JPH06313910A - 非線形光学素子及びその製造方法 - Google Patents

非線形光学素子及びその製造方法

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JPH06313910A
JPH06313910A JP21403893A JP21403893A JPH06313910A JP H06313910 A JPH06313910 A JP H06313910A JP 21403893 A JP21403893 A JP 21403893A JP 21403893 A JP21403893 A JP 21403893A JP H06313910 A JPH06313910 A JP H06313910A
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phenoxy resin
group represented
aromatic
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JP21403893A
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English (en)
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Yutaka Takeya
竹谷  豊
Taro Sakakibara
太郎 榊原
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 媒体への溶解性、分散性が良好で、透明性に
すぐれる配向された非線形光学素子を提供することを目
的とする。 【構成】 本発明の目的は、ビスフェノールとエピクロ
ルヒドリンとの反応により得られるフェノキシ樹脂の―
OH基を非線形特性を発現しうるカルボニル誘導体で1
〜100%修飾した樹脂であって、該カルボニル誘導体
の双極子モーメントの方向が膜厚方向に配向されている
非線形光学素子により達成される。また、ニトロ基、ア
ルデヒド基を有し、非線形光学特性を発現しうる共役化
合物を含有し、かつ膜厚方向に配向されている非線形光
学素子を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光情報伝送材料、光記
録技術分野における短波長変換、パラメトリック発振、
屈折率変化らを主とした非線形光学素子に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】有機材料の非線形光学特性が既存の無機
化合物に比べて大きいことが近年知られてきた。非線形
光学効果とは、例えばレーザ光のような強い光電場を物
質に印加した時、その物質の電気分極応答が印加電界の
大きさの一次に比例する関係から、その大きさの二次以
上の高次の効果があらわれることを示す。
【0003】二次の非線形光学には、入射光の波長を1
/2の波長に変換する第二高調波発生、1種類の波長の
光を2種類の光に変換させるパラメトリック発振、逆に
2種類の波長の光から1種類の波長の光を発現させる二
光波混合などがある。
【0004】これらの諸特性から、大きな技術発展が期
待される光データ/光情報処理や、光通信に用いられる
光スイッチ、光メモリー、あるいは、光情報記憶素子と
して使用される可能性が高い。特に近年光記録分野で
は、記録符号の読み取り、あるいは書き込みの波長の短
波長化が、高密度の記録を行う上で強く要望されるよう
になってきた。操作性、簡便性の観点から半導体レーザ
が主として用いられてきているが、既存の半導体材料の
組合わせでは、一般に630nmより短い波長の発光を
生起することは困難であるといわれている。この観点か
ら、ここに述べた二次の非線形光学特性を利用して、第
二高調波発生により、紫外領域に近い青色発光の材料が
詳しく検討され、ニオブ酸リチウム、KTP、BBOに
代表される無機材料での応用が積極的に研究されてい
る。しかしながら、無機材料は、その性能指数があまり
大きくないこと、応答速度が小さい、加工性が良くな
い、吸湿性が大きい、安定性が低いなど、実用上の問題
点が多い。
【0005】近年、これらの無機材料に対して、2―メ
チル―4―ニトロアニリン(MNA)に代表される、大
きい性能を有する有機化合物は、単結晶の形態で、デバ
イス材料への開発が行われている。しかし有機結晶は、
機械的特性や耐熱性が低いことが難点となっている。一
般に第二高調波発生能は、分子内での分極が大きくかつ
その分極の寄与が大きくなる長い共役系ほど大きくなる
が、このように分極を増大させると固体化の際、結晶が
成長する段階で分子の配向がその分極を打ち消し合うよ
うに空間的に安定化し反転対称性の構造が優先的に形成
されるため光学素子として非線形光学効果が発現しない
ことが多い。
【0006】したがって、分子1ケの双極子モーメント
の活性が固体状の集合体でも残存するような工夫が種々
なされているが、高い電場を印加することで、双極子の
方向を揃えることが可能となる場合があり、通常コロナ
放電処理として知られている。このコロナ放電処理が可
能となるためには、非線形光学材料が適当な媒体に溶
解、分子分散していることが必要で、ポリマーを担体と
したフイルム中などに溶解して処理することで、容易に
達成できる。
【0007】一般に担体としてポリメチルメタクリレー
ト(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチ
レン等が検討されている。特にPMMAは、ポリマー自
体が、有機溶媒に対する溶解性が良好であり、かつ、得
られるフイルムの均一性、透明性が比較的良好であり、
詳細に検討されている。
【0008】しかしながら、一般には、非線形光学材料
に対する溶解性はあまり大きくなく、これまでにも、検
討されてきているような例として、染料のデスパースレ
ッド―1を含むフイルムを作成するに際してはこの染料
を高濃度に存在させることが困難な傾向にあり、ポリマ
ーに対して10重量%以上該化合物を担体中に加える
と、均一に分子分散することは難しく、相分離を生じ、
染料化合物が凝集、結晶化し均一性、透明性が著しく低
下することが観測される。この結果、非線形光学素子と
して十分な性能は得られていない。
【0009】例えば、ポリメチルメタクリレート(PM
MA)を担体とし、非線形光学効果を有するアゾ化合物
を添加、分子分散したフイルムを作製し、ガラス転移点
以上の温度に保持した状態にて電圧を印加し、該分子の
双極子の方向を揃えることでSHGが観測されること
が、アプライドフィジックスレター49巻248頁(1
986年)(Appl.Phys.Lett.,49,
248(1986))に記述されている。
【0010】この改善策として、近年、該化合物を、化
学結合により高分子の側鎖に導入することが検討されて
いる。
【0011】しかしながらPMMA系ポリマーでは、非
線形性能の大きい化合物を高濃度に側鎖に導入すること
は製造上困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、非線形光学
性能を有する化合物を化学結合によりポリマーの側鎖に
高濃度に導入することによって透明性、非線形性能に優
れる非線形光学素子およびその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0013】本発明はさらに、ポリマー側鎖を非線形性
を有する化合物で修飾した該変性ポリマーに、非線形性
能を有する化合物を高濃度に溶解した透明性、非線形特
性に優れる非線形光学素子およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような観点から鋭意
検討した結果、可視光域波長域で透明性に優れ、フイル
ムの均一性も非常に良好なフェノキシ樹脂をとり上げ
た。この樹脂は側鎖―OHを有しているため、適宜非線
形光学特性の大きい官能基で容易に高濃度に修飾できる
ことを見い出した。さらに電場を印加する事によって、
側鎖官能基を一方向に配向させる事で、大きな非線形光
学特性を有する事が認められ本発明に到達したものであ
る。
【0015】さらに、該フェノキシ樹脂に、それ自身で
は、結晶の対称中心を有する材料を分散させると、それ
らの化学構造の類似性のために、相対的に分散材料の濃
度を上げることができることがわかった。これを加熱下
に電場を印加することで、フェノキシ樹脂の側鎖官能基
を配向させると共に、分散されている大きな非線形性能
を有する材料の配向も競争的に行うことで、それぞれ単
独での性能よりも大きな非線形光学特性を有することが
認められ本発明に到達したものである。
【0016】すなわち本発明は、下記一般式(I)で表
されるフェノキシ樹脂誘導体の側鎖官能基Zの双極子モ
ーメントの方向が、膜厚方向に配向されていることを特
徴とする、非線形光学素子とその製造方法に関するもの
である。
【0017】ここで述べるフェノキシ樹脂とは、下記一
般式(I)
【0018】
【化6】
【0019】[但し、式中―Ar1 ―は、一般式―Ar
11―X―Ar12―で表わされ、―Ar 11―、―Ar12
は、同一又は異なる2価の炭素数6〜12の芳香族基
で、Xは、メチレン、イソプロピリデン、フェニルメチ
リデン、シクロヘキシリデン、1,2―シクロヘキシレ
ン及びスルホンから選ばれる結合基を表す。Zは、下記
一般式(II)で表される側鎖官能基を表す。
【0020】
【化7】
【0021】但し、nは、0、1または2を表す。―A
2 ―は、炭素数6〜14の芳香族基を表す。R1
は、R2 3 N―で表されるアミノ基及びそのハロゲン
化水素塩、R4 ―O―で表されるエーテル基、R5 ―S
―で表されるチオエーテル基、シアノ基、―COOR6
または―OCOR7 で表されるエステル基、―CONR
8 9 、―NR10COR11で表されるアミド基、―R12
で表される炭化水素基(―R2 から―R12は、同一もし
くは異なり、炭素数1〜8の1価の炭化水素基、または
水素原子を表す)および水素原子からなる群より選ばれ
る官能基である。]および下記一般式(III )
【0022】
【化8】
【0023】[但し、式中―Ar1 ―は(I)式中に表
された―Ar1 を表す。]の繰り返し単位からなり、か
つ、(I)と(III )のモル比(I)/(III )が10
0/0〜1/99であるフェノキシ樹脂である。
【0024】かかるフェノキシ樹脂は、一般にはビスフ
ェノール誘導体とエピクロルヒドリンの反応で得られる
が、―Ar1 ―中の、―Ar11―、―Ar12―の具体例
として、置換もしくは非置換のフェニレン、ナフチレン
基が挙げられる。本発明に好適に用いられるビスフェノ
ール誘導体としては、―Ar11―、―Ar12―がフェニ
レン基の場合で、Xがイソプロピリデン基である場合に
は、ビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、ジ
クロルビスフェノールA、テトラクロルビスフェノール
A、テトラブロムビスフェノールA、Xがメチレン基の
場合には、ビスフェノールF、Xがシクロヘキシル変性
体基である場合には、ビスフェノールACP、ビスフェ
ノールL、ビスフェノールZ、Xがスルホンである場合
には、ビスフェノールSを具体的に示すことが出来る。
【0025】側鎖官能基Z―中の、―Ar2 ―の具体例
として置換もしくは非置換のフェニレン、ナフチレン基
が挙げられる。又R2 〜R12の具体例としてメチル、エ
チル基等の炭素数1〜8のアルキル基、水素原子が挙げ
られる。
【0026】側鎖官能基Zの導入の代表的な手法として
は、該カルボニル誘導体をハライド化し、フェノキシ樹
脂の―OHと脱ハロゲン化水素反応で容易に行なえる。
この反応は、エステル形成反応であるので、この他に、
カルボニル基の活性エステル化、脱水反応法等、各種の
方法を選択出来る。
【0027】側鎖官能基Zの導入によるフェノキシ樹脂
の組成は該カルボニル誘導体のハライド化物の仕込み量
を変えることによって任意に選択合成することができる
が、非線形光学素子という観点より、Zの導入率が大き
いほど好ましい。かかるフェノキシ樹脂のモル比(I)
/(III )が好ましくは100/0〜10/90、さら
に好ましくは100/0〜20/80の範囲である。
【0028】かかるカルボニル誘導体の合成について
は、例えば特開平1―245230号(平成1年9月2
9日公開)に示されるように、芳香族アルデヒドと活性
メチレン化合物との反応で得られるα―シアノアクリル
酸化合物が該当する。
【0029】側鎖官能基の導入率は、NMRスペクトル
等のスペクトル的手法あるいは、元素分析法等により容
易に計算できる。
【0030】この様に行われた側鎖が修飾された、フェ
ノキシ樹脂は、適当な溶媒に溶解させ、キャスト法によ
り薄膜を作る事もできるし、200℃以上で加熱し押し
出し成形により望ましい形に賦形することが可能である
が、特に光学用素子には、薄膜、微細成形する事が望ま
しいので、スピンコーティング法あるいはキャスト法が
好ましく用いられる。
【0031】上記薄膜を担持する基板は特に制限はない
が、パイレックス、スライドガラス等のガラス基板が一
般に用いられる。
【0032】また膜厚も特に制限はないが、数十nm〜
数十μmの範囲が好ましい。薄すぎると非線形光学素子
としての性能が十分に得られにくく、厚すぎると膜の均
一性が得られにくく好ましくない。
【0033】本発明の非線形光学素子はかかるフェノキ
シ樹脂のガラス転移点をTgとするとき、
【0034】
【数3】(Tg+50)℃>T>(Tg−20)℃ の温度(T)で、0.5KV以上40KV以下の電圧を
印加し、続けて電圧を印加しながら冷却を行うことによ
り製造される。
【0035】印加時の温度(T)は、上記範囲であれば
よいが、(Tg+30)℃>T>(Tg−10)℃が好
ましく実施される。
【0036】この高電場の印加方法としては、該薄膜が
有効に帯電すればよく、各種の方法が考えられるが、コ
ロナ放電により方法を用いると容易に達成することが可
能となる。コロナ放電とは、図1に示した通り平板状電
極(15)と線状電極(12)との間に、直流電源(1
1)により高電圧、例えば1kV以上、好ましくは5〜
12kVの電圧を印加して、コロナ放電を発生させ、該
薄膜(13)を帯電させるものである。
【0037】この時の現象としては、空気中の分子がイ
オン化して、平板電極の方向にイオンが飛翔し、結果的
に薄膜にイオンが多数蓄積され、上部電極と薄膜表面と
が電位が等しくなるまで放電が継続することになる。こ
の間、薄膜表面(13)と平板電極(15)の間には、
印加した電位差が生じており、側鎖官能基は電場と平行
にその双極子モーメントが保持されることになる。即
ち、薄膜の膜厚方向に、配向が揃う形になる。
【0038】コロナ放電により有機分子の配向を揃え、
対称中心を崩して第二高調波発生を行っている例とし
て、ポリマーを担体として、デスパースレッド―1(Di
sperseRed 1)と呼ばれるアゾ系色素を分散させた例、
あるいはp―ニトロアニリンを分散させた例がある。そ
れらは例えば、雑誌オプトロニクス(1990年)、3
号、128頁に記載の、妹尾巌らの「高分子非線形光学
材料」、あるいは、雑誌O PLUS E(1990
年)12月号、129頁に記載の佐々木啓介の「ポリマ
ーの光導波路への応用」等に詳細に解説されている。
【0039】本発明において、ポリマー側鎖修飾基Z
は、もともと分子オーダーでの非線形性が高いと期待さ
れているカルボン酸誘導体を基本骨格に持つので、これ
をその双極子を揃う方向を取り易くするためには、更に
上述のコロナ放電の配向効果を、熱的に動き易い状態
で、処理する事が好ましい。この点から一般にポリマー
でのガラス転移点は、かかる熱的変化を示す状態に該当
するので、Tg付近、あるいは、それより高い温度で電
場印加をする事が効果的である。併せて、一旦配向され
た官能基は、このガラス転移点より低くする事で、配向
状態を固定する事が出来、本発明の目的に好ましい効果
を与える。
【0040】印加する電圧の大きさは、温度あるいは時
間等の条件により多少異なるが、0.5KV以上40K
V以下の範囲で側鎖官能基の双極子モーメントが十分配
向するように適当に選択することができる。
【0041】このコロナ放電においては、一方の極は、
必ずしも線状である必要性がなく、針状でもここに示し
た目的に合致するもので、むしろ薄膜に均等な電場の印
加が効果的に発現するために、より望ましい場合もあ
る。
【0042】分子の配向の確認は、上記コロナ放電した
ガラス基板上の該薄膜を回転させながら、入射光の偏光
の方向を変化させて、二次の高調波を観測することでも
確認できるし、あるいは屈折率の偏光依存性で確認する
事が出来る。
【0043】本発明においては、該フェノキシ樹脂担体
中に下記一般式(IV)
【0044】
【化9】
【0045】[但しp、qは同一または異なり、1、2
または3を表す。―Ar0 ―は、炭素数5〜14の芳香
族基を表す。R―は、R13―O―で表されるエーテル
基、R1415N―で表されるアミノ基、R16―S―で表
されるチオエーテル基およびR17―の炭化水素基(R13
〜R17は、同一または異なる炭素数1〜3の1価の炭化
水素基、または水素原子を表す)からなる群より選ばれ
る官能基であり、―R0 は―CHOもしくは、―NO2
を表す。]で表される非線形光学特性を発現しうる芳香
族共役化合物を含有させることでさらに好ましく実施さ
れる。
【0046】該化合物(IV)の、―Ar0 ―の具体例と
して置換もしくは非置換のフェニレン、ナフチレン基が
挙げられる。又、R13〜R17の具体例としてメチル、エ
チル基等のアルキル基あるいは水素原子が挙げられる。
【0047】これらからも分る通り、フェノキシ樹脂誘
導体(I)/(III )は、主鎖に芳香族を含むと共に、
側鎖のOH基が、極性の非常に大きい官能基(II)で修
飾されているので、非線形性を示す前記一般式(IV)の
化合物の有する電子供与性基や電子吸引性基との間で静
電的相互作用が生じ、この効果によって、該化合物はフ
ェノキシ樹脂中にて高濃度で安定に存在すると推測でき
る。したがって、該化合物は、該樹脂中にて凝集、結晶
化、相分離することなく多量に存在でき、大きな非線形
性を有する材料となりうる。
【0048】これらフェノキシ樹脂誘導体の重量平均分
子量は1000から100万の範囲が適当であり、好ま
しくは5000から50万の範囲である。分子量が小さ
すぎる場合、添加する非線形性を有する化合物との相互
作用は小さくなってしまい、かつ材料としての強度が不
足してしまう。また100万より大きいと、該化合物を
均一に溶解、分散させるのに必要な溶媒との溶解性が下
がり、成形加工性にも問題が生じる。
【0049】フェノキシ樹脂に加える前記化合物(IV)
の添加濃度は特に制限はなく、大きいほど非線形光学材
料としての性能を発揮するが、好ましくは該樹脂100
重量部に対して5重量部以上120重量部以下、さらに
好ましくは10重量部以上100重量部以下である。
【0050】かかる材料の非線形特性を得るには、非線
形光学化合物である前記一般式(IV)の化合物の双極子
モーメントを膜厚方向に配向させることは必須である。
上記方法を実施するにあたり、非線形光学活性が期待で
きる側鎖官能基Zおよび、分散している材料化合物(I
V)の双極子モーメントの方向を担持体の内部で揃える
ために、高電界を印加することが好ましい。
【0051】すなわち、本発明によれば、上記一般式
(IV)で表される芳香族共役化合物を含有する膜状フェ
ノキシ樹脂に、該樹脂のガラス転移点をTgとすると
き、
【0052】
【数4】(Tg+50)℃>T>(Tg−20)℃ の温度で直流電界を印加し、その後電界を印加しながら
冷却を行うことを特徴とする膜厚方向に双極子モーメン
トが配向された非線形光学素子の製造方法が提供され
る。
【0053】本製造方法は、先に示した方法と同様に、
コロナ放電による方法を一般に簡便な方法として用いる
ことができる。
【0054】本発明によるフェノキシ樹脂誘導体および
化合物は、先に述べた方法と同様、スピンコーティング
法あるいはキャスト法により、光学用素子として好まし
く膜状に賦形される。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、非線形光学性能を有す
る化合物がフェノキシ樹脂の側鎖に高濃度に存在し、透
明性、フイルム形成性、非線形光学特性の優れた素子が
提供される。
【0056】また、本発明によれば、かかる分極構造の
大きい側鎖を有する変性フェノキシ樹脂中に、類似構造
の非線形光学特性を発現する芳香族共役化合物を比較的
高濃度で分散させることができ、非線形光学特性に優
れ、可視光波長域での透明性に優れた素子が提供され
る。
【0057】
【実施例】以下に実施例をあげ、本発明を詳述する。実
施例は説明のためであって、それに限定されるものでは
ない。
【0058】
【実施例1】ビスフェノールAとエピクロルヒドロリン
との反応により得られるフェノキシ樹脂5.68gをジ
メチルアセトアミド40mlに溶解させ、これに、脱塩
化水素剤としてピリジンを10g加えて、激しく撹拌し
ながら、5―(4―メトキシフェニル)―2―シアノペ
ンダジェノン酸クロリド6.0gを加えて、70℃で
5.5時間反応を続ける。
【0059】反応終了後、これを大量の1N塩酸水溶液
に加え、更にメタノールで洗浄後、淡黄色の粉末を回収
した。このサンプルをCDCl3に溶解し、NMRを測
定したところ、図2に示す様なスペクトルが得られた。
このスペクトルのフェノキシ樹脂の―CH―(4.33
ppm)の濃度と、Z基の導入された主鎖の―CH―
(5.59ppm)の相対比から、Zとして、MeO―
6 4 ―CH=CH―CH=C(CN)―CO基が、
約84%導入されたフェノキシ樹脂であることが確認さ
れた。DSCにより、Tgを測定したところ122.9
℃であった。
【0060】このサンプル10wt%のシクロヘキサノ
ン溶液をガラス板上に、1500rpmでスピンコート
を行い、約1μm程度の薄膜を得た。この薄膜を120
℃に加熱しながら約30分間図1に示すコロナ放電装置
で10KVを印加し、それに続けて電場を印加しながら
室温まで冷却して配向フイルムを得た。
【0061】このサンプルをm―line法で、屈折率
を測定した結果を図3に示した。全波長にわたりTE
波、TM波で、屈折率が異なり、膜厚方向に側鎖置換基
が配向している事が確認された。このフイルムサンプル
の膜厚方向に、波長1.06μのNd―YAGレーザを
照射した処、回転と共にSHGの単調増大するフリンジ
パターンが描かれ、配向性を確認する結果となった。水
晶をリファレンスとして、得られたd33は、28pm/
vであった。
【0062】
【実施例2】実施例1と同様の方法で、添加する酸クロ
リドの量を2.5gにして行ったところ、Zの含有率
が、約14%のフェノキシ樹脂(2)が得られた。Tg
は105.0℃であった。このサンプルも同様に、約
1.0μmのフイルムを作製し配向の存在が確認され
た。Nd―YAGレーザの入射に対して緑色の発光が観
測できて、SHG特性が認められた。この時の非線形光
学定数は、9pm/vであり、実施例1のフイルムサン
プルと比較して、Zの導入比に対応した非線形光学特性
が、確認された。
【0063】
【実施例3〜7】表1に示すフェノキシ樹脂を使用する
以外は、実施例1と同様の方法で非線形光学素子を作製
し、d33を測定したその結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【実施例8】非線形光学特性を有する芳香族共役化合物
として、5―[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―
2,4―ペンタジエナールを、実施例1で示したMeO
―C64 ―CH=CH―CH=C(CN)CO基が8
4モル%含有されている変性フェノキシ樹脂(1)と共
に(相対重量比60:100)、シクロヘキサノンに溶
解させ、これを1分間に1500回転のスピンコーター
により製膜し、膜厚1.2ミクロンのフイルムをパイレ
ックスガラス基板上に作製した。このガラス基板を、図
1に示すような平板電極上に置き、片側の線上電極の下
8mmのところに静置して95℃に加熱しながら12K
Vの電界を印加した。この状態での電界印加時間は10
分でコロナ放電を行った。得られた試料をNd―YAG
レーザーの1.06μmの波長の基本光を入射し、緑色
に発光する波長0.53μmの第二高調波を測定したと
ころ、入射角度の大きいところで、第二高調波が増大す
る傾向が観測されて、明らかに非線形光学材料の双極子
の方向が、膜厚に垂直に配列されていることが確認でき
た。水晶を標準品としたこの第二高調波の発生強度の大
きさから、d33は45pm/Vであった。また、別途m
―line法で、屈折率の波長分散を調べたところ入射
光がTE波と、TM波とでは、屈折率の絶対値が異なっ
ており、配向されていることが確認できた。
【0066】
【実施例9】有機化合物として、2―メトキシ―4―
(2―ニトロビニル)フェノールを変性フェノキシ樹脂
(1)(相対重量比40:100)と共にシクロヘキサ
ノンに溶解させ、実施例1同様に行ったところ、d33
値が41pm/Vの第二高調波が観測された。
【0067】
【実施例10】5―[4―メトキシフェニル]―2,4
―ペンタジエナールを、変性率14%の実施例2のフェ
ノキシ樹脂(2)と共にTHFに溶解させて、1.0μ
mの薄膜をスピンコーターで形成させ、115℃にて、
10KVの電界印加で配向処理を行い、実施例1と同様
のSHG評価を行ったところ、入射角に大してサイン関
数の単純増大を示し、配向が確認された。このフイルム
の非線形光学定数d33は、22pm/Vであった。
【0068】
【実施例11〜17】実施例8と同様に表1に示した実
施例3〜7に対応した変性フェノキシ樹脂に、表2に示
す芳香族化合物及び実施条件で実験を行い、いずれも表
2に示す第二高調波の発生が観測された。
【0069】
【表2】
【0070】
【実施例18】実施例1において、150℃で電場を印
加した以外は同様の方法で配向フイルムを得、d33が1
0pm/Vの非線形光学性能を観察した。
【0071】
【比較例1】実施例8において、芳香族共役化合物とし
てディスパース・レッド―1を10wt%用い、スピン
コーティング法によりフイルムを製膜したところ、結晶
が多数析出し不均一、不透明になってしまった。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロナ放電の概略を示す。
【図2】実施例1の変性フェノキシ樹脂のNMRチャー
トを示す。
【図3】実施例1で得られた、変性フェノキシ樹脂フイ
ルムのm―line法によるTE波、TM波の屈折率の
波長分散を示す。
【符号の説明】
11 高電圧電源 12 針 13 薄膜 14 基板 15 平板電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 [但し、式中―Ar1 ―は、一般式―Ar11―X―Ar
    12―で表わされ、―Ar 11―、―Ar12―は、同一又は
    異なる2価の炭素数6〜12の芳香族基で、Xは、メチ
    レン、イソプロピリデン、フェニルメチリデン、シクロ
    ヘキシリデン、1,2―シクロヘキシレン及びスルホン
    から選ばれる結合基を表す。Zは、下記一般式(II)で
    表される側鎖官能基を表す。 【化2】 但し、nは、0、1または2を表す。―Ar2 ―は、炭
    素数6〜14の芳香族基を表す。R1 ―は、R2 3
    ―で表されるアミノ基及びそのハロゲン化水素塩、R4
    ―O―で表されるエーテル基、R5 ―S―で表されるチ
    オエーテル基、シアノ基、―COOR6 または―OCO
    7 で表されるエステル基、―CONR89 、―NR
    10COR11で表されるアミド基、―R12で表される炭化
    水素基(R 2 からR12は、同一もしくは異なり、炭素数
    1〜8の1価の炭化水素基、または水素原子を表す)お
    よび水素原子からなる群より選ばれる官能基である。]
    および下記一般式(III ) 【化3】 [但し、式中―Ar1 ―は、式(I)中に表された―A
    1 ―を表す。]で表される繰り返し単位からなり、か
    つ(I)と(III )のモル比(I)/(III )が100
    /0〜1/99である膜状のフェノキシ樹脂であって、
    Zの双極子モーメントの方向が、膜厚方向に配向されて
    いることを特徴とする非線形光学素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の膜状フェノキシ樹脂に、
    該樹脂のガラス転移温度をTgとする場合、 【数1】(Tg+50)℃>T>(Tg−20)℃ の温度(T)で、0.5KV以上40KV以下の電圧を
    印加し、続けて電圧を印加しながら冷却を行うことを特
    徴とする非線形光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 非線形光学特性を発現しうる芳香族共役
    化合物が、請求項1記載の膜状フェノキシ樹脂からなる
    担体中に含有されてなり、かつ、該芳香族共役化合物の
    双極子モーメントの方向が、膜厚方向に配向されている
    非線形光学素子において、該芳香族共役化合物が、下記
    一般式(IV) 【化4】 [但しp、qは同一または異なり、1、2または3を表
    す。―Ar0 ―は、炭素数5〜14の芳香族基を表す。
    R―は、R13―O―で表されるエーテル基、R1415
    ―で表されるアミノ基、R16―S―で表されるチオエー
    テル基及びR17―の炭化水素基(R13〜R17は、同一ま
    たは異なる炭素数1〜3の1価の炭化水素基、または水
    素原子を表す)からなる群より選ばれる官能基であり、
    ―R0 は―CHO基もしくは、―NO2 を表す。]で表
    される化合物であることを特徴とする非線形光学素子。
  4. 【請求項4】 下記一般式(IV)で表される芳香族共役
    化合物を含有する請求項3記載の膜状担体に、請求項1
    記載のフェノキシ樹脂のガラス転移温度をTgとすると
    き、 【数2】(Tg+50)℃>T>(Tg−20)℃ の温度で直流電界を印加し、その後電界を印加しながら
    冷却を行うことを特徴とする膜厚方向に双極子モーメン
    トが配向された非線形光学素子の製造方法。 【化5】 [但しp、qは同一または異なり、1、2または3を表
    す。―Ar0 ―は、炭素数5〜14の芳香族基を表す。
    R―は、R1 ―O―で表されるエーテル基、R23
    ―で表されるアミノ基、R4 ―S―で表されるチオエー
    テル基及びR5 ―の炭化水素基(R1 〜R5 は、同一ま
    たは異なる炭素数1〜3の1価の炭化水素基、または水
    素原子を表す)からなる群より選ばれる官能基であり、
    ―R0 は―CHOもしくは、―NO2 を表す。]
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