JPH0630998Y2 - 馳締鋼板屋根の吊子装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、屋根葺工事において馳締綱板屋根の丸馳部
と、この丸馳部に内側から嵌合して丸馳部を固定する吊
子金具とよりなる吊子装置に関する。

（従来の技術） 馳締型の綱板屋根は、波形の頂部を鉤形の謂ゆる馳締に
形成して左右両端の馳締部が馳締嵌合されるように組立
てて、馳締部を吊子金具で取付用フレーム台に牽引状に
締結するものであるが、中間に一連の丸馳部を有するタ
イプのものでは右又左端の部分も中間部分と同じ吊子金
具を用いて締結している。従って両端の馳部を牽引し締
付けると、中間の馳嵌合部が左右に開くような作用を受
けて金具との間に隙間を生じ、それが風等の影響でガタ
ツキを生じ騒音並びに緩み発生等の原因になるという問
題があった。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑み
てなされたものであり、その目的とするところは、両端
の馳部を牽引し締付けても中間の丸馳部が開かないよう
に内側から外向きに弾力的に押圧してガタツキを生じな
いようにするとともに、作業が簡単迅速に行われ、作業
能率を高めることを可能にした馳締鋼板屋根の吊子装置
を提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段） 上記を達成するために、本考案における馳締鋼板屋根の
吊子装置は、馳締鋼板屋根の丸馳部1aと、この丸馳部に
内側から嵌合して丸馳部を固定する吊子金具４とよりな
る吊子装置であって、前記吊子金具４は、左右一対を一
組とするばね性のある金属プレートでフレーム台３の取
付板挟入部3a間に挟入係着される垂直板部７，８と、そ
の上端に丸馳部1aのくび部1b,1b間に挟圧されて弾圧的
に押しすぼめられるように垂直な板面より外向きに彎曲
した弾性彎曲部９，10を介して、丸馳部1aに嵌入される
半丸形の弾性片からなる左右一対の係止あご５，６とで
一体形成してなり、この係止あご５，６を弾性彎曲部
９，10の挟圧押しすぼめにより丸馳部1aを内側から押広
げる方向に拡開する弾力を附勢してなるものである。

また、前記左右一対の係止あご５，６は左右から互い違
いに咬み合って１つの丸形係止あごを形成することが好
ましい。

（作用） 吊子金具４は第４図に示す。本考案はこの吊子金具４を
２枚一組にして用いる。

２枚一組の吊子金具４，４を第３図のように背中合わせ
に対向させて、夫々の垂直板部７，８を面合わせする
と、第２図に示すように左右内向きに膨出した係止あご
５，６を互いに咬合して相手側の外側へ突出するように
なる。又夫々の弾性彎曲部９，10は外向きに膨出する為
内側に空間11を保って対向する。

これを取付用フレーム台３の取付板挟入部3aに挟入しリ
ベット等の止具23で締結する。

本考案の対象となる馳締鋼板屋根１は１枚板の鋼板にて
第５図に示すように、左右両端に馳締嵌合により継ぎ足
していけるように半丸形の馳締部1c,1dを、中間に丸馳
部1aを夫々一連に形成したもので、本考案の吊子装置
は、この鋼板屋根の中間丸馳部1aを支持し固定するもの
である。

鋼板屋根１の中間の丸馳部1aを吊子金具４の係止あご
５，６に嵌合し定位置にセットすると、左右両側からく
び部1b,1bが接近して弾性彎曲部９，10を押しすぼめる
ように押圧するから係止あご５，６はそのばね性によっ
て逆に左右へ膨大して丸馳部1aを内側から外向きに押し
広げるように弾力を作用させ強固に締結される。

（考案の効果） 本考案は次のような特有の効果を有する。

吊子金具に鋼板屋根の丸馳部を嵌合させると左右の係
止あごがすぼんだ状態から膨大した形になる為丸馳部に
内側からそれを押し広げるような作用が附与されて強固
になる。

その為丸馳部の内部に隙間を生じたりガタツキをなく
し、ガタツキ音の発生を防止できる。

係止あごは丸馳部へ嵌合する前は小さくすぼんだ状態
であり、従って開口部から装着する作業を容易に行うこ
とができ、作業性が向上する。

吊子金具は同じ形状、大きさのものを左右一対として
用いることができる為製作上有利であり、構造も簡単で
安価に実施できる。

（実施例） 取付用フレーム台３は金属プレートにより左右対称に形
成したものを一対として用い、夫々を梁等の固定部20に
ボルト21等で固定する。

左右一対のフレーム台３は下半部に脚杆部3bを、上半部
に吊子取付部3cを形成する。脚杆部3bは左右両側をリベ
ット22又はボルト等で結合する。又上半部の吊子取付部
3cにも挟入部3aに吊子金具の垂直板部７，８を挟入し定
位置に定着後にリベット23等で一体に結合する。その為
吊子金具４の垂直板部７，８に透孔12を設ける。

吊子金具４はばね性のある金属プレートでつくり、垂直
板部７，８の上部に弾性彎曲部９，10を、又その上に係
止あご５，６を夫々一体に形成する。垂直板部７，８の
両側には吊子金具全体の回わり止めとなる折曲片13,14
を設ける。

係止あご５，６は前後に間隔をおいて２〜３個設ける。
この間隔は対応する側の係止あごが咬合するのに必要な
ものとなす。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置により取付けられた馳締綱板屋根の
取付部の拡大正面図、第２図は馳締前の吊子金具の取付
部正面図、第３図は左右一対の吊子金具の縦断面図、第
４図は右側の吊子金具の斜視図、第５図は馳締鋼板屋根
の縦断正面図である。 １……馳締綱板屋根、３……取付用フレーム台 ４……吊子金具、５，６……係止あご ７，８……垂直板部、９，10……弾性彎曲部 11……空間部、1a……丸馳部 1b……くび部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】馳締鋼板屋根の丸馳部1aと、この丸馳部に
   内側から嵌合して丸馳部を固定する吊子金具４とよりな
   る吊子装置であって、前記吊子金具４は、左右一対を一
   組とするばね性のある金属プレートでフレーム台３の取
   付板挟入部3a間に挟入係着される垂直板部７，８と、そ
   の上端に丸馳部1aのくび部1b,1b間に挟圧されて弾圧的
   に押しすぼめられるように垂直な板面より外向きに彎曲
   した弾性彎曲部９，10を介して、丸馳部1aに嵌入される
   半丸形の弾性片からなる左右一対の係止あご５，６とで
   一体形成してなり、この係止あご５，６を弾性彎曲部
   ９，10の挟圧押しすぼめにより丸馳部1aを内側から押広
   げる方向に拡開する弾力を附勢してなることを特徴とす
   る馳締鋼板屋根の吊子装置。
2. 【請求項２】前記左右一対の係止あご５，６は左右から
   互い違いに咬み合って１つの丸形係止あごを形成してな
   る請求項１記載の馳締鋼板屋根の吊子装置。