JPH06322473A - 鋳造用鉄合金及びその製造方法 - Google Patents

鋳造用鉄合金及びその製造方法

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JPH06322473A
JPH06322473A JP13262293A JP13262293A JPH06322473A JP H06322473 A JPH06322473 A JP H06322473A JP 13262293 A JP13262293 A JP 13262293A JP 13262293 A JP13262293 A JP 13262293A JP H06322473 A JPH06322473 A JP H06322473A
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casting
temperature
iron alloy
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mold
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JP13262293A
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Kimiteru Otsuka
公輝 大塚
Norio Takahashi
紀雄 高橋
Hirofumi Kimura
浩文 木村
Toshiki Yoshida
敏樹 吉田
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Hitachi Metals Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排気ガス温度が800℃以上、特に850〜
950℃となる場合において、優れた耐酸化性、耐熱亀
裂性を示し、且つ安価で、鋳造性、加工性にも優れた鋳
造用鉄合金とその製造方法を得る。 【構成】 鋳造用鉄合金は、質量比で、C:0.5%〜
2.0%、Si:3.2%を超え5.0%以下、Mn:
0.8%以下、残部が実質的にFe及び不可避的元素か
らなり、その基地組織中に球状黒鉛を含み、且つ、その
金属基地組織が実質的にフェライト相からなり、球状黒
鉛の面積率が2〜7%とする。この鋳造用鉄合金は、凝
固後の上記組成となる溶湯を鋳型内に注湯し、凝固後鋳
造品の最も高温部分がA1変態点より低い温度となるま
で前記鋳型内で冷却した後、型ばらしを行なってパーラ
イトの析出を抑制して基地組織を実質的にフェライト相
とする製造方法で得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温で使用され、耐酸
化性、耐熱亀裂性等に優れているとともに、鋳造性、被
削性に優れた鋳造用鉄合金及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温で使用される部材としては、例えば
自動車用内燃機関であるガソリンエンジンやディーゼル
エンジンなどの高温の燃焼ガスにさらされる排気系部品
等がある。これら排気系部品、所謂エキゾーストマニホ
ールド、ターボチャージャーハウジング、ターボチャー
ジャーハウジングの直下に接続して用いられるエキゾー
ストアウトレット、及び排気ガス浄化用触媒コンバータ
容器等を構成する部品の適用材質は、エンジンの全負荷
時における排気ガス温度、さらに排気ガス温度と時間当
たりの排気ガス排出量によって決まる総排出熱量、ある
いは、部品の形状、部品の拘束条件などを考慮して決め
られている。
【0003】これらの排気系部材においては、通常、F
CD400〜FCD500などの球状黒鉛鋳鉄や高Si
球状黒鉛鋳鉄が主に使われている。更に、一部の超高性
能エンジン用には、Niを多量に含有するオーステナイ
ト球状黒鉛鋳鉄(ニレジスト鋳鉄)や、耐熱性に優れる
8%Crフェライト系あるいは18%Crフェライト系
耐熱鋳鋼やSCH12等のオーステナイト系耐熱鋳鋼が
採用され始めている。特に最近では、自動車用エンジン
の高出力化や高性能化、並びに高速燃費改善を目的とし
たガソリンエンジンの燃料冷却の低減などの要求により
熱負荷は増加する一途であり、内燃機関用の排気系部品
を構成する部材は、押し並べて、より耐熱性の高い材料
に移行しつつある。ところが、FCD400〜FCD5
00などの球状黒鉛鋳鉄や高Si球状黒鉛鋳鉄から、よ
り耐熱性の高い部材に変更しようと場合、ニレジスト鋳
鉄やフェライト系耐熱鋳鋼などの材料を選択するしかな
く、大幅なコストアップを余儀なくされている。すなわ
ち、ニレジスト鋳鉄は非常に高価な元素を20〜35質
量%含有するために、また、18%Crフェライト系耐
熱鋳鋼では高合金で且つ高融点であるため特殊な鋳型や
鋳造方法を採用するために、FCD400〜FCD50
0などの球状黒鉛鋳鉄や高Si球状黒鉛鋳鉄製の部品コ
ストに対して2〜5倍のコスト負担を強いられている。
【0004】本発明は、上記の問題を解決するため、排
気ガス温度が800℃以上、特に850〜950℃とな
る場合において、優れた耐酸化性、耐熱亀裂性を示し、
且つ安価で、鋳造性、加工性にも優れた鋳造用鉄合金と
その製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに鋭意研究の結果、FCD400や高Si球状黒鉛鋳
鉄の耐酸化性や耐熱亀裂性は、基地組織中に点在する黒
鉛の平均粒径と粒数によって決定される黒鉛面積率と密
接な関係があることを突き止め、黒鉛面積率を減少させ
るほど、また同じ黒鉛面積率ならば黒鉛の平均粒径を小
さくするほど耐酸化性と耐熱亀裂性を向上できる知見を
得た。このためには、鋳造性を損なわない範囲内でC含
有量をできるだけ下げると共に基地組織を実質的にフェ
ライトとすることが不可欠であることを見い出し、本発
明に想到した。
【0006】すなわち、本第1の発明の鋳造用鉄合金
は、化学成分が質量比で、C:0.5%〜2.0%、S
i:3.2%を超え5.0%以下、Mn:0.8%以
下、残部が実質的にFe及び不可避的元素からなり、そ
の基地組織中に球状黒鉛を含み、且つ、その金属基地組
織が実質的にフェライト相であることを特徴とする。
【0007】本第2の発明の鋳造用鉄合金は、化学成分
が質量比で、C:0.5%〜2.0%、Si:3.2%
を超え5.0%以下、Mn:0.8%以下、残部が実質
的にFe及び不可避的元素からなり、その組織中に球状
黒鉛を含み、且つその金属基地組織が実質的にフェライ
ト相で、基地組織中に点在する球状黒鉛の面積率が2〜
7%であることを特徴とする。
【0008】本第3の発明の鋳造用鉄合金の製造方法
は、上述の第1及び第2発明組成の鉄合金の溶湯を鋳型
内に注湯し、凝固後鋳造品の最も高温部分がA1変態点
より低い温度となるまで前記鋳型内で冷却した後、型ば
らしを行なってパーライトの析出を抑制することによ
り、その金属基地組織を実質的にフェライト相とするこ
とを特徴とする。
【0009】本第4の発明の鋳造用鉄合金の製造方法
は、上述の第1及び第2発明組成の鉄合金の溶湯を鋳型
内に注湯し、凝固後その鋳造品の最も低い温度である部
位がA1変態点以上の温度である状態で前記鋳型から取
り出した後、A1変態点以上の温度からパーライトが析
出しない冷却速度でA1変態点より低い温度まで冷却す
ることにより、その金属基地組織を実質的にフェライト
相とすることを特徴とする。
【0010】本第5の発明の鋳造用鉄合金の製造方法
は、上述の第1及び第2発明組成の鉄合金を、A1変態
点以上の温度から950℃の間の任意の温度に加熱保持
した後パーライトが析出しない冷却速度でA1変態点よ
り低い温度まで冷却する熱処理を施し、その金属基地組
織を実質的にフェライト相とすることを特徴とする。
【0011】
【作用】以下に各元素の含有量(質量比)の限定理由を
述べる。
【0012】(a)C:0.5%〜2.0% 本発明においてCは重要な役割を担う元素である。C含
有量の範囲を決定するに当っては、鋳造性の面、被削性
の面及び耐熱性(耐酸化性及び耐熱亀裂性)の面より考
えなければならない。鋳造性及び被削性はC含有量が高
いほど向上するが、逆に耐熱性はC含有量が低いほど向
上する。C含有量が0.5%以下になると、不廻り、引
け巣などの鋳造欠陥が多発するようになり、健全な鋳物
を経済的に造ることが困難になる。また、組織中の球状
黒鉛の量も極めて少なくなり、機械加工時の被削性も悪
くなる。従って、C含有量の下限は0.5%とする。一
方、形状がより複雑でしかも肉厚がより薄い鋳物を健全
に造るためにはC含有量を高くする必要があるが、C含
有量が2%を超えると組織中の球状黒鉛の量が極めて多
くなり耐熱性が劣化する。なお、C含有量が2%を超え
ると初晶粒界に球状化率の低い黒鉛が発生したり、耐熱
性を極度に劣化させる炭化物が初晶粒界に発生する場合
などがあり、組織の安定性を著しく低下させる。従っ
て、C含有量の上限を2.0%とする。好ましいC含有
量は1.0〜1.5%である。
【0013】(b)Si:3.2%〜5.0% Siは、耐酸化性の改善に対する効果が極めて大きい。
また同時に、A1変態点を高温側に押し上げ常用温度域
の上限温度を高めたり、セメンタイトの生成を抑制しフ
ェライト化を促進して金属基地組織が実質的にフェライ
ト相となるように働くと同時にCを黒鉛の形で安定にす
る。さらにCと同じく融点を下げて鋳造性を向上させ、
且つ脱酸剤として働き鋳物のガス欠陥を低減する効果も
ある。以上のような観点から、Siは本発明において非
常に重要な元素であって、列記したような効果を得るた
めには、その含有量は3.2%以上を必要とする。一
方、基地中に固溶するSiが過多となると靱性や延性の
低下を招くのでその含有量の上限は5.0%とする。好
ましいSiの含有量は3.8%〜4.5%である。
【0014】(c)Mn:0.8%以下 MnもSiと同様脱酸剤として有効であるがパーライト
化を促進する元素でもある。本発明の鋳造用鉄合金の基
地組織はできるだけフェライトであることが好ましい。
上述したC、Siの含有量の限定範囲内でMnが0.8
%を超えるとパーライトが多量に析出しやすくなるの
で、Mnの含有量は0.8%以下とする。好ましいMn
の含有量は0.6%以下である。
【0015】(d)冷却方法 本発明の鋳造用鉄合金の製造方法において、下記に説明
する方法の冷却を施すことにより所望の鋳造用鉄合金を
得ることができる。すなわち、凝固後の組成が前記組成
となるような溶湯を鋳型内に注湯し、凝固後鋳造品の最
も高温部分がA1変態点より低い温度となるまで前記鋳
型内で冷却した後型ばらしを行なう冷却方法によってパ
ーライトの析出を抑制し、その金属基地組織が実質的に
フェライト相である所望の鋳造用鉄合金を得ることがで
きる。型ばらし温度をA1変態点より低いに温度に限定
した理由は、A1変態点以上の温度を超える部位が残存
しているとその部位が急冷されパーライトが多量に析出
して所望の材料特性が得られないことによる。
【0016】本発明の鋳造用鉄合金の製造方法におい
て、下記に説明するもう一つの方法の冷却を施すことに
より所望の鋳造用鉄合金を得ることができる。すなわ
ち、凝固後の組成が前記組成となるような溶湯を鋳型内
に注湯し、凝固後その鋳造品の最も低い温度である部位
がA1変態点以上の温度である状態で前記鋳型から取り
出した後、A1変態点以上の温度からパーライトが析出
しない冷却速度でA1変態点より低い温度まで冷却する
冷却方法により、その金属基地組織の全てがフェライト
相である所望の鋳造用鉄合金を得ることができる。
【0017】(e)熱処理方法 本発明の鋳造用鉄合金の製造方法において、下記に説明
する方法の熱処理を施すことにより所望の鋳造用鉄合金
を得ることができる。すなわち、鋳放しの金属基地組織
中のパーライト面積率が多くて所望の材料性質と被削性
が得られない場合には、A1変態点以上の温度から95
0℃の間の任意の温度に加熱保持した後パーライトが析
出しない冷却速度でA1変態点より低い温度まで冷却す
る熱処理方法より、その金属基地組織の全てがフェライ
ト相である鋳造用鉄合金を得ることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 [実施例(1)]表1は、本発明の各種材料特性を評価
するために作製した供試材の化学成分である。表中の材
料番号1〜18は本発明材の実施例の化学成分を、また
同表の材料番号成分〜は従来例の化学成分を示す。
【0019】
【表1】
【0020】各供試材の作製にあたっては、溶解能力1
00kgの高周波溶解炉を用いて大気溶解し1550℃
以上で出湯し脱酸等の溶湯処理を行ったの後、CO2
砂で成形したYブロック形状のJIS規格Y型B号供試
材の鋳型に1500℃以上で注湯して供試用試験片を作
製した。上述により作製された供試材は、鋳放しのまま
試験に供試するものと、一部のものについては大気雰囲
気中の加熱炉にて850℃で2時間保持した後700℃
まで炉冷し大気中にて自然冷却する熱処理を行なった。
ここで、表1の従来例の内〜の部材は自動車用エキ
ゾーストマニホールドやターボチャージャハウジング等
の排気系耐熱部品に使用されているもので、高Si球状
黒鉛鋳鉄と呼称され一般に良く知られた鋳造用鉄合金で
ある。
【0021】上述により作製した各供試材を用いて、以
下に述べるような各種の試験を実施した。
【0022】先ず、耐熱疲労寿命を支配する要因解析を
する目的で、直径10mmで長さ20mmの中実円柱状
の試験片を用いて、800℃、850℃の2水準の温度
において大気中保持200時間による酸化試験を実施し
た。酸化試験の評価方法としては、酸化試験後にサンド
ブラスト処理により試験片表面に生じた酸化膜を除去
し、酸化試験前後の単位表面積当たりの重量変化(酸化
減量;mg/cm2 )により評価した。
【0023】また、引張特性を調べるために、室温及び
高温での引張試験を実施した。常温引張試験にはJIS
4号標準引張試験片を用いて、高温引張試験にはJIS
のG0567に定められる直径10mmで標点間距離5
0mmのつば付き高温引張試験片を用いて850℃の温
度において実施した。
【0024】加熱冷却時の熱膨張及び熱収縮が拘束され
た状態で使用される内燃機関の排気系部品は過酷な熱疲
労条件にさらされる。従って排気系部品用としての耐熱
材料は、この熱疲労による亀裂並びに変形を生じにくい
ことが一義的に重要である。そこで、各本発明材につい
て、電気・油圧サーボ方式の熱疲労試験機を用いて熱疲
労寿命を測定した。熱疲労試験は、標点間距離が20m
m、標点間の直径が10mmの試験片を用い、その試験
片の標点間を高周波コイル出力と冷却空気噴射を制御し
ながら加熱冷却する。この加熱冷却により生ずる標点間
の伸び縮みを伸び計を用いて検出し機械的に完全拘束す
る。加熱冷却条件は、下限温度を150℃、上限温度ま
での昇温時間2分、上限温度での保持時間を1分、下限
温度までの降温時間を4分とする1サイクル7分であ
る。なお、上限温度は800℃及び850℃の2水準と
した。また、熱疲労寿命は試験片標点間が破断したサイ
クル数をもって定義した。
【0025】表2は、本発明の実施例材及び従来材の金
属組織観察による黒鉛粒数、黒鉛球状化率、黒鉛面積
率、パーライト面積率の測定結果、並びに、ブリネル硬
さ測定、引張試験、酸化試験、及び熱疲労試験の結果を
まとめたものを示す。なお、黒鉛粒数、黒鉛球状化率の
測定については、粒径が5μm未満の黒鉛は測定対象か
ら除外した。
【0026】
【表2】
【0027】表2の実施例及び従来例の結果より、図1
にC含有量と800℃の熱疲労寿命の関係を、図2にC
含有量と黒鉛面積率の関係を、図3にSi含有量と80
0℃の酸化減量の関係をそれぞれ図に表わして示す。こ
れらの関係より、C含有量の多い従来材の高Si球状黒
鉛鋳鉄に比較して、本発明材は耐酸化性及び熱疲労寿命
が大幅に向上していることがわかる。図4には本発明材
における代表的な組成を有する実施例1の金属顕微鏡組
織を示す。図5には従来例の金属顕微鏡組織写真を示
す。実施例1の本発明材は、従来例と比較して黒鉛粒
が微細で且つ黒鉛面積率も小さいことが一目瞭然であ
る。図6には、表1の従来例の供試材から加工した熱
疲労試験片において、熱疲労試験を中断したものの標点
部中央の表面近傍のミクロ組織写真を示す。酸化を伴う
亀裂が基地中に存在する黒鉛を介して進行しつつあるこ
とがわかる。即ち、この事実は基地中に存在する黒鉛の
絶対量を減らすことが耐熱性の向上に不可欠であること
を明らかにしている。
【0028】次に、延性の向上と機械加工性の向上等を
目的とした熱処理の効果について述べる。実施例4及び
7の鋳放し材は、フェライト化促進元素であるSiが本
発明で規定するの下限側に近いため、鋳型内でA1変態
点より低い温度まで冷却したにも拘らず基地組織中にパ
ーライトが面積率でそれぞれ実施例4で25%、実施例
7で27%析出していた。そこで、本供試材について、
室温から850℃まで加熱して2時間保持した後700
℃まで炉冷してから室温中に放冷する熱処理を実施した
結果、パーライトは完全分解されて、基地はフェライト
一相となった。さらに、熱処理を施した供試材について
硬さ測定と引張試験を実施した結果、硬さは低くなり、
伸びも大幅に向上することを確認した。
【0029】[実施例(2)]表3(a)に示す本発明
成分範囲にある種々の溶湯について、加給機付きの直列
4気筒エンジンに使用される一般肉厚4mmのエキゾー
ストマニホールド(製品A、図7参照)と、同じく一般
肉厚4mmのターボチャージャハウジング(製品B、図
7参照)を各々鋳造し、その鋳造性と被削性の確認を行
なった。その結果、本発明材のいずれの条件においても
健全な鋳造部品を得ることができた。さらに、これらの
鋳造部品について機械加工を施して被削性の確認を行な
ったが、いずれのものについても従来材の高Si球状黒
鉛鋳鉄と同程度の被削性を示し何等問題は生じなかっ
た。
【0030】
【表3】
【0031】[実施例(3)]次に、表3の(a)1の
化学成分で鋳造し加工したものからそれぞれ製品Aのエ
キゾーストマニホールドと、製品Bのターボチャージャ
ハウジングを各一個抜取り、それらを組み付けた直列4
気筒、排気量2000ccの高性能ガソリンエンジンに
より、実機耐久試験を実施した。試験条件は、6000
回転全負荷運転を連続14分間−アイドリング1分間−
完全停止を14分間−アイドリング1分間を1サイクル
とする熱冷(GO−STOP)サイクルを500サイク
ルまで実施した。全負荷時の排気ガス温度は、ターボチ
ャージャハウジングの入り口で910℃であった。この
条件下での、エキゾーストマニホールドの表面最高温度
は集合部で約840℃、ターボチャージャハウジングの
表面最高温度はウエイストゲート部で約860℃であっ
た。その結果、これらの部品は熱変形によるガス漏れや
熱亀裂が生ずることなく、優れた耐久性と信頼性を有す
ることが確認された。
【0032】一方、表3(b)に示す化学成分の従来材
である高Si球状黒鉛鋳鉄で製品Aと同形状のエキゾー
ストマニホールドと、同じく製品Bと同形状のターボチ
ャージャハウジングを製作して、同じエンジンを用いて
前記と同じ条件で試験を行なった。この結果、高Si球
状黒鉛鋳鉄製エキゾーストマニホールドは、365サイ
クルで酸化と熱疲労が原因で集合部近傍に熱亀裂が生じ
使用不能となった。その後、エキゾーストマニホールド
を製品Aに取替え試験を続行したところ、高Si球状黒
鉛鋳鉄製ターボチャージャハウジングは463サイクル
目にスクロールのタング部から肉厚を貫通する亀裂を生
じた。以上の結果、本発明の鋳造用鉄合金で製作したエ
キゾーストマニホールド及びターボチャージャハウジン
グは優れた耐熱性を有していることが明らかとなった。
【0033】
【発明の効果】以上詳細に説明の通り、本発明の鋳造用
鉄合金は、使用温度が800℃以上となる領域で、Si
含有量が同量の高Si球状黒鉛鋳鉄に比べて極めて良好
な耐熱性を有し、例えば、酸化減量については本発明の
鋳造用鉄合金が同じSi含有量の高Si球状黒鉛鋳鉄の
約50%〜70%程度であり、また耐熱亀裂性は同じS
i含有量の高Si球状黒鉛鋳鉄に比較して約2倍であ
る。そして、本発明の鋳造用鉄合金の製造方法は、特に
材料要求特性として耐酸化性及び耐熱亀裂性が求めら
れ、従来の高Si球状黒鉛鋳鉄を上回る特性を有し、且
つ鋳造性や被削性も従来の高Si球状黒鉛鋳鉄と同等の
特性を有する鋳造用鉄合金を、廉価に製造することがで
き、優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1におけるC含有量と800℃の熱疲労寿命
の関係を示す図である。
【図2】表1におけるC含有量と黒鉛面積率の関係を示
す図である。
【図3】表1におけるSi含有量と800℃の酸化減量
の関係を示す図である。
【図4】表1の実施例1の金属顕微鏡組織写真を示す図
である。
【図5】表1の従来例の金属顕微鏡組織写真を示す図
である。
【図6】表1の従来例の供試材から加工した熱疲労試
験片において、熱疲労試験を中断したものの標点部中央
の表面近傍のミクロ金属組織写真を示す図である。
【図7】本発明の一実施例のエキゾーストマニホールド
[製品A]とターボチャージャハウジング[製品B]の
概要を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 吉田 敏樹 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学成分が質量比で、C:0.5%〜
    2.0%、Si:3.2%を超え5.0%以下、Mn:
    0.8%以下、残部が実質的にFe及び不可避的元素か
    らなり、その基地組織中に球状黒鉛を含み、且つ、その
    金属基地組織が実質的にフェライト相であることを特徴
    とする鋳造用鉄合金。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載する鋳造用鉄合金におい
    て、基地組織中に点在する球状黒鉛の面積率が2〜7%
    であることを特徴とする鋳造用鉄合金。
  3. 【請求項3】 請求項1及び請求項2に記載の鋳造用鉄
    合金の製造方法において、凝固後の組成が前記組成とな
    る溶湯を鋳型内に注湯し、凝固後鋳造品の最も高温部分
    がA1変態点より低い温度となるまで前記鋳型内で冷却
    した後、型ばらしを行なってパーライトの析出を抑制す
    ることにより、その金属基地組織を実質的にフェライト
    相とすることを特徴とする鋳造用鉄合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1及び請求項2に記載の鋳造用鉄
    合金の製造方法において、凝固後の組成が前記組成とな
    る溶湯を鋳型内に注湯し、凝固後その鋳造品の最も低い
    温度である部位がA1変態点以上の温度である状態で前
    記鋳型から取り出した後、A1変態点以上の温度からパ
    ーライトが析出しない冷却速度でA1変態点より低い温
    度まで冷却することにより、その金属基地組織を実質的
    にフェライト相とすることを特徴とする鋳造用鉄合金の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1及び請求項2に記載の鋳造用鉄
    合金の製造方法おいて、A1変態点以上の温度から95
    0℃の間の任意の温度に加熱保持した後パーライトが析
    出しない冷却速度でA1変態点より低い温度まで冷却す
    る熱処理を施し、その金属基地組織を実質的にフェライ
    ト相とすることを特徴とする鋳造用鉄合金の製造方法。
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JP2002280210A (ja) * 2001-03-19 2002-09-27 Aisin Seiki Co Ltd 磁気回路部材
JP2014028987A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Hinode Ltd 鋳造用鉄合金及びその製造方法
JP2021017601A (ja) * 2019-07-17 2021-02-15 三菱電機株式会社 球状黒鉛鋳鉄材及びスクロール部材

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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