JPH06297224A - カッタ用チップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 未使用切れ刃稜の損傷保護を図る。 【構成】 多角形板状のカッタ用チップ１は、幅狭のラ
ンド２およびチップブレーカ溝３が形成され、このチッ
プブレーカ溝３は、中央ボス面４から延びる防護壁５に
よってそれぞれ独立している。前記防護壁５は、主切れ
刃稜６と略平行になっており、その両脇には、副切れ刃
稜７側では切り屑拘束面５ａおよび隣のチップブレーカ
溝３側では切れ刃防護面５ｂが形成されている。この切
り屑拘束面５ａおよび切れ刃防護面５ｂは、チップブレ
ーカ溝３の底面から凹曲面として切上っている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、正面フライスエンドミ
ルなどのカッタ用チップに関し、特に、未使用切れ刃稜
の損傷保護が図られるようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、チップブレーカ溝を形成したカッ
タ用チップとしては、例えば実公平１−１５４５６号公
報、特開平２−９５５０８号公報などに開示されている
ものがある。そして、前者は、各辺に沿ってそれぞれ独
立したチップブレーカ溝を形成するとともに、チャンフ
ァの設定に特徴を持たせたものである。また、後者は、
全周ブレーカ形式で、ノーズ半径部分のランド幅を辺部
分よりも大きく形成しているものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
カッタ用チップでは、チャンファ部分の切屑排出が充分
でなく、また、後者のカッタ用チップでは、コーナ部が
破損した場合、隣の未使用切れ刃稜に影響を及ぼすおそ
れがあった。

【０００４】このようなことから、本発明では、切屑流
出に伴う未使用切れ刃稜の保護が図れるように改善した
ものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述の点に鏡
みなされたもので、多角形面には、それぞれ独立したチ
ップブレーカ溝が形成され、しかも、これらのチップブ
レーカ溝間にある防護壁は、主切れ刃稜と略平行になっ
ているとともに、その両脇には、副切れ刃稜側では切り
屑拘束面および隣のチップブレーカ溝側では、切れ刃防
護面としてそれぞれ凹曲面が形成されるようにしたもの
である。

【０００６】また、前記防護壁は、その幅Ｗｃが０．２
ｍｍ以上に設定され、主切れ刃稜および副切れ刃稜のラ
ンド幅Ｗａ，Ｗｂとの間では、Ｗｂ＞Ｗｃ＞Ｗａの関係
にあるようになっているものである。この場合、前記チ
ップブレーカ溝には、中央ボス面に向かう立上り面に傾
斜角βをもつ凹部が形成され、その幅については、主切
れ刃稜の切込み方向に向かってγの角度で広がるように
なっているものである。

【０００７】

【作用】本発明のカッタ用チップは、独立形のチップブ
レーカ溝を形成するための防護壁が切り屑の流出に対し
て、有効に機能するものである。すなわち、この防護壁
は、チップブレーカ溝底部から切上る凹曲切り屑拘束面
および切れ刃防護面を形成することから、切り屑がカー
ルして隣接する未使用切れ刃の保護が図れるものであ
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明カッタ用チップの一実施例につ
いて、図を参照しながら説明する。

【０００９】図１乃至図３において、１は、略正方形板
状をなすカッタ用チップであり、切削上すくい面を構成
する上面には、その辺に沿って幅狭のランド２およびチ
ップブレーカ溝３が形成されている。そして、このチッ
プブレーカ溝３は、中央ボス面４から帯状に延びる防護
壁５によってそれぞれ独立するようになっている。この
場合、前記ランド２は、主切れ刃稜６側のランド２ａの
幅Ｗａを狭く、コーナ側の副切れ刃稜７側のランド２ｂ
の幅を広くしているものある。これは、ランド２ａ側で
は切削抵抗を抑える配慮であり、ランド２ｂ側では副切
れ刃稜７の耐欠損性を向上させる配慮である。また、前
記防護壁５は、その幅Ｗｃが０．２ｍｍ以上で、Ｗｂ＞
Ｗｃ＞Ｗａの関係にあるものである。具体的には、ラン
ド２ａ側の幅Ｗａが０．４ｍｍ以下であり、ランド２ｂ
側の最大幅Ｗｂがランド２ａ側の幅Ｗａの２倍以上であ
ることが好ましい。

【００１０】また、前記防護壁５は、中央ボス面４から
ランド２に向って、主切れ刃稜６と略平行になってい
る。そして、この防護壁５によってチップブレーカ溝３
をそれぞれ独立形式としたのは、使用中に主として副切
れ刃稜７が欠損した場合でも、隣の主切れ刃稜６に影響
を与えないよう配慮したものである。この場合、防護壁
５は、その両脇には、副切れ刃稜７側では、切り屑拘束
面５ａおよび隣のチップブレーカ溝３側では、切れ刃防
護面５ｂが凹曲面として形成される。これは、被削材か
ら生成された切り屑が切り屑拘束面５ａおよび中央ボス
面４側の切り屑拘束面３ａに当たるため、切り屑がカー
ルし、切り屑処理性が改善されることを意図したもので
ある。また、切れ刃防護面５ｂについては、図４で示さ
れているように切り屑が切れ刃防護面５ｂに当たり、こ
れによって切り屑が跳ね上げられるものである。したが
って、隣の未使用切れ刃稜の損傷が防止される。そし
て、切り屑拘束面５ａは、その曲率半径Ｒ₁が１〜４ｍ
ｍに設定され、切り刃防護面５ｂは、その曲率半径Ｒ₂
が１．５〜４．５ｍｍに設定される。これは、切り屑の
強制カールから設定したものである。なお、前記防護壁
５は、図示の場合、主切れ刃稜６および副切れ刃稜７が
中央ボス面４に対して芯下り量を有しているため、ラン
ド２ａ付近で丸味をもって接続されている。

【００１１】さらに、前記チップブレーカ溝３は、主切
れ刃稜６に対する直交断面では、図５で示されているよ
うに、ランド２ａからの傾斜面３ｂによって正のすくい
角αが構成され、また、その底部３ｃから中央ボス面４
に向っては、前記切り屑拘束面３ａが形成される。この
場合、前記底部３ｃは、中央ボス面４に対して平行関係
にある平面によって形成されている。しかし、特開平２
−９５５０８号公報にみられるように落込み段部による
傾斜面でもよいものである。また、前記傾斜面３ｂによ
る正のすくい角αは、ランド２ａとの組合せでは、、切
削試験の結果、サーメットの場合は、すくい角α＝１０
°〜１８°，ランド２ａの幅Ｗａ＝０．１２〜０．２２
ｍｍが好適する。さらに、前記切り屑拘束面３ａには、
主切れ刃稜６の延びる方向に立上り凹部８が形成される
ことによって凹凸の断面形状を呈するものである。これ
は、被削材から生成される切り屑との接触を点当たりと
することで、切り屑の接触長さを小さくしたものであ
る。この結果、切削抵抗を低減でき、切削熱の伝幡を抑
えることを可能にする。特に、高い加工精度が要求され
る加工を配慮したものである。この場合、前記立上り凹
部８は、主切れ刃稜６に対する直交線を基準にしたとき
には、５°〜２０°の傾斜角βが構成され、図６で示さ
れるように曲率半径Ｒ₃による凹凸の高低差ｈが１ｍｍ
以下に設定されることが好ましい。

【００１２】また、前記チップブレーカ溝３は、防護壁
５から幅が広がるように形成されているが、これは、切
り屑の排出性を向上させる配慮である。この広がり角度
γは、切り屑の流出方向から２°〜１５°の範囲が好適
する。

【００１３】図７は、変形例を示したもので、カッタ用
チップ１が略正３角形板状を呈するものである。この場
合、中央ボス面４から延びる防護壁５は、副切れ刃稜７
側のランド２ｂに直交するようになっている。なお、副
切れ刃稜７は、主切れ刃稜６に対して直線的に接続する
ものが適用されているが、特開平２−９５５０８号公報
にみられるように丸味をもつものでもよい。また、本実
施例では、主切れ刃稜６は、側面視で直線状を呈してい
るが、大きな凸円弧または波形の凹凸を形成するように
してもよいものである。

【００１４】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように、独立形
式のチップブレーカ溝３を有し、その防護壁５の構成を
凹曲面としたことから、切り屑のカールが強制され、切
り屑の排出性が改善される。また、欠損した場合でも、
隣の未使用切れ刃に至るまで損傷が及ばないという利点
を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明カッタ用チップの一実施例を示す図で、
（ａ）は正面図，（ｂ）は側面図である。

【図２】図１中のＡ−Ａ線に沿って得られる一部拡大断
面図ある。

【図３】同じく図１中のＢ−Ｂ線に沿って得られる一部
拡大断面図である。

【図４】切り屑の流出方向を説明するための一部正面図
である。

【図５】図１中のＣ−Ｃ線に沿って得られる一部拡大断
面図ある。

【図６】同じく図１中のＤ−Ｄ線に沿って得られる一部
拡大断面図ある。

【図７】他の実施例を示すカッタ用チップの正面図であ
る。

【符号の説明】

１ カッタ用チップ ２ ランド ３ チップブレーカ溝 ３ａ 切り屑拘束面 ４ 中央ボス面 ５ 防護壁 ５ａ 切り屑拘束面 ５ｂ 切れ刃防護面 ６ 主切れ刃稜 ７ 副切れ刃稜 ８ 凹部

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略多角形板状をなし、切削上すくい面を
   構成する多角形面には、その辺に沿って幅狭のランド２
   およびチップブレーカ溝３が形成され、しかも、このチ
   ップブレーカ溝３が中央ボス面４から延びる帯状の防護
   壁５によってそれぞれ独立するようになっているカッタ
   用チップにおいて、 前記防護壁５は、主切れ刃稜６と略平行になっていると
   ともに、その両脇には、副切れ刃稜７側では、切り屑拘
   束面５ａおよび隣のチップブレーカ溝３側では、切れ刃
   防護面５ｂが凹曲面として形成されていることを特徴と
   するカッタ用チップ。
2. 【請求項２】 請求項１記載の防護壁５は、その幅Ｗｃ
   が０．２ｍｍ以上で、主切れ刃稜６側のランド幅Ｗａ，
   副切れ刃稜７側のランド幅Ｗｂとの間では、Ｗｂ＞Ｗｃ
   ＞Ｗａの関係で設定されている請求項１記載のカッタ用
   チップ。
3. 【請求項３】 請求項１記載の切り屑拘束面５ａは、そ
   の曲率半径Ｒ₁が１〜４ｍｍに設定され、また、切れ刃
   防護面５ｂは、その曲率半径Ｒ₂が１．５〜４．５ｍｍ
   に設定されている請求項１または請求項２記載のカッタ
   用チップ。
4. 【請求項４】 請求項１記載のチップブレーカ溝３は、
   主切れ刃稜６に対する直交断面では、ランドからの傾斜
   面３ｂによって正のすくい角αが構成されるとともに、
   前記防護壁５の切り屑拘束面５ａに隣接した中央ボス面
   ４に向かう切り屑拘束面３ａには、主切れ刃稜６の延び
   る方向に向って凹凸断面形状を構成する凹部８が傾斜角
   βをもって形成されている請求項１乃至請求項３のカッ
   タ用チップ。
5. 【請求項５】 請求項１記載のチップブレーカ溝は、上
   面視で、その幅が防護壁から主切れ刃稜６の切込み方向
   に向ってγの角度で広がるようになっている請求項４記
   載のカッタ用チップ。
6. 【請求項６】 請求項１記載のランドは、中央ボス面よ
   りも幾分低位にある芯下り量δを有する請求項１乃至請
   求項５記載のカッタ用チップ。