JPH06322989A - 外壁板建込み方法及び外壁板揚重治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外壁板の吊り上げ作業及び外壁係止部への建
込み作業の効率を向上させ、かつ作業安全性を改善する
ことを目的とする。 【構成】 複数枚の外壁板を同時に保持して昇降手段に
より吊り上げる外壁板揚重治具である。この外壁板揚重
治具５のフレーム本体６には、複数枚の外壁板１…が並
列にセットされている。また、フレーム本体６には、昇
降手段に着脱自在に係合してフレーム本体６を吊り上げ
る吊り部７が設けられている。また、フレーム本体６に
は、セットされた複数枚の外壁板１…の下端部１ｄと当
接する受け部８が設けられている。さらに、フレーム本
体６には、セットされた外壁板１…の板厚方向の移動を
着脱自在に拘束する拘束部９が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建物下方より複数枚の
外壁板を吊り上げて外壁係止部に建て込んでいく外壁板
建込み方法及び建込み方法に使用されるに好適な外壁板
揚重治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、建物の外壁施工を行う際には、軽
量化及びコストの低減等を図るため、予め工場等で形成
された窯業押出成形体などの矩形板状の外壁板を外壁係
止部に建て込んでいく方法が採用されてきている。上記
外壁板を外壁係止部に建て込んでいくには、図８に示す
ように、建物下方に搬入された外壁板１の略中央部を、
ナイロンスリング２で巻装しておき、ナイロンスリング
２の端部を昇降装置（図示せず）のワイヤ３と連結し、
昇降装置の駆動により外壁板１を所定の階Ｒ2まで吊り
上げて外壁係止部に建て込んでいく方法がとられてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図８に
示した外壁板の吊り上げ方法では、一回の吊り上げ動作
で一枚の外壁板１しか所定の階Ｒ2まで移送することが
できず作業効率が極めて悪く、また、ナイロンスリング
２を確実に外壁板１に巻装しておかないと落下のおそれ
があり作業安全性の面で問題があった。

【０００４】さらに、外壁板１は傾斜した状態で吊り上
げられるので、図８で示すように、隣接する建物４の外
壁４ａがさらに施工中の外壁側に近接する場合には、ナ
イロンスリング２による吊り上げ作業が出来ないおそれ
があった。

【０００５】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、外壁板の吊り上げ作業及び外壁係止部への建込み作
業の効率を向上させ、かつ作業安全性を改善した外壁板
建込み方法及び外壁板揚重治具を提供することを目的と
する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
外壁板建込み方法は、各階の梁に設けられた外壁係止部
に、昇降手段により吊り上げた外壁板を係合して建て込
んでいく外壁板建込み方法であって、複数枚の外壁板を
並列にセットして吊り上げ可能に保持している揚重治具
を、昇降手段により上昇させていき、所定階の梁に揚重
治具を位置せしめた後、各外壁板の側面に固定されてい
る全ての係合部を外壁係止部に係合し、揚重治具の各外
壁板の保持状態を解除した後、各外壁板を梁の所定位置
に建て込んでいくことを特徴とする方法である。また、
請求項２記載の外壁板揚重治具は、複数枚の外壁板を同
時に保持して昇降手段により吊り上げられる外壁板揚重
治具であって、複数枚の外壁板が並列にセットされる矩
形枠状に形成されたフレーム本体と、昇降手段に着脱自
在に係合され、前記フレーム本体を吊り上げ可能とする
吊り部と、フレーム本体にセットされた複数枚の外壁板
の下端部と当接する受け部と、フレーム本体にセットさ
れた外壁板の板厚方向の移動を着脱自在に拘束する拘束
部とを具備してなることを特徴とする治具である。

【０００７】

【作用】本発明によれば、一回の吊り上げ動作で複数枚
の外壁板を建て込むことができるので、従来技術と比較
して大幅に作業能率が向上する。また、それぞれの外壁
板は、それらの下端部が受け部により支持され、かつ、
拘束部により板厚方向の移動が拘束されるので、作業安
全性の面で問題がない。

【０００８】

【実施例】以下、本発明に係る一実施例について、図１
から図７を参照して説明する。なお、図８に示したもの
と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略す
る。ただし、本実施例に記載されている構成部品の寸
法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載
がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する
趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。

【０００９】図１に示すものは、本発明に係る外壁板揚
重治具（以下、揚重治具と略称する。）５と、この外壁
板揚重治具５に並列にセットされた複数枚の外壁板１…
である。各外壁板１は、幅方向両端部に雄実１ａ、雌実
１ｂが形成され、長手方向に平行な複数の貫通孔１ｃ…
が穿設されている長尺な窯業系押出成形体である。そし
て、これら外壁板１の上部及び下部には、後述する各階
の梁２０に沿って設けられた外壁係止部２１と係合する
Ｚクリップ１１…が設けられている。また、外壁板１の
下部側のＺクリップ１１より上方位置には、落下防止ボ
ルト１２が着脱自在に配設されている また、揚重治具５は、フレーム本体６と、揚重装置のワ
イヤ３のフック部３ａと係合する吊り部７と、外壁板１
の吊り上げの際に外壁板１の下端部１ｄと当接する受け
部８と、外壁板１の板厚方向の移動を拘束する拘束部９
とで概略構成されている。

【００１０】フレーム本体６は、Ｈ鋼材からなる横枠材
６ａ、６ａと、縦枠材６ｂ、６ｂとで矩形状の枠体とし
て形成されているとともに、縦枠材６ｂ、６ｂの上下部
間に平板状の補助枠材６ｃ、６ｃが配設された構造とさ
れている。また、補助枠材６ｃ、６ｃには、それぞれ板
状のゴムパッキン１０が貼設されている。そして、この
フレーム本体６は、３枚の外壁板１…がゴムパッキン１
０と当接しながら並列にセット可能な大きさとして設計
されている。

【００１１】吊り部７は、上側の横枠材６ａに所定の間
隔をあけて固定されている一対の吊り板７ａにより構成
されており、これら吊り板７ａには、フック部３ａが係
合する係合孔７ｂが穿孔されている。

【００１２】また、受け部８は、下側の横枠材６ａの側
部に突出して固定されており、外壁板１…が鉛直配置さ
れる際にその下端部１ｄが当接するようになっている。

【００１３】拘束部９は、並列にセットされた外壁板１
…の中央部及び下部の板厚方向の移動を拘束する閂部１
３と、外壁板１…の上部の移動を拘束する止め金具１４
とが備えられている。閂部１３は、フレーム本体６の下
部と中央部にそれぞれ配設されており、並列にセットさ
れる３枚の外壁板１…の幅方向の長さより長尺とされた
閂板材１３ａと、縦枠材６ｂ、６ｂに固定されて閂板材
１３ａと着脱自在に係合する閂受け１３ｂとで構成され
ている。また、止め金具１４は側面視コ字形状の金具
で、補助枠材６ｃと外壁板１を挟み込むようになってい
る。

【００１４】なお、図中符号１５は、使用されない閂板
材１３ａを吊下げるフックである。また、図中符号１６
は、揚重治具５の横振れを防止するガイドロープ１７を
挿通させるためのガイドロープ用フックである。

【００１５】次に、上記構成の揚重治具５を使用した外
壁板の建込み方法について、図２から図７を参照して説
明する。ここで、各階の梁２０に配設されている外壁係
止部２１は、図２に示す構造とされている。すなわち、
Ｈ鋼で構成される梁２０のフランジ上部に、アングル材
からなる下部通し材２２ａが固定されているとともに、
この下部通し材２２ａの上部に、束材２２ｂを介して上
部通し材２２ｃが配設された構造とされている。これに
より、この外壁係止部２１には、下側に配設された外壁
板１のＺクリップ１１が下部通し材２２ａに係合し、上
側に配設された外壁板１のＺクリップ１１が上部通し材
２２ｃに係合して建て込まれるようになっている。な
お、上側及び下側の外壁板１…は、水平方向（下部及び
上部通し材２２ａ、２２ｃの延在方向）にスライド自在
に建て込まれる。

【００１６】先ず、吊り上げられる外壁板１…にＺクリ
ップ１１…を取付けておく。そして、図３に示すよう
に、揚重治具５を水平に載置し、その上に３枚の外壁板
１…を並列にセットしていく。その際、外壁板１…の下
端部１ｄは受け部８に当接させる。そして、閂板材１３
ａを閂受け１３ｂ…に係合させる。また、外壁板１…と
補助枠材６ｃとを挟み込むように複数止め金具１４…を
装着して、外壁板１の上部を固定する。

【００１７】次に、図４に示すように、吊り板７ａにワ
イヤ３のフック部３ａを係合し、外壁板１…をセットし
た揚重治具５を、クレーン１８により所定の階Ｒ2まで
上昇させていく。そして、図５に示すように、上下階の
外壁係止部２１、２１に向けて、徐々に揚重治具５とと
もに吊り上げられた３枚の外壁板１…を下降させていく
ことにより、所定階Ｒ2に３枚の外壁板１…を同時に配
置させる。この際、図２においても説明したように、外
壁板１…の下側に固定されたＺクリップ１１…を上部通
り材２２ｃに係合させ、上側に固定されたＺクリップ１
１…を下部通し材２２ａに係合させて建て込んでいく。

【００１８】次に、図６に示すように、建て込んだ３枚
の外壁板１…を、すでに建て込まれている外壁板１へ向
けてスライド移動させていく。上記作業を繰り返すこと
により、外壁板の建込みが完了する。

【００１９】なお、図７は、吊り上げの際に揚重治具５
が横振れするのを防止する方法を示すものである。この
ように、揚重治具５のガイドロープ用フック１６に、ガ
イドロープ１７上方からを挿通させて下方で支持するこ
とにより、確実に横揺れが防止される。

【００２０】したがって、本実施例によれば、一回の吊
り上げ動作で３枚の外壁板１…を建て込むことができる
ので、従来技術と比較して大幅に作業能率が向上する。
また、揚重治具５とともに吊り上げられる外壁板１…
は、下端部１ｄが受け部８により支持されながら、拘束
部９により板厚方向の移動が拘束されているので、作業
安全性の面で問題がない。また、揚重治具５は、鉛直状
態を保持して吊り上げられるので、図８で示した隣接す
る建物４の外壁４ａがさらに施工中の外壁側に近接した
場合でも、充分に吊り上げ作業を行うことができる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、一回の
吊り上げ動作で複数枚の外壁板を建て込むことができる
ので、従来技術と比較して大幅に作業能率を向上させる
ことができる。また、それぞれの外壁板は、それらの下
端部が受け部により支持され、かつ、拘束部により板厚
方向の移動が拘束されるので、吊り上げの際の作業安全
性を向上させることができる。

【００２２】したがって、本発明は、外壁板の吊り上げ
作業及び建込み作業の効率を大幅に向上させ、かつ作業
安全性を改善することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る外壁板揚重治具を示す斜視図であ
る。

【図２】外壁板が建て込まれる建物の外壁係止部を示す
斜視図である。

【図３】本発明に係る揚重治具に３枚の外壁板がセット
された状態を示す斜視図である。

【図４】外壁板をセットした揚重治具が鉛直状態で吊り
上げられている状態を示す図である。

【図５】揚重治具とともに吊り上げられてきた外壁板を
所定階の外壁係止部にセットする状態を示す図である。

【図６】外壁係止部にセットされた外壁板を既に建て込
まれた外壁板にスライドさせる状態を示す図である。

【図７】ガイドロープ用フックにガイドロープを挿通さ
せて揚重治具の横振れを防止している状態を示す図であ
る。

【図８】従来の外壁板の建込み方法を示した図である。

【符号の説明】

１ 外壁板 １ｄ 外壁板の下端部 ５ 揚重治具 ６ フレーム本体 ７ 吊り部 ８ 受け部 ９ 拘束部 １１ Ｚクリップ １３ 閂部（拘束部） １３ａ 閂板材 １３ｂ 閂受け ２０ 梁 ２１ 外壁係止部 ２２ａ 下部通し材 ２２ｃ 上部通し材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若山 修三 東京都中央区日本橋本町４丁目10番２号 昭和電工建材株式会社内 (72)発明者 新窪 健造 東京都千代田区岩本町３丁目10番１号 三 井建設株式会社内 (72)発明者 木島 照久 東京都千代田区岩本町３丁目10番１号 三 井建設株式会社内 (72)発明者 川西 毅 東京都千代田区岩本町３丁目10番１号 三 井建設株式会社内 (72)発明者 野原 莞爾 東京都新宿区四谷１丁目４番地 綿半鋼機 株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 各階の梁に設けられた外壁係止部に、昇
   降手段により吊り上げた外壁板を係合して建て込んでい
   く外壁板建込み方法であって、 複数枚の外壁板を並列にセットして吊り上げ可能に保持
   している揚重治具を、昇降手段により上昇させていき、 所定階の梁に揚重治具を位置せしめた後、前記各外壁板
   の側面に固定されている全ての係合部を前記外壁係止部
   に係合し、 揚重治具の各外壁板の保持状態を解除した後、各外壁板
   を梁の所定位置に建て込んでいくことを特徴とする外壁
   板建込み方法。
2. 【請求項２】 複数枚の外壁板を同時に保持して昇降手
   段により吊り上げられる外壁板揚重治具であって、 複数枚の外壁板が並列にセットされる矩形枠状に形成さ
   れたフレーム本体と、 昇降手段に着脱自在に係合され、前記フレーム本体を吊
   り上げ可能とする吊り部と、 フレーム本体にセットされた複数枚の外壁板の下端部と
   当接する受け部と、 フレーム本体にセットされた外壁板の板厚方向の移動を
   着脱自在に拘束する拘束部とを具備してなることを特徴
   とする外壁板揚重治具。