に
1乃至3時間の耐火性能に応じて厚み20乃至40mmの
範囲で所定の厚みまで吹付ける湿式耐火被覆の方法があ
る。
【0006】第3の方法としては、低密度ゾノトライト
系の珪酸カルシウム成型板を、1乃至3時間の耐火性能
に応じて厚み25乃至55mmの範囲で所定の厚みに成型
し、これを鉄骨鋼材の表面に耐火接着材により接着する
とともに釘止めする乾式耐火被覆方法がある。
【0007】第4の方法としては、ロックウール又はセ
ラミックウール等の耐火マットからなるワイヤードブラ
ンケットを、1乃至2時間の耐火性能に応じて厚み35
乃至60mmの範囲で所定の厚みにして、鉄骨鋼材の加工
工程で溶接ピン止めする先付け乾式耐火被覆方法があ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の耐火被覆方
法のうち、第1の方法は、材料価格及び施工コストが安
価であるため現在主流をなす方法となっている。しかし
ながらこの方法は、建築現場での高所作業によるため作
業が非常に危険である、吹付け作業時に粉塵発生が多く
作業環境が悪い、湿式であるため被覆材が乾燥するまで
の養生期間が長くなり、そのため養生期間中は他の工事
を停止せざるを得ず工期の短縮化が困難である、被覆材
がひび割れを起こしたり剥離する恐れがある等の課題が
ある。
【0009】また、上記第2の方法は、上記第1の方法
での粉塵発生を改良したタイプであるが、該第1の方法
での他の課題は依然として解決されていない。
【0010】さらに、上記第3の方法は、鉄骨柱等が露
出する部分など表面硬度を必要とする場所の耐火被覆に
は効果的であり、また乾式であるため養生が不要となり
工期が比較的短くなる等の利点はある。ところが、建築
現場において珪酸カルシウム成型板を切断加工する際に
粉塵が大量に発生して作業環境を悪化させる、曲面加工
ができない、成型板が破損し易い、材料価格が高い等の
課題がある。
【0011】また、上記第4の方法は、上記第1乃至第
3の方法で必要であった建築現場での作業を極力少なく
するために開発された耐火被覆工法である。この方法
は、あらかじめ鋼材の加工工程で耐火被覆が施された鉄
骨鋼材を建築現場に持込んで建込むといういわゆる先付
け方式の乾式耐火被覆工法である。この方法によれば危
険な作業を少なくして工期を短縮化できるものの、鉄骨
鋼材の接合部の耐火被覆は建込み後の建築現場での作業
に頼らなければならず、合理的な工法としては未だ確立
されていない。更に、この第4の方法は材料価格が高く
なり、また鋼材の建込みまでの運搬時や取扱い時に被覆
材が破損することがあるのでその補修作業を行わなけれ
ばならないことも多い等の課題がある。
【0012】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたもので、充分な耐火性能を発揮するとともに所定
の表面硬度を有する耐火被覆層を形成して、運搬時に取
扱いやすく、また建築現場での作業を大幅に改善できる
耐火被覆材を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】近年、建築現場での作業
を合理化して施工コストの低減と工期の短縮化とを実現
するために、従来の耐火被覆材に替わるものとして耐熱
鋼材(FR鋼材:FireResistant鋼) の開発が進められ
ている。このFR鋼材は、鋼材の耐熱性を向上させると
ともに耐火被覆材の厚みを大幅に薄くさせることができ
るものである。かかるFR鋼材は、普通の鋼材にニッケ
ル、クロム及びモリブデン等を加えることにより、一般
鋼材の耐熱温度(例えば350乃至400℃等、常温規
格値の耐力の2/3以下となる温度をいう)と比較し
て、より高温(例えば600℃)の耐熱温度を有してい
る。このFR鋼材を使用すれば、1時間程度の耐火性能
が要求されている場合には耐火被覆は不要であるが、2
乃至3時間の耐火性能に関しては、被覆の厚みは大幅に
小さくなるが耐火被覆を行なう必要があり、耐火被覆が
不要となるレベルにまでは未だ技術的に到達していな
い。また、仮に無耐火被覆が可能なレベルにまで到達で
きたとしても、別途防錆処理等の対策が必要である。
【0014】このように、一般鋼やFR鋼等の鋼材に、
簡便に先付け方式による耐火被覆材を被覆する手段の実
現が待たれている。かかる簡便な耐火被覆の手段に要求
される性能としては、例えば第1に、建込み以前に鉄骨
鋼材にペイント仕上げのような薄い塗膜層による耐火被
覆が可能であり、この耐火被覆層が、建築現場への搬入
時や、建込み等の取扱い時に破損しない程度の表面硬度
を有しており、したがって補修作業が不要であること、
第2に、耐火性、耐熱水性及び耐候性に優れているこ
と、第3に、建込み後に鉄骨鋼材の接合部の耐火被覆処
理作業を行う場合にこの作業が簡便にできること、第4
に、耐火被覆材に防錆性があること、第5に、仕上がり
外観が美しく、ペイント仕上げ等の余分な鉄骨表面仕上
げが不要で、表面が露出した状態で鉄骨鋼材を使用可能
であること、等を満足させることにある。
【0015】本発明者は、上記第1乃至第5の性能を有
する耐火被覆材について研究を続けた結果、本発明を完
成させるに至った。即ち、本発明は、鋼材の表面に被覆
される耐火被覆材において、この耐火被覆材は、無機質
結合材(成分a)と、一般式M2O・nTiO2(式中、
符号Mはアルカリ金属を、符号nは4以上の整数をそれ
ぞれ表す)で表されるチタン酸アルカリから選ばれる少
なくとも一種(成分b)と、無機質の加熱膨張材、並び
に有機質及び無機質の複合体からなる加熱膨張材から選
ばれる少なくとも一種(成分c)と、無機質高温溶融結
合材及び焼結助材から選ばれる少なくとも一種(成分
d)とを配合してなるものである。
【0016】以下、本発明をさらに詳述する。本発明に
おける成分aである無機質結合材としては、リン酸アル
ミニウム塩が用いられることもあるが、珪酸アルカリ及
びコロイダルシリカから選ばれる少なくとも一種が用い
られることもある。上記リン酸アルミニウム塩として
は、第一リン酸、第二リン酸、メタリン酸、及び縮合リ
ン酸の、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシ
ウム、及びアルミニウムの一種以上の塩の単独の場合が
あるが、この他に、酸化マグネシウム、水酸化マグネシ
ウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、四三酸化
鉄、及び活性炭酸アルミニウム等の硬化剤と上記塩とを
併用したタイプのものを使用することもできる。上記珪
酸アルカリ及びコロイダルシリカとしては、例えば、珪
酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アン
モン、珪酸アミンを例示することができ、またシリカゾ
ルと呼ばれる高分子無水珪酸のコロイド溶液も例示する
ことができる。
【0017】成分bである上記チタン酸アルカリは、熱
反射に優れて且つ上記無機質結合材(成分a)の造膜助
材としての作用をなすものが望ましく、例えば一般式M
2O・nTiO2 における符号Mとしてはリウチム、ナ
トリウム、カリウム等があり、また繊維状のチタン酸ア
ルカリが充分な耐火性を有しており好ましい。なお、一
般式中の符号nは4以上の整数であるが、これはn=3
以下の場合には充分な耐火性を発揮しないからである。
【0018】成分cである加熱膨張材のうち無機質系の
ものとしては未焼成のバーミキュライトがあるが、その
他に頁岩、シラス、真珠岩、黒曜石等の発泡性珪酸塩と
グラファイト等を混合した鉱物粉末があり、これらは、
500乃至1000℃に加熱された場合に結晶水や揮発
性成分を蒸散させて体積膨張する性質を有している。ま
た、上記加熱膨張材のうち有機質及び無機質の複合体か
らなるものとしては、モノエリスリトール、ジエリスリ
トール、トリエリスリトール及びペンタエリスリトール
等のヒドロキシル基を3個以上含有する多価アルコール
と、ポリリン酸アンモニウムやポリリン酸カリウム等の
ポリリン酸塩(又はその他のリン酸塩)とを組合せた有
機質・無機質複合物粉末があり、これらは200乃至6
00℃に加熱された場合に、脱水、縮合及び炭化して体
積膨張する性質を有している。
【0019】成分dである無機質高温溶融結合材及び焼
結助材としては、酢酸鉛、安息香酸鉛、蓚酸鉛、オクチ
ル酸鉛、炭酸鉛、硝酸鉛、クエン酸鉛、モリブデン酸
鉛、メタホウ酸鉛、酸化鉛、水酸化鉛、鉛丹等の鉛化合
物や、酢酸第一スズ、硫酸第一スズ、蓚酸スズ、酸化ス
ズ、水酸化スズ、酸化第一スズ等のスズ化合物や、ホウ
酸、ホウ砂、コレマナイト、ウレキサイト等のホウ素系
化合物や、セピオライト、アタパルジャイト、低融点フ
リット等の珪酸塩化合物を例示できる。これらの物質
は、500℃以上に加熱された場合に溶融して高温結合
材として作用するか、又はチタン酸アルカリ(成分b)
と焼結する焼結助材として作用する。
【0020】上記成分a乃至dに、さらに無機質化合物
及び有機質化合物から選ばれる少なくとも一種の防錆材
(成分e)を配合すれば錆の発生を防止でき好ましい。
この防錆材としては、カプロン酸、カプリル酸、ラウリ
ル酸、ミリスチン酸等の脂肪族1塩基酸や、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族2塩基酸や、
ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸、アミノ安息香酸、
ケイ皮酸、ニトロケイ皮酸、トルイル酸、クミン酸、ブ
チル安息香酸等の芳香族1塩基酸や、フタル酸、ニトロ
フタル酸等の芳香族2塩基酸や、2−エチルヘキシルア
ミノプロピオン酸、シクロヘキシルアミノプロピオン
酸、アミノラウリル酸、アミノミリスチン酸、アミノカ
プリル酸、アミノカプリン酸、アミノパルミチン酸等の
アミノカルボン酸を例示でき、さらに鉛塩、亜鉛塩、又
はクロム塩等であってもよい。
【0021】本発明に係る耐火被覆材は、主要構成成分
として上記成分a乃至d(好ましくは成分eをさらに添
加する)を配合した組成物を水と混合して塗布液にした
水性懸濁液であるが、塗膜の柔軟性(フレキシビリテ
ィ)、鉄骨鋼材との密着性(例えば初期接着性)又は液
中の懸濁物質の沈降を防止して液を安定化するために、
ポリエチレンオキサイド、アルギン酸ソーダ、ポリビニ
ルアルコール、カルボキシメチルセルローズ、メチルセ
ルローズ、変性メチルセルローズ、酢酸ビニルエマルジ
ョン、アラビアゴム、グアールガム及び有機ベントナイ
ト等の、合成水溶性高分子物質、天然水溶性高分子物質
及び無機質複合物質からなる群から選ばれる結合助材
を、該耐火被覆材の耐火性を損なわない範囲で上記懸濁
液に少量添加している。また、上記水性懸濁液の均一分
散及び脱泡性を改善して外観の美しい塗膜を得るため
に、酸基を有する飽和ポリエステル、ポリカルボン酸ア
ンモニウム又は脂肪族炭化水素系の分散湿潤剤や脱泡剤
を上記懸濁液に微量添加することが好ましい。さらに、
上記水性懸濁液を着色することにより塗膜に色を付けて
意匠性を向上させるために、チタニウムイエロー、弁
柄、酸化クロム緑、群青、カドミウムレッド等の無機質
顔料を上記懸濁液に添加してもよく、また、コストダウ
ン等のために、水酸化アルミニウム、石膏、炭酸カルシ
ウム、ドロマイト、タルク、クレー、シャモット、マイ
カ等の、安価な加熱分解型無機質材又は無機質耐火材を
上記懸濁液にさらに配合してもよい。
【0022】本発明に係る耐火被覆材においては、上記
成分aと、この成分aの造膜助剤として作用する成分b
とにより、不燃性を有して鋼材との密着性もよく、且つ
表面硬度、耐水性及び耐熱水性及び耐候性に優れた塗膜
が形成される。この塗膜は、建物の火災等により加熱さ
れた場合には高い耐熱性と熱反射効果(例えば耐熱温度
が1200℃以上、赤外線反射率90乃至95%)を有
するため優れた耐火性を発揮する。
【0023】鋼材に塗布される本発明の塗膜の厚みとし
ては通常2乃至6mmの如く従来の耐火被覆材の厚みと比
べて著しく薄くなっているが、膜厚が薄くても断熱効果
を発揮させるためにさらに成分c及びdを加えている。
即ち、成分cを配合することにより、火災時に塗膜が加
熱された場合に塗膜が加熱膨張してその厚みを増加させ
て断熱層(即ち遮熱層)を形成する。またこの成分cと
ともに成分dがさらに配合されているので上記断熱層は
焼結されて固化し高温保形性を有することとなり、これ
により長時間(例えば1乃至3時間)の耐火性を有する
こととなる。
【0024】また、上記成分a乃至dに、成分eをさら
に添加することにより鋼材の錆発生を防止して鋼材の寿
命を向上させることができる。
【0025】本発明においては、上記のように成分a乃
至eを配合してなる組成物を水と混合して水性懸濁液と
し、この懸濁した塗布液の原液又は希釈液を、スプレー
ガンによるエアスプレー、又は水性刷毛やロール刷毛に
よる刷毛塗り等の手段で鋼材(一般鋼材又はFR鋼)の
表面に塗布して2乃至6mm程度の膜厚とした後、常温乾
燥又は加熱乾燥により固化させて鋼材に耐火防錆被覆層
を形成している。
【0026】本発明における成分a乃至eの配合割合は
特に限定されるものではないが、好ましい配合割合の範
囲の一例を下記に示す。 ・成分a:20乃至60重量% 20重量%未満では結合力が不充分であり、60重量%
を越えると結合力は充分であるが成分b乃至eの配合量
が不充分となるからである。 ・成分b:5乃至25重量% 5重量%未満では造膜作用と熱反射効果が不充分であ
り、25重量%を越えると塗布液が高粘性となって塗布
作業が困難になるからである。 ・成分c:5乃至30重量% 5重量%未満では加熱による体積膨張の度合いが少な
く、30重量%を越えると体積膨張の度合いは良好であ
るが高温での保形性が悪化するからである。 ・成分d:5乃至20重量% 5重量%未満では高温保形性が弱く、20重量%を越え
ると高温保形性は良好であるが、これ以上の配合は不要
であるからである。 ・成分e:5乃至20重量% 5重量%未満では防錆性が不充分であり、20重量%を
越えると防錆性の更なる向上が期待できずこれ以上の配
合は不要であるからである。
【0027】成分a乃至eを配合した本発明に係る耐火
被覆材の塗布液は、通常の水系塗布液の製造方法によっ
て行えばよく、特別な装置は不要である。但し、塗布液
を収納する容器は、ステンレス鋼又はFRPのように耐
食性を有する材料で形成する必要がある。また、チタン
酸アルカリを水に混合する時にはデスパーのような高速
撹拌機を用いて、このチタン酸アルカリを水中に充分に
分散させることが望ましい。
【0028】
【作用】無機質結合材に、熱反射及び造膜助材の働きの
あるチタン酸アルカリを配合することにより表面硬度、
鋼材密着性、耐水性、耐熱水性、耐候性が付与され、更
に加熱膨張材及び高温溶融結合材を配合することにより
加熱時に遮熱層が形成されて一段と優れた耐火性能を発
揮する。これにより、鋼材に対し薄い被覆層でグレード
の高い耐火性能が付与される。また防錆材により錆の発
生を抑制しているので鋼材の寿命も長くなる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (耐火被覆材の塗布液の作成)本発明者が実施例1乃至
5について行ったデータを表1に示す。なお、表中の数
値は各成分の配合部数(重量部)を表している。
【0030】
【表1】
【0031】各実施例1乃至5において、成分a乃至e
を所定の配合割合で配合するとともにその他の成分を加
えて耐火被覆材の塗布液を作成した。なお、表1におい
て、熱反射及び造膜助成の働きのある6チタン酸カリウ
ム(成分b)は大塚化学株式会社製の繊維状6チタン酸
カリウムを、成分cの未焼成バーミキュライトは日本耐
火株式会社製の粉末状のものを、成分cの樹脂処理発泡
性珪酸塩はダイソー株式会社製のものを、その他の成分
の分散湿潤剤(BYK−W:商品名)及び脱泡剤(BY
K−A:商品名)はビッグケミー・ジャパン株式会社製
のものを、その他の成分のHiメトローズ−15000
(商品名)は信越化学工業株式会社製のものを、それぞ
れ使用しこれ以外の物質は市販品(試薬一級グレード
品)を使用した。
【0032】上記塗布液は、成分a及びbと水とBYK
−Wとを小形調合タンクに投入して小形ディスパーサで
約30分間撹拌し、続いて成分c乃至eとその他の成分
とを順次投入して約30分間撹拌して作成した。なお、
Hiメトローズ−15000は他の粉体物と予め混合さ
せた状態で配合した。
【0033】(塗膜の性能試験)上記実施例1乃至5の
塗布液を、厚み3.2mmを有する一般鋼板に刷毛塗りで
0.5mmの厚みで塗布して試料を作成し、3日間室温乾
燥養生するとともに100℃で30分間乾燥処理して塗
膜の性能評価を行なった。その結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】評価方法は下記の通りである。 o乾 燥 性 JIS K5400−6.5 指
触判定。 o乾燥被膜の状態 ○:良好 o硬 度 JIS K5400−8.4.2 o付 着 性 JIS K5400−8.5.2 ゴバン目、セロファンテープによる剥離試験。 o耐 水 性 20℃の清水に7日間浸漬。◎:
非常に良好 ○:良好 o耐熱水性 沸騰水中に8時間浸漬。 ◎:
非常に良好 ○:良好 o耐 蝕 性 室温で7日間放置した試料と、そ
の後さらに200℃で200時間加熱した試料とに塩水
(3%食塩水)をそれぞれ240時間噴霧して錆の発生
状態を観察。 ◎:錆が殆どなし、○:わずかに点錆が発生。 o耐 候 性 サンシャインデューサイクルウエ
ザオメータで1000時間処理した後、塗膜の表面状態
(クラックの発生、粉化、変色)を観察。 ○:良好
【0036】(耐火性能試験)実施例1乃至5の塗布液
を、3.2mmの厚みを有し1m×1mの一般鋼板に表3
の塗布厚み(2、4、又は6mm)になるように刷毛塗り
し、続いて3日間室温乾燥養生と100℃で30分間の
乾燥処理とを行って試料を得た。この試料を1m×1m
サイズの小形耐火炉でJIS A1304の標準耐火加
熱曲線に従って加熱し、裏面の中央部の温度が350℃
及び550℃に到達するまでのそれぞれの時間を測定し
た。測定結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】表2及び3に示す上記の試験結果より、室
温で硬化した本発明の塗膜は、表面硬度、鋼材密着性、
耐水性、耐熱水性、耐候性、防錆性及び耐火性に優れて
いることが理解される。特に耐火性に関しては、一般鋼
材に対しては通常は塗膜厚が3乃至6mmのように薄くて
よく、またFR鋼材に対してはさらにその半分程度の塗
膜厚で充分であることが理解される。
【0039】このように本発明に係る耐火被覆材は、薄
い塗膜にもかかわらず鋼材への密着性がよく且つ強靭で
表面硬度に優れた塗膜を形成することができる。またこ
の塗膜は耐水性、耐熱水性、耐火性、防錆性、耐候性に
優れており、更には自由に着色できるので意匠性にも優
れている。これにより、鉄骨を建込むより以前の鋼材加
工工程において先付け方式により上記塗布液を塗布して
これを常温乾燥又は加熱乾燥のいずれかの方法により固
化して耐火防錆被覆層を形成することができる。したが
って、鉄骨鋼材の建込みをする建築施工現場で従来行っ
ていた耐火防錆被覆工事が不要となる。また補修作業も
ほとんど必要なくなり、建込み後に鉄骨接合部の耐火防
錆処理を行う場合にも刷毛塗りやスプレー塗装等の簡便
な方法で塗布することにより処理できる。これにより、
施工作業の省力化、作業環境の改善、作業の安全性の確
保、工期の短縮化(例えば従来と比べて工期が20乃至
30%も短縮化する)ができ、施工費の節減が可能とな
り、品質性と経済性の両者を満足させることができる。
また、耐火被覆材を被覆した鋼材を運搬する場合にも、
被覆層が損傷を受けることは少ない。特に、FR鋼材に
本発明の耐火被覆材を塗布した場合には、さらに高い実
用性を発揮する。
【0040】
【発明の効果】本発明に係る耐火被覆材は上記のように
構成したので、鋼材加工工程において所定の表面硬度を
有し且つ充分な耐火性を有する耐火被覆層を形成するこ
とができることとなり、運搬時に取扱いやすくまた建築
現場での作業を大幅に改善することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材の表面に被覆される耐火被覆材にお
    いて、 無機質結合材と、 一般式M2O・nTiO2(式中、符号Mはアルカリ金属
    を、符号nは4以上の整数をそれぞれ表す)で表される
    チタン酸アルカリから選ばれる少なくとも一種と、 無機質の加熱膨張材と、有機質及び無機質の複合体から
    なる加熱膨張材とから選ばれる少なくとも一種と、 無機質高温溶融結合材及び焼結助材から選ばれる少なく
    とも一種とを配合してなることを特徴とする耐火被覆
    材。
  2. 【請求項2】 上記無機質結合材はリン酸アルミニウム
    塩であることを特徴とする請求項1記載の耐火被覆材。
  3. 【請求項3】 上記無機質結合材は、珪酸アルカリ及び
    コロイダルシリカから選ばれる少なくとも一種であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の耐火被覆材。
  4. 【請求項4】 無機質化合物及び有機質化合物から選ば
    れる少なくとも一種の防錆材をさらに配合してなること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の耐火被
    覆材。
  5. 【請求項5】 天然水溶性高分子物質、合成水溶性高分
    子物質及び無機質複合物質からなる群から選ばれる結合
    助材と、加熱分解型無機質材及び無機質耐火材のいずれ
    か一種と、無機質顔料と、分散湿潤剤と、脱泡剤とのう
    ち少なくともいずれか一種をさらに配合してなることを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の耐火被覆
    材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012001577A (ja) * 2010-06-14 2012-01-05 F Consultant:Kk 樹脂組成物

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JP2012001577A (ja) * 2010-06-14 2012-01-05 F Consultant:Kk 樹脂組成物

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