JPH06323082A - シールド掘削機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 曲線トンネル部の掘削が容易なシールド掘削
機を提供する。 【構成】 シールド掘削機本体１のテールプレートが前
部リング４と該前部リング５内から後方に向かって伸縮
自在に接続している後部リング５とからなり、この後部
リング５の後端内周面に周溝９を設けてシールド掘削機
本体１とテールプレートとの間にローリングによる周方
向の変位が生じても該周溝９が常にシールドジャッキ11
との対応位置に存在するようにし、周溝９にハンガブラ
ケット10の係止突起13を係止させると共に該ハンガブラ
ケット10をシールドジャッキ11のスプレッダ12に取付け
てシールドジャッキ11の作動により後部リング５を伸縮
させるように構成している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は曲線トンネル部の掘削が
容易に行えるように構成したシールド掘削機の改良に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】シールド工法によって曲線トンネルを掘
削するシールド掘削機としては図５に示すように、シー
ルド掘削機本体１のスキンプレートを前後に分割してこ
れらの前後スキンプレート２、３を互いに屈折自在に接
続した中折式を採用しており、さらに、そのテールプレ
ートを前部リング４と後部リング５とに分割して直線ト
ンネル部を掘進時には前部リング４から後部リング５を
リング軸方向に延出させた状態とし、曲線トンネル掘削
時には後部リング５を前部リング４内に収縮させてテー
ルプレートの長さを短くし、曲線トンネル部の掘進を円
滑に行えるように構成している。

【０００３】上記構成において、前部リング４に対して
後部リング５を伸縮させる手段としては、従来から図６
に示すように、シールドジャッキ11のロッド先端に装着
したスプレッダ12に緊結ブラケット30を取り付け、この
緊結ブラケット30に穿設しているボルト挿通孔31を後部
リング５の前端部内周面に設けている螺子孔32に合致さ
せたのち、挿通孔31を通じてボルト33を該螺子孔32に螺
締させることにより、緊結ブラケット30を介してスプレ
ッダ12と後部リング５とを一体に連結し、シールドジャ
ッキ11の作動によって後部リング５をリング軸方向に伸
縮させるようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなスプレッダ12と後部リング５との連結手段によれ
ば、緊結ブラケット30のボルト挿通孔31が後部リング５
の螺子孔32に合致しているかどうかを確認することが困
難で、その作業に手間を要するばかりでなく、周方向に
所定間隔毎に配設した複数本のシールドジャッキ11の伸
縮速度の相違によってシールド掘削機本体１とテールプ
レート間にローリングが生じた場合には、ボルト挿通孔
31と螺子孔32とを合致させることができず、前部リング
４に対する後部リング５の伸縮作動が困難になるという
問題点があった。本発明はこのような問題点を解消した
シールド掘削機の提供を目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のシールド掘削機は、シールド掘削機本体のテ
ールプレートを前部リングと後部リングとに分割し、こ
の後部リングを前部リングの内周面にリング軸方向に摺
動自在に嵌合させると共に、該後部リングの前端部内周
面に周溝を削設し、この周溝にシールドジャッキに固着
したハンガブラケットを嵌合させてシールドジャッキの
作動により後部リングを前部リングに対して伸縮自在に
構成しているものである。

【０００６】

【作用】直線トンネル部の掘削時には、前部リングの後
端から前部リングを後方に延出させてテールプレートの
全長を長くした状態とし、曲線トンネル部の掘削時には
前部リングの内に後部リングを引き込んてテールプレー
トの全長を短くした状態にする。このように前部リング
に対して後部リングを前後方向（リング軸方向）に伸縮
させるには、シールドジャッキのロッド端にハンガブラ
ケットを取付け、そのハンガブラケットを後部リングの
前端部内周面に設けている周溝に係止させることによ
り、このハンガブラケットを介してシールドジャッキと
後部リングとを連結したのち、シールドジャッキを作動
させる。

【０００７】上記シールドジャッキと後部リングとの連
結作業時には、周溝が後部リングの前端部内周面の全周
に亘って設けられているから、例え、シールド掘削機本
体とテールプレートとの間にローリング現象が生じてい
ても該周溝に対するハンガブラケットの係止位置は変わ
らず、確実な連結が可能となる。また、ボルト等による
締結作業ではなく、ハンガブラケットを周溝に係止させ
るだけであるから、連結作業も円滑に行えて作業能率が
向上する。

【０００８】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面について説明す
ると、シールド掘削機本体１は上述した図５に示すよう
に、そのスキンプレートを前後に分割して互いに屈折自
在に接続した前部スキンプレート２と後部スキンフレー
ト３とに形成してある。また、後部スキンプレート３に
屈折自在に接続したテールプレートにおいても、前部リ
ング４と後部リング５とに分割してある。前部リング４
は、図１に示すように、その後部内周面を後端周縁を残
して一定深さ削成することにより後部リング５の少なく
とも前半部が収納可能な収納溝６に形成していると共
に、後端周縁には内方に突出した係止突条７が形成され
ている。

【０００９】一方、後部リング５は、上記収納溝６内に
収納される少なくとも前半部を薄肉に形成していると共
にその前端外周縁に上記前部リング４の係止突条７に係
止可能な係合突条８を外方に向けて突設し、該係合突条
８を前部リング４の収納溝６に前後摺動可能に摺接させ
てある。従って、前部リング４に対して後部リング５は
トンネル長さ方向に伸縮自在に取付けられているもので
ある。さらに、この後部リング５の前端部内周面に、溝
幅の狭い周溝９を全周に亘って円形溝状に削設してあ
る。

【００１０】10は各シールドジャッキ11のロッド端に装
着しているスプレッダ12に着脱自在に取付けられたハン
ガブラケットで、その底面に上記周溝９に係脱可能な係
止突起13を一体に突設してある。シールドジャッキ11は
シールド掘削機本体１の後部スキンプレート３内に周方
向に所定間隔毎に複数本配設されてあり、前部リング４
の前端部内周面に突設したリング状フランジ14に挿通状
態で固定されている。

【００１１】シールド掘削機本体１内には、周知のよう
に、その前部スキンプレート２の開口端に配設したカッ
ター15を回転駆動するためのモータ16や、カッター15に
より掘削された土砂を後方に送り出すためのスクリュー
コンベア17、該スクリューコンベア17の回転駆動用モー
タ18、中折れ用ジャッキ19等が配設されてある。

【００１２】このように構成したシールド掘削機によっ
て直線トンネル部を掘削する場合には、テールプレート
の前部リング４から後部リング５を延出させた状態で固
定する。即ち、前部リング４の収納溝６内に嵌入してい
る後部リング５の前端部内周面に削成した周溝９の複数
個所にハンガブラケット10の係止突起13を嵌め込み、各
ハンガブラケット10を対応するシールドジャッキ11のス
プレッダ12にボルト20によって取付ける。しかるのち、
シールドジャッキ11のロッドを伸長させると、後部リン
グ５はその係合突条８を前部リング４の収納溝６に摺動
させながら前部リング４の延長方向（後方）に突出し、
該係合突条８が前部リング４の後端係止突条７に係止し
て図１に示すように、テールプレートの全長が長くな
る。

【００１３】この後部リング５の後方への延出によって
空間部となった上記収納溝６内に図２に示すように、ス
ペーサ部材21を嵌め込み、該スペーサ部材21を前部リン
グ５に螺子止め22することによって後部リング５を延出
状態に固定すると共にスプレッダ12と周溝９間を連結し
たハンガブラケット10を取り外して撤去する。この状態
にしてカッター15を回転させるとともにシールドジャッ
キ11を作動させてシールド掘削機本体１を前進させなが
ら直線トンネル部を掘削していくものである。

【００１４】シールドジャッキ11はそのスプレッダ12を
既に施工済の最前端のセグメント23の前端面に当接させ
て該セグメント23に反力を受止させながらシールド掘削
機本体１を推進させるものであり、その推進によってテ
ールプレートの内部にセグメント23の幅よりも大きな空
間が形成されると、シールドジャッキ11を後退させて次
のセグメント23を組立て、次いでこのセグメント23を反
力受けとして上記同様にシールド掘削機本体１を推進さ
せ、この作業を繰り返し行って直線トンネル部を掘進す
るものである。

【００１５】次に、曲線トンネル部を掘削する時には、
スペーサ部材21を取り外すと共に上記同様にして後側リ
ング５の周溝９の複数個所にハンガブラケット10の係止
突起13を嵌め込み、各ハンガブラケット10を対応するシ
ールドジャッキ11のスプレッダ12にボルト20によって取
付ける。しかるのち、シールドジャッキ11のロッドを後
退させて後部リング５を前部リング４の収納溝６内に引
き入れ、図３に示すようにテールプレートの全長を短く
したのち、図４に示すように、固定部材24を使用してそ
の後端部に突設した突起25を周溝９に嵌合させると共に
この固定部材24の前端部を前側リング４の適所に螺子26
によって取り外し自在に固定する。

【００１６】この状態にしたのち、シールド掘削機本体
１の前後スキンプレート２、３間を掘進すべき方向に屈
折させ、上記同様にシールドジャッキ11を作動させてセ
グメント27に反力を受止させつつシールド掘削機本体１
を推進させて曲線トンネル部を掘削する。この時、両リ
ング４、５によって構成されるテールプレートの長さが
短くなっているので、シールド掘削機本体１を大きく屈
曲させた状態にして曲線トンネル部の掘削が行える。曲
線トンネル部の掘削から直線トンネル部の掘削に移る場
合には、固定部材24を取り外したのち、上記のように後
部リング５を後方に延出させる。なお、28は後部リング
５の後端部内周面に装着したシール部材で、セグメント
の外周に摺接させるものである。

【００１７】

【発明の効果】以上のように本発明のシールド掘削機に
よれば、シールド掘削機本体のテールプレートを前部リ
ングと後部リングとに分割し、この後部リングを前部リ
ングの内周面にリング軸方向に摺動自在に嵌合させると
共に、該後部リングの前端部内周面に周溝を削設し、こ
の周溝にシールドジャッキに固着したハンガブラケット
を嵌合させてシールドジャッキの作動により後部リング
を前部リングに対して伸縮自在に構成しているので、複
数本のシールドジャッキの伸縮速度の相違によってシー
ルド掘削機本体とテールプレート間にローリングが生じ
ても、後部リングに設けている周溝を常にハンガブラケ
ットを介してのシールドジャッキとの対応位置に存在さ
せておくことができ、従って、後部リングとシールドジ
ャッキとをハンガブラケットによって確実に連結させる
ことができると共にその作業も容易に行えて直線トンネ
ル部と曲線トンネル部との掘削時における後部リングの
伸縮作動が能率よく行えるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】後部リングを延出させた状態の要部の縦断側面
図、

【図２】後部リングを延出後に固定した状態の要部の縦
断側面図、

【図３】後部リングを前部リング内に収縮させた状態の
要部の縦断側面図、

【図４】その固定状態を示す要部の縦断側面図、

【図５】シールド掘削機全体の簡略縦断側面図、

【図６】従来例を示す簡略縦断側面図。

【符号の説明】

１ シールド掘削機本体 ４ 前部リング ５ 後部リング ６ 収納溝 ９ 周溝 10 ハンガブラケット 11 シールドジャッキ 12 スプレッダ 13 係止突起

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シールド掘削機本体のテールプレートを
   前部リングと後部リングとに分割し、この後部リングを
   前部リングの内周面にリング軸方向に摺動自在に嵌合さ
   せると共に、該後部リングの前端部内周面に周溝を削設
   し、この周溝にシールドジャッキに固着したハンガブラ
   ケットを嵌合させてシールドジャッキの作動により後部
   リングを前部リングに対して伸縮自在に構成したことを
   特徴とするシールド掘削機。