JPH06322207A - 磁気記録体用結着剤の製造方法 - Google Patents

磁気記録体用結着剤の製造方法

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JPH06322207A
JPH06322207A JP10928293A JP10928293A JPH06322207A JP H06322207 A JPH06322207 A JP H06322207A JP 10928293 A JP10928293 A JP 10928293A JP 10928293 A JP10928293 A JP 10928293A JP H06322207 A JPH06322207 A JP H06322207A
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JP
Japan
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vinyl chloride
polymerization
vinyl
monomer
stabilizer
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Application number
JP10928293A
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English (en)
Inventor
Noriki Fujii
紀希 藤井
Hiroshi Kakei
博志 加計
Hiroshi Koyama
博 小山
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Sekisui Chemical Co Ltd
Tokuyama Sekisui Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Tokuyama Sekisui Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】熱安定性に優れ、脱塩酸反応が起こるのを少な
くした磁気記録体用結着剤を製造する方法。 【構成】塩化ビニルモノマーと、水酸基を含有するビニ
ルモノマーと、極性基を含有するビニルモノマーとを共
重合する際に、重合初期ないし重合終了後の重合系内に
塩化ビニルモノマーが残存している時点で、ホスファイ
ト系安定剤、有機錫安定剤、有機酸化防止剤及びエポキ
シ化合物のうちいずれか1種を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録体用結着剤の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、磁気テープ、磁気ディスク等に
使用されている磁気記録体は、磁性粉末及び結着剤を含
む磁性塗料を基体上に塗布し、磁界をかけて磁性粉末を
配向させた後、乾燥させることにより作製されている
が、さらに優れた電磁変換特性を有する磁気記録体を得
るために、熱ロールによるカレンダー加工を行い、スリ
ットした後、高温度で架橋する方法が採用されている。
【0003】上記結着剤としては、例えば、特公昭56
−3393号公報には塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニル
アルコール系ポリマーが開示されており、特開昭62−
73416号公報には塩化ビニル−水酸基含有ビニル−
極性基含有ビニル共重合体が開示されている。しかしな
がら、前者ポリマーは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
をケン化する際のアルカリによって加熱時にポリマーが
劣化し、脱塩酸反応が起こるという問題点があり、後者
共重合体では、極性基含有モノマー成分中の極性基とし
て、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸塩
基又は第四級アンモニウム塩基を用いた場合には、脱塩
酸反応が起こるという問題点があった。
【0004】脱塩酸反応により発生した塩酸は、磁性粉
の皮膜層を破壊して電磁変換特性を低下させたり、カー
ボンなどの添加物中の金属と結合して、塗膜表面に塩化
カリウムや塩化ナトリウムの結晶を生じさせて情報信号
を欠落させるドロップアウトの原因となったり、カレン
ダー加工時にカレンダーロールを腐食させたり、磁気ヘ
ッドを劣化させる等多くの悪影響の原因となっていた。
【0005】上記脱塩酸を防止するために、磁性塗料中
に有機錫系安定剤を添加する方法が行われているが、磁
性粉やウレタン樹脂などを配合することにより希釈され
るため、多量に添加されなければ熱安定効果が発現せ
ず、多量に添加すると磁性塗料のポットライフが短くな
ったり、上記安定剤が低分子量体であるため磁性層表面
にブリードアウトして磁気ヘッドを汚す原因となるなど
の問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱安定性に
優れ、脱塩酸反応が起こるのを少なくした磁気記録体用
結着剤を製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録体用結
着剤の製造方法では、塩化ビニルモノマーと、水酸基を
含有するビニルモノマーと、極性基を含有するビニルモ
ノマーからなる塩化ビニル系共重合体を重合する際に、
ホスファイト系安定剤、有機錫系安定剤、有機酸化防止
剤及びエポキシ化合物のうちいずれか一種を添加する。
【0008】上記水酸基を含有するビニルモノマーとし
ては、反応性二重結合と水酸基を有するものであれば、
特に制限されるものではなく、例えば、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、式CH2 =CR1 −COO−
〔CH2-CH2 −O〕l −H(R1 は水素原子又はメチ
ル基、lは2〜9の整数を示す)で表されるポリエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、式CH2 =C
2 −COO−〔CH2 CH(CH3)O)m −H(R2
は水素原子又はメチル基、mは2〜6の整数を示す)で
表されるポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシエチル−2’−アクリロイルオ
キシフタレート等の(メタ)アクリル酸エステル;N−
メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これ
らは1種もしくは2種以上が使用される。特に、上記水
酸基を含有するビニルモノマーのうち、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0009】上記水酸基を含有するビニルモノマーの含
有量は、少なくなると磁性粉末の架橋性能が低下して耐
久性が悪くなり、多くなると磁性粉の分散性能、磁性塗
膜の表面平滑性及び耐湿性が低下するので、上記塩化ビ
ニル系共重合体中の水酸基量として1〜3重量%含有さ
れるのが好ましい。
【0010】上記極性基を含有するビニルモノマーと
は、分子中に極性基を含有するビニル重合性単量体であ
り、特に極性基は限定されるものではないが、例えば、
カルボキシル基、スルホン酸基及びスルホン酸塩基、リ
ン酸基及びリン酸塩基、第四級アンモニウム塩基、第三
級アミン基等が挙げられる。
【0011】上記カルボキシル基を含有するビニルモノ
マーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、コハク酸
モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、フタ
ル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、
コハク酸モノメタクリロイルオキシエチルエステル等の
分子中に1個のカルボキシル基を有するものや、マレイ
ン酸、フマール酸等の分子中に複数個のカルボキシル基
を有するものが挙げられる。
【0012】上記スルホン酸基及びスルホン酸塩基を含
有するビニルモノマーとしては、例えば、エチレンスル
ホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸カリウム、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸アンモニウ
ム、エチルスルホン酸ソーダメタクリレート、アリルス
ルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸
等が挙げられる。
【0013】上記リン酸基及びリン酸塩基を含有するビ
ニルモノマーとしては、例えば、アシッドホスホキシエ
チルメタクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メ
タ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホキ
シプロピル(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキ
シエチルアシッドホスフェートモノエタノールアミンハ
ーフソルト等が挙げられる。
【0014】上記第四級アンモニウム塩基を含有するビ
ニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−
メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム
クロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルア
ンモニウムクロライド、トリメチル−3−メタクリルア
ミド−プロピルアンモニウムクロライド等が挙げられ
る。
【0015】上記第三級アミン基を含有するビニルモノ
マーとしては、例えば、ジメチルアミノプロピルメタク
リルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリル
アミド等が挙げられる。
【0016】上記極性基を含有するビニルモノマーの含
有量は、少なくなると分散性能が大幅に低下し、多くな
ると本発明で使用される共重合体の分散性能が低下し、
塗料粘度の上昇を招くので、上記塩化ビニル系共重合体
中の水酸基量として0.2〜3重量%含有されるのが好
ましい。
【0017】上記ホスファイト系安定剤は、一般に塩化
ビニル系樹脂の熱安定剤として用いられているものであ
り、例えば、トリブチルホスファイト、トリラウリルホ
スファイト、トリアリルホスファイト等のトリアルキル
ホスファイト類;モノ−iso−オクチルジフェニルホ
スファイト、モノトリデシルジフェニルホスファイト、
ジ−iso−デシルモノフェニルホスファイト等のアル
キルアリールホスファイト類;トリフェニルホスファイ
ト、トリス(p−フェニルフェニル)ホスファイト、ト
リス(p−ノニルルフェニル)ホスファイト等のトリア
リールホスファイト類;テトラフェニルジプロピレンジ
ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホ
スファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジ
ホスファイト等のオリゴホスファイト類等が挙げられ、
これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用され
てもよい。
【0018】上記ホスファイト系安定剤の添加量は、少
なくなると熱安定性向上の効果がなく、一定量以上多く
なると熱安定性の改良効果が飽和状態となってそれ以上
向上しない上に、磁性塗料塗布後にブリードアウトして
磁気ヘッドを汚す可能性があるので、上記塩化ビニル系
共重合体の生成量に対して0.1〜3重量部であり、好
ましくは0.5〜2重量部である。
【0019】上記有機錫系安定剤は、一般に塩化ビニル
系樹脂の安定剤として用いられているものであり、例え
ば、ジブチル錫ラウレート系、ジブチル錫ジラウレート
系、ジブチル錫マレート系、ジブチル錫ジマレート系、
有機錫マレート系、含硫黄ジブチル錫マレート系、ジブ
チル錫ラウレートマレート系、ブチル錫メルカプタン
系、モノメチル錫メルカプチド系、ジ−n−オクチル錫
マレートポリマー系、ジオクチル錫マレート系、ジオク
チル錫ラウレート系、ジ−n−オクチル錫−S,S'-ビ
ス (イソオクチルメルカプトアセテート) 系、ジオクチ
ル錫メルカプト系、ジオクチル錫系、オクチル錫脂肪酸
塩系、ジオクチル錫カルボキシレート系、ジオクチル錫
オキシド系、スタナンジオール誘導体系の安定剤が挙げ
られ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併
用されてもよい。
【0020】上記有機錫系安定剤の添加量は、少なくな
ると熱安定性向上の効果がなく、多くなるとポットライ
フが低下するので、上記塩化ビニル系共重合体の生成量
に対して0.1〜3重量部であり、好ましくは0.5〜
2.5重量部である。
【0021】上記有機酸化防止剤は、一般に塩化ビニル
系樹脂の酸化防止剤として用いられているものであり、
例えば、2,6−ジーtert−ブチル−p−クレゾー
ル(BHT)、4,4'-ブチリデンビス(3−メチル−
6−tert−ブチルフェノール)、4,4'-チオビス
(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ス
テアリル−β−(3,5−ジーtert−ブチル−4−
ヒドロキシフェノール)プロピオネート、テトラキス
〔メチレン−3(3',5'-ジーtert−ブチル−4'-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−
ジーtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベン
ゼン、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−tert−ブチルフェノール)ブタン等のフ
ェノール系のもの;ジラウロイルチオジプロピオネー
ト、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステ
アリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロ
ピオネート等の硫黄系のもの;トリイソデシルフォスフ
ァイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリフ
ェニルフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファ
イト等のリン系のものなどが挙げられ、これらは単独で
使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0022】上記エポキシ系化合物は、分子内にオキシ
シラン環を有し、一般に塩化ビニル系樹脂の熱安定化助
剤として用いられるものやエポキシ樹脂等であり、例え
ば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキ
シ化動植物油;エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化
テトラヒドロフタレート等のエポキシ化脂環化合物;ビ
スフェノールAジグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂
前駆体;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ樹脂等が
挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上
が併用されてもよい。
【0023】上記有機酸化防止剤及びエポキシ系化合物
の含有量は、少なくなると熱安定性向上の効果がなく、
一定量以上多くなると熱安定性改良の効果が飽和状態と
なってそれ以上向上しない上に、磁性塗料塗布後にブリ
ードアウトして磁気ヘッドを汚す可能性があるので、上
記塩化ビニル系共重合体の生成量に対して0.1〜3重
量ぶであり、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0024】上記ホスファイト系安定剤、有機錫安定
剤、有機酸化防止剤及びエポキシ化合物(以下安定剤等
という)の重合系への添加方法としては、例えば、重合
前に分散剤などと共に添加する方法;重合途中ないしは
重合終了時に水やメタノールなどの溶媒に希釈又は分散
させて窒素加圧により添加する方法;液体の場合はその
まま加圧により添加する方法等が挙げられる。重合終了
時に添加する際は、重合温度のままでもよく、冷却した
後の温度でもよい。
【0025】また、上記安定剤等は、重合前、重合途中
又は重合終了時のいずれの時期で添加されてもよいが、
重合初期より添加した場合は添加する安定剤等の種類に
よって、重合禁止効果や樹脂スケールが重合器内に付着
するなどの悪影響を及ぼすことがあるので、重合終了時
に添加する方法がより好ましい。
【0026】これらを重合終了時に添加する際に、重合
系内に塩化ビニルモノマーが残存していることが必要で
あり、仕込み量の5重量%以上残存していることが好ま
しい。本発明では重合中に生成される塩化ビニル系共重
合体は、塩化ビニルモノマーにより膨潤状態となってい
るため、炭化された上記安定剤等を共重合体内部まで深
く浸透させることができ、少量で優れた熱安定性を発現
することが可能となる。これに対して、塩化ビニルモノ
マーが残存していない状態では、上記安定剤等は樹脂粒
子表面に付着するのみで優れた熱安定効果を発現させる
に至らない。
【0027】重合終了時点で上記安定剤等を添加するこ
とにより、塩化ビニル系共重合体の乾燥工程での熱劣化
が防止される。このような熱劣化の原因としては、生成
された共重合体の不安定構造や粒子内に残存している有
機過酸化物の分解による共重合体の不安定化が挙げられ
る。この不安定化構造を安定化させるためには、安定剤
等が粒子内部に浸透していることが重要である。
【0028】また、上記塩化ビニル系共重合体には、溶
剤溶解性を付与するためにビニル成分が含有されてもよ
い。上記ビニル成分としては、前記共重合体をメチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン等の溶剤及びこれらの溶剤とトルエンとの混合溶剤に
容易に溶解させ、粘度を低下させるものであれば特に限
定されない。
【0029】上記ビニル成分としては、例えば、エチレ
ン、プロピレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニル
エーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル
類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸
フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;(メタ)
アクリロニトリル等のシアン化ビニル類;塩化ビニリデ
ン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;マレイン酸
ジメチル、フマル酸ジメチル等の不飽和ジカルボン酸;
無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物;N−フ
ェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の
N−置換マレイミド類等の非極性のモノマーが挙げられ
る。
【0030】上記塩化ビニル系共重合体中におけるビニ
ル成分の含有量は、多くなると磁性塗膜の耐久性や剛性
が損なわれるので、20重量%以下が好ましい。
【0031】本発明では、上記共重合体は、沈殿重合
法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重
合方法により得られるが、これらの中で懸濁重合法がコ
スト等の点からより好ましい。また、懸濁重合の場合に
は、経済性の点からメタノール又は水/メタノールの混
合溶媒の使用が好ましい。
【0032】懸濁重合法により製造する場合は、懸濁安
定剤として、部分ケン化ポリビニルアルコールやセルロ
ース誘導体等公知のものが使用可能であり、特にポリエ
チレンイミンやポリプロピレンオキサイド等のブロック
重合体が好適である。
【0033】上記いずれの重合方法においても、アクリ
ル系モノマーのように塩化ビニルモノマーとの共重合性
比が大きく異なって重合速度の速いモノマーを共重合す
る場合には、これらのモノマーを重合初期から中期ある
いは後期にわたって連続添加又は分割添加した方が、上
記共重合体の組成が均一になるので好ましい。
【0034】上記塩化ビニル系共重合体の組成が不均一
になると、溶媒に溶解した時に不溶解物を生じることが
あり、このような不溶解物により磁性塗膜は表面平滑性
が失われ、信号の読み取り精度が悪くなるので好ましく
ない。
【0035】また、上記いずれの重合方法においても、
ラジカル重合開始剤として、例えばベンゾイルパーオキ
サイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサのエート等の有機過酸化物が使用される。
【0036】上記塩化ビニル系共重合体の重合度は、小
さくなると磁性塗料を支持体等に塗布した際に磁性塗膜
の強度が低下し、大きくなると磁性塗料の粘度が高くな
って塗布作業が困難になるので、平均重合度150〜8
00が好ましい。
【0037】本発明で得られる磁気記録体用結着剤から
磁性塗料を製造する方法としては、従来公知の方法が使
用可能であり、例えば、上記結着剤を、ポリイソシアネ
ート化合物などの架橋剤、ウレタン樹脂、磁性粉、研磨
剤、カーボンブラック、滑剤、分散剤、帯電防止剤、安
定剤等を溶剤と共に混合、分散する方法が挙げられる。
【0038】上記ポリイソシアネート化合物としては、
例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン
ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ト
リデンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、メタキシリレンジイソシアネート、トリメチロー
ルプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応物等が
挙げられる。トリメチロールプロパン1モルととトリレ
ンジイソシアネート3モルとの反応物の市販品として
は、日本ポリウレタン工業社製「コロネートL」が例示
される。
【0039】上記ウレタン樹脂としては、ポリエステル
ポリオール類やポリエーテルポリオールと、イソシアネ
ート類との反応物が挙げられ、水酸基、カルボキシル
基、スルホン酸基、燐酸基、スルホベタイン基を有する
ものが好ましい。
【0040】上記磁性粉としては、例えば、γーFe2
3 、Co−γ−Fe2 3 、Fe 3 4 、Co−Fe
3 4 、CrO2 、Co−Ni−P合金、Fe−Co−
Ni合金、Baフェライト、Srフェライト、Fe合
金、Co合金、Ni合金等公知の磁性粉が挙げられる。
【0041】上記研磨剤としては、例えば、グラファイ
ト、酸化チタン、酸化クロム、コランダム、アルミナ等
が挙げられる。
【0042】上記滑剤としては、例えば、カプリル酸、
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0043】上記分散剤としては、例えば、アルキレン
オキサイド系、グリセリン系等のノニオン系界面活性
剤;高級アルキルアミン類、四級アンモニウム塩類等の
カチオン系界面活性剤;カルボキシル基、燐酸基、スル
ホン酸基等の酸基を含むアニオン系界面活性剤等が挙げ
られる。
【0044】上記安定剤としては、例えば、金属石鹸系
安定剤、有機錫系安定剤、エポキシ系化合物等が挙げら
れる。
【0045】また、上記溶剤としては、例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エ
チルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エス
テル類;前記溶剤とトルエン、キシレン等との混合溶剤
等が挙げられる。
【0046】上記磁性塗料を支持体に塗布し、配向、乾
燥、カレンダー処理した後、スリッティングし、架橋さ
せることにより、磁気記録媒体が得られる。磁性塗料も
しくはバインダー樹脂を支持体に塗布する方法として
は、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコ
ート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、トランスファ
ーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャス
トコート、スプレーコート、スピコート等が挙げられ
る。
【0047】磁気記録媒体を得るには、支持体に磁性塗
膜を形成した後、磁性塗膜を電磁石(ソレノイド)中を
通し配向させるのが好ましい。
【0048】上記磁気記録媒体は、例えば、オーディオ
用、ビデオ用、コンピュータ用の磁気テープ;フロッピ
ーディスク等の磁気ディスク;磁気カード等に好適に使
用される。
【0049】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。 (実施例1)攪拌機を備えたジャケット付き耐圧重合器
にイオン交換水230重量部、ポリエチレンイミン−ポ
リプロピレンオキサイドブロックポリマー1.3重量
部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
0.5重量部を仕込み、密閉して残存する空気を排除し
た後、塩化ビニル64重量部を圧入し、次いで、塩化ビ
ニル36重量部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート
8.5重量部及び2−アクリロイルオキシエチルフタル
酸1.7重量部の混合モノマーの10重量%を圧入し、
重合器のジャケットにより70℃に加熱した。
【0050】重合器の内温が70℃に到達した直後よ
り、上記の混合モノマーの残部を40回に分けて5分お
きに分割添加し、最後の添加が終了して5分後に冷却を
開始して25℃になった時点で反応を停止した。次い
で、ホスファイト系安定剤としてトリフェニルホスファ
イト0.4重量部を3重量部の水に分散させた溶液を添
加して60分間攪拌した後、未反応の塩化ビニルモノマ
ーを排除してスラリーを取り出し、このスラリーをイオ
ン交換水で洗浄、脱水、乾燥し、塩化ビニル系共重合体
を得た。上記塩化ビニル系共重合体の乾燥重量を測定し
たところ、各モノマー成分の総量に対して重合添加率は
63%であった。このことより、トリフェニルホスファ
イトの添加量は共重合体に対して0.63重量部であっ
た。
【0051】(実施例2〜6、比較例1〜4)ホスファ
イト系安定剤の種類、添加量及び添加時期ならびに水酸
基を含有するビニルモノマーの種類及び添加量を表1及
び2に示したように変えたこと以外は、実施例1と同様
にして塩化ビニル系共重合体を得た。 (実施例7)実施例1と同様の耐圧重合器にメタノール
141重量部、α−クミルパーオキシネオデカネート
1.1重量部を仕込み、密閉して残存する空気を排除し
た後、塩化ビニル73重量部を圧入し、次いで、メタノ
ール21重量部、塩化ビニル27重量部、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート5.6重量部及びN,N−ジメ
チルアミノエチルメタクリレート四級化物1重量部の混
合溶液の10重量%を圧入し、重合器のジャケットによ
り43℃に加熱した。重合器の内温が43℃に到達した
直後より、上記混合溶液の残部を5分おきに40回に分
けて分割添加し、最後の添加が終了して5分後に冷却し
た。トリフェニルホスファイト1重量部を3重量部のメ
タノールに分散させた溶液を添加して60分間攪拌し
た。次いで、重合器にイオン交換水を導入して未反応の
塩化ビニルモノマーを排除した後スラリーを取り出し、
このスラリーを脱水、乾燥し、塩化ビニル系共重合体を
得た。
【0052】(比較例5)ホスファイト系安定剤を全く
添加しなかったこと以外は、実施例7と同様にして塩化
ビニル系共重合体を得た。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】(実施例8)ホスファイト系安定剤に代え
て有機錫系安定剤(ジブチル錫ジラウレート)を使用し
たこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系共
重合体を得た。尚、ジブチル錫ジラウレートの添加量は
共重合体に対して0.63重量部であった。
【0056】(実施例9〜13、比較例6〜8)有機錫
系安定剤の種類、添加量及び添加時期ならびに水酸基を
含有するビニルモノマーの種類及び添加量を表3及び4
に示したように変えたこと以外は、実施例8と同様にし
て塩化ビニル系共重合体を得た。
【0057】(実施例14)トリフェニルホスファイト
に代えてジブチル錫ジラウレートを使用したこと以外
は、実施例7と同様にして、塩化ビニル系共重合体を得
た。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】(実施例15)ホスファイト系安定剤に代
えて酸化防止剤としてステアリル−β−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピ
オネート(チバガイギー社製「イルガノックス107
6」)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、
塩化ビニル系共重合体を得た。
【0061】(実施例16〜20、比較例9〜11)酸
化防止剤の種類、添加量及び添加時期ならびに水酸基を
含有するビニルモノマーの種類及び添加量を表5及び6
に示したように変えたこと以外は、実施例15と同様に
して塩化ビニル系共重合体を得た。
【0062】(実施例21)トリフェニルホスファイト
に代えてBHTを使用したこと以外は、実施例7と同様
にして、塩化ビニル系共重合体を得た。
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】(実施例22)ホスファイト系安定剤に代
えてエポキシ化合物としてビスフェノールAグリシジル
エーテルを使用したこと以外は、実施例1と同様にし
て、塩化ビニル系共重合体を得た。
【0066】(実施例23〜27、比較例12〜14)
エポキシ化合物の種類、添加量及び添加時期ならびに水
酸基を含有するビニルモノマーの種類及び添加量を表7
及び8に示したように変えたこと以外は、実施例22と
同様にして塩化ビニル系共重合体を得た。
【0067】(実施例28)トリフェニルホスファイト
に代えてビスフェノールAグリシジルエーテルを使用し
たこと以外は、実施例7と同様にして、塩化ビニル系共
重合体を得た。
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】尚、表中に使用した記号は次のい成分を表
す。 2HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート 4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート AOEPL:2−アクリロイルオキシエチルフタル酸 MEAEMA:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレ
ート四級化物 MTDJP:モノトリデシルフェニルホスファイト DSPEJP:ジステアリルペンタエリスリトールジホ
スファイト イルガノックス1076:ステアリル−β−(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プ
ロピオネート イルガノックス1010:テトラキス〔メチレン(3',
5' −tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕メタン BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾー
ル ビスA:ビスフェノールAグリシジルエーテル
【0071】〔塩化ビニル系共重合体の性能評価〕上記
実施例及び比較例で得られた塩化ビニル系共重合体及び
該共重合体より調製された磁性塗料につき、下記の性能
評価を行い、その結果を表1〜表8に示した。 (1)塩化ビニル系共重合体の重合度 JIS K6721に準拠して重合度を測定した。
【0072】(2)塩化ビニル系共重合体の組成 水酸基を無水酢酸−ピリジン法により、塩素含有量を酸
素フラスコ燃焼法により、カルボキシル基を滴定法によ
りそれぞれ測定し、塩化ビニル系共重合体の組成比率を
得た。
【0073】(3)脱塩酸量 塩化ビニル系共重合体0.5重量部を試験管に入れ、そ
の試験管を180℃に保ったオイルバス中に浸漬し、そ
の中へ35ml/分の割合で窒素ガスを通した。試験管
の出口から導管を通じて、発生塩酸をイオン交換水に吸
収させ、イオン交換水の初めのpH測定値と30分後の
pH測定値により発生塩酸量を求めた。
【0074】(4)光沢度 Co−γ−酸化鉄(BET値35m2 /g)100重量
部、塩化ビニル系共重合体100重量部、ウレタン樹脂
(日本ポリウレタン工業社製「ニッポラン2304」)
10重量部、混合溶剤(メチルエチルケトン、トルエ
ン、シクロヘキサノンを2:1:1の割合で混合)17
5重量部及び1/2インチSUSボール400重量部を
ガラス瓶に充填し、ペイントシェーカー(レッドデビル
社製)で6時間分散させた後、架橋剤として1.14重
量部のポリイシシアネート(日本ポリウレタン工業社製
「コロネートL」)を加えてさらに30分間振盪させて
磁性塗料を調製した。この磁性塗料をポリエステルフィ
ルム支持体上に、乾燥後の塗膜厚が5μmとなるように
塗布後、磁場配向させて乾燥し、磁性塗膜を得た。この
磁性塗膜を4.5cm×7cmに裁断して、デジタル変
角光沢計(日本電色工業社製「VG−1G」)を用い
て、入射角60度時の反射率を測定し、光沢度とした。
【0075】
【発明の効果】本発明の磁気記録体用結着剤の製造方法
は、上述したように、重合開始前ないしは重合終了後の
塩化ビニルモノマーが残存している時点で、ホスファイ
ト系安定剤、有機錫安定剤、有機酸化防止剤及びエポキ
シ化合物のうちいずれか1種を添加するので、得られた
共重合体は熱安定性が優れており、分散性に悪影響を及
ぼさないので、磁性粉の結着剤用途に好適に使用され
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニルモノマーと、水酸基を含有する
    ビニルモノマーと、極性基を含有するビニルモノマーと
    を共重合する際に、重合初期ないしは重合終了後の重合
    系内に塩化ビニルモノマーが残存している時点で、重合
    系内にホスファイト系安定剤、有機錫系安定剤、有機酸
    化防止剤及びエポキシ化合物のうちいずれか1種を、生
    成する共重合体100重量部に対し0.1〜3重量部添
    加することを特徴とする磁気記録体用結着剤の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108884352A (zh) * 2016-03-18 2018-11-23 索尔维公司 基于水的防腐蚀涂料组合物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108884352A (zh) * 2016-03-18 2018-11-23 索尔维公司 基于水的防腐蚀涂料组合物
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