JPH06298954A - 二軸配向フィルム - Google Patents

二軸配向フィルム

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JPH06298954A
JPH06298954A JP9121693A JP9121693A JPH06298954A JP H06298954 A JPH06298954 A JP H06298954A JP 9121693 A JP9121693 A JP 9121693A JP 9121693 A JP9121693 A JP 9121693A JP H06298954 A JPH06298954 A JP H06298954A
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film
particle
biaxially oriented
aluminum hydroxide
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JP9121693A
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Iwao Okazaki
巌 岡崎
Yukari Nakamori
ゆか里 中森
Koichi Abe
晃一 阿部
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】粒径0.05〜0.9μmの水酸化アルミニウ
ム粒子と、平均粒径0.1〜2μmの他の粒子Aを少な
くとも1種類以上含有することを特徴とする二軸配向フ
ィルム。 【効果】特定の粒径の水酸化アルミニウム粒子と他の粒
子を用いたので、フィルム表面が傷つきにくく、また、
磁気媒体用とした時に、優れた画質、ドロップアウト特
性を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二軸配向フィルムに関
する。
【0002】
【従来の技術】二軸配向フィルム、例えば二軸配向ポリ
エステルフィルムとしては、ポリエステルに凝集酸化ア
ルミニウム粒子を含有せしめたフィルムが知られている
(例えば特開平3−6239号公報)。
【0003】しかし、上記従来の二軸配向フィルムで
は、例えば、磁気媒体用途における磁性層塗布、カレン
ダー工程、あるいは、できたビデオテープ等をダビング
してソフトテープ等を製造する工程等の工程速度の増大
に伴い、接触するロールやガイドでフィルム表面に傷が
つくという欠点があった。また、従来のものでは、上記
ダビング時の画質低下のために、ビデオテープにした時
の画質、すなわち、S/N(シグナル/ノイズ比)も不
十分という欠点があった。本発明はかかる課題を解決
し、特に高速工程でフィルムに傷がつきにくく(以下耐
スクラッチ性に優れるという)、しかもダビング時の画
質低下の少ない(以下耐ダビング性に優れるという)二
軸配向フィルムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
二軸配向フィルムは、粒径0.05〜0.9μmの水酸
化アルミニウム粒子と、平均粒径0.1〜2μmの他の
粒子Aを少なくとも1種類以上含有することを特徴とす
る。
【0005】本発明の二軸配向フィルムを構成するポリ
マは、特に限定されないがポリエステルが好ましい。ポ
リエステルとしては特に限定されないが、エチレンテレ
フタレート、エチレンα,β−ビス(2−クロルフェノ
キシ)エタン−4,4′−ジカルボキシレート、エチレ
ン2,6−ナフタレート単位から選ばれた少なくとも1
種の構造単位を主要構成成分とする場合に耐スクラッチ
性、耐ダビング性がより良好となるので好ましい。なか
でも、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポ
リエステルの場合に耐ダビング性、耐スクラッチ性がよ
り一層良好となるので特に好ましい。なお、本発明を阻
害しない範囲内で、2種以上のポリエステルを混合して
も良いし、共重合ポリマを用いても良い。
【0006】本発明の二軸配向フィルムには、粒径0.
05〜0.9μmの水酸化アルミニウム粒子が含有され
る。耐スクラッチ性、耐ダビング性の点から、水酸化ア
ルミニウム粒子の粒径は0.05〜0.9μm、好まし
くは0.07〜0.8μm、さらに好ましくは0.1〜
0.7μmである。粒径が上記範囲を外れると、耐スク
ラッチ性、耐ダビング性がともに良好とならない。
【0007】本発明の二軸配向フィルムに含有される水
酸化アルミニウム粒子としては、ギブサイト、バイヤラ
イト、ノルストランダイト、ベーマイト等が好ましく例
示されるが、なかでもベーマイトが好ましい。
【0008】水酸化アルミニウム粒子の含有量は特に限
定されないが、耐スクラッチ性、耐ダビング性の点か
ら、0.01〜3重量%、好ましくは0.05〜2重量
%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
【0009】本発明の二軸配向フィルムには、上記水酸
化アルミニウム粒子の他に平均粒径0.1〜2μmの粒
子Aを少なくとも1種類以上含有する必要がある。粒子
Aの種類としては、特に限定されないが、炭酸カルシウ
ム粒子、架橋有機粒子、コロイダルシリカ粒子、酸化チ
タン粒子等が好ましく例示される。炭酸カルシウム粒子
の場合には、特に限定されないが、結晶形がカルサイト
型、バテライト型の場合に、耐スクラッチ性、耐ダビン
グ性が特に良好となる。架橋有機粒子の場合には、特に
限定されないが、架橋度が51%以上、好ましくは60
%以上、さらに好ましくは75%以上のジビニルベンゼ
ン共重合体粒子が好ましい。これらを2種類以上組み合
わせて含有してもよい。この粒子の粒径は、平均粒径が
0.1〜2μm、好ましくは0.2〜1.5μm、さら
に好ましくは0.3〜1μmである。また、粒子Aの含
有量は特に限定されないが、0.01〜10重量%、好
ましくは0.05〜8重量%、さらに好ましくは0.1
〜6重量%の場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性が特
に良好となる。
【0010】本発明の二軸配向フィルムにおいては、上
記水酸化アルミニウム粒子、粒子Aのほかにさらに、ジ
ルコニア、シリカ、アルミナ等の凝集粒子、カーボンブ
ラック、マイカ等の粒子を含有してもよい。アルミナの
場合には、δ−アルミナ、θ−アルミナ、γ−アルミナ
等が特に好ましい。耐スクラッチ性、耐ダビング性の点
から、凝集粒子の一次粒径は、特に限定されないが5〜
100nm、好ましくは10〜80nm、凝集二次粒径
は、特に限定されないが20〜800nm、好ましくは
25〜600nm、含有量は、特に限定されないが0.
01〜3重量%、好ましくは0.05〜2重量%であ
る。
【0011】本発明の二軸配向フィルムは、上記のポリ
マと水酸化アルミニウム粒子および他の粒子Aを主要成
分とするが、本発明の目的を阻害しない範囲内で他種ポ
リマをブレンドしてもよいし、また酸化防止剤、熱安定
剤、滑剤、紫外線吸収剤などの有機添加剤が通常添加さ
れる程度添加されていてもよい。
【0012】本発明の二軸配向フィルムは、上記組成物
を二軸配向せしめたフィルムである。一軸あるいは無配
向フィルムでは耐スクラッチ性が不良となるので好まし
くない。この配向の程度は特に限定されないが、高分子
の分子配向の程度の目安であるヤング率が長手方向、幅
方向ともに350kg/mm2 以上である場合に耐スク
ラッチ性がより一層良好となるので特に好ましい。分子
配向の程度の目安であるヤング率は通常、1500kg
/mm2 程度が製造上の限界である。
【0013】また、本発明フィルムは、ヤング率が上記
範囲内であっても、フィルムの厚さ方向の一部分、例え
ば表層付近のポリマ分子の配向が無配向、あるいは一軸
配向になっていない、すなわち厚さ方向の全部分の分子
配向が二軸配向である場合に耐スクラッチ性、耐ダビン
グ性がより一層良好となる。特にアッベ屈折率計、レー
ザーを用いた屈折率計、全反射レーザーラマン法などに
よって測定される分子配向が、表面、裏面ともに二軸配
向である場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性がより一
層良好となる。
【0014】本発明の二軸配向フィルムは、耐スクラッ
チ性、耐ダビング性の点から、水酸化アルミニウム粒子
を含有するフィルムが、少なくとも2層構造からなる積
層フィルムの1つの最外層であることが好ましい。
【0015】また、本発明の二軸配向フィルムが3層以
上の構造である場合は、耐スクラッチ性、耐ダビング性
の点から、前記水酸化アルミニウム粒子を含有するフィ
ルムが、3層構造からなる積層フィルムの1つの最外層
であることが好ましい。
【0016】水酸化アルミニウム粒子以外の粒子Aは、
水酸化アルミニウム粒子と同じ層に含有されていてもよ
いし、また、異なる層に含有されていてもよいが、耐ス
クラッチ性、耐ダビング性の点から特に好ましいのは、
(1)水酸化アルミニウム粒子と粒子Aが少なくとも片
面側の同じ最表層に含有され、そのフィルム層厚さt
と、粒子Aの粒径dの関係が、0.2d≦t≦10d、
好ましくは0.5d≦t≦5d、さらに好ましくは0.
5d≦t≦3dの場合、または、(2)粒子Aを含有す
るフィルム層の厚さtと、上記粒子Aの粒径dの関係
が、0.2d≦t≦10d、好ましくは0.5d≦t≦
5d、さらに好ましくは0.5d≦t≦3dであって、
その外側に水酸化アルミニウム粒子を含有する層が最外
層として存在し、その最外層の厚さが0.005〜1μ
m、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましく
は0.02〜0.3μmの場合である。
【0017】積層構成の、前記水酸化アルミニウム粒子
を含有するフィルム層以外の層を構成するポリマは、特
に限定されないがポリエステルが好ましい。ポリエステ
ルとしては特に限定されないが、エチレンテレフタレー
ト、エチレンα,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エ
タン−4,4′−ジカルボキシレート、エチレン2,6
−ナフタレート単位から選ばれた少なくとも1種の構造
単位を主要構成成分とする場合に耐スクラッチ性、耐ダ
ビング性がより良好となるので好ましい。なかでも、エ
チレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステ
ルの場合に耐ダビング性、耐スクラッチ性がより一層良
好となるので特に好ましい。
【0018】本発明の二軸配向フィルムは、耐ダビング
性、耐スクラッチ性の点から、少なくとも片面の突起個
数が2×103 〜5×105 個/mm2 であることが好
ましい。少なくとも片面の突起個数は、好ましくは3×
103 〜4×105 個/mm2 、より好ましくは5×1
3 〜3×105 個/mm2 である。
【0019】次に本発明フィルムの製造方法を、積層ポ
リエステルフィルムの場合について説明する。
【0020】まず、ポリエステルに水酸化アルミニウム
粒子と他の粒子Aを含有させる方法としては、まずエチ
レングリコールにスラリーとして分散させる。その後、
このエチレングリコールを所定のジカルボン酸成分と重
合させる。また粒子スラリーをベント式の2軸混練押出
機を用いて直接所定のポリエステルに練り込む方法も本
発明の効果をより一層良好とするのに非常に有効であ
る。
【0021】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記方法で高濃度マスターを作っておき、それを製膜時に
粒子を実質的に含有しないポリエステルで希釈する方法
が有効である。
【0022】次に、粒子を所定量含有するペレットを必
要に応じて乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供
給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャス
ティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを
作る。すなわち、2または3台の押出し機、2または3
層のマニホールドまたは合流ブロックを用いて、溶融状
態のポリエステルを積層する。この場合、凝集粒子を含
有するポリマ流路に、スタティックミキサー、ギヤポン
プを設置する方法は本発明の効果をより一層良好とする
のに有効である。
【0023】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最
初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸
法を用い、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、縦延
伸温度は80〜150℃、総縦延伸倍率3.0〜5.5
倍、縦延伸速度は5000〜50000%/分の範囲が
好ましい。幅方向の延伸方法としてはステンタを用いる
方法が好ましく、延伸温度は80〜160℃、幅方向延
伸倍率は縦倍率より大きく3.5〜6.5倍、幅方向の
延伸速度は1000〜20000%/分の範囲が好まし
い。
【0024】次にこの延伸フィルムを熱処理する。この
場合の熱処理温度は170〜200℃、特に170〜1
90℃で時間は0.5〜60秒の範囲が好適である。
【0025】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】本発明の特
性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りであ
る。
【0026】(1)凝集粒子の一次粒径、凝集二次粒
径、単分散粒子の平均粒径 フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1
0万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約1
00nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。
凝集粒子の一次粒径は、凝集粒子の分割できない粒子最
小単位について、凝集二次粒径は凝集体について、単分
散粒子の粒径は単分散粒子について、それぞれ等価円相
当径の平均値である。
【0027】(2)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によっては赤外分光法の併用も有効である。
【0028】(3)フィルム表面の分子配向 ナトリウムD線(589nm)を光源として、アッベ屈
折率計を用いて測定した。マウント液にはヨウ化メチレ
ンを用い、25℃、65%RHにて測定した。ポリマの
二軸配向性は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率をN
1 、N2 、N3とした時、(N1 −N2 )の絶対値が
0.07以下、かつ、N3 /[(N1 +N2 )/2]が
0.95以下であることをひとつの基準とできる。ま
た、レーザー型屈折率計を用いて屈折率を測定しても良
い。さらに、この方法では測定が難しい場合は全反射レ
ーザーラマン法を用いることもできる。レーザー全反射
ラマンの測定は、Jobin−Yvon社製Raman
orU−1000ラマンシステムにより、全反射ラマン
スペクトルを測定し、例えばPETの場合では、161
5cm−1 (ベンゼン環の骨格振動)と1730cm
−1 (カルボニル基の伸縮振動)のバンド強度比の偏光
測定比(YY/XX比など。ここでYY:レーザーの偏
光方向をYにしてYに対して平行なラマン光検出、X
X:レーザーの偏光方向をXにしてXに対して平行なラ
マン光検出)が分子配向と対応することを利用できる。
ポリマの二軸配向性はラマン測定から得られたパラメー
タを長手方向、幅方向の屈折率に換算して、その絶対
値、差などから判定できる。またカルボニル基の伸縮振
動である1730cm−1 の半価幅をもって表面の全反
射ラマン結晶化指数とした。この場合の測定条件は次の
とおりである。
【0029】光源 アルゴンイオンレーザー(514
5A) 試料のセッティング フィルム表面を全反射プリズム
に圧着させ、レーザーのプリズムへの入射角(フィルム
厚さ方向との角度)は60゜とした。
【0030】検出器 PM:RCA31034/Ph
oton Counting System(Hama
matsu C1230)(supply 1600
V) 測定条件 SLIT 1000μm LASER 100mW GATE TIME 1.0sec SCAN SPEED 12cm−1 /min SAMPLING INTERVAL 0.2cm
−1 REPEAT TIME 6
【0031】(4)ヤング率 JIS−Z−1702に規定された方法にしたがって、
インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25
℃、65%RHにて測定した。
【0032】(5)架橋有機粒子の架橋度 粒子モノマー全重量分の架橋成分モノマー重量で定義す
る。
【0033】(6)積層フィルムの積層厚み 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち最
も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元
素の濃度比(M+ /C- )を粒子濃度とし、表面から深
さ3000nmまで厚さ方向の分析を行なう。表層では
表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざか
るにつれて粒子濃度は高くなる。本発明フィルムの場合
は、一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。
この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/
2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深
い)を求め、これを積層厚みとした。条件は次の通り。
【0034】測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 独、ATOMI
KA社製 A−DIDA3000 測定条件 1次イオン種 02 + 1次イオン加速電圧 12kV 1次イオン電流 200nA ラスター領域 400μm□ 分析領域 ゲート30% 測定真空度 6.0×10−9 Torr E−GUN 0.5kV−3.0A なお、表層から深さ3000nmの範囲に最も多く含有
する粒子が有機高分子粒子の場合は、SIMSでは測定
が難しいので、表層からエッチングしながらXPS(X
線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様
のデプスプロファイルを測定し積層厚みを求めても良い
し、また、電子顕微鏡等による断面観察で粒子濃度の変
化状態やポリマの違いによるコントラストの差から界面
を認識し積層厚みを求めることもできる。さらには積層
ポリマを剥離後、薄膜段差測定機を用いて積層厚みを求
めることもできる。
【0035】(7)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行性試験機を使用して、ガイドピン(表面
粗度:Raで100nm)上を走行させる(走行速度2
50m/分、走行回数1パス、巻き付け角:60゜、走
行張力:90g)。この時、フィルムに入った傷を顕微
鏡で観察し、幅1μm以上の傷がテープ幅あたり2本未
満は優、2本以上10本未満は良、10本以上は不良と
判定した。優が望ましいが、良でも実用的には使用可能
である。
【0036】(8)耐ダビング性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テス
トカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロール、
5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカ
レンダー処理した後、70℃、48時間キュアリングす
る。上記テープ原反を1/2インチにスリットし、パン
ケーキを作成した。このパンケーキから長さ250mの
長さをVTRカセットに組み込みVTRカセットテープ
とした。
【0037】(磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄 :100重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部 ・ポリウレタンエラストマ :10重量部 ・ポリイソシアネート) :5重量部 ・レシチン :1重量部 ・メチルエチルケトン :75重量部 ・メチルイソブチルケトン :75重量部 ・トルエン :75重量部 ・カーボンブラック :2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部
【0038】このテープに家庭用VTRを用いてテレビ
試験波形発生器により100%クロマ信号を記録し、そ
の再生信号からカラービデオノイズ測定器でクロマS/
Nを測定しAとした。また上記と同じ信号を記録したマ
スターテープのパンケーキを磁界転写方式のビデオソフ
ト高速プリントシステム(スプリンタ)を用いてAを測
定したのと同じ試料テープ(未記録)のパンケーキへダ
ビングした後のテープのクロマS/Nを上記と同様にし
て測定し、Bとした。このダビングによるクロマS/N
の低下(A−B)が3dB未満の場合は耐ダビング性が
優、3dB以上5dB未満の場合は良、5dB以上は不
良と判定した。優が望ましいが、良でも実用的には使用
可能である。
【0039】
【実施例】次に実施例に基づき、本発明の実施態様を説
明する。
【0040】実施例1 水酸化アルミニウム粒子としてベーマイト粒子をエチレ
ングリコール中にて分散させ、このエチレングリコール
スラリーをテレフタル酸と重合し、粒子含有ポリエチレ
ンテレフタレートのマスタペレットとした。また、同様
にして、平均粒径0.8μmの炭酸カルシウムを含有す
るポリエチレンテレフタレートのマスタペレット、粒子
を含有しないポリエチレンテレフタレートのマスタペレ
ットを得た。
【0041】これらのポリマを適当量混合し(ポリマ
A:無粒子、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ポ
リマB:無粒子、炭酸カルシウム)、180℃で8時間
減圧乾燥(3Torr)した後、それぞれ押出機1、押
出機2にポリマA、ポリマBをそれぞれ供給し285
℃、280℃で溶融した。これらのポリマを高精度瀘過
した後、矩形合流部にて3層積層とした(積層構成:ポ
リマA/ポリマB/ポリマA)。
【0042】これを静電印加キャスト法を用いて表面温
度25℃のキャスティング・ドラムに巻きつけて冷却固
化し、未延伸フィルムを作った。この時、口金スリット
間隙/未延伸フィルム厚さの比を10とした。また、そ
れぞれの押出機の吐出量を調節し総厚さ、熱可塑性樹脂
A層の厚さを調節した。
【0043】この未延伸フィルムを温度85℃にて長手
方向に3.5倍延伸した。この延伸は2組ずつのロール
の周速差で、4段階で行なった。この一軸延伸フィルム
をステンタを用いて延伸速度2000%/分で95℃で
幅方向に5.5倍延伸し、定長下で、190℃にて3秒
間熱処理し、総厚さ15μmの二軸配向積層フィルムを
得た。このフィルムの特性は表1に示したとおりであ
り、耐スクラッチ性、耐ダビング性が良好であった。
【0044】実施例2〜実施例4、比較例1〜比較例4 実施例1と同様にして、水酸化アルミニウム粒子の種
類、粒径、添加量、および水酸化アルミニウム粒子以外
の粒子の種類、粒径、添加量を変更したフィルムを得
た。表1に示すように本発明範囲のフィルムは耐スクラ
ッチ性、耐ダビング性が良好であるが、そうでないもの
は耐スクラッチ性、耐ダビング性を両立することができ
ない。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明の二軸配向フィルムによれば、特
定の粒径の水酸化アルミニウム粒子と他の粒子を用いた
ので、フィルム表面が傷つきにくく、また、磁気媒体用
とした時に、優れた画質、ドロップアウト特性を得るこ
とができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 4F

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径0.05〜0.9μmの水酸化アル
    ミニウム粒子と、平均粒径0.1〜2μmの他の粒子A
    を少なくとも1種類以上含有することを特徴とする二軸
    配向フィルム。
  2. 【請求項2】 水酸化アルミニウム粒子が、少なくとも
    2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層に含有さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 水酸化アルミニウム粒子が、少なくとも
    3層構造からなる積層フィルムの1つの最外層に含有さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】 粒子Aが、炭酸カルシウム粒子、架橋有
    機粒子、コロイダルシリカ粒子、酸化チタン粒子から選
    ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項
    1〜請求項3のいずれかに記載の二軸配向フィルム。
  5. 【請求項5】 粒子Aの平均粒径d(nm)と粒子Aを
    含有するフィルム層の厚さt(nm)との関係が0.2
    d≦t≦10dであることを特徴とする請求項2〜請求
    項4の二軸配向フィルム。
  6. 【請求項6】 少なくとも片面の突起個数が2×103
    〜5×105 個/mm2 である請求項1〜請求項5のい
    ずれかに記載の二軸配向フィルム。
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