JPH06298782A - Fo−1611a、bおよび/またはfo−1611c物質並びにその製造法 - Google Patents

Fo−1611a、bおよび/またはfo−1611c物質並びにその製造法

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JPH06298782A
JPH06298782A JP5093044A JP9304493A JPH06298782A JP H06298782 A JPH06298782 A JP H06298782A JP 5093044 A JP5093044 A JP 5093044A JP 9304493 A JP9304493 A JP 9304493A JP H06298782 A JPH06298782 A JP H06298782A
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Rokurou Masuma
碌郎 増間
Yuzuru Iwai
譲 岩井
Katsuji Haneda
勝二 羽田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ペニシリウム属に属し、FO−1611A、
FO−1611Bおよび/またはFO−1611C物質
を生産する能力を有する微生物、該微生物を培地に培養
して培養物中にFO−1611A、FO−1611Bお
よび/またはFO−1611C物質を蓄積せしめ、該培
養物からFO−1611A、FO−1611Bおよび/
またはFO−1611C物質を採取して得たFO−16
11A、FO−1611Bおよび/またはFO−161
1C物質およびその製造法である。 【効果】 FO−1611A物質、FO−1611B物
質およびFO−1611C物質はモネンシンに対して薬
剤耐性を獲得した鶏コクシジウムに対して有効な活性を
示すとともにに既知鶏コクシジウム生育阻害剤モネンシ
ンに比して低毒性の物質が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、養鶏産業上重要な疾病
であるコクシジウム症に対する治療薬および予防薬とし
て有用なFO−1611A物質、FO−1611B物質
および/またはFO−1611C物質並びにその製造法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抗コクシジウム剤としては、サル
ファ剤、キノリン剤、抗チアミン剤、抗生物質等が実用
化されており、最近では、ポリエーテル系抗生物質、例
えば、モネンシン、サリノマイシン、ラサロシド等が広
く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの薬剤
に耐性のコクシジウムが出現し、その効果が弱まってお
り、これらに代わる抗コクシジウム剤が要望されてい
る。従って、本発明の目的は、上記の観点から、薬剤非
耐性のコクシジウムは勿論のこと、特にポリエーテル系
化合物に対して耐性を獲得したコクシジウムに対して有
効な薬剤を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】一般に薬剤の交叉耐性
は、作用する物質の構造の類似あるいは作用機序の類似
する場合に成立し、従来の抗コクシジウム剤と構造的
に、あるいは、作用機序が相違する化合物はコクシジウ
ム症の治療剤あるいは予防剤として有用である。本発明
者らは、従来の薬剤に耐性を獲得したコクシジウム原虫
に対しても有効な新規薬剤を自然界から見出すべく種々
の研究を続け、モネンシン耐性のコクシジウム原虫を試
験生物として、微生物の生産する代謝産物の中から探索
した結果、新たに土壌から分離したFO−1611菌株
の培養液中にコクシジウムに有効な物質が産生されるこ
とを見出した。
【0005】次いで、該培養物から抗コクシジウム活性
物質を分離、精製した結果、後記の物理化学的性質を有
するFO−1611A物質、FO−1611B物質およ
びFO−1611C物質(以下、総称して単にFO−1
611物質と呼称することもある)は、従来全く知られ
ていない物質であることを見出した。
【0006】本発明はかかる知見に基づいて完成された
ものであって、後記の物理化学的性状を有するFO−1
611A物質、FO−1611B物質およびFO−16
11C物質からなる群より選ばれたFO−1611物質
またはその薬学的に許容し得る塩を提供するものであ
る。
【0007】更に、本発明は、ペニシリウム属に属し、
FO−1611A物質、FO−1611B物質および/
またはFO−1611C物質を生産する能力を有する微
生物を培地に培養して培養物中にFO−1611A物
質、FO−1611B物質および/またはFO−161
1C物質を蓄積せしめ、該培養物からFO−1611A
物質、FO−1611B物質および/またはFO−16
11C物質を採取することを特徴とするFO−1611
A物質、FO−1611B物質および/またはFO−1
611C物質またはそれらの薬学的に許容し得る塩の製
造法を提供するものである。
【0008】本発明のFO−1611A物質、FO−1
611B物質およびFO−1611C物質の物理化学的
性状を述べると次の通りである。 〔1〕FO−1611A物質 (1)元素分析値:C66.56%、H8.72% (2)推定分子式:C18285 (高分解能マススペク
トルによる) (3)分子量:324(高分解能EIマススペクトルに
よる測定値は次の通りである) 計算値:324.1935 実測値:324.1926 (4)比旋光度:〔α〕D 23−14°(C=0.1、メ
タノール中)
【0009】(5)紫外部吸収スペクトル:メタノール
中で測定した紫外部吸収スペクトルは図1に示す通りで
あり、263nm付近に特徴的な吸収極大を示す (6)赤外部吸収スペクトル:KBr法で測定した赤外
線吸収スペクトルは図2に示す通りであり、3402、
2920、1686、1637、1543、1458、
1406、1383、1302、1248、1151、
1011cm-1に吸収帯を有する (7)呈色反応:50%H2 SO4 で発色する。ニンヒ
ドリン発色陰性 (8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、
酢酸エチルエステル、クロロホルムに可溶、水に不溶
【0010】(9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性 (10)物質性状:無色粉末 (11)核磁気共鳴スペクトル:バリアンXL−40
0、400MHz、NMRスペクトロメータを用いて重
クロロホルム溶液中で測定した1H−NMRスペクトルお
よび13C−NMRスペクトルは、それぞれ図3および図
4に示す通りである。また、水素および炭素の化学シフ
トは下記表1に示す通りである
【0011】
【表1】
【0012】〔2〕KO−8119B物質 (1)元素分析値:C74.98%、H8.36% (2)推定分子式:C18243 (高分解能マススペク
トルによる) (3)分子量:288(高分解能EIマススペクトルに
よる測定値は次の通りである) 計算値:288.1724 実測値:288.1725 (4)比旋光度:〔α〕D 23+116°(C=0.1、
メタノール中)
【0013】(5)紫外部吸収スペクトル:メタノール
中で測定した紫外部吸収スペクトルは図5に示す通りで
あり、238、297nm付近に特徴的な吸収極大を示
す (6)赤外部吸収スペクトル:KBr法で測定した赤外
部吸収スペクトルは図6に示す通りであり、3421、
2922、1660、1624、1545、1454、
1379、1306、1259、1151、1063、
1022cm-1に吸収帯を有する (7)呈色反応:50%H2 SO4 で発色する。ニンヒ
ドリン発色陰性 (8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、
酢酸エチルエステル、クロロホルムに可溶、水に不溶 (9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性
【0014】(10)物質性状:無色粉末 (11)核磁気共鳴スペクトル:バリアンXL−40
0、400MHz、NMRスペクトロメータを用いて重
メタノールの溶液中で測定した1H−NMRスペクトルお
よび13C−NMRスペクトルは、それぞれ図7および図
8に示す通りである。また、水素および炭素の化学シフ
トは下記表2に示す通りである。
【0015】
【表2】
【0016】〔3〕FO−1611C物質 (1)元素分析値:C74.93%、H8.32% (2)推定分子式:C18243 (高分解能マススペク
トルによる) (3)分子量:288(高分解能EIマススペクトルに
よる測定値は次の通りである) 計算値:288.1724 実測値:288.1724 (4)比旋光度:〔α〕D 23+182°(C=0.1、
メタノール中)
【0017】(5)紫外部吸収スペクトル:メタノール
中で測定した紫外部吸収スペクトルは図9に示す通りで
あり、202、252、261nm付近に特徴的な吸収
極大を示す (6)赤外部吸収スペクトル:KBr法で測定した赤外
部吸収スペクトルは図10に示す通りであり、292
4、2389、1718、1691、1633、145
6、1416、1375、1302、1265、100
3cm-1に吸収帯を有する (7)呈色反応:50%H2 SO4 で発色する。ニンヒ
ドリン発色陰性 (8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、
酢酸エチルエステル、クロロホルムに可溶、水に不溶
【0018】(9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性 (10)物質性状:無色粉末 (11)核磁気共鳴スペクトル:バリアンXL−40
0、400MHz、NMRスペクトロメータを用いて重
メタノール溶液中で測定した1H−NMRスペクトルおよ
13C−NMRスペクトルはそれぞれ図11および図1
2に示す通りである。また、水素および炭素の化学シフ
トは下記表3に示す通りである。
【0019】
【表3】
【0020】本発明で使用される上記のFO−1611
A物質、FO−1611B物質および/またはFO−1
611C物質を生産する能力を有する微生物(以下、F
O−1611物質生産菌と称する)は、ペニシリウム属
に属するが、その中で例えば本発明者らが分離したペニ
シリウム属に属するペニシリウム エスピー(Peni
cillium sp.)FO−1611菌株は、本発
明の最も有効に使用される菌株の一例であって、本菌株
の菌学的性状を示すと次の通りである。
【0021】I.形態的性質 本菌株はバレイショ・ブドウ糖寒天培地、YpSs寒天
培地、ツアペック・イースト寒天培地などで比較的良好
に生育し、分生子の着生も良好である。バレイショ・ブ
ドウ糖寒天培地に生育したコロニーを顕微鏡で観察する
と菌糸は透明で隔壁を有しており、分生子柄は基底菌糸
より直生している。ペニシラスは単輪生で、分生子柄が
しばしば分岐している。
【0022】分生子柄の先端は、頂嚢状に膨らんでい
る。梗子はペン先型で、3〜6個群生し、大きさは7.
5〜10.0×2〜3μである。はじめはフイアロ型分
生子が梗子の頂端に一個着生し、培養時間の経過ととも
に連鎖状となり、最終的にはこの連鎖は170μ前後に
達する。分生子は球形〜亜球形で、大きさは2〜2.5
μであり、その表面は平滑である。
【0023】II.培養の諸性状 各種培地上で25℃、14日間培養した場合を肉眼的に
観察した。その結果を表4に示す。
【0024】
【表4】
【0025】III.生理的、生態的性状 1)最適生育条件 本菌株の最適生育条件はYpSs培地においてpH6〜
8、温度18〜30℃である。 2)生育の範囲 本菌株の生育範囲はYpSs培地においてpH3〜1
0、温度14〜35℃である。 3)好気性、嫌気性の区別 好気性 以上の形態観察および培養性状の結果から本菌株がペニ
シリウム属に属することが明らかであつた。本菌株はペ
ニシリウム エスピー FO−1611(Penici
llium sp.FO−1611)として、工業技術
院生命工学工業技術研究所に寄託されている(FERM
P−13399)。
【0026】以上FO−1611物質生産菌について説
明したが、菌の一般的性状としての菌学上の性状は極め
て変異し易く、一定したものではなく、自然的にあるい
は通常行われる紫外線照射または変異誘導体、例えばN
−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、エ
チルメタンスルホネートなどを用いる人工的変異手段に
より変異することは周知の事実であり、このような人工
的変異株は勿論、自然変異も含め、ペニシリウム属に属
し、FO−1611A物質、FO−1611B物質およ
び/またはFO−1611C物質を生産する能力を有す
る菌株はすべて本発明に使用することができる。また、
細胞融合、遺伝子操作などの細胞工学的に変異させた菌
株もFO−1611物質生産菌として包含される。
【0027】本発明においては、先ず、ペニシリウム属
に属するFO−1611物質生産菌が培地に培養され
る。本菌の培養においては、通常真菌類の培養法が一般
に用いられる。培地としては、微生物が同化し得る炭素
源、資化し得る窒素源、さらには必要に応じて無機塩類
などを含有させた栄養培地が使用される。すなわち、炭
素源としては、例えばグルコース、シュークロース、グ
リセロール、フラクトース、マルトース、マンニトー
ル、キシロース、ガラクトース、リボース、デキストリ
ン、糖密、澱粉またはその加水分解物等の炭水化物が使
用できる。
【0028】又、その濃度は、通常培地に対して0.1
%〜5%が望ましい。また、グルコン酸、ピルビン酸、
乳酸、酢酸等の各種有機酸、グリシン、グルタミン酸、
アラニン等の各種アミノ酸、さらにはメタノール、エタ
ノール等のアルコール類やノルマルパラフイン等の非芳
香族炭化水素、あるいは植物もしくは動物性の各種油脂
等を添加してもよい。
【0029】資化し得る窒素源としては、例えばアンモ
ニア、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸ア
ンモニウム、硝酸アンモニウム等の各種無機酸あるいは
有機酸のアンモニウム塩類、尿素、ペプトン、NZ−ア
ミン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスチー
プリカー、カゼイン加水分解物、フイッシュミールある
いはその消化物、大豆粉あるいはその消化物、脱脂大豆
あるいはその消化物、加水分解物などの含窒素有機物
質、さらには、グリシン、グルタミン酸、アラニン等の
各種アミノ酸が使用可能である。
【0030】無機物としては、例えば各種リン酸塩、硫
酸塩、食塩、さらには微量の重金属塩が添加される。ま
た、栄養要求性を示す変異株を用いる場合には、当然そ
の栄養要求性を満足させる物質を培地に加えなければな
らないが、この種の栄養素は、天然物を含む培地を使用
する場合は、とくに添加を必要としない場合がある。
【0031】培養は通常振とうまたは通気攪拌培養など
の好気的条件下で行うのがよい。工業的には深部通気攪
拌培養が好ましい。培養のpHはたとえば5.0〜8.
0であるが、中性付近で培養を行うのが好ましい。培養
温度は20〜37℃で行い得るが、通常は26〜32℃
(好ましくは27℃付近)に保つのがよい。培養時間は
液体の場合、通常2〜5日間培養を行うと、本FO−1
611A物質、FO−1611B物質およびFO−16
11C物質が蓄積されるので、培養中の蓄積量が最大に
達した時に、培養を終了すればよい。
【0032】これらの培地組成、培地の液性、培養温
度、攪拌速度、通気量などの培養条件は使用する菌株の
種類や外部の条件などに応じて好ましい結果が得られる
ように適宜調節、選択されることはいうまでもまない。
液体培養において、発泡があるときは、シリコン油、植
物油、界面活性剤などの消泡剤を適宜使用できる。
【0033】このようにして得られた培養物に蓄積され
るFO−1611A物質、FO−1611B物質および
FO−1611C物質は、菌体内および培養濾液中に含
有されるので、培養物を遠心分離して培養濾液と菌体と
に分離し、各々から本FO−1611A物質、FO−1
611B物質およびFO−1611C物質を採取するの
が有利である。
【0034】FO−1611A物質、FO−1611B
物質およびFO−1611C物質を採取するには、通常
微生物の培養物から代謝物を採取するのに用いられる手
段が単独あるいは組み合わせて、または反復して用いら
れる。すなわち、例えば抽出濾過、遠心分離、透析、濃
縮、乾燥、凍結、吸着、脱着、各種溶媒に対する溶解度
の差を利用する例えば沈澱、結晶化、再結晶、転溶、向
流分配法、クロマトグラフイー等の手段が用いられる。
【0035】培養液からFO−1611A物質、FO−
1611B物質およびFO−1611C物質を採取する
には、先ず培養濾液を酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼ
ンなどの非親水性有機溶媒で抽出するか、あるいは培養
濾液あるいは菌体抽出液を活性炭、アルミナ、多孔性合
成高分子樹脂、イオン交換樹脂等に吸着させ、メタノー
ル等の溶出溶媒で溶出し、得られた抽出液を減圧濃縮
後、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出すればよい。
【0036】得られた粗物質は、さらに脂溶性物質の精
製において通常用いられている公知の方法、例えばシリ
カゲル、アルミナ等の担体を用いるカラムクロマトグラ
フイーあるいはODS担体を用いる逆相クロマトグラフ
イーにより精製することができる。又、本FO−161
1物質の薬学的に許容し得る塩としては、例えばナトリ
ウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩
等の塩を常法により製造することができる。
【0037】
【発明の効果】次に、本発明のFO−1611A物質、
FO−1611B物質およびFO−1611C物質の鶏
に対する抗コクシジウム活性について述べる。 鶏コクシジウム生育阻害活性 モネンシンに耐性の鶏コクシジウム、エイメリア・テネ
ラのオーシストを用い、宿主であるハムスター腎由来細
胞(BHK−21細胞)上での生育阻害活性を大永らの
方法(大永、石井:日本獣医師会雑誌、31、592−
596(1978))に準じて測定した。その結果を表
5に示した。
【0038】本FO−1611A物質、FO−1611
B物質およびFO−1611C物質の鶏コクシジウムに
対する生育阻害作用濃度は、各々40μg/ml、10
μg/mlおよび10μg/mlであった。なお、FO
−1611B物質40μg/mlおよびFO−1611
C物質には20μg/ml濃度で細胞毒性が認められた
が、本物質はいずれも宿主であるハムスター腎由来細胞
(BHK−21細胞)に対してエイメリア・テネラの生
育阻害活性を示す濃度において細胞毒性は認められなか
った。
【0039】一方、既知鶏コクシジウム生育阻害剤モネ
ンシンについても同様の生育阻害実験を行った。その結
果、モネンシンでは、コクシジウム生育阻害活性は認め
られず、0.02μg/ml投与で主細胞に対する細胞
毒性が認められた。なお、表5中において、*印は40
μg/ml以上の濃度での実験未実施を意味するもので
ある。
【0040】
【表5】
【0041】以上のように、本FO−1611A物質、
FO−1611B物質およびFO−1611C物質は、
ポリエーテル系抗生物質モネンシンに耐性のコクシジウ
ム原虫の生育阻害活性を有することから、コクシジウム
病の寛解に導くことが可能となる。また、公知の抗コク
シジウム剤の薬物の効果を著しく持続せしめる併用剤と
して用いることもできる。
【0042】
【実施例】
実施例 1 500ml容三角フラスコに、グルコース2.0%、ポ
リペプトン0.5%、酵母エキス0.2%、硫酸マグネ
シウム7水塩0.05%、リン酸2水素カリウム0.1
%、寒天0.1%を含む液体培地(pH6.0)100
mlを分注し、121℃で20分間蒸気滅菌した。これ
に寒天斜面培地上に生育させたペニシリウム エスピー
(Penicillium sp.)FO−1611株
(FERM P−13399)の菌体を白金耳にて無菌
的に接種し、27℃、3日間培養して種培養液を得た。
【0043】次いで、30L容ジャー培養槽にスクロー
ス2%、グルコース1.0%、コーンスチープリカー
1.0%、肉エキス0.5%、リン酸2水素カリウム
0.1%、硫酸マグネシウム7水塩0.05%、炭酸カ
ルシウム0.3%、寒天0.1%及び微量金属塩例えば
鉄、亜鉛、マンガン、銅、コバルトを含む液体培地(p
H6.0)20Lを仕込み、121℃、20分間蒸気滅
菌した。これに上記の種培養液400mlを接種し、2
7℃、3日間通気攪拌培養した。
【0044】この培養液18Lに18Lの酢酸エチルを
加えてよく攪拌した後、遠心分離して酢酸エチル層を分
離した。この酢酸エチル抽出液を減圧濃縮乾固して粗抽
出物6.54gを得た。この粗抽出物をシリカゲルクロ
マトグラフイー(クロロホルム1.5l 、クロロホル
ム:メタノール(99:1)1.5l で洗浄後クロロホ
ルム:メタノール(98:2)1.5l )で活性物質を
溶出させ粗精製物252mgを得た。
【0045】次いでセフアデツクスLH20担体による
ゲル濾過(展開溶媒:メタノール)にかけ、粗精製物8
6mgを得た。更に逆相(ODS)系の高速液体クロマ
トグラフイー(展開溶媒:0.05%リン酸含有60%
アセトニトリル〜100%アセトニトリル)により、F
O−1611A物質7.5mg、FO−1611B物質
3.8mgおよびFO−1611C物質5.9mgをそ
れぞれ得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】FO−1611A物質の紫外線吸収スペクトル
である。
【図2】FO−1611A物質の赤外線吸収スペクトル
である。
【図3】FO−1611A物質のプロトン核磁気共鳴ス
ペクトルである。
【図4】FO−1611A物質の13C核磁気共鳴スペク
トルである。
【図5】FO−1611B物質の紫外線吸収スペクトル
である。
【図6】FO−1611B物質の赤外線吸収スペクトル
である。
【図7】FO−1611B物質のプロトン核磁気共鳴ス
ペクトルである。
【図8】FO−1611B物質の13C核磁気共鳴スペク
トルである。
【図9】FO−1611C物質の紫外線吸収スペクトル
である。
【図10】FO−1611C物質の赤外線吸収スペクト
ルである。
【図11】FO−1611C物質のプロトン核磁気共鳴
スペクトルである。
【図12】FO−1611C物質の13C核磁気共鳴スペ
クトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:80) (C12P 1/02 C12R 1:80) (72)発明者 岩井 譲 東京都港区白金5丁目9番1号 社団法人 北里研究所内 (72)発明者 羽田 勝二 東京都港区白金5丁目9番1号 社団法人 北里研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の理化学的性質を有するFO−161
    1A物質、FO−1611B物質およびFO−1611
    C物質からなる群より選ばれたFO−1611物質また
    はその薬学的に許容し得る塩。 〔1〕FO−1611A物質 (1)元素分析値:C66.56%、H8.72% (2)推定分子式:C18285 (高分解能マススペク
    トルによる) (3)分子量:324 (4)比旋光度:〔α〕D 23−14°(C=0.1、メ
    タノール中) (5)紫外線吸収スペクトル(メタノール中):図1に
    示す通りであり、263nm付近に特徴的な吸収極大を
    示す (6)赤外線吸収スペクトル(KBr法):図2に示す
    通りであり、3402、2920、1686、163
    7、1543、1458、1406、1383、130
    2、1248、1151、1011cm-1に吸収帯を有
    する (7)呈色反応:50%H2 SO4 で発色する。ニンヒ
    ドリン発色陰性 (8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、
    酢酸エチルエステル、 クロロホルムに可溶、水に不溶 (9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性 (10)物質性状:無色粉末 〔2〕FO−1611B物質 (1)元素分析値:C74.98%、H8.36% (2)推定分子式:C18243 (高分解能マススペク
    トルによる) (3)分子量:288 (4)比旋光度:〔α〕D 23+116°(C=0.1、
    メタノール中) (5)紫外線吸収スペクトル(メタノール中):図5に
    示す通りであり、238、297nm付近に特徴的な吸
    収極大を示す。 (6)赤外部吸収スペクトル(KBr法):図6に示す
    通りであり、3421、2922、1660、162
    4、1545、1454、1379、1306、125
    9、1151、1063、1022cm-1に吸収帯を有
    する (7)呈色反応:50%H2 SO4 で発色する。ニンヒ
    ドリン発色陰性 (8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、
    酢酸エチルエステル、クロロホルムに可溶、水に不溶 (9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性 (10)物質性状:無色粉末 〔3〕KO−1611C物質 (1)元素分析値:C74.93%、H8.32% (2)推定分子式:C18243 (高分解能マススペク
    トルによる) (3)分子量:288 (4)比旋光度:〔α〕D 23+182°(C=0.1、
    メタノール中) (5)紫外線吸収スペクトル(メタノール中):図9に
    示す通りであり、202、252、261nmに特徴的
    な吸収極大を示す (6)赤外線吸収スペクトル(KBr法):図10に示
    す通りであり、2924、2389、1718、169
    1、1633、1456、1416、1375、130
    2、1265、1003cm-1に吸収帯を有する (7)呈色反応:50%H2 SO4 で発色する。ニンヒ
    ドリン発色陰性 (8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、
    酢酸エチルエステル、クロロホルムに可溶、水に不溶 (9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性 (10)物質性状:無色粉末
  2. 【請求項2】 ペニシリウム属に属し、FO−1611
    A物質、FO−1611B物質および/またはFO−1
    611C物質を生産する能力を有する微生物を培地に培
    養して培養物中にFO−1611A物質、FO−161
    1B物質および/またはFO−1611C物質を蓄積せ
    しめ、該培養物からFO−1611A物質、FO−16
    11B物質および/またはFO−1611C物質を採取
    することを特徴とするFO−1611A、Bおよび/ま
    たはFO−1611C物質並びにそれらの薬学的に許容
    し得る塩の製造法。
  3. 【請求項3】 ペニシリウム属に属し、FO−1611
    A物質、FO−1611B物質および/またはFO−1
    611C物質を生産する能力を有する微生物が、ペニシ
    リウム エスピー FO−1611(Penicill
    ium sp.FO−1611 FERM P−133
    99)である請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 ペニシリウム属に属しFO−1611A
    物質、FO−1611B物質および/またはFO−16
    11C物質を生産する能力を有する微生物。
  5. 【請求項5】 微生物がペニシリウム エスピー FO
    −1611(penicillium sp.FO−1
    611)である請求項4記載の微生物。
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