JPH06310278A - 電界発光素子およびこれを用いた表示装置 - Google Patents

電界発光素子およびこれを用いた表示装置

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JPH06310278A
JPH06310278A JP5095961A JP9596193A JPH06310278A JP H06310278 A JPH06310278 A JP H06310278A JP 5095961 A JP5095961 A JP 5095961A JP 9596193 A JP9596193 A JP 9596193A JP H06310278 A JPH06310278 A JP H06310278A
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electron
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宏幸 渕上
Yuji Hizuka
裕至 肥塚
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発光効率が高く、発光色の制御が容易にで
き、かつ、安定に動作する有機電界発光素子を提供す
る。 【構成】 有機化合物からなる発光層1と、該発光層1
の両側にそれぞれ設けられると共に該発光層1に電荷を
注入するための正極2および負極3からなる一対の電極
と、該負極3と前記発光層1とのあいだに真空領域から
なる電子移動層5が設けられている。また前記負極3は
冷陰極からなることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機化合物を発光層と
する電界発光素子に関する。さらに詳しくは、発光色を
容易に制御でき、かつ、長期間安定に動作する電界発光
素子および該電界発光素子を用いたフラットパネルディ
スプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】固体発光素子として、GaAsをはじめ
とする化合物半導体、すなわち直接遷移型無機半導体を
発光物質とする発光ダイオードにより高効率の発光が達
成されている。しかしながら、これら発光ダイオードを
用いて大面積表示を行うには、製造方法として主に液相
エピタキシャル成長法を用いているため、作製プロセス
上およびコスト上問題がある。
【0003】また一方、多結晶ZnS系、SiCおよび
多孔質Siなどが発光材料として検討されているが、発
光効率が低いことおよび信頼性の点で問題がある。
【0004】このように従来の電界発光素子は発光層が
無機化合物で構成され、大面積表示を行うには発光効
率、作製プロセスおよびコストのいずれかの点で問題が
ある。また、同時に材料的な制約から発光色を制御する
ことが困難である。
【0005】そこで、高輝度大面積発光への期待から、
蛍光量子収率が高く、成形性に富む有機分子半導体が注
目され、電界印加により引き起こされる電子と正孔の注
入により発光する素子(電界発光素子)が検討されてい
る。この素子は、対向する正極と負極からそれぞれ注入
された正孔(ホール)と電子とが発光物質中で再結合
し、励起状態を経由して発光する。ここで正孔と電子を
電荷またはキャリアと総称する。
【0006】有機分子半導体による電界発光(EL)に
関する研究は、強い蛍光を示すアントラセンなどの単結
晶において、キャリア注入によるEL発光現象の発見に
端を発し、薄膜型素子へ展開されている。最近、正孔輸
送層および電子輸送層を発光層と電極とのあいだに挿入
した積層型有機薄膜EL素子により、高輝度発光および
低駆動電圧での動作が報告されている(たとえば特開昭
63-295695号公報または「アプライド フィジックス
レター(Appl. Phys. Lett.)」51巻913頁、1987年参
照)。
【0007】図9にこの素子の構造図を示す。本素子
は、発光層1としてキノリノール金属錯体を用い、正孔
を選択的に輸送する正孔輸送層7となるトリフェニルジ
アミン誘導体との2層型構造からなっている。正孔を正
孔輸送層7を介して発光物質に注入する正極2と電子を
発光層1に注入する負極3とにより前記発光層1ならび
に正孔輸送層7を挟んでいる。基板4は、前記各層1、
2、3、7を支持するものである。この素子において、
正極2と負極3とのあいだに電圧を印加することにより
高効率の電界発光を実現している。
【0008】さらに、発光効率を上げる目的で、前述の
素子に電子輸送層を発光層1と負極3とのあいだに挿入
した3層構造のEL素子が検討されている(たとえば
「ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィ
ジックス(Jpn. J. Appl. Phys.)」27巻、L269頁、1988
年参照)。
【0009】前述の発光物質である有機分子半導体は、
真空蒸着により容易に薄膜に形成され、発光効率も高
く、かつ有機合成により発光色を制御できるため、マル
チカラー化が可能という長所を有する。この発光物質と
して、前記キノリノール金属錯体などの低分子半導体が
用いられるほか、ポリ(p−フェニレンビニレン)(た
とえば「ネイチャー(NATURE)」347巻、539頁、1990年参
照)およびそのアルコキシ基置換誘導体(たとえば「ア
プライド フィジックス レター(Appl. Phys. Let
t.)」58巻、1982頁、1991年参照)、ポリ(3−アルキ
ルチオフェン)(たとえば「ソリッド ステイト コミ
ュニケーション(Solid State Commun.)」80巻、605頁、
1991年参照)などの高分子半導体を用いたEL素子が試
作されている。この高分子半導体の特徴は、発光層の作
製に真空系を必要とせず、所望の基板上にスピンコート
法、キャスト法などにより容易に均一な薄膜として形成
できること、および分子の構造安定性に富むことであ
る。また、これらの薄膜は、無機半導体に比べて柔軟性
に富み、基板としてポリエチレンテレフタレートなどの
フィルムを用いたばあい、フレキシブルな大面積発光ダ
イオードがえられる(たとえば「ネイチャー(NATUR
E)」、357巻、477頁、1992年参照)。また、化学的手法
により所望の分子を合成することにより、青色から赤色
まで発光色を制御することができる(たとえば「ネイチ
ャー(NATURE)」、356巻、47頁、1992年参照)。
【0010】このように、有機化合物を発光物質とすれ
ば、発光効率が高くなり、容易に大面積素子を作製する
ことができ、かつ、化学的多様性により容易に発光色を
制御でき、前記無機化合物の問題を解決できる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機分
子半導体を発光物質とするEL素子共通の実用上の大き
な問題として、電界発光素子の動作がきわめて不安定
で、長寿命安定性に欠けるという問題がある。この原因
は、発光物質に電子を効率的に注入するため、イオン化
ポテンシャルが小さい(仕事関数が小さい)金属を陰極
側電極材料として用いなければならず、この電極が空気
中の酸素および/または水によって容易に酸化され電子
の注入電極としての機能を果たさなくなるためである。
【0012】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、発光効率が高く、発光色の制御が容易
にでき、かつ、安定に動作する有機電界発光素子を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の電
界発光素子は、有機化合物からなる発光層と、該発光層
の両側にそれぞれ設けられると共に該発光層に電荷を注
入するための正極および負極からなる一対の電極と、該
負極と前記発光層とのあいだに設けられた真空領域から
なる電子移動層とからなるものである。
【0014】また請求項2記載の発明の電界発光素子
は、有機化合物からなる発光層と、該発光層に正孔(ホ
ール)を注入するための正極と、前記発光層に電子を注
入するための冷陰極からなる負極と、該負極と前記発光
層とのあいだに設けられた真空領域からなる電子移動層
とからなるものである。
【0015】前記電界発光素子は前記正極と前記発光層
とのあいだに固体膜からなる正孔輸送層が設けられてい
ることが、正極からの正孔が効率よく発光層に輸送され
るため好ましい。
【0016】さらに前記電界発光素子は前記発光層と前
記真空領域からなる電子移動層とのあいだに固体膜から
なる電子輸送層が設けられていることが、冷陰極からの
電子が効率よく発光層に輸送されるため好ましい。
【0017】さらに前記電界発光素子は前記正極と前記
発光層とのあいだに固体膜からなる正孔輸送層が設けら
れると共に、前記発光層と前記真空領域からなる電子移
動層とのあいだに固体膜からなる電子輸送層が設けられ
ていることが、正極からの正孔と冷陰極からの電子が効
率よく発光層に輸送されるため好ましい。
【0018】さらに前記電界発光素子は前記発光層が、
電気的、かつ、光学的に不活性な材料に(a)有機化合物
である発光材料と(b)正孔および/または電子を輸送す
る材料とを分散せしめて形成されていることが、発光層
に達した正孔または電子が前記発光材料中に効率よく輸
送されるため好ましい。
【0019】さらに前記電界発光素子は前記発光層が、
正孔または電子を輸送する材料中に有機化合物である発
光材料を分散せしめて形成されていることが、発光層に
達した正孔または電子が前記発光材料中に効率よく輸送
されるため好ましい。
【0020】また、本発明の表示装置は、前記いずれか
の構造を有する電界発光素子がアレイ状またはマトリッ
クス状に並べられ、該電界発光素子の各々が画素を形成
してなるものである。
【0021】
【作用】本発明によれば、発光色の制御が容易にでき、
かつ発光効率の高い有機化合物を発光層として用い、し
かも発光層と負極とのあいだに電子移動層として真空領
域が形成されている。この結果、正極と負極間に印加さ
れる電界によって、電子は真空領域からなる電子移動層
に放出され、前記電子移動層中を移動し有機化合物から
なる発光層に達する。一方、正孔は正極から直接発光層
に達し、発光層に達した正孔および電子が再結合するこ
とにより本素子は発光する。そのため負極として化学的
に不安定な材料を用いる必要がなく、また負極が真空中
に封入されているため、電極材料によらず効率よく安定
に動作できる。また、発光層として有機化合物を用いて
いるため、大面積上に作製できると共に、発光色の制御
を容易にできる。
【0022】また、とくに真空領域からなる電子移動層
を介して有機化合物からなる発光層に電子を効率よく注
入するための負極として冷陰極を用いることにより、電
子移動層である真空領域中に電子を効率よく放出できる
し、また電界により放出電子量を制御できる。そのた
め、効率よく電子を発光層に供給でき、発光輝度を向上
できる。また、有機化合物からなる発光層および負極か
らなる冷陰極は大面積上に作製できるため、大面積発光
素子を構成できる。
【0023】また、冷陰極から放出された電子を真空領
域からなる電子移動層を介し、有機化合物からなる発光
層に注入する電界発光素子において、正極と発光層との
あいだに正孔輸送層を設けることにより、正極と負極間
に印加される電界によって正極からの正孔は正孔輸送層
中を移動し、効率よく発光層に達する。この正孔輸送層
に、正孔移動度が高く、または発光層より大きな仕事関
数を有する材料を使用することにより、正極からの正孔
を効率よく発光層まで輸送し、正孔を効率よく発光層に
注入することができる。そのため、安定に動作し、発光
輝度の向上を達成することができる。
【0024】また、発光層と真空領域からなる電子移動
層とのあいだに電子輸送層を設けることにより、正極と
負極間に印加される電界によって冷陰極から放出される
電子は、真空領域からなる電子移動層を経て電子輸送層
に達し、さらに、電子は該電子輸送層中を移動して発光
層に達する。そのため、その電子輸送層に電子移動度が
高く、または発光層より小さな仕事関数を有する材料を
用いることにより、負極である冷陰極からの電子を効率
よく発光層まで輸送し、電子を効率よく発光層に注入す
ることができる。その結果、安定に動作し、発光輝度の
向上を達成することができる。
【0025】さらに、正極と発光層とのあいだに正孔輸
送層を設け、かつ、発光層と真空領域からなる電子移動
層とのあいだに電子輸送層を設けることにより、正極と
負極間に印加される電界によって正極からの正孔は正孔
輸送層中を移動し、発光層に達する。一方、正極と負極
間に印加される電界によって冷陰極からの電子は、真空
領域からなる電子移動層に放出されて電子輸送層に達し
たのち、前記電子輸送層中を移動し、発光層に達する。
この正孔輸送層に正孔移動度が高く、または発光層より
大きな仕事関数を有する材料を使用し、電子輸送層に電
子移動度が高く、または発光層より小さな仕事関数を有
する材料を使用することにより、正極からの正孔を効率
よく発光層まで輸送し、正孔を効率よく発光層に注入す
ると共に、負極である冷陰極からの電子を効率よく発光
層まで輸送し、電子を効率よく発光層に注入することが
でき、安定に動作し、発光輝度の向上を達成することが
できる。
【0026】また、有機化合物である発光材料と正孔お
よび/または電子を輸送する材料を電気的、かつ、光学
的に不活性な材料に分散させた発光層を用いることによ
り、印加される電界によって冷陰極からの電子は、真空
領域からなる電子移動層に放出され、前記発光層に達
し、正孔は正極から直接前記発光層に達する。一方、発
光層に達した正孔および電子は、電気的、光学的に不活
性な材料中に分散せしめられた発光材料中に効率よく輸
送され、再結合し、発光を引き起こす。そのため、安定
に動作し、発光輝度の向上を達成できる。
【0027】また、有機化合物である発光材料を正孔輸
送材料または電子輸送材料中に分散せしめた発光層を用
いることにより、印加される電界によって、電子は冷陰
極から真空領域からなる電子移動層に放出され、前記発
光層に達すると共に、正孔は正極から直接前記発光層に
達し、発光層に達した正孔および電子は、正孔輸送材料
または電子輸送材料を介して前記輸送材料中に分散せし
められた発光材料中で再結合し、発光を引き起こす。そ
の結果、効率よく電子を発光層に注入でき、発光層に達
した正孔または電子は前記発光材料中に効率よく輸送さ
れ、発光輝度の向上を達成できる。
【0028】さらには、前述した電界発光素子を複数個
アレイ状またはマトリックス状に並べ、各画素を形成す
ることにより、安定に動作し、かつ、発光色を任意に選
択しうる、発光タイプの表示装置がえられる。
【0029】
【実施例】つぎに本発明を具体的に図面を用いて説明す
るが、もちろん本発明がこれらによって限定されるもの
ではない。
【0030】図1は本発明の電界発光素子の実施例の基
本構成を示す断面図である。図1において、1は有機化
合物からなる発光層、2は正極、3は負極、4は基板、
5は真空領域からなる電子移動層、6は対向基板であ
る。本発明の電界発光素子は、正極2と負極3とのあい
だに印加された電界により、電子が負極3より真空領域
からなる電子移動層5へ放出され、電子移動層5中を移
動し、有機化合物からなる発光層1に達する。一方、正
孔は正極2から直接発光層1に注入される。発光は、発
光層1中に注入された電子と正孔が再結合することによ
り引き起こされるものと考えられる。本発明において
は、真空領域からなる電子移動層5が挿入されているた
め、電極の材料にかかわらず効率良く、かつ、安定に電
子を発光層へ注入することができ、また負極3が真空中
に封入されているため、安定して動作する。
【0031】発光層1としては、発光しうる有機化合物
であればどのようなものでも良いが、たとえばアントラ
セン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、ペンタセ
ン、テトラセン、クリセン、ペリレンおよび他の縮合環
発光材料、ジスチリルベンゼン、ビススチリルアントラ
センなどスチリル系化合物、キノリノール金属錯体(金
属キレート化オキシノイド化合物)、アゾメチン金属錯
体、アリールブタジエン、スチルベン、芳香族アルダジ
ン化合物、クマリン、ペリノン、チアジアゾールピリジ
ン、ヒドラゾン、オキサジアゾール、ピラゾリン、チア
ジアゾロピリジン、ペンタフェニルシクロペンタジイ
ン、ローダミン色素およびフルオレセイン色素などのキ
サンテン色素、ジシアノメチルピラン色素、シアニン色
素、ポリメチン色素、アクリジン色素、オキサジン色
素、ピリリウム色素、オキソベンズアントラセン色素な
どおよびこれら誘導体などの発光性のある各種低分子材
料、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビ
ニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(3
−アルキルチオフェン)、ポリ(3−アルキルフルオレ
ン)、ポリアニリンなどおよびこれら誘導体および共重
合体などの発光性の高分子有機材料あるいは低分子発光
材料を高分子の主鎖および側鎖に組み込んだものを使用
することができる。なお、発光効率を高めるために、前
記発光材料にどのような有機色素材料をドープしても構
わない。発光層1としてこのような有機化合物を用いて
いるため、有機合成により発光色を制御でき、かつ大面
積発光が可能である。
【0032】発光材料の薄膜作製法としては、真空蒸着
法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービ
ーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーテ
ィング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合
法、電解重合法、化学重合法、スピンコート法、キャス
ト法、ディッピング法、ロールコート法、バーコート
法、LB法などが挙げられ、材料に応じて使用できる。
発光材料薄膜の膜厚としては、とくに制限はないが、一
般に3000Å以下が好ましい。発光層が厚すぎると、注入
された電子および正孔の発光層中の移動距離が長くな
り、その結果、電子と正孔の再結合の確率が低下し、発
光強度が減少するからである。膜厚の下限は、周辺の構
成によるが、100Å程度が好ましい。発光層が薄すぎる
と、電子と正孔が発光層中で再結合せずに、発光層を単
に通過してしまい、発光強度が減少するからである。
【0033】正極2として用いられるものは、とくに制
限されないが、炭素、アルミニウム、バナジウム、クロ
ム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウ
ム、砒素、セレン、モリブデン、テクネチウム、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、錫、ア
ンチモン、テルル、タンタル、タングステン、レニウ
ム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、鉛、ビ
スマス、ポロニウム、チタンなどの金属およびこれらを
組み合わせた合金、ヨウ化銅、ガリウム砒素などの化合
物、低抵抗ポリシリコン、低抵抗アモルファスシリコン
などの低抵抗半導体や錫酸化物、酸化インジウム、イン
ジウム・錫酸化物(ITO)などの透明電導材料が用い
られる。また、ポルフィリン類、金属ポルフィリン類、
フタロシアニン類、金属フタロシアニン類、メロシアニ
ンなどの低分子有機半導体、およびテトラチアフルバレ
ン(TTF)、テトラシアノキノジメタン(TCN
Q)、およびその錯体(TTF−TCNQ)で代表され
る各種低分子および高分子の電子移動錯体も用いること
ができ、これらの化合物を2種類以上組み合わせて用い
てもよい。さらに、たとえばポリアセチレン、ポリピロ
ール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロ
ール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)、ポリチオフ
ェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二
置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン、ポリイソチ
アナフテン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ
(p−フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(2,5−チ
エニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレ
ン)誘導体、ポリ(2,5−フリレンビニレン)、ポリ
(2,5−フリレンビニレン)誘導体、ポリアニリン、
ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(2−置換アニリ
ン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−二置
換アニリン)、ポリジアセチレン類、ポリアズレン、ポ
リピレン、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾ
ール)、ポリセレノフェン、ポリフラン、ポリベンゾフ
ラン、ポリパラフェニレン、ポリインドール、ポリピリ
ダジン、ポリアセン、グラファイト状高分子など、また
はこれら2種類以上の共重合体およびそれらの両親媒性
誘導体などのπ−共役系高分子を使用することができ
る。これら高分子の繰り返し単位数には制限がなく、繰
り返し単位数4以上のオリゴマーも使用できる。また、
必要に応じてこれら材料の電導度を上げるためにドーピ
ングが施される。ここで、前記正極を設ける方法として
はメッキ、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、
イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム
法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリン
グ法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スピ
ンコート法、キャスト法、ディッピング法、ロールコー
ト法、バーコート法、LB法などが挙げられ、材料に応
じて使用できる。なお、本電極としては、電界により発
生した光が効率よく外部に出射できるよう、発光波長領
域の吸収が小さいものが好ましい。また正極の厚さは、
とくに制限されないが、数十nm〜数十μmが好まし
い。厚すぎると、金属系の材料では、透明度が損なわ
れ、薄すぎると、抵抗が増加するからである。
【0034】負極3として用いられるものは、とくに制
限されないが、前記正極2と同様の材料およびカルシウ
ム、マグネシウムなどのアルカリ土類、ユウロピウムな
どの希土類などを用いることができる。また、負極3の
厚さは、とくに制限されないが、数十nm〜数十μmが
好ましい。厚すぎると、動作上問題はないが、作製に時
間を要し、薄すぎると、抵抗が増加するからである。
【0035】基板4および対向基板6には電気絶縁性の
材料であればいずれをも使用することができるが、具体
的には、ガラス、アルミナ焼結体やポリイミドフィル
ム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポ
リフェニレンスルフィドフィルム、ポリパラキシレンフ
ィルムなどの各種絶縁性プラスチックなどを使用するこ
とができる。
【0036】また、真空領域からなる電子移動層5の真
空度としては、とくに制限されないが、陰極からの電子
の放出効率の点から、10-1Paより高真空が好ましい。
また、真空領域からなる電子移動層の厚さとしては、と
くに制限はないが、一般に100μm〜10mmが好まし
い。余り厚すぎると電子が分散し発光面にボケが生じ
る、発光層への到達確率が低下する、発光させるた
めの陰極に印加する電圧が増加する、構造的に真空を
保持できないなどの問題があるからである。一方余り薄
くすると、高電圧印加で異常放電を起こすばあいがある
からである。
【0037】また電子移動層を真空にする方法の具体例
としては、電界発光素子からなるパネルの端部におい
て、基板と対向基板とのあいだにスペーサー用のフレー
ムを挿入し、接着剤あるいは溶着材料により互いに接合
させる。そののち、パネルの一端または基板ないし対向
基板に設けられたガラス管からなる排気口から真空排気
を行い、排気を行いながらガラス管を加熱溶融し、真空
封止を施す。なお、真空排気を行う際に、吸着している
ガスを放出するために、加熱してもよい。
【0038】さらに、電解発光素子の負極、すなわち電
子源としては、熱陰極(フィラメントカソード)、プラ
ズマ陰極、冷陰極などの方式を用いることができる。負
極としては制限はないが、消費電力、コスト、負極の安
定性などから冷陰極が好ましい。
【0039】冷陰極としては、電界放出陰極、なだれ陰
極、トンネル陰極、光照射陰極などがあげられ、このう
ちどれを用いても構わない。いずれの陰極も、通常、リ
ソグラフィーやドライエッチングなどの半導体微細加工
技術を用いて作製できる。まず、電界放出陰極以外の冷
陰極について以下に説明する。
【0040】なだれ陰極は、薄いpn接合、pin接合
またはショットキー接合に逆バイアスを印加したときに
起きるなだれ降伏により電子を放出する冷陰極である。
これは、接合中の電子に逆バイアスを印加して空乏層内
になだれ増幅を起こし、生成された電子が電界により加
速され、表面の薄いn++層または金属層などを透過して
真空中に放出される陰極である。本陰極は、ゲート電極
に正、負の電位を印加することによって放出電子を発散
状態から集束ビーム状態に変化させることができる。
【0041】トンネル陰極は、仕事関数の大きな電極側
に、本電極表面の真空障壁より大きな正の電圧を印加
し、真空領域へ電子を放出する陰極である。構造として
は、たとえばAl/Al23/Auなどの通常のMIM
(金属/絶縁体/金属)、またはSIM(半導体/絶縁
体/金属)、SIS(半導体/絶縁体/半導体)構造ま
たは2重障壁を有する共鳴トンネル構造があげられる。
ここで、絶縁体中での電子の散乱を低減するため、絶縁
体として結晶膜を用いてもよい。
【0042】光照射陰極は、本陰極にレーザー光を照射
し、発生した電子を引き出す光電子陰極である。
【0043】つぎに代表的な冷陰極として電界放出陰極
を例に、本発明をより具体的に説明する。
【0044】[実施例1]図2は、本発明の負極を冷陰
極で構成した電界発光素子の一実施例の基本構成を示す
断面図である。ここで、1〜6は図1と同じ部分、材料
を示し、10は冷陰極チップ、11は冷陰極、12はゲート電
極、13は絶縁膜である。本実施例において、電子は冷陰
極11とゲート電極12間に印加された電圧によって、冷陰
極チップ10先端から放出される。放出された電子は冷陰
極11と正極2間に印加された電圧によって真空中を移動
し、発光層1に到達する。一方、正孔は正極2から直接
発光層1に供給される。発光は、供給された正孔と電子
の再結合によりひき起こされると考えられ、本実施例で
は、負極として冷陰極11が用いられていることにより電
子をより効率よく発光層1に供給できるため、発光輝度
を向上することができる。
【0045】ここで、冷陰極チップ10の形状はとくに制
限されないが、単一チップからの電子放出効率の増大、
面平均電流の増大および動作ゲート電圧の低減のため
に、できるだけチップ先端が鋭い方が好ましい。
【0046】ゲート電極12としては、前述の正極2と同
様のものが用いられる。またゲート電極の厚さは、とく
に制限されないが、数十nm〜数十μmが好ましい。あ
まり厚すぎると、動作上問題はないが、作製に時間を要
し、薄すぎると、抵抗が増加するからである。
【0047】絶縁膜13としては、電気絶縁性のものであ
れば無機、有機のいずれの材料でも使用可能であり、一
般的には酸化シリコン、チッ化シリコン、酸化アルミニ
ウム、チッ化アルミニウム、酸化チタン、ポリエチレ
ン、ポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフ
ィド、ポリパラキシレン、ポリアクリロニトリルおよび
各種絶縁性LB膜などが用いられる。もちろん、これら
の材料を2つ以上併せて用いてもよい。
【0048】これらの絶縁膜13の作製法としてはとくに
限定されないが、たとえばCVD法、プラズマCVD
法、プラズマ重合法、蒸着法、スピンコーティング法、
ディッピング法、イオンクラスタビーム蒸着法およびL
B法などが挙げられ、いずれをも使用することができ
る。また、絶縁膜13の膜厚は、とくに制限はないが数十
nm〜数十μmが好ましい。余り厚すぎると電子を放出
するためのゲート印加電圧が有効に作用しなくなり、薄
すぎると印加電圧による絶縁破壊により陰極とゲート電
極が短絡する可能性が増加するからである。冷陰極チッ
プ10先端上のゲート電極12の開口部の幅は、とくに制限
されないが、数十nm〜数十μmが好ましい。余り広す
ぎると電子を放出するためのゲート印加電圧が有効に作
用しないからであり、狭すぎると放出した電子がゲート
電極に捕らわれてしまうからである。
【0049】なお、本実施例では冷陰極として電界放出
陰極を一例として用いているが、もちろんいかなる方式
のものでも構わない。以下の各実施例においても、冷陰
極として代表的な電界放出陰極を用いた電界発光素子に
ついて説明するが、ここで述べたように、いかなる方式
の冷陰極でも構わない。
【0050】本実施例のように、負極に電界放出冷陰極
が用いられるばあい、その作製法は、各種半導体微細加
工技術が好まれて用いられる。
【0051】たとえば、ひとつの方法として、基板上の
絶縁膜および絶縁膜上のゲート電極をエッチングし、そ
の上に基板を回転しながら斜め蒸着することによりマス
ク層を形成し、その上から陰極材料を蒸着することによ
り基板上に陰極チップを形成する手法が挙げられる。具
体的には、まず、表面ドープを施すことにより導電性を
良くしたSi基板にたとえばSiO2などの絶縁層およ
びMo、Nbなどの金属を成膜したのち、写真製版、エ
ッチングによって金属部分に円形の開口部を設ける。こ
の金属をマスクとして、絶縁層をテーパエッチングし、
さらにAu、Niなどの金属を回転斜め蒸着することに
より開口部を小さくする。そののち、エミッタ材料とな
るたとえばMoなどの金属を真空蒸着すると、開口部の
直径が堆積膜厚の増大と共に減少し、やがて塞がってし
まうことを利用し、基板上に円錐型のエミッタチップを
形成できる。本方法では、先端の曲率半径が約0.05μm
程度のコーン型エミッタがえられる。最後に、Al、N
iなどのマスク金属をエッチングして完成する。
【0052】また、別の作製法として、たとえばSi単
結晶などの陰極材料上にSiO2などの絶縁体パターン
を形成し、陰極材料をRIE(Reactive Ion Etching)
などにより選択エッチングすることにより陰極チップを
形成し、陰極チップが形成される場所以外の基板上に絶
縁体を、さらに絶縁体上にゲート電極を形成する手法が
あげられる。具体的には、まず、あらかじめリンなどを
ドープしたSi基板の(100)面に、SiO2、SiNなど
からなる絶縁層を堆積したのち、写真製版、エッチング
により絶縁層を円盤状に加工する。つぎに、これをマス
クとしてSiの結晶異方性を利用したエッチングを行
い、円錐形状に加工する。さらに、絶縁層と金属を堆積
したのち、写真製版、エッチングにて引出し電極をつけ
て完成する。ここであげた材料のばあい、エッチング液
としては、KOH、IPA、H2Oを混合したものなど
が用いられる。
【0053】その他の作製法として、Siの熱酸化とR
IEを利用する方法があげられる。具体的には、SiN
上に形成した酸化膜をマスクとしてRIEによりSiを
エッチングする。サイドエッチで生じる条件でRIEを
行い、マスクが残っている状態でエッチングを終了す
る。この状態では陰極先端は尖っていないが、Siを熱
酸化して表面に酸化膜を形成すると、内部にSiの非常
に鋭い先端が形成される。ゲート電極などを蒸着後、熱
酸化膜をエッチングするとSiの陰極チップがえられ
る。
【0054】電界放出冷陰極の作製法としては、以上あ
げたものに限らず、それ以外の方法、たとえばイオンミ
リングを利用する方法などでも構わない。以下の各実施
例においても同様である。
【0055】さらに本発明の電界発光素子では、発光層
に正孔または電子をより効率よく供給するために、正極
と発光層のあいだに正孔輸送層、および/または負極と
発光層のあいだに電子輸送層を挿入してもよい。以下
に、その実施例について説明する。
【0056】[実施例2]図3は本発明の電界発光素子
の他の実施例の構成図の一例である。ここで、7以外の
1〜13は実施例1と同じ部分、材料を示し、7は固体膜
からなる正孔輸送層である。本実施例では、発光層1と
冷陰極チップ10のあいだに真空領域からなる電子移動層
5が設けられており、また正極2と発光層1のあいだに
固体膜からなる正孔輸送層7が設けられている。
【0057】固体膜からなる正孔輸送層7としては、正
孔を容易に移動できるものであればどのようなものでも
構わない。たとえば、トリフェニルジアミン、テトラア
リールジアミンなどの芳香族ジアミン化合物、ポリチエ
ニレンビニレン、ヒドラゾン、ポリビニルカルバゾー
ル、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、
テトラフェニルベンジジン、キナクリドン、ポルフィリ
ン、フタロシアニンおよびこれら誘導体などがあげられ
る。
【0058】また正孔輸送層の膜厚としては、とくに制
限はないが、1μm以下が好ましい。あまり厚すぎる
と、正孔の発光層に達する確率が低下するからである。
【0059】本実施例において、正極2と冷陰極11のあ
いだに印加された電界によって、正孔は正極2から正孔
輸送層7を介して、発光層1に供給される。ここで、正
孔輸送層7は、正孔移動度が高い、および/または発光
層1に正孔を注入し易い仕事関数を有する固体膜であ
り、これにより正孔を効率よく発光層1に供給できる。
一方、印加された電界によって、電子は冷陰極11から真
空領域からなる電子移動層5を介して発光層1に供給さ
れる。発光は、供給された正孔と電子の再結合により引
き起こされると考えられ、本実施例では、正孔輸送層7
が設けられることにより正孔をより効率よく発光層1に
供給できるため、発光輝度を向上することができる。
【0060】[実施例3]図4は本発明の電界発光素子
のさらに他の実施例の構成図の一例である。ここで、8
以外の1〜13は実施例1と同じ部分および材料を示し、
8は固体膜からなる電子輸送層である。この例では、発
光層1と冷陰極10のあいだに真空領域からなる電子移動
層5が位置しており、また発光層1と電子移動層5のあ
いだに固体膜からなる電子輸送層8が設けられている。
【0061】固体膜からなる電子輸送層8としては、電
子を容易に移動できるものであればどのようなものでも
構わない。たとえば、オキサジアゾール、1−4−ジフ
ェニルブタジイン、テトラフェニルブタジイン、トリフ
ェニルメタン、ピラゾリン、クマリン、スチルベン、ト
リニトロフルオレン、アントラキノン、ペリレン、アン
トラセン、ナフタレン、フェナンスレン、ピレン、クリ
セン、シリコンカーバイド、ポリビニルカルバゾールお
よびこれらの誘導体などがあげられる。
【0062】さらに、固体膜からなる電子輸送層の膜厚
としては、とくに制限はないが、一般に1μm以下が好
ましい。余り厚すぎると電子が発光層に到達する確率が
低下するからである。
【0063】本実施例において、正極2と冷陰極11のあ
いだに印加された電界によって、電子は冷陰極チップ10
から、真空領域からなる電子移動層5を介して電子輸送
層8に達する。さらに、電子は電子輸送層8中を移動
し、発光層1に供給される。ここで、電子輸送層8は、
電子移動度が高い、および/または発光層1に電子を注
入し易い仕事関数を有する固体膜であり、これにより電
子を効率よく発光層1に供給できる。一方、印加された
電界によって、正孔は正極2から直接発光層1に供給さ
れる。発光は、供給された正孔と電子の再結合により引
き起こされると考えられ、本実施例では、電子輸送層8
の挿入により電子をより効率よく発光層1に供給できる
ため、発光輝度を向上できる。
【0064】[実施例4]図5は本発明の電界発光素子
のさらに他の実施例の構成を示す断面説明図である。こ
こで、7および8以外の1〜13は実施例1と同じ部分お
よび材料を示し、7は固体膜からなる正孔輸送層、8は
固体膜からなる電子輸送層である。正孔輸送層7および
電子輸送層8はそれぞれ実施例2、3で説明した材料を
使用できる。本実施例では、発光層1と冷陰極チップ10
のあいだに真空領域からなる電子移動層5が設けられて
おり、また発光層1と電子移動層5のあいだに固体膜か
らなる電子輸送層8が設けられている。また、正極2と
発光層1のあいだに正孔輸送層7が設けられている。
【0065】本実施例において、正極2と冷陰極11のあ
いだに印加された電界によって、電子は冷陰極チップ10
から、真空領域からなる電子移動層5を介して電子輸送
層8に達する。さらに、電子は電子輸送層8中を移動
し、発光層1に供給される。ここで、電子輸送層8は、
電子移動度が高い、および/または発光層1に電子を注
入し易い仕事関数を有する固体膜であり、これにより電
子を効率よく発光層1に供給できる。一方、印加された
電界によって、正孔は正極2から正孔輸送層7を介して
発光層1に供給される。ここで、正孔輸送層7は、正孔
移動度が高い、および/または発光層1に正孔を注入し
易い仕事関数を有する固体膜であり、これにより正孔を
効率よく発光層1に供給できる。発光は、供給された正
孔と電子の再結合により引き起こされると考えられ、本
実施例では、正孔輸送層7ならびに電子輸送層8の挿入
により正孔ならびに電子をより効率よく発光層1に供給
できるため、発光輝度を向上することができる。
【0066】[実施例5]前述の発光材料、正孔輸送層
7および電子輸送層8はそれぞれ単体で固体膜とならな
くとも良く、発光材料および正孔輸送材料および/また
は電子移動材料を電気的かつ、光学的に不活性であり、
しかも膜形成能に富むバインダーに分散させて用いても
良い。図6は本発明の電界発光素子のさらに他の実施例
の構成を示す断面説明図である。ここで、9以外の2〜
13は実施例1と同じ部分および材料を示し、9は有機化
合物からなる発光材料14、正孔輸送材料15、電子輸送材
料16およびバインダー17からなる発光層である。発光材
料14は前述の実施例1の発光層と同じ材料を使用するこ
とができ、正孔輸送材料15および電子輸送材料16はそれ
ぞれ前述の実施例4の正孔輸送層、電子輸送層の材料を
使用することができる。また、発光材料14および正孔輸
送材料15および/または電子輸送材料16を分散し発光層
9を形成するバインダー17としては、電気的および光学
的に不活性で、かつ膜形成能力に富む材料であればどの
ようなものでも良く、たとえばポリメチルメタクリレー
ト、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステル、ポ
リエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシ
レンなどの各種絶縁性プラスチックなどを使用すること
ができる。
【0067】本実施例では、冷陰極チップ10から放出さ
れた電子は冷陰極11と正極2とのあいだに印加された電
圧によって真空領域からなる電子移動層5を移動し、発
光層9に到達する。一方、正孔は正極2から直接発光層
9に供給される。供給された正孔と電子が発光層9中に
分散せしめられた正孔輸送材料15および電子輸送材料16
中を優先的に移動し、発光層9中の発光材料14で再結合
することにより発光が引き起こされると考えられる。本
実施例では、負極として冷陰極11を用い、さらには発光
層9が発光材料14および正孔輸送材料15および電子輸送
材料16をバインダー17に分散させることにより構成され
ており、正孔および電子をより効率よく発光材料14に供
給できるため、発光輝度を向上することができる。ま
た、バインダー17が加工性の良い材料であれば、本実施
例の製造プロセスが簡単になる。
【0068】[実施例6]図7は、前記実施例と同様
に、発光材料を正孔輸送材料または電子輸送材料の膜中
に分散させた電界発光層を有する電界発光素子の構成を
示す断面説明図である。ここで、2〜13は実施例1と同
じ部分および材料を示し、18は正孔輸送材料または電子
輸送材料の膜19と有機化合物からなる発光材料14とで構
成される発光層である。発光層18は、正孔輸送材料また
は電子輸送材料の膜19中に発光材料14を分散させたもの
であり、正孔輸送層または電子輸送層としても作用す
る。発光材料を分散させ発光層を形成する正孔輸送材料
または電子輸送材料の膜19としては、前述の正孔輸送層
または電子輸送層に用いられる材料と同様のものを用い
ることができる。
【0069】本実施例では、冷陰極チップ10から放出さ
れた電子は冷陰極11と正極2とのあいだに印加された電
圧によって真空領域からなる電子移動層5を移動し、発
光層18に到達する。一方、正孔は正極2から直接発光層
18に供給される。供給された正孔または電子は発光層18
を形成する正孔輸送材料または電子輸送材料の膜19中を
移動し、分散した発光材料14中で電子または正孔と再結
合することにより発光が引き起こされるものと考えられ
る。本実施例では、負極として冷陰極11を用い、さらに
は発光層18を正孔輸送材料または電子輸送材料の膜19中
に発光材料14を分散させることにより構成されており、
正孔および電子をより効率よく発光層18に供給できるた
め、発光輝度を向上することができる。
【0070】[実施例7]図8(a)は、本発明の表示
装置の一実施例を示す斜視説明図、図8(b)は図8
(a)の一部切欠部分拡大図であり、冷陰極で構成され
た電界発光素子がアレイ状またはマトリックス状に形成
され、電子移動層を真空とした電界発光素子を各画素と
したものである。1〜13は実施例1と同じ部分、材料を
示している。図8に示した実施例では、4個の冷陰極チ
ップ10が1画素を構成しているが、本発明の表示装置で
は、この1画素を構成する冷陰極チップ数はとくに制限
されない。ここで、発光層1の有機化合物として赤色
(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の発光に対応す
る3つの材料を用いてそれぞれ電界発光素子を作製し、
各発光素子を隣接するように配置することにより、1つ
の画素を構成する。これによりカラー表示をすることが
できる。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、有機化合物を発光層と
して用い、かつ発光層と負極とのあいだに真空領域から
なる電子移動層を用いることにより、発光色が容易に制
御でき、かつ長期間安定に駆動する電界発光素子および
表示装置をうることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界発光素子の一実施例の構成を示す
断面説明図である。
【図2】本発明の冷陰極を有する電界発光素子の一実施
例の構成を示す断面説明図である。
【図3】本発明の正孔輸送層を有する電界発光素子の一
実施例の構成を示す断面説明図ある。
【図4】本発明の電子輸送層を有する電界発光素子の一
実施例の構成を示す断面説明図である。
【図5】本発明の正孔輸送層および電子輸送層を有する
電界発光素子の一実施例の構成を示す断面説明図であ
る。
【図6】本発明の電界発光素子の一実施例で、発光材
料、正孔輸送材料および/または電子輸送材料を電気
的、光学的に不活性な材料中に分散させた発光層を有す
る構成を示す断面説明図である。
【図7】本発明の電界発光素子の一実施例で、正孔輸送
材料または電子輸送材料の膜中に発光材料を分散させた
発光層を有する構成を示す断面説明図である。
【図8】本発明の電界発光素子を用いた表示装置の一実
施例の斜視説明図である。
【図9】従来の電界発光素子の一例の構成を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 発光層 2 正極 3 負極 5 電子移動層 7 正孔輸送層 8 電子輸送層 9 発光層 11 冷陰極 14 発光材料 15 正孔輸送材料 16 電子輸送材料 17 バインダー 18 発光層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05B 33/20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機化合物からなる発光層と、該発光層
    の両側にそれぞれ設けられると共に該発光層に電荷を注
    入するための正極および負極からなる一対の電極と、該
    負極と前記発光層とのあいだに設けられた真空領域から
    なる電子移動層とからなる電界発光素子。
  2. 【請求項2】 有機化合物からなる発光層と、該発光層
    に正孔を注入するための正極と、前記発光層に電子を注
    入するための冷陰極からなる負極と、該負極と前記発光
    層とのあいだに設けられた真空領域からなる電子移動層
    とからなる電界発光素子。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の電界発光素子の前記正極
    と前記発光層とのあいだに固体膜からなる正孔輸送層が
    設けられてなる電界発光素子。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の電界発光素子の前記発光
    層と前記真空領域からなる電子移動層とのあいだに固体
    膜からなる電子輸送層が設けられてなる電界発光素子。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の電界発光素子の前記発光
    層と前記真空領域からなる電子移動層とのあいだに固体
    膜からなる電子輸送層が設けられてなる電界発光素子。
  6. 【請求項6】 前記発光層が、電気的、かつ、光学的に
    不活性な材料に(a)有機化合物である発光材料と(b)正孔
    および/または電子を輸送する材料とを分散せしめて形
    成されてなる請求項2記載の電界発光素子。
  7. 【請求項7】 前記発光層が、正孔または電子を輸送す
    る材料中に有機化合物である発光材料を分散せしめて形
    成されてなる請求項2記載の電界発光素子。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6または7
    のいずれかの電界発光素子がアレイ状またはマトリック
    ス状に並べられ、該電界発光素子の各々が画素を形成し
    てなる表示装置。
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