JPH06302511A - 半導体単結晶層の製造方法 - Google Patents

半導体単結晶層の製造方法

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JPH06302511A
JPH06302511A JP19952392A JP19952392A JPH06302511A JP H06302511 A JPH06302511 A JP H06302511A JP 19952392 A JP19952392 A JP 19952392A JP 19952392 A JP19952392 A JP 19952392A JP H06302511 A JPH06302511 A JP H06302511A
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sample
flame
semiconductor layer
single crystal
heating
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Application number
JP19952392A
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English (en)
Inventor
Masakuni Suzuki
正國 鈴木
Akio Kitagawa
章夫 北川
Masaki Takeuchi
雅樹 竹内
Sadaki Futaki
貞樹 二木
Shungo Kanai
俊吾 金井
Kazunori Tsubota
和憲 坪田
Yoshio Kakimoto
芳雄 柿本
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のSOI技術の溶融再結晶化法を改良し
て、絶縁体基板上に半導体単結晶層を迅速かつ大面積に
一括して形成できる製造方法を提供する。 【構成】 絶縁体基板上に半導体層を形成し、この半導
体層の一方向には均一な温度分布、多方向にはほぼ均一
な温度勾配を形成するような加熱条件を備えた火焔11
を半導体層の表面に接触させて半導体層を融解しなが
ら、絶縁体基板を上記の多方向へ所定の速度で移動し
て、半導体層の融解領域の相対的な転移によって順次連
続的に冷却を行って半導体層を単結晶化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体単結晶層の製造方
法に関し、詳しくはSOI(SemiconductorOn Insulato
r)技術のうちの溶融再結晶化法に凖ずる方法を用い
て、基板上の半導体層を単結晶化させる半導体単結晶層
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、絶縁物上に単結晶の半導体層を形
成するSOI技術が、半導体デバイスの高速化、高密度
化及び3次元化に資するものとして注目され、その開発
・研究が盛んである。そして、この技術に関しては、例
えば、応用物理;第54巻、第12号、(1985)、
p1274−p1282:「SOI技術」西村正・赤坂
洋一著、に整理された解説が開示されている。
【0003】SOI技術において、溶融再結晶化法と呼
ばれているものは、絶縁層上に堆積した半導体層の一部
を電子ビーム、レーザ光、線状カーボンヒータのような
限定的加熱手段で溶融(融解とも言い、場合によっては
溶解とも言う)し、この融解領域を移動させて順次連続
的に徐冷することにより単結晶化し、絶縁基板上にSO
I層を形成する技術である。なお、本来は、再結晶化と
いうからには元の半導体層は多結晶体の筈であるが、最
近では元が非晶質体であっても慣用的に再結晶化と称さ
れている。つまり、多結晶膜だけでなく非晶質膜は任意
の厚さで使用でき、LSIプロセスとの整合性が良いと
の理由で特に研究が盛んである。
【0004】溶融再結晶化法のうち、電子ビームやレー
ザ光のようなエネルギビームを用いて非常に細い融解領
域を形成し、下層構造に熱的影響を与えずに表面層のみ
を加熱するものを、ビーム再結晶化法と呼んでいる。ビ
ーム再結晶化法は、エネルギの強いビーム照射による半
導体膜内での発熱を利用して半導体層を溶融結晶化する
方法であり、その意味で内部(発熱)加熱法といえる。
【0005】これに対して、線状カーボンヒータのよう
な比較的広域の加熱手段により帯状の融解領域を作成
し、これを移動することによって、基板上の大面積の部
分に一括して単結晶を形成するものを帯域溶融再結晶化
法とよんでいる。この方法は、高温のヒータを半導体膜
に近接させ、間接的に半導体層を加熱溶融再結晶化させ
る方法であり、その意味で間接加熱法ということができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のS
OI技術において、まず、ビーム再結晶化法は、上述の
ように下層構造に影響を与えることなく単結晶層を形成
することができるので、三次元回路素子のような積層構
造半導体デバイスの作成には好適な方法である。しか
し、ビーム幅が狭いため、基板上の大面積の半導体層を
一括して単結晶化させることは困難であり、また可能で
あるにしても装置構成が複雑になるという問題が生ず
る。すなわち、大面積の半導体層を一挙に単結晶化する
には、基板とビームとの相対的な位置決め、ビーム走査
の緻密な制御、ビーム内のパワー分布の均一化をはじめ
とするビーム強度の調整方法等の他に光の反射、放吸熱
の最適化等に特殊の工夫と配慮が必要である。
【0007】これに対して、帯域溶融再結晶化法は装置
構成が比較的簡単である反面、半導体層以外の下地等も
熱的影響を受けるため、熱歪みの解消に関連して熱流の
制御が大きな課題となっている。
【0008】本発明は、上述のような内部(発熱)加熱
法や間接加熱法などの溶融再結晶化法の問題点を解決す
るためになされたもので、絶縁体基板上に半導体単結晶
層を、迅速かつ大面積に一括して形成できる簡易な製造
方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体単結
晶層の製造方法は、絶縁体基板上に半導体層を形成し、
この半導体層の表面に火焔を直接接触させて半導体層を
加熱して融解領域を形成し、この融解領域を火焔に対し
て相対的に移動させて、順次この融解領域の冷却を行
い、半導体層を単結晶化するものである(これを本発明
の第1の態様とする)。
【0010】本発明の第2の態様では、前記第1の態様
において火焔を融解領域の上流側から斜めに吹き付け
て、半導体層を加熱するものである。本発明の第3の態
様では、前記第2の態様において融解領域の上流側で未
融解の半導体層を予熱するようにしている。本発明の第
4の態様では、前記第1〜第3のいずれかの態様におい
て融解領域の下流側で半導体層に対して熱シールドを行
うものである。本発明の第5の態様では、前記第1〜第
4のいずれかの態様において火焔の接触面とは反対側の
絶縁体基板面の加熱を行うものである。
【0011】
【作用】本発明の第1の態様においては、半導体層の溶
融加熱に火焔を使用するから、火力の増減、ノズル形
状、火焔の照射方向等の工夫によって、上下流方向(前
記の表面の他方向)及び横幅方向(表面の一方向)に適
切な温度分布を持つ温度条件が得られるような加熱が行
われる。この加熱条件は、全域での一様な単結晶化に寄
与する。火焔はガス焔であることが望ましく、このよう
な火焔加熱の溶融再結晶化法は接触(又は直接)加熱法
とも称することができる。したがって、この加熱法は前
述の内部(発熱)加熱法や間接加熱法とは加熱モードを
異にするものとなる。なお、再結晶化前の半導体層は非
晶質であっても多結晶質であっても構わない。
【0012】次に第2,第3の態様においては、火焔を
上流方向から斜めに吹き付けるから、加熱、溶融、凝固
の過程で単結晶領域が形成される場合に、火焔との間で
相対的に移動する半導体層の面に特定の熱的分布(熱勾
配)の形成を可能とする。特に、上流方向からの斜め照
射によれば、半導体層の移動方向に沿って、上流から下
流に向かって適切な勾配を有する昇熱領域、融解領域、
適切な勾配の冷却領域が形成される。この場合、この熱
分布を、少なくとも火焔の照射角度の工夫により単結晶
形成に必要な分布形状にすることができ、さらに半導体
層の下部領域と上部の単結晶領域との整合性を良くする
ことができるので、単結晶領域の作成に適した温度条件
の設定が得られる。また、火焔を斜めから吹き付けるこ
とで、火焔との接触部より上流の試料を、非接触かつ近
接する火焔により予熱することもできる。
【0013】さらに、第4の態様においては、融解領域
の下流側で熱シールドを行うから、火焔の先頭部分によ
る単結晶領域への熱的悪影響が防止される。特に火焔を
斜め照射する場合には、その先頭部における火焔の効果
である温度の均一性を維持することが難しい場合があ
る。例えば気流の分布のような装置内部における種々の
影響や、火焔照射圧力の衰退による制御性の低下によ
り、火焔の先頭部まで熱的制御が行き届かない場合があ
る。このような場合には、熱シールドにより火焔先頭部
による熱分布を均一化もしくは冷却速度の調整、又は保
温ができ、結晶方位の安定化が得られ、欠陥密度が低減
される。
【0014】そして、第5の態様においては、火焔の接
触面とは反対側の基板面を加熱するので、火焔による急
激な加熱によって試料が損傷するのを防止することがで
きる。特に、このような付加的な加熱により試料を予熱
すると基板の損傷は激減する。
【0015】
【実施例】本実施例は実験室的な手法によって行われた
ものであるから、以下の説明においては、これまで述べ
てきた絶縁体基板(基板上に形成した絶縁体層であって
もよい)上の半導体層を、適宜に基板を含めて「試料」
と称する。なお、単結晶化前のものは単に試料とし、単
結晶化後のものを成長試料とする。以下、試料の半導体
層を、本発明による製造方法によって単結晶層化した一
実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0016】(1)試料の準備 図3は本実施例用に準備した試料の模式断面図である。
図にみられるように、石英基板12上に電子ビーム蒸着
により非晶質のSi薄膜(a−Si薄膜とも記す)13
の半導体層を形成して、試料10を作成した。この場
合、試料は幅約3cmの帯状平板の石英基板12の片側
全面にSi薄膜13を堆積したものである。なお、この
半導体層は多結晶質であっても構わないし、CVDのよ
うな他の公知手段で成膜してもよい。
【0017】上述のSi薄膜13上に、後の本工程での
溶融時のSi表面を保護するための保護膜を形成した。
保護膜は、SiO2 膜を第1保護膜14とし、Si3
4 膜を第2保護膜15とする2層保護膜が使用可能であ
る。第1保護膜14のSiO2 膜は、(a)公知技術の
SOG(Spin On Glass)で塗布した後、熱処理する、
(b)CVD法による成膜、(c)Si膜を適当な方法
で形成した後Si膜上に熱酸化による薄いSiO2 膜を
成長させ、その後にSOG、CVD SiO2 膜等を堆
積する、等の方法で作成する。本実施例では(c)の薄
い熱酸化膜上にSOGを積層した例について示すが、他
の方法で成膜した試料であっても、同様な結果が得られ
た。第2保護膜15のSi3 4 膜は、第1保護膜14
上にスパッタ法により形成した。しかし、この成膜もC
VD法等を使用可能であり、これに限定されない。
【0018】このような保護膜を設けることの目的は、
加熱中の溶融Si層の表面張力を調整し、表面荒れを防
止することと、処理中のSiへの不純物の混入を防止す
るためである。しかしながら、保護膜は、必ずしも上記
のように2層構造にする必要はなく、後に示す実施例の
結果によれば、SiO2 膜だけの1層保護膜でも良好な
結果が得られている。図4に1層保護膜で構成した試料
16を示す。
【0019】(2)結晶試料の形成方法 2.1 製造装置 図1は本発明による製造方法に用いた装置の一実施例を
示す模式外観図であり、図2はその主要部の断面図であ
る。両図において、本装置は、ガスバーナ1を主体とし
火焔11を供給する加熱手段と、試料16を載置して処
理する試料保持台2a、試料保持台2aを載せる台2、
試料16をその移動方向に案内する軌道レール3、試料
16の送り機構として設けた牽引手段4及び図示しない
試料徐冷手段を備えた試料処理手段からなるものであ
る。この場合、試料保持台2aを載せる台2の上面部
は、火焔11の照射方向に対して傾斜するように設定さ
れる。なお、5は試料牽引用のワイヤーである。なお、
試料徐冷手段は、例えば、耐熱性の高いセラミックス部
材を試料の進行方向に沿って、試料近傍に敷設すること
で実現できる。
【0020】そして、火焔11により試料16を加熱す
る領域の試料保持台2aの表面側には、試料16の裏面
を所定温度に加熱するヒータ6が設けられている。この
ヒータによる加熱により少なくとも試料の予熱が可能と
なり、試料の損傷を防止できる。また、予熱によって試
料の温度条件を調整することができる。さらに、ヒータ
加熱を付加することで、その温度条件を短時間で実現で
きる場合があり、単結晶形成速度の向上に寄与する。こ
のヒータ6は、試料16の基板に石英以外のものを用い
る場合に特に有用である。このヒータ6により、ガスバ
ーナ1の火焔11の照射位置を含む前後の比較的広い範
囲で試料裏面(石英基板12)を均一温度に保つように
コントロールされる。本実施例の場合には、300℃よ
り高めに設定される。なお、このヒータ6を分割してそ
れぞれ独立に温度制御したり、ヒータの近接部に金属片
を敷設して加熱の均一性を崩したりすることによって、
温度勾配をつけて試料裏面の加熱を行えば、半導体層の
面に適当な温度分布を作ることも容易になる。ただ、一
般的には試料徐冷手段とヒータは必要に応じて設置する
ようになっている。
【0021】図1には図示を省略したが、図2にみられ
るように加熱位置の試料16の下流側(試料が牽引され
る側を下流側と定義している)に試料に平行で、かつで
きるだけ近接して熱シールド板7が配設されている。熱
シールド板7はセラミックス製の板状体からなり、火焔
11部を通過した試料16に対して火焔11を遮蔽する
ことにより、溶融状態のSi薄膜13に大きな温度勾配
を付与した後、引き続く試料16の等速移動により加熱
部より遠ざけながら自然冷却するために設けられるもの
である。
【0022】ガスバーナ1は、都市ガスやプロパンガス
などの燃料ガスに酸素を混合して使用する。このガスバ
ーナ1は、均一線状加熱を可能にするよう、バーナ・ノ
ズル(図示しない)はWfの火焔幅が得られるような細
長いスリットになっている。この火焔11の幅(Wf)
は試料の幅(Ws)以上に設定されているため、試料幅
方向の加熱状態を殆ど均一に維持することができる。し
かも、バーナの性質いかんにより加熱幅を変えることが
できるので、形成される単結晶層/基板の幅は、基本的
には火炎加熱手段によって、いかに均一で長い線状加熱
が可能になるかによりきまる。
【0023】本実施例では、Wsは約3cm、Wfは約
5cmである。また、火焔11は水平よりやや下向き、
時にはやや上向きにする。例えば都市ガスの場合、先端
部所定位置の火焔11の接触加熱によるSi薄膜13の
温度変化は図5に示す通りである。図5の線図におい
て、横軸は時間、縦軸は半導体層の温度を示している。
この場合は、試料16は1mm/秒の移動速度で下方か
ら上方へ移動し、図4の温度変化で加熱されることにな
る。ここで、最高温度は半導体層の溶融温度以上でなけ
ればならないので、a−Siの溶融温度を考慮して、1
420℃程度に設定する必要がある。
【0024】なお、試料16は、正確に速度制御される
ワイヤー巻取型牽引装置(図示せず)による牽引手段4
にワイヤー5を介して接続されている。従って、設定し
た巻取速度に応じた速度で試料保持台2aは台2上を移
動する。そして、軌道レール3に挾まれた領域を斜め上
方に移動し、その移動方向は適正に規定される。移動速
度は、現在の装置では、0.4〜10mm/秒に可変で
きるようになっている。
【0025】また、火焔11は試料面に対して上流側か
ら下流側に斜めに照射するように位置決めされている。
実施例では台2が傾斜しガスバーナ1がほぼ水平に位置
決めされ、斜め照射の場合を示しているが、台2を水平
にしてガスバーナ1を斜めに位置決めしても構わない。
このような斜め照射を行うと、照射位置において試料
(Si薄膜13)の融解が行われ、ここから逃げる火焔
や熱によって溶融再結晶化領域を焼鈍する働きをする。
ただし、過度の焼鈍は再結晶化の作用に影響するので、
下流側にシールド板7を配設することにより、火焔照射
位置から逃げる火焔や熱を試料から遮断して、特に均一
な自然冷却が可能な温度勾配を必要とする下流側で、不
必要な加熱を防止するようになっている。
【0026】2.2 成長試料の形成方法 まず、図1,図2に示すように、試料16を試料保持台
2aに載置しその端部をワイヤー5に接続した後、ヒー
タ6を通電して試料16を300℃より若干高めに成る
ように予熱する。次いで、牽引手段4を作動して所定の
試料の移動速度(約1mm/秒)で傾斜面に沿って試料
16を引き上げる。試料16を引き上げながらバーナを
点火して所定のガス操作条件で火焔11を噴射し試料1
6のSi薄膜13を第1保護膜14を介して加熱する。
【0027】上記のような加熱によって、試料16の上
面の幅方向のある特定点(線)における温度変化のプロ
フィールは図2に例示するようになるが、この場合は約
8秒で1420℃に到達してこの部分のSi薄膜13は
試料幅Ws方向の狭い帯状に溶融した後、引き続いて引
き上げられながら時間とともに指数関数的に温度が低下
し、a−Siは順に所定の温度勾配によって冷却され
る。そのため、連続して単結晶化が進行することにより
比較的大きな面積の成長試料が形成される。すなわち、
Si薄膜13が溶融した時点から約100秒後にはこの
部分は100℃程度になり、このような連続した流れに
よってSi薄膜13の順次単結晶化が進行し、石英基板
12上の全面に単結晶層が形成されるようになる。
【0028】試料は、図5に示したような温度変化を有
する移動過程において、適当な温度勾配による昇熱、溶
融及び冷却の過程を経て形成過程を通過する。この場
合、冷却過程は自然冷却であっても構わないが、通常は
徐冷の方が好ましいので、図2にみられるように、前述
の熱シールド板7の設置による熱シールドを実施し、保
温若しくは熱遮蔽による冷却速度の制御を行うようにし
ている。
【0029】2.3 結晶試料の評価 実施例の形成方法によって得られた結晶試料の第1保護
膜14を除去して露出された石英基板12上のSi結晶
層について、その単結晶性についての評価を異方性エッ
チングによって行った。図6は異方性エッチングによっ
て得た成長試料の表面の顕微鏡写真の模写図である。写
真の倍率は600倍である。図において、20はエッチ
ピットであり、21は干渉縞である。
【0030】エッチングはKOH系の異方性エッチング
で行ったが、正方形のエッチピット20が縦横50μm
の間隔で規則正しく分布して存在しているのが観察され
る。これは(100)面の単結晶層が一面に形成されて
いることを示している。そして、図示しない低倍率の写
真からも勘案すると、幅が凡そ100μm、長さが凡そ
1mmの大きさの単結晶領域の形成が認められた。以上
により、シード(種結晶)なしで非晶質のSiが単結晶
に成長したことが確認された。これは、溶融Siが基板
と保護膜に挾まれているために、固化する際の境界条件
が自然に設定されることによるのではないかと考えられ
ている。
【0031】なお、加熱溶融時の温度が高めであると、
結晶化したSiの表面が波打つといわれているが、図6
に示したようなノマルスキー微分干渉顕微鏡による写真
にもそのような波打ちによると思われる干渉縞21が見
られる。これは、温度制御を行うことと、保護膜を、図
3のように、SiO2 とSi3 4 の2層構造にするこ
とによって解決されることが判った。
【0032】さらに、本発明の第2の態様及び実施例に
おいては、火焔を斜めから吹き付ける技術的思想のみを
記述しているが、斜めでない方向から吹き付けることも
本発明の要旨とする。すなわち、例えば、試料面に対し
て略垂直に火焔を吹き付けるとともに、その火焔の一部
をシールド手段で遮蔽すれば、単結晶層の形成可能な条
件を実現することができる。また、これにヒータや試料
徐冷手段とを組み合わせることで、その条件を好適化す
ることもできる。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、絶縁体層
の上に半導体層を形成し、この半導体層を温度勾配を有
する温度条件になるような火焔により加熱して融解しな
がら、この融解領域を相対的に移動させることにって冷
却を行い半導体層を結晶化し、単結晶層を形成するか
ら、次に列挙するような効果が得られる。 (イ)基板上の非晶質の半導体層や多結晶半導体層を、
種結晶なしでも単結晶化し単結晶層に成長させることが
できる。 (ロ)この場合、広い幅にわたって、比較的速いスピー
ドで単結晶化が可能である。例えば、都市ガスの火焔加
熱で数mm/秒の形成速度が達成されている。 (ハ)上述のイ.ロ項を勘案すれば、結晶化処理自体に
必要な加熱溶融装置は簡単かつ低価格であることから判
断して、製造コストは極めて安価となることが明らかで
ある。 (ニ)製造されたSOIは、現在のSiウェーハを用い
るIC製造設備のラインにそのままのせることが可能で
ある。したがって、高速・高性能の半導体デバイスへの
適用が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による製造方法に用いた装置の一実施例
を示す模式外観図である。
【図2】図1の要部断面図である。
【図3】本発明の実施例用に準備した試料の模式断面図
である。
【図4】本発明の実施例に使用した試料の断面図であ
る。
【図5】本発明の試料の特定の移動速度における加熱時
間とその温度の変化を示す線図である。
【図6】本発明の実施例で得られた成長試料の異方性エ
ッチング後の顕微鏡写真の模写図である。
【符号の説明】
1 ガスバーナ 2 台 2a 試料保持台 3 軌道レール 4 牽引手段 5 ワイヤー 6 ヒータ 7 熱シールド板 10,16 試料 11 火焔 12 石英基板 13 Si薄膜 14 第1保護膜 15 第2保護膜 20 エッチピット 21 干渉縞
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 半導体単結晶層の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体単結晶層の製造方
法に関し、詳しくはSOI(SemiconductorOn Insulato
r)技術のうちの溶融再結晶化法に凖ずる方法を用い
て、基板上の半導体層を単結晶化させる半導体単結晶層
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、絶縁物上に単結晶の半導体層を形
成するSOI技術が、半導体デバイスの高速化、高密度
化及び3次元化に資するものとして注目され、その開
発.研究が盛んである。そして、この技術に関しては、
例えば、応用物理;第54巻、第12号、(198
5)、p1274−p1282:「SOI技術」西村正
・赤坂洋一著、に整理された解説が開示されている。
【0003】SOI技術において、溶融再結晶化法と呼
ばれているものは、絶縁層上に堆積した半導体層の一部
を電子ビーム、レーザ光、線状カーボンヒータのような
限定的加熱手段で溶融(融解とも言い、場合によっては
溶解とも言う)し、この融解領域を移動させて順次連続
的に徐冷することにより単結晶化し、絶縁基板上にSO
I層を形成する技術である。なお、本来は、再結晶化と
いうからには元の半導体層は多結晶体の筈であるが、最
近では元が非晶質体であっても慣用的に再結晶化と称さ
れている。つまり、多結晶膜だけでなく非晶質膜は任意
の厚さで使用でき、LSIプロセスとの整合性が良いと
の理由で特に研究が盛んである。
【0004】溶融再結晶化法のうち、電子ビームやレー
ザ光のようなエネルギビームを用いて非常に細い融解領
域を形成し、下層構造に熱的影響を与えずに表面層のみ
を加熱するものを、ビーム再結晶化法と呼んでいる。ビ
ーム再結晶化法は、エネルギの強いビーム照射による半
導体膜内での発熱を利用して半導体層を溶融結晶化する
方法であり、その意味で内部(発熱)加熱法といえる。
【0005】これに対して、線状カーボンヒータのよう
な比較的広域の加熱手段により帯状の融解領域を作成
し、これを移動することによって、基板上の大面積の部
分に一括して単結晶を形成するものを帯域溶融再結晶化
法とよんでいる。この方法は、高温のヒータを半導体膜
に近接させ、間接的に半導体層を加熱溶融再結晶化させ
る方法であり、その意味で間接加熱法ということができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のS
OI技術において、まず、ビーム再結晶化法は、上述の
ように下層構造に影響を与えることなく単結晶層を形成
することができるので、三次元回路素子のような積層構
造半導体デバイスの作成には好適な方法である。しか
し、ビーム幅が狭いため、基板上の大面積の半導体層を
一括して単結晶化させることは困難であり、また可能で
あるにしても装置構成が複雑になるという問題が生ず
る。すなわち、大面積の半導体層を一挙に単結晶化する
には、基板とビームとの相対的な位置決め、ビーム走査
の緻密な制御、ビーム内のパワー分布の均一化をはじめ
とするビーム強度の調整方法等の他に光の反射、放吸熱
の最適化等に特殊の工夫と配慮が必要である。
【0007】これに対して、帯域溶融再結晶化法は装置
構成が比較的簡単である反面、半導体層以外の下地等も
熱的影響を受けるため、熱歪みの解消に関連して熱流の
制御が大きな課題となっている。
【0008】本発明は、上述のような内部(発熱)加熱
法や間接加熱法などの溶融再結晶化法の問題点を解決す
るためになされたもので、絶縁体基板上に半導体単結晶
層を、迅速かつ大面積に一括して形成できる簡易な製造
方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体単結
晶層の製造方法は、絶縁体基板上に半導体層を形成し、
この半導体層の表面に火焔を直接接触させて半導体層を
加熱して融解領域を形成し、この融解領域を火焔に対し
て相対的に移動させて、順次この融解領域の冷却を行
い、半導体層を単結晶化するものである(これを本発明
の第1の態様とする)。
【0010】本発明の第2の態様では、前記第1の態様
において火焔を融解領域の上流側から斜めに吹き付け
て、半導体層を加熱するものである。本発明の第3の態
様では、前記第2の態様において融解領域の上流側で未
融解の半導体層を予熱するようにしている。本発明の第
4の態様では、前記第1〜第3のいずれかの態様におい
て融解領域の下流側で半導体層に対して熱シールドを行
うものである。本発明の第5の態様では、前記第1〜第
4のいずれかの態様において火焔の接触面とは反対側の
絶縁体基板面の加熱を行うものである。
【0011】本発明の第6の態様では、絶縁体基板上に
半導体層及び保護層を形成し、この保護層の表面に火焔
を直接接触させて半導体層を加熱して融解領域を形成
し、この融解領域を火焔に対して相対的に移動して、順
次融解領域の冷却を行い、半導体層を単結晶化して、半
導体単結晶領域を形成するものである。
【0012】本発明の第7の態様では、前記第6の態様
において、保護層を酸化珪素膜としたものである。ま
た、本発明の第8の態様では、前記第6の態様におい
て、保護層を、半導体層上に形成された酸化珪素膜及び
この酸化珪素膜上に形成された窒化珪素膜の2層膜とし
たものである
【0013】
【作用】本発明の第1の態様においては、半導体層の溶
融加熱に火焔を使用するから、火力の増減、ノズル形
状、火焔の照射方向等の工夫によって、上下流方向(前
記の表面の他方向)及び横幅方向(表面の一方向)に適
切な温度分布を持つ温度条件が得られるような加熱が行
われる。この加熱条件は、全域での一様な単結晶化に寄
与する。火焔はガス焔であることが望ましく、このよう
な火焔加熱の溶融再結晶化法は接触(又は直接)加熱法
とも称することができる。したがって、この加熱法は前
述の内部(発熱)加熱法や間接加熱法とは加熱モードを
異にするものとなる。なお、再結晶化前の半導体層は非
晶質であっても多結晶質であっても構わない。
【0014】次に第2,第3の態様においては、火焔を
上流方向から斜めに吹き付けるから、加熱、溶融、凝固
の過程で単結晶領域が形成される場合に、火焔との間で
相対的に移動する半導体層の面に特定の熱的分布(熱勾
配)の形成を可能とする。特に、上流方向からの斜め照
射によれば、半導体層の移動方向に沿って、上流から下
流に向かって適切な勾配を有する昇熱領域、融解領域、
適切な勾配の冷却領域が形成される。この場合、この熱
分布を、少なくとも火焔の照射角度の工夫により単結晶
形成に必要な分布形状にすることができ、さらに半導体
層の下部領域と上部の単結晶領域との整合性を良くする
ことができるので、単結晶領域の作成に適した温度条件
の設定が得られる。また、火焔を斜めから吹き付けるこ
とで、火焔との接触部より上流の試料を、非接触かつ近
接する火焔により予熱することもできる。
【0015】さらに、第4の態様においては、融解領域
の下流側で熱シールドを行うから、火焔の先頭部分によ
る単結晶領域への熱的悪影響が防止される。特に火焔を
斜め照射する場合には、その先頭部における火焔の効果
である温度の均一性を維持することが難しい場合があ
る。例えば気流の分布のような装置内部における種々の
影響や、火焔照射圧力の衰退による制御性の低下によ
り、火焔の先頭部まで熱的制御が行き届かない場合があ
る。このような場合には、熱シールドにより火焔先頭部
による熱分布を均一化もしくは冷却速度の調整、又は保
温ができ、結晶方位の安定化が得られ、欠陥密度が低減
される。
【0016】そして、第5の態様においては、火焔の接
触面とは反対側の基板面を加熱するので、火焔による急
激な加熱によって試料が損傷するのを防止することがで
きる。特に、このような付加的な加熱により試料を予熱
すると基板の損傷は激減する。
【0017】また、第6〜第8の態様においては、半導
体層の上に、同一半導体の酸化物の単層膜又はこの酸化
物と窒化物との2層膜を保護膜として形成しておく。こ
れにより、融点の高いこれらの保護膜は溶融せず、その
下側の溶融層の表面張力を調整し、不純物の混入を防止
でき、均一に冷却させる。それ故、より広い単結晶化領
域の形成を促進する。特に2層膜の場合この作用が強く
なる。
【0018】
【実施例】本実施例は実験室的な手法によって行われた
ものであるから、以下の説明においては、これまで述べ
てきた絶縁体基板(基板上に形成した絶縁体層であって
もよい)上の半導体層を、適宜に基板を含めて「試料」
と称する。なお、単結晶化前のものは単に試料とし、単
結晶化後のものを成長試料とする。以下、試料の半導体
層を、本発明による製造方法によって単結晶層化した一
実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0019】(1)試料の準備 図3は本実施例用に準備した試料の模式断面図である。
図にみられるように、石英基板12上に電子ビーム蒸着
により非晶質のSi薄膜(a−Si薄膜とも記す)13
の半導体層を形成して、試料10を作成した。この場
合、試料は幅約3cmの帯状平板の石英基板12の片側
全面にSi薄膜13を堆積したものである。なお、この
半導体層は多結晶質であっても構わないし、CVDのよ
うな他の公知手段で成膜してもよい。
【0020】上述のSi薄膜13上に、後の本工程での
溶融時のSi表面を保護するための保護膜を形成した。
保護膜は、SiO2 膜を第1保護膜14とし、Si3
4 膜を第2保護膜15とする2層保護膜が使用可能であ
る。第1保護膜14のSiO2 膜は、(a)公知技術の
SOG(Spin On Glass)で塗布した後、熱処理する、
(b)CVD法による成膜、(c)Si膜を適当な方法
で形成した後Si膜上に熱酸化による薄いSiO2 膜を
成長させ、その後にSOG、CVD SiO2 膜等を堆
積する、等の方法で作成する。本実施例では(c)の薄
い熱酸化膜上にSOGを積層した例について示すが、他
の方法で成膜した試料であっても、同様な結果が得られ
た。第2保護膜15のSi3 4 膜は、第1保護膜14
上にスパッタ法により形成した。しかし、この成膜もC
VD法等を使用可能であり、これに限定されない。
【0021】このような保護膜を設けることの目的は、
加熱中の溶融Si層の表面張力を調整し、表面荒れを防
止することと、処理中のSiへの不純物の混入を防止す
るためである。しかしながら、保護膜は、必ずしも上記
のように2層構造にする必要はなく、後に示す実施例の
結果によれば、SiO2 膜だけの1層保護膜でも良好な
結果が得られている。図4に1層保護膜で構成した試料
16を示す。
【0022】(2)結晶試料の形成方法 2.1 製造装置 図1は本発明による製造方法に用いた装置の一実施例を
示す模式外観図であり、図2はその主要部の断面図であ
る。両図において、本装置は、ガスバーナ1を主体とし
火焔11を供給する加熱手段と、試料16を載置して処
理する試料保持台2a、試料保持台2aを載せる台2、
試料16をその移動方向に案内する軌道レール3、試料
16の送り機構として設けた牽引手段4及び図示しない
試料徐冷手段を備えた試料処理手段からなるものであ
る。この場合、試料保持台2aを載せる台2の上面部
は、火焔11の照射方向に対して傾斜するように設定さ
れる。なお、5は試料牽引用のワイヤーである。なお、
試料徐冷手段は、例えば、耐熱性の高いセラミックス部
材を試料の進行方向に沿って、試料近傍に敷設すること
で実現できる。
【0023】そして、火焔11により試料16を加熱す
る領域の試料保持台2aの表面側には、試料16の裏面
を所定温度に加熱するヒータ6が設けられている。この
ヒータによる加熱により少なくとも試料の予熱が可能と
なり、試料の損傷を防止できる。また、予熱によって試
料の温度条件を調整することができる。さらに、ヒータ
加熱を付加することで、その温度条件を短時間で実現で
きる場合があり、単結晶形成速度の向上に寄与する。こ
のヒータ6は、試料16の基板に石英以外のものを用い
る場合に特に有用である。このヒータ6により、ガスバ
ーナ1の火焔11の照射位置を含む前後の比較的広い範
囲で試料裏面(石英基板12)を均一温度に保つように
コントロールされる。本実施例の場合には、300℃よ
り高めに設定される。なお、このヒータ6を分割してそ
れぞれ独立に温度制御したり、ヒータの近接部に金属片
を敷設して加熱の均一性を崩したりすることによって、
温度勾配をつけて試料裏面の加熱を行えば、半導体層の
面に適当な温度分布を作ることも容易になる。ただ、一
般的には試料徐冷手段とヒータは必要に応じて設置する
ようになっている。
【0024】図1には図示を省略したが、図2にみられ
るように加熱位置の試料16の下流側(試料が牽引され
る側を下流側と定義している)に試料に平行で、かつで
きるだけ近接して熱シールド板7が配設されている。熱
シールド板7はセラミックス製の板状体からなり、火焔
11部を通過した試料16に対して火焔11を遮蔽する
ことにより、溶融状態のSi薄膜13に大きな温度勾配
を付与した後、引き続く試料16の等速移動により加熱
部より遠ざけながら自然冷却するために設けられるもの
である。
【0025】ガスバーナ1は、都市ガスやプロパンガス
などの燃料ガスに酸素を混合して使用する。このガスバ
ーナ1は、均一線状加熱を可能にするよう、バーナ・ノ
ズル(図示しない)はWfの火焔幅が得られるような細
長いスリットになっている。この火焔11の幅(Wf)
は試料の幅(Ws)以上に設定されているため、試料幅
方向の加熱状態を殆ど均一に維持することができる。し
かも、バーナの性質いかんにより加熱幅を変えることが
できるので、形成される単結晶層/基板の幅は、基本的
には火焔加熱手段によって、いかに均一で長い線状加熱
が可能になるかによりきまる。
【0026】本実施例では、Wsは約3cm、Wfは約
5cmである。また、火焔11は水平よりやや下向き、
時にはやや上向きにする。例えば都市ガスの場合、先端
部所定位置の火焔11の接触加熱によるSi薄膜13の
温度変化は図5に示す通りである。図5の線図におい
て、横軸は時間、縦軸は半導体層の温度を示している。
この場合は、試料16は1mm/秒の移動速度で下方か
ら上方へ移動し、図4の温度変化で加熱されることにな
る。ここで、最高温度は半導体層の溶融温度以上でなけ
ればならないので、a−Siの溶融温度を考慮して、1
420℃程度に設定する必要がある。
【0027】なお、試料16は、正確に速度制御される
ワイヤー巻取型牽引装置(図示せず)による牽引手段4
にワイヤー5を介して接続されている。従って、設定し
た巻取速度に応じた速度で試料保持台2aは台2上を移
動する。そして、軌道レール3に挾まれた領域を斜め上
方に移動し、その移動方向は適正に規定される。移動速
度は、現在の装置では、0.4〜10mm/秒に可変で
きるようになっている。
【0028】また、火焔11は試料面に対して上流側か
ら下流側に斜めに照射するように位置決めされている。
実施例では台2が傾斜しガスバーナ1がほぼ水平に位置
決めされ、斜め照射の場合を示しているが、台2を水平
にしてガスバーナ1を斜めに位置決めしても構わない。
このような斜め照射を行うと、照射位置において試料
(Si薄膜13)の融解が行われ、ここから逃げる火焔
や熱によって溶融再結晶化領域を焼鈍する働きをする。
ただし、過度の焼鈍は再結晶化の作用に影響するので、
下流側にシールド板7を配設することにより、火焔照射
位置から逃げる火焔や熱を試料から遮断して、特に均一
な自然冷却が可能な温度勾配を必要とする下流側で、不
必要な加熱を防止するようになっている。
【0029】2.2 成長試料の形成方法 まず、図1,図2に示すように、試料16を試料保持台
2aに載置しその端部をワイヤー5に接続した後、ヒー
タ6を通電して試料16を300℃より若干高めに成る
ように予熱する。次いで、牽引手段4を作動して所定の
試料の移動速度(約1mm/秒)で傾斜面に沿って試料
16を引き上げる。試料16を引き上げながらバーナを
点火して所定のガス操作条件で火焔11を噴射し試料1
6のSi薄膜13を第1保護膜14を介して加熱する。
【0030】上記のような加熱によって、試料16の上
面の幅方向のある特定点(線)における温度変化のプロ
フィールは図2に例示するようになるが、この場合は約
8秒で1420℃に到達してこの部分のSi薄膜13は
試料幅Ws方向の狭い帯状に溶融した後、引き続いて引
き上げられながら時間とともに指数関数的に温度が低下
し、a−Siは順に所定の温度勾配によって冷却され
る。そのため、連続して単結晶化が進行することにより
比較的大きな面積の成長試料が形成される。すなわち、
Si薄膜13が溶融した時点から約100秒後にはこの
部分は100℃程度になり、このような連続した流れに
よってSi薄膜13の順次単結晶化が進行し、石英基板
12上の全面に単結晶層が形成されるようになる。
【0031】試料は、図5に示したような温度変化を有
する移動過程において、適当な温度勾配による昇熱、溶
融及び冷却の過程を経て形成過程を通過する。この場
合、冷却過程は自然冷却であっても構わないが、通常は
徐冷の方が好ましいので、図2にみられるように、前述
の熱シールド板7の設置による熱シールドを実施し、保
温若しくは熱遮蔽による冷却速度の制御を行うようにし
ている。
【0032】2.3 結晶試料の評価 実施例の形成方法によって得られた結晶試料の第1保護
膜14を除去して露出された石英基板12上のSi結晶
層について、その単結晶性についての評価を異方性エッ
チングによって行った。図6は異方性エッチングによっ
て得た成長試料の表面の顕微鏡写真の模写図である。写
真の倍率は600倍である。図において、20はエッチ
ピットであり、21は干渉縞である。
【0033】エッチングはKOH系の異方性エッチング
で行ったが、正方形のエッチピット20が縦横50μm
の間隔で規則正しく分布して存在しているのが観察され
る。これは(100)面の単結晶層が一面に形成されて
いることを示している。そして、図示しない低倍率の写
真からも勘案すると、幅が凡そ100μm、長さが凡そ
1mmの大きさの単結晶領域の形成が認められた。以上
により、シード(種結晶)なしで非晶質のSiが単結晶
に成長したことが確認された。これは、溶融Siが基板
と保護膜に挾まれているために、固化する際の境界条件
が自然に設定されることによるのではないかと考えられ
ている。
【0034】なお、加熱溶融時の温度が高めであると、
結晶化したSiの表面が波打つといわれているが、図6
に示したようなノマルスキー微分干渉顕微鏡による写真
にもそのような波打ちによると思われる干渉縞21が見
られる。これは、温度制御を行うことと、保護膜を、図
3のように、SiO2 とSi3 4 の2層構造にするこ
とによって解決されることが判った。
【0035】さらに、本発明の第2の態様及び実施例に
おいては、火焔を斜めから吹き付ける技術的思想のみを
記述しているが、斜めでない方向から吹き付けることも
本発明の要旨とする。すなわち、例えば、試料面に対し
て略垂直に火焔を吹き付けるとともに、その火焔の一部
をシールド手段で遮蔽すれば、単結晶層の形成可能な条
件を実現することができる。また、これにヒータや試料
徐冷手段とを組み合わせることで、その条件を好適化す
ることもできる。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、絶縁体層
の上に半導体層を形成し、この半導体層を温度勾配を有
する温度条件になるような火焔により加熱して融解しな
がら、この融解領域を相対的に移動させることにって冷
却を行い半導体層を結晶化し、単結晶層を形成するか
ら、次に列挙するような効果が得られる。 (イ)基板上の非晶質の半導体層や多結晶半導体層を、
種結晶なしでも単結晶化し単結晶層に成長させることが
できる。 (ロ)この場合、広い幅にわたって、比較的速いスピー
ドで単結晶化が可能である。例えば、都市ガスの火焔加
熱で数mm/秒の形成速度が達成されている。 (ハ)上述のイ.ロ項を勘案すれば、結晶化処理自体に
必要な加熱溶融装置は簡単かつ低価格であることから判
断して、製造コストは極めて安価となることが明らかで
ある。 (ニ)半導体層の上に保護膜を形成しておくから、より
大きな単結晶領域の形成が可能となった。 (ホ)製造されたSOIは、現在のSiウェーハを用い
るIC製造設備のラインにそのままのせることが可能で
ある。したがって、高速・高性能の半導体デバイスへの
適用が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による製造方法に用いた装置の一実施例
を示す模式外観図である。
【図2】図1の要部断面図である。
【図3】本発明の実施例用に準備した試料の模式断面図
である。
【図4】本発明の実施例に使用した試料の断面図であ
る。
【図5】本発明の試料の特定の移動速度における加熱時
間とその温度の変化を示す線図である。
【図6】本発明の実施例で得られた成長試料の異方性エ
ッチング後の顕微鏡写真の模写図である。
【符号の説明】 1 ガスバーナ 2 台 2a 試料保持台 3 軌道レール 4 牽引手段 5 ワイヤー 6 ヒータ 7 熱シールド板 10,16 試料 11 火焔 12 石英基板 13 Si薄膜 14 第1保護膜 15 第2保護膜 20 エッチピット 21 干渉縞
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】
【実施例】以下の説明においては、これまで述べてきた
絶縁体基板(基板上に形成した絶縁体層であってもよ
い)上の半導体層を、適宜に基板を含めて「試料」と称
する。なお、単結晶化前のものは単に試料とし、単結晶
化後のものを成長試料とする。以下、試料の半導体層
を、本発明による製造方法によって単結晶層化した一実
施例について、図面を参照しながら説明する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】(1)試料の準備 先ず、石英基板12上に電子ビーム蒸着により非晶質の
Si薄膜(a−Si薄膜とも記す)13の半導体層を形
成して、試料10を作成した。この場合、試料は幅約3
cmの帯状平板の石英基板12の片側全面にSi薄膜1
3を堆積したものである。なお、この半導体層は多結晶
質であっても構わないし、CVDのような他の公知手段
で成膜してもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】次に、上述のSi薄膜13上に、後の本工
程での溶融時のSi表面を保護するための保護膜を形成
し、別の態様の試料を作成した。図3は、この別の態様
の試料の模式断面図である。保護膜は、SiO2 膜を第
1保護膜14とし、Si3 4 膜を第2保護膜15とす
る2層保護膜が使用可能である。第1保護膜14のSi
2 膜は、(a)公知技術のSOG(Spin On Glass)
で塗布した後、熱処理する、(b)CVD法による成
膜、(c)Si膜を適当な方法で形成した後Si膜上に
熱酸化による薄いSiO2 膜を成長させ、その後にSO
G、CVDでSiO2 膜等を堆積する、等の方法で作成
する。本実施例では(c)の薄い熱酸化膜上にSOGを
積層した例について示すが、他の方法で成膜した試料で
あっても、同様な結果が得られた。第2保護膜15のS
3 4 膜は、第1保護膜14上にスパッタ法により形
成した。しかし、この成膜もCVD法等を使用可能であ
り、これに限定されない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】このような保護膜を設けることの目的は、
加熱から冷却、凝固にわたる溶融Si層の表面張力を調
整し、表面荒れを防止することと、処理中のSiへの不
純物の混入を防止するためである。しかしながら、保護
膜は、必ずしも上記のように2層構造にする必要はな
く、後に示す実施例の結果によれば、SiO2 膜だけの
1層保護膜でも良好な結果が得られている。図4に1層
保護膜で構成した試料16を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北川 章夫 石川県金沢市旭町3−7−17 メゾンNA O (72)発明者 竹内 雅樹 石川県小松市八幡町37 (72)発明者 二木 貞樹 石川県石川郡美川町中町イ67−3 (72)発明者 金井 俊吾 富山県富山市水橋市江新町130−4 (72)発明者 坪田 和憲 福井県福井市高木北4丁目405−2 (72)発明者 柿本 芳雄 石川県金沢市平和町2−6−23 県住23− 205

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体基板上に半導体層を形成し、 この半導体層の表面に火焔を直接接触させて前記半導体
    層を加熱して融解領域を形成し、 この融解領域を前記火焔に対して相対的に移動させて、
    順次この融解領域の冷却を行い、 前記半導体層を単結晶化することを特徴とする半導体単
    結晶層の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記火焔の前記半導体層の表面に対する
    接触は前記融解領域の上流側から斜めに吹き付けること
    を特徴とする請求項1記載の半導体単結晶層の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記融解領域の上流側で、未融解の前記
    半導体層を予熱することを特徴とする請求項2記載の半
    導体単結晶層の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記融解領域の下流側で、前記半導体層
    に対して熱シールドすることを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載の半導体単結晶層の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記火焔の接触面と反対側の前記絶縁体
    基板面を加熱することを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれかに記載の半導体単結晶層の製造方法。
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JP2011522437A (ja) * 2008-06-02 2011-07-28 コーニング インコーポレイテッド 半導体材料の処理方法及び処理された半導体材料
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