JPH06316631A - 多環式芳香族アミン重合体及びその製造方法 - Google Patents
多環式芳香族アミン重合体及びその製造方法Info
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- JPH06316631A JPH06316631A JP26552992A JP26552992A JPH06316631A JP H06316631 A JPH06316631 A JP H06316631A JP 26552992 A JP26552992 A JP 26552992A JP 26552992 A JP26552992 A JP 26552992A JP H06316631 A JPH06316631 A JP H06316631A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 溶媒可溶型でかつ可視領域の透明性、導電性
に優れた新規な導電性を発現する重合体及びその製造方
法を提供する。 【構成】 多環式芳香族アミン化合物を化学的に酸化重
合することにより得られる多環式芳香族アミンを主成分
とする多環式芳香族アミン重合体及びその製造方法。
に優れた新規な導電性を発現する重合体及びその製造方
法を提供する。 【構成】 多環式芳香族アミン化合物を化学的に酸化重
合することにより得られる多環式芳香族アミンを主成分
とする多環式芳香族アミン重合体及びその製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多環式芳香族アミン化合
物を酸化重合することにより得られる多環式芳香族アミ
ンを主構成要素とする溶媒可溶型でかつ可視領域の透明
性に優れた新規な導電性を発現する多環式芳香族アミン
重合体及びその製造方法に関するものである。
物を酸化重合することにより得られる多環式芳香族アミ
ンを主構成要素とする溶媒可溶型でかつ可視領域の透明
性に優れた新規な導電性を発現する多環式芳香族アミン
重合体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ピロール、チオフェン、アニリン等のヘ
テロ原子を含む五員環構造物又は芳香環構造物を重合し
て得られる重合体は導電性材料として好適なため、近年
盛んに研究が進められている。これらの重合物は一般に
ドーピング量を変えることにより導電率を自在にコント
ロールできるため、各種センサー、一次電池、二次電
池、帯電防止剤等への用途が検討されている。また、最
近特に、透明タッチスイッチ、液晶表示素子、エレクト
ロルミネッセンス等のディスプレーに使用されている透
明導電性基材中の導電層への該重合物の応用が盛んに検
討されるようになってきた。
テロ原子を含む五員環構造物又は芳香環構造物を重合し
て得られる重合体は導電性材料として好適なため、近年
盛んに研究が進められている。これらの重合物は一般に
ドーピング量を変えることにより導電率を自在にコント
ロールできるため、各種センサー、一次電池、二次電
池、帯電防止剤等への用途が検討されている。また、最
近特に、透明タッチスイッチ、液晶表示素子、エレクト
ロルミネッセンス等のディスプレーに使用されている透
明導電性基材中の導電層への該重合物の応用が盛んに検
討されるようになってきた。
【0003】一般に、ピロール、チオフェン、アニリン
等の重合体は主鎖に沿って連続するπ共役系を有する構
造から成り立っている。ただ、これらの化合物自身はほ
とんど導電性を示さず、ドーピングすることによって、
初めて導電性を発現する。特に、アニリンは化学的な安
定性及びドーピング、脱ドーピングの繰り返しに対する
可逆的な安定性、さらに、電気電導度の点で、他の導電
性有機材料、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン等
より優れている。その理由は、酸化型ポリアニリンの脱
ドーピング状態(下記一般式(1))、酸化型ポリアニ
リンの酸によるドーピング状態(下記一般式(2))の
ようにドーピング時に容易に正電荷キャリアを有するキ
ノン構造を取り得るためと推定されている。
等の重合体は主鎖に沿って連続するπ共役系を有する構
造から成り立っている。ただ、これらの化合物自身はほ
とんど導電性を示さず、ドーピングすることによって、
初めて導電性を発現する。特に、アニリンは化学的な安
定性及びドーピング、脱ドーピングの繰り返しに対する
可逆的な安定性、さらに、電気電導度の点で、他の導電
性有機材料、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン等
より優れている。その理由は、酸化型ポリアニリンの脱
ドーピング状態(下記一般式(1))、酸化型ポリアニ
リンの酸によるドーピング状態(下記一般式(2))の
ようにドーピング時に容易に正電荷キャリアを有するキ
ノン構造を取り得るためと推定されている。
【0004】
【化1】 そのため、ポリアニリンの重合方法に関する研究が脚光
を浴び盛んに検討されている所以である。この重合物を
製造する方法として、電気化学的酸化重合法と化学的酸
化重合法の二つに大別される。電気化学的酸化重合法と
は電極上又は電極にアニオン性高分子等を被覆した後に
電気化学反応を利用して導電性重合膜を形成する方法
で、例えば、特開平4−139214号があげられる。
化学的酸化重合法とは有機溶媒又は水溶液中にモノマー
と酸化剤、酸性物質の存在下で重合を行う方法で、例え
ば、特表平3−505892号があげられる。
を浴び盛んに検討されている所以である。この重合物を
製造する方法として、電気化学的酸化重合法と化学的酸
化重合法の二つに大別される。電気化学的酸化重合法と
は電極上又は電極にアニオン性高分子等を被覆した後に
電気化学反応を利用して導電性重合膜を形成する方法
で、例えば、特開平4−139214号があげられる。
化学的酸化重合法とは有機溶媒又は水溶液中にモノマー
と酸化剤、酸性物質の存在下で重合を行う方法で、例え
ば、特表平3−505892号があげられる。
【0005】一方、多環式芳香族アミン化合物の製造例
としては、ナフチルアミンの電気化学的酸化重合例が報
告されているにすぎない。例えば、Electroch
im.Acta Vol32,pp1223(198
7),J.chem,Soc.Jpn Vol11,p
p2038(1987),J.electroana
l.Chem.Vol125,pp459(198
1)、ジアミノナフタレンの例では特開平2−1249
38号があげられる。
としては、ナフチルアミンの電気化学的酸化重合例が報
告されているにすぎない。例えば、Electroch
im.Acta Vol32,pp1223(198
7),J.chem,Soc.Jpn Vol11,p
p2038(1987),J.electroana
l.Chem.Vol125,pp459(198
1)、ジアミノナフタレンの例では特開平2−1249
38号があげられる。
【0006】以上述べてきたように、多環式芳香族アミ
ン化合物(含多環式複素環アミン化合物)を用いた化学
的酸化重合例の報告はまだない。
ン化合物(含多環式複素環アミン化合物)を用いた化学
的酸化重合例の報告はまだない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般に、導電性樹脂は
溶媒に溶解しにくく、キャスト法によるフィルム形成が
困難で、溶媒に溶解しやすい樹脂は導電性が劣るとの問
題点がある。さらに、導電性が高い樹脂は一般に可視領
域での透明性が劣るとの問題も生じる。また、電解重合
法は比較的簡便な方法で導電性樹脂基盤を作ることはで
きるが、フィルム形成面が電極表面に限定されるため、
大面積のフィルムを得ることは困難な上に電解酸化法の
ため製造コストが高くつくとの問題点がある。そこで、
溶剤可溶型の導電性樹脂を製造する方法が盛んに検討さ
れている。例えば、チオフェン、ピロールの3位に長鎖
アルキル基を導入した導電性樹脂(Synth.Met
als,Vol18,pp229(1987))が提案
されている。または、アニリンをピロ硫酸アンモニュウ
ムで酸化すると可溶型のポリアニリン(Polym.P
repr.,Vol38,pp638(1989))が
得られるとの報告とか、アニリンのオルト位にメトキシ
基を導入すると、可溶型ポリアニリン(Synth.M
etals,Vol25,pp235(1988))が
得られるとの報告もある。ただ残念ながら透明性は満足
いくものではない。一方、イソチアナフテンを電解重合
することにより、ドープの状態で可視領域で透明な導電
性樹脂(Bull.Amer.Phys.Soc.,V
ol30,pp607(1985))が得られるとの報
告もある。
溶媒に溶解しにくく、キャスト法によるフィルム形成が
困難で、溶媒に溶解しやすい樹脂は導電性が劣るとの問
題点がある。さらに、導電性が高い樹脂は一般に可視領
域での透明性が劣るとの問題も生じる。また、電解重合
法は比較的簡便な方法で導電性樹脂基盤を作ることはで
きるが、フィルム形成面が電極表面に限定されるため、
大面積のフィルムを得ることは困難な上に電解酸化法の
ため製造コストが高くつくとの問題点がある。そこで、
溶剤可溶型の導電性樹脂を製造する方法が盛んに検討さ
れている。例えば、チオフェン、ピロールの3位に長鎖
アルキル基を導入した導電性樹脂(Synth.Met
als,Vol18,pp229(1987))が提案
されている。または、アニリンをピロ硫酸アンモニュウ
ムで酸化すると可溶型のポリアニリン(Polym.P
repr.,Vol38,pp638(1989))が
得られるとの報告とか、アニリンのオルト位にメトキシ
基を導入すると、可溶型ポリアニリン(Synth.M
etals,Vol25,pp235(1988))が
得られるとの報告もある。ただ残念ながら透明性は満足
いくものではない。一方、イソチアナフテンを電解重合
することにより、ドープの状態で可視領域で透明な導電
性樹脂(Bull.Amer.Phys.Soc.,V
ol30,pp607(1985))が得られるとの報
告もある。
【0008】以上説明してきたように、溶媒可溶型でか
つ可視領域で透明性に優れた導電性樹脂の開発報告はま
だない。
つ可視領域で透明性に優れた導電性樹脂の開発報告はま
だない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、重合物の
化学的な安定性及び可逆的な安定性に優れた面を生かす
目的で、芳香族アミン化合物に着目し、かつ溶媒に可
溶、高い導電性、可視領域での透明性に優れた導電性樹
脂の開発を目指して、鋭意検討した結果、多環式芳香族
アミン化合物を化学的に酸化重合することにより本目的
を達成できることを見出した。
化学的な安定性及び可逆的な安定性に優れた面を生かす
目的で、芳香族アミン化合物に着目し、かつ溶媒に可
溶、高い導電性、可視領域での透明性に優れた導電性樹
脂の開発を目指して、鋭意検討した結果、多環式芳香族
アミン化合物を化学的に酸化重合することにより本目的
を達成できることを見出した。
【0010】すなわち、本発明は、多環式芳香族アミン
化合物を化学的に酸化重合するという簡単な操作で溶媒
に可溶、高い導電性、可視領域での透明性に優れた新規
な導電性を発現する多環式芳香族アミン重合体及びその
製造方法に関するものである。
化合物を化学的に酸化重合するという簡単な操作で溶媒
に可溶、高い導電性、可視領域での透明性に優れた新規
な導電性を発現する多環式芳香族アミン重合体及びその
製造方法に関するものである。
【0011】以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】本発明における多環式芳香族アミン重合体
は、多環式芳香族アミン化合物を化学的に酸化重合する
ことにより得られる多環式芳香族アミンを主成分とする
ものである。
は、多環式芳香族アミン化合物を化学的に酸化重合する
ことにより得られる多環式芳香族アミンを主成分とする
ものである。
【0013】本発明で用いられる多環式芳香族アミン化
合物としては、例えば、1−アミノナフタレン、2−ア
ミノナフタレン等のアミノナフタレン類、1−アミノア
ントラセン、2−アミノアントラセン、5−アミノアン
トラセン等のアミノアントラセン類、2−アミノキノリ
ン、3−アミノキノリン、1−アミノイソキノリン、3
−アミノイソキノリン等のアミノキノリン類、アミノア
クリジン、アミノキナリジン等があげられる。もちろ
ん、より一層生成樹脂の溶解性を向上させる目的で芳香
環に炭素数1〜20のアルコキシ基を導入した化合物を
使用してもよい。
合物としては、例えば、1−アミノナフタレン、2−ア
ミノナフタレン等のアミノナフタレン類、1−アミノア
ントラセン、2−アミノアントラセン、5−アミノアン
トラセン等のアミノアントラセン類、2−アミノキノリ
ン、3−アミノキノリン、1−アミノイソキノリン、3
−アミノイソキノリン等のアミノキノリン類、アミノア
クリジン、アミノキナリジン等があげられる。もちろ
ん、より一層生成樹脂の溶解性を向上させる目的で芳香
環に炭素数1〜20のアルコキシ基を導入した化合物を
使用してもよい。
【0014】本発明における多環式芳香族アミン重合体
は、多環式芳香族アミン化合物を酸化剤により化学的に
酸化重合させることにより、すなわち、上述の多環式芳
香族アミン化合物を反応溶媒に溶解後、酸化剤を添加す
ることで簡単に製造することができる。さらに、重合反
応をスムーズに進めるために、プロトン酸を添加するこ
とが好ましい。
は、多環式芳香族アミン化合物を酸化剤により化学的に
酸化重合させることにより、すなわち、上述の多環式芳
香族アミン化合物を反応溶媒に溶解後、酸化剤を添加す
ることで簡単に製造することができる。さらに、重合反
応をスムーズに進めるために、プロトン酸を添加するこ
とが好ましい。
【0015】ここで用いる反応溶媒としては特に制限す
るものではないが、上記のアミン化合物(モノマー)を
溶解させるものが望ましく、特に酸性の水溶性溶媒を用
いることが望ましく、さらに目的のモノマー、プロトン
酸、酸化剤を溶解させるため水と有機溶媒の混合物がよ
い。この時の有機溶媒は上述の各化合物を沈殿させない
有機溶媒であれば特に限定するものではないが、例え
ば、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、
テトラハイドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル
等のエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルスル
フォキシド、酢酸のような水溶性の弱酸等があげられ
る。水と有機溶媒の混合比は特に限定するものではない
が、水に添加する有機溶媒の目安はモノマー、生成物及
びその他の添加物が溶解する程度が好ましい。
るものではないが、上記のアミン化合物(モノマー)を
溶解させるものが望ましく、特に酸性の水溶性溶媒を用
いることが望ましく、さらに目的のモノマー、プロトン
酸、酸化剤を溶解させるため水と有機溶媒の混合物がよ
い。この時の有機溶媒は上述の各化合物を沈殿させない
有機溶媒であれば特に限定するものではないが、例え
ば、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、
テトラハイドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル
等のエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルスル
フォキシド、酢酸のような水溶性の弱酸等があげられ
る。水と有機溶媒の混合比は特に限定するものではない
が、水に添加する有機溶媒の目安はモノマー、生成物及
びその他の添加物が溶解する程度が好ましい。
【0016】さらに、導電率を低下させずに高い透明性
の重合体を得るにはアルコール、例えば、メタノール、
エタノール、イソ(またはn)プロパノール等アルコー
ル類を加えるとよい。アルコール類の添加量は特に限定
するものではないが全反応溶媒の5体積%から30体積
%の添加が最も好ましい。
の重合体を得るにはアルコール、例えば、メタノール、
エタノール、イソ(またはn)プロパノール等アルコー
ル類を加えるとよい。アルコール類の添加量は特に限定
するものではないが全反応溶媒の5体積%から30体積
%の添加が最も好ましい。
【0017】本発明で用いられるプロトン酸としては、
酸解離定数pKaが3.5以下であれば特に限定するも
のではない。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フ
ッ化水素酸等の無機酸、ベンセンスルフォン酸、トルエ
ンスルフォン酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォ
ン酸、ポリスチレンスルフォン酸、コンドロイチン硫
酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸があげられる。これら
酸の添加量としては用いる酸化剤の種類に依存するが一
般に、酸化剤の2倍当量以上、好ましくは2〜4倍当量
の範囲内で用いるとよい。
酸解離定数pKaが3.5以下であれば特に限定するも
のではない。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フ
ッ化水素酸等の無機酸、ベンセンスルフォン酸、トルエ
ンスルフォン酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォ
ン酸、ポリスチレンスルフォン酸、コンドロイチン硫
酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸があげられる。これら
酸の添加量としては用いる酸化剤の種類に依存するが一
般に、酸化剤の2倍当量以上、好ましくは2〜4倍当量
の範囲内で用いるとよい。
【0018】本発明で用いられる酸化剤は、一般に使用
される二酸化マンガン、過酸化水素、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸カリウム、ピロ硫酸アンモニュウム、重クロ
ム酸カリウム、重クロム酸ナトリウム、過塩素酸鉄、塩
化第二鉄などがあげられるが、過酸化水素を用いるのが
生成した樹脂の溶媒への溶解性の点及び価格が安い点、
さらには粗生成重合物中に多量の金属化合物が含まれる
ことがない点でより好ましい。酸化剤の添加量はモノマ
ーの1モル以上であればよく、好ましくは1〜1.3モ
ルである。
される二酸化マンガン、過酸化水素、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸カリウム、ピロ硫酸アンモニュウム、重クロ
ム酸カリウム、重クロム酸ナトリウム、過塩素酸鉄、塩
化第二鉄などがあげられるが、過酸化水素を用いるのが
生成した樹脂の溶媒への溶解性の点及び価格が安い点、
さらには粗生成重合物中に多量の金属化合物が含まれる
ことがない点でより好ましい。酸化剤の添加量はモノマ
ーの1モル以上であればよく、好ましくは1〜1.3モ
ルである。
【0019】本発明で酸化剤が過酸化水素である場合、
反応溶媒に遷移金属触媒を添加する必要がある。このよ
うな遷移金属触媒としては、鉄、銅、クロム、コバル
ト、ニッケル等の金属又はこれらの化合物が好ましく、
特に、鉄(II)化合物、鉄(III)化合物、銅(I
I)化合物のようにカタラーゼ活性、フェントン試薬活
性を示すものが望ましい。遷移金属触媒は、通常、酸化
剤の0.5モル%から5モル%添加される。
反応溶媒に遷移金属触媒を添加する必要がある。このよ
うな遷移金属触媒としては、鉄、銅、クロム、コバル
ト、ニッケル等の金属又はこれらの化合物が好ましく、
特に、鉄(II)化合物、鉄(III)化合物、銅(I
I)化合物のようにカタラーゼ活性、フェントン試薬活
性を示すものが望ましい。遷移金属触媒は、通常、酸化
剤の0.5モル%から5モル%添加される。
【0020】本発明においてモノマーを用いた化学的酸
化重合により重合体を製造する一例を以下に述べる。
化重合により重合体を製造する一例を以下に述べる。
【0021】まず、所定量の水及び必要に応じて有機溶
媒を混合後、モノマーを所定量いれ良く撹拌し、次に、
必要があればアルコールを添加する。上述で説明したよ
うにより透明性に優れた導電性を発現する重合体を得た
いときのみアルコールを添加すればよい。引き続いて、
プロトン酸をいれ、良く撹拌をした後、再度必要に応じ
て有機溶媒を初期と同重量程度添加する。ここで、分割
して有機溶媒を入れる理由はより高い導電性の樹脂を得
るためである。もちろん、用いるモノマーによっては初
期一回だけで高い導電率の樹脂が得られる場合は分割し
て入れる必要はない。次に、遷移金属、酸化剤とこの順
に添加して、所定の温度で重合を行う。このときの重合
温度は100℃〜−80℃の範囲であればよいが、40
℃〜0℃の範囲が取扱い上最も好ましい。重合反応を停
止するため、氷水で反応液を洗浄、引き続き、有機溶媒
で洗浄を行い、最後に乾燥させることで重合体を得るこ
とができる。
媒を混合後、モノマーを所定量いれ良く撹拌し、次に、
必要があればアルコールを添加する。上述で説明したよ
うにより透明性に優れた導電性を発現する重合体を得た
いときのみアルコールを添加すればよい。引き続いて、
プロトン酸をいれ、良く撹拌をした後、再度必要に応じ
て有機溶媒を初期と同重量程度添加する。ここで、分割
して有機溶媒を入れる理由はより高い導電性の樹脂を得
るためである。もちろん、用いるモノマーによっては初
期一回だけで高い導電率の樹脂が得られる場合は分割し
て入れる必要はない。次に、遷移金属、酸化剤とこの順
に添加して、所定の温度で重合を行う。このときの重合
温度は100℃〜−80℃の範囲であればよいが、40
℃〜0℃の範囲が取扱い上最も好ましい。重合反応を停
止するため、氷水で反応液を洗浄、引き続き、有機溶媒
で洗浄を行い、最後に乾燥させることで重合体を得るこ
とができる。
【0022】本発明においては、上記酸化重合により製
造した重合体を化学的還元、電気化学的に還元又は還元
せずに直接脱ドーピングした後、必要に応じて化学酸化
又は電解酸化により酸化すると共にドーピングを行うこ
とにより高い導電性を発現させることができる。化学的
還元に使用する還元剤としては、ヒドラジン、抱水ヒド
ラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン類、水素化
リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の水
素化金属等をあげることができる。化学還元剤は、通
常、重合体の1窒素原子当たり1〜10モル使用される
が、必ずしもこれに限定されるものではない。
造した重合体を化学的還元、電気化学的に還元又は還元
せずに直接脱ドーピングした後、必要に応じて化学酸化
又は電解酸化により酸化すると共にドーピングを行うこ
とにより高い導電性を発現させることができる。化学的
還元に使用する還元剤としては、ヒドラジン、抱水ヒド
ラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン類、水素化
リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の水
素化金属等をあげることができる。化学還元剤は、通
常、重合体の1窒素原子当たり1〜10モル使用される
が、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0023】脱ドーピングを行うには、ドーパントとし
てのプロトン酸を塩基性物質にて中和すればよい。この
ような塩基性物質は、特に限定されるものではないが、
好ましくは、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化リチウム等の金属水酸化物が用いられ
る。ここで用いられる酸化剤としては該重合体を酸化す
るに充分な酸化力を有し、かつ、電子受容性を有してい
ればいずれの化合物でも用いることはできる。例えば、
塩素、臭素、よう素、フッ素等のハロゲン類、五フッ化
ヒ素、五フッ化アンチモン、三フッ化硼素、三塩化硼
素、塩化第二鉄、塩化第二スズ、四塩化チタン、塩化亜
鉛、塩化第二銅等のルイス酸類、過塩素酸ナトリウム、
過塩素酸カリウム等の塩類等があげられる。
てのプロトン酸を塩基性物質にて中和すればよい。この
ような塩基性物質は、特に限定されるものではないが、
好ましくは、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化リチウム等の金属水酸化物が用いられ
る。ここで用いられる酸化剤としては該重合体を酸化す
るに充分な酸化力を有し、かつ、電子受容性を有してい
ればいずれの化合物でも用いることはできる。例えば、
塩素、臭素、よう素、フッ素等のハロゲン類、五フッ化
ヒ素、五フッ化アンチモン、三フッ化硼素、三塩化硼
素、塩化第二鉄、塩化第二スズ、四塩化チタン、塩化亜
鉛、塩化第二銅等のルイス酸類、過塩素酸ナトリウム、
過塩素酸カリウム等の塩類等があげられる。
【0024】また、ドーピングを行わせるための酸とし
ては、塩酸、硫酸等の強酸類、メタンスルフォン酸、エ
タンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、トルエンス
ルフォン酸等の有機スルフォン酸類があげられる。ま
た、ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン
酸、ポリアリルスルフォン酸等の高分子プロトン酸も使
用することができる。
ては、塩酸、硫酸等の強酸類、メタンスルフォン酸、エ
タンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、トルエンス
ルフォン酸等の有機スルフォン酸類があげられる。ま
た、ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン
酸、ポリアリルスルフォン酸等の高分子プロトン酸も使
用することができる。
【0025】以下に一例として、導電性フィルムの製法
を述べる。
を述べる。
【0026】まず、本発明の重合体を溶媒に溶解する。
このとき用いる溶媒は重合体を溶解させやすい溶媒であ
れば特に限定するものではない。例えば、DMF、DM
SO、NMP等の極性溶媒、アンモニア、苛性ソーダ等
のアルカリ水溶液、蟻酸、塩酸、硫酸等の酸性水溶液等
があげられる。この時、溶解性を増すため、塩化リチュ
ウム等の塩類を溶媒に添加、さらに、塗布特性を向上さ
せるために界面活性剤等を添加してもよい。続いて、基
板に塗布する。塗布方法としてはスピン塗布でもロール
コーター法、印刷法、キャスト法等いずれの方法でもよ
い。塗布後、溶媒を飛ばしてフィルムを乾燥させる。こ
の後、得られたフィルムを酸性溶液中に浸漬する方法や
気相で塩酸等の酸と接触させる方法によりドーピングし
て導電性を高める。また、該重合体がポリアニリンにお
けるロイコエメラルディン型重合体類似の−NH−基を
多く含む還元体として得られている場合には、フィルム
形成以前又はフィルム形成後に上記の酸化剤と反応させ
ることにより共役系の発達した主鎖構造を形成せしめ、
さらにドーピングにより導電性を高めることができる。
このとき用いる溶媒は重合体を溶解させやすい溶媒であ
れば特に限定するものではない。例えば、DMF、DM
SO、NMP等の極性溶媒、アンモニア、苛性ソーダ等
のアルカリ水溶液、蟻酸、塩酸、硫酸等の酸性水溶液等
があげられる。この時、溶解性を増すため、塩化リチュ
ウム等の塩類を溶媒に添加、さらに、塗布特性を向上さ
せるために界面活性剤等を添加してもよい。続いて、基
板に塗布する。塗布方法としてはスピン塗布でもロール
コーター法、印刷法、キャスト法等いずれの方法でもよ
い。塗布後、溶媒を飛ばしてフィルムを乾燥させる。こ
の後、得られたフィルムを酸性溶液中に浸漬する方法や
気相で塩酸等の酸と接触させる方法によりドーピングし
て導電性を高める。また、該重合体がポリアニリンにお
けるロイコエメラルディン型重合体類似の−NH−基を
多く含む還元体として得られている場合には、フィルム
形成以前又はフィルム形成後に上記の酸化剤と反応させ
ることにより共役系の発達した主鎖構造を形成せしめ、
さらにドーピングにより導電性を高めることができる。
【0027】その他に、評価の方法として、重合体を圧
縮(例えば、500kg/cm2の圧力で圧縮)した
後、上記と同様の方法でドーピングしても導電性は発現
する。ただ、一般的に、この場合の導電性は、上記のよ
うにフィルムにした場合に比べて劣るものである。
縮(例えば、500kg/cm2の圧力で圧縮)した
後、上記と同様の方法でドーピングしても導電性は発現
する。ただ、一般的に、この場合の導電性は、上記のよ
うにフィルムにした場合に比べて劣るものである。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】実施例1 攪拌装置付きの200mlの三方コック付きフラスコに
アセトニトリル15ml、水60ml、精製した1−ア
ミノナフタレン0.54grを入れ、良く攪拌したの
ち、恒温槽にて、温度を30℃にコントロールし、引き
続き、濃硫酸2.9ml、再度アセトニトリルを15m
l、FeSO4・7H2Oを20mg、過酸化水素水
(31%品)0.5mlをこの順に加え、40時間反応
を行った。次に反応停止及び不純物除去を目的として、
氷水中に重合体を沈殿させ濾別し、その重合体をメタノ
ール中で3〜4時間攪拌洗浄・濾別後、アンモニア水中
で3〜4時間攪拌洗浄後濾別し、引き続き再度メタノー
ル中で洗浄との操作を行って、重合体を精製した。その
後、真空乾燥を行って重合体を得た。収率は85%であ
った。
アセトニトリル15ml、水60ml、精製した1−ア
ミノナフタレン0.54grを入れ、良く攪拌したの
ち、恒温槽にて、温度を30℃にコントロールし、引き
続き、濃硫酸2.9ml、再度アセトニトリルを15m
l、FeSO4・7H2Oを20mg、過酸化水素水
(31%品)0.5mlをこの順に加え、40時間反応
を行った。次に反応停止及び不純物除去を目的として、
氷水中に重合体を沈殿させ濾別し、その重合体をメタノ
ール中で3〜4時間攪拌洗浄・濾別後、アンモニア水中
で3〜4時間攪拌洗浄後濾別し、引き続き再度メタノー
ル中で洗浄との操作を行って、重合体を精製した。その
後、真空乾燥を行って重合体を得た。収率は85%であ
った。
【0030】DMFに臭化リチウムを10mmol溶解
した溶液を溶離液としてGPC測定を行ったところ、こ
の得られた重合体の分子量は重量平均分子量で4.3×
103gr/mol(ポリスチレン換算値)、分散度
(Mw/Mn)1.42であった。この重合体の13C
NMRを測定すると図1に示すようにモノマーのC1及
びC4に由来するピークが消え、図2の赤外吸収スペク
トルで760cm−1に強い面外変角振動の吸収が見ら
れた。また、図3に示す1HNMRでは環中のプロトン
とNHのプロトンの積分比が17:1であった。このこ
とは、本重合体が下式の構造を取っていることを示すも
のである。
した溶液を溶離液としてGPC測定を行ったところ、こ
の得られた重合体の分子量は重量平均分子量で4.3×
103gr/mol(ポリスチレン換算値)、分散度
(Mw/Mn)1.42であった。この重合体の13C
NMRを測定すると図1に示すようにモノマーのC1及
びC4に由来するピークが消え、図2の赤外吸収スペク
トルで760cm−1に強い面外変角振動の吸収が見ら
れた。また、図3に示す1HNMRでは環中のプロトン
とNHのプロトンの積分比が17:1であった。このこ
とは、本重合体が下式の構造を取っていることを示すも
のである。
【0031】
【化2】 この重合体をNMP溶媒に7.0×10−5mol/l
の濃度になるように溶解した後、1cmセルを用いて吸
光特性を測定すると、図4に示すように295nmに吸
収極大があり、吸光係数εはDMF溶媒中で7140m
ol−1cm− 1であった。また、図4より400nm
〜700nmの範囲内に吸収ピークがなく、かつ吸収が
小さいことから、本重合体は可視領域において透明性に
優れていることが理解できる。さらに、本重合体の溶解
性を調べたところ、DMF、DMSO、NMP等の極性
有機溶媒及び硫酸、蟻酸に良く溶け、クロロフォルム、
THFに若干溶解することがわかった。また、赤外スペ
クトル用成型器を用いて本重合体に500kg/cm2
の圧力を加えて成型体を作り、35%塩酸溶液中に12
時間浸漬した後、この成型体の電気伝導度を測定したと
ころ、3.8×10−4S/cmの値を示した。また、
ヨウ素の雰囲気に12時間晒した成型体の場合の電気伝
導度は2.4×10−3S/cmと良好な電気伝導性を
示した。
の濃度になるように溶解した後、1cmセルを用いて吸
光特性を測定すると、図4に示すように295nmに吸
収極大があり、吸光係数εはDMF溶媒中で7140m
ol−1cm− 1であった。また、図4より400nm
〜700nmの範囲内に吸収ピークがなく、かつ吸収が
小さいことから、本重合体は可視領域において透明性に
優れていることが理解できる。さらに、本重合体の溶解
性を調べたところ、DMF、DMSO、NMP等の極性
有機溶媒及び硫酸、蟻酸に良く溶け、クロロフォルム、
THFに若干溶解することがわかった。また、赤外スペ
クトル用成型器を用いて本重合体に500kg/cm2
の圧力を加えて成型体を作り、35%塩酸溶液中に12
時間浸漬した後、この成型体の電気伝導度を測定したと
ころ、3.8×10−4S/cmの値を示した。また、
ヨウ素の雰囲気に12時間晒した成型体の場合の電気伝
導度は2.4×10−3S/cmと良好な電気伝導性を
示した。
【0032】実施例2 攪拌装置付きの200mlの三方コック付きフラスコに
アセトニトリル15ml、水76ml、精製した1−ア
ミノナフタレン0.54grを入れ、引き続いてメタノ
ール15ml添加後良く攪拌し、恒温槽にて、温度を3
0℃にコントロールし、さらに、濃硫酸2.9ml、再
度アセトニトリルを15ml、FeSO4・7H2Oを
20mg、過酸化水素水(31%品)0.5mlをこの
順に加え、40時間反応を行った。次に反応停止及び不
純物除去を目的として、氷水、メタノール、アンモニア
水、メタノールで実施例1と同様の精製を行い、真空乾
燥を行って重合体を得た。収率は82%であった。実施
例1と同様の条件で可視領域の吸光の測定及びヨウ素ド
ーピング後の電気伝導性の測定を行った。その結果、図
5の吸光特性から可視領域での透明性が優れていること
がわかった。電気伝導度は2.6×10−3S/cmと
良好な結果が得られた。
アセトニトリル15ml、水76ml、精製した1−ア
ミノナフタレン0.54grを入れ、引き続いてメタノ
ール15ml添加後良く攪拌し、恒温槽にて、温度を3
0℃にコントロールし、さらに、濃硫酸2.9ml、再
度アセトニトリルを15ml、FeSO4・7H2Oを
20mg、過酸化水素水(31%品)0.5mlをこの
順に加え、40時間反応を行った。次に反応停止及び不
純物除去を目的として、氷水、メタノール、アンモニア
水、メタノールで実施例1と同様の精製を行い、真空乾
燥を行って重合体を得た。収率は82%であった。実施
例1と同様の条件で可視領域の吸光の測定及びヨウ素ド
ーピング後の電気伝導性の測定を行った。その結果、図
5の吸光特性から可視領域での透明性が優れていること
がわかった。電気伝導度は2.6×10−3S/cmと
良好な結果が得られた。
【0033】実施例3 攪拌装置付きの300mlの三方コック付きフラスコに
アセトニトリル80ml、水80ml、精製した1−ア
ミノアントラセン0.27grを入れ、良く攪拌したの
ち、恒温槽にて、温度を30℃にコントロールし、さら
に、濃硫酸0.68ml、FeSO4・7H2Oを10
mg、過酸化水素水(31%品)0.22mlをこの順
に加え、22時間反応を行った。次に反応停止及び不純
物除去を目的として、氷水、メタノール、アンモニア
水、メタノールと実施例1と同様の精製を行い、真空乾
燥を行って重合体を得た。収率は92.5%であった。
アセトニトリル80ml、水80ml、精製した1−ア
ミノアントラセン0.27grを入れ、良く攪拌したの
ち、恒温槽にて、温度を30℃にコントロールし、さら
に、濃硫酸0.68ml、FeSO4・7H2Oを10
mg、過酸化水素水(31%品)0.22mlをこの順
に加え、22時間反応を行った。次に反応停止及び不純
物除去を目的として、氷水、メタノール、アンモニア
水、メタノールと実施例1と同様の精製を行い、真空乾
燥を行って重合体を得た。収率は92.5%であった。
【0034】実施例1と同様の測定条件で分子量測定を
行ったところ、この得られた重合体の分子量は重量平均
分子量で5.6×103gr/mol(ポリスチレン換
算値)、分散度(Mw/Mn)1.23であった。この
重合体の13CNMRを測定すると図6に示すようにモ
ノマーのC1及びC4に由来するピークが消え、1HN
MRでは環中のプロトンとNHのプロトンの積分比が1
6:1(90MHz)であった。このことは、本重合体
が下記式の構造を取っていると推定される。
行ったところ、この得られた重合体の分子量は重量平均
分子量で5.6×103gr/mol(ポリスチレン換
算値)、分散度(Mw/Mn)1.23であった。この
重合体の13CNMRを測定すると図6に示すようにモ
ノマーのC1及びC4に由来するピークが消え、1HN
MRでは環中のプロトンとNHのプロトンの積分比が1
6:1(90MHz)であった。このことは、本重合体
が下記式の構造を取っていると推定される。
【0035】
【化3】 この重合体の窒素雰囲気下での熱分解特性を指差熱分析
機(10℃/分の昇温速度)で測定したところ250℃
付近から重量の減少が始まったが、900℃まで昇温し
ても重量減少は高々22%と本発明の重合体は耐熱性に
対しても優れた特性を示すことがわかった。
機(10℃/分の昇温速度)で測定したところ250℃
付近から重量の減少が始まったが、900℃まで昇温し
ても重量減少は高々22%と本発明の重合体は耐熱性に
対しても優れた特性を示すことがわかった。
【0036】この重合体をNMP溶媒に5.8×10
−5mol/lの濃度になるように溶解した後、実施例
1と同様の方法で可視領域の吸光特性を測定すると、図
7に示すように290nm、300nm、330nm、
350nmに吸収極大が見られるが、400nm〜70
0nmの範囲内に吸収ピークがなく、かつ吸収が小さい
ことから、本重合体は可視領域において透明性に優れて
いることが理解できる。さらに、本重合体の溶解性を調
べたところ、DMF、DMSO、NMP等の極性有機溶
媒及び蟻酸に良く溶け、クロロフォルム、THFに若干
溶解することがわかった。
−5mol/lの濃度になるように溶解した後、実施例
1と同様の方法で可視領域の吸光特性を測定すると、図
7に示すように290nm、300nm、330nm、
350nmに吸収極大が見られるが、400nm〜70
0nmの範囲内に吸収ピークがなく、かつ吸収が小さい
ことから、本重合体は可視領域において透明性に優れて
いることが理解できる。さらに、本重合体の溶解性を調
べたところ、DMF、DMSO、NMP等の極性有機溶
媒及び蟻酸に良く溶け、クロロフォルム、THFに若干
溶解することがわかった。
【0037】実施例4〜6 攪拌装置付きの100mlの三方コック付きフラスコに
水50ml、精製した5−アミノキノリン0.72gr
を入れ、良く攪拌したのち、恒温槽にて、温度を30℃
にコントロールし、表1に示す条件で重合を行った後、
氷水中に重合体を沈殿させ、その重合体を数時間メタノ
ール中で洗浄後、真空乾燥を行って重合体(a)を得
た。反応収率が低いため、氷水中から濾別した濾過液中
に再度過酸化水素水を添加して1日放置後、同様の洗浄
・乾燥方法を用いて重合体(b)を得た。
水50ml、精製した5−アミノキノリン0.72gr
を入れ、良く攪拌したのち、恒温槽にて、温度を30℃
にコントロールし、表1に示す条件で重合を行った後、
氷水中に重合体を沈殿させ、その重合体を数時間メタノ
ール中で洗浄後、真空乾燥を行って重合体(a)を得
た。反応収率が低いため、氷水中から濾別した濾過液中
に再度過酸化水素水を添加して1日放置後、同様の洗浄
・乾燥方法を用いて重合体(b)を得た。
【0038】
【表1】 本重合体も13CNMR及び1HNMRより下記式の構
造をしているものと推定される。
造をしているものと推定される。
【0039】
【化4】 この重合体をDMF溶媒に9.1×10−5mol/l
の濃度になるように溶解した後、実施例1と同様の方法
で可視領域の吸光特性を測定すると、図8に示すように
285nmに吸収極大が見られるが、400nm〜70
0nmの範囲内に吸収ピークがなく、かつ吸収が小さい
ことから、本重合体は可視領域において透明性に優れて
いることがわかる。さらに、本重合体の溶解性を調べた
ところ、DMSO、NMP等の極性有機溶媒及び蟻酸、
塩酸、硫酸、アンモニア水、苛性ソーダ水溶液に良く溶
けDMFに若干溶解することがわかった。
の濃度になるように溶解した後、実施例1と同様の方法
で可視領域の吸光特性を測定すると、図8に示すように
285nmに吸収極大が見られるが、400nm〜70
0nmの範囲内に吸収ピークがなく、かつ吸収が小さい
ことから、本重合体は可視領域において透明性に優れて
いることがわかる。さらに、本重合体の溶解性を調べた
ところ、DMSO、NMP等の極性有機溶媒及び蟻酸、
塩酸、硫酸、アンモニア水、苛性ソーダ水溶液に良く溶
けDMFに若干溶解することがわかった。
【0040】実施例7〜9 攪拌装置付きの200mlの三方コック付きフラスコに
アセトニトリル10ml、水100ml、精製した5−
アミノイソキノリン0.6grを入れ、良く攪拌したの
ち、恒温槽にて、温度を30℃にコントロールし、表2
に示す条件で重合を行った。次に反応停止及び不純物除
去を目的として、氷水中に沈殿させ、メタノール中で数
時間洗浄を行い、次にアンモニア水に再溶解後、アセト
ンに再沈殿させ、真空乾燥を行って重合体を得た。
アセトニトリル10ml、水100ml、精製した5−
アミノイソキノリン0.6grを入れ、良く攪拌したの
ち、恒温槽にて、温度を30℃にコントロールし、表2
に示す条件で重合を行った。次に反応停止及び不純物除
去を目的として、氷水中に沈殿させ、メタノール中で数
時間洗浄を行い、次にアンモニア水に再溶解後、アセト
ンに再沈殿させ、真空乾燥を行って重合体を得た。
【0041】
【表2】 本重合体も13CNMR及び1HNMRより下記式の構
造をしているものと推定される。
造をしているものと推定される。
【0042】
【化5】 本重合体の溶解性を調べたところ、DMF、DMSO、
NMP等の極性有機溶媒及び蟻酸、アンモニア水、苛性
ソーダ水溶液に良く溶けメタノール、エタノール、TH
F、硫酸、塩酸に若干溶解することがわかった。また、
DMFに臭化リチウム10mmol/l溶解させると本
発明の重合体はより一層溶解性を増すことがわかった。
NMP等の極性有機溶媒及び蟻酸、アンモニア水、苛性
ソーダ水溶液に良く溶けメタノール、エタノール、TH
F、硫酸、塩酸に若干溶解することがわかった。また、
DMFに臭化リチウム10mmol/l溶解させると本
発明の重合体はより一層溶解性を増すことがわかった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による重合
体は溶剤可溶型でかつ可視領域での透明性に優れ、さら
に、ドーピング、脱ドーピングが安定的かつ可逆的に行
い得る構造を有しているため、各種センサー、一次電
池、二次電池、透明導電性基盤中の導電層等の材料に好
適である。さらに、本発明の重合体は化学的酸化重合と
いう簡単な操作で導電性を発現する重合体を製造するこ
とが可能なため、安価に製造でき工業的価値も大きい。
体は溶剤可溶型でかつ可視領域での透明性に優れ、さら
に、ドーピング、脱ドーピングが安定的かつ可逆的に行
い得る構造を有しているため、各種センサー、一次電
池、二次電池、透明導電性基盤中の導電層等の材料に好
適である。さらに、本発明の重合体は化学的酸化重合と
いう簡単な操作で導電性を発現する重合体を製造するこ
とが可能なため、安価に製造でき工業的価値も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】1−アミノナフタレン(モノマー)及び該重合
体の13CNMRチャートを示した図。
体の13CNMRチャートを示した図。
【図2】1−アミノナフタレンの重合体の赤外吸収スペ
クトルを示した図。
クトルを示した図。
【図3】1−アミノナフタレンの重合体の1HNMRチ
ャートを示した図。
ャートを示した図。
【図4】1−アミノナフタレンの重合体の分光チャート
を示した図。
を示した図。
【図5】反応溶媒にアルコールを添加した時の1−アミ
ノナフタレンの重合体の分光チャートを示した図。
ノナフタレンの重合体の分光チャートを示した図。
【図6】1−アミノアントラセン(モノマー)及び該重
合体の13CNMRチャートを示した図。
合体の13CNMRチャートを示した図。
【図7】1−アミノアントラセンの重合体の分光チャー
トを示した図。
トを示した図。
【図8】5−アミノキノリンの重合体の分光チャートを
示した図。
示した図。
Claims (5)
- 【請求項1】 多環式芳香族アミン化合物を化学的に酸
化重合することにより得られる多環式芳香族アミンを主
成分とすることを特徴とする多環式芳香族アミン重合
体。 - 【請求項2】 多環式芳香族アミン化合物がアミノナフ
タレン類、アミノアントラセン類又はアミノキノリン類
のいずれかから選ばれたものであることを特徴とする請
求項1記載の多環式芳香族アミン重合体。 - 【請求項3】 多環式芳香族アミン化合物を酸化剤によ
り化学的に酸化重合させることを特徴とする請求項1に
記載の多環式芳香族アミン重合体の製造方法。 - 【請求項4】 酸化剤が過酸化物であり、かつ、遷移金
属触媒共存下で行うことを特徴とする請求項3に記載の
多環式芳香族アミン重合体の製造方法。 - 【請求項5】 多環式芳香族アミン化合物を化学的に酸
化重合させるときにアルコールを反応溶媒に添加するこ
とを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の多環式芳
香族アミン重合体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26552992A JPH06316631A (ja) | 1992-09-09 | 1992-09-09 | 多環式芳香族アミン重合体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26552992A JPH06316631A (ja) | 1992-09-09 | 1992-09-09 | 多環式芳香族アミン重合体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06316631A true JPH06316631A (ja) | 1994-11-15 |
Family
ID=17418401
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26552992A Pending JPH06316631A (ja) | 1992-09-09 | 1992-09-09 | 多環式芳香族アミン重合体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06316631A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000050490A1 (fr) * | 1999-02-23 | 2000-08-31 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | Derives amines aromatiques, compose conducteur soluble, et element electroluminescent |
GB2371804A (en) * | 2000-11-28 | 2002-08-07 | Nissan Chemical Ind Ltd | Polymers and oligomers of diaminoanthracene and their method of production |
WO2005030838A1 (ja) * | 2003-09-30 | 2005-04-07 | Sumitomo Seika Chemicals Co., Ltd. | ポリアミノピリジン類およびその製造方法 |
JP2006265565A (ja) * | 1997-12-03 | 2006-10-05 | Nissan Chem Ind Ltd | 透明電気伝導性ポリマー |
JP2012511623A (ja) * | 2008-12-09 | 2012-05-24 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | 導電性ポリマー組成物 |
CN104530427A (zh) * | 2015-01-27 | 2015-04-22 | 齐鲁工业大学 | 一种实心刺球状导电共聚物的制备方法 |
CN112661960A (zh) * | 2020-12-01 | 2021-04-16 | 中国科学技术大学 | 聚(1,8-二氨基萘)纳米片材料、其制备方法、电极材料及超级电容器 |
-
1992
- 1992-09-09 JP JP26552992A patent/JPH06316631A/ja active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1156072A1 (en) * | 1999-02-23 | 2001-11-21 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | Aromatic amine derivatives, soluble conductive compound, and electroluminescent element |
EP1156072A4 (en) * | 1999-02-23 | 2002-05-22 | Nissan Chemical Ind Ltd | AROMATIC AMINE DERIVATIVES, SOLUBLE CONDUCTIVE COMPOUND, AND LIGHT EMITTING ELEMENT |
US6632544B1 (en) | 1999-02-23 | 2003-10-14 | Junji Kido | Aromatic amine derivative, soluble conductive compound, and electroluminscent element |
WO2000050490A1 (fr) * | 1999-02-23 | 2000-08-31 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | Derives amines aromatiques, compose conducteur soluble, et element electroluminescent |
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WO2005030838A1 (ja) * | 2003-09-30 | 2005-04-07 | Sumitomo Seika Chemicals Co., Ltd. | ポリアミノピリジン類およびその製造方法 |
JP4743608B2 (ja) * | 2003-09-30 | 2011-08-10 | 住友精化株式会社 | ポリアミノピリジン類およびその製造方法 |
JP2012511623A (ja) * | 2008-12-09 | 2012-05-24 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | 導電性ポリマー組成物 |
CN104530427A (zh) * | 2015-01-27 | 2015-04-22 | 齐鲁工业大学 | 一种实心刺球状导电共聚物的制备方法 |
CN112661960A (zh) * | 2020-12-01 | 2021-04-16 | 中国科学技术大学 | 聚(1,8-二氨基萘)纳米片材料、其制备方法、电极材料及超级电容器 |
CN112661960B (zh) * | 2020-12-01 | 2023-03-07 | 中国科学技术大学 | 聚(1,8-二氨基萘)纳米片材料、其制备方法、电极材料及超级电容器 |
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