JPH0631805U - 重力式濾過池における気泡による循環流防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 気泡によって池内に生起される循環流による
濾材の充填厚の不均一化を防止する。 【構成】 内部に濾材や吸着材を所要厚さに充填された
池本体内の原水中に、気泡を含む原水を原水流入管を通
して原水流入口より供給する重力式濾過池において、上
記原水流入口から池内原水中に放出され上昇する気泡を
隔離状態で案内すべく池内原水中から少くとも池内原水
水面まで延長する上下両端開口の気泡隔離筒を設けた、
重力式濾過池における気泡による循環流防止装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、各種の水処理に使用される重力式濾過池（吸着池を含む）の改良に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えば浄水処理用の重力式濾過池として、図４に示すように池本体（ａ ）の内部に粒状濾材（ｂ）を所要厚さに充填し、該濾過池の外側上部に配置され た原水供給路（ｃ）より越流セキ（ｄ）を越流した原水を重力により原水流入管 （ｅ）内に流下させて池本体一側壁の流入口（ｆ）から池内に流入させる構造の ものが広く用いられている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来の重力式濾過池では、原水供給路（ｃ）から越流した原水が原水 流入管（ｅ）内に流入する際に空気を巻きこんで気泡化させつつ流下するので、 原水が流入口（ｆ）より池内に流入したとき、気泡を池内原水中に放出し、この 放出気泡が池内原水中を上昇することにより局部的な上昇流を生起させ、それに より図４に矢印で示すように池内一側で上昇し、ついで水面を他側へ、ついで他 側で降下し、ついで濾材（ｂ）上面を一側へ流れる循環流が発生し、この循環流 によって濾材（ｂ）が次第に一側がわへ寄せられていき、遂には仮想線で示すよ うに充填厚さに著しい不均一が生じて濾過作用の低下を招く欠点があった。この 欠点は、特に粒状濾材として活性炭やアンスラサイト等の比重が小さく、移動し 易いものを使用した場合、上記循環流による濾材の片寄せが容易に行われる故に 著しく、また濾過工程初期における越流セキと池内水位との水位差が大きい自然 平衡型濾過池の場合、空気の巻きこみが激しい故に大きいものとなっていた。

【０００４】 その対策として、原水中の空気を分離する装置を池外に設ける方法や上記原水 流入管の径を大きくし管内流速を下げて空気の巻きこみを防ぐ方法が考えられる が、前者は装置が大型で、強度を必要とし、後者は原水流入管及び流入弁が大口 径となり、いずれの方法も設備費がかさむ難点がある。

【０００５】 本考案は、簡略な構造をもって上記循環流の発生を抑制し、濾材の片寄りを防 止することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決する手段として、本考案は、 内部に濾材や吸着材を所要厚さに充填された池本体内の原水中に、気泡を含む 原水を原水流入管を通して原水流入口より供給する重力式濾過池において、 上記原水流入口から池内原水中に放出され上昇する気泡を隔離状態で案内すべ く池内原水中から少くとも池内原水水面まで延長する上下両端開口の気泡隔離筒 を設けた、 重力式濾過池における気泡による循環流防止装置を提案する。

【０００７】 本考案における上記「濾過池」とは、吸着池をも含む用語として使用される。 以下図面を参照して本考案の実施例について説明する。

【０００８】

【実施例】

図１において、上面を開放した箱形の池本体（１）の内部に濾材枠（２）を形 成し、該濾材枠（２）内の底部に濾床（３）を配設し、その上に活性炭、アンス ラサイト、砂等の粒状濾材を所要厚さに充填して濾材層（４）を形成し、この池 本体（１）の一側壁底部寄りに、上記濾床（３）に開通する処理水流出口（５） を設け、これに処理水流出管（６）を接続してあり、一方、池本体（１）の他側 の高位置に、原水を導くべき原水供給路（７）を設置すると共に、該供給路（７ ）の一側に越流セキ（８）を介して越流槽（９）を連設し、該越流槽（９）の底 面に開設した流出口（１０）に原水流入管（１１）の一端を接続して垂下すると 共に、該流入管（１１）の他端を、上記池本体（１）の他側壁中間位置に開設さ れた原水流入口（１２）に接続してある。（１３）は上記流入管（１１）の中間 に接続された原水流入弁である。

【０００９】 上記のような構造の重力式濾過池の池本体（１）内において、上記原水流入口 （１２）を有する一側壁内面に、半円弧状に湾曲された樋状の隔離材（１４）を 、上記流入口（１２）を囲む状態で且つ上記流入口（１２）よりも若干下位から 水面上に突出する垂直状態に取付け、それにより該隔離材（１４）と池本体側壁 との間に水中から水面上に延長する上下両端開口（１６）、（１７）の気泡隔離 筒（１５）を形成している。

【００１０】 今、原水供給路（７）から越流セキ（８）を越流して越流槽（９）内に流入し た原水が、流出口（１０）より空気を巻きこみつつ原水流入管（１１）を経て流 入口（１２）より気泡を放出しつつ隔離筒（１５）内に流入すると、放出された 気泡は気泡隔離筒（１５）内を直ちに上昇するが、上記気泡隔離筒（１５）内の 水面が隔離材（１４）によって該気泡隔離筒（１５）外の池内水面と隔離されて いるため、上記気泡の上昇による池内全体に及ぶ循環流は生起されることがなく 、したがって濾材層（４）に悪影響を与えることはない。上記隔離筒（１５）内 を上昇する気泡は隔離筒上端の開口（１６）を経て大気中に放出され、また隔離 筒（１５）内に流入し、気泡を分離された原水は下端の開口（１７）を経て池内 原水に合流する。

【００１１】 なお、上記隔離材（１４）の池内水面より比較的水深の深い位置の側壁に、多 数の孔またはスリットを開設し、隔離筒（１５）内に流入し、気泡を分離された 原水の一部または大部分が該孔またはスリットから池内原水に合流するようにし てもよい。

【００１２】 図２の他の実施例は、原水流入管（１１ａ）を直接池内へ垂下すると共に、下 端開口（１７ａ）し、閉成上端に小開口（１６ａ）をあけた円筒状隔離材（１４ ａ）を上記流入管（１１ａ）の外周に同心的に取付け、他の構造は図１と実質的 に同一の例である。

【００１３】 図３のさらに他の実施例は、原水流入管（１１ｂ）の先端部を池内へ進出させ て流入口（１２ｂ）を上向きに屈曲し、また濾材層（４ｂ）は池本体（１ｂ）の 内部全面に充填し、他の構造は図１と実質的に同一の例である。

【００１４】

【考案の効果】

この考案の重力式濾過池における気泡による循環流防止装置によれば、池内に 気泡隔離筒を設けるだけの簡単な構造によって池内における気泡による循環流の 発生を抑制し、従来濾過池にみられた濾材の片寄りを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を実施した濾過池の一部切欠縦断正面図
である。

【図２】他の実施例の縦断正面図である。

【図３】さらに他の実施例の一部切欠縦断正面図であ
る。

【図４】従来濾過池の略線縦断正面図である。

【符号の説明】

１、１ａ、１ｂ 池本体 ４、４ａ、４ｂ 濾材層 １１、１１ａ、１１ｂ 原水流入管 １２、１２ａ、１２ｂ 原水流入口 １５、１５ａ、１５ｂ 気泡隔離筒 １６、１６ｂ、１７、１７ａ、１７ｂ 開口 １６ａ 小開口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に濾材や吸着材を所要厚さに充填さ
   れた池本体内の原水中に、気泡を含む原水を原水流入管
   を通して原水流入口より供給する重力式濾過池におい
   て、 上記原水流入口から池内原水中に放出され上昇する気泡
   を隔離状態で案内すべく池内原水中から少くとも池内原
   水水面まで延長する上下両端開口の気泡隔離筒を設け
   た、 重力式濾過池における気泡による循環流防止装置。