JPH063025B2 - 環状ケーソン - Google Patents

環状ケーソン

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JPH063025B2
JPH063025B2 JP15948090A JP15948090A JPH063025B2 JP H063025 B2 JPH063025 B2 JP H063025B2 JP 15948090 A JP15948090 A JP 15948090A JP 15948090 A JP15948090 A JP 15948090A JP H063025 B2 JPH063025 B2 JP H063025B2
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紀夫 近藤
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は大規模な地下空間を得るのに適し、かつ沈設過
程において多量の掘削土砂を効率良く排出可能であり、
また、例えば地下駐車場として利用すると好適な大型の
環状ケーソンに関する。
(従来の技術) 従来第8図に示すように、環状ケーソン100は、外筒壁1
01とその内側の内筒壁102とを有し、それらの下方に外
側刃口104、内側刃口105がそれぞれ設けられ、これら各
刃口104,105と作業室スラブ103とによって圧気作業室10
6が区画形成され、この圧気作業室106内において適宜の
掘削手段により内部地盤Gを掘削するようにしてい
る。
(発明が解決しようとする課題) この場合、掘削に伴って生じる掘削土砂は昇降自在とし
た土砂バケットaに積み込み、作業室スラブ103に設け
た開口部107、その上方に設けたシャフト108、シャフト
108の上部に設けたエアロック109を介し大気側へ排出す
る、といった作業を順次繰り返して行いつつ所定の深度
まで環状ケーソン100を沈設するようにしていたため、
多量の掘削土砂を効率良く排出できないという課題があ
った。
したがって、掘削作業をいくら効率良く行っても、結
局、掘削土砂の排出の作業性が悪いため、迅速に環状ケ
ーソンを沈設することができないという課題もあった。
また、環状ケーソン100を、例えば地下駐車場に利用す
るには車の出入り用の斜路等を別途新たに築造する手間
を要するといった課題もあった。
本発明はこのようなことに鑑み提案されたもので、その
目的とするところは、多量の掘削土砂を効率良く排出可
能で速やかに環状ケーソンを沈設でき、かつ例えば極め
て容易に大規模な地下駐車場に利用し得、かつ地上道路
部と地下道路とのアクセス部ともなる環状ケーソンを提
供するにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、外筒壁と内筒壁とにてなる環状部を備え、そ
の下方に作業室スラブを介し作業室が形成された環状ケ
ーソンにおいて、 前記環状部に地上側から作業室スラブに至る斜路を設
け、この斜路を前記作業室内に生じた掘削土砂の排出用
通路とし、かつ前記斜路を車の出入用通路に利用可能と
し、上記目的を達成している。
(作用) 本発明では上記のように、斜路を掘削土砂排出用の通路
とし、斜路上にズリ出し鋼車やダンプトラック等を走行
させ、それに多量の掘削土砂を積み込み排出するように
し、掘削土砂の排出効率を著しく向上させることができ
るようにしたものである。
また、斜路を車の出入用の通路とすれば環状ケーソンを
地下駐車場に容易に利用でき、かつ地上道路部と地下道
路部のアクセス部としても利用できる。
(実施例1) 第1図(a),(b)は本発明の第1実施例で、この実施例で
は掘削土砂を効率良く排出できるようにしたことに特徴
があり、また、ケーソンを容易に地下駐車場として利用
できるようにしたものである。これらの図中1は鉄筋コ
ンクリート製の大型の環状ケーソンを示す。ここで、環
状ケーソンとは、土砂を掘削する作業室が環状になった
ケーソンをいい、この場合の“環”という言葉はケーソ
ンの断面が閉じた状態となっていることを意味し、ケー
ソンの形が円型でも角型、その他の形状であっても良
い。
しかして、環状ケーソン1はその外側に外筒壁2が設け
られ、この外筒壁2の内側には間隔を介して内筒壁3が
設けられて環状部が形成されており、かつこれら外筒壁
2、内筒壁3間の下方には作業室スラブ6が設けられて
いる。また、外筒壁2の下部には外側刃口4が、内筒壁
3の下部には内側刃口5がそれぞれ設けられ、上記作業
室スラブ6、内・外側刃口5,4および内部地盤G
よって圧気作業室7が区画形成されている。
さらに、内・外筒壁3,2間であって地上側から作業室
スラブ6に至るまで螺旋状の第1斜路8、第2斜路8′
が設けられている。これらの第1、第2斜路8,8′は
詳しく後述するが環状ケーソン1の沈設にあたっては掘
削土砂排出用の通路として用いられる。また、地下駐車
場として環状ケーソン1を利用する場合、車が出入口な
いし所望の階の駐車スペース間を行ききする通路として
用いられる。
すなわち、第1、第2斜路8,8′上に、例えばレール
9にてなる軌条設備10を設け、また、各第1、第2斜路
8,8′間の最下段部に少なくとも一対の第1、第2圧
気壁21a,21bを、また、第3,第4圧気壁21a′,21b′を
設け、各圧気壁21a,21b,21a′,21b′間をそれぞれ第
1、第2気閘室24,24′とし、各気閘室24,24′は送排気
管(図示せず)を介し圧気または排気可能になってお
り、また、圧気作業室7の上方、つまり作業室スラブ6
の上部において圧気壁Aと下方の第1、第3圧気壁21a,
21a′とによって区画形成される上部作業室25と連通可
能になっている。なお、各第1、第2圧気壁21a,21b′
には開閉自在な第1、第2圧気扉14,15が、第3,第4
圧気壁21a′,21b′には第3、第4圧気扉16,16aが設け
られている。また、上部作業室25と圧気作業室7とは作
業室スラブ6に設けられた開口部22を介し連通してい
る。
なお、第1斜路8の軌条設備10にはその軌条設備10上を
走行自在なバッテリー機関車23と、このバッテリー機関
車23と連結されたズリ出し鋼車18にて成る掘削土砂排出
用車両が設けられている。第2斜路8′についても同様
になっている。
次に第1斜路8上の掘削土砂排出用車両を用いて圧気作
業室7内の掘削土砂排出方法について説明する。
地上に設けられたコンプレッサおよび送気管等(図示せ
ず)により圧気作業室7内は内部地番Gに働く地下水
圧に対抗すべく圧気され、かつ内部地盤Gは人力また
は機械力により掘削される。
しかして、第1斜路8を通って掘削土砂排出車両は第1
気閘室24の前に来る。このとき、第1気閘室24の圧気扉
15は開いており、反対側の圧気扉14は閉じており、その
第1気閘室24内に掘削土砂排出車両が入る。その後、圧
気扉15を閉じる。この時、圧気扉14は閉じているため、
圧気作業室7、上部作業室25の圧気圧は保たれている。
この状態において、図示していない送気管により第1気
閘室24内を圧気する。この圧気レベルは、上部作業室25
が作業室スラブ6に設けられた開口部22により圧気作業
室7と連通しているため、上部作業室25と同じにする。
しかる後、圧気扉14を開け、掘削土砂排出車両を上部作
業室25内に入れ、図示していない土砂バケットや土砂バ
ケット移動クレーンによって開口部22を介し掘削土砂排
出車両のズリ出し鋼車18に掘削土砂を積み込めば良い。
掘削土砂が満載されたところで、第1気閘室24に掘削土
砂排出車両を入れ、圧気扉14を閉じる。図示していない
排気管により第1気閘室24内の圧力を下げ大気圧にす
る。圧気扉15を開け、土砂排出車両を第1斜路18上を地
上側に向って走行させ、地上部分において掘削土砂を排
出する。以上の作業を繰り返し、掘削、環状ケーソン1
の沈設を行う。
なお、第2斜路8′にも掘削土砂排出車両を設け、実質
的に上記と同様の作業を行い、同時併行的に、または交
互に圧気作業室7内の掘削土砂を地上側に排出すれば、
排出作業を極めて効率良く行うことができるが、何れか
一つの斜路8または8′を用いて排出作業を行っても良
いことは勿論である。この場合においても、従前の土砂
バケットの吊り上げ、吊り下りを繰り返す排出作業に比
べ、ズリ出し鋼車18に大量の掘削土砂を積み込むことで
きるため、作業性は良い。
このように、本発明においては、環状ケーソン1の規模
や環状部に設置した斜路8,8′の1ピッチ間に、斜路
8,8′の勾配も考慮して複数の斜路8,8′を設ける
ことができるため、一度に多量の掘削土砂を効率良く排
出できる。また斜路はプレキャスト部材によっても設置
可能である。
なお、排出に際しては、軌条設備10を用いず、ダンプト
ラック等によることも可能である。
(実施例2) 第2図(a),(b)および第3図は上記実施例における環状
ケーソン1を大規模地下駐車場として用いる例を示す。
すなわち、環状ケーソン1の環状部に第1、第2斜路
8,8′が設けられているため、この第1、第2斜路
8,8′を車の通行用の通路として有効活用してしまう
ことに特徴を有している。
地下駐車場の構築にあたっては、第1、第2斜路8,
8′またはその何れかを有する環状ケーソン1を所定の
位置まで沈設させるが、その場合環状ケーソン1の中央
部分、つまり内筒壁3の内側を沈設に伴い掘削し、基礎
コンクリート打設後、中央部分に各階の駐車場用床部11
および内筒壁3部分に駐車場出入口12,13を設ければ、
環状ケーソン1の環状部に設けた斜路の駐車場出入口の
ランプウェイとした大規模地下駐車場とすることができ
る。
また、第3図において符号Aは地上道路部側から、Bは
地下道路部側から進入する車の進入方向例で、A′,
B′は出車方向例を示す。
このように地下道路部から、地上道路部に接続、あるい
は地上から地下へと接続するインターチェンジ部のラン
プウェイに環状ケーソン1の環状部に設置した斜路を利
用することができる。
なお、従来、地上道路と地下道路部との接続部分におい
ては、その地下道路部の深度により、浅い部分は開削、
深い部分はシールド工法等によって接続され道路勾配も
考慮し、その接続部は長くなるが本発明の斜路を有する
環状ケーソン1では、地上部を占有する部分は小さいと
いう利点がある。
しかも、環状ケーソン1の大きさと斜路のピッチを考慮
すれば複数の斜路が設けられるため、斜路を持つ環状ケ
ーソン1基で複数の地上および地下の連絡が可能とな
る。
第4図(a),(b),(c)は上述の環状ケーソン1からなる地
下駐車場を複数設け(図示例で2つ)それらを互いに連
結し、相互利用可能とし、より大規模な地下駐車場とし
た例を示す。
構築にあたっては、第1、第2斜路8,8′を有する2
つの環状ケーソン1を所定の深さまで沈設し、所望の斜
路8,8′を利用し、分割または既に完成されたシール
ド機等(図示せず)を搬入し、分割されたものであると
き、それらを所定の位置で組み立てる。
ついで、一方の環状ケーソン1を発進立坑とし、他方を
到達立坑としシールド機等により掘進し地下連絡通路26
を作る。この地下連絡通路26は、本実施例の様に上下二
連の重合断面でも良いし、また、互いに独立した円形断
面でも良い。前者の場合、いわゆる縦2連形の多連形シ
ールド機を用いると効率が良い。なお、シールド等によ
る掘進中は図示していない土砂搬出装置おびダンプトラ
ック等により、斜路を搬出路として土砂を搬出したり、
資材の搬入路として使用する。
シールド機等が到達立坑に到達した後、解体された部分
あるいはシールド機等そのものを斜路8,8′を利用し
て地上へ搬出すれば良い。
なお、本実施例は単なるインターチェンジとしても利用
できる。
(実施例3) 第5図(a),(b)は本発明の第3実施例を示すもので、こ
の実施例では地下駐車場として利用し得る本発明の環状
ケーソン1において、沈設に際して生じる掘削土砂を、
第1、第2斜路8,8′にシャフト30を穿って設け、か
つこのシャフト30の上端部にエアーロック31を設け、こ
れらシャフト30、エアーロック31内に土砂バケット(図
示せず)を設けるなどし、これらを介して掘削土砂を排
出し、順次環状部や第1、第2斜路8,8′を継ぎ足し
ていくことに特徴を有している。
なお、第6図(a),(b)は同上の沈設・掘削施工図であ
る。この例では第1実施例に比べ掘削土砂の排出効率は
多少劣るものである。
その他、図中G′は内周地盤、Gは外周地盤、Wは地下
水である。
(実施例4) 第7図(a),(b)は本発明の第4実施例を示すもので、こ
の例では環状部に隔壁19を用い、その隔壁19に斜路を設
置するピッチであらかじめ斜路設置部20を設け、所定の
位置まで環状ケーソン1を沈設後、斜路を設け、この斜
路を地下駐車場の車の通路として利用するようにしたも
のである。なお、図中30はシャフト、エアロック部分で
ある。
なお、斜路設置部20も後で設けることにすることも可能
である。
したがって、この実施例では掘削土砂の排出は、例えば
第3実施例開示の方法で行われる。
なお、上記各実施例において環状ケーソン1を地下駐車
場として利用する場合について説明したが、他の建造物
として利用しても良いことは勿論である。
(発明の効果) 以上のように、外筒壁と内筒壁とにてなる環状部を備
え、その下方に作業室スラブを介し作業室が形成された
環状ケーソンにおいて、 前記環状部に地上側から作業室スラブに至る斜路を設
け、この斜路を前記作業室内に生じた掘削土砂の排出用
通路とし、かつ前記斜路を車の出入用通路に利用可能と
した本発明によれば、掘削土砂を効率良く排出でき、か
つ環状ケーソンを地下駐車場として容易に有効利用する
ことができる。
また、単に斜路を車の出入用通路に利用可能とした本発
明においては、環状ケーソンと地上道路部と地下道路部
を結ぶインターチェンジ部分として有効利用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は本発明の第1実施例で、(a)は要部斜視
図、(b)は(a)中A−A線断面図、第2図(a),(b)は本発
明の第1実施例を地下駐車場に用いた例で、(a)は部分
断面斜視図、(b)は(a)中A−A線断面図、第3図は地上
側のランプウェイの説明図、第4図(a),(b),(c)は複数
の環状ケーソンを組合せて地下駐車場あるいはインター
チェンジ部としたもので、(a)はランプウェイの様子、
(b)は地中内の様子、(c)は(b)中A−A線断面図を示
す。第5図(a),(b)は本発明の第3実施例で、(a)は(b)
中A−A線断面図、(b)は内部構造を示す部分断面側面
図、第6図(a),(b)は同上の沈設・掘削施工の説明図
で、(a)は(b)中A−A線断面図、(b)は側断面図、第7
図(a),(b)は本発明の第4実施例で、(a)は(b)中A−A
線断面図、第8図は従来例を示す。 1・・・環状ケーソン、2・・・外筒壁、3・・・内筒
壁、6・・・作業室スラブ、8・・・第1の斜路、8′
・・・第2の斜路

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外筒壁と内筒壁とにてなる環状部を備え、
    その下方に作業室スラブを介し作業室が形成された環状
    ケーソンにおいて、 前記環状部に地上側から作業室スラブに至る斜路を設け
    たことを特徴とする環状ケーソン。
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