JPH0631306Y2 - 液体燃料供給装置の逆止弁構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、下方に設置された燃料タンクの燃料を汲上げ
て各部屋の石油ストーブ等に送る液体燃料供給装置の燃
料流入側に設けられた逆止弁構造に関する。

［従来の技術］ 一般に二階以上の建物では、下方に大型の燃料タンクが
設置され、タンク内の燃料を液体燃料供給装置で一旦汲
上げてから各部屋の石油ストーブ等に送っている。この
液体燃料供給装置は、燃料吸入用のポンプと燃料レベル
を一定に保つフロートを有し、また燃料の吸入側には、
第２図に示すように逆止弁１とフィルタ２が配置されて
いる。逆止弁１は、弁体３、弁棒４、弁座５及びコイル
ばね６から構成され、弁体部分がポンプ固定用のゴム７
に固着されている。

従って、オイルカップ室８内のポンプ（第３図参照）が
作動すると、燃料タンク（図示せず）からの燃料９は、
点線矢印で示すように流入口１０、フィルタ２を通って
フィルタ室１１に入り、弁体３及び弁棒４を押し上げて
オイルカップ室８に流入する。逆にオイルカップ室８内
の燃料９が戻ろうとしても、その圧力が弁体３を弁座５
に押しつけるので燃料９がフィルタ室１１に逆流するこ
とはない。

［考案が解決しようとする課題］ 一方、燃料タンクには、外部からの雨水や内部の凝縮水
が燃料９に混入し、この水１２がフィルタ室１１に入る
と比重の違いにより底の方に溜まって次第に水位が上昇
する。逆止弁１の吸入口１ａから吸入される水は、吸入
口１ａの下方約５mmが限度であるから弁棒４の下端は常
時水１２に浸ることなり、冬期にこの水１２が凍結する
と弁棒４及び弁体３が動かなくなる。

本考案は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、燃料流入室内の水の凍結による
逆止弁の動作不良を確実に防止することのできる液体燃
料供給装置の逆止弁構造を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は上記目的を達成するために、燃料の流入側に逆
止弁が設けられると共に、逆止弁下方の燃料流入室内に
は逆止弁の弁棒が配置され、燃料タンクからの燃料を汲
み上げて燃焼装置に送る液体燃料供給装置の逆止弁構造
において、前記逆止弁の弁棒を一定の隙間を残してカバ
ーで被覆し、カバーの下端を弁棒の下端よりも下方に位
置させて燃料の吸入口として開口している。

［作用］ 本考案によれば、液体燃料供給装置の動作中に水が燃料
と共に燃料流入室内に浸入し、燃料流入室内の水位がカ
バーの下端まで上昇すると、燃料流入室内に溜まった水
がカバー下端の吸入口から燃料と共に吸い出されるた
め、燃料流入室内の水位は弁棒の下端よりも常に低く維
持され、冬期に燃料流入室内の水が凍結しても弁棒が動
かなくなることはない。

［実施例］ 第１図及び第３図には、各々本考案の逆止弁構造と液体
燃料供給装置が示されており、第２図と同じ部分には同
一番号を付してある。

液体燃料供給装置は、タンク１３の内部にロータリ型の
ポンプ１４、呼び液フロート１５、フロート１６、流出
弁１７及びオーバーフロー管１８が配置されて成り、タ
ンク１３の下方には燃料の９の流入口１０と流出口１９
が形成されている。また、逆止弁１の下方には燃料流入
室としてのフィルタ室１１が設けられ、フィルタ室１１
の流入側にはフィルタ２が設置されている。

ポンプ１４は、吸入口１０からタンク１３のメインタン
ク室２０に燃料を吸入するもので、その駆動軸２２が上
方のモータ２１から延びたモータ軸２１ａに連結されて
いる。ポンプ駆動用のモータ２１は、略円板形状の防振
ゴム２３によってタンク１３の上面に固定されている。

呼び液フロート１５は、タンク内の呼び液室２４に設置
され、上端の押しボタン２５とタンク上面との間に復帰
ばね２６が介装されている。呼び液室２４には一定量の
燃料が受容され、フロート１５が下降するとこの燃料が
連絡通路２７を通ってオイルカップ室８へと押し出され
る。この種のポンプ１４は、シーズンオフの後のように
オイルカップ室８に呼び液としての燃料が入ってないと
充分に汲上げができないが、予め呼び液室２４に燃料を
入れてポンプ１４の始動時にフロート１５を押せば簡単
に呼び液が確保される。また、この実施例では、呼び液
フロート１５を中心よりも図中右にずらして溢れた燃料
が全て通路２７側へ向かうようにしている。

フロート１６は、燃料の浮力によりフロート管２８に沿
って上下動し、フロート管２８内の複数のリードスイッ
チ（図示省略）が油面を検出して上方のランプ２９ａ，
２９ｂ，２９ｃに燃料の不足、適正、オーバー等を表示
するようになっている。

流出弁１７は、燃料の流出口１９を開閉するもので、弁
棒３０がガイド３１に沿って上下動可能であり、上端に
屈曲したレバー３２が設けられている。また、図示して
ないがガイド３１には、レバー３２を係止させる切欠き
が形成され、流出弁１７の開放及び閉鎖位置で弁棒３０
を固定できるようになっている。

オーバーフロー管１８は、下端の開口３３が戻り管を介
して燃料タンク（図示省略）に接続され、メインタンク
室２０内の燃料が上限を超えるとオーバーした分が下方
のタンクに戻される。

一方、本実施例の逆止弁１では、第１図に示すようにフ
ィルタ室１１内に配置された弁棒４の周囲が一定の隙間
をおいてカバー３４により被覆されている。カバー３４
は、上端が弁座５と一体に固着され、その下端は燃料１
２の吸入口３５として開口している。また、カバー３４
の直径は、燃料と共に水も吸上げられる程度（約２５mm
以下）に設定され、下端の吸入口３５は弁棒４の下端よ
りも下に形成されている。

従って、最初に液体燃料供給装置を使用する場合は、呼
び液室２４に燃料を入れてからボタン２５（第３図）を
押して呼び液フロート１５を下降させ、呼び液室２４の
燃料をオイルカップ室８に送り込む。但し、シーズン中
は、オイルカップ室８に一定の燃料が入っているのでこ
の操作は省略できる。ここでポンプ１４を動作させる
と、オイルカップ室８側の圧力がフィルタ室１１の圧力
よりも小さくなるので、燃料タンク（図示せず）からの
燃料９は、流入口１０、フィルタ２、フィルタ室１１に
流入する。次いでこの燃料９は、カバー３４の吸入口３
５（第１図）から吸上げられて上昇し、弁体３を押し上
げてオイルカップ室８からメインタンク室２０に入る。

カバー３４の吸入口３５は、フィルタ室１１の底部近く
に達しているので、燃料９に混入した水１２の大部分が
同時に吸上げられ、第２図と比較して分るように常時残
る水１２は吸入口３５の下方約５mmとわずかである。従
って、残った水１２が凍結しても弁棒４は上下動でき、
燃料９の吸上げに支障はない。カバー３４の吸入口３５
は、弁棒４の下端と同じかより低いのが望ましいが、実
験によれば弁棒４の下端より若干（５mm程度）上でも充
分な効果が得られている。

メインタンク室２０に燃料９が流入するに伴なって第３
図のフロート１６が上昇し、適正量になるとフロート管
２８のリードスイッチ（図示せず）が働いてポンプ１４
が停止され、ランプ２９ｂが点灯される。燃料供給装置
の使用中は、流出弁１７が開放されているので、メイン
タンク２０内の燃料は流出口１９を通ってストーブや給
湯機のバーナへと送られる。タンク６内でオーバーした
燃料は、オーバーフロー管１８から燃料タンクに戻さ
れ、逆にタンク６内の燃料面が所定値以下に下がると、
リードスイッチの作用で再びポンプ１４が動作する。

［考案の効果］ 以上詳述したように、本考案における液体燃料供給装置
の逆止弁構造によれば、燃料流入室内に溜まった水の水
位の弁棒の下端よりも常に低く維持することができるの
で、燃料流入室内の水の凍結による逆止弁の動作不良を
確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る逆止弁構造の縦断面図、第２図は
従来における逆止弁構造の縦断面図、第３図は液体燃料
供給装置の簡略断面図である。 １…逆止弁、３…弁体 ４…弁棒、５…弁座 ９…燃料、１１…フィルタ室 １２…水、１４…ポンプ ３４…カバー、３５…吸入口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料の流入側に逆止弁が設けられると共
   に、逆止弁下方の燃料流入室内には逆止弁の弁棒が配置
   され、燃料タンクからの燃料を汲み上げて燃焼装置に送
   る液体燃料供給装置の逆止弁構造において、 前記逆止弁の弁棒を一定の隙間を残してカバーで被覆
   し、 カバーの下端を弁棒の下端よりも下方に位置させて燃料
   の吸入口として開口した ことを特徴とする液体燃料供給装置の逆止弁構造。