JPH06299379A - アルミニウム系金属の酸性洗浄剤、洗浄浴及びその洗浄方法 - Google Patents

アルミニウム系金属の酸性洗浄剤、洗浄浴及びその洗浄方法

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JPH06299379A
JPH06299379A JP5086093A JP8609393A JPH06299379A JP H06299379 A JPH06299379 A JP H06299379A JP 5086093 A JP5086093 A JP 5086093A JP 8609393 A JP8609393 A JP 8609393A JP H06299379 A JPH06299379 A JP H06299379A
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aluminum
ions
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acidic
washing
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Toshiaki Shimakura
俊明 島倉
Takeyasu Itou
威安 伊東
Yuichi Yoshida
佑一 吉田
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Nippon Paint Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23GCLEANING OR DE-GREASING OF METALLIC MATERIAL BY CHEMICAL METHODS OTHER THAN ELECTROLYSIS
    • C23G1/00Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts
    • C23G1/02Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts with acid solutions
    • C23G1/12Light metals
    • C23G1/125Light metals aluminium

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 有害なフッ素及びクロムイオンを含有せず、
低温酸性洗浄を行うアルミニウム系金属の酸性洗浄剤、
洗浄浴及びその洗浄方法を提供する。 【構成】 塩素イオン(Cl- )と、アルミニウムイオ
ン(Al3+)と、無機酸とを特定量含有し、適宜塩素イ
オン供給源に応じて酸化剤を添加するアルミニウム系金
属の酸性洗浄剤である。 【効果】 アルミニウム系金属酸性洗浄剤に、フッ素イ
オン及びクロムイオンを含まず、塩素イオンを含有して
もピットの発生を生じない低温洗浄が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム系金属の酸
性洗浄剤、洗浄浴及びその洗浄方法、特に成形加工によ
りアルミニウム表面に付着した潤滑油及びアルミニウム
粉末等を満足に除去できる洗浄剤、洗浄浴及びその洗浄
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム表面を有する製品、例えば
アルミニウム系金属、すなわちアルミニウムまたはアル
ミニウム合金からなる飲料用アルミニウム容器は、通
常、ドローイング・アンド・アイアニングという成形操
作(以下、DI加工という)によって製造される。この
成形操作時には金属表面に潤滑油が適用され、また得ら
れた容器には特にその内壁にアルミニウム粉末(スマッ
ト)が付着している。この種の容器は、一般にその後例
えば化成処理または塗装によってその表面が保護され
る。従って、この化成処理等の前に、上記潤滑油または
スマットを金属表面から除去し、清浄化しておく必要が
ある。
【0003】この表面清浄化には、一般に金属表面を適
度にエッチングして洗浄する酸性洗浄剤が用いられてい
る。従来、このような酸性洗浄剤として、クロム酸系や
フッ化水素酸系の洗浄剤が多く用いられていた。特に、
フッ化水素酸系の洗浄剤は、低温酸性洗浄(〜50℃)
が可能である点で優れている。しかしながら、上記洗浄
剤は有害な物質であるため、廃水規制が厳しいため、近
年では、クロムフリー・フッ素フリーの低温酸性洗浄技
術の確立が望まれている。
【0004】このようなクロムフリー・フッ素フリーの
低温酸性洗浄技術が、特公平3−50838号公報の
「アルミニウム表面洗浄剤」及び特願平5−67748
号の「アルミニウム系金属の酸性洗浄剤、洗浄浴及びそ
の洗浄方法」に提案されている。
【0005】まず、特公平3−50838号公報の「ア
ルミニウム表面洗浄剤」には、フッ素イオンを含有しな
いか又は少量含有し、硫酸及び/又は硝酸で調整された
pH2以下の酸性洗浄剤にエッチングを促進するものと
してフッ素イオンの代わりに第2鉄イオンが含まれてい
る洗浄剤が開示されている。
【0006】また、特願平5−67748号の「アルミ
ニウム系金属の酸性洗浄剤、洗浄浴及びその洗浄方法」
には、無機酸を含有する酸性洗浄剤にエッチングを促進
するものとしてフッ素イオンの代わりに臭素イオンと第
2鉄イオンとを含有し、更に洗浄浴の酸化還元電位を管
理して臭素ガスの発生を防止し、浴中の第2鉄イオン濃
度を管理する管理方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
公平3−50838号公報に開示された酸性洗浄剤で
は、フッ素イオン含有酸性洗浄剤の酸性洗浄と同等の性
能を得るために、フッ素イオン含有酸性洗浄剤による酸
性洗浄の温度(〜50℃)より高温(70〜80℃)で
処理しなければならず、経済性に劣るという問題があっ
た。
【0008】一方、特願平5−67748号に開示され
た酸性洗浄剤では、臭素ガスの発生を防止するために、
常時洗浄浴中の酸化還元電位を監視し、至適な酸化還元
電位になるように管理する必要があった。
【0009】また、特願平5−67748号に記載され
ているように、塩素イオンは臭素イオンに比べエッチン
グ促進効果が優れている。しかしながら、臭素イオンの
代わりに塩素イオンを添加した酸性洗浄剤でアルミニウ
ム表面を洗浄すると、アルミニウム表面に孔食(ピッ
ト)が多発生してしまうという問題があった。更に、塩
素イオンを添加した場合のピット発生を防止するため
に、アルミニウム表面を化学的に安定させる腐食抑制剤
を添加すると、脱スマット性が低下してしまうという問
題があった。
【0010】本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、有害なフッ素及びクロムイ
オンを含有せず、低温酸性洗浄を行うアルミニウム系金
属の酸性洗浄剤、洗浄浴及びその洗浄方法を提供するこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、塩素イオンを
0.1〜20重量部と、アルミニウムイオンを2.5重
量部以上と、無機酸から選ばれる少なくとも1種を0.
5重量部以上と、を含有し、塩素イオンの供給源に応じ
て適宜酸化剤を20重量部以下まで添加したアルミニウ
ム系金属の酸性洗浄剤を提供する。
【0012】また、塩素イオンを0.1〜20g/l
と、アルミニウムイオンを2.5g/l以上と、無機酸
から選ばれる少なくとも1種を0.5g/l以上と、を
含有し、塩素イオンの供給源に応じて適宜酸化剤を20
g/l以下まで添加したアルミニウム系金属の洗浄浴を
提供する。
【0013】更に、塩素イオンを0.1〜20g/l
と、アルミニウムイオンを2.5g/l以上と、無機酸
から選ばれる少なくとも1種を0.5g/l以上と、を
含有し、塩素イオンの供給源に応じて適宜酸化剤を20
g/l以下まで添加したpH0.5〜2のアルミニウム
系金属の洗浄浴を用い、アルミニウム系金属表面を洗浄
するアルミニウム系金属の洗浄方法を提供する。
【0014】なお、上記洗浄浴は、上記酸性洗浄剤を適
量の水によって使用範囲内の濃度に希釈することによっ
て得られる。以下、洗浄浴を基に説明する。
【0015】まず、無機酸としては、硫酸、硝酸、リン
酸が挙げられる。
【0016】また一般に、アルミニウムは、表面に安定
な酸化膜を形成しやすい。従来添加されていたフッ素イ
オンは、酸性浴中におけるアルミニウムのアノード・カ
ソード両分極を減少させ、腐食電流密度を大きくするこ
とによって低温でも充分なエッチング効果を得てきた。
そこで、本発明は、アノード分極を減少させるいわゆる
「アノード復極剤」と、カソード分極を減少させるいわ
ゆる「カソード復極剤」とを併用することが好ましい。
【0017】「アノード復極剤」としては、塩素イオン
(Cl- )が好ましい。塩素イオンは、フッ素イオン
(F- )に次いでアノード分極を減少させる作用を有す
るからである。しかしながら、前述したように、塩素イ
オンのみでは、アルミニウム表面に孔食(ピット)が多
発生してしまう。
【0018】そこで、本発明では、酸性洗浄剤に予めア
ルミニウムイオンを添加し、塩素イオンによるアルミニ
ウム表面のピット発生を防止することとした。このアル
ミニウムイオンは、塩素イオンによるアルミニウム表面
へのエッチング効果を低下させることなく均一に保たせ
る効果があり、腐食抑制剤のように脱スマット性を低下
させることがない。
【0019】アルミニウムイオンの供給源は、硫酸アル
ミニウム(Al2 (SO3 4 )、硝酸アルミニウム
(Al(NO3 3 )、塩化アルミニウム(AlC
3 )、リン酸アルミニウム(AlPO4 )等が挙げら
れる。
【0020】なお、上記アルミニウムイオンと同浴に硝
酸イオン、オルトリン酸イオン、縮合リン酸イオン、ホ
スホン酸イオン等を共存させることにより、ピット発生
を更に抑制することができる。
【0021】上記塩素イオンの供給源としては、無機酸
(例えば、硫酸)酸性水溶液に溶解する塩化物、オキシ
塩化物のいずれかであればよい。塩化物としては、例え
ば塩酸(HCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化
カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化
セシウム(CsCl)、塩化アルミニウム(AlC
3 )、塩化第2鉄(FeCl3 )、塩化ニッケル(N
iCl2 )、塩化コバルト(CoCl2 )、三塩化リン
(PCl3 )、塩化バナジウム(III )(VCl3)等
が挙げられる。また、有機系塩化物としては、トリクロ
ル酢酸(CCl3 COOH)等が挙げられる。更に、硫
酸の酸度(H0 =−11.93)より低いH0 を有する
超強酸の一種であるクロロスルホン酸(ClSO3 H)
も用いることができる。
【0022】また、オキシ塩化物は、オキソ酸の塩素誘
導体であり、例えば,オキシ塩化イオウ(SOC
2 )、オキシ塩化バナジウム(VOCl3 )、オキシ
塩化リン(POCl3 )、オキシ塩化セレン(SeOC
2 )、オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2 )等が
挙げられる。そして、これらのオキシ塩化物は、フッ素
イオンと同様に酸性浴中におけるアルミニウムのアノー
ド・カソード両分極を減少させ、腐食電流密度を大きく
する作用を有する。なお、過塩素酸化合物(例えば、H
ClO4 、NaClO4 、KClO4 等)は、取扱い上
の危険性(爆発性が高い)から本発明では使用しないこ
ととした。
【0023】次に、上記の「アノード復極剤」の塩素イ
オン(Cl- )、特に上記塩化物と併用される「カソー
ド復極剤」について述べる。なお、前述したように、オ
キシ塩化物は、「アノード復極剤」及び「カソード復極
剤」の両方の機能を有しているため、以下に示す「カソ
ード復極剤」は強いて添加する必要がない。
【0024】「カソード復極剤」としては一般に酸化剤
が用いられ、第2鉄イオン(Fe3+)、過硫酸イオン
(S2 8 2-)、亜硫酸水素イオン(HSO3 - )、亜
硫酸イオン(SO3 2-)、第2セリウムイオン(C
4+)、亜硝酸イオン(NO2 - )、過酸化水素(H2
2 )、メタバナジン酸イオン(VO3 - )等が挙げら
れる。好ましくは過硫酸イオン(S2 8 2-)である。
【0025】第2鉄イオンの供給源は、硫酸第2鉄、硝
酸第2鉄、過塩素酸第2鉄等の水溶性第2鉄塩が挙げら
れる。また、過硫酸イオンの供給源は、過硫酸ナトリウ
ム等が挙げられる。亜硫酸水素イオンの供給源は、Na
HSO3 、KHSO3 、(NH4 )HSO3 等が挙げら
れる。亜硫酸イオンの供給源は、Na2 SO3 、K2
3 、(NH4 2 SO3 、H2 SO3 等が挙げられ
る。第2セリウムイオンの供給源は、硫酸セリウムアン
モニウム(NH4 4 Ce(SO4 4 ))等が挙げら
れる。亜硝酸イオンの供給源は、HNO2 、NaN
2 、KNO2 等が挙げられる。
【0026】また、本発明の無機酸から選ばれる少なく
とも1種は、洗浄浴中に0.5g/l以上含有されてい
ることが好ましく、0.5g/l未満の場合は、アルミ
ニウム表面のエッチング速度が極端に低下し、洗浄浴と
しての有効性が発揮できない。
【0027】また塩素イオンは、洗浄浴中に0.5〜2
0g/l含有され、好ましくは0.5〜10g/l、更
に好ましくは1〜5g/l含有される。塩素イオンの含
有量が0.5g/l未満の場合は、エッチング速度が低
下し、脱スマット性が低下し、一方含有量が20g/l
を越える場合には、アルミニウム表面にピットが発生す
る。このピットは、飲料缶製造工程のネッキング加工に
おいて、被加工部分に割れを生じさせる原因となる。
【0028】アルミニウムイオンは、2.5g/l以上
添加される。好ましくは5〜40g/lであり、更に好
ましくは5〜20g/l添加される。そして、アルミニ
ウムイオンの含有量が2.5g/l未満の場合には、ピ
ッティング抑制効果が不充分となり、表面にピッティン
グを発生しやすくなる。
【0029】酸化剤は、塩素イオンの供給源に応じて適
宜20g/l以下まで添加される。好ましくは10g/
l以下、更に好ましくは2〜5g/l添加される。酸化
剤の含有量が20g/lを越える場合には、過剰にアル
ミニウム表面をエッチングし、ピッティングが発生す
る。
【0030】なお、塩化物または超強酸を含有する洗浄
浴の場合には、酸化剤を上記添加量の範囲で添加される
ことが好ましい。一方、オキシ塩化物を含有する洗浄浴
の場合には、上記酸化剤を添加しなくとも、フッ素含有
洗浄剤と同様の洗浄効果を得ることができる。但し、酸
化剤を添加した場合には、洗浄処理温度を大幅に低下さ
せることができる。
【0031】アルミニウム表面を洗浄する洗浄浴のpH
は、pH0.5〜2.0であることが好ましい。洗浄浴
のpHが2.0を越える場合には、アルミニウムのエッ
チング速度が著しく低下し、洗浄剤としての有用性を発
揮できない。一方、pHが0.5未満の場合には、更に
洗浄化能力の向上が認められず、経済的に不利であり、
処理設備の腐食防止の点からも不利である。
【0032】更に、本発明の酸性洗浄剤に界面活性剤を
添加してもよい。界面活性剤としては、ノニオン系、カ
チオン系、アニオン系、両性イオン系のいずれの種類の
界面活性剤でも従来どおり使用できる。その中で、特に
炭酸水素誘導体、アビエチン酸誘導体、第1級エトキシ
化アルコール、変性ポリエトキシ化アルコール等が好ま
しい。
【0033】本発明のアルミニウム表面の酸性洗浄方法
は、スプレー法または浸漬法のいずれを用いてもよい。
また、酸性洗浄を実施するにあたり、処理温度は25〜
50℃が好ましく、40〜50℃がより好ましい。処理
温度が、50℃を越えると、エッチング過剰となり、ピ
ッティングが発生しやすくなり、一方25℃未満の場合
はエッチング底度が低下し、脱スマット性が低下する。
【0034】酸性洗浄処理時間は、30〜300秒が好
ましい。処理時間が30秒未満の場合は、エッチング量
が不足して脱スマット性が低下し、300秒を越える
と、エッチング過剰となり、ピッティングが発生しやす
くなる。
【0035】本発明の酸性洗浄剤によって清浄化された
アルミニウム表面は、常法に従って水洗後、例えばリン
酸塩化成処理を行ってもよい。
【0036】
【作用】本発明に係るアルミニウム系金属の酸性洗浄
剤、洗浄浴及びその洗浄方法において、塩化物、または
オキシ塩化物からなる塩素系化合物とアルミニウムイオ
ンを共存させた洗浄浴におけるピット発生の抑制作用
は、明確ではないが以下のように推測される。
【0037】本来、アルミニウムは、硫酸酸性中におい
ても比較的安定にその表面に酸化膜を保持しやすい。し
かしながら、塩素イオンを洗浄浴に添加すると、塩素イ
オンはアルミニウム表面の酸化膜の欠陥部分または弱い
部分から優先的にエッチングして、ピットを発生させ
る。
【0038】一方、アルミニウムイオンは、周知のよう
にそれ自身アルミニウム表面への吸着作用が強い。ま
た、洗浄中エッチング部分近傍のアルミニウム界面にお
いて、アルミニウムイオンの濃縮や、プロトン還元反応
が引き起こす僅かな界面pHの上昇等が観察されること
から、エッチング部分近傍にアルミニウム塩皮膜または
アルミニウム水酸化物皮膜が形成されているものと推察
される。
【0039】従って、アルミニウム表面では、塩素イオ
ンによるエッチングとほぼ同時に新たな保護膜が形成さ
れ、再び塩素イオンによりこの保護膜がエッチングされ
ると、また新たな保護膜が形成されるという工程が繰り
返されるため、ピットが発生し難く、均一にエッチング
が進行すると考えられる。
【0040】また、洗浄浴中に塩化物と共に酸化剤を添
加することにより、更にエッチング効果が促進される。
オキシ塩化物はそれ自体エッチング効果が高いため、強
いて酸化剤を併用させる必要がないが、酸化剤を併用す
ることにより洗浄処理温度を更に低下させることができ
る。
【0041】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明する。
【0042】実施例1〜21及び比較例1〜12 (1)被処理物:3004合金のアルミニウム板をDI
加工して得られた、潤滑油とスマットの付着したフタな
し容器。
【0043】(2)洗浄剤:75%硫酸、67.5%硝
酸、その他の試薬は市販の試薬を用い、各々表1、表2
及び表3に示した実施例及び比較例記載の添加量で洗浄
浴を調製した。なお、使用した界面活性剤は、炭酸水素
誘導体、アビエチン酸誘導体、第1級エトキシ化アルコ
ール、変性ポリエトキシ化アルコール等であり、1g/
lの濃度で添加した。
【0044】(3)処理条件:上記容器を各洗浄剤でも
って、40〜50℃で60秒間スプレー処理し、次いで
常温で15秒間水道水、続いて5秒間脱イオン水でスプ
レー水洗し、95℃で乾燥させた。
【0045】(4)洗浄性評価:以下の項目について試
験した。その結果を表1〜表3に示す。
【0046】(a)外観: i)ピット発生による評価 乾燥後の容器表面に5×5cm評価面積を設け、その中
を5×5mmの25区画に区分し、5mm平方中のピッ
ト数をルーペで数え、区画数で平均化して次の4段階評
価を行う。 ◎ : ピットなし ○ : 平均ピット数<0.1 △ : 0.1≦平均ピット数≦1 × : 平均ピット数>1 ii)白化度による評価 乾燥後の容器内の白さを目視判定する。脱脂及び脱スマ
ットが完全で充分にエッチングされた白い外観を有する
場合に良とし、白化の程度に応じて以下の5段階で評価
する。 ◎ : 全面白色 ○ : 部分的に薄く灰色 △ : 全体に薄く灰色 × : 部分的に灰色 ××:全面灰色
【0047】(b)水ぬれ性:スプレー水洗直後の容器
を3回振って水切りし、容器を上向きに静置し30秒後
の容器外表面の水ぬれ面積(%)を測定する。
【0048】(c)脱スマッット性:乾燥後の容器内面
に透明粘着テープを密着し、次にこれを剥離して白色台
紙上に貼り付け、テープ張り付け面の白さを他の台紙部
分と比較する。完全にスマットが除去されて汚染のない
場合を良とし、汚染の程度に応じて以下の5段階で評価
する。 5 : 汚染なし 4 : 痕跡程度の汚染 3 : 僅微な汚染 2 : 中等な汚染 1 : 多大な汚染
【0049】以下に、評価結果を示す。なお、表1、表
2及び表3において、酸性洗浄浴のベースは、以下に示
す濃度で調製した。
【0050】表1 : 75%硫酸を10g/l、
67.5%硝酸を1.0g/l用いた。
【0051】表2、表3: 75%硫酸を10g/l、
67.5%硝酸を2.0g/l用いた。
【0052】なお、表1には、塩素イオンの供給源とし
て、塩化物を用いた場合の結果が示されている。表2に
は、塩素イオンの供給源として、超強酸であるクロロス
ルホン酸を用いた場合の結果が示されている。表3に
は、塩素イオンの供給源として、オキシ塩化物を用いた
場合の結果が示されている。
【0053】
【表1】
【表2】
【表3】 これらの結果から、本発明のアルミニウム系金属の酸性
洗浄剤及び洗浄浴によれば、低温でかつフッ素イオンを
用いることなく良好な洗浄が得られる。
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るアルミニウ
ム系金属の酸性洗浄剤、洗浄浴及びその洗浄方法によれ
ば、公害や作業環境を汚染する有害なクロムイオン及び
フッ素イオンを含有せず、低温でアルミニウム表面に付
着した潤滑油及びスマットを除去し、化成処理や塗装作
業を順調に処理できるように清浄化させることができ
る。
【0055】すなわち、アノード復極作用のある塩素イ
オンと、カソード復極作用のある酸化剤と、アルミニウ
ムイオンとを洗浄浴中に並存させることにより、ノンフ
ッ素化が可能となり、洗浄処理温度の低下が図られる。
また、アルミニウム表面の洗浄に際し、洗浄浴中に予め
アルミニウムイオンを添加しておくことで、ピットの発
生を抑制することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素イオンを0.1〜20重量部と、 アルミニウムイオンを2.5重量部以上と、 無機酸から選ばれる少なくとも1種を0.5重量部以上
    と、 を含有し、塩素イオンの供給源に応じて適宜酸化剤を2
    0重量部以下まで添加することを特徴とするアルミニウ
    ム系金属の酸性洗浄剤。
  2. 【請求項2】 塩素イオンを0.1〜20g/lと、 アルミニウムイオンを2.5g/l以上と、 無機酸から選ばれる少なくとも1種を0.5g/l以上
    と、 を含有し、塩素イオンの供給源に応じて適宜酸化剤を2
    0g/l以下まで添加することを特徴とするアルミニウ
    ム系金属の洗浄浴。
  3. 【請求項3】 塩素イオンを0.1〜20g/lと、 アルミニウムイオンを2.5g/l以上と、 無機酸から選ばれる少なくとも1種を0.5g/l以上
    と、 を含有し、塩素イオンの供給源に応じて適宜酸化剤を2
    0g/l以下まで添加したpH0.5〜2のアルミニウ
    ム系金属の洗浄浴を用い、アルミニウム系金属表面を洗
    浄することを特徴とするアルミニウム系金属の洗浄方
    法。
JP5086093A 1993-04-13 1993-04-13 アルミニウム系金属の酸性洗浄剤、洗浄浴及びその洗浄方法 Pending JPH06299379A (ja)

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