JPH06322153A - ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム

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JPH06322153A
JPH06322153A JP5136547A JP13654793A JPH06322153A JP H06322153 A JPH06322153 A JP H06322153A JP 5136547 A JP5136547 A JP 5136547A JP 13654793 A JP13654793 A JP 13654793A JP H06322153 A JPH06322153 A JP H06322153A
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polyester
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄くても隠蔽性やフィルム強度、製膜性、生
産性などの優れたフィルムを提供する。 【構成】 ポリエステルに該ポリエステルと非相溶の熱
可塑性樹脂および無機粒子を混合押出したポリエステル
フィルムにおいて無機粒子が該ポリエステルと非相溶の
熱可塑性樹脂中に存在することを特徴とするポリエステ
ルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄くても隠蔽性、描画
性が良好で生産性、製膜性に優れたポリエステルフィル
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂を主原料とした紙代替物である
合成紙は、天然紙に比べて、耐水性、吸湿寸法安定性、
表面安定性、印刷の光沢性と鮮明性、機械的強度などに
優れている。近年、これらの長所を活かした用途展開が
進められている。
【0003】ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチ
レンなどを主原料とした紙と類似した機能を有するフィ
ルムを得る方法として、微細な空洞をフィルム内部に多
量に含有させる方法には、フィルム自体を軽量化できる
点や適度な柔軟性を付与できて、鮮明な印刷や転写が可
能になるという利点がある。
【0004】微細な空洞をフィルム内部に生成させる方
法として、従来たとえば、ポリエステルと相溶しないポ
リマーを押出機で溶融混練し、ポリエステル中に該ポリ
マーを微粒子に分散させたシートを得て更に該シートを
延伸することによって微粒子の周囲に空洞を発生させる
方法が提案されている。
【0005】これまでの空洞含有フィルムは、薄くなる
につれ隠蔽性やフィルム強度といった特性や製膜性など
が悪化することが問題であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の欠点
を解消した薄くても隠蔽性やフィルム強度、製膜性、生
産性などに優れたフィルムを提供せんとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、ポリエ
ステルに該ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂および
無機粒子を混合押出したポリエステルフィルムにおいて
無機粒子が該ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂中に
存在することを特徴とするポリエステルフィルムに関す
る。
【0008】本発明におけるポリエステルとは、テレフ
タル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごと
き芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコールのごときグリコールとを重
縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポ
リエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接
反応させてから、または芳香族ジカルボン酸のアルキル
エステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重
縮合させるか、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコ
ールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造し
うる。かかるポリエステルの代表例としてはポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンブチレンテレフタレー
トあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが
挙げられる。このポリエステルはホモポリマーであって
もよく、第三成分を共重合したものであっても良い。い
ずれにしても本発明においては、エチレンテレフタレー
ト単位、ブチレンテレフタレート単位あるいはエチレン
−2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好まし
くは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上で
あるポリエステルが好ましい。
【0009】本発明に用いられるポリエステルに非相溶
性の熱可塑性樹脂は、上記したポリエステルに非相溶性
のものでなければならない。具体的には、ポリスチレン
系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロー
ス系樹脂などがあげられる。特にポリスチレン系樹脂、
ポリメチルペンテン、ポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン系樹脂が好ましい。
【0010】本発明の該ポリエステルと該ポリエステル
に非相溶性の熱可塑性樹脂を混合した重合体混合物は、
たとえば、各樹脂のチップを混合し押出機内で溶融混練
した後、押出して固化する方法や、あらかじめ混練機に
よって両樹脂を混練したものを更に押出機より溶融押出
して固化する方法や、ポリエステルの重合工程において
ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を添加し、かく
はん分散して得たチップを溶融押出して固化する方法な
どによっても得られる。固化して得られた重合体(未延
伸シート)は通常、無配向もしくは弱い配向状態のもの
である。また、ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂
はポリエステル中に、球状もしくは楕円球状、もしくは
糸状など様々な形状で分散した形態をとって存在する。
【0011】本発明において特に重要な点は、無機粒子
の含有方法にある。通常プラスティックフィルムに隠蔽
性を付与する、つまり光線透過率を下げる手段として
は、内部の空洞を多数発現させる、フィルムの表層に顔
料、染料を塗布する、内部に無機粒子を多数含有させる
などの方法がある。しかし、隠蔽性をより向上させるた
めに空洞や無機粒子の含有量をより増加させると、フィ
ルムの強度低下や製膜性が不安定になるといったことが
問題となる。また顔料の塗布量を増加させると、顔料の
脱落といったことが問題となる。そこでこれらの問題が
生じないように隠蔽性を向上させる方法として本発明で
は無機粒子をフィルム内部の特定の場所に集中して添加
させる方法をとるのである。
【0012】通常の空洞含有ポリエステルフィルムの場
合、添加した二酸化チタンや炭酸カルシウム、二酸化珪
素、硫酸バリウムなどの無機粒子はすべてマトリクスで
あるポリエステル中に存在し、ポリスチレンやポリプロ
ピレン、ポリメチルペンテンといった空洞発現剤中には
存在しない。そのため無機粒子の添加量を増加させると
ポリエステルと無機粒子の間に生じる界面が増加し、フ
ィルムの引っ張り強度や製膜性の低下といったことが起
こりやすくなる。これは厚さ30μm以下のフィルムで
は特に顕著に生じる問題である。
【0013】よってこれらを解決する手段の一つとして
無機粒子の表面をアルミニウムや珪素、亜鉛などを含む
無機物で処理しポリエステルとの親和性を上げる方法や
積層フィルムにおいてその表層に多量に添加する方法が
これまで提案されている。しかしこれらの方法では、厚
さ30μm以下で光線透過率30%以下を達成するほど
無機粒子を多量に含有し、かつフィルム強度、表面強度
や製膜性を維持することは不可能である。それは無機粒
子の表面エネルギーが高いため、空洞発現剤よりも表面
エネルギーの高いポリエステルとの親和性が高いためで
ある。
【0014】そこで本発明では、隠蔽性を向上させるた
めに無機粒子の添加量を増加させ、無機粒子を全てポリ
エステル中に均一に分散させるのではなく、増加させた
無機粒子を空洞や空洞発現剤の回り、好ましくは空洞発
現剤中に存在させる方式をとるのである。これにより無
機粒子の含有量を増加させてもポリエステルとの界面が
増加しないため、フィルム強度、製膜性などの問題がな
くなる。これを実現するためには通常用いられている二
酸化チタンや炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機
粒子の表面を撥水化処理を施し表面エネルギーを下げる
ことにより、無機粒子と空洞発現剤の親和性をポリエス
テルのそれよりも向上させる。その処理剤としてはシリ
コン系樹脂、シロキサン系樹脂、フッ素系樹脂、シラン
カップリング剤やチタネートカップリング剤が挙げら
れ、より好ましくは芳香族または脂肪族からなる高分子
化合物で表面処理したものが挙げられ、具体的にはポリ
ビニルピリジンなどのように無機粒子と空洞発現剤を有
機的に結合するものが好ましい。だがこれに限定される
ものではない。さらにこのように処理した無機粒子を空
洞発現剤と予備混練したマスターバッチペレットとして
使用することにより効果的となる。予備混練をしない場
合は、表面処理を行っても無機粒子は全てポリエステル
中に存在するため、本発明の目的は達することができな
い。
【0015】また無機粒子を含むポリエステルフィルム
の生産後、それを含まないポリエステルフィルムに切り
替える際にはポリエステルを放流して、押出機内部を洗
浄する必要がある。その際にこのように空洞発現剤中に
無機粒子を含有することにより、通常のポリエステル中
に無機粒子が含まれている場合よりも押出機の洗浄時間
が短くなる効果も上がることがわかった。
【0016】本発明においては、このように空洞発現剤
中に存在させる無機粒子は二酸化チタン、二酸化珪素、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、カ
オリン、タルクなどがあげられるが特に限定されるもの
ではない。
【0017】本発明の該ポリエステルと該ポリエステル
に非相溶性の熱可塑性樹脂を混合した重合体混合物は、
たとえば、各樹脂のチップを混合し押出機内で溶融混練
した後、押出して固化する方法や、あらかじめ混練機に
よって両樹脂を混練したものを更に押出機より溶融押出
して固化する方法や、ポリエステルの重合工程において
ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を添加し、かく
はん分散して得たチップを溶融押出して固化する方法な
どによっても得られる。
【0018】該重合体混合物には、用途に応じて着色
剤、耐光剤、蛍光剤、帯電防止剤などを添加することも
可能である。
【0019】得られた重合体混合物は、更に速度差をも
ったロール間での延伸(ロール延伸)やクリップに把持
して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)や空気
圧によって拡げることによる延伸(インフレーション延
伸)などによって少なくとも1軸に配向処理する。配向
処理することにより、ポリエステルと空洞発現剤の界面
で剥離が起こり空洞が発現する。
【0020】したがってポリエステルに混合させる該ポ
リエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂の量は、目的とす
る空洞の量によって異なってくるが、重合体混合物全体
に対して3重量%〜40重量%、好ましくは8重量%〜
20重量%である。3重量%未満では、空洞の生成量を
多くすることに限界があり、目的の柔軟性や軽量性や描
画性が得られない。逆に、40重量%以上では、ポリエ
ステルフィルムの持つ耐熱性や強度が著しく損なわれ
る。
【0021】該重合体混合物を配向処理する条件は、空
洞の生成と密接に関係する。したがって本目的を達成す
るための条件はたとえば、もっとも一般的に行われてい
る逐次2軸延伸工程を例に挙げると、該重合体混合物の
連続シートを長手方向にロール延伸した後に、幅方向に
テンター延伸する逐次2軸延伸法の場合以下のようにな
る。ロール延伸においては多数の空洞を発生させるため
温度をポリエステルの2軸延伸温度+30℃以下、倍率
を1.2〜5倍とするのが好ましい。テンター延伸にお
いては破断せずに安定製膜するため温度を100〜14
0℃、倍率を1.2〜5倍とするのが好ましい。延伸後
の熱処理条件を以下に述べる方法で実施することが望ま
しい。熱処理は延伸終了後、200℃以上、好ましくは
220℃以上、さらに好ましくは230℃以上で行わな
くてはならない。また、このときに3〜8%緩和させな
がら熱固定を行わなくてはならない。200℃未満また
は3%未満では150℃の熱収縮率が2%未満、好まし
くは1.7%未満、さらに好ましくは1.5%未満の空
洞含有フィルムは得られない。
【0022】かくして得られた空洞含有ポリエステル系
フィルムは、A層の表面から深さ2μmまでの層に含ま
れる空洞含有率が8体積%以下であり、かつ全体層の平
均空洞率が10体積%以上であることが好ましい。
【0023】A層の表面から深さ2μmまでの表層に含
まれる空洞が8体積%より多い場合は、特に表面強度の
良好なものが得られない。また空洞率が8体積%以下で
あるA層の表層部の厚みが2μmよりも薄い場合も特に
表面強度の良好なものが得られない。従って本発明で
は、中央部より空洞の少ないA層の表層部分は、深さが
2μm以上であり、そこに含まれる空洞含有率は8体積
%以下であることが好ましい。さらに全体層としては、
空洞の平均含有率が10体積%以上であることが好まし
い。全体層の平均空洞率が10体積%より少ない場合は
空洞含有ポリエステル系フィルム特有の柔軟性が不十分
となり、また描画性、クッション性も不足する。
【0024】全体の平均空洞率は、40体積%以下、好
ましくは30体積%以下が好適であり、平均空洞率が4
0体積%以上の空洞含有フィルムはそれ自体延伸工程で
の破断が多発するため製造しにくく、できたフィルムも
表面の強度や引っ張り強度などが不十分となり好ましく
ない。
【0025】本発明のフィルムは印刷などの後加工を考
慮すると破断強度は、縦横とも、11kg/mm2 以上
であることが好ましい。
【0026】本発明のフィルムは光線透過率が好ましく
は30%以下、さらに好ましくは25%以下、より好ま
しくは20%以下、特により好ましくは17%以下であ
る。30%を越えると裏が透けて見えるためである。特
にこのことは30μm以下の薄いものにおいていえるこ
とだが、それ以上の厚みのものでも構わない。
【0027】本発明においては、表層と中心層を積層し
たいわゆる複合フィルムとしても構わない。その方法は
特に限定されるものではない。しかし生産性を考慮する
と、表層と中心層の原料は別々の押出機から押出し、一
つのダイスに導き未延伸シートを得た後、少なくとも1
軸に配向させる、いわゆる共押出法による積層がもっと
も好ましい。この場合B層に設ける熱可塑性樹脂は特に
限定されるものではなく具体的には、ポリスチレン系樹
脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系
樹脂などがあげられる。しかし、本発明においてはポリ
エステル系樹脂が好ましい。また、必要に応じて無機粒
子を含有しても構わない。B層の厚みは1μm以上7μ
m以下が好ましい。1μm以下では表面強度が不良にな
り、また7μmを越えると重ね書き性が不良になる。
【0028】さらにフィルム表面に塗布層を設けること
によって、インキやコーティング剤などの塗れ性や接着
性が改良される。該塗布層を構成する化合物としては、
ポリエステル系樹脂が好ましいが、この他にも、ポリウ
レタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹
脂などの通常のポリエステルフィルムの接着性を向上さ
せる手段として開示させている化合物が適用可能であ
る。また塗布層を設ける方法としては、グラビアコート
方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート
方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブ
レードコート方式、リバースロールコート方式など通常
用いられている方法が適用できる。塗布する段階として
は、配向処理を行う前の混合重合体物表面にあらかじめ
塗布する方法、1軸方向に配向した空洞含有フィルム表
面に塗布し、それを更に直角方向に配向させる方法、配
向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのい
ずれの方法も可能である。
【0029】かくして得られたフィルムは、特に薄くし
ても隠蔽性が良好で腰が強く表面強度やへき開に対する
強度が優れているため、本発明の空洞含有ポリエステル
系フィルムを基材として用いた場合、ラベル、ポスタ
ー、カード、記録用紙、包装材料、ビデオプリンター受
像紙、バーコードラベル、バーコードプリンター受像
紙、感熱記録紙、地図、無塵紙、表示板、白板、電子白
板、印画紙、化粧紙、壁紙、紙幣、離型紙、折り紙、カ
レンダー、磁気カード、トレーシング紙、伝票、配送伝
票、感圧記録紙、複写用紙、臨床検査紙、パラボラアン
テナ反射板などに用いることができる。
【0030】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。 1)ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをフェノール(6重量部)とテトラクロロ
エタン(4重量部)の混合溶媒に溶解し、30℃で測定
した。 2)ポリスチレン系樹脂のメルトフローインデックス JIS−K7210に準じて200℃、荷重5kgで測
定した。 3)密度 フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確
に切り出し、その厚みを50点測定し平均厚みをtμm
とし、それの重さを0.1mgまで測定しwgとし、下
式によって計算した。 見かけ比重(−)=w/5×5×t×10000 4)フィルムの平均空洞率 下式によって計算した。 空洞含有率(体積%)=100×(1−真比容積/身か
け比容積) ただし、 真比容積=x1/d1 +x2/d2 +x3/d3 +…+xi/d
i +… 見かけ比容積=1/フィルムの見かけ比重 上式におけるxiはi成分の重量分率、diはi成分の
真比重を表す。実施例中の計算において用いた真比重の
値は、ポリエチレンテレフタレート1.40、一般用ポ
リスチレン1.05、ポリプロピレン0.92、ルチル
型二酸化チタン4.2を用いた。 5)空洞含有フィルムの表層の空洞率 フィルムの断面の表層付近を走査型電子顕微鏡で写真撮
影した後、表層から深さ3μmまでの領域の空洞をトレ
ーシングフィルムにトレースし塗りつぶした図を画像解
析装置で画像処理を行い、空洞率を面積率で求め、この
値をそのまま体積%とし表示した。 ・使用した走査型電子顕微鏡 日立製作所製 S−510型の走査型電子顕微鏡 ・使用した画像解析処理装置 ルーゼックスIID(ニレコ株式会社) 6)光線透過率 JIS−K6714に準じ、ポイック積分球式H.T.
Rメーター(日本精密光学製)を用い、フィルムの光線
透過率を測定した。この値が小さいほど隠蔽性が高い。 7)表面剥離強度 セロテープ(18mm幅、ニチバン製)を用い、セロテ
ープ剥離テストにより表面剥離強度を評価した。剥離角
は空洞含有フィルムを平面に保ち約150度方向で行っ
た。剥離された空洞含有フィルムの面積より、以下のよ
うに差別化した。 クラス5・・・全体が剥離した クラス4・・・ほとんど剥離した クラス3・・・半分程度、剥離した クラス2・・・ほとんど剥離しない クラス1・・・まったく剥離しない 8)フィルムの引っ張り強度 JIS−C2318に基づき行った。 9)二酸化チタンの存在場所の確認 日立製作所製 S−510型の走査型電子顕微鏡を用い
て、フィルムの断面方向の写真を3000倍で撮影し行
った。
【0031】実施例 1 (二酸化チタンの表面処理)ルチル型二酸化チタン(富
士チタン製 TR−700)をトルエン中で50℃24
時間攪拌し、ろ過した後十分乾燥した。その後10μg
/ccの濃度にポリビニルピリジンのトルエン溶液を調
整し、溶液100gあたり先ほどの二酸化チタンを10
g入れ、50℃で12時間攪拌し、ろ過した後十分乾燥
することにより行った。二酸化チタン表面にポリビニル
ピリジンが付着したことは、テトラヒドロフラン中での
UV吸収スペクトルの測定において、特徴的なピークで
ある254nmのピークが処理前後において減少したこ
とにより確認した。 (フィルムの製膜)まずメルトフローインデックス2.
0g/10分一般用ポリスチレンと、前述したルチル型
二酸化チタンとを重量比1:1で2軸スクリュー押出機
を用いて、240℃で予備混練しマスターバッチペレッ
トIを作製した。次に固有粘度0.62のポリエチレン
テレフタレート樹脂とルチル型二酸化チタン(富士チタ
ン製TR−700)を処理せずに重量比95:5で同様
にマスターバッチペレットIIを作製した。このマスター
バッチペレットIとポリエチレンテレフタレートとを重
量比26:74で混合したものをA層の原料とし、マス
ターバッチペレットIIをB層の原料として、各々別の2
軸スクリュー押出機でT−ダイスより290℃で溶融押
出し、静電気的に冷却回転ロールに密着固化し、各層が
それぞれB/A/B=30/190/30μmの重合体
混合物の未延伸シートを得た。この時、T−ダイスリッ
ト間隔は0.5mmで、その部分での重合体混合物の溶
融物の平均流速は8.8m/秒であった。引き続き該未
延伸シートをロール延伸機で83℃で3.5倍縦延伸を
行い、引き続きテンターで140℃で3.5倍横延伸し
たあと235℃で4%緩和させながら熱処理し、内部に
多数の空洞を含有するポリエステルフィルムを得た。厚
みはB/A/B=3/19/3μmであった。得られた
フィルムのA層の表層部の空洞率は2体積%、全体は2
1体積%であった。また空洞の少ない部分は表層から約
3μmの深さまで存在していた。本実施例で得られた空
洞含有フィルムは表面強度はクラス1であった。なお、
本実施例の重合体混合物の未延伸シートの断面を走査型
電子顕微鏡で観察したところ、中央部のポリスチレンの
分散粒子径は平均5.0μmであるのに対し、表層付近
分散粒子径は平均0.7μmであった。見かけ比重は
1.15、A層の表層部の空洞率は2体積%、全体の平
均空洞率は21体積%、光線透過率は15%、厚さ25
μm、フィルムの縦、横方向の引っ張り強度はそれぞれ
14kg/mm2 、表面強度はクラス1であった。得ら
れたフィルムは二酸化チタンがポリエステル中のみなら
ず空洞発現剤であるポリスチレン中にも多数含有されて
いた。
【0032】比較例 1 ルチル型二酸化チタンを酸化アルミニウム処理したもの
を用いた以外は実施例1と全く同様の方法において製膜
を実施した。
【0033】比較例 2 マスターバッチペレットIを作製せずに直接押出機内に
投入した以外は実施例1と全く同様の方法において、製
膜を実施した。比較例1,2は実施例1と異なり、含有
した二酸化チタンはすべてポリエステル中に存在したた
め破断が多発しフィルムは得られなかった。
【0034】実施例 2 実施例1と全く同様の方法において厚さ100μm(B
/A/B=12/76/12)のフィルムを得た。見か
け比重は1.15、A層の表層部の空洞率は2体積%、
全体の平均空洞率は21体積%、光線透過率は5%、フ
ィルムの縦、横方向の引っ張り強度はそれぞれ16kg
/mm2 、表面強度はクラス1であった。得られたフィ
ルムは二酸化チタンがポリエステル中のみならず空洞発
現剤であるポリスチレン中にも多数含有されていた。
【0035】
【発明の効果】本発明の空洞含有ポリエステルフィルム
は、従来のポリスチレンやポリオレフィンを空洞発現剤
として用いて得られる空洞含有ポリエステルフィルムと
同様に、軽量性、柔軟性、艶消し性、描画性などを有し
ていると共に、従来のフィルムに比べ、薄くても隠蔽性
が高いという効果がある。従って本発明の空洞含有ポリ
エステルフィルムはラベル、ポスター、記録紙、包装用
材料、感熱記録材、印画紙などのきわめて広い分野で使
用できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】実施例 1 (二酸化チタンの表面処理)ルチル型二酸化チタン(富
士チタン製 TR−700)をトルエン中で50℃24
時間攪拌し、ろ過した後十分乾燥した。その後10μg
/ccの濃度にポリビニルピリジンのトルエン溶液を調
整し、溶液100gあたり先ほどの二酸化チタンを10
g入れ、50℃で12時間攪拌し、ろ過した後十分乾燥
することにより行った。二酸化チタン表面にポリビニル
ピリジンが付着したことは、テトラヒドロフラン中での
UV吸収スペクトルの測定において、特徴的なピークで
ある254nmのピークが処理前後において減少したこ
とにより確認した。 (フィルムの製膜)まずメルトフローインデックス2.
0g/10分一般用ポリスチレンと、前述したルチル型
二酸化チタンとを重量比1:1で2軸スクリュー押出機
を用いて、240℃で予備混練しマスターバッチペレッ
トIを作製した。次に固有粘度0.62のポリエチレン
テレフタレート樹脂とルチル型二酸化チタン(富士チタ
ン製TR−700)を処理せずに重量比95:5で同様
にマスターバッチペレットIIを作製した。このマスタ
ーバッチペレットIとポリエチレンテレフタレートとを
重量比26:74で混合したものをA層の原料とし、マ
スターバッチペレットIIをB層の原料として、各々別
の2軸スクリュー押出機でT−ダイスより290℃で溶
融押出し、静電気的に冷却回転ロールに密着固化し、各
層がそれぞれB/A/B=30/190/30μmの重
合体混合物の未延伸シートを得た。この時、T−ダイス
リット間隔は0.5mmで、その部分での重合体混合物
の溶融物の平均流速は8.8m/秒であった。引き続き
該未延伸シートをロール延伸機で83℃で3.5倍縦延
伸を行い、引き続きテンターで140℃で3.5倍横延
伸したあと235℃で4%緩和させながら熱処理し、内
部に多数の空洞を含有するポリエステルフィルムを得
た。厚みはB/A/B=3/19/3μmであった。得
られたフィルムのA層の表層部の空洞率は2体積%、全
体は21体積%であった。また空洞の少ない部分は表層
から約μmの深さまで存在していた。本実施例で得ら
れた空洞含有フィルムは表面強度はクラス1であった。
なお、本実施例の重合体混合物の未延伸シートの断面を
走査型電子顕微鏡で観察したところ、中央部のポリスチ
レンの分散粒子径は平均5.0μmであるのに対し、表
層付近分散粒子径は平均0.7μmであった。見かけ比
重は1.15、A層の表層部の空洞率は2体積%、全体
の平均空洞率は21体積%、光線透過率は15%、厚さ
25μm、フィルムの縦、横方向の引っ張り強度はそれ
ぞれ14kg/mm、表面強度はクラス1であった。
得られたフィルムは二酸化チタンがポリエステル中のみ
ならず空洞発現剤であるポリスチレン中にも多数含有さ
れていた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルに該ポリエステルと非相溶
    の熱可塑性樹脂および無機粒子を混合押出したポリエス
    テルフィルムにおいて無機粒子が該ポリエステルと非相
    溶の熱可塑性樹脂中に存在することを特徴とするポリエ
    ステルフィルム。
  2. 【請求項2】 内部に微細な空洞を多数含有し、平均空
    洞含有率が10体積%以上40体積%以下であることを
    特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 少なくとも1軸方向に配向することによ
    り内部に微細な空洞を多数含有するポリエステル系フィ
    ルムにおいて表面から厚さ2μm以内に含まれる空洞含
    有率が8体積%以下であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のうちのいずれかのフィル
    ム(A)の少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる層
    (B)を積層したことを特徴とするポリエステルフィル
    ム。
  5. 【請求項5】 無機粒子の表面が芳香族または脂肪族高
    分子化合物で表面処理されていることを特徴とする請求
    項1〜4のうちのいずれかのポリエステルフィルム。
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