JPH06322513A - アルミニウム缶体のベーマイト皮膜形成方法および形成装置 - Google Patents

アルミニウム缶体のベーマイト皮膜形成方法および形成装置

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JPH06322513A
JPH06322513A JP11077493A JP11077493A JPH06322513A JP H06322513 A JPH06322513 A JP H06322513A JP 11077493 A JP11077493 A JP 11077493A JP 11077493 A JP11077493 A JP 11077493A JP H06322513 A JPH06322513 A JP H06322513A
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aluminum
boehmite film
conveyor belt
steam
boehmite
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JP11077493A
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Hiroyasu Ishikawa
博康 石川
Takako Abe
貴子 阿部
Munetaka Ida
宗孝 井田
Tsutomu Takahashi
務 高橋
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Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベーマイト皮膜形成の速度を向上させること
ができ、ベーマイト皮膜を均一に形成して耐食性を向上
させることができるアルミニウム缶体のベーマイト皮膜
形成方法を提供する。 【構成】 水蒸気を含む100〜300℃の湿潤雰囲気
中でアルミニウム缶体Wに水蒸気処理を施す水蒸気処理
工程と、100〜300℃の乾燥雰囲気中でアルミニウ
ム缶体Wを乾燥させる乾燥工程とを交互に行う。水蒸気
処理工程では、平均粒径が10〜100μmの水滴10
をアルミニウム缶体Wに噴霧する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性の優れたベーマ
イト皮膜をアルミニウム缶体に形成する技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】本発明者等は先に、アルミニウム缶体の
焼付塗装などの後に生じる缶底部の未塗装部分の変色や
クラックの発生を防止する技術として、特願平1ー29
8833号においてアルミニウム缶体の表面にベーマイ
ト皮膜を形成する方法を提案した。このベーマイト皮膜
形成方法は、例えば1.2kg/cm2 、200℃のド
ライ水蒸気雰囲気にアルミニウム缶体を保持し、その表
面に約1μmのAlの水和酸化物を形成するものであ
る。
【0003】このベーマイト皮膜形成方法によれば、ア
ルミニウム缶体の表面に高い熱安定性を有するベーマイ
ト皮膜を形成することができるので、焼付塗装後の変色
やクラックの発生が防止できるとともに、アルミニウム
缶体の耐水性、耐食性を向上できる等の効果が得られ、
このため、内容物充填後のアルミニウム缶の加熱殺菌工
程において未塗装部である缶底外面に変色が生じること
がない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ベ
ーマイト皮膜形成方法では、ベーマイト皮膜を必要な厚
さまで形成するのに長時間(例えば60分)を要するた
め、毎分1000缶程度を製造するアルミニウム缶体の
製造工程に組み込むには、生産性が不十分であるという
欠点があった。
【0005】また、アルミニウム缶体の底部中央は一般
にはドーム型に窪んでいるため、上記方法では、缶底部
の部位によって水に濡れている時間が異なる。例えば、
缶底部の凹んだ中央部は水が溜り易く、缶体表面に対し
充分な水分が供給されるが、縁部側の水平面に対し大き
く傾斜した部分では水が流れ落ちてしまうため、水分の
供給が不十分にならざるを得ない。このため、傾斜部分
では皮膜厚のむらが生じ易く、印刷の下地として必要な
密着性が不足して、印刷不良等の外観不良を生じる問題
もあった。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、ベーマイト皮膜の形成速度が大幅に向上できるとと
もに、ベーマイト皮膜を均一に形成できるベーマイト皮
膜形成方法および形成装置を提供することを課題として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム缶体のベーマイト皮膜形成方法は、アルミニウム合金
を素材とするアルミニウム缶体にベーマイト皮膜を形成
する方法であって、水蒸気を含む100〜300℃の雰
囲気中でアルミニウム缶体に水蒸気処理を施す水蒸気処
理工程と、100〜300℃の乾燥雰囲気中でアルミニ
ウム缶体を乾燥させる乾燥工程とを交互に行うことを特
徴とする。
【0008】なお、前記水蒸気処理工程では、平均粒径
が10〜100μmの水滴をアルミニウム缶体に噴霧す
ることが好ましい。また、前記水蒸気処理工程の処理時
間Aと乾燥工程の処理時間Bとの割合A:Bは、70:
30〜50:50であることが好ましい。
【0009】一方、本発明に係るアルミニウム缶体のベ
ーマイト皮膜形成装置は、内部温度を保ち得るチャンバ
ーと、このチャンバー内に設けられアルミニウム缶体を
水平に搬送するコンベアベルトと、コンベアベルトの上
面と平行にコンベアベルトの長手方向に向けて延設さ
れ、コンベアベルトで搬送されるアルミニウム缶体が互
いに接触しないように仕切る離間機構と、コンベアベル
トの内部に長手方向に間隔を空けて設けられ、100〜
300℃の水蒸気をカーテン状に噴出してチャンバー内
の空間を長手方向複数の領域に仕切るための複数の蒸気
噴霧ノズルと、前記領域の1つ置きに設けられ、アルミ
ニウム缶体の底部に向けて平均粒径が10〜100μm
の水滴を噴霧する水滴噴霧ノズルとを具備することを特
徴とする。
【0010】なお、前記離間機構として、ワイヤに直径
1〜10mmの球状をなすスペーサを一定間隔毎に貫通
固定したガイドロープを使用してもよい。
【0011】
【作用】このベーマイト皮膜形成方法および形成装置で
は、水蒸気を含む100〜300℃の雰囲気中でアルミ
ニウム缶体に水蒸気処理を施す工程と、100〜300
℃の乾燥雰囲気中でアルミニウム缶体を乾燥させる工程
とを交互に行うことにより、常圧下においても十分な生
産速度でベーマイト皮膜を形成できる。したがって、高
速度で生産される製缶ラインに適用することが容易であ
る。
【0012】なお、平均粒径が10〜100μmの水滴
を噴霧した場合には、皮膜の成長速度が大きいにも拘ら
ず結晶粒径の微細なベーマイト皮膜を形成でき、ベーマ
イト皮膜の耐食性をさらに向上できる。
【0013】また、前記離間機構として、ワイヤに直径
1〜10mmの球状をなすスペーサを一定間隔毎に貫通
固定したガイドロープを使用した場合には、ベーマイト
皮膜形成時にアルミニウム缶体同士の接触を効果的に防
ぐことができるので、接触に起因する皮膜厚さのむらを
防ぐことが可能である。
【0014】
【実施例】図1および図2は、本発明に係るアルミニウ
ム缶体のベーマイト皮膜形成装置の一実施例を示す側面
図および平面図である。方法の説明に先立ち、この装置
の構成をまず説明する。
【0015】符号Cは水平方向に長い(例えば3〜6
m)チャンバーであり、その内部を高温加圧雰囲気に保
持できるようになっている。チャンバーCの内部には、
水平方向に連続走行するコンベアベルト1が設けられ、
脱脂処理済みのアルミニウム缶体Wが倒立状態で載置さ
れて搬送される。コンベアベルト1の上方には、コンベ
アベルト1と平行に延びるガイドロープ2が複数列に並
べて張られている。コンベアベルト1の高さは、缶体W
の側面の中央部に接触するように位置決めされている。
【0016】各ガイドロープ2同士の間隔は、図2に示
すように缶体Wの直径とほぼ等しく、缶体Wは、ガイド
ロープ2によって仕切られたコース内を互いに接触する
ことなくコンベアベルト1に乗って移動する。図では缶
体Wが2列に並んで搬送されるようになっているが、こ
れは1列でも3列以上でもよい。
【0017】ガイドロープ2は、細いワイヤ6に多数の
球状のスペーサ4を一定間隔毎に通して固定したもの
で、ワイヤ6の材質は十分な耐食性,耐熱性さえあれば
任意でよい。スペーサ4の材質としては、ガラス,金
属,フッ素樹脂などの耐熱材料が好適で、その直径は1
〜10mm程度が好ましい。直径がこの範囲であると、
缶体W同士の接触を防止する効果が高く、缶体Wの相互
接触による処理むらを防止できることを本発明者らは見
いだした。
【0018】チャンバーCの天井部には、図3に示すよ
うにコンベアベルト1の長手方向に間隔を空けて、1基
の水滴噴霧ノズル8と、2基の蒸気噴霧ノズル12が交
互に設けられ、水蒸気処理領域Sと乾燥処理領域Kが交
互に形成されている。
【0019】水滴噴霧ノズル8は、ベルト長手方向の各
位置において、コンベアベルト1の幅方向に間隔を空け
て複数設けられており、コンベアベルト1上の缶体Wに
満遍無く水滴10を噴霧する。この水滴10の直径は1
0〜100μmの範囲に入るように設定されている。
【0020】一方、蒸気噴霧ノズル12は、コンベアベ
ルト1の幅方向に延びる管状をなし、ここから真下へ噴
射される水蒸気は、エアカーテン状にチャンバーC内を
仕切り、水蒸気処理領域Sと乾燥処理領域Kは互いに雰
囲気が隔てられるようになっている。なお、コンベアベ
ルト1による缶体搬送速度は一定なので、水蒸気処理領
域Sと乾燥処理領域Kの各長さ合計の比は、水蒸気処理
時間と乾燥処理時間の所望比に一致する。
【0021】水滴噴霧ノズル8および蒸気噴霧ノズル1
2の個数は、コンベアベルト1の走行速度に応じて適宜
設定可能である。すなわち、コンベアベルト1の速度を
高める場合には、コンベアベルト1の全長を長くすると
ともに、水滴噴霧ノズル8および蒸気噴霧ノズル12の
個数を増して全体としての処理時間を稼げばよい。速度
が遅くてよい場合にはその逆にすればよい。
【0022】次に、上記装置を用いたアルミニウム缶体
のベーマイト皮膜形成方法の一実施例を説明する。
【0023】水蒸気処理領域Sにおける温度は、水蒸気
を含む100〜300℃の雰囲気に設定され、アルミニ
ウム缶体に水蒸気処理を施す。水蒸気処理を100℃以
上で行うのは、発明者等の実験によると、この温度を境
にベーマイト皮膜の反応速度が飛躍的に上昇することが
確認されたためである。また、水蒸気処理の温度を30
0℃以下としたのは、この温度を上回るとアルミ素材が
焼鈍され、機械的強度が低下してしまうからである。
【0024】水蒸気処理領域Sでは、水滴噴霧ノズル8
から、平均粒径が10〜100μmの水滴をアルミニウ
ム缶体Wに噴霧することが望ましい。この平均粒径範囲
であると、缶体表面への水分の供給量、つまり缶体表面
の水濡れ時間を一定にすることができ、ベーマイト皮膜
を均一厚さに形成することが可能である。平均粒径10
μm未満あるいは100μmより大では、ベーマイト皮
膜を均一厚に形成する効果が得られず、耐食性も低下す
る。
【0025】ベーマイト皮膜の厚さが不均一であると、
皮膜が厚い部分と薄い部分とで塗料の陰蔽性が異なるた
め塗装むらが生じやすいが、本発明ではベーマイト皮膜
を均一厚にすることができるので、良好な塗装性が得ら
れるのみならず、耐食性を向上させる効果が得られる。
【0026】1つの缶体W当りの水滴の吹き付け量は1
0〜200ml/分程度が好ましい。10ml/分未満
ではベーマイト皮膜の形成速度が遅くなって生産性が低
下し、200ml/分より多いとアルミニウム缶体表面
が常時濡れた状態となって、ベーマイト皮膜の形成速度
が遅くなる。なお、1つの缶体W当りの水滴の吹き付け
量とは、全水滴噴霧ノズル8から噴出する水量/缶数で
あると定義する。
【0027】乾燥処理領域Kでの雰囲気温度は100〜
300℃とされる。100℃未満では缶体の温度が上が
らず、皮膜が生成し難いという問題が生じ、300℃よ
り高いと材料の強度が下がる。乾燥処理領域K内では、
缶体Wの表面が速やかに乾燥する湿度に維持されてお
り、具体的には水蒸気分圧0.15〜1.5kg/cm
2程度が好適である。
【0028】水蒸気処理工程の処理時間Aと乾燥工程の
処理時間Bとの比A:Bは70:30〜50:50であ
ることが望ましい。この範囲であると、ベーマイト皮膜
の形成速度が最大になる。乾燥工程の処理時間Bの割合
が30%より少ない、または50%より多いと、いずれ
の場合もベーマイト皮膜の形成速度が相対的に低下す
る。
【0029】噴霧水にベーマイト皮膜の反応促進剤を含
有させることも有効である。反応促進剤としては、界面
活性剤,アミン類などが挙げられ、その濃度は0.01
〜1.0wt%程度が好ましい。界面活性剤を添加する
と水の表面張力が低下し、傾斜部にベーマイト皮膜がよ
り均一に成長するという作用が大きくなる。また、アミ
ン類を添加した場合にはアルミニウムの溶出を促進し、
かつpHを弱アルカリ性に保つ作用によってベーマイト
皮膜の形成速度が大きくなる。
【0030】個々の水蒸気処理領域Sおよび乾燥処理領
域Kを缶体Wが通過するのに要する時間は30〜180
秒程度が好ましい。30秒未満ではベーマイト皮膜の形
成速度が低下する。また、180秒を越えるとアルミニ
ウム缶の生産速度に対応できない。
【0031】
【実験例】次に、実験例を挙げて本発明の効果を実証す
る。 (実験1)JIS規格A3004アルミニウム合金から
なるアルミニウム缶体を用意し、硫酸ー鉄系脱脂液を用
いて脱脂を行った。次いで、このアルミニウム缶体に、
前記ベーマイト皮膜形成装置を用いてベーマイト皮膜形
成を行った。チャンバーC内の温度を200℃、圧力を
常圧とし、蒸気噴霧ノズル12から200℃の水蒸気を
噴出させて乾燥処理領域Kでの水蒸気分圧0.5kg/
cm2 に維持しつつ、水滴噴霧ノズル8から平均粒径5
0μmの水滴を噴霧した。
【0032】水蒸気処理時間と乾燥処理時間は合計で9
0秒間とし、その間、水蒸気処理を45秒、乾燥処理を
45秒のサイクルで繰り返した。各水滴噴霧ノズル8か
らの水滴流量は1缶当り100ml/分とした。スペー
サ4の材質はSUS304、スペーサ4の配列間隔は2
0mmとした。この条件で、スペーサの直径を1,3,
5,7,10mmに変更して実験を繰り返した。
【0033】上記のようにして製作した缶体Wの耐食性
を評価するために、各缶体を10個づつ75℃の人工水
道水に30分間浸漬して加熱し、腐食による黒変色の有
無を判定した。腐食試験に用いた人工水道水の成分は以
下の通りである。 Si2+:5ppm Mg2+:5ppm Ca2+:10ppm SO4 2-:86ppm HCO3 -:30ppm PH:7.5〜7.6
【0034】また、上記製造方法で得られた缶体各10
個を、125℃で1.2気圧のオートクレーブ内に1時
間保持して耐水蒸気試験(レトルト試験)を行い、腐食
による白変色の有無を確認して、加圧殺菌条件下での耐
食性を評価した。さらにまた、上記製造方法で得られた
缶体各10個の、外周面の皮膜厚さを測定し、厚さむら
の有無を調べた。
【0035】上記3種の実験結果を表1に示す。表1か
ら明らかなように、本発明の方法で形成したベーマイト
皮膜は、耐加熱水性に優れ、加圧水蒸気下における耐食
性も良好で、皮膜厚さも均一だった。スペーサ4の直径
によるベーマイト皮膜の差は殆ど無かった。
【0036】
【表1】
【0037】(実験2)次に、上記実験1と同一条件
で、スペーサ4の材質のみを変更してアルミニウム缶体
にベーマイト皮膜を形成した。スペーサ4の直径は5m
m、スペーサ4の配列間隔は20mmに統一した。スペ
ーサ4の材質としては、ポリテトラフルオロエチレン,
SUS304,ガラスの3種を使用した。
【0038】得られた缶体各10個に上記実験1と同じ
試験を行った。3種の実験結果を表2に示す。表2から
明らかなように、本発明の方法で形成したベーマイト皮
膜は耐加熱水性に優れ、加圧水蒸気下でも耐食性が良好
で、皮膜厚さも均一だった。またスペーサ4の材質によ
るベーマイト皮膜の差は殆ど無かった。
【0039】
【表2】
【0040】(実験3)上記実験1と同一条件で、蒸気
噴霧ノズル12からの蒸気温度および乾燥雰囲気領域K
の温度のみを230,200,170,140,110
℃に変化させて、アルミニウム缶体にベーマイト皮膜を
形成した。スペーサ4の直径は5mm、スペーサ4の配
列間隔は20mm、材質はガラスに統一した。
【0041】得られた缶体10づつに実験1と同じ試験
を行った。実験結果を表3に示す。表3から明らかなよ
うに、いずれの処理温度で形成したベーマイト皮膜も耐
加熱水性に優れ、加圧水蒸気下でも耐食性が良好だっ
た。
【0042】
【表3】
【0043】(実験4)上記実験1と同一条件で、コン
ベアベルト1の速度を変え、全体処理時間のみを15,
30,60,90,120秒に変化させて、アルミニウ
ム缶体にベーマイト皮膜を形成した。スペーサ4の直径
は5mm、スペーサ4の配列間隔は20mm、材質はガ
ラスを使用した。
【0044】得られた缶体に実験1と同じ試験を行っ
た。実験結果を表4に示す。表4から明らかなように、
処理時間30秒以上で形成したベーマイト皮膜は耐加熱
水性に優れ、加圧水蒸気下でも耐食性が良好で厚さむら
も少なかった。
【0045】
【表4】
【0046】(実験5)上記実験1と同一条件で、乾燥
処理領域Kでの水蒸気分圧のみを0.1,0.2,0.
3,0.5,1.0kg/cm2に変化させて、アルミ
ニウム缶体にベーマイト皮膜を形成した。スペーサ4の
直径は5mm、スペーサ4の配列間隔は20mm、材質
はSUS304を使用した。
【0047】得られた缶体に実験1と同じ試験を行っ
た。実験結果を表5に示す。表5から明らかなように、
いずれの水蒸気圧で形成されたベーマイト皮膜も耐加熱
水性に優れ、加圧水蒸気下の耐食性が良好で、厚さむら
も少なかった。
【0048】
【表5】
【0049】(実験6)上記実験1と同一条件で、水滴
噴霧量のみを1缶当り10,30,50,70,100
ml/分に変化させて、アルミニウム缶体にベーマイト
皮膜を形成した。スペーサ4の直径は5mm、スペーサ
4の配列間隔は20mm、材質はSUS304を使用し
た。
【0050】得られた缶体に実験1と同じ試験を行っ
た。実験結果を表6に示す。表6から明らかなように、
いずれの水滴噴霧量で形成されたベーマイト皮膜も耐加
熱水性に優れ、加圧水蒸気下の耐食性が良好だった。
【0051】
【表6】
【0052】(実験7)実験1と同一条件で、平均水滴
粒径のみを10,30,50,70,100μmに変化
させて、アルミニウム缶体にベーマイト皮膜を形成し
た。スペーサ4の直径は5mm、スペーサ4の配列間隔
は20mm、材質はSUS304を使用した。
【0053】得られた缶体に実験1と同じ試験を行っ
た。実験結果を表7に示す。表7から明らかなように、
いずれの平均水滴粒径で形成されたベーマイト皮膜も耐
加熱水性に優れ、加圧水蒸気下の耐食性が良好だった。
【0054】
【表7】
【0055】(比較例)従来のアルミニウム缶体のベー
マイト皮膜形成方法の1例として、100℃の沸騰水中
にアルミニウム缶体を10分間保持し、その表面に平均
膜厚約1μmのAlのベーマイト皮膜を形成した。得ら
れた缶体に実験1と同じ試験を行った。実験結果を表8
に示す。表8から明らかなように、本発明のベーマイト
皮膜形成方法に比して、耐加熱水性、加圧水蒸気下の耐
食性が劣り、ベーマイト皮膜の厚さむらも顕著だった。
【0056】
【表8】
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るアル
ミニウム缶体のベーマイト皮膜形成方法および形成装置
においては、水蒸気を含む100〜300℃の雰囲気中
でアルミニウム缶体に水蒸気処理を施す工程と、100
〜300℃の乾燥雰囲気中でアルミニウム缶体を乾燥さ
せる工程とを交互に行うことにより、常圧下においても
十分な生産速度でベーマイト皮膜を形成できる。したが
って、高速度で生産される製缶ラインに適用することが
容易である。
【0058】なお、平均粒径が10〜100μmの水滴
を噴霧した場合には、皮膜の成長速度が大きいにも拘ら
ず結晶粒径の微細なベーマイト皮膜を形成でき、ベーマ
イト皮膜の耐食性をさらに向上できる。
【0059】また、前記離間機構として、ワイヤに直径
1〜10mmの球状をなすスペーサを一定間隔毎に貫通
固定したものを使用した場合には、ベーマイト皮膜形成
時にアルミニウム缶体同士の接触を効果的に防ぐことが
できるので、接触に起因する皮膜厚さのむらを防ぐこと
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するためのベーマイト皮膜形成装
置の要部を示す側面図である。
【図2】同装置の平面図である。
【図3】同装置の全体を示す側面図である。
【符号の説明】
C チャンバー 1 コンベアベルト 2 ガイドロープ 4 スペーサ 8 水滴噴霧ノズル 10 水滴 12 蒸気噴霧ノズル 14 水蒸気 B 缶底部 W アルミニウム缶体
フロントページの続き (72)発明者 高橋 務 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム合金を素材とするアルミニウ
    ム缶体にベーマイト皮膜を形成する方法であって、水蒸
    気を含む100〜300℃の湿潤雰囲気中でアルミニウ
    ム缶体に水蒸気処理を施す水蒸気処理工程と、100〜
    300℃の乾燥雰囲気中でアルミニウム缶体を乾燥させ
    る乾燥工程とを交互に行うことを特徴とするアルミニウ
    ム缶体のベーマイト皮膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記水蒸気処理工程では、平均粒径が10
    〜100μmの水滴をアルミニウム缶体に噴霧すること
    を特徴とする請求項1記載のアルミニウム缶体のベーマ
    イト皮膜形成方法。
  3. 【請求項3】前記水蒸気処理工程の処理時間Aと乾燥工
    程の処理時間Bとの割合A:Bは、70:30〜50:
    50であることを特徴とする請求項1または2記載のア
    ルミニウム缶体のベーマイト皮膜形成方法。
  4. 【請求項4】内部温度を保ち得るチャンバーと、 このチャンバー内に設けられアルミニウム缶体を水平に
    搬送するコンベアベルトと、 コンベアベルトの上面と平行にコンベアベルトの長手方
    向に向けて延設され、コンベアベルトで搬送されるアル
    ミニウム缶体が互いに接触しないように仕切る離間機構
    と、 コンベアベルトの内部に長手方向に間隔を空けて設けら
    れ、100〜300℃の水蒸気をカーテン状に噴出して
    チャンバー内の空間を長手方向複数の領域に仕切るため
    の複数の蒸気噴霧ノズルと、 前記領域の1つ置きに設けられ、アルミニウム缶体の底
    部に向けて平均粒径が10〜100μmの水滴を噴霧す
    る水滴噴霧ノズルとを具備することを特徴とするアルミ
    ニウム缶体のベーマイト皮膜形成装置。
  5. 【請求項5】前記離間機構は、ワイヤに直径1〜10m
    mの球状をなすスペーサを一定間隔毎に貫通固定したガ
    イドロープであることを特徴とする請求項4記載のアル
    ミニウム缶体のベーマイト皮膜形成装置。
JP11077493A 1993-05-12 1993-05-12 アルミニウム缶体のベーマイト皮膜形成方法および形成装置 Withdrawn JPH06322513A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0781860A1 (de) * 1995-12-23 1997-07-02 Abb Research Ltd. Verfahren zur Oberflächenbehandlung von Aluminium und Aluminiumlegierungen
WO2012015787A1 (en) * 2010-07-27 2012-02-02 Alcoa Inc. Pretreatment of aluminum alloys by hydration of the aluminum surface
WO2017135363A1 (ja) * 2016-02-05 2017-08-10 学校法人 芝浦工業大学 高強度と高耐食性を有するアルミニウム合金材及びその製造方法、並びに、アルミニウム合金材の表面処理方法
WO2019225674A1 (ja) * 2018-05-24 2019-11-28 学校法人 芝浦工業大学 耐食性及び強度に優れたアルミニウム合金材及びその製造方法

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