JPH06316580A - 新規電子受容体及びこれを成分とする導電性電荷移動錯体 - Google Patents

新規電子受容体及びこれを成分とする導電性電荷移動錯体

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JPH06316580A
JPH06316580A JP5326440A JP32644093A JPH06316580A JP H06316580 A JPH06316580 A JP H06316580A JP 5326440 A JP5326440 A JP 5326440A JP 32644093 A JP32644093 A JP 32644093A JP H06316580 A JPH06316580 A JP H06316580A
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Tetsuo Otsubo
徹夫 大坪
Yoshio Aso
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Koji Yui
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子受容体となりうる新規化合物を合成し、
電子供与体と組合せて、高導電性の新規電荷移動錯体を
提供する。 【構成】 下記化合物の電子受容体と、2,2′,5,
5′−テトラチアフルバレン、5,6,11,12−テ
トラチオテトラセン、ヘキサメチレンテトラチアフルバ
レン、ヘキサメチレンテトラテルラフルバレン、テトラ
フェニルビピラニリデン、N,N′−テトラメチル−p
−フェニレンジアミン、アセナフテンジテルリド及びビ
スエチレンジチオテトラチアフルバレンから選ばれた電
子供与体とからなる導電性電荷移動錯体。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子受容体となりうる新
規な化合物及び該化合物を一成分とした高導電性の有機
電荷移動錯体に関する。
【0002】
【従来の技術】有機高導電性物質は銅やアルミニウム等
の金属材料に比べて軽量であること、または腐食性がな
いことなどの優れた利点を持っていることから近年特に
注目されつつある。有機高導電性物質はまた金属材料に
比べて豊富に存在する有機質資源を原料にして製造でき
る点でも優れている。一般に有機物質は電気絶縁体とし
ての性質を有しており、これに導電性を付与するには電
荷移動錯体を形成させるのが良く、これまでに種々の電
子供与体と電子受容体が合成され、これらの組合せから
多数の新しい導電性電荷移動錯体が提供されている。
【0003】例えば、本発明者らは電子受容体となる下
記式(A)で示される5,5′−ビス−(ジシアノメチ
レン)−5,5′−ジヒドロ−2,2′−ビタオフェン
を見出し、これとテトラチアフルバレン又はテトラチオ
テトラセンとの電荷移動錯体が2.2×10-4〜3.3
×10-4Scm-1の電気伝導度を示すことを報告した
(J.Chem.Soc.Chem.Commun.,
1987,1816)。
【0004】
【化2】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記式
(A)で示される電子受容体となる化合物を基本構造と
し、これをさらに電子吸引性基で置換した新規な電子受
容体を提供するものであり、さらにこの電子受容体に適
切な電子供与体を組合せることにより改善された導電性
を有する電荷移動錯体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記式(II)
【0007】
【化3】
【0008】で表わされる化合物及び該化合物を電子受
容体とし他成分の電子供与体とから導かれた導電性電荷
移動錯体を提供するものである。
【0009】本発明の式(II)化合物は、下記反応式に
よって合成することができる。
【0010】
【化4】
【0011】(但し、上式中Xは塩素原子又は臭素原子
を表わす)
【0012】上記化合物(VII )を溶媒中N−クロロコ
ハク酸イミド又はN−ブロモコハク酸イミドの存在下で
反応させると化合物(VIII)が得られる。化合物(VII
I)を過酸化物の存在下溶媒中で反応させると化合物(I
X)が得られる。次にこの化合物(IX)を溶媒中塩化第
一銅の存在下又は非存在下でテトラシアノエチレンオキ
シドと反応させることにより目的化合物(II)が得られ
る。
【0013】上記得られた式(II)化合物は、これを電
子受容体とし他成分の電子供与体と組合せて高導電性電
荷移動錯体を合成することができる。本発明の電荷移動
錯体は、通常有機溶媒中で上記式(II)化合物と電子供
与体とを混ぜ合わすことにより合成される。有機溶媒と
してはベンゼン,トルエン,クロロベンゼン,テトラヒ
ドロフラン,アセトニトリル,ジクロロメタン等を挙げ
ることができる。また上記方法の他、有機溶媒を用いず
に相当量の式(II)化合物と電子供与体とを乳鉢等でよ
く混合することによっても合成することができる。
【0014】上記電子供与体としては各種のものが適用
されるが、本発明においては、2,2′,5,5′−テ
トラチアフルバレン、5,6,11,12−テトラチオ
テトラセン、ヘキサメチレンテトラチアフルバレン、ヘ
キサメチレンテトラテルラフルバレン、テトラフェニル
ビピラニリデン、N,N′−テトラメチル−p−フェニ
レンジアミン、アセナフテンジテルリド及びビスエチレ
ンジチオテトラチアフルバレンから選ばれた化合物が高
導電性を与える電子供与体成分として好ましい。本発明
の錯体は、式(II)化合物と電子供与体とがモル比で
1:1又は1:2の割合で構成されたものが好ましい。
【0015】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0016】実施例 前記式(VII )化合物、即ち、チエノジチオフェン87
1mgに酢酸5mlとクロロホルム5mlとを加え室温
で撹拌した。これにN−ブロモコハク酸イミド1.58
gを加えて室温で1時間、50〜60℃で1時間撹拌し
た。次いで析出した固体が溶けるまで二硫化炭素を加え
て水、5%重曹水及び水の順で洗浄し無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥後濃縮した。再び二硫化炭素に溶かしシリカ
ゲルカラムを通して前記式(VIII)化合物(X=Br)
1.36gを得た。
【0017】上記式(VIII)化合物(X=Br)177
mgを塩化メチレン15mlに溶解し、これにm−クロ
ロ過安息香酸216mgの塩化メチレン5ml溶液を加
えて2日間加熱還流させた。この反応液を濃亜硫酸水素
ナトリウム水溶液中に注ぎ、次いで塩化メチレンで抽出
し、有機層を5%重曹水で洗浄後、水洗、乾燥して濃縮
した。得られた固体をシリカゲルカラムで塩化メチレン
を用いて展開し、Rf0.7の部分を採取した。溶媒を
減圧留去して前記(IX)化合物(X=Br)90mgを
得た。
【0018】上記式(IX)化合物(X=Br)89mg
とテトラシアノエチレンオキシド63mgに1,2−ジ
ブロモエタン5mlを加えて2日間加熱還流させた。次
いで室温まで冷却し、シリカゲルカラムで塩化メチレン
を用いて展開し、Rf0.15の赤色部分を採取した。
溶媒を減圧留去して目的化合物である前記式(II)化合
物5mgを得た。
【0019】融点 300℃以上 IR(KBr) νCN 2222cm-1 MS m/e 354(M+ ) 元素分析 C H N 理論値(%) 47.43 0.56 15.81 実測値(%) 47.51 0.55 15.79 サイクリックボルタメトリー E 1/2 0.28,−0.05V (vs.Ag/Ag
Cl,0.1M Bu4 NClO4 ,CH2 Cl2
【0020】上記得られた式(II)化合物18mgをア
セトニトリル6mlに溶かした溶液と下記化学式で示さ
れる2,2′,5,5′−テトラチアフルバレン(TT
F)102mgをアセトニトリル8mlに溶かした溶液
とを混合し、生成した沈澱を濾別して式(II)化合物と
TTFとの1:1(モル)錯体11mgを得た。
【0021】
【化5】
【0022】上記と同様にして式(II)化合物を電子受
容体として用い、下記化学式で示される5,6,11,
12−テトラチオテトラセン(TTT)、ヘキサメチレ
ンテトラテルラフルバレン(HMTTeF)を電子供与
体とし、第1表に示される合成溶媒を用い
【0023】
【化6】
【0024】式(II)化合物と電子供与体との1:1
(モル)又は1:2(モル)錯体を得た。得られた各電
荷移動錯体の物性を第1表に示した。*印の錯体は電子
受容体:電子供与体=1:2(モル)であることを示
す。
【0025】比較例として、従来知られている前記式
(A)化合物を電子受容体とし、TTF及びTTTを電
子供与体として得られた錯体(1:1(モル))の電気
伝導度を第1表に併せて示した。なお、第1表中合成溶
媒のAはアセトニトリル、Cはモノクロロベンゼンをそ
れぞれ表わす。また電気伝導度は圧縮成形したペレット
を第4点法で測定した。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明の式(II)の化合物及びこの化合
物を電子受容体とする電荷移動錯体はいずれも新規物質
であり、上記化合物は、従来電子受容体として知られる
化合物の基本骨格に特定の電子吸引性基が置換された構
造よりなるため、これより得られた錯体は従来のものに
較べて導電性が著しく高いという特徴を有している。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(II) 【化1】 で表わされる化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1の式(II)で表わされる化合物
    を電子受容体とし、他成分の電子供与体とから導かれた
    導電性電荷移動錯体。
  3. 【請求項3】 電子供与体が2,2′,5,5′−テト
    ラチアフルバレン、5,6,11,12−テトラチオテ
    トラセン、ヘキサメチレンテトラチアフルバレン、ヘキ
    サメチレンテトラテルラフルバレン、テトラフェニルビ
    ピラニリデン、N,N′−テトラメチル−p−フェニレ
    ンジアミン、アセナフテンジテルリド及びビスエチレン
    ジチオテトラチアフルバレンから選ばれた化合物である
    請求項2記載の導電性電荷移動錯体。
  4. 【請求項4】 電子受容体と電子供与体とのモル比が
    1:1〜2である請求項2又は3記載の導電性電荷移動
    錯体。
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