JPH06296841A - 変性ナイロンで表面処理された多孔膜及びその製造方法 - Google Patents

変性ナイロンで表面処理された多孔膜及びその製造方法

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JPH06296841A
JPH06296841A JP9307493A JP9307493A JPH06296841A JP H06296841 A JPH06296841 A JP H06296841A JP 9307493 A JP9307493 A JP 9307493A JP 9307493 A JP9307493 A JP 9307493A JP H06296841 A JPH06296841 A JP H06296841A
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衛一 亀井
Yoji Okushita
洋司 奥下
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は物理的、化学的、機械的特性を保持
しつつ透水性を有し、さらに耐久性の優れた分離膜を提
供するものである。 【構成】 疎水性高分子多孔膜の表面が水不溶性の変性
ナイロンで被覆されていることを特徴とする多孔膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は親水性の多孔膜およびそ
の製造方法に関するものである。さらに詳しくは疎水性
高分子多孔膜の微細孔表面に水不溶性のN−メチル、N
−アルコキシメチルおよびN−アルキルチオメチル変性
ナイロンより選ばれた変性ナイロンによって被覆してな
る親水性多孔膜およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術および問題点】高分子多孔膜の用途は水系
溶液、水系懸濁液などの水処理、超純粋の製造などに使
用する濾過膜あるいは分離膜、または血漿分離膜、人工
肺などの医療材料、あるいは電池、電気分解などに使用
する電池セパレータなど種々の分野にわたるが、いずれ
においても膜は親水性であることが望ましい。
【0003】親水性の多孔膜としては親水性高分子を原
料とする多孔膜ならびに疎水性高分子を原料とする多孔
膜の表面を親水化処理した多孔膜に大別できる。
【0004】前者の多孔膜としてはセルロース、ポリビ
ニルアルコール、ナイロンなどから誘導される水不溶性
の親水性高分子材料を原料とする膜がよく知られてい
る。これらの多孔膜の特徴は、膜素材そのものが親水性
であるので、水との相互作用が大きく水に濡れやすく、
前もって膜に特別な処理をすることなく水あるいは水系
溶液が膜内に浸透し、濾過、分離が容易に行えることで
ある。
【0005】しかし、これらの親水性多孔膜は膜を形成
している高分子材料そのものの吸水率が高いため、膨潤
による機械的強度の低下をまねくばかりでなく、孔径、
空孔率の減少により膜性能が低下するという欠点を有す
る。また、これらの親水性多孔膜は乾燥時において脆い
ものが多く、機械的強度が小さいという欠点をもつ。
【0006】さらに、これらの親水性多孔膜の調製は原
料となる親水性高分子の溶液を膜状に成形し、溶媒の一
部あるいは全部を蒸発したのち、凝固浴中に浸漬し相転
換により多孔化する方法が多く採用されるため、工程が
複雑で、有機溶剤の管理、処理などが煩雑となるばかり
でなく、得られる膜が不整いな孔を持つ膜であることが
多いなどの欠点を有する。
【0007】一方、後者の疎水性多孔膜の表面を親水化
処理して得られる多孔膜としては、処理方法により種々
の膜が提案されている。
【0008】(1)エチルアルコール、アセトンなどの
水溶性の有機溶剤を疎水性多孔膜の微細孔内に浸透させ
たのち、水と置換する方法により得られる膜。
【0009】(2)重合性官能基をもつあるいはもたな
いイオン系、非イオン系界面活性剤、脂質などのコーテ
ィングとそれに続く重合などにより得られる膜(特開昭
47−14269号公報、特開昭60−11536号公
報、特開昭61−2743号公報、特開昭62−114
610号公報、特開昭63−141609号公報など)
【0010】(3)重合性官能基を有する水溶性ポリマ
ーをコーティングした後、紫外線、電子線などの電離放
射線照射あるいは加熱処理などにより該水溶性ポリマー
を水不溶化することにより得られる膜(特公昭55−3
5145号公報、特開昭62−14904号公報、特開
昭63−97634号公報など)などである。ところ
が、これらによって得られる膜は種々の欠点を有する。
【0011】(1)で得られる膜は膜表面及び微細孔内
が湿潤状態にある限りは親水性であるが、いったん膜が
乾燥すると親水性は失われ、再び同じ操作を行わない限
り透水現象は認められない。
【0012】(2)で得られる膜ではコーティングした
界面活性剤あるいは脂質が透水時間とともに溶出し、処
理液が徐々に汚染されるとともに透水性能も減少する。
【0013】(3)の膜においては、コーティングに用
いる水溶性ポリマーと疎水性膜との相互作用が小さく、
該水溶性ポリマーが疎水性膜の表面及び微多孔内を均一
に、しかも良好な接着性でもってコーティングしていな
い。しかも、後処理による該水溶性ポリマーの水不溶化
の際に、孔径ならびに空孔率の低下といった問題があ
り、また、水不溶化が充分に進行していない場合には、
該水溶性ポリマーの溶出による処理液の汚染等が発生す
る。さらに、電離放射線照射あるいは加熱などの後処理
は膜素材そのものの劣化を伴う。大規模な設備を必要と
する電離放射線照射による処理を高分子多孔膜の親水化
に対して工業的に採用することは困難である。
【0014】上述のように、従来公知の親水性多孔膜は
いずれも種々の欠点を有し、透水性に優れた水系流体の
分離、浄化に好適な微多孔膜としては充分なものとはい
えない。
【0015】したがって、本発明の目的は上記の欠点の
ない水系溶液、水系懸濁液等の水処理、超純水の製造な
どに使用する濾過膜あるいは分離膜、または血漿分離
膜、人工肺などの医療材料、あるいは電池、電気分解な
どに使用する電池セパレータなど親水性が要求される分
野で好適に使用できる均一な微細透孔を有する親水性の
多孔膜を提供することにある。
【0016】
【問題点を解決するための手段】そこで、本発明者らは
上記欠点を克服した親水性多孔膜およびその製造方法に
ついて鋭意検討を重ねた結果、多数の貫通微細孔を有す
る疎水性高分子多孔膜を水不溶性のN−メチロール、N
−アルコキシメチルおよびN−アルキルチオメチル変性
ナイロンより選ばれた変性ナイロンの溶液と接触するこ
とによって得られる膜は該疎水性膜の微細孔表面が該変
性ナイロンで均一に被覆された多孔膜であり、熱安定性
に優れ、水あるいは水系溶液の濾過に必要かつ十分な親
水性を有し精密濾過から限外濾過まで広範囲にわたる濾
過能を有する多孔膜であることを見出し、本発明に到達
した。すなわち本発明は多数の貫通微細孔を有する疎水
性膜の該微細孔表面の一部または全部が水不溶性のN−
メチロール、N−アルコキシメチルおよびN−アルキル
チオメチル変性ナイロンより選ばれた変性ナイロンによ
って被覆されていることを特徴とする多孔膜およびその
製造方法を提供することにある。
【0017】本発明で用いられる多数の貫通微細孔を有
する疎水性高分子膜とは、10〜90%の空孔率と0.
01〜10μmの平均孔径を有する水および水系溶液と
接触しても該膜の表面は濡れることも該膜の内部に水が
浸透することもない膜をいう。例えば、高密度ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−ペンテン−
1)などのポリオレフィン、ポリテトラフロロレチレ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどのハロ
ゲン化ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリカーボネー
ト等を原料とする多孔膜を挙げることができる。
【0018】本発明において用いられる上記N−メチロ
ール、N−アルコキシメチル、およびN−アルキルチオ
メチル変性ナイロンとは、ナイロンにホルムアルデヒド
とアルコールおよびホルムアルデヒドとチオアルコール
をJ.Am.Chem.Soc.71巻,651頁,1
949年;Chemical and ind.10
巻,985頁,1951年;US Patent 24
30860,1947年等に記載の公知の方法によって
作用させ、ナイロンのアミド基の一部または全部の水素
をメチロール基、アルコキシメチル基およびアルキルチ
オメチル基で置換したナイロンをいう。ここで、もとの
ナイロンとしてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン
610、ナイロン11、ナイロン11、ナイロン61、
ナイロンメタキシリレンジアミン6、ナイロンビス(4
−アミノシクロヘキシル)メタン6及びこれらの共重合
体等を挙げることができる。これらの内、変性ナイロン
が炭素数1〜5の脂肪族アルコールに可溶なものが特に
好ましい。また、これらは、一種または二種以上の混合
物として用いることができる。また、上記のアルコール
およびチオアルコールはモノアルコールおよびモノチオ
アルコールが好ましく、特に炭素数が1ないし6の脂肪
族モノアルコールおよびモノチオアルコールが好まし
い。
【0019】次に、本発明の多孔膜の製造方法について
説明する。上記N−メチロール、N−アルコキシメチル
およびN−N−アルキルチオメチル変性ナイロンより選
ばれた変性ナイロンの一種を特定の溶媒に溶解し、溶液
を調製する。該溶媒は炭素数が1ないし5の脂肪族アル
コールあるいはこれの水溶液、炭化水素溶液、ハロゲン
化炭化水素溶液、エーテル溶液、ケトン溶液、エステル
溶液、アミン溶液、カルボン酸溶液およびこれらの混合
溶媒であり該変性ナイロンの良溶媒であるとともに、上
記疎水性膜の微細孔表面を濡れさせはするものの該疎水
性膜の形成ポリマーを実質的に膨潤ないし溶解させない
ものである。
【0020】例えば、メタノール、エタノール、メタノ
ール−水、エタノール−水、イソプロパノール−水、メ
タノール−トルエン、メタノール−クロロホルム、メタ
ノール−ジエチルエーテル、エタノール−アセトン、メ
タノール−酢酸エチル、エタノール−イソプロピルアミ
ン、エタノール−ぎ酸、エタノール−トルエン−水、メ
タノール−塩化メチレン−水等が挙げられる。これら
は、該疎水性膜および該変性ナイロンの種類によって適
宜選択することができる。
【0021】次いで、該変性ナイロン溶液と該疎水性膜
を10ないし70℃、好ましくは20ないし50℃で1
ないし120秒間、好ましくは5ないし60秒間接触さ
せる。接触の方法は特に限定されず、該疎水性膜を該変
性ナイロン溶液に浸漬する方法、該疎水性膜の一方から
該変性ナイロン溶液を供給し膜内を通液させる方法など
濃度勾配、圧力勾配を駆動力として該変性ナイロン溶液
を膜内に浸透させる方法が採用される。しかし、装置、
操作の簡便さ、処理能力、効率の良さ等を考慮すると、
該疎水性膜を該変性ナイロン溶液に浸漬する方法を採用
するのが好ましい。該変性ナイロン溶液の浸透処理を行
った該疎水性膜は、次に、乾燥処理および/あるいは水
との接触とこれにつづく乾燥処理によって溶媒を完全に
除去し疎水性膜の微細孔表面に該変性ナイロンを均一に
被覆してなる多孔膜が得られる。
【0022】このようにして得られる多孔膜は、該変性
ナイロン溶液の濃度、接触時間、接触回数等を適宜調節
することのよって、疎水性膜の表面および微細孔表面の
みが極く薄く被覆され、十分な濡れおよび透水性を示す
が、孔径は該変性ナイロン溶液の接触前の孔径とほとん
ど変わらないものから、疎水性膜の表面のうち少なくと
も一表面に非孔性シート層を有するもの、さらには微細
孔内が該変性ナイロンで閉塞されているものまでさまざ
まである。また、いずれの膜も水中への浸漬あるいは水
の透過と乾燥をくり返しても透水性が低下することはほ
とんどない。
【0023】
【発明の効果】本発明の親水化多孔膜は、疎水性高分子
を原料とする多孔膜の表面が水不溶性の変性ナイロンに
よって被覆された親水性の多孔膜である。本発明によっ
て得られる親水性の多孔膜は、上記の従来法で得られる
親水性多孔膜の種々の欠点を克服し、該疎水性膜本来の
物理的、化学的、機械的特性を保持しつつ、かつ優れた
透水性を有し、さらにくり返しの使用に耐える耐久性も
兼ね備えた膜である。したがって、高い透水性を利用し
た水系流体の分離、浄化に好適な分離膜として用いられ
るばかりでなく、固定化層である水不溶性の親水性材料
の特徴を生かして、電池、電気分解などに使用する電池
セパレータなどに適用することも可能となった。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例によってさらに詳しく
説明する。なお、もちろん本発明が以下の実施例に限定
されるものではない。
【0025】(実施例1)ポリプロピレン(UBE−P
P−F109K,商品名:宇部興産(株)製、MFI=
9g/10min)を外径150mmのダイスを備えた
押出成形機を使用し、成形温度190℃、引取り速度3
0mm/minの条件でインフレーションフィルムを成
形した。
【0026】得られたポリプロピレンフィルムを145
℃の加熱空気槽で30分間加熱処理し、次いで液体窒素
(−195.8℃)中で、初期長さに対して20%延伸
し、延伸状態を保ったまま145℃の加熱空気槽内で2
分間熱処理を行った。
【0027】このフィルムを145℃の加熱空気槽で3
0分間加熱処理し、次いで液体窒素(−195.6℃)
中で、初期長さに対して20%延伸し、延伸状態を保っ
たまま145℃の加熱空気槽内で2分間熱処理を行っ
た。
【0028】このフィルムを130℃の空気雰囲気で4
00%の熱延伸を行った後、延伸状態を保ったまま14
5℃の加熱空気槽内で15分間熱処理を行いポリプロピ
レン多孔平膜を製造した。
【0029】得られたポリプロピレン多孔平膜の平均孔
径はエタノールを用いるハーフドライ法によって測定し
たところ0.27μmであった。空孔率はカルロエルバ
(CARLOERBA)社(イタリア)製のポロシメト
ロシリーズ(POROSIMETRO SERIES)
1500を使用した水銀圧入法で測定したところ73.
6%であった。このポリプロピレン多孔平膜の膜表面及
び膜断面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、膜
表面には該膜の延伸方向に対しほぼ平行かつ等間隔に微
小フィブリル群が形成され、該フィブリル及びフィブリ
ル間の空隙は膜断面方向へ二次元に広がり、多数の貫通
微細透孔を形成していることがわかった。次にN−メト
キシメチル変性ナイロン6を合成した。ナイロン6(U
BE NYLON 1013B,商品名:宇部興産
(株)製)30gを含むギ酸溶液(濃度30重量/容量
%)にパラホルムアルデヒドの50重量/容量%メタノ
ール溶液60mlを60℃で攪拌しながら徐々に加え、
30分間攪拌した後、2リットルのアセトン−水(1−
1、体積比)に注ぎ、アンモニア水で洗浄した後、乾燥
して白色粒状物を得た。得られた白色粒状物はナイロン
6のアミド基の水素の40%がメトキシメチル基によっ
て置換されたN−メトキシメチル変性ナイロン6であっ
た。
【0030】続いて、上記ポリプロピレン多孔平膜を濃
度が2重量/容量%の上記N−メトキシメチル変性ナイ
ロン6のメタノール溶液に室温で1分間浸漬し、ポリプ
ロピレン多孔平膜の貫通微細孔内まで溶液を充分に行き
渡らせた後、室温で2時間風乾した。
【0031】こうして得られた多孔膜の表面及び断面を
走査型電子顕微鏡で観察したところ、本質的に被覆前の
多孔平膜と同一の多数の貫通微細孔が保持された形態が
観察された。この多孔平膜に水を接触させたところ、水
は微細孔内に容易に浸透し、透過した。透水速度は、1
60.9リットル/min・m2 ・kgf/cm2 であ
った。透水速度を測定した多孔平膜を乾燥し、再び水に
接触したところ、前記と同様に水は再び多孔膜の微孔内
部に容易に浸透し、透水速度の変化も5%以内であっ
た。また、この操作を10回繰り返したが、水の浸透、
透過現象に変化はなく、透水速度の変化も±5%以内で
あった。
【0032】(実施例2)実施例1において、変性ナイ
ロンを下記のものとした以外は実施例1と全く同様に行
った。ナイロン66(UBE NYLON 2015
B,商品名:宇部興産(株)製)60gに90%ギ酸2
00mlを加え、60℃で2時間攪拌しナイロン66の
ギ酸溶液を調製する。この溶液にパラホルムアルデヒド
の35重量%水溶液170mlを少しずつ加え、次いで
50mlの水を添加した後、1200mlのアセトン−
水(1−1、体積比)に注ぎ、水、アンモニア水、アセ
トンの順で洗浄、乾燥して、白色粒状物を得る。得られ
た白色粒状物はナイロン66のアミド基の水素の19%
がメチロール基によって置換されたN−メチロール変性
ナイロン66であった。
【0033】続いて、上記N−メチロール変性ナイロン
66の1.5重量/容量%メタノール溶液に実施例1の
ポリプロピレン多孔平膜を室温で1分間浸漬し、ポリプ
ロピレン多孔平膜の貫通微細孔内まで溶液を充分に行き
渡らせた後、室温で2時間風乾した。
【0034】こうして得られた多孔膜の表面及び断面を
走査型電子顕微鏡で観察したところ、本質的に被覆前の
多孔平膜と同一の多数の貫通微細孔が保持された形態が
観察された。この多孔平膜に水を接触させたところ、水
は微細孔内に容易に浸透し、透過した。透水速度は13
5リットル/min・m2 ・kgf/cm2 であった。
透水速度を測定した多孔平膜を乾燥し、再び水に接触し
たところ、前記と同様に水は再び多孔膜の微孔内部に容
易に浸透し、透水速度の変化も5%以内であった。ま
た、この操作を10回繰り返したが、水の浸透、透過現
象に変化はなく、透水速度の変化も±5%以内であっ
た。
【0035】(実施例3)実施例1において、変性ナイ
ロンを下記のものとした以外は実施例1と全く同様に行
った。ナイロン66(UBE NYLON 2015
B,商品名:宇部興産(株)製)粉末80g、パラホル
ムアルデヒド100gおよびピリジン300mlを攪拌
機付き1リットルステンレス製オートクレーブに仕込
み、130〜135℃に30分間保った。室温まで冷却
した後、生成物を3リットルの水に注ぎ、流水で洗浄し
乾燥して、かさ高い白色粉末を得た。得られた白色粉末
はナイロン66のアミド基の水素の56%がメチロール
基によって置換されたN−メチロール変性ナイロン66
であった。
【0036】続いて、上記N−メチロール変性ナイロン
66の1重量/容量%メタノール溶液に実施例1のポリ
プロピレン多孔平膜を室温で30秒間浸漬し、ポリプロ
ピレン多孔平膜の貫通微細孔内まで溶液を充分に行き渡
らせた後、室温で2時間風乾した。
【0037】こうして得られた多孔膜の表面及び断面を
走査型電子顕微鏡で観察したところ、本質的に被覆前の
多孔平膜と同一の多数の貫通微細孔が保持された形態が
観察された。この多孔平膜に水を接触させたところ、水
は微細孔内に容易に浸透し、透過した。透水速度は15
1リットル/min・m2 ・kgf/cm2 であった。
透水速度を測定した多孔平膜を乾燥し、再び水に接触し
たところ、前記と同様に水は再び多孔膜の微孔内部に容
易に浸透し、透水速度の変化も5%以内であった。ま
た、この操作を10回繰り返したが、水の浸透、透過現
象に変化はなく、透水速度の変化も±5%以内であっ
た。
【0038】(実施例4)実施例1において、変性ナイ
ロンを下記のものとした以外は実施例1と全く同様に行
った。ナイロン66(UBE NYLON 2015
B,商品名:宇部興産(株)製)50gを90%ギ酸1
20mlに溶解し、これに0.1gの水酸化ナトリウム
を含むエチルメルカプタン120gとパラホルムアルデ
ヒド60gの混合液を室温で攪拌しながら少しずつ加え
た。1時間後に攪拌を止め、均一層を分液し、これに1
200〜1500mlのアセトンを徐々に加え、さらに
この溶液にアンモニア水を添加した後、水洗、乾燥して
白色粒状物を得た。得られた白色粒状物はナイロン66
のアミド基の水素の28%がエチルチオメチル基によっ
て置換されたN−エチルチオメチル変性ナイロン66で
あった。
【0039】続いて、上記N−エチルチオメチル変性ナ
イロン66の2重量/容量%メタノール溶液に実施例1
のポリプロピレン多孔平膜を室温で1分間浸漬し、ポリ
プロピレン多孔平膜の貫通微細孔内まで溶液を充分に行
き渡らせた後、室温で2時間風乾した。
【0040】こうして得られた多孔膜の表面及び断面を
走査型電子顕微鏡で観察したところ、本質的に被覆前の
多孔平膜と同一の多数の貫通微細孔が保持された形態が
観察された。この多孔平膜に水を接触させたところ、水
は微細孔内に容易に浸透し、透過した。透水速度は12
3リットル/min・m2 ・kgf/cm2 であった。
透水速度を測定した多孔平膜を乾燥し、再び水に接触し
たところ、前記と同様に水は再び多孔膜の微孔内部に容
易に浸透し、透水速度の変化も5%以内であった。ま
た、この操作を10回繰り返したが、水の浸透、透過現
象に変化はなく、透水速度の変化も±5%以内であっ
た。
【0041】(実施例5)実施例1において、N−アル
コキシメチル変性ナイロンの溶液としてLuckami
de 5003(N−メトキシメチル変性ナイロン6、
商品名:大日本インキ工業(株)製)2重量/容量%メ
タノール溶液を用いた以外は実施例1と同様に操作し
た。
【0042】こうして得られた多孔膜の表面及び断面を
走査型電子顕微鏡で観察したところ、本質的に被覆前の
多孔平膜と同一の多数の貫通微細孔が保持された形態が
観察された。この多孔平膜に水を接触させたところ、水
は微細孔内に容易に浸透し、透過した。透水速度は16
4リットル/min・m2 ・kgf/cm2 であった。
透水速度を測定した多孔平膜を乾燥し、再び水に接触し
たところ、前記と同様に水は再び多孔膜の微孔内部に容
易に浸透し、透水速度の変化も5%以内であった。ま
た、この操作を10回繰り返したが、水の浸透、透過現
象に変化はなく、透水速度の変化も±5%以内であっ
た。
【0043】(実施例6)ポリプロピレン(UBE−P
P−J109K,商品名:宇部興産(株)製,MFI=
9g/10min)を外径33mm、内径27mmの気
体供給管を備えた中空糸製造用ノズルを使用し、紡糸温
度200℃、引取速度116m/minの条件で紡糸し
た。得られたポリプロピレン中空糸を145℃の加熱空
気槽で6分間加熱処理し、次いで液体窒素(−195.
8℃)中で初期長さに対し20%延伸し、延伸状態を保
ったまま145℃の加熱空気槽内で2分間加熱処理を行
った。
【0044】この中空糸を140℃の空気雰囲気で40
0%熱延伸を行った後、延伸状態を保ったまま145℃
の加熱空気槽内で15分間加熱処理を行い、ポリプロピ
レン多孔中空糸膜を製造した。得られたポリプロピレン
多孔中空糸膜の平均孔径は0.41μmであり、空孔率
は76.5%であった。このポリプロピレン多孔中空糸
膜の膜表面及び膜断面を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ、膜表面には該膜の延伸方向に対しほぼ平行かつ等
間隔に微小フィブリル群が形成され、該フィブリル及び
フィブリル間の空隙は膜断面方向へ二次元に広がり、多
数の貫通微細透孔を形成していることがわかった。
【0045】次に、上記ポリプロピレン多孔中空糸膜を
実施例1で使用したN−メトキシメチル変性ナイロン6
の2重量/容量%のメタノール溶液に室温で1分間浸漬
し、ポリプロピレン多孔平膜の貫通微細孔内まで溶液を
充分に行き渡らせた後、室温で2時間風乾した。こうし
て得られた多孔膜の表面及び断面を走査型電子顕微鏡で
観察したところ、本質的に被覆前の多孔中空糸膜と同一
の多数の貫通微細孔が保持された形態が観察された。
【0046】この多孔平膜に水を接触させたところ、水
は微孔内に容易に浸透し、透過した。透水速度は172
リットル/min・m2 ・kgf/cm2 であった。透
水速度を測定した多孔中空糸膜を乾燥し、再び水と接触
したところ、前記と同様に水は再び多孔膜の微孔内部に
用意に浸透し、透水速度の変化も5%以内であった。ま
た、この操作を10回繰り返したが、水の浸透、透過現
象に変化はなく、透水速度の変化も±5%以内であっ
た。
【0047】(比較例1)実施例1から5に記載のポリ
プロピレン多孔平膜をエタノール等で前処理することな
く水と接触させたところ、多孔平膜は水をはじき、水は
多孔平膜の表面で半球状を呈した。水圧2kgf/cm
2 で水の透過を試みたが透水速度は0リットル/min
・m2 ・kgf/cm2 であった。
【0048】(比較例2)実施例6に記載のポリプロピ
レン多孔中空糸膜をエタノール等で前処理することなく
水と接触させたところ、多孔平膜は水をはじき、水は多
孔平膜の表面で半球状を呈した。水圧2kgf/cm2
で水の透過を試みたが透水速度は0リットル/min・
2 ・kgf/cm2 であった。
【0049】(比較例3)実施例1から5に記載のポリ
プロピレン多孔平膜をポリ−N−ビニルピロリドン(平
均分子量10000)の2重量/容量%のメタノール溶
液に室温で30秒間浸漬し、ポリプロピレン多孔平膜の
貫通微細孔内まで溶液を充分に行き渡らせた後、室温で
2時間風乾した。こうして得られた多孔膜の表面及び断
面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、本質的に被覆
前の多孔中空糸膜と同一の多数の貫通微細孔が保持され
た形態が観察された。
【0050】この多孔平膜に水を接触させたところ、水
は微孔内に容易に浸透し、透過した。透水速度は122
リットル/min・m2 ・kgf/cm2 であった。透
水速度を測定した多孔平膜を乾燥し、再び水と接触させ
たところ、多孔平膜は水をはじき、水は多孔平膜の表面
で半球状を呈した。水圧2kgf/cm2 で水の透過を
試みたが透水速度は0リットル/min・m2 ・kgf
/cm2 であった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の貫通微細孔を有する疎水性高分子
    多孔膜の表面が水不溶性のN−メチル、N−アルコキシ
    メチルおよびN−アルキルチオメチル変性ナイロンより
    選ばれた変性ナイロンによって被覆されていることを特
    徴とする多孔膜。
  2. 【請求項2】 多数の貫通微細孔を有する疎水性高分子
    多孔膜を作成し、該疎水性膜を水不溶性変性ナイロンの
    溶液と接触させ、しかるのち加熱および/あるいは該変
    性ナイロンが不溶でかつ該溶液を形成している溶媒が可
    溶な液体と接触することを特徴とする特許請求の範囲第
    1項に記載の多孔膜の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102397756A (zh) * 2010-09-08 2012-04-04 天津工业大学 一种疏水性分离膜处理方法
CN115672288A (zh) * 2022-10-12 2023-02-03 浙大宁波理工学院 一种选择性分离大气中二价汞和零价汞的改性尼龙膜及其制备方法

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CN102397756A (zh) * 2010-09-08 2012-04-04 天津工业大学 一种疏水性分离膜处理方法
CN115672288A (zh) * 2022-10-12 2023-02-03 浙大宁波理工学院 一种选择性分离大气中二价汞和零价汞的改性尼龙膜及其制备方法
CN115672288B (zh) * 2022-10-12 2024-01-23 浙大宁波理工学院 一种选择性分离大气中二价汞和零价汞的改性尼龙膜及其制备方法

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