JPH06308529A - 薄膜トランジスタ基板、液晶表示パネル及び液晶表示装置 - Google Patents

薄膜トランジスタ基板、液晶表示パネル及び液晶表示装置

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JPH06308529A
JPH06308529A JP9107193A JP9107193A JPH06308529A JP H06308529 A JPH06308529 A JP H06308529A JP 9107193 A JP9107193 A JP 9107193A JP 9107193 A JP9107193 A JP 9107193A JP H06308529 A JPH06308529 A JP H06308529A
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JP
Japan
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gate
film
thin film
liquid crystal
film transistor
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Application number
JP9107193A
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Inventor
Hideaki Yamamoto
英明 山本
Kazuo Shirohashi
和男 白橋
Kenichi Kase
賢一 加瀬
Norio Tsukii
教男 月井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】端子部の構造を簡単にすることにより工程数を
減少する。 【構成】端子部をゲート配線用アルミニウム膜、ドレイ
ン配線用クロム膜、及びドレイン配線用アルミニウム膜
で構成する。 【効果】端子部のみに使用する金属導電層を形成する必
要がなくなり、工程数が低減し、歩留りが向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜トランジスタ(以下
TFTと略す)を使用したアクティブマトリクス駆動型
のTFT基板および液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】非晶質シリコン(以下、a−Siと略
す)TFTを用い、ゲート配線、ゲート電極をAlとし
て、これを陽極酸化して得られるAl23膜をゲート絶
縁膜の1部としたTFT基板の例を図21を用いて説明
する。図21(a),(b),(c)は各々TFT基板
の等価回路図、平面図、断面図を示す。GTM0,GT
1,GTM2はゲート端子、g2はゲート配線、DT
1,DTM2はドレイン端子、T11,T12はTFT、L
Cは液晶、Caddは付加容量、Vcomはカラーフイ
ルタ基板側に設けられる共通電極を示す。また、SUB
1は基板、Crはゲート端子のクロム、g2はAl、A
はゲート端子のCrとゲート配線のAlとの接続部分、
AOFはAl23、GIはSiN,ITOは透明電極
(画素電極)、ASはノンドープa−Si(i)、do
はリンをドープした非晶質シリコン(以下、a−Si
(n+)と略す)、d2,d3はソース電極でありTFT
と画素電極とを接続している。図21中、境界線l1
陽極酸化する領域とそうでない領域との境界を示すもの
で、境界線l1より右の領域は陽極酸化する。PADは
陽極酸化に必要な電流を供給するための端子であり、S
Hgは全てのゲート端子を共通接続するためのバスライ
ンであり、境界線l2はTFT基板完成の後、切断する
部分を示す。このような技術は特開平3−232274
号に開示されている。
【0003】このように従来、TFT基板の端子部には
Crと透明電極(インジュウム酸化膜、以下ITOと略
す)との積層膜が用いられていた。また、ゲート電極や
ゲート配線にAl金属を用いる場合、材料としては純A
lや不純物としてPdやSiなどを添加したAlが用い
られていた。
【0004】TFT基板において端子部をCrとITO
との積層膜を用いる理由を説明する。TFT基板は端子
部において駆動するための外部回路と接続し使用され
る。このため端子部は大気にさらされる。したがって、
水分による腐食での断線や、酸化による接触不良などが
生じる恐れがあり、このようなことがない材料である必
要がある。このような点でCrとITOとの組合せが良
く、多用されている。一方、Alは変質しやすく端子部
には不適当と考えられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は端子部
だけのためにCr膜が必要であり、これを形成パターン
化するための工程が必要でありコストや歩留の点で問題
があった。
【0006】本発明の第1の目的はこのCr膜を不要に
することによって、低コスト、高歩留のTFT基板を提
供することにある。本発明の第2の目的は、このTFT
基板を用いた液晶表示パネルを提供することにある。本
発明の第3の目的は、上記の液晶表示パネルを用いた液
晶表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、
(1)絶縁性基板上に形成された複数本のゲート端子と
それに延在する複数本のゲート配線と、これと交差して
配置された複数本の信号配線と、前記ゲート配線と信号
配線との交点に薄膜トランジスタを配置してなる薄膜ト
ランジスタ基板において、前記ゲート端子が、前記ゲー
ト配線を構成する導電性薄膜と前記信号配線を構成する
導電性薄膜との積層薄膜で形成されていることを特徴と
する薄膜トランジスタ基板、(2)前記信号配線の端子
部が前記ゲート端子と同一材料で形成されていることを
特徴とする(1)記載の薄膜トランジスタ基板、(3)
前記ゲート配線がAl合金からなることを特徴とする
(1)(2)記載の薄膜トランジスタ基板、(4)前記
Al合金がTa、Tiのすくなくともいずれかを含むこ
とを特徴とする(1)(2)(3)記載の薄膜トランジ
スタ基板、(5)前記信号配線が前記Al合金を含むこ
とを特徴とする薄膜トランジスタ基板。(6)前記薄膜
トランジスタのゲート絶縁膜が前記Al合金の陽極酸化
膜を含むことを特徴とする(1)(2)(3)(4)
(5)記載の薄膜トランジスタ基板で実現できる。上記
第2の目的は(1)(2)(3)(4)(5)(6)記
載の薄膜トランジスタ基板を有することを特徴とする液
晶表示パネルにより達成できる。上記第3の目的は前記
液晶表示パネルと、該液晶表示パネルに映像信号を与え
るための映像信号駆動回路と、走査信号を与えるための
走査回路と、該映像信号駆動回路及び該走査回路に液晶
表示パネル用の情報を与えるための制御回路とを有する
ことを特徴とする液晶表示装置により達成できる。
【0008】本発明においては、端子部にゲート配線で
使用する導電性薄膜と信号配線で使用する導電性薄膜と
の積層構造で端子を構成する。これによって従来必要で
あったCr膜を不要にする。これによって工程の短縮化
が可能となる。この場合使用するAl合金材料としては
耐腐食性から不純物としてTa、Tiを添加した材料
(以下、Al−Ta,Al−Ti,Al−Ta−Tiと
記す)を適用する。添加するTi,Ta濃度としては
0.4重量%から8.5重量%が望ましい。
【0009】
【作用】上記技術は次の作用がある。
【0010】端子部にAlを用いる場合次に示すような
注意が必要である。
【0011】(1)純Alのような場合にはとくに大気
中の水分の存在下では腐食や電蝕が生じやすく信頼性や
寿命が問題となる。したがって、耐蝕性をあげる不純物
を添加したAl合金の形にする必要がある。不純物とし
てはTaやTiが優れている。
【0012】(2)さらにゲート配線を構成する材料を
Al合金とした場合、Alの表面には自然酸化膜ができ
ること、また、本発明のように他の導電性薄膜を積層す
る際にはこの自然酸化膜あるいは工程中に形成される酸
化膜や他の絶縁性皮膜ができやすく、この影響をなくす
ことが重要である。このためには積層する信号配線を構
成する導電層の最下層をCrにすることが重要である。
【0013】(3)さらに信号配線は低抵抗である必要
があるのでCrとAl合金との2層構造にすることが有
効である。
【0014】導電性膜を積層して端子を作る場合各層の
接触抵抗に注意しなければならない。表1を用いて説明
する。
【0015】
【表1】
【0016】この表は接触面積を400μm2とし、測
定電圧1V以下で測定した時の接触抵抗を示す。先ず、
多用されているCr/ITOでは約20Ωで問題のない
特性を示す。、Al/ITOは接触抵抗が高く約100
KΩである。これはAl膜は本来自然酸化膜ができやす
いこと、さらにITO膜との界面反応でさらに厚い酸化
膜ができるためである。Al/Alの場合も同様であ
り、特に実施例で説明するがAlの上に一旦SiN膜を
形成しドライエッチで除去したようなAl面はフッ化物
ができやすく接触性は悪くなる。これに対し、Al/C
r/Al積層膜を用いた場合には接触抵抗は数20Ωと
良好である。Crの介在が接触性を良くする理由は明確
ではないがCrがAl23膜の酸素を奪うためではない
かと考えている。以上の結果から、Alと電気的接触性
が良い材料としてCr膜が良いことがわかった。さらに
低抵抗配線とするためにはCr/Al2層膜とすること
が有効である。上記の理由により、ゲート端子の構造を
Al/Cr/Alとした。
【0017】本発明によりゲート部に特別にCr膜を形
成しパターンニングする必要がなくなり、ホトエッチン
グ工程を1工程減らすことができた。これによりTFT
基板の低コスト化、歩留向上が実現できた。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。
【0019】図1(a)は本発明TFT基板の等価回路
図、(b)は本発明の一実施例のTFT基板の平面図、
(c)はその断面図である。符号は図21と同一又は均
等部分には、同一の符号を使用している。まず、このT
FTの基板の製造方法を述べる。基板SUB1の上にA
l−Ta(Taの添加量8.5重量%)g2を約3000
Åの厚みにスパッタリングにより蒸着し、ホトエッチン
グによりAl(Ta)のゲート端子GTM0,GTM1
GTM2、ゲート配線、付加容量Cadd、ゲート電極
のパターンを形成する。この時、SUB1の表面に酸化
膜SiOを設けておいても良い。その後、陽極酸化する
部分(図中境界線l1より右)と化成PADとを除いて
ホトレジストで被覆する。この時、ゲート配線パターン
とホトレジストパターンとは直交させる。この状態で陽
極酸化を行う。陽極酸化方法は、化成パッドPADが液
面から外に出るようにして化成液に浸し、化成パッドP
ADに最大72Vから144Vの直流電圧を印加して行
う。印加の方法は定電流0.5〜5mA/cm2になるよ
うに徐々に0Vから昇圧する。最初から高い電圧を印加
した場合、大電流が流れるため、AT線が溶けゲート線
が断線する。化成液としては3%酒石酸をアンモニアよ
りPH7±0.5に調整した溶液をエチレングリコール
液で1:9に希釈したものを用いる。電流が0.5mA
/cm2の場合、約10分で化成電圧が125Vにな
る。この時形成された陽極酸化膜Al23(図1(c)
のAOF)の厚みは1800Åである。このAl23
ゲート絶縁膜及び付加容量の誘電体として利用する。な
お、125Vになり定電圧酸化が行われるようになって
から、数分〜数10分そのままの状態に保持する事が望
ましい。これは均一なAl23膜を得る上で大事なこと
である。
【0020】ホトレジストを除去した後、画素電極用の
透明電極として酸化インジュウムを1000Åスパッタ
蒸着し、加工して透明電極ITO(d1)を形成する。
TFTを以下の方法で形成する。全面にプラズマCVD
法により、SiNGIを2200Å形成する。材料ガス
としてはSiH4,NH3を主たる成分とするガスを使用
する。その上に、a−Si(i)ASを2300Å、リ
ンを2.5%ドーピングしたa−Si(n+)doを3
00Å堆積する。この時基板温度としては300℃とす
る。材料ガスとしてはa−SiはSiH4を主たる成分
とするガスを、a−Si(n+)にはSiH4とPH3
の混合ガスを使用する。その後、a−Siをパターン化
してアレイ状にする。プラズマ膜のエッチングにはSF
6ガスによるドライエッチ法を用いる。このとき端子付
近のゲート配線Alの表面が露出するようにSiNを除
去しておくことが必要である。この上にTFTのドレイ
ン電極を兼ねる信号配線DL、ソース電極用のCr/A
l−Ta(Taの濃度8.5重量%)d2,d3をそれぞ
れ1000Å、4000Åの厚みにスパッタリングにて
形成し、パターン化する。この時第4図(d)のように
端子部はゲート配線のAl(g2)とCr(d2)とAl
−Ta(d3)とが積層される。この後ドレイン電極を
マスクとしてa−Si(n+)doをドライエッチング
する。最後に、保護膜として窒化膜(SiN)PSV1
を1μm形成し端子部上の窒化膜SiNを除去して後、
化成バスラインLとゲート端子GTM0,GTM1,GT
2との間を機械的に切断して、TFT基板が完成す
る。
【0021】図1では各画素が列をなすように配置した
場合を示したが、半ピッチずれた配置でも良い。また、
付加容量Caddがない場合でも全く同様に製作できる
ことは勿論である。ここではAl材料としてAlにTa
を添加した合金を使用したがTiやTaとTiを同時に
添加した合金でも良い。この場合添加する量は0.4〜
8.5重量%が抵抗やエッチング残渣の点から望まし
い。ドレイン端子もゲート端子と全く同じ構造にできる
ことは勿論である。
【0022】ここでは、ITOを形成した後SiN,a
−Si工程の順であったが、この逆の工程でも良いこと
は勿論である。この場合の例について、詳細に説明す
る。
【0023】なお、以下説明する図面で、同一機能を有
するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略
する。
【0024】《マトリクス部の概要》図2はこの発明が
適用されるアクティブ・マトリクス方式カラー液晶表示
装置の一画素とその周辺を示す平面図、図3は図2の3
−3切断線における断面を示す図、図4は図2の4−4
切断線における断面図である。
【0025】図2に示すように、各画素は隣接する2本
の走査信号線(ゲート信号線または水平信号線)GL
と、隣接する2本の映像信号線(ドレイン信号線または
垂直信号線)DLとの交差領域内(4本の信号線で囲ま
れた領域内)に配置されている。各画素は薄膜トランジ
スタTFT、透明画素電極ITO1および保持容量素子
Caddを含む。走査信号線GLは図では左右方向に延在
し、上下方向に複数本配置されている。映像信号線DL
は上下方向に延在し、左右方向に複数本配置されてい
る。
【0026】図3に示すように、液晶層LCを基準にし
て下部透明ガラス基板SUB1側には薄膜トランジスタ
TFTおよび透明画素電極ITO1が形成され、上部透
明ガラス基板SUB2側にはカラーフィルタFIL、遮
光用ブラックマトリクスパターンBMが形成されてい
る。透明ガラス基板SUB1、SUB2の両面にはディ
ップ処理等によって形成された酸化シリコン膜SIOが
設けられている。
【0027】上部透明ガラス基板SUB2の内側(液晶
LC側)の表面には、遮光膜BM、カラーフィルタFI
L、保護膜PSV2、共通透明画素電極ITO2(CO
M)および上部配向膜ORI2が順次積層して設けられ
ている。図1(c)で画素電極ITOがSUB1に設け
られているのに対し、図3では、ゲート絶縁膜GI上に
画素電極が設けられている点で異なる。
【0028】《マトリクス周辺の概要》図5は上下のガ
ラス基板SUB1,SUB2を含む表示パネルPNLの
マトリクス(AR)周辺の要部平面を、図6はその周辺
部を更に誇張した平面を、図7は図5及び図6のパネル
左上角部に対応するシール部SL付近の拡大平面を示す
図である。また、図8は図3の断面を中央にして、左側
に図7の8a−8a切断線における断面を、右側に映像
信号駆動回路が接続されるべき外部接続端子DTM付近
の断面を示す図である。同様に図9は、左側に走査回路
が接続されるべき外部接続端子GTM付近の断面を、右
側に外部接続端子が無いところのシール部付近の断面を
示す図である。
【0029】このパネルの製造では、小さいサイズであ
ればスループット向上のため1枚のガラス基板で複数個
分のデバイスを同時に加工してから分割し、大きいサイ
ズであれば製造設備の共用のためどの品種でも標準化さ
れた大きさのガラス基板を加工してから各品種に合った
サイズに小さくし、いずれの場合も一通りの工程を経て
からガラスを切断する。図5〜図7は後者の例を示すも
ので、図5、図6の両図とも上下基板SUB1,SUB
2の切断後を、図7は切断前を表しており、LNは両基
板の切断前の縁を、CT1とCT2はそれぞれ基板SU
B1,SUB2の切断すべき位置を示す。いずれの場合
も、完成状態では外部接続端子群Tg,Td(添字略)
が存在する(図で上下辺と左辺の)部分はそれらを露出
するように上側基板SUB2の大きさが下側基板SUB
1よりも内側に制限されている。端子群Tg,Tdはそ
れぞれ後述する走査回路接続用端子GTM、映像信号回
路接続用端子DTMとそれらの引出配線部を集積回路チ
ップCHIが搭載されたテープキャリアパッケージTC
P(図18、図19)の単位に複数本まとめて名付けた
ものである。各群のマトリクス部から外部接続端子部に
至るまでの引出配線は、両端に近づくにつれ傾斜してい
る。これは、パッケージTCPの配列ピッチ及び各パッ
ケージTCPにおける接続端子ピッチに表示パネルPN
Lの端子DTM,GTMを合わせるためである。
【0030】透明ガラス基板SUB1、SUB2の間に
はその縁に沿って、液晶封入口INJを除き、液晶LC
を封止するようにシールパターンSLが形成される。シ
ール材は例えばエポキシ樹脂から成る。上部透明ガラス
基板SUB2側の共通透明画素電極ITO2は、少なく
とも一箇所において、本実施例ではパネルの4角で銀ペ
ースト材AGPによって下部透明ガラス基板SUB1側
に形成されたその引出配線INTに接続されている。こ
の引出配線INTは後述するゲート端子GTM、ドレイ
ン端子DTMと同一製造工程で形成される。
【0031】配向膜ORI1、ORI2、透明画素電極
ITO1、共通透明画素電極ITO2、それぞれの層
は、シールパターンSLの内側に形成される。偏光板P
OL1、POL2はそれぞれ下部透明ガラス基板SUB
1、上部透明ガラス基板SUB2の外側の表面に形成さ
れている。液晶LCは液晶分子の向きを設定する下部配
向膜ORI1と上部配向膜ORI2との間でシールパタ
ーンSLで仕切られた領域に封入されている。下部配向
膜ORI1は下部透明ガラス基板SUB1側の保護膜P
SV1の上部に形成される。
【0032】この液晶表示装置は、下部透明ガラス基板
SUB1側、上部透明ガラス基板SUB2側で別個に種
々の層を積み重ね、シールパターンSLを基板SUB2
側に形成し、下部透明ガラス基板SUB1と上部透明ガ
ラス基板SUB2とを重ね合わせ、シール材SLの開口
部INJから液晶LCを注入し、注入口INJをエポキ
シ樹脂などで封止し、上下基板を切断することによって
組み立てられる。
【0033】《薄膜トランジスタTFT》次に、図2、
図3に戻り、TFT基板SUB1側の構成を詳しく説明
する。
【0034】薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極G
Tに正のバイアスを印加すると、ソース−ドレイン間の
チャネル抵抗が小さくなり、バイアスを零にすると、チ
ャネル抵抗は大きくなるように動作する。
【0035】各画素には複数(2つ)の薄膜トランジス
タTFT1、TFT2が冗長して設けられる。薄膜トラ
ンジスタTFT1、TFT2のそれぞれは、実質的に同
一サイズ(チャネル長、チャネル幅が同じ)で構成さ
れ、ゲート電極GT、ゲート絶縁膜GI、i型(真性、
intrinsic、導電型決定不純物がドープされていない)
非晶質シリコン(Si)からなるi型半導体層AS、一
対のソース電極SD1、ドレイン電極SD2を有す。な
お、ソース、ドレインは本来その間のバイアス極性によ
って決まるもので、この液晶表示装置の回路ではその極
性は動作中反転するので、ソース、ドレインは動作中入
れ替わると理解されたい。しかし、以下の説明では、便
宜上一方をソース、他方をドレインと固定して表現す
る。
【0036】《ゲート電極GT》ゲート電極GTは走査
信号線GLから垂直方向に突出する形状で構成されてい
る(T字形状に分岐されている)。ゲート電極GTは薄
膜トランジスタTFT1、TFT2のそれぞれの能動領
域を越えるよう突出している。薄膜トランジスタTFT
1、TFT2のそれぞれのゲート電極GTは、一体に
(共通のゲート電極として)構成されており、走査信号
線GLに連続して形成されている。本例では、ゲート電
極GTは、単層の第2導電膜g2で形成されている。第
2導電膜g2としては例えばスパッタで形成されたアル
ミニウム(Al)膜が用いられ、その上にはAlの陽極
酸化膜AOFが設けられている。
【0037】このゲート電極GTはi型半導体層ASを
完全に覆うよう(下方からみて)それより大き目に形成
され、i型半導体層ASに外光やバックライト光が当た
らないよう工夫されている。
【0038】《走査信号線GL》走査信号線GLは第2
導電膜g2で構成されている。この走査信号線GLの第
2導電膜g2はゲート電極GTの第2導電膜g2と同一
製造工程で形成され、かつ一体に構成されている。ま
た、走査信号線GL上にもAlの陽極酸化膜AOFが設
けられている。
【0039】《絶縁膜GI》絶縁膜GIは、薄膜トラン
ジスタTFT1、TFT2において、ゲート電極GTと
共に半導体層ASに電界を与えるためのゲート絶縁膜と
して使用される。絶縁膜GIはゲート電極GTおよび走
査信号線GLの上層に形成されている。絶縁膜GIとし
ては例えばプラズマCVDで形成された窒化シリコン膜
が選ばれ、1200〜2700Åの厚さに(本実施例で
は、2000Å程度)形成される。ゲート絶縁膜GIは
図7に示すように、マトリクス部ARの全体を囲むよう
に形成され、周辺部は外部接続端子DTM,GTMを露
出するよう除去されている。絶縁膜GIは走査信号線G
Lと映像信号線DLの電気的絶縁にも寄与している。
【0040】《i型半導体層AS》i型半導体層AS
は、本例では薄膜トランジスタTFT1、TFT2のそ
れぞれに独立した島となるよう形成され、非晶質シリコ
ンで、200〜2200Åの厚さに(本実施例では、2
000Å程度の膜厚)で形成される。層d0はオーミッ
クコンタクト用のリン(P)をドープしたN(+)型非晶
質シリコン半導体層であり、下側にi型半導体層ASが
存在し、上側に導電層d2(d3)が存在するところの
みに残されている。
【0041】i型半導体層ASは走査信号線GLと映像
信号線DLとの交差部(クロスオーバ部)の両者間にも
設けられている。この交差部のi型半導体層ASは交差
部における走査信号線GLと映像信号線DLとの短絡を
低減する。
【0042】《透明画素電極ITO1》透明画素電極I
TO1は液晶表示部の画素電極の一方を構成する。
【0043】透明画素電極ITO1は薄膜トランジスタ
TFT1のソース電極SD1および薄膜トランジスタT
FT2のソース電極SD1の両方に接続されている。こ
のため、薄膜トランジスタTFT1、TFT2のうちの
1つに欠陥が発生しても、その欠陥が副作用をもたらす
場合はレーザ光等によって適切な箇所を切断し、そうで
ない場合は他方の薄膜トランジスタが正常に動作してい
るので放置すれば良い。透明画素電極ITO1は第1導
電膜d1によって構成されており、この第1導電膜d1
はスパッタリングで形成された透明導電膜(Indium-Tin
-Oxide ITO:ネサ膜)からなり、1000〜200
0Åの厚さに(本実施例では、1400Å程度の膜厚)
形成される。
【0044】《ソース電極SD1、ドレイン電極SD
2》ソース電極SD1、ドレイン電極SD2のそれぞれ
は、N(+)型半導体層d0に接触する第2導電膜d2と
その上に形成された第3導電膜d3とから構成されてい
る。
【0045】第2導電膜d2はスパッタで形成したクロ
ム(Cr)膜を用い、500〜1000Åの厚さに(本
実施例では、600Å程度)で形成される。Cr膜は膜
厚を厚く形成するとストレスが大きくなるので、200
0Å程度の膜厚を越えない範囲で形成する。Cr膜はN
(+)型半導体層d0との接着性を良好にし、第3導電膜
d3のAlがN(+)型半導体層d0に拡散することを防
止する(いわゆるバリア層の)目的で使用される。第2
導電膜d2として、Cr膜の他に高融点金属(Mo、T
i、Ta、W)膜、高融点金属シリサイド(MoS
2、TiSi2、TaSi2、WSi2)膜を用いてもよ
い。
【0046】第3導電膜d3はAlのスパッタリングで
3000〜5000Åの厚さに(本実施例では、400
0Å程度)形成される。Al膜はCr膜に比べてストレ
スが小さく、厚い膜厚に形成することが可能で、ソース
電極SD1、ドレイン電極SD2および映像信号線DL
の抵抗値を低減したり、ゲート電極GTやi型半導体層
ASに起因する段差乗り越えを確実にする(ステップカ
バーレッジを良くする)働きがある。
【0047】第2導電膜d2、第3導電膜d3を同じマ
スクパターンでパターニングした後、同じマスクを用い
て、あるいは第2導電膜d2、第3導電膜d3をマスク
として、N(+)型半導体層d0が除去される。つまり、
i型半導体層AS上に残っていたN(+)型半導体層d0
は第2導電膜d2、第3導電膜d3以外の部分がセルフ
アラインで除去される。このとき、N(+)型半導体層d
0はその厚さ分は全て除去されるようエッチングされる
ので、i型半導体層ASも若干その表面部分がエッチン
グされるが、その程度はエッチング時間で制御すればよ
い。
【0048】《映像信号線DL》映像信号線DLはソー
ス電極SD1、ドレイン電極SD2と同層の第2導電膜
d2、第3導電膜d3で構成されている。
【0049】《保護膜PSV1》薄膜トランジスタTF
Tおよび透明画素電極ITO1上には保護膜PSV1が
設けられている。保護膜PSV1は主に薄膜トランジス
タTFTを湿気等から保護するために形成されており、
透明性が高くしかも耐湿性の良いものを使用する。保護
膜PSV1はたとえばプラズマCVD装置で形成した酸
化シリコン膜や窒化シリコン膜で形成されており、1μ
m程度の膜厚で形成する。
【0050】保護膜PSV1は図7に示すように、マト
リクス部ARの全体を囲むように形成され、周辺部は外
部接続端子DTM,GTMを露出するよう除去され、ま
た上基板側SUB2の共通電極COMを下側基板SUB
1の外部接続端子接続用引出配線INTに銀ペーストA
GPで接続する部分も除去されている。保護膜PSV1
とゲート絶縁膜GIの厚さ関係に関しては、前者は保護
効果を考え厚くされ、後者はトランジスタの相互コンダ
クタンスgmを薄くされる。従って図7に示すように、
保護効果の高い保護膜PSV1は周辺部もできるだけ広
い範囲に亘って保護するようゲート絶縁膜GIよりも大
きく形成されている。
【0051】《遮光膜BM》上部透明ガラス基板SUB
2側には、外部光又はバックライト光がi型半導体層A
Sに入射しないよう遮光膜BMが設けられている。図2
に示す遮光膜BMの閉じた多角形の輪郭線は、その内側
が遮光膜BMが形成されない開口を示している。遮光膜
BMは光に対する遮蔽性が高いたとえばアルミニウム膜
やクロム膜等で形成されており、本実施例ではクロム膜
がスパッタリングで1300Å程度の厚さに形成され
る。
【0052】従って、薄膜トランジスタTFT1、TF
T2のi型半導体層ASは上下にある遮光膜BMおよび
大き目のゲート電極GTによってサンドイッチにされ、
外部の自然光やバックライト光が当たらなくなる。遮光
膜BMは各画素の周囲に格子状に形成され(いわゆるブ
ラックマトリクス)、この格子で1画素の有効表示領域
が仕切られている。従って、各画素の輪郭が遮光膜BM
によってはっきりとし、コントラストが向上する。つま
り、遮光膜BMはi型半導体層ASに対する遮光とブラ
ックマトリクスとの2つの機能をもつ。
【0053】透明画素電極ITO1のラビング方向の根
本側のエッジ部分(図2右下部分)も遮光膜BMによっ
て遮光されているので、上記部分にドメインが発生した
としても、ドメインが見えないので、表示特性が劣化す
ることはない。
【0054】遮光膜BMは図6に示すように周辺部にも
額縁状に形成され、そのパターンはドット状に複数の開
口を設けた図2に示すマトリクス部のパターンと連続し
て形成されている。周辺部の遮光膜BMは図6〜図9に
示すように、シール部SLの外側に延長され、パソコン
等の実装機に起因する反射光等の漏れ光がマトリクス部
に入り込むのを防いでいる。他方、この遮光膜BMは基
板SUB2の縁よりも約0.3〜1.0mm程内側に留
められ、基板SUB2の切断領域を避けて形成されてい
る。
【0055】《カラーフィルタFIL》カラーフィルタ
FILは画素に対向する位置に赤、緑、青の繰り返しで
ストライプ状に形成される。カラーフィルタFILは透
明画素電極ITO1の全てを覆うように大き目に形成さ
れ、遮光膜BMはカラーフィルタFILおよび透明画素
電極ITO1のエッジ部分と重なるよう透明画素電極I
TO1の周縁部より内側に形成されている。
【0056】カラーフィルタFILは次のように形成す
ることができる。まず、上部透明ガラス基板SUB2の
表面にアクリル系樹脂等の染色基材を形成し、フォトリ
ソグラフィ技術で赤色フィルタ形成領域以外の染色基材
を除去する。この後、染色基材を赤色染料で染め、固着
処理を施し、赤色フィルタRを形成する。つぎに、同様
な工程を施すことによって、緑色フィルタG、青色フィ
ルタBを順次形成する 。《保護膜PSV2》保護膜PSV2はカラーフィルタ
FILの染料が液晶LCに漏れることを防止するために
設けられている。保護膜PSV2はたとえばアクリル樹
脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂材料で形成されている。
【0057】《共通透明画素電極ITO2》共通透明画
素電極ITO2は、下部透明ガラス基板SUB1側に画
素ごとに設けられた透明画素電極ITO1に対向し、液
晶LCの光学的な状態は各画素電極ITO1と共通透明
画素電極ITO2との間の電位差(電界)に応答して変
化する。この共通透明画素電極ITO2にはコモン電圧
Vcomが印加されるように構成されている。本実施例で
は、コモン電圧Vcomは映像信号線DLに印加される最
小レベルの駆動電圧Vdminと最大レベルの駆動電圧V
dmaxとの中間直流電位に設定されるが、映像信号駆動
回路で使用される集積回路の電源電圧を約半分に低減し
たい場合は、交流電圧を印加すれば良い。なお、共通透
明画素電極ITO2の平面形状は図6、図7を参照され
たい。
【0058】《保持容量素子Caddの構造》透明画素電
極ITO1は、薄膜トランジスタTFTと接続される端
部と反対側の端部において、隣りの走査信号線GLと重
なるように形成されている。この重ね合わせは、図4か
らも明らかなように、透明画素電極ITO1を一方の電
極PL2とし、隣りの走査信号線GLを他方の電極PL
1とする保持容量素子(静電容量素子)Caddを構成す
る。この保持容量素子Caddの誘電体膜は、薄膜トラン
ジスタTFTのゲート絶縁膜として使用される絶縁膜G
Iおよび陽極酸化膜AOFで構成されている。
【0059】保持容量素子Caddは走査信号線GLの第
2導電膜g2の幅を広げた部分に形成されている。な
お、映像信号線DLと交差する部分の第2導電膜g2は
映像信号線DLとの短絡の確率を小さくするため細くさ
れている。
【0060】保持容量素子Caddの電極PL1の段差部
において透明画素電極ITO1が断線しても、その段差
をまたがるように形成された第2導電膜d2および第3
導電膜d3で構成された島領域によってその不良は補償
される。
【0061】《ゲート端子部》図10は表示マトリクス
の走査信号線GLからその外部接続端子GTMまでの接
続構造を示す図であり、(A)は平面であり(B)は
(A)のB−B切断線における断面を示している。な
お、同図は図7下方付近に対応し、斜め配線の部分は便
宜状一直線状で表した。
【0062】AOは写真処理用のマスクパターン、言い
換えれば選択的陽極酸化のホトレジストパターンであ
る。従って、このホトレジストは陽極酸化後除去され、
図に示すパターンAOは完成品としては残らないが、ゲ
ート配線GLには断面図に示すように酸化膜AOFが選
択的に形成されるのでその軌跡が残る。平面図におい
て、ホトレジストの境界線AOを基準にして左側はレジ
ストで覆い陽極酸化をしない領域、右側はレジストから
露出され陽極酸化される領域である。陽極酸化されたA
l層g2は表面にその酸化物Al23膜AOFが形成さ
れ下方の導電部は体積が減少する。勿論、陽極酸化はそ
の導電部が残るように適切な時間、電圧などを設定して
行われる。マスクパターンAOは走査線GLに単一の直
線では交差せず、クランク状に折れ曲がって交差させて
いる。
【0063】図中Al層g2は、判り易くするためハッ
チを施してあるが、陽極化成されない領域は櫛状にパタ
ーニングされている。これは、Al層の幅が広いと表面
にホイスカが発生するので、1本1本の幅は狭くし、そ
れらを複数本並列に束ねた構成とすることにより、ホイ
スカの発生を防ぎつつ、断線の確率や導電率の犠牲を最
低限に押さえる狙いである。従って、本例では櫛の根本
に相当する部分もマスクAOに沿ってずらしている。
【0064】ゲート端子GTMは、Al導電層g2,C
r導電層d2,Al導電層d3の積層膜となっている。
【0065】平面図において、ゲート絶縁膜GIはその
境界線よりも右側に、保護膜PSV1もその境界線より
も右側に形成されており、左端に位置する端子部GTM
はそれらから露出し外部回路との電気的接触ができるよ
うになっている。図では、ゲート線GLとゲート端子の
一つの対のみが示されているが、実際はこのような対が
図7に示すように上下に複数本並べられ端子群Tg(図
6、図7)が構成され、ゲート端子の左端は、製造過程
では、基板の切断領域CT1を越えて延長され配線SH
gによって短絡される。製造過程におけるこのような短
絡線SHgは陽極化成時の給電と、配向膜ORI1のラ
ビング時等の静電破壊防止に役立つ。
【0066】《ドレイン端子DTM》図11は映像信号
線DLからその外部接続端子DTMまでの接続を示す図
であり、(A)はその平面を示し、(B)は(A)のB
−B切断線における断面を示す。なお、同図は図7右上
付近に対応し、図面の向きは便宜上変えてあるが右端方
向が基板SUB1の上端部(又は下端部)に該当する。
【0067】TSTdは検査端子でありここには外部回
路は接続されないが、プローブ針等を接触できるよう配
線部より幅が広げられている。同様に、ドレイン端子D
TMも外部回路との接続ができるよう配線部より幅が広
げられている。検査端子TSTdと外部接続ドレイン端
子DTMは上下方向に千鳥状に複数交互に配列され、検
査端子TSTdは図に示すとおり基板SUB1の端部に
到達することなく終端しているが、ドレイン端子DTM
は、図7に示すように端子群Td(添字省略)を構成し
基板SUB1の切断線CT1を越えて更に延長され、製
造過程中は静電破壊防止のためその全てが互いに配線S
Hdによって短絡される。検査端子TSTdが存在する
映像信号線DLのマトリクスを挟んで反対側にはドレイ
ン接続端子が接続され、逆にドレイン接続端子DTMが
存在する映像信号線DLのマトリクスを挟んで反対側に
は検査端子が接続される。
【0068】ドレイン接続端子DTMは前述したゲート
端子GTMと同様な理由でAl層g2,Cr層d2及びA
l層d3の3層で形成されており、ゲート絶縁膜GIを
除去した部分で映像信号線DLと接続されている。ゲー
ト絶縁膜GIの端部上に形成された半導体層ASはゲー
ト絶縁膜GIの縁をテーパ状にエッチングするためのも
のである。端子DTM上では外部回路との接続を行うた
め保護膜PSV1は勿論のこと取り除かれている。AO
は前述した陽極酸化マスクでありその境界線はマトリク
ス全体をを大きく囲むように形成され、図ではその境界
線から左側がマスクで覆われるが、この図で覆われない
部分には層g2が存在しないのでこのパターンは直接は
関係しない。
【0069】《表示装置全体等価回路》表示マトリクス
部の等価回路とその周辺回路の結線図を図12に示す。
同図は回路図ではあるが、実際の幾何学的配置に対応し
て描かれている。ARは複数の画素を二次元状に配列し
たマトリクス・アレイである。
【0070】図中、Xは映像信号線DLを意味し、添字
G、BおよびRがそれぞれ緑、青および赤画素に対応し
て付加されている。Yは走査信号線GLを意味し、添字
1,2,3,…,endは走査タイミングの順序に従って
付加されている。
【0071】映像信号線X(添字省略)は交互に上側
(または奇数)映像信号駆動回路He、下側(または偶
数)映像信号駆動回路Hoに接続されている。
【0072】走査信号線Y(添字省略)は垂直走査回路
Vに接続されている。
【0073】SUPは1つの電圧源から複数の分圧した
安定化された電圧源を得るための電源回路やホスト(上
位演算処理装置)からのCRT(陰極線管)用の情報を
TFT液晶表示装置用の情報に交換する回路を含む回路
である。
【0074】《保持容量素子Caddの働き》保持容量素
子Caddは、薄膜トランジスタTFTがスイッチングす
るとき、中点電位(画素電極電位)Vlcに対するゲート
電位変化ΔVgの影響を低減するように働く。この様子
を式で表すと、次のようになる。
【0075】 ΔVlc={Cgs/(Cgs+Cadd+Cpix)}×ΔVg ここで、Cgsは薄膜トランジスタTFTのゲート電極G
Tとソース電極SD1との間に形成される寄生容量、C
pixは透明画素電極ITO1(PIX)と共通透明画素
電極ITO2(COM)との間に形成される容量、ΔV
lcはΔVgによる画素電極電位の変化分を表わす。この
変化分ΔVlcは液晶LCに加わる直流成分の原因となる
が、保持容量Caddを大きくすればする程、その値を小
さくすることができる。また、保持容量素子Caddは放
電時間を長くする作用もあり、薄膜トランジスタTFT
がオフした後の映像情報を長く蓄積する。液晶LCに印
加される直流成分の低減は、液晶LCの寿命を向上し、
液晶表示画面の切り替え時に前の画像が残るいわゆる焼
き付きを低減することができる。
【0076】前述したように、ゲート電極GTはi型半
導体層ASを完全に覆うよう大きくされている分、ソー
ス電極SD1、ドレイン電極SD2とのオーバラップ面
積が増え、従って寄生容量Cgsが大きくなり、中点電位
Vlcはゲート(走査)信号Vgの影響を受け易くなると
いう逆効果が生じる。しかし、保持容量素子Caddを設
けることによりこのデメリットも解消することができ
る。
【0077】保持容量素子Caddの保持容量は、画素の
書込特性から、液晶容量Cpixに対して4〜8倍(4・C
pix<Cadd<8・Cpix)、寄生容量Cgsに対して8〜3
2倍(8・Cgs<Cadd<32・Cgs)程度の値に設定す
る。
【0078】保持容量電極線としてのみ使用される初段
の走査信号線GL(Y0)は共通透明画素電極ITO2
(Vcom)と同じ電位にする。図7の例では、初段の走
査信号線は端子GT0、引出線INT、端子DT0及び
外部配線を通じて共通電極COMに短絡される。或い
は、初段の保持容量電極線Y0は最終段の走査信号線Ye
ndに接続、Vcom以外の直流電位点(交流接地点)に接
続するかまたは垂直走査回路Vから1つ余分に走査パル
スY0を受けるように接続してもよい。
【0079】《製造方法》つぎに、上述した液晶表示装
置の基板SUB1側の製造方法について図13〜図15
を参照して説明する。なお同図において、中央の文字は
工程名の略称であり、左側は図3に示す画素部分、右側
は図10に示すゲート端子付近の断面形状でみた加工の
流れを示す。工程Dを除き工程A〜工程Iは各写真処理
に対応して区分けしたもので、各工程のいずれの断面図
も写真処理後の加工が終わりフォトレジストを除去した
段階を示している。なお、写真処理とは本説明ではフォ
トレジストの塗布からマスクを使用した選択露光を経て
それを現像するまでの一連の作業を示すものとし、繰返
しの説明は避ける。以下区分けした工程に従って、説明
する。
【0080】工程A、図13 7059ガラス(商品名)からなる下部透明ガラス基板
SUB1の両面に酸化シリコン膜SIOをディップ処理
により設けたのち、500℃、60分間のベークを行な
う。
【0081】膜厚が2800ÅのAl−Pd、Al−S
i、Al−Si−Ti、Al−Si−Cu等からなる第
2導電膜g2をスパッタリングにより設ける。写真処理
後、リン酸と硝酸と氷酢酸との混酸液で第2導電膜g2
を選択的にエッチングする。それによって、ゲート端子
GTM、ドレイン端子DTM、ゲート端子GTMを接続
する陽極酸化バスラインSHg、ドレイン端子DTMを
短絡するバスラインSHd、陽極酸化バスラインSHg
に接続された陽極酸化パッド(PAD)を形成する。
【0082】工程B、図13 写真処理後(前述した陽極酸化マスクAO形成後)、3
%酒石酸をアンモニアによりPH6.25±0.05に調
整した溶液をエチレングリコール液で1:9に稀釈した
液からなる陽極酸化液中に基板SUB1を浸漬し、化成
電流密度が0.5mA/cm2になるように調整する(定
電流化成)。次に所定のAl23膜厚が得られるのに必
要な化成電圧125Vに達するまで陽極酸化を行う。そ
の後この状態で数10分保持することが望ましい(定電
圧化成)。これは均一なAl23膜を得る上で大事なこ
とである。それによって、導電膜g2を陽極酸化され、
走査信号線GL、ゲート電極GTおよび電極PL1上に
膜厚が1800Åの陽極酸化膜AOFが形成される。
【0083】工程C、図14 プラズマCVD装置にアンモニアガス、シランガス、窒
素ガスを導入して、膜厚が2000Åの窒化Si膜を設
け、プラズマCVD装置にシランガス、水素ガスを導入
して、膜厚が2000Åのi型非晶質Si膜を設けたの
ち、プラズマCVD装置に水素ガス、ホスフィンガスを
導入して、膜厚が300ÅのN(+)型非晶質Si膜を設
ける。
【0084】工程D、図14 写真処理後、ドライエッチングガスとしてSF6、CC
4を使用してN(+)型非晶質Si膜、i型非晶質Si
膜を選択的にエッチングすることにより、i型半導体層
ASの島を形成する。
【0085】工程E、図14 写真処理後、ドライエッチングガスとしてSF6を使用
して、窒化Si膜を選択的にエッチングする。
【0086】工程F、図15 膜厚が1400ÅのITO膜からなる第1導電膜d1を
スパッタリングにより設ける。写真処理後、エッチング
液として塩酸と硝酸との混酸液で第1導電膜d1を選択
的にエッチングすることにより、透明画素電極ITO1
を形成する。
【0087】工程G、図15 膜厚が600ÅのCrからなる第2導電膜d2をスパッ
タリングにより設け、さらに膜厚が4000ÅのAl−
Pd、Al−Si、Al−Si−Ti、Al−Si−C
u等からなる第3導電膜d3をスパッタリングにより設
ける。写真処理後、第3導電膜d3を工程Bと同様な液
でエッチングし、第2導電膜d2を工程Aと同様な液で
エッチングし、映像信号線DL、ソース電極SD1、ド
レイン電極SD2ゲート端子GTM,ドレイン端子DT
Mを形成する。つぎに、ドライエッチング装置にCCl
4、SF6を導入して、N(+)型非晶質Si膜をエッチン
グすることにより、ソースとドレイン間のN(+)型半導
体層d0を選択的に除去する。
【0088】工程H、図15 プラズマCVD装置にアンモニアガス、シランガス、窒
素ガスを導入して、膜厚が1μmの窒化Si膜を設け
る。写真処理後、ドライエッチングガスとしてSF6
使用した写真蝕刻技術で窒化Si膜を選択的にエッチン
グすることによって、保護膜PSV1を形成する。
【0089】《液晶表示モジュールの全体構成》図16
は、液晶表示モジュールMDLの各構成部品を示す分解
斜視図である。
【0090】SHDは金属板から成る枠状のシールドケ
ース(メタルフレーム)、LCWはその表示窓、PNL
は液晶表示パネル、SPBは光拡散板、MFRは中間フ
レーム、BLはバックライト、BLSはバックライト支
持体、LCAは下側ケースであり、図に示すような上下
の配置関係で各部材が積み重ねられてモジュールMDL
が組み立てられる。
【0091】モジュールMDLは、シールドケースSH
Dに設けられた爪CLとフックFKによって全体が固定
されるようになっている。
【0092】中間フレームMFRは表示窓LCWに対応
する開口が設けられるように枠状に形成され、その枠部
分には拡散板SPB、バックライト支持体BLS並びに
各種回路部品の形状や厚みに応じた凹凸や、放熱用の開
口が設けられている。
【0093】下側ケースLCAはバックライト光の反射
体も兼ねており、効率のよい反射ができるよう、蛍光管
BLに対応して反射山RMが形成されている。
【0094】《表示パネルPNLと駆動回路基板PCB
1》図17は、図5等に示した表示パネルPNLに映像
信号駆動回路He、Hoと垂直走査回路Vを接続した状
態を示す上面図である。
【0095】CHIは表示パネルPNLを駆動させる駆
動ICチップ(下側の3個は垂直走査回路側の駆動IC
チップ、左右の6個ずつは映像信号駆動回路側の駆動I
Cチップ)である。TCPは図18、図19で後述する
ように駆動用ICチップCHIがテープ・オートメイテ
ィド・ボンディング法(TAB)により実装されたテー
プキャリアパッケージ、PCB1は上記TCPやコンデ
ンサCDS等が実装された駆動回路基板で、3つに分割
されている。FGPはフレームグランドパッドであり、
シールドケースSHDに切り込んで設けられたバネ状の
破片FGが半田付けされる。FCは下側の駆動回路基板
PCB1と左側の駆動回路基板PCB1、および下側の
駆動回路基板PCB1と右側の駆動回路基板PCB1と
を電気的に接続するフラットケーブルである。フラット
ケーブルFCとしては図に示すように、複数のリード線
(りん青銅の素材にSn鍍金を施したもの)をストライ
プ状のポリエチレン層とポリビニルアルコール層とでサ
ンドイッチして支持したものを使用する。
【0096】《TCPの接続構造》図18は走査信号駆
動回路Vや映像信号駆動回路He,Hoを構成する、集
積回路チップCHIがフレキシブル配線基板に搭載され
たテープキャリアパッケージTCPの断面構造を示す図
であり、図19はそれを液晶表示パネルの、本例では映
像信号回路用端子DTMに接続した状態を示す要部断面
図である。
【0097】同図において、TTBは集積回路CHIの
入力端子・配線部であり、TTMは集積回路CHIの出
力端子・配線部であり、例えばCuから成り、それぞれ
の内側の先端部(通称インナーリード)には集積回路C
HIのボンディングパッドPADがいわゆるフェースダ
ウンボンディング法により接続される。端子TTB,T
TMの外側の先端部(通称アウターリード)はそれぞれ
半導体集積回路チップCHIの入力及び出力に対応し、
半田付け等によりCRT/TFT変換回路・電源回路S
UPに、異方性導電膜ACFによって液晶表示パネルP
NLに接続される。パッケージTCPは、その先端部が
パネルPNL側の接続端子DTMを露出した保護膜PS
V1を覆うようにパネルに接続されており、従って、外
部接続端子DTM(GTM)は保護膜PSV1かパッケ
ージTCPの少なくとも一方で覆われるので電触に対し
て強くなる。
【0098】BF1はポリイミド等からなるベースフィ
ルムであり、SRSは半田付けの際半田が余計なところ
へつかないようにマスクするためのソルダレジスト膜で
ある。シールパターンSLの外側の上下ガラス基板の隙
間は洗浄後エポキシ樹脂EPX等により保護され、パッ
ケージTCPと上側基板SUB2の間には更にシリコー
ン樹脂SILが充填され保護が多重化されている。
【0099】《駆動回路基板PCB2》中間フレームM
FRに保持・収納される液晶表示部LCDの駆動回路基
板PCB2は、図20に示すように、L字形をしてお
り、IC、コンデンサ、抵抗等の電子部品が搭載されて
いる。この駆動回路基板PCB2には、1つの電圧源か
ら複数の分圧した安定化された電圧源を得るための電源
回路や、ホスト(上位演算処理装置)からのCRT(陰
極線管)用の情報をTFT液晶表示装置用の情報に変換
する回路を含む回路SUPが搭載されている。CJは外
部と接続される図示しないコネクタが接続されるコネク
タ接続部である。駆動回路基板PCB2とインバータ回
路基板PCB3とはバックライトケーブルにより中間フ
レームMFRに設けたコネクタ穴を介して電気的に接続
される。
【0100】駆動回路基板PCB1と駆動回路基板PC
B2とは折り曲げ可能なフラットケーブルFCにより電
気的に接続されている。組立て時、駆動回路基板PCB
2は、フラットケーブルFCを180°折り曲げることに
より駆動回路基板PCB1の裏側に重ねられ、中間フレ
ームMFRの所定の凹部に嵌合される。
【0101】
【発明の効果】本発明により、TFT基板の製造工程を
12%短縮でき、さらに保留を約5%向上でき、コスト
低減を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す図である。
【図2】この発明が適用されるアクティブ・マトリック
ス方式のカラー液晶表示装置の液晶表示部の1画素とそ
の周辺を示す要部平面図である。
【図3】図2の3−3切断線における1画素とその周辺
を示す断面図である。
【図4】図2の4−4切断線における付加容量Caddの
断面図である。
【図5】表示パネルのマトリクス周辺部の構成を説明す
るための平面図である。
【図6】図5の周辺部をやや誇張し更に具体的に説明す
るためのパネル平面図である。
【図7】上下基板の電気的接続部を含む表示パネルの角
部の拡大平面図である。
【図8】マトリクスの画素部を中央に、両側にパネル角
付近と映像信号端子部付近を示す断面図である。
【図9】左側に走査信号端子、右側に外部接続端子の無
いパネル縁部分を示す断面図である。
【図10】ゲート端子GTMとゲート配線GLの接続部
近辺を示す平面と断面の図である。
【図11】ドレイン端子DTMと映像信号線DLとの接
続部付近を示す平面と断面の図である。
【図12】アクティブ・マトリックス方式のカラー液晶
表示装置のマトリクス部とその周辺を含む回路図であ
る。
【図13】基板SUB1側の工程A〜Cの製造工程を示
す画素部とゲート端子部の断面図のフローチャートであ
る。
【図14】基板SUB1側の工程D〜Fの製造工程を示
す画素部とゲート端子部の断面図のフローチャートであ
る。
【図15】基板SUB1側の工程G〜Iの製造工程を示
す画素部とゲート端子部の断面図のフローチャートであ
る。
【図16】液晶表示モジュールの分解斜視図である。
【図17】液晶表示パネルに周辺の駆動回路を実装した
状態を示す上面図である。
【図18】駆動回路を構成する集積回路チップCHIが
フレキシブル配線基板に搭載されたテープキャリアパッ
ケージTCPの断面構造を示す図である。
【図19】テープキャリアパッケージTCPを液晶表示
パネルPNLの映像信号回路用端子DTMに接続した状
態を示す要部断面図である。
【図20】周辺駆動回路基板PCB1(上面が見える)
と電源回路回路基板PCB2(下面が見える)との接続
状態を示す上面図である。
【図21】従来技術を説明する為の図である。
【符号の説明】
SUB…透明ガラス基板、GL…走査信号線、DL…映
像信号線、GI…絶縁膜、GT…ゲート電極、AS…i
型半導体層、SD…ソース電極またはドレイン電極、P
SV…保護膜、BM…遮光膜、LC…液晶、TFT…薄
膜トランジスタ、ITO…透明画素電極、g、d…導電
膜、Cadd…保持容量素子、AOF…陽極酸化膜、AO
…陽極酸化マスク、GTM…ゲート端子、DTM…ドレ
イン端子、SHD…シールドケース、PNL…液晶表示
パネル、SPB…光拡散板、MFR…中間フレーム、B
L…バックライト、BLS…バックライト支持体、LC
A…下側ケース、RM…バックライト光反射山、(以上
添字省略)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/784 (72)発明者 月井 教男 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁性基板上に形成された複数本のゲート
    端子とそれに延在する複数本のゲート配線と、これと交
    差して配置された複数本の信号配線と、前記ゲート配線
    と信号配線との交点に薄膜トランジスタを配置してなる
    薄膜トランジスタ基板において、前記ゲート端子が、前
    記ゲート配線を構成する導電性薄膜と前記信号配線を構
    成する導電性薄膜との積層薄膜で形成されていることを
    特徴とする薄膜トランジスタ基板。
  2. 【請求項2】前記信号配線の端子部が前記ゲート端子と
    同一材料で形成されていることを特徴とする請求項1記
    載の薄膜トランジスタ基板。
  3. 【請求項3】前記ゲート配線がAl合金からなることを
    特徴とする請求項1又は2記載の薄膜トランジスタ基
    板。
  4. 【請求項4】前記Al合金がTa、Tiの少なくともい
    ずれかを含むことを特徴とする請求項1、2及び3の何
    れかに記載の薄膜トランジスタ基板。
  5. 【請求項5】前記信号配線が前記Al合金を含むことを
    特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の薄膜トラン
    ジスタ基板。
  6. 【請求項6】前記薄膜トランジスタのゲート絶縁膜が前
    記Al合金の陽極酸化膜を含むことを特徴とする請求項
    1乃至5の何れかに記載の薄膜トランジスタ基板。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6の何れかに記載の薄膜トラ
    ンジスタ基板を有することを特徴とする液晶表示パネ
    ル。
  8. 【請求項8】請求項7記載の液晶表示パネルと、該液晶
    表示パネルに映像信号を与えるための映像信号駆動回路
    と、走査信号を与えるための走査回路と、該映像信号駆
    動回路及び該走査回路に液晶表示パネル用の情報を与え
    るための制御回路とを有することを特徴とする液晶表示
    装置。
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