JP2843938B2 - 導電性有機重合体組成物フイルム及びその製造方法 - Google Patents

導電性有機重合体組成物フイルム及びその製造方法

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JP2843938B2
JP2843938B2 JP1188282A JP18828289A JP2843938B2 JP 2843938 B2 JP2843938 B2 JP 2843938B2 JP 1188282 A JP1188282 A JP 1188282A JP 18828289 A JP18828289 A JP 18828289A JP 2843938 B2 JP2843938 B2 JP 2843938B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規な高分子量導電性有機重合体組成物
(以下、単に、導電性有機重合体ということがある。)
フイルム及びその製造方法に関する。
従来の技術 アニリンを化学酸化剤にて化学酸化重合して、ドーパ
ントとしての電解質イオンを含み、電導度が10-6S/cm以
上である導電性有機重合体を製造する方法は既に知られ
ており、更に、かかる化学酸化重合による導電性有機重
合体の製造において、標準水素電極を基準とする還元半
電池反応における起電力として定められる標準電極電位
が0.6V以上である酸化剤が特に好適に用いられること
も、既に特開昭61−258831号公報に記載されている。
しかしながら、一般に、導電性有機重合体は、不溶不
融性であるので、キヤステイング法にてフイルム化する
ことができず、導電性有機重合体の応用を展開するうえ
で大きい障害となつている。特開昭60−235831号公報
や、J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,26,1531(198
8)に記載されているように、アニリンの電解酸化重合
によれば、電極上に導電性有機重合体のフイルムを形成
させることができるが、フイルム形成面が電極表面に限
られるために、大面積のフイルムを得ることが困難であ
るうえに、電解酸化によるために、製造費用が高い。し
かも、このフイルムは、強度が小さく、また、不溶不融
性である。
そこで、従来、有機溶剤に可溶性の中間体を製造し、
その溶液をキヤステイング法にてフイルム化した後、中
間体を物理的又は化学的手段にて導電性重合体に変換さ
せる方法が種々提案されている。しかし、この方法によ
るときは、高温での処理を必要としたり、或いは中間体
から導電性重合体への変換が必ずしも理論どおりに進行
しないので、製造面からも、得られるフイルムの物性の
面からも、導電性有機重合体フイルムの製造方法として
は、実用的ではない。
ポリピロール又はポリチオフエンの分野では、有機溶
剤に可溶性の重合体が知られている。即ち、長鎖アルキ
ル基を置換基として有するチオフエンやアルカンスルホ
ン酸基を置換基として有するピロールを電解酸化重合し
て、それぞれ有機溶剤可溶性のポリ3−アルキルチオフ
エン及び水溶性のポリピロールアルカンスルホン酸を得
ることができる。これら重合体は、いずれもその溶液か
らキヤステイング法にてフイルムを得ることができる。
しかし、この方法は、いずれも特殊な単量体を用いると
共に、これを電解酸化重合するので、製造費用が著しく
高い。
他方、アニリンの化学酸化重合の分野においては、最
近、アニリンに対して約1/4モル量のペルオキソ二硫酸
アンモニウムを酸化剤として作用させ、アニリンを化学
酸化重合させて、有機溶剤可溶性のポリアニリンを得る
ことができることが報告されている(A.G.MacDiarmid e
t al.,Synthetic Metals,21,21(1987);A.G.MacDiarmi
d et al.,L.Alcacer(ed.),Conducting Polymers,105
−120(D.Reidel Publishing Co.,1987)。しかし、こ
の重合体は、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルス
ルホキシドのみならず、80%酢酸や60%ギ酸水溶液にも
可溶性であるので、その分子量は低い。また、重合体の
N−メチル−2−ピロリドンやジメチルスルホキシドの
溶液から自立性フイルムを得ることができることも記載
されている。更に、酢酸溶液から酢酸にてドープされた
導電性重合体フイルムを得ることができ、これをアンモ
ニアで脱ドープしたフイルムとすることも記載されてい
る。しかし、この脱ドープ状態のフイルムは、ポリアニ
リンの分子量が低いために、強度が小さく、折り曲げに
よつて容易に割れるので、実用に耐えない。
また、アニリンをペルオキソ二硫酸アンモニウムで酸
化して、テトラヒドロフランに溶解するポリアニリンを
得ることができることも知られている(J.Tang,Synthet
ic Metals,24,231(1988)。しかし、この重合体も、テ
トラヒドロフランに溶解するところからみて、分子量は
低いものとみられる。
発明が解決しようとする課題 本発明者らは、特に、アニリンの化学酸化重合によつ
て有機溶剤可溶性の高分子量有機重合体を得るべく鋭意
研究した結果、従来、知られているポリアニリンよりも
遥かに高分子量でありながら、脱ドープ状態において、
種々の有機溶剤に可溶性であるキノンジイミン・フェニ
レンジアミン型ポリアニリンを見出し、更に、かかるポ
リアニリンについて研究を重ねた結果、この有機溶剤可
溶性ポリアニリンを還元剤にて還元して、イミノ−p−
フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンとし、次いで、こ
れに電子受容体をトーピングすることによつて、ドーピ
ング状態にても尚、有機溶剤に可溶性であつて、容易に
その溶液からキヤステイング法にて自立性を有すると共
に、強靭で可撓性を有する導電性ポリアニリンフイルム
を得ることができ、また、適宜の基材上にキヤステイン
グ又はコーテイングすれば強靭で可撓性を有する導電性
ポリアニリン薄膜を得ることができることを見出して、
本発明に至つたものである。
課題を解決するための手段 本発明による有機重合体は、一般式 で表わされるイミノ−p−フェニレン構造単位を主たる
繰返し単位として有する有機重合体であつて、脱ドープ
状態において有機溶剤に可溶性であり、且つ、N−メチ
ル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕
が0.40dl/g以上であることを特徴とする。以下、上記一
般式(I)で表わされるイミノ−p−フェニレン構造単
位を主たる繰返し単位として有し、有機溶剤に可溶性で
ある有機重合体をイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性
ポリアニリンと称する。
本発明によるかかるイミノ−p−フェニレン型溶剤可
溶性ポリアニリンは、本発明に従つて、一般式 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
ミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分
率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフェニレンジ
アミン構造単位を主たる繰返し単位として有する有機重
合体であつて、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性
であり、且つ、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で
測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上であると共に、
457.9nmの波長の光で励起して得られるレーザー・ラマ
ンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼンの骨格振動のう
ち、1600cm-1よりも高波数にあらわれる骨格延伸振動の
ラマン線の強度I aと1600cm-1よりも低波数にあらわれ
る骨格延伸振動のラマン線強度I bの比I a/I bが1.0以
上である有機重合体を還元剤にて還元することによつて
得ることができる。
以下、上記一般式(II)で表わされるキノンジイミン
構造単位及びフェニレンジアミン構造単位を主たる繰返
し単位として有し、有機溶剤に可溶性である有機重合体
ををキノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性
ポリアニリンと称する。
また、本発明による導電性有機重合体は、一般式 で表わされるイミノ−p−フェニレン構造単位を主たる
繰返し単位として有する有機重合体であつて、脱ドープ
状態において有機溶剤に可溶性であり、且つ、N−メチ
ル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕
が0.40dl/g以上である有機重合体、即ち、イミノ−p−
フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンが電子受容体にて
ドーピングされていることを特徴とする。
本発明によるかかる導電性有機重合体は、このよう
に、ドーピングされた導電性を有する状態にても、種々
の有機溶剤に可溶性であるという予期されない驚くべき
性質を有する。
本発明によるかかる導電性有機重合体は、本発明に従
つて、前記イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリア
ニリンを電子受容体にてドーピングすることによつて得
ることができる。
先ず、本発明によるイミノ−p−フェニレン型溶剤可
溶性ポリアニリンの製造について説明する。
このイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリ
ンは、一般式 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
ミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分
率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフェニレンジ
アミン構造単位を主たる繰返し単位として有する有機重
合体であつて、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性
であり、且つ、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で
測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上であると共に、
457.9nmの波長の光で励起して得られるレーザー・ラマ
ンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼンの骨格振動のう
ち、1600cm-1よりも高波数にあらわれる骨格延伸振動の
ラマン線の強度I aと1600cm-1よりも低波数にあらわれ
る骨格延伸振動のラマン線強度I bの比I a/I bが1.0以
上である有機重合体、即ち、キノンジイミン・フェニレ
ンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンを還元剤によつて
還元することによつて得ることができる。
そして、ここに、上記キノンジイミン・フェニレンジ
アミン型溶剤可溶性ポリアニリンは、酸解離定数pKa値
が3.0以下であるプロトン酸の存在下に溶剤中にてアニ
リンに、温度を5℃以下、好ましくは0℃以下の温度に
保持しつつ、標準水素電極を基準とする還元半電池反応
における起電力として定められる標準電極電位が0.6V以
上である酸化剤の水溶液をアニリン1モル当りに、酸化
剤の1モルを、酸化剤1分子を還元するのに必要な電子
数で割つた量として定義される当量で、2当量以上、好
ましくは2〜2.5当量徐々に加えて、上記プロトン酸に
てドーピングされたアニリンの酸化重合体を生成させ、
次いで、この重合体を塩基性物質によつて脱ドーピング
することによつて得ることができる。
上記プロトン酸にてドーピングされているアニリンの
酸化重合体を製造する方法において、上記酸化剤として
は、二酸化マンガン、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、
過酸化水素、第二鉄塩、ヨウ素酸塩等が特に好ましく用
いられる。これらの中で、例えば、ペルオキソ二硫酸ア
ンモニウムや過酸化水素は、その酸化反応において、共
に1分子当りに2個の電子が関与するので、通常、アニ
リン1モルに対して1〜2.5モルの範囲の量が用いられ
る。
アニリンの酸化重合において用いられるプロトン酸
は、酸解離定数pKa値が3.0以下であれば、特に、限定さ
れるものではなく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素
酸、ホウフツ化水素酸、リンフツ化水素酸、フツ化水素
酸、ヨウ化水素酸等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p
−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、メタンス
ルホン酸、エタルスルホン酸等のアルカンスルホン酸、
ピクリン酸等のフエノール類、m−ニトロ安息香酸等の
芳香族カルボン酸、ジクロロ酢酸、マロン酸等の脂肪族
カルボン酸等を挙げることができる。また、ポリマー酸
も用いることができる。かかるポリマー酸としては、例
えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン
酸、ポリアリルスルホン酸、ポリビニル硫酸等を挙げる
ことができる。
用いるプロトン酸の量は、用いる酸化剤の反応様式に
依存する。例えば、二酸化マンガンの場合は、酸化反応
は、 MnO2+4H++2e-→Mn2++2H2O で示されるから、用いる二酸化マンガンの少なくとも4
倍モル量のプロトンを供給し得るプロトン酸を用いる必
要がある。また、過酸化水素の場合も、酸化反応は H2O2+2H++2e-→2H2O で示されるから、用いる過酸化水素の少なくとも2倍モ
ル量のプロトンを供給し得るプロトン酸を用いる必要が
ある。他方、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの場合は、
酸化反応は、 S2O8 2-+2e-→2SO4 2- で示されるから、特に、プロトン酸を用いる必要はな
い。しかし、本発明においては、酸化剤として、ペルオ
キソ二硫酸アンモニウムを用いる場合であつても、この
酸化剤と等モル量のプロトン酸を用いることが好まし
い。
アニリンの酸化重合における溶剤としては、アニリ
ン、プロトン酸及び酸化剤を溶解し、且つ、酸化剤によ
つて酸化されないものが用いられる。水が最も好ましく
用いられるが、しかし、必要に応じて、メタノール、エ
タノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリ
ル類、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキ
シド等の極性溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル
類、酢酸等の有機酸類も用いることができる。また、こ
れら有機溶剤と水との混合溶剤も用いることができる。
このようなプロトン酸にてドーピングされているアニ
リンの酸化重合体の製造において、アニリンの酸化反応
の間、特に、酸化剤溶液をアニリン溶液に加える間に、
反応混合物の温度を常に5℃以下に保持することが重要
である。従つて、酸化剤溶液は、アニリンに徐々に加え
て、反応混合物の温度が5℃を越えないようにする必要
がある。急激に酸化剤を加えるときは、外部からの冷却
によつても、反応混合物の温度が上昇して、低分子量の
重合体を生成したり、或いは後述する脱ドーピング後に
も溶剤不溶性の酸化重合体が生成する。
特に、上記の酸化反応においては、反応温度を0℃以
下に保持するのが好ましい。このようにして得られるド
ープ状態のアニリンの酸化重合体を脱ドーピングするこ
とによつて、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測
定した極限粘度〔η〕(以下、同じ。)が1.0dl/g以上
の高分子量のキノンジイミン・フェニレンジアミン型溶
剤可溶性ポリアニリンを得ることができる。
前記用いたプロトン酸によつてドープされたアニリン
の酸化重合体は、プロトン酸と塩を形成しているため
に、多くの場合、自立性フイルムを調製し得るような高
濃度には、通常の有機溶剤には溶解しない。一般に、高
分子量アミンの塩が多くの有機溶剤に難溶性であること
はよく知られているところである。しかしながら、この
有機溶剤不溶性のアニリンの酸化重合体を脱ドーピング
することによつて、キノンジイミン・フェニレンジアミ
ン型溶剤可溶性ポリアニリンを得ることができる。
また、このように、用いたプロトン酸によつてドープ
されたアニリンの酸化重合体を脱ドープして、キノンジ
イミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリン
とし、これを例えばN−メチル−2−ピロリドン希薄溶
液中にて、例えば、マロン酸のような有機酸にてドーピ
ングすれば、溶剤可溶性のまま、ドープ状態のポリアニ
リンを得ることができる。
上記プロトン酸にてドープされているアニリンの酸化
重合体の脱ドーピングは、一種の中和反応であるから、
ドーパントとしてのプロトン酸を中和し得る塩基性物質
であれば、特に、限定されるものではないが、好ましく
は、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム等の金属水酸化物が用いられる。脱ドーピング
は、上記アニリンの酸化重合の後、反応混合物中に直接
に塩基性物質を加えてもよく、或いは重合体を一旦単離
した後、塩基性物質を作用させてもよい。
アニリンの酸化重合によつて得られたドープ状態の重
合体は、通常、10-6S/cm以上の電導度を有して、黒緑色
を呈するが、脱ドーピング後は、紫色或いは紫がかつた
銅色である。この変色は、重合体中の塩構造のアミン窒
素が遊離アミンに変化したためである。電導度は、通
常、10-10S/cm台である。
このようにして得られる脱ドープ状態のキノンジイミ
ン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンは、
高分子量を有し、しかも、種々の有機溶剤に溶解する。
かかる有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリド
ン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−
イミダゾリジノン、スルホラン等を挙げることができ
る。溶解度は、重合体の平均分子量や溶剤にもよるが、
重合体の0.5〜100%が溶け、1〜30重量%の溶液を得る
ことができる。
特に、このキノンジイミン・フェニレンジアミン型溶
剤可溶性ポリアニリンは、N−メチル−2−ピロリドン
に高い溶解性を示し、通常、重合体の20〜100%が溶解
し、3〜30重量%溶液を得ることができる。しかし、テ
トラヒドロフラン、80%酢酸水溶液、60%ギ酸水溶液、
アセトニトリル等には溶解しない。
従つて、かかるキノンジイミン・フェニレンジアミン
型溶剤可溶性ポリアニリンを有機溶剤に溶解し、キヤス
テイング法にてフイルム化することができる。例えば、
キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリ
アニリン溶液をガラス板上にキヤステイングした後、溶
剤の加熱乾燥の条件を選ぶことによつて、均一、強靭で
可撓性にすぐれる自立性フイルムを得ることができる。
このフイルム調製において、強靭で可撓性にすぐれる
フイルムを得るには、極限粘度〔η〕が0.40以上の前記
したキノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性
ポリアニリンを用いることが望ましい。
更に、キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可
溶性ポリアニリンをキヤステイングして得られるフイル
ムは、溶剤の乾燥条件によつても、異なる性質を有す
る。通常、極限粘度〔η〕が0.40以上である可溶性重合
体のN−メチル−2−ピロリドン溶液をガラス板上にキ
ヤステイングし、溶剤を乾燥させる場合に、乾燥温度が
100℃以下であるときは、得られるフイルムは強度が尚
十分に大きくなく、また、N−メチル−2−ピロリドン
にも一部溶解する。しかし、乾燥温度を130℃以上とす
るときは、得られるフイルムは可撓性にすぐれ、非常に
強靭であつて、折り曲げても割れることがない。また、
このようにして得られるフイルムは、N−メチル−2−
ピロリドンにも溶解せず、更に、濃硫酸にも溶解しな
い。このように、キヤステイング後の高温での溶剤乾燥
による重合体の溶剤不溶化は、重合体中に存在し、或い
は加熱時に生成するラジカルのカツプリングによつて、
重合体分子が架橋するためであるとみられる。
キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポ
リアニリンは、元素分析、赤外線吸収スペクトル、ESR
スペクトル、レーザー・ラマンスペクトル、熱重量分
析、溶剤への溶解性、可視乃至近赤外吸収スペクトルか
ら、 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
ミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分
率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフェニレンジ
アミン構造単位を主たる繰返し単位として有する重合体
である。
このキノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶
性ポリアニリンを用いて、キヤステイング法にて溶剤不
溶化して得たフイルムも、溶剤可溶性重合体と実質的に
同じ赤外線吸収スペクトルを示し、また、元素分析、赤
外線吸収スペクトル、ESRスペクトル、レーザー・ラマ
ンスペクトル、熱重量分析、溶剤への溶解性、可視乃至
近赤外吸収スペクトル等から、架橋構造を有するもの
の、実質的に同じ繰返し単位からなるものとみられる。
ここで、レーザー・ラマンスペクトルより得られるキ
ノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリア
ニリンの特徴について、従来より知られている所謂ポリ
アニリンと比較しつつ、説明する。
一般に、物質を構成する原子間の振動に関する情報を
得る手段として、振動分光学があり、これには赤外分光
とラマン分光とがある。赤外分光は、双極子モーメント
の変化をもたらす振動モードに活性であり、ラマン分光
は、分極率の変化をもたらす振動に活性である。従つ
て、両者は、相補的な関係にあつて、一般的には、赤外
分光で強くあらわれる振動モードは、ラマン分光では弱
く、他方、ラマン分光にて強くあらわれる振動モード
は、赤外分光では弱い。
赤外線吸収スペクトルは、振動準位間のエネルギー吸
収を検出することによつて得られ、ラマンスペクトル
は、光照射によつて分子が励起された後、基底状態のよ
り高い振動準位に落ちるときに生じる散乱光(ラマン散
乱)を検出することによつて得られる。このとき、照射
光に対する散乱光のエネルギー差から振動エネルギー準
位を知ることができる。
通常、ラマンスペクトルは、アルゴンレーザー等から
の可視光励起によつて得られる。ここに、試料が可視領
域に吸収帯を有する場合、照射レーザー光とその吸収帯
波長がマツチングすると、非常に強いラマン線が得られ
ることが知られている。この現象は共鳴ラマン効果と呼
ばれており、これによれば、通常のラマン線の104〜105
倍もの強いラマン線が得られる。かかる共鳴ラマン効果
によれば、照射したレーザー光の波長によつて励起され
る化学構造部分の情報がより強調されて得られることと
なる。従つて、照射するレーザー光の波長を変えなが
ら、ラマンスペクトルを測定することによつて、その試
料の化学構造をより正確に解析することができる。この
ような特徴は、赤外分光にはないラマン分光の特徴であ
る。
第1図は、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測
定した極限粘度〔η〕が1.2dl/gである脱ドープ状態の
キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリ
アニリンの粉末をデイスク状に成形した試料について、
励起波長457.9nmで照射して得たレーザー・ラマンスペ
クトルである。ラマン線の帰属は以下のとおりである。
1622及び1591cm-1は、パラ置換ベンゼンの骨格延伸振
動、1489及び1479cm-1は、キノンジイミン構造のC=C
及びC=Nの伸縮振動、1220cm-1はC−N伸縮振動とC
−C伸縮振動の混在、1185及び1165cm-1はC−Hの面内
変角振動である。
第2図は、Y.Furukawa et al.,Synth.Met.,16,189(1
986)に示された脱ドープ状態のポリアニリンについ
て、励起波長457.9nmで照射して得たレーザー・ラマン
スペクトルである。このポリアニリンは、白金電極上、
アニリンの電解酸化重合によつて得られたものである。
第1図にみられるように、キノンジイミン・フェニレ
ンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンでは、パラ置換ベ
ンゼンの骨格振動のうち、1600cm-1よりも高波数にあら
われる骨格延伸振動のラマン線強度I aと1600cm-1より
も低波数にあらわれるラマン線強度I bとの比I a/I bが
1.0以上である。これに対して、第2図に示したポリア
ニリンを含む従来より知られているポリアニリンは、化
学酸化重合によるものを含めて、すべて上記比I a/I b
は1.0よりも小さい。
1622及び1591cm-1のラマン線は、共に、パラ置換ベン
ゼンの骨格延伸振動に基づくものである。還元状態にあ
るポリアニリンでは、キノンジイミン構造をもたないた
めに、1621cm-1にのみラマン線を生じるが、キノンジイ
ミン構造を有する脱ドープ状態のポリアニリンでは、前
述したように、1622及び1591cm-1にラマン線があらわれ
る。これらのラマン線は、第3図に示すような励起波長
依存性を示す。
励起波長を488.0nmから476.5nmを経て457.9nmへと短
波長側に変化させるにつれて、I a/I bは変化する。即
ち、488.0nmのときはI a/I bは1.0より小さいが、457.9
nmでは、1.0以上となつており、488.0nmのときと比べ
て、I a/I b強度が逆転している。この逆転現象は、以
下のように説明されよう。
第4図に本発明によるキノンジイミン・フェニレンジ
アミン型溶剤可溶性ポリアニリンの電子スペクトルを示
す。647nmのピークは、キノンジイミン・フェニレンジ
アミン型溶剤可溶性ポリアニリンを還元することによつ
て消失するので、キノンジイミン構造に由来するものと
みられ、334nmのピークは、逆にポリアニリンを還元す
ることによつて強度を増すので、パラ置換ベンゼンのπ
−π遷移に由来するとみられる。第4図に前記したラ
マン励起波長を示す。ここで、パラ置換ベンゼン骨格延
伸振動のバンドについては、励起波長を488.0nmから45
7.9nmへと短波長側に変化させると、1591cm-1のバンド
と比較して、1622cm-1のバンドの共鳴ラマン効果の共鳴
条件がより有利になり、前述のような相対強度の変化が
生じると考えられる。
次に、第1図と第2図に示すスペクトルにおいて、15
91cm-1と1622cm-1のラマン線の相対強度が、同じ励起波
長(457.9nm)であるにもかかわらず、異なることは、
以下のように説明されよう。即ち、フェニレンジアミン
構造のモデル化合物としてのN,N′−ジフエニル−p−
フェニレンジアミンが1617cm-1のみにラマン線を有し、
キノンジイミン構造のモデル化合物としてのN,N′−ジ
フエニル−p−ベンゾキノンジイミンが1568cm-1及び16
21cm-1にラマン線を有することから、下記(a)に示す
ように、キノンジイミン構造と非共役のパラ置換ベンゼ
ン環は、短波長光の励起にて強度が増した1622cm-1のラ
マン線を有し、下記(b)に示すように、キノンジイミ
ン構造と共役しているパラ置換ベンゼン環は、1591cm-1
及び1622cm-1のラマン線を有するものと推定される。
元素分析の結果から、キノンジイミン・フェニレンジ
アミン型溶剤可溶性ポリアニリンにおいては、キノンジ
イミンの数とフェニレンジアミンの数はほぼ等しいとみ
られるから、かかるキノンジイミン・フェニレンジアミ
ン型溶剤可溶性ポリアニリンの構造連鎖は、キノンジイ
ミン構造とフェニレンジアミン構造との連結様式から、
(c)に示すように、キノンジイミン構造とフェニレン
ジアミン構造の交互共重合体的連鎖と、(d)に示すよ
うに、キノンジイミン構造とフェニレンジアミン構造の
ブロツク共重合体的連鎖の2つに分類される。図中、矢
印にて示すパラ置換ベンゼン環は、キノンジイミンと非
共役のベンゼン環を示し、上記交互共重合体的連鎖にお
いては、例えば、8量体連鎖単位当りでは2つであり、
ブロツク共重合体的連鎖においては、例えば、8量体連
鎖単位当りでは3つである。連鎖単位がもつと長い場合
は、両者におけるキノンジイミンと非共役のベンゼン環
の数の差は、更に大きくなる。この差が1591cm-1と1622
cm-1のラマン線の相対強度の差となつてあらわれるとい
える。
キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポ
リアニリンにおいては、レーザー・ラマンスペクトルに
おけるI a/I b比が1.0以上であるところから、キノンジ
イミン構造と非共役のベンゼン環が多く含まれており、
かくして、前記ブロツク共重合体的連鎖を有するものと
みられる。
キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポ
リアニリンの有機溶剤可溶性は、かかるブロツク共重合
体的連鎖を有することによつて合理的に説明される。一
般に、キノンジイミン構造におけるイミン窒素(−N
=)は、近傍の第2級アミノ基水素(−NH−)と水素結
合を形成することが知られているが(Macromolecules,2
1,1297(1988))、第2級アミノ基相互の間の水素結合
は強くない。
従つて、ポリアニリンが前記交互共重合体的連鎖を有
する場合は、(f)に示すような水素結合の強固なネツ
トワークを形成する。従来より知られているポリアニリ
ンが脱ドープ状態でも、多くの有機溶剤に不溶性である
のは、かかる水素結合の強固なネツトワークを形成する
ことに起因するとみられる。これに対して、本発明によ
る脱ドープ状態の溶剤可溶性ポリアニリンのように、重
合体連鎖が前記ブロツク共重合体的連鎖である場合は、
通常は、ブロツク鎖が異なる長さを有するから、(e)
にみられるように、フェニレンジアミン構造部分とキノ
ンジイミン構造部分が隣接しても、多くの水素結合を形
成することができず、溶剤が重合体鎖間に侵入し、溶剤
との間に水素結合を生じて、有機溶剤に溶解することと
なる。ブロツク鎖がどの部分も完全に同じ長さを有する
とすれば、前記したような水素結合のネツトワークを形
成するであろうが、このような構造を有する確率は極め
て小さいから、通常は、無視し得る。
更に、このような鎖間相互作用は、前記レーザー・ラ
マンスペクトルのC−H面内変角振動からも説明され
る。前記第1図に示した脱ドープ状態のキノンジイミン
・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンのC−
H面内変角振動に帰属される1162cm-1のラマン線は、ポ
リアニリンが還元されて、イミン窒素がすべて第2級ア
ミノ窒素に変換されると、1181cm-1に高波数シフトす
る。
前述したように、キノンジイミン・フェニレンジアミ
ン型溶剤可溶性ポリアニリンは、脱ドープ状態におい
て、C−H面内変角振動に帰属されるラマン線として、
1165及び1185cm-1の2つがある。この1185cm-1のラマン
線は、従来より知られている脱ドープ状態のポリアニリ
ンにはみられないものであつて、還元状態におけるC−
H面内変角振動に帰属される1181cm-1に近い値を示して
いる。
これらの点から、キノンジイミン・フェニレンジアミ
ン型溶剤可溶性ポリアニリンは、脱ドープ状態におい
て、ブロツク共重合体的連鎖を有し、還元構造の雰囲気
を有すると思われる。このことより、高分子量であるに
もかかわらず、有機溶剤に対して高い溶解性を有するの
であろう。以上のように、ここに開示したキノンジイミ
ン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンは、
従来より知られているポリアニリンとは異なる構造連鎖
を有する新規な重合体である。
前述したように、アニリンの酸化重合によつて得られ
るプロトン酸にてドーピングされている酸化重合体は、
繰り返し単位として、ブロツク共重合体的連鎖にてキノ
ンジイミン構造単位とフェニレンジアミン構造単位を有
するので、プロトン酸にてドーピングされた状態におい
て、酸化還元反応を伴なわずに、酸塩基反応のみによつ
て、導電性を有するものとして説明される。この導電機
構は、A.G.MacDiarmidらによるものであつて(A.G.MacD
iarmid et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1987,178
4)、プロトン酸によるドーピングによつて、下に示す
ように、キノンジイミン構造がプロトン化され、これが
セミキノンカチオンラジカル構造をとつて、導電性を有
するものである。かかる状態は、ポーラロン状態と呼ば
れる。
前述したように、キノンジイミン・フェニレンジアミ
ン型溶剤可溶性ポリアニリンは、これを有機溶剤に溶解
し、キヤステイング法にて自立性フイルムとすることが
でき、また、適宜の基材上にキヤステイング法にてフイ
ルム化して、複合フイルムを得ることもできる。そし
て、かかるフイルムは、これをプロトン酸によつてドー
ピングすることによつて、容易に導電性とすることがで
きる。ここに、プロトン酸としては、pKa値4.8以下のも
のを用いることができる。
ドーピング前は、フイルムは、反射光は銅色を呈し、
透過光は青色を呈するが、プロトン酸によるドーピング
後は、反射光は青色を呈し、透過光は緑色を呈する。ま
た、ドーピング後は、近赤外領域(1000〜2000nm)の反
射率が大幅に変化する。即ち、ドーピング前は、近赤外
光を殆ど反射するが、ドーピング後は、近赤外光を殆ど
吸収する。
ドーピングによつて得られる導電性フイルムの電導度
は、用いるプロトン酸のpKa値に依存する。アニリンの
酸化重合体のドーピングには、pKa値が4.8以下のプロト
ン酸が有効であり、pKa値が1〜4.8のプロトン酸を用い
るときは、そのpKa値が小さいほど、即ち、酸性が強い
ほど、得られるフイルムの電導度は高い。しかし、pKa
値が1よりも小さいときは、得られるフイルムの電導度
は、最早、殆ど変化せず、ほぼ一定である。但し、勿
論、必要に応じて、pKa値が1以下のプロトン酸を用い
てもよい。
このようにして、キノンジイミン・フェニレンジアミ
ン型溶剤可溶性ポリアニリンのプロトン酸のドーピング
によつて得られる導電性フイルムの導電性は、通常、10
-6S/cm以上、多くの場合、10-4S/cm以上である。
この導電性フイルムも、強靭であつて、折り曲げて
も、容易には割れない。しかし、この導電性フイルム
は、プロトン酸の存在下に調製された導電性重合体と同
様に、プロトン酸にてドーピングされているために、前
述した理由によつて、また、フイルム調製時の溶剤の加
熱蒸発工程で生成するラジカルのカツプリングによる架
橋のために、前記した有機溶剤には溶解しない。
しかしながら、本発明によれば、前述したキノンジイ
ミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンを
還元剤にて還元することによつて、一層、多様な有機溶
剤に可溶性のイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリ
アニリンを得ることができ、更に、かかる溶剤可溶性の
イミノ−p−フェニレン型ポリアニリンを電子受容体に
て酸化ドーピングすることによつて、有機溶剤可溶性の
導電性重合体−錯体を得ることができる。
上記還元剤としては、フエニルヒドラジン、ヒドラジ
ン、ヒドラジン水和物、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジ
ン等のヒドラジン化合物、水素化リチウムアルミニウ
ム、水素化ホウ素リチウム等の還元性水素化金属化合物
等が好適に用いられる。還元反応後に残渣を生じないの
で、ヒドラジン水和物又はフエニルヒドラジンが還元剤
として特に好ましく用いられる。
キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポ
リアニリンを上記還元剤にて還元する方法は、通常の還
元反応の方法によればよく、特に、限定されるものでは
ない。例えば、キノンジイミン・フェニレンジアミン型
溶剤可溶性ポリアニリンをN−メチル−2−ピロリドン
のような有機溶剤に溶解させ、この溶液に上記還元剤を
加える方法、還元剤をN−メチル−2−ピロリドン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の有機溶
剤に溶解させ、この溶液にキノンジイミン・フェニレン
ジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンを加える方法、或い
はキノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポ
リアニリンを非溶剤に分散させ、不均一系にて還元反応
を行なう方法等によることができる。
本発明によれば、還元反応は、キノンジイミン・フェ
ニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンを通常、0.1
〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%含有する溶液中
にて行なわれる。還元剤は、キノンジイミン・フェニレ
ンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンにおけるキノンジ
イミン量に対して通常、当量を用いればよいが、反応の
進行を早めるために、当量を越える量を用いることもで
きる。
しかし、このように、過剰の還元剤を用いた場合、得
られたイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリ
ンを溶液状態にて、そのまま、電子受容体にてドーピン
グして、重合体に導電性を付与するときは、好ましくな
い副反応を起こしたり、また、イミノ−p−フェニレン
型溶剤可溶性ポリアニリンの溶液の長期保存時に、重合
体の分子鎖切断による分子量低下を引き起こすことがあ
る。従つて、過剰の還元剤を用いたときは、得られたイ
ミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンを再沈
殿法にて分離精製し、この後にドーピングするのが望ま
しい。
このようにして得られるイミノ−p−フェニレン型溶
剤可溶性ポリアニリンは、キノンジイミン・フェニレン
ジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンよりも更に多様な有
機溶剤に良好な溶解性を有する。例えば、イミノ−p−
フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンは、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド等にも、数重量%以上の高濃度にてよく溶解する。
このように、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポ
リアニリンが有機溶剤に一層よく溶解するのは、キノン
ジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリ
ンのラマンスペクトルによる構造解析において説明した
ように、重合体鎖中のキノンジイミン構造が還元によつ
て消失したために、重合体鎖間の水素結合が非常に弱め
られる結果であるとみられる。
この還元反応において、通常、分子鎖の切断は、反応
時には、実質的に起こらず、得られたイミノ−p−フェ
ニレン型溶剤可溶性ポリアニリンは、当初のキノンジイ
ミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンを
有する高分子量を保持していることが、得られるイミノ
−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンの極限粘度
〔η〕の測定から確認される。得られるイミノ−p−フ
ェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンは、通常、N−メチ
ル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕
が0.40dl/g以上である。
本発明による導電性有機重合体は、かかるイミノ−p
−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンを電子受容体と
接触させて、ドーピングすることによつて得ることがで
きる。
イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンの
ドーピングは、種々の方法にて行なうことができる。例
えば、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリ
ンの溶液に電子受容体を加えることによつて、ドーピン
グすることができる。この場合、イミノ−p−フェニレ
ン型溶剤可溶性ポリアニリンは、キノンジイミン・フェ
ニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンを還元して得
られた溶液状態のままで用いてもよく、また、必要に応
じて、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリ
ンを再沈殿法等によつて精製し、これをN−メチル−2
−ピロリドン等の溶剤に溶解させ、溶液としてもよい。
別の方法として、電子受容体を溶剤に溶解させ、この
溶液にイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリ
ンを粉末にて加えてもよい。
このようにして、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶
性ポリアニリンに電子受容体を接触させるとき、溶液の
色が変化し、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリ
アニリン−電子受容体錯体が生成することが確認され
る。
本発明においては、電子受容体としては、有機及び無
機電子受容体のいずれも用いることができる。本発明に
おいて、好ましく用いられる有機電子受容体は、一般式 Q−[A] (III) (式中、Qは、 で表わされるキノン骨格、 (式中、Rはアルキル基を示し、sは1〜4の整数であ
る。) で表わされるキノジメタン骨格、 で表わされるナフトキノジメタン骨格、又は >C=C< で表わされるエチレン骨格を示し、Aは、相互に異なつ
ていてもよい一価の電子吸引性基を示し、pは1〜4の
整数である。) で表わされる。
上記において、電子吸引性基は、好ましくは、フツ素
原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基又はト
リフルオロメチル基である。
従つて、かかる電子受容体の具体例としては、例え
ば、テトラクロロ−p−ベンゾキノン(クロラニル)、
2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、テ
トラブロモ−p−ベンゾキノン、テトラフルオロ−p−
ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(T
CNQ)、2−メチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタ
ン、2,5−ジメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタ
ン、11,11,12,12−テトラシアノ−2,6−ナフトキノジメ
タン、テトラシアノエチレン、2,5−ジニトロベンゾキ
ノン、2−トリフルオロメチル−7,7,8,8−テトラシア
ノキノジメタン等を挙げることができる。
無機電子受容体としては、標準水素電極を基準とし、
還元半電池反応の起電力として定義される標準電極電位
が−0.80V以上であるものが好ましく用いられる。具体
例としては(括弧内に標準電極電位(E0)(CRC Handbo
ok of Chemistry and Physics,68th ed.(CRC Press),
D151−D158による。)を示す。)、例えば、HgCl2(0.9
2V)、FeCl3(0.77V)、SbCl5(0.75V)、I2(0.5355
V)、K3Fe(CN)(0.358V)、RuCl3(0.2487V)、CuC
l2(0.153V)、SnCl4(0.15V)、PbCl2(−0.126V)、V
Cl3(−0.255V)、CoCl2(−0.28V)、ZnCl2(−0.7618
V)等を挙げることができる。
これらの無機電子受容体は、N−メチル−2−ピロリ
ドンへの溶解性の点から、無水物を用いるのが好まし
い。
イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンを
トーピングするに際して、用いる電子受容体の量は、そ
の種類によつて異なるが、例えば、TCNQの場合は、イミ
ノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンの有する
イミノ−p−フェニレン構造単位当り、0.15当量の少量
を用いれば、得られる錯体は、100S/cm台の高い電導度
を有する。一般的には、イミノ−p−フェニレン型溶剤
可溶性ポリアニリンのイミノ−p−フェニレン構造単位
当りに0.5当量までは、電子受容体の反応量を増すこと
によつて、得られる錯体の導電性が増すが、反面、製膜
後のフイルムの強度が低下する傾向にある。
イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンの
ドーピングは、通常、0.1〜15重量%、好ましくは、0.5
〜10重量%のイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリ
アニリンの溶液を用いて行なわれる。本発明によれば、
このように、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリ
アニリンを溶液状態にてドーピングすることによつて、
沈殿を生じることなく、ドープ状態の錯体を溶液として
得ることができる。
従つて、本発明によれば、かかる錯体溶液をガラス板
等の上にキヤステイング又はコーテイングした後、乾燥
し、剥離すれば、錯体の自立性フイルムを得ることがで
きる。このような錯体のフイルム化においては、錯体溶
液の濃度は、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリ
アニリンの濃度換算にて3〜10重量%が好適である。ま
た、本発明によれば、錯体溶液を適宜の基材上にキヤス
テイング又はコーテイングすることによつて、錯体を直
ちに基材上に薄膜化することができる。好ましくは、イ
ミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンの濃度
に換算して、0.05〜2重量%の錯体溶液をガラス板や重
合体フイルム等の適宜の基材上にスピンコート法、バー
コート法等適宜の手段によつて、薄膜化し、乾燥すれ
ば、基材上に錯体を薄膜化することができる。
このような導電性イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶
性ポリアニリン−電子受容体錯体のフイルム化又は薄膜
化において、溶剤の乾燥を早め、或いは容易にするため
に、錯体溶液は、アセトン、アセトニトリル、イソプロ
ピルアルコール、テトラヒドロフラン等の溶剤を含んで
いてもよい。
このようにして得られる錯体の自立性フイルムは、通
常、10-2S/cm以上の電導度を有する。また、錯体を基材
上に薄膜化する場合、その表面抵抗が108Ω/□以下で
ある錯体薄膜を容易に得ることができる。
前述したように、脱ドープ状態のキノンジイミン・フ
ェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンは、N−メ
チル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極限粘度
〔η〕が1.0dl/g以上の高分子量を有するときでも、N
−メチル−2−ピロリドンのような非プロトン性極性有
機溶剤に可溶性である。この溶解性は、前述したよう
に、キノンジイミン構造部分とフェニレンジアミン構造
部分とがそれぞれブロツク的に連なつた構造を有してお
り、そのために、イミン窒素と第2級アミノ基との間の
水素結合が重合体鎖間に生成し難くなつていることに基
づくとみられる。
しかし、これを、例えば、塩酸、硫酸等の鉱酸である
プロトン酸にてドーピングすれば、溶剤不溶性となる。
即ち、イミン窒素がプロトン化され、ポーラロン構造を
有することとなり、新しい電子構造を有して、導電性
(電子伝導性)となる一方、塩構造を有するために、有
機溶剤に溶解し難くなる。しかし、前述したように、プ
ロトン酸を選択すれば、例えば、マロン酸等の有機酸を
用いれば、溶剤可溶性のドープ状態の導電性有機重合体
を得ることもできる。
しかしながら、本発明に従つて、キノンジイミン・フ
ェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンを還元し
て、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン
とすれば、キノンジイミン構造が完全に消失するので、
重合体鎖間の水素結合が極めて弱くなり、この結果とし
て、種々の有機溶剤への溶解性が高まり、多様な有機溶
剤に溶解するようになる。そこで、かかるイミノ−p−
フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンを適切な条件の範
囲内にて電子受容体にて酸化ドーピングすれば、ドープ
状態にて溶剤可溶性を保持させることができる。
このように、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポ
リアニリンのドーピングによつて、溶剤可溶性のドープ
状態のポリアニリンを得ることができる理由について
は、未だ必ずしも明らかではないが、キノンジイミン・
フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンをドーピ
ングする場合と異なり、一旦、溶剤可溶性にすぐれるイ
ミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニレンを経由
するために、ドープ状態において、その溶剤可溶性が何
らかの理由で保持されるものとみられる。
イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンを
ドープ状態で溶剤可溶性を保持させるための因子として
は、ドーピングに際してのイミノ−p−フェニレン型溶
剤可溶性ポリアニリン溶液の濃度、用いる電子受容体の
種類、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリ
ンに対する電子受容体の反応量や溶液中における濃度等
を挙げることができる。しかし、一般的に、イミノ−p
−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンに対して、比較
的少量の電子受容体を用いるとき、即ち、ドーピング率
が低いとき、得られるドープ状態の錯体は、溶剤に対し
て溶解性が高い。
このように、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポ
リアニリンがドープ状態にて可溶性であることは、溶液
の電子スペクトルにおいて、近赤外域にてポリアニリン
のポーラロン(カチオンラジカル)の吸収がみられるこ
と、可視域にてTCNQのアニオンラジカルの吸収がみられ
ること、また、溶液のESRスペクトルにおいて、超微細
構造(hfs)がみられること等から明らかである。上記
超微細構造は、ポリアニリンのカチオンラジカルとTCNQ
のアニオンラジカルの溶解状態での混在を示すものであ
る。
発明の効果 以上のように、本発明によるイミノ−p−フェニレン
型溶剤可溶性ポリアニリンは、これを電子受容体にてド
ーピングすることによつて、溶剤可溶性のまま、導電性
を有する重合体錯体を与える。即ち、本発明によれば、
溶剤可溶性の導電性有機重合体を得ることができる。
かかる溶剤可溶性の導電性有機重合体は、その溶液を
キヤステイングやコーテイングすることによつて、直ち
に自立性の導電性フイルムや薄膜を与える。大面積を有
するフイルムや薄膜を得ることも容易である。
従つて、本発明による溶剤可溶性導電性有機重合体
は、広範な用途への利用が可能である。例えば、絶縁性
基材上に本発明による導電性有機重合体を薄膜化すれ
ば、この導電性薄膜は電子伝導性であるから、湿気や水
分等による影響を受けることなく、基材に安定して高い
帯電防止性能を有せしめることができる。また、剥離シ
ートや粘着テープの製造において、基材上に本発明によ
る導電性有機重合体薄膜を形成すれば、帯電防止性を付
与することができる。更に、固体電解コンデンサーにお
ける固体電解質や、種々の電子機器における電磁波シー
ルド材としても好適に用いることもできる。通常の紡糸
によつて、導電性繊維を直ちに得ることもできる。
実施例 以下に参考例と共に、実施例を挙げて本発明を説明す
るが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるもの
ではない。
参考例1 (アニリンの酸化重合によるドープ状態の導電性有機重
合体の製造) 撹拌装置、温度計及び直管アダプターを備えた10容
量セパラブル・フラスコに蒸留水6000g、36%塩酸360ml
及びアニリン400g(4.295モル)をこの順序にて仕込
み、アニリンを溶解させた。別に、氷水にて冷却しなが
ら、ビーカー中の蒸留水1493gに97%濃硫酸434g(4.295
モル)を加え、混合して、硫酸水溶液を調製した。この
硫酸水溶液を上記セパラブル・フラスコに加え、フラス
コ全体を低温恒温槽にて−4℃まで冷却した。
次に、ビーカー中にて蒸留水2293gにペルオキソ二硫
酸アンモニウム980g(4.295モル)を加え、溶解させ
て、酸化剤水溶液を調製した。
フラスコ全体を低温恒温槽で冷却して、反応混合物の
温度を−3℃以下に保持しつつ、撹拌下にアニリン塩の
酸性水溶液に、チユービングポンプを用いて、直管アダ
プターから上記ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を
1ml/分以下の割合にて徐々に滴下した。最初、無色透明
の溶液は、重合の進行に伴つて緑青色から黒緑色とな
り、次いで、黒緑色の粉末が析出した。
この粉末析出時に反応混合物において温度の上昇がみ
られるが、この場合にも、本発明に従つて、高分子量重
合体を得るためには、反応系内の温度を0℃以下、好ま
しくは−3℃以下に抑えることが肝要である。粉末析出
後は、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下速度
を例えば8ml/分程度とやや速くしてもよい。しかし、こ
の場合にも、反応混合物の温度をモニターしつつ、温度
を−3℃以下に保持するように、滴下速度を調整するこ
とが必要である。かくして、7時間を要して、ペルオキ
ソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下を終了した後、更に
1時間、−3℃以下の温度にて撹拌を続けた。
得られた重合体粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄
し、室温で真空乾燥して、黒緑色の重合体粉末430gを得
た。これを直径13mm、厚さ700μmのデイスクに加圧成
形し、フアン・デル・ポー法によつて、その電導度を測
定したところ、14S/cmであつた。
(導電性有機重合体の脱ドーピングによるキノンジイミ
ン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンの製
造) 上記ドープされている導電性有機重合体粉末350gを2N
アンモニア水4中に加え、オートホモミキサーにて回
転数5000rpmにて5時間撹拌した。混合物は、黒緑色か
ら青紫色に変化した。
ブフナーろうとにて粉末を濾別し、ビーカー中にて撹
拌しながら、蒸留水にて濾液が中性になるまで繰り返し
て洗浄し、続いて、濾液が無色になるまでアセトンにて
洗浄した。この後、粉末を室温にて10時間真空乾燥し
て、黒褐色の脱ドーピングした重合体粉末280gを得た。
この重合体はN−メチル−2−ピロリドンに可溶性で
あつて、溶解度は同溶剤100gに対して8g(7.4%)であ
つた。また、これを溶剤として30℃で測定した極限粘度
〔η〕は1.23であつた。
この重合体は、ジメチルスルホキシド及びジメチルホ
ルムアミドには1%以下の溶解度であつた。テトラヒド
ロフラン、ピリジン、80%酢酸水溶液、60%ギ酸水溶液
及びアセトニトリルには実質的に溶解しなかつた。
この脱ドープ状態のキノンジイミン・フェニレンジア
ミン型溶剤可溶性ポリアニリンの粉末をデイスク状に成
形した試料について、励起波長457.9nmで照射して得た
レーザー・ラマンスペクトルを第1図を示す。比較のた
めに、Y.Furukawa et al.,Synth.Met.,16,189(1986)
に示された脱ドープ状態のポリアニリンについて、励起
波長457.9nmで照射して得たレーザー・ラマンスペクト
ルを第2図に示す。このポリアニリンは、白金電極上、
アニリンの電解酸化重合によつて得られたものである。
また、レーザー励起光の波長を変化させて、1400〜17
00cm-1の範囲について、ラマンスペクトルを測定した結
果を第3図に示す。励起波長を488.0nmから476.5nmを経
て457.9nmへと短波長側に変化させるにつれて、I a/I b
が変化し、457.9nmでは、1.0以上となつており、488.0n
mのときと比べて、I a/I b強度が逆転していることが示
される。
更に、第4図に電子スペクトルを示す。
次に、上記有機溶剤可溶性ポリアニリンについて、N
−メチル−2−ピロリドン用のGPCカラムを用いて、GPC
測定を行なつた。カラムは、N−メチル−2−ピロリド
ン用のものを3種類連結して用いた。また、溶離液には
0.01モル/濃度の臭化リチウムのN−メチル−2−ピ
ロリドン溶液を用いた。第5図にGPC測定の結果を示
す。
この結果から、上記キノンジイミン・フェニレンジア
ミン型溶剤可溶性ポリアニリンは、数平均分子量2300
0、重量平均分子量160000(いずれも、ポリスチレン換
算)であつた。
同様に、反応条件を種々に変えて、N−メチル−2−
ピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕の異なる
キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリ
アニリンを得た。これらについて、極限粘度〔η〕とGP
Cによる数平均分子量及び重量平均分子量を第1表に示
す。
参考例2 (可溶性アニリン酸化重合体を用いる自立性フイルムの
調製) 参考例1にて得た脱ドープしたアニリン酸化重合体粉
末5gをN−メチル−2−ピロリドン95g中に加え、室温
にて溶解させて、黒青色溶液を得た。この溶液をG3ガラ
スフイルターにて真空濾過したところ、フイルター上に
残存した不溶物は極めて少量であつた。このフイルター
をアセトンにて洗浄し、残存する不溶物を乾燥後、重量
測定したところ、75mgであつた。従つて、重合体は、そ
の98.5%が溶解し、不溶物は1.5%であつた。
このようにして得られたキノンジイミン・フェニレン
ジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンの溶液をガラス板上
にキヤステイングし、ガラス棒にてしごいた後、熱風循
環乾燥器中でN−メチル−2−ピロリドンを蒸発揮散さ
せた。この後、ガラス板を冷水中に浸漬することによつ
て、重合体フイルムがガラス板より自然に剥離し、かく
して、厚さ40μmの重合体フイルムを得た。
このフイルムをアセトンで洗浄した後、室温で風乾し
て、銅色の金属光沢を有するフイルムを得た。
フイルムは、その乾燥温度によつて、強度及び溶解性
が異なる。乾燥温度が100℃以下のときは、得られるフ
イルムは、N−メチル−2−ピロリドンに少量溶解する
と共に、強度も比較的小さい。しかし、130℃以上の温
度で加熱して得られるフイルムは、非常に強靭であつ
て、また、N−メチル−2−ピロリドンやその他の有機
溶剤にも溶解しない。また、濃硫酸にも溶解しない。こ
のように、高温で加熱すると、その過程で重合体分子が
相互に架橋し、不溶性となるものとみられる。
このようにして照られた脱ドープ状態のキノンジイミ
ン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンのフ
イルムは、電導度はいずれも10-11S/cm台であつた。
また、フイルムは10000回の折り曲げによつても割れ
ず、引張強度は850kg/cm2であつた。
参考例3 (自立性フイルムのプロトン酸によるドーピング) 参考例2において、160℃で2時間加熱乾燥して得た
自立性フイルムをそれぞれ1Nの硫酸、過塩素酸及び塩酸
水溶液中に室温にて66時間浸漬した後、アセトンで洗浄
し、風乾して、それぞれ導電性フイルムを得た。
フイルムは、いずれも濃青色を呈し、電導度は、それ
ぞれ9S/cm、13S/cm及び6S/cmであつた。また、過塩素酸
にてドーピングしたフイルムの引張強度は520kg/cm2
あつた。
参考例4 (共に脱ドープ状態で可溶性のキノンジイミン・フェニ
レンジアミン型ポリアニリン及び不溶性フイルム化され
たポリアニリンのスペクトル及び構造) 実施例1にて得た可溶性重合体粉末と参考例2にて得
た不溶性重合体フイルムのKBr錠剤法によるFT−IRスペ
クトルをそれぞれ第6図及び第7図に示す。参考例2に
て得た不溶性重合体フイルムのスペクトルには、残存溶
剤N−メチル−2−ピロリドンによるとみられる1660cm
-1の吸収が若干認められるが、2つのスペクトルは殆ど
同じであるので、溶剤可溶性の重合体のキヤステイング
後の溶剤の加熱乾燥によつて、重合体は架橋によつて溶
剤不溶化するものの、化学構造において大きい変化が生
じていないことが認められる。
上記可溶性重合体粉末及び不溶性重合体フイルムの熱
重量分析の結果を第8図に示す。いずれも高い耐熱性を
有する。不溶性のフイルムがより高い温度まで分解しな
いので、濃硫酸に不溶性であることを考慮すれば、不溶
性フイルムにおいては、重合体分子が架橋していること
を示すものである。
また、第9図にESRスペクトルを示す。スピン濃度
は、可溶性重合体が1.2×1018スピン/gであり、加熱温
度を高めるにつれて、スピン濃度が高くなり、ラジカル
加熱によつて生成することが示される。このラジカルの
カツプリングによつて、重合体が架橋して、加熱したフ
イルムが不溶性になるとものとみられる。
次に、可溶性重合体と不溶性重合体について、元素分
析の結果を以下に示す。
可溶性重合体 C,77.19;H,4.76;N,14.86(合計 96.81) 不溶性重合体 C,78.34;H,4.39;N,15.16(合計 98.49) この元素分析に基づいて、C12.00に規格化した可溶性
重合体の組成式はC12.008.821.98であり、不溶性
の重合体の組成式はC12.009.111.99である。他
方、同様に、C12.00に規格化したキノンジイミン構造単
位及びフェニレンジアミン構造単位は、それぞれ下記の
とおりである。
キノンジイミン構造単位 C12H8N2 フェニレンジアミン構造単位 C12H10N2 従つて、可溶性重合体及び溶剤不溶性重合体共に、前
述したように、キノンジイミン構造単位とフェニレンジ
アミン構造単位を主たる繰返し単位として有する重合体
である。
次に、参考例2にて得た脱ドープ状態のキノンジイミ
ン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンフイ
ルムと参考例3にて得た過塩素酸をドープしたフイルム
の可視乃至近赤外領域の反射スペクトルをそれぞれ第10
図に示す。脱ドープ状態においては、近赤外光を殆ど反
射しているが、ドープ後には、近赤外光を吸収してお
り、反射が殆どないことが認められる。これは、プロト
ン酸ドーピングによつて生成した導電性をもたらすポー
ラロン又はバイポーラロンによる吸収に基づく。
また、脱ドープ状態のフイルムを過塩素酸にてドープ
することによつて、ESR吸収が大幅に増大し、スピン濃
度は3.8×1021スピン/gにも達する。これは生成したポ
ーラロンであるセミキノンラジカルに由来するものであ
る。
参考例5 参考例2にて得られた重合体フイルムを種々のpKa値
を有するプロトン酸の水溶液又はアルコール溶液に浸漬
し、ドーピングの可否を調べた。種々のpKa値を有する
プロトン酸にてドーピングして得られた重合体フイルム
の電導度を第2表に示す。pKa値が4.8以下であるプロト
ン酸が重合体のドーピングに有効であることが示され
る。
実施例1 (イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン−
TCNQ導電性錯体溶液の調製) 参考例1にて得られたキノンジイミン・フェニレンジ
アミン型溶剤可溶性ポリアニリン2.5gをN−メチル−2
−ピロリドン97.5gに加え、撹拌下に溶解させた。
この溶液にフエニルヒドラジン0.82gを徐々に加え
た。このとき、溶液は、濃青色から淡黒褐色に変色し、
同時に、窒素ガスの発生が確認された。
反応終了後、反応混合物を窒素置換したアセトン1.5
中に滴下したところ、灰白色の沈殿が得られた。この
沈殿をガラスフイルターにて濾別し、窒素置換したアセ
トンにて数回洗浄した後、室温にて減圧乾燥して、イミ
ノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン2.3gを灰
白色粉末として得た。この重合体は、アルゴン置換した
グローブボツクス中に保存した。また、この重合体のN
−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極限粘度
〔η〕は1.1であつた。
また、この重合体の元素分析の結果を示す。
C,77.48;H,5.26;N,14.61;0,1.82(合計 99.17) この元素分析に基づいて、C12.00に規格化した本発明
による重合体の組成式はC12.009.711.94である。
他方、同様に、C12.00に規格化したキノンジイミン構造
単位及びフェニレンジアミン構造単位は、それぞれ下記
のとおりである。
キノンジイミン構造単位 C12H8N2 フェニレンジアミン構造単位 C12H10N2 従つて、フェニレンジアミン構造単位からなるイミノ
−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンは、元素分
析の結果からも、その構造が確認される。
第24図には、KBr錠剤法にて得られたイミノ−p−フ
ェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンのFT−IRスペクトル
を示す。
イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン
は、1600cm-1付近の吸収が極めて小さいことが特徴的で
あり、この重合体においては、還元によつて、キノンジ
キミン構造が実質的に消失していることに対応する。但
し、ベンゼン環の伸縮運動もこの領域にあるため、キノ
ンジキミン構造が実質的に消失しても、1600cm-1付近の
吸収は完全には消失しない。尚、1670cm-1の吸収は、残
存溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンのカルボニル
基に基づくものである。
次に、別に、TCNQ0.00875gをN−メチル−2−ピロリ
ドン5.0gに溶解させた。この溶液に上記イミノ−p−フ
ェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン粉末0.0025gを加え
た。溶液は、黄色から緑色に変色した。尚、このとき、
沈殿は生じなかつた。このようにして、溶剤可溶性イミ
ノ−p−フェニレン型ポリアニリン−TCNQ錯体溶液を得
た。
この錯体溶液の300〜1300nmの電子スペクトル、457.9
nm励起のラマンスペクトル及び上記溶液をN−メチル−
2−ピロリドンにて10倍に希釈した溶液のESRスペクト
ルをそれぞれ第11図、第12図及び第13図に示す。
電子スペクトルには、420、680、750及び840nmにTCNQ
のアニオンラジカルに特有の吸収と、近赤外域にポリア
ニリンのラジカルカチオン(ポーラロン)に対応すると
みられるブロードな吸収が認められるので、溶剤可溶性
イミノ−p−フェニレン型ポリアニリン−TCNQ錯体、即
ち、ドープ状態にて溶剤可溶性の導電性ポリアニリンが
形成されていることが確認される。
ラマンスペクトルは、ドープ状態のポリアニリンに特
有のスペクトルを示しており、また、1285cm-1及び1330
cm-1には、TCNQアニオンラジカルに帰属されるとみられ
るラマン線が認められる。また、ESRスペクトルから、
多量のラジカルの存在が明らかである。このラジカル
は、ドープ状態のポリアニリンのセミキノンラジカル
(ポーラロン)とTCNQのアニオンラジカルであるとみら
れる。
実施例2 (イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン−
TCNQ導電性錯体粉末の調製) 実施例1にて得られた錯体溶液を多量のアセトンに加
え、錯体を沈殿させた後、これをガラスフイルターにて
濾別し、アセトンにて十分に洗浄した。
このようにして得られた粉末をデイスクに成形し、電
導度を測定したところ、5.9×10-3S/cmであつた。
この粉末のFT−IR、ラマンスペクトル及びESRスペク
トルをそれぞれ第14図、第15図及び第16図に示す。FT−
IRによつて、イミノ−p−フェニレン型ポリアニリンが
ドーピングされていることが示される。ラマンスペクト
ルは、先の溶液中の錯体とは異なるパターンを示すが、
他方、同様に、1285cm-1及び1330cm-1に固相状態のTCNQ
のアニオンラジカルによるラマン線が認められる。ま
た、ESRスペクトルから多量のラジカルの存在が明らか
である。
実施例3 (イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン−
TCNQ導電性錯体フイルムの調製1) 実施例1にて得られたイミノ−p−フェニレン型溶剤
可溶性ポリアニリン1.0gをN−メチル−2−ピロリドン
9.0gに撹拌下に溶解させ、この溶液にTCNQ0.350gを徐々
に加えたところ、溶液は、淡黒色から深緑色に変色し
た。しかしながら、このとき、沈殿は生成しなかつた。
得られた溶液をガラス板上にキヤステイングし、60℃
で1時間乾燥させて、膜厚22〜33μmの自立性のフイル
ムを得た。これらのフイルムは、電導度が1.9〜2.6S/cm
であつた。
錯体フイルムのラマンスペクトルを第17図に示す。第
12図と同様であることが示される。
第18図(a)にイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性
ポリアニリンのESRスペクトルを示し、第18図(b)にT
CNQのESRスペクトルを示し、第18図(c)にTCNQにてド
ーピングしたイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリ
アニリンのESRスペクトルを示す。イミノ−p−フェニ
レン型溶剤可溶性ポリアニリン及びTCNQにはラジカルは
認められないが、錯体には多量のラジカルが認められ
る。このラジカルは、前述したように、ポーラロン(セ
ミキノンラジカル)によるものであつて、イミノ−p−
フェニレン型ポリアニリンがドープ状態であることを示
す。
次に、上記錯体の自立フイルムを80〜140℃で1時間
熱処理したときの電導度と、このフイルムをその後、室
温、大気下にて15日間放置したときの電導度を第3表に
示す。本発明による錯体の自立フイルムは、熱処理温度
が100℃以下のとき、高い電導度を有し、しかも、この
電導度は、室温、大気下に長期間放置しても、電導度の
減少は、比較的僅かにとどまつている。
実施例4 (イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン−
TCNQ導電性錯体フイルムの調製2) 参考例1にて得られたキノンジイミン・フェニレンジ
アミン型溶剤可溶性ポリアニリン0.12gをフエニルヒド
ラジン0.039gをN−メチル−2−ピロリドン0.884g中に
溶解させた溶液に撹拌下に加えた後、TCNQ0.042gを加
え、更に、35分間撹拌した。
得られた溶液をガラス板上にキヤステイングし、乾燥
させて、膜厚60μmの自立性フイルムを得た。このフイ
ルムの電導度は8.7S/cmであつた。また、このフイルム
は、室温、大気下に70日放置した後も、5.3S/cmの電導
度を有していた。
第19図にこのフイルムのラマンペクトルを示す。実施
例3にて示した錯体フイルムのラマンスペクトルと同様
であることが認められる。
実施例5 (イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン−
TCNQ導電性錯体薄膜の調製1) フエニルヒドラジン0.1gを含むN−メチル−2−ピロ
リドン29.7g中に参考例にて得られたキノンジイミン・
フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリン0.3gを溶
解させた。この溶液10gにTCNQ0.035gを加え、30分間撹
拌し、溶液を得た。
次いで、この溶液をガラス板上にスピンコートし、60
〜120℃で30〜60分間熱処理して、イミノ−p−フェニ
レン型溶剤可溶性ポリアニリン−TCNQ導電性錯体薄膜を
調製した。
このようにして得られた薄膜の表面抵抗を第4表に示
す。
実施例6 (イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン−
TCNQ導電性錯体薄膜の調製2) フエニルヒドラジン0.1gを含むN−メチル−2−ピロ
リドン29.7g中に参考例1にて得られたキノンジイミン
・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリン0.3gを
溶解させた。この溶液5gに種々の量のTCNQを加え、30分
間撹拌し、溶液を得た。
次いで、この溶液をガラス板上にスピンコートし、60
℃で30分間熱処理して、イミノ−p−フェニレン型溶剤
可溶性ポリアニリン−TCNQ導電性錯体薄膜を調製した。
このようにして得られた薄膜の表面抵抗を第5表に示
す。
第5表に示す結果から明らかなように、イミノ−p−
フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリンに対するTCNQ量を
調整することによつて、得られる錯体の電導度を調整す
ることができることが示される。
第20図にTCNQを0.0450g添加して得られた錯体薄膜の3
00〜1300nmの電子スペクトルを示す。実施例1の場合と
同様に、近赤外のポリアニリンのカチオンラジカル(ポ
ーラロン)に帰属される吸収が認められ、ポリアニリン
がドープ状態であることが示される。
実施例7 (イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリン−
TCNQ導電性錯体薄膜の調製3) 参考例1にて得られたキノンジイミン・フェニレンジ
アミン型溶剤可溶性ポリアニリン0.05gをフエニルヒド
ラジン0.035gを溶解させたジメチルアセトアミド4.95g
中に撹拌下に加え、3時間撹拌して、溶液を得た。
次いで、この溶液をガラス板上にスピンコートし、常
温で減圧乾燥して、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶
性ポリアニリン薄膜を調製した。
このようにして得られた薄膜をTCNQのテトラヒドロフ
ラン溶液に浸漬したところ、その電子スペクトルは、第
21図に示すように、大幅に変化した。この変化は、ポリ
アニリンがTCNQによつて、イミノ−p−フェニレン型ポ
リアニリン、即ち、還元脱ドープ状態から、イミノ−p
−フェニレン型ポリアニリン−TCNQ錯体、即ち、酸化ド
ープ状態に変化したことを示す。
このドープ状態の錯体薄膜の表面抵抗は、7.5×108Ω
/□であつた。
実施例8 (ポリアニリン−TCNQ錯体溶液の調製2) 実施例1にて得られたイミノ−p−フェニレン型ポリ
アニリン−TCNQ錯体のN−メチル−2−ピロリドン溶液
1.0gをメチルエチルケトン4gにて希釈した。このとき、
沈殿は生成しなかつた。この溶液の300〜2300nmの電子
スペクトルを第22図に示す。
実施例1の場合と同様に、420、680、750及び840nmに
TCNQのアニオンラジカルに特有の吸収と、近赤外域にポ
リアニリンのラジカルカチオン(ポーラロン)に対応す
るとみられるブロードな吸収が認められる。
実施例9 (ポリアニリン−TCNQ錯体薄膜の調製4) 実施例8にて得られた錯体溶液をワイヤーバーによつ
てポリエチレンテレフタレートフイルム上に製膜し、60
℃にて乾燥させて、緑色の薄膜を得た。
この薄膜の表面抵抗は5.4×107Ω/□であつた。ま
た、この薄膜を綿100%のウエブで10回強く擦つたと
き、帯電電位は10Vであつた。帯電電荷量半減期は0.1秒
であつた。従つて、ドープ状態のイミノ−p−フェニレ
ン型溶剤可溶性ポリアニリン−TCNQ錯体は、帯電防止材
の製造に有用である。
実施例10 (ポリアニリン−クロラニル自立性フイルムの調製) 実施例1にて得られたイミノ−p−フェニレン型溶剤
可溶性ポリアニリン1.0gをN−メチル−2−ピロリドン
9.0gに溶解させ、この溶液にクロラニル0.423gを徐々に
加えたところ、溶液は、淡黒色から青色に変色した。こ
のとき、沈殿は生成しなかつた。
得られた溶液をガラス板上にキヤステイングし、60℃
にて1時間加熱して乾燥させて、膜厚38μmの自立性フ
イルムを得た。電導度は1.2S/cmであつた。
このフイルムのラマンスペクトルを第23図に示すよう
に、ポリアニリンはドープ状態である。
実施例11 (ポリアニリン−FeCl3自立性フイルムの調製) 実施例1にて得られたイミノ−p−フェニレン型溶剤
可溶性ポリアニリン1.0gをN−メチル−2−ピロリドン
9.0gに溶解させ、この溶液に無水塩化第二鉄0.278gを徐
々に加えたところ、溶液は、淡黒色から緑青色に変色し
た。このとき、沈殿は生成しなかつた。
得られた溶液をガラス板上にキヤステイングし、60℃
にて1時間加熱して乾燥させて、膜厚64μmの可撓性あ
る自立性フイルムを得た。電導度は2.8×10-2S/cmであ
つた。
同様にして、種々のルイス酸を用いて、ポリアニリン
−ルイス酸自立性フイルムを調製した。用いたルイス酸
の標準電極電位と得られたフイルムの電導度を第6表に
示す。
実施例12 実施例8にて得られた導電性イミノ−p−フェニレン
型ポリアニリン−TCNQ錯体溶液を実施例9と同様にして
ポリエチレンテレフタレートフイルムの両面にコーテイ
ングし、緑色の導電性ポリアニリン薄膜を有する複合フ
イルムを得た。
この一方の薄膜の上にポリビニルステアリルカルバメ
ート(離型剤)の0.2%トルエン溶液を塗布し、乾燥し
て、離型面を形成した。次いで、他方の薄膜の上にアク
リル系粘着剤を厚さ30μmに塗布して、ロールとして、
粘着テープを作製した。
この粘着テープの離型剤面の表面抵抗は108Ω/□で
あつて、テープ外端部をロールから剥離したときのテー
プの帯電電位は殆ど0Vであつた。また、灰皿の灰や植毛
パイル等による吸着性目視試験による帯電防止性能も良
好であつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、脱ドープ状態のキノンジイミン・フェニレン
ジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンを457.9nmの波長の
光で励起したときのレーザー・ラマンスペクトル、第2
図は、従来より知られているポリアニリンを457.9nmの
波長の光で励起したときのレーザー・ラマンスペクト
ル、第3図は、第1図と同じイミノ−p−フェニレン型
溶剤可溶性ポリアニリンを種々異なる励起波長の光で励
起したときのレーザー・ラマンスペクトル、第4図は、
キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリ
アニリンのN−メチル−2−ピロリドン溶液の電子スペ
クトルである。 第5図は、キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤
可溶性ポリアニリンのGPCによる分子量分布の一例を示
すグラフ、第6図は、脱ドープ状態のキノンジイミン・
フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンのKBr錠
剤法によるFT−IRスペクトル、第7図は、キノンジイミ
ン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンをキ
ヤステイングして得た溶剤不溶性のフイルムのKBr錠剤
法によるFT−IRスペクトル、第8図は、上記キノンジイ
ミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンの
フイルム及びその不溶化フイルムの熱重量分析、第9図
は、キノンジイミン・フェニレンジアミン型溶剤可溶性
ポリアニリンを加熱したときのESRスペクトル変化を示
す図、第10図は、脱ドープ状態のキノンジイミン・フェ
ニレンジアミン型溶剤可溶性ポリアニリンフイルムとこ
れを過塩素酸にてドープしたフイルムの近赤外領域の反
射スペクトルである。 第11図は、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリア
ニリン−TCNQ錯体溶液の電子スペクトル、第12図は、上
記錯体溶液の457.9nm励起のラマンスペクトル、第13図
は、上記錯体溶液のESRスペクトルである。 第14図は、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリア
ニリン−TCNQ錯体の粉末のFT−IRスペクトル、第15図
は、ラマンスペクトル、第16図は、ESRスペクトルであ
る。 第17図は、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリア
ニリン−TCNQ錯体のフイルムのラマンスペクトル、第18
図は、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリアニリ
ン、TCNQ及びイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリ
アニリン−TCNQ錯体のESRスペクトルを示す。 第19図は、別のイミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポ
リアニリン−TCNQ錯体のフイルムのラマンスペクトルを
示し、第20図は、錯体の電子スペクトルを示す。 第21図は、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリア
ニリンとこれをTCNQにてドーピングしたときの電子スペ
クトル、第22図は、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶
性ポリアニリン−TCNQ錯体溶液の電子スペクトルであ
る。 第23図は、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリア
ニリン−クロラニル錯体のフイルムのラマンスペクトル
である。 第24図は、イミノ−p−フェニレン型溶剤可溶性ポリア
ニリンのFT−IRスペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋月 伸也 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (72)発明者 梅本 泰弘 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−28229(JP,A) 特開 昭63−215723(JP,A) 特開 昭63−46223(JP,A) 特開 昭62−149724(JP,A) 特開 昭61−266435(JP,A) 特開 昭61−258830JP,A) 特開 昭51−76377(JP,A) 特開 昭51−50887(JP,A) 特開 昭50−88200(JP,A) 特開 昭49−30500(JP,A) 特開 昭60−133027(JP,A) 特公 昭52−3836(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 73/00 - 73/26 C08L 79/00 - 79/08 C08J 5/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 で表わされるイミノ−p−フェニレン構造単位からな
    り、脱ドープ状態において有機溶剤可溶性であり、且
    つ、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極
    限粘度〔η〕が0.40dl/g以上である有機重合体が電子受
    容体にてドーピングされてなる導電性有機重合体組成物
    からなることを特徴とするフイルム。
  2. 【請求項2】一般式 で表わされるイミノ−p−フェニレン構造単位からな
    り、脱ドープ状態において有機溶剤可溶性であり、且
    つ、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極
    限粘度〔η〕が0.40dl/g以上である有機重合体が電子受
    容体にてドーピングされてなる導電性有機重合体組成物
    からなるフイルムが基材上に形成されていることを特徴
    とする導電性有機重合体組成物複合体。
  3. 【請求項3】一般式 で表わされるイミノ−p−フェニレン構造単位からな
    り、脱ドープ状態において有機溶剤可溶性であり、且
    つ、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極
    限粘度〔η〕が0.40dl/g以上である有機重合体を得、次
    いで、この有機重合体が電子受容体にてドーピングされ
    てなる導電性有機重合体組成物を含む有機溶剤の溶液を
    調製し、これを基材上にキヤステイング又はコーテイン
    グした後、上記溶剤を蒸発除去することを特徴とする導
    電性有機重合体組成物フイルムの製造方法。
  4. 【請求項4】一般式 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフェニレンジ
    アミン構造単位からなり、脱ドープ状態において有機溶
    剤に可溶性であり、且つ、N−メチル−2−ピロリドン
    中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上であ
    ると共に、457.9nmの波長の光で励起して得られるレー
    ザー・ラマンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼンの骨
    格振動のうち、1600cm-1よりも高波数にあらわれる骨格
    延伸振動のラマン線の強度I aと1600cm-1よりも低波数
    にあらわれる骨格延伸振動のラマン線強度I bの比I a/I
    bが1.0以上である有機重合体を還元剤にて還元して、
    一般式 で表わされるイミノ−p−フェニレン構造単位からな
    り、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性であり、且
    つ、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極
    限粘度〔η〕が0.40dl/g以上である有機重合体を得、次
    いで、この有機重合体を有機溶剤の溶液中で電子受容体
    にてドーピングして、導電性有機重合体組成物の溶液を
    得、この溶液を基材上にキヤステイング又はコーテイン
    グした後、上記溶剤を蒸発除去することを特徴とする導
    電性有機重合体組成物フイルムの製造方法。
  5. 【請求項5】酸解離定数pKa値が3.0以下であるプロトン
    酸の存在下に溶剤中にてアニリンに、温度を0℃以下に
    保持しつつ、標準水素電極を基準とする還元半電池反応
    における起電力として定められる標準電極電位が0.6V以
    上である酸化剤の水溶液をアニリン1モル当りに、酸化
    剤の1モルを、酸化剤1分子を還元するのに必要な電子
    数で割つた量として定義される当量で、2〜2.5当量を
    加えて、上記プロトン酸にてドーピングされたアニリン
    の酸化重合体を生成させ、次いで、この重合体を塩基性
    物質によつて脱ドーピングして、一般式 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフェニレンジ
    アミン構造単位からなり、脱ドープ状態において有機溶
    剤に可溶性であり、且つ、N−メチル−2−ピロリドン
    中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上であ
    ると共に、457.9nmの波長の光で励起して得られるレー
    ザー・ラマンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼンの骨
    格振動のうち、1600cm-1よりも高波数にあらわれる骨格
    延伸振動のラマン線の強度I aと1600cm-1よりも低波数
    にあらわれる骨格延伸振動のラマン線強度I bの比I a/I
    bが1.0以上である有機重合体を得、次いで、この有機
    重合体を還元剤にて還元して、一般式 で表わされるイミノ−p−フェニレン構造単位からな
    り、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性であり、且
    つ、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した極
    限粘度〔η〕が0.40dl/g以上である有機重合体を得、次
    いで、この有機重合体を有機溶剤の溶液中で電子受容体
    にてドーピングして、導電性有機重合体組成物の溶液を
    得、この溶液を基材上にキヤステイング又はコーテイン
    グした後、上記溶剤を蒸発除去することを特徴とする導
    電性有機重合体組成物フイルムの製造方法。
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