JPH06322474A - 鋳造用鉄合金及びその製造方法 - Google Patents

鋳造用鉄合金及びその製造方法

Info

Publication number
JPH06322474A
JPH06322474A JP13262393A JP13262393A JPH06322474A JP H06322474 A JPH06322474 A JP H06322474A JP 13262393 A JP13262393 A JP 13262393A JP 13262393 A JP13262393 A JP 13262393A JP H06322474 A JPH06322474 A JP H06322474A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
casting
temperature
iron alloy
transformation point
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13262393A
Other languages
English (en)
Inventor
Kimiteru Otsuka
公輝 大塚
Norio Takahashi
紀雄 高橋
Hirofumi Kimura
浩文 木村
Toshiki Yoshida
敏樹 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP13262393A priority Critical patent/JPH06322474A/ja
Publication of JPH06322474A publication Critical patent/JPH06322474A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排気ガス温度が800℃以上、特に850〜
950℃となる場合において、優れた耐酸化性、耐熱亀
裂性を示し、且つ安価で、鋳造性、加工性にも優れた鋳
造用鉄合金とその製造方法を得る。 【構成】 鋳造用鉄合金は、質量比で、C:0.5%〜
2.0%、Si:3.2%を超え5.0%以下、Mn:
0.8%以下、REM:0.001〜0.1%、残部が
実質的にFe及び不可避的元素からなり、その基地組織
中に球状黒鉛を含み、且つ、その金属基地組織が実質的
にフェライト相からなり、球状黒鉛の面積率が2〜7%
とする。この鋳造用鉄合金は、凝固後の上記組成となる
溶湯を鋳型内に注湯し、凝固後鋳造品の最も高温部分が
A1変態点より低い温度となるまで前記鋳型内で冷却し
た後、型ばらしを行なってパーライトの析出を抑制して
基地組織を実質的にフェライト相とする製造方法で得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温で使用され、耐酸
化性、耐熱亀裂性等に優れているとともに、鋳造性、被
削性に優れた鋳造用鉄合金及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温で使用される部材として、例えば自
動車用内燃機関であるガソリンエンジンやディーゼルエ
ンジンなどの高温の燃焼ガスにさらされる排気系部品な
どがある。これら排気系部品、所謂エキゾーストマニホ
ールド、ターボチャージャーハウジング、ターボチャー
ジャーハウジングの直下に接続して用いられるエキゾー
ストアウトレット、及び排気ガス浄化用触媒コンバータ
容器等を構成する部品の適用材料は、エンジンの全負荷
時における排気ガス温度、さらに排気ガス温度と時間当
たりの排気ガス排出量によって決まる総排出熱量、ある
いは、部品の形状、部品の拘束条件などを考慮して決め
られている。
【0003】これらの排気系部材においては、通常、F
CD400〜FCD500などの球状黒鉛鋳鉄や高Si
球状黒鉛鋳鉄が主に使われている。更に、一部の超高性
能エンジン用には、Niを多量に含有するオーステナイ
ト球状黒鉛鋳鉄(ニレジスト鋳鉄)や、耐熱性に優れる
8%Crフェライト系あるいは18%Crフェライト系
耐熱鋳鋼やSCH12等のオーステナイト系耐熱鋳鋼が
採用され始めている。特に最近では、自動車用エンジン
の高出力化や高性能化、並びに高速燃費改善を目的とし
たガソリンエンジンの燃料冷却の低減などの要求により
熱負荷は増加する一途であり、内燃機関用の排気系部品
を構成する部材は、押し並べて、より耐熱性の高い材料
に移行しつつある。ところが、FCD400〜FCD5
00などの球状黒鉛鋳鉄や高Si球状黒鉛鋳鉄から、よ
り耐熱性の高い部材に変更しようと場合、ニレジスト鋳
鉄やフェライト系耐熱鋳鋼などの材料を選択するしかな
く、大幅なコストアップを余儀なくされている。すなわ
ち、ニレジスト鋳鉄は非常に高価な元素を20〜35質
量%含有するために、また、18%Crフェライト系耐
熱鋳鋼では高合金で且つ高融点であるため特殊な鋳型や
鋳造方法を採用するために、FCD400〜FCD50
0などの球状黒鉛鋳鉄や高Si球状黒鉛鋳鉄製の部品コ
ストに対して2〜5倍のコスト負担を強いられている。
【0004】本発明は、上記の問題を解決するため、排
気ガス温度が800℃以上、特に850〜950℃とな
る場合において、優れた耐酸化性、耐熱亀裂性を示し、
且つ安価で、鋳造性、加工性にも優れた鋳造用鉄合金と
その製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに鋭意研究の結果、FCD400や高Si球状黒鉛鋳
鉄の耐酸化性や耐熱亀裂性は、基地組織中に点在する黒
鉛の平均粒径と粒数によって決定される黒鉛面積率と密
接な関係があることを突き止め、黒鉛面積率を減少させ
るほど、また同じ黒鉛面積率ならば黒鉛の平均粒径を小
さくするほど耐酸化性と耐熱亀裂性を向上できる知見を
得た。このためには、鋳造性を損なわない範囲内でC含
有量をできるだけ下げ、且つREMを添加することより
黒鉛の微細化を図ると共に基地組織を実質的にフェライ
トとすることが不可欠であることを見い出し、本発明に
想到した。
【0006】すなわち、本第1の発明の鋳造用鉄合金
は、化学成分が質量比で、C:0.5%〜2.0%、S
i:3.2%を超え5.0%以下、Mn:0.8%以
下、REM:0.001%〜0.1%、残部が実質的に
Fe及び不可避的元素からなり、基地組織中に球状黒鉛
を含み、且つ、その金属基地組織が実質的にフェライト
相であることを特徴とする。
【0007】本第2の発明の鋳造用鉄合金は、化学成分
が質量比で、C:0.5%〜2.0%、Si:3.2%
を超え5.0%以下、Mn:0.8%以下、REM:
0.001%〜0.1%、残部が実質的にFe及び不可
避的元素からなり、その組織中に球状黒鉛を含み、且つ
その金属基地組織が実質的にフェライト相で、基地組織
中に点在する球状黒鉛の面積率が2%〜7%であること
を特徴とする。
【0008】本第3の発明の鋳造用鉄合金の製造方法
は、上述の第1及び第2の発明組成の鉄合金の溶湯を鋳
型内に注湯し、凝固後鋳造品の最も高温部分がA1変態
点より低い温度となるまで前記鋳型内で冷却した後、型
ばらしを行なってパーライトの析出を抑制することによ
り、その金属基地組織を実質的にフェライト相とするこ
とを特徴とする。
【0009】本第4の発明の鋳造用鉄合金の製造方法
は、上述の第1及び第2の発明組成の鉄合金の溶湯を鋳
型内に注湯し、凝固後その鋳造品の最も低い温度である
部位がA1変態点以上の温度である状態で前記鋳型から
取り出した後、A1変態点以上の温度からパーライトが
析出しない冷却速度でA1変態点より低い温度まで冷却
することにより、その金属基地組織を実質的にフェライ
ト相とすることを特徴とする。
【0010】本第5の発明の鋳造用鉄合金の製造方法
は、上述の第1及び第2の発明組成の鉄合金を、A1変
態点以上の温度から950℃の間の任意の温度に加熱保
持した後パーライトが析出しない冷却速度でA1変態点
より低い温度まで冷却する熱処理を施し、その金属基地
組織を実質的にフェライト相とすることを特徴とする。
【0011】
【作用】以下に各元素の含有量(質量比)の限定理由を
述べる。
【0012】(a)C:0.5%〜2.0% 本発明においてCは重要な役割を担う元素である。C含
有量の範囲を決定するに当っては、鋳造性の面、被削性
の面及び耐熱性(耐酸化性及び耐熱亀裂性)の面より考
えなければならない。鋳造性及び被削性はC含有量が高
いほど向上するが、逆に耐熱性はC含有量が低いほど向
上する。C含有量が0.5%以下になると、不廻り、引
け巣などの鋳造欠陥が多発するようになり、健全な鋳物
を経済的に造ることが困難になる。また、組織中の球状
黒鉛の量も極めて少なくなり、機械加工時の被削性も悪
くなる。従って、C含有量の下限を0.5%とする。鋳
物の形状が複雑になり肉厚が薄くなるほど健全な鋳物を
造るためにはC含有量を高くする必要があるが、C含有
量が2%を超えると組織中の球状黒鉛の量が極めて多く
なり耐熱性が劣化する。なおC含有量が2%を超える
と、初晶粒界に球状化率の低い黒鉛が発生したり、耐熱
性を極度に劣化させる炭化物が初晶粒界に発生する場合
などがあり、組織の安定性を著しく低下させる。従って
C含有量の上限を2.0%とする。好ましいC含有量は
1.0〜1.5%である。
【0013】(b)Si:3.2%〜5.0% Siは、耐酸化性の改善に対する効果が極めて大きい。
また同時に、A1変態点を高温側に押し上げ常用温度域
の上限温度を高めたり、セメンタイトの生成を抑制しフ
ェライト化を促進して金属基地組織が実質的にフェライ
ト相となるように働くと同時にCを黒鉛の形で安定にす
る。さらにCと同じく融点を下げて鋳造性を向上させ、
且つ脱酸剤として働き鋳物のガス欠陥を低減する効果も
ある。以上のような観点から、Siは本発明において非
常に重要な元素であって、列記したような効果を得るた
めには、その含有量は3.2%以上を必要とする。一
方、基地中に固溶するSiが過多となると靱性や延性の
低下を招くのでその含有量の上限は5.0%とする。好
ましいSiの含有量は3.8%〜4.5%である。
【0014】(c)Mn:0.8%以下 MnもSiと同様脱酸剤として有効であるがパーライト
化を促進する元素でもある。本発明の鋳造用鉄合金の基
地組織はできるだけフェライトであることが好ましい。
上述したC,Siの含有量の限定範囲内でMnが0.8
%を超えるとパーライトが多量に析出しやすくなるの
で、Mnの含有量は0.8%以下とする。好ましいMn
の含有量は0.6%以下である。
【0015】(d)REM:0.001〜0.1% REMは、黒鉛の球状化剤として働くこと共に黒鉛微細
化を促進する元素である。また微量の添加で耐酸化性を
向上させることも知られている。そのためには、REM
の含有量は0.001%以上を必要とする。一方、0.
1%を超えての過剰の含有は、それ自身が溶湯中に酸化
物として多量に残存しやすくなって鋳物の健全性を損な
わせると共に黒鉛化を阻害することになる。好ましいR
EMの添加量は0.01〜0.05%である。
【0016】(e)冷却方法 本発明の鋳造用鉄合金の製造方法において、下記に説明
する方法の冷却を実施することにより所望の鋳造用鉄合
金を得ることができる。すなわち、凝固後の組成が前記
組成となるような溶湯を鋳型内に注湯し、凝固後鋳造品
の最も高温部分がA1変態点より低い温度となるまで前
記鋳型内で冷却した後型ばらしを行なう冷却方法によっ
てパーライトの析出を抑制し、その金属基地組織が実質
的にフェライト相である所望の鋳造用鉄合金を得ること
ができる。型ばらし温度をA1変態点より低いに温度に
限定した理由は、A1変態点以上の温度を超える部位が
残存しているとその部位が急冷されパーライトが多量に
析出して所望の材料特性が得られないことによる。
【0017】本発明の鋳造用鉄合金の製造方法におい
て、下記に説明するもう一つの方法の冷却を施すことに
より所望の鋳造用鉄合金を得ることができる。すなわ
ち、凝固後の組成が前記組成となるような溶湯を鋳型内
に注湯し、凝固後その鋳造品の最も低い温度である部位
がA1変態点以上の温度である状態で前記鋳型から取り
出した後、A1変態点以上の温度からパーライトが析出
しない冷却速度でA1変態点より低い温度まで冷却する
冷却方法により、その金属基地組織が実質的にフェライ
ト相である所望の鋳造用鉄合金を得ることができる。
【0018】(f)熱処理方法 本発明の鋳造用鉄合金の製造方法において、下記に説明
する熱処理を実施することにより所望の鋳造用鉄合金を
得ることができる。すなわち、鋳放しの金属基地組織中
のパーライト面積率が多くて所望の材料性質と被削性が
得られない場合には、A1変態点以上の温度から950
℃の間の任意の温度に加熱保持した後パーライトが析出
しない冷却速度でA1変態点より低い温度まで冷却する
熱処理を施すことによって、その金属基地組織が実質的
にフェライト相である所望の鋳造用鉄合金を得ることが
できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 [実施例(1)]表1は、本発明の各種材料特性を評価
するために作製した供試材の化学成分である。表中の材
料番号1〜12は本発明材の実施例の化学成分を、また
同表の材料番号成分〜は従来例の化学成分を示す。
【0020】
【表1】
【0021】各供試材の作製に当たっては、溶解能力1
00kgの高周波溶解炉を用いて大気溶解し1550℃
以上で出湯し脱酸等の溶湯処理を行ったの後、CO2鋳
砂で成形したYブロック形状のJIS規格Y型B号供試
材の鋳型に1500℃以上で注湯して供試用試験片を作
製した。上述により作製された供試材は、鋳放しのまま
試験に供試するものと、一部のものについては大気雰囲
気中の加熱炉にて850℃で2時間保持した後700℃
まで炉冷し大気中にて自然冷却する熱処理を行なった。
ここで、表1の従来例の内〜の部材は自動車用エキ
ゾーストマニホールドやターボチャージャハウジング等
の排気系耐熱部品に使用されているもので、高Si球状
黒鉛鋳鉄と呼称され一般に良く知られた鋳造用鉄合金で
ある。
【0022】上述により作製した各供試材を用いて、以
下に述べるような各種の試験を実施した。
【0023】先ず、耐熱疲労寿命を支配する要因解析を
する目的で、直径10mmで長さ20mmの中実円柱状
の試験片を用いて、800℃、850℃の2水準の温度
において大気中保持200時間による酸化試験を実施し
た。酸化試験の評価方法としては、酸化試験後にサンド
ブラスト処理により試験片表面に生じた酸化膜を除去
し、酸化試験前後の単位表面積当たりの重量変化(酸化
減量;mg/cm2 )により評価した。
【0024】また、引張特性を調べるために、室温及び
高温での引張試験を実施した。常温引張試験にはJIS
4号標準引張試験片を用いて、高温引張試験にはJIS
のG0567に定められる直径10mmで標点間距離5
0mmのつば付き高温引張試験片を用いて850℃の温
度において実施した。
【0025】加熱冷却時の熱膨張及び熱収縮が拘束され
た状態で使用される内燃機関の排気系部品は過酷な熱疲
労条件にさらされる。従って排気系部品用としての耐熱
材料は、この熱疲労による亀裂並びに変形を生じにくい
ことが一義的に重要である。そこで、各本発明材につい
て、電気・油圧サーボ方式の熱疲労試験機を用いて熱疲
労寿命を測定した。熱疲労試験は、標点間距離が20m
m、標点間の直径が10mmの試験片を用い、その試験
片の標点間を高周波コイル出力と冷却空気噴射を制御し
ながら加熱冷却する。この加熱冷却により生ずる標点間
の伸び縮みを伸び計を用いて検出し機械的に完全拘束す
る。加熱冷却条件は、下限温度を150℃、上限温度ま
での昇温時間2分、上限温度での保持時間を1分、下限
温度までの降温時間を4分とする1サイクル7分であ
る。なお、上限温度は800℃及び850℃の2水準と
した。また、熱疲労寿命は試験片標点間が破断したサイ
クル数をもって定義した。
【0026】表2は、実施例における本発明材及び従来
材の金属組織観察による黒鉛粒数、黒鉛球状化率、黒鉛
面積率、パーライト面積率の測定結果、並びに、ブリネ
ル硬さ測定、引張試験、酸化試験、及び熱疲労試験の結
果をまとめたものを示す。なお、黒鉛粒数、黒鉛球状化
率の測定については、粒径が5μm未満の黒鉛は測定対
象から除外した。
【0027】
【表2】
【0028】表2の実施例及び従来例の結果より、図1
にC含有量と800℃の熱疲労寿命の関係を、図2にC
含有量と黒鉛面積率の関係を、図3にSi含有量と80
0℃の酸化減量の関係をそれぞれ図に表わしたものを示
す。これらの関係より、C含有量の多い従来材の高Si
球状黒鉛鋳鉄に比較して、本発明材は耐酸化性及び熱疲
労寿命が大幅に向上していることがわかる。図4には本
発明材における代表的な組成を有する実施例1の金属顕
微鏡組織を示す。図5には従来例の金属顕微鏡組織写
真を示す。実施例1の本発明材は、従来例と比較して
黒鉛粒が微細で且つ黒鉛面積率も小さいことが一目瞭然
である。図6には、表1の従来例の供試材から加工し
た熱疲労試験片において、熱疲労試験を中断したものの
標点部中央の表面近傍のミクロ組織写真を示す。酸化を
伴う亀裂が基地中に存在する黒鉛を介して進行しつつあ
ることがわかる。すなわちこの事実は基地中に存在する
黒鉛の絶対量を減らすことが耐熱性の向上に不可欠であ
ることを明らかにしている。
【0029】次に、延性の向上と機械加工性の向上等を
目的とした熱処理の効果について述べる。実施例4及び
7鋳放し材は、フェライト化促進元素であるSiが本発
明で規定するの下限側に近いため、鋳型内でA1変態点
より低い温度まで冷却したにも拘らず基地組織中にパー
ライトが面積率でそれぞれ実施例4で28%、実施例7
で24%析出している。そこで、本供試材について、室
温から850℃まで加熱して2時間保持した後700℃
まで炉冷してから室温中に放冷する熱処理を実施した結
果、パーライトは完全分解されて、基地はフェライト一
相となった。さらに、熱処理を施した供試材について硬
さ測定と引張試験を実施した結果、硬さは低くなり、伸
びも大幅に向上することを確認した。
【0030】[実施例(2)]表3(a)に示す本発明
成分範囲にある種々の溶湯について、加給機付きの直列
4気筒エンジンに使用される一般肉厚4mmのエキゾー
ストマニホールド(製品A、図7参照)と、同じく一般
肉厚4mmのターボチャージャハウジング(製品B、図
7参照)を各々鋳造し、その鋳造性と被削性の確認を行
なった。その結果、本発明材のいずれの条件においても
健全な鋳造部品を得ることができた。さらに、これらの
鋳造部品について機械加工を施して被削性の確認を行な
ったが、いずれのものについても従来材の高Si球状黒
鉛鋳鉄と同程度の被削性を示し何等問題は生じなかっ
た。
【0031】[実施例(3)]次に、表3の(a)1の
化学成分で鋳造し加工したものからそれぞれ製品Aのエ
キゾーストマニホールドと、製品Bのターボチャージャ
ハウジングを各一個抜取り、それらを組み付けた直列4
気筒、排気量2000ccの高性能ガソリンエンジンに
より、実機耐久試験を実施した。試験条件は、6000
回転全負荷運転を連続14分間−アイドリング1分間−
完全停止を14分間−アイドリング1分間を1サイクル
とする熱冷(GO−STOP)サイクルを500サイク
ルまで実施した。全負荷時の排気ガス温度は、ターボチ
ャージャハウジングの入り口で915℃であった。この
条件下での、エキゾーストマニホールドの表面最高温度
は集合部で約840℃、ターボチャージャハウジングの
表面最高温度はウエイストゲート部で約860℃であっ
た。その結果、これらの部品は熱変形によるガス漏れや
熱亀裂が生ずることなく、優れた耐久性と信頼性を有す
ることが確認された。
【0032】
【表3】
【0033】一方、表3(b)に示す化学成分の従来材
である高Si球状黒鉛鋳鉄で製品Aと同形状のエキゾー
ストマニホールドと、同じく製品Bと同形状のターボチ
ャージャハウジングを製作して、同じエンジンを用いて
前記と同じ条件で試験を行なった。この結果、高Si球
状黒鉛鋳鉄製エキゾーストマニホールドは、365サイ
クルで酸化と熱疲労が原因で集合部近傍に熱亀裂が生じ
使用不能となった。その後、エキゾーストマニホールド
を取替え試験を続行したところ、高Si球状黒鉛鋳鉄製
ターボチャージャハウジングは463サイクル目にスク
ロールのタング部から肉厚を貫通する亀裂を生じた。以
上の結果、本発明の鋳造用鉄合金で製作したエキゾース
トマニホールド及びターボチャージャハウジングは優れ
た耐熱性を有していることが明らかとなった。
【0034】
【発明の効果】以上詳細に説明の通り、本発明の鋳造用
鉄合金は、使用温度が800℃以上となる領域で、Si
含有量が同量の高Si球状黒鉛鋳鉄に比べて極めて良好
な耐熱性を有し、例えば、酸化減量については本発明の
鋳造用鉄合金が同じSi含有量の高Si球状黒鉛鋳鉄の
約50%〜70%程度であり、また耐熱亀裂性は同じS
i含有量の高Si球状黒鉛鋳鉄に比較して約2倍であ
る。そして、本発明の鋳造用鉄合金の製造方法は、特に
材料要求特性として耐酸化性及び耐熱亀裂性が求めら
れ、従来の高Si球状黒鉛鋳鉄を上回る特性を有し、且
つ鋳造性や被削性も従来の高Si球状黒鉛鋳鉄と同等の
特性を有する鋳造用鉄合金を、廉価に製造することがで
き、優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1におけるC含有量と800℃の熱疲労寿命
の関係を示す図である。
【図2】表1におけるC含有量と黒鉛面積率の関係を示
す図である。
【図3】表1におけるSi含有量と800℃の酸化減量
の関係を示す図である。
【図4】表1の実施例1の金属顕微鏡組織写真を示す図
である。
【図5】表1の従来例の金属顕微鏡組織写真を示す図
である。
【図6】表1の従来例の供試材から加工した熱疲労試
験片において、熱疲労試験を中断したものの標点部中央
の表面近傍のミクロ金属組織写真を示す図である。
【図7】本発明の一実施例のエキゾーストマニホールド
[製品A]とターボチャージャハウジング[製品B]の
概要を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 敏樹 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学成分が質量比で、C:0.5%〜
    2.0%、Si:3.2%を超え5.0%以下、Mn:
    0.8%以下、REM:0.001%〜0.1%、残部
    が実質的にFe及び不可避的元素からなり、基地組織中
    に球状黒鉛を含み、且つ、その金属基地組織が実質的に
    フェライト相であることを特徴とする鋳造用鉄合金。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載する鋳造用鉄合金におい
    て、基地組織中に点在する球状黒鉛の面積率が2〜7%
    であることを特徴とする鋳造用鉄合金。
  3. 【請求項3】 請求項1及び請求項2に記載の鋳造用鉄
    合金の製造方法において、凝固後の組成が前記組成とな
    る溶湯を鋳型内に注湯し、凝固後鋳造品の最も高温部分
    がA1変態点より低い温度となるまで前記鋳型内で冷却
    した後、型ばらしを行なってパーライトの析出を抑制す
    ることにより、その金属基地組織を実質的にフェライト
    相とすることを特徴とする鋳造用鉄合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1及び請求項2に記載の鋳造用鉄
    合金の製造方法において、凝固後の組成が前記組成とな
    る溶湯を鋳型内に注湯し、凝固後その鋳造品の最も低い
    温度である部位がA1変態点以上の温度である状態で前
    記鋳型から取り出した後、A1変態点以上の温度からパ
    ーライトが析出しない冷却速度でA1変態点より低い温
    度まで冷却することにより、その金属基地組織を実質的
    にフェライト相とすることを特徴とする鋳造用鉄合金の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1及び請求項2に記載の鋳造用鉄
    合金の製造方法おいて、A1変態点以上の温度から95
    0℃の間の任意の温度に加熱保持した後パーライトが析
    出しない冷却速度でA1変態点より低い温度まで冷却す
    る熱処理を施し、その金属基地組織を実質的にフェライ
    ト相とすることを特徴とする鋳造用鉄合金の製造方法。
JP13262393A 1993-05-10 1993-05-10 鋳造用鉄合金及びその製造方法 Pending JPH06322474A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13262393A JPH06322474A (ja) 1993-05-10 1993-05-10 鋳造用鉄合金及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13262393A JPH06322474A (ja) 1993-05-10 1993-05-10 鋳造用鉄合金及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06322474A true JPH06322474A (ja) 1994-11-22

Family

ID=15085656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13262393A Pending JPH06322474A (ja) 1993-05-10 1993-05-10 鋳造用鉄合金及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06322474A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014028987A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Hinode Ltd 鋳造用鉄合金及びその製造方法
WO2018093894A1 (en) * 2016-11-18 2018-05-24 Michigan Technological University Ductile iron alloys and materials including a thin-wall layer of a ductile iron alloy

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014028987A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Hinode Ltd 鋳造用鉄合金及びその製造方法
WO2018093894A1 (en) * 2016-11-18 2018-05-24 Michigan Technological University Ductile iron alloys and materials including a thin-wall layer of a ductile iron alloy

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1741799B1 (en) HIGH-Cr HIGH-Ni AUSTENITIC HEAT-RESISTANT CAST STEEL AND EXHAUST SYSTEM COMPONENT PRODUCED FROM SAME
JP5862570B2 (ja) 優れた湯流れ性、耐ガス欠陥性、靭性及び被削性を有するフェライト系耐熱鋳鋼、及びそれからなる排気系部品
JP6768929B2 (ja) 高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法、排気部品、高温摺動部品、およびターボチャージャー部品
JP2014511942A (ja) 鋳鉄合金およびそれによって製造された排気部品
JPH0826438B2 (ja) 熱疲労寿命に優れたフェライト系耐熱鋳鋼
JP5626338B2 (ja) 常温靭性に優れたフェライト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
JP3821310B2 (ja) 耐熱球状黒鉛鋳鉄
JP6160625B2 (ja) 被削性に優れたフェライト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
JP2021008649A (ja) オーステナイト系ステンレス鋳鋼
JPH06322473A (ja) 鋳造用鉄合金及びその製造方法
JP3605874B2 (ja) 耐熱鋳鋼
JPH06322474A (ja) 鋳造用鉄合金及びその製造方法
JPH05179406A (ja) 耐熱鋳鋼及びその製造方法並びに内燃機関用部品
JPH06322475A (ja) 排気系部品及びその製造方法
JPH06256908A (ja) 耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品
JPH0686642B2 (ja) 耐熱性球状黒鉛鋳鉄
JPH0524977B2 (ja)
JP3054102B2 (ja) フェライト系耐熱鋳鋼
JP3449644B2 (ja) 耐熱鋳鋼
KR20220015198A (ko) 구상 흑연 주철 및 이로 이루어진 엔진 배기계 부품
JP3142224B2 (ja) フェライト系耐熱鋳鋼およびこれを用いたディーゼルエンジン予燃焼室部材
JPH09118962A (ja) エキゾーストマニホールド
JPH0559978B2 (ja)
JPS6227554A (ja) 耐熱耐錆鋳鋼
JPS6230857A (ja) 耐熱鋳鋼