JPH06320480A - シート切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小さい駆動源で大きな剪断力が得られるギロ
チン式の切断装置において、切り始めから切り終りまで
適切な圧接力を有するシート切断装置を提供する。 【構成】 非切断状態で概ね真直な刃先を有する固定刃
と、Ｖ字形に窪んだ刃先線を有し、前記固定刃の刃先に
圧接して摺動する薄板状の可動刃とからなるシート切断
装置において、可動刃は、フレームの幅方向の中央部ま
たは両端部と中央部の両方に設けられた突起を介して、
固定刃に対して凸となる向きに反りをもって装着され、
固定刃はフレームとの間に隙間を形成するように、スペ
ーサを介して固定されてなる。そして可動刃をフレーム
と固定刃との隙間に嵌入するように配置して、固定刃の
弾性により切断中の圧接力の増加を緩和することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プリンタなどの装置に
おいて、ロール紙や折り畳み連続紙を任意の長さにフル
カットまたはパーシャルカットするためのシート切断装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】券売機やレジスタ用のミニプリンタ等に
多用されているシート材料切断装置は、従来から通常ロ
ータリ式と称する切断装置が多用されているが、最近の
この種の切断装置には、駆動部付で小型、安価かつ全幅
切断（フルカットともいう）あるいは切り残し切断（パ
ーシャルカットともいう）が選択可能なものが要求され
ている。しかし、ロータリ式切断装置では、構造上の制
約があり剪断角を大きくして小さい駆動力で切断するこ
とができないし、また部分的な切り残しをする切断がで
きない。このため、可動刃と固定刃の刃先を交差圧接
し、可動刃がシート材料に対して概ね垂直に移動する切
断装置、通称ギロチン式と呼ばれる切断装置が使用され
るようになってきた。ギロチン式の切断装置は、特開平
01-289697号公報に、本発明と同一出願人により、刃先
線がＶ字形に窪んだ切刃を有する薄板状の可動刃と相手
側固定刃の刃先が交差圧接しながらシート材料を両端か
ら中央に向かって切断する装置が開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】近年、券売機やレジス
タ用のミニプリンタ等に使用されているシート材料切断
装置は、駆動部を搭載してフルカットとパーシャルカッ
トの2種類の切断機能をもち、低価格で小型・軽量化し
た切断装置の要求が多くなってきた。特にレジスタ用で
は、紙をフルカットしてしまうと切落された紙片は、飛
散するので床等から拾い上げなければならないが、パー
シャルカットをすると切り残し部分でぶら下がってお
り、これを引きちぎって手に取ればよい。特開平01-289
697 号に記載の切断装置では、刃先線がＶ字形に窪んだ
可動刃と概ね真直な刃先を有する固定刃とを相互に圧接
してシート材料を切断するので、鋏と同じ原理で剪断角
が大きく信頼性の高い構造で、しかも必要に応じて用紙
に部分的に切り残しを付けることが可能である。

【０００４】従来のこの種のギロチン式の切断装置は、
可動刃の中央部に設けられたスライダが薄板状の弾性部
材で製作されたフレームの長孔内を往復運動ができるよ
うに、かつ可動刃と板ナットとの間にサンドイッチ状に
装着されている。この時スライダが長孔内で摺動しなが
ら往復運動するためには、スライダが長孔よりも僅かに
小寸法であると共に、フレームよりも僅かに厚肉である
ことが必要である。そして、可動刃はフレーム上に固定
された固定刃の上に重ね合わさるようにして装着されて
おり、この固定刃の厚みに相当する段差分だけ可動刃と
固定刃とが刃先位置で干渉し、この干渉により刃物同士
の圧接方向にフレームが撓みを生じ、この撓みによって
刃物同士が適切な圧接力を得る構造となっており、ギロ
チン式の切断装置においては、この構造が最も多用され
ている。

【０００５】ところが、この構造の切断装置の欠点は、
ミニプリンタ用のカッタのように全長の短い切断装置の
場合、すなわち切断幅が小さくなるのにしたがって、フ
レームの剛性が増すために見掛け上のフレームのばね定
数が大きくなり、フレームの撓みが僅少となることによ
って過大な圧接力が生じて安定な切断を損なうことであ
る。特に、圧接力が大きくなる傾向はフレームの撓みが
最大となる切断中央部（切り終わり）で著しく大きく現
れる。本願発明は、上述した従来の切断装置の問題点を
解消し、信頼性の高い構造で且つ小さい駆動源でも大き
い剪断力が得られるギロチン式切断装置において、切り
始めから切り終わりまで確実な圧接精度を有するシート
切断装置を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した問
題点を解消するため検討を進め、一般的にギロチン式切
断装置では、可動刃をできるだけ小さい駆動源で作動さ
せるためフレームより可動刃の方が薄肉であることに着
目し、フレームの撓みが期待できないのであれば、可動
刃を撓ませて適切な圧接力を得るようにして、本発明を
完成したのである。より具体的に本発明は、非切断状態
で概ね真直な刃先を有する固定刃と、刃先線がＶ字形に
窪んだ刃先を有し、固定刃の刃先に圧接してスライドす
る薄板状の可動刃とからなるシート切断装置において、
可動刃は、フレームの幅方向の中央部または両端部と中
央部の両方に設けられた突起を介して、固定刃に対して
凸となる向きに反りをもつようにして装着される。

【０００７】このような形状に可動刃に反りを付与する
ためには、フレームの中央部に突起を設けるか、または
両端部と中央部に突起を設けて両端部の突起よりも中央
部の突起の方を厚肉にしなければならない。次に固定刃
はフレームとの間に隙間を形成するようにスペーサを介
してフレームに固定される。そして、この隙間に可動刃
が嵌入するように配置すると共に可動刃と固定刃を圧接
するのである。

【０００８】

【作用】本発明においては、可動刃の刃先線にＶ字形に
窪んだ切刃を設けることによって剪断角が形成され、可
動刃と固定刃を圧接することによって、相互の刃先は圧
接方向に相対的に凸方向に反りを発生して、圧接力と噛
み込み角が形成される。刃先相互の反りは、固定刃と可
動刃の少なくとも一方の刃先が相手に対して凸となるよ
うに圧接方向に反りを有しておればよい。本発明が対象
とするシート切断装置では切断幅が小さいために可動刃
や固定刃が装着されるフレームの撓みは発生し難くなる
ので、フレームに突起を設けておいて、可動刃をこの突
起に当接させて、固定刃に対して凸となるように反りを
付与し、噛み込み角をもたせるのである。したがって、
突起はフレームの中央部に１個設けてもよいし、両端部
と中央部に計３ヶの突起を設けて両端部よりも中央部の
突起の方を厚くしておいてもよい。

【０００９】そして、固定刃はスペーサを介して、フレ
ームとの間に隙間ができるように装着して、この隙間に
上述した可動刃が嵌入するように配置する。切断の後半
部では圧接力が大きくなるので固定刃はスペーサを起点
にして、図１に示す下方の矢印の方向に倒れるようにし
て撓みを生じて圧接力の増加を緩和するのである。すな
わち、可動刃と固定刃の両方の撓みによって圧接力を自
動的に調整することができる。図３に示すような従来の
切断装置では、固定刃がフレームに直接固定されている
ので、切断が進んで圧接力が増加しても、固定刃の撓み
がないので十分な圧接力の調整はできない。さらに、固
定刃とフレームとの間に隙間を設けることによって、わ
ずかであるがシート材の切端が可動刃に押圧されてこの
隙間に嵌入し、可動刃が復帰する時の紙ジャムの発生を
防止するという効果もある。

【００１０】本発明のシート切断装置は、可動刃の刃先
線をＶ字形としたので、鋏と同じ剪断角の構造によって
用紙の両端から中央部に向かって切断を行なう。ただ
し、鋏は切断が進行するにつれて剪断角が減少するが、
本発明においては切り始めから切り終りまで一定であ
る。そして、上述したようにして圧接力と噛み込み角を
ほぼ一定値となるように維持するので安定した切断が得
られるのである。

【００１１】

【実施例】次に実施例と図面にもとづいて本発明を詳細
に説明する。図１は、本発明のシート切断装置の一実施
例を示す断面図、図２は本発明のシート切断装置の構造
を示す組立概念図である。可動刃１１は、厚さ0.3mm の
焼入れ熱処理された炭素工具鋼（ＪＩＳ ＳＫ５）で製
作した。この可動刃１１は、刃幅50mmのＶ字形に窪んだ
可動刃刃先１２を有しており、フレーム１８の板厚（1
〜1.6mm 程度)より0.2mm 程度厚いスペーサ１６と可動
刃１１をビス２０とナット２５で挟んで締結し、フレー
ム１８に上下方向（切断方向）に摺動自在に取りつけら
れている。薄板状の弾性部材からなるフレーム１８は、
可動刃１１の中央に装着されたスペーサ１６が往復運動
できる長孔２３を設け、さらに可動刃１１の両端と中央
部に相当する位置に突起１３〜１５を設ける。そして、
中央部の突起１３は両端の突起１４、１５より高さを高
く（厚く）してあるので、可動刃１１は、ビス２０とナ
ット２５によってフレーム１８に取付けられるとこれら
の突起により圧接方向に凸形状に反りが与えられる。

【００１２】一方、固定刃２１も、厚さ0.3mm の焼入れ
熱処理された炭素工具鋼（ＪＩＳＳＫ５）で製作した。
この固定刃２１は0.5mm 程度の厚さのスペーサ２２を挟
んでフレーム１８に止めビス２６で締結してフレーム１
８との間に隙間を形成する。また、固定刃２１の両端部
の穴は、フレームに取り付けられた突起１７に緩く嵌入
されて回り止めとなると同時に可動刃が圧接された時
に、反りも発生しやすくなるので、可動刃の圧接方向へ
の反りが不足した時、これを補うことができる。可動刃
１１は固定刃２１とフレーム１８と隙間を上下（切断方
向）に摺動する。フレーム１８に設けられた通過窓２４
を通して送られてきた用紙（図示せず）は、可動刃１１
が下方に移動すると、両端から中央に向かって切断され
て、中央部で切断を終了する。

【００１３】可動刃の刃先１２はフレーム１８に設けら
れた突起１３，１４，１５によって、噛み込み角が付与
される方向に凸形状に反りが与えられると共に、固定刃
の方向に圧接力が付与される。さらに、固定刃２１は可
動刃１１を押さえるようにフレーム１８に取りつけるこ
とにより、固定刃２１と可動刃１１との間の相互の撓み
により圧接しつつ、可動刃１１が上下に作動すること
で、双方の刃先は用紙を両端から鋏と全く同じ構造で切
断を行うのである。切断が終了近くなると可動刃と固定
刃の圧接力が増加するので固定刃は図１の下方の矢印方
向に撓みを発生するとともに幅方向にも反りを発生して
圧接力を緩和する。この時、固定刃の両端部の孔は突起
１７に緩く嵌入されているので反りも発生しやすいので
ある。このようにして、切断中央部（切り終わり部）で
の圧接力の著しい上昇を抑え、切り始めから切り終わり
まで適切な圧接力を維持することができるのである。

【００１４】図３は、従来のギロチン式シート切断装置
の一般的な構造を示す断面図であり、刃先部分は図面上
の左端から、フレーム、固定刃、可動刃の順に配列され
ている。本発明では、フレーム、可動刃、固定刃の順に
配置されている特徴を有しており、上述したような効果
が得られるのである。

【００１５】

【発明の効果】本発明は、フレームに突起を設け、この
突起によって可動刃の切刃近傍を固定刃に対して凸形状
に反らし、さらにフレームと固定刃とを浮かせて取りつ
け、フレームと固定刃との隙間を可動刃が摺動するよう
に配置することで、薄板状の回転刃と固定刃同士の反り
と撓みにより刃先同士の圧接力を得ることが可能となっ
た。刃物同士をこのような配置とすることで従来フレー
ムの撓みによって刃先同士の圧接力を与えていた装置と
比較して、切断中央部（切り終わり部）での圧接力の著
しい上昇を抑え、切り始めから切り終わりまで適切な圧
接力を維持し、かつ従来のギロチン式カッタと比較して
安定した切断ができるシート切断装置を提供することが
できる。そして、圧接力の反力によって生じる摺動面の
接触面圧を軽減することもできるので摺動部品の摩耗を
抑え、経時的にも安定した圧接力を維持したシート切断
装置を提供することが可能であり、信頼性の向上にも効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシート切断装置に係る一実施例を示す
断面図である。

【図２】本発明のシート切断装置に係る一実施例を示す
組立て概念図である。

【図３】従来のギロチン式シート切断装置の一例を示す
断面図である。

【符号の説明】

１１ 可動刃、１２ 可動刃の刃先、１３ 突起、１４
突起、１５ 突起、１６ スペーサ（ａ）、１７ 突
起ｄ、１８ フレーム、２０ ビス、２１ 固定刃、２
２ スペーサ（ｂ）、２３ 長孔、２４ 通過窓、２５
ナット、２６止めビス

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 非切断状態で概ね真直な刃先を有する固
   定刃と、Ｖ字形に窪んだ刃先線を有し、前記固定刃の刃
   先に圧接して摺動する薄板状の可動刃とからなるシート
   切断装置において、前記可動刃は、フレームの幅方向の
   中央部または両端部と中央部の両方に設けられた突起を
   介して、前記固定刃に対して凸となる向きに撓みをもっ
   て装着され、前記固定刃は前記フレームとの間に隙間を
   形成するごとく、スペーサを介して前記フレームに固定
   されてなり、前記可動刃を前記フレームと前記固定刃と
   の前記隙間に嵌入するように配置し、前記固定刃の弾性
   により切断中の圧接力の増加を緩和することを特徴とす
   るシート切断装置。