JPH0629670Y2 - 直流アーク電気炉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は直流アーク電気炉の上電極の設置位置に関する
ものである。

［従来技術］ 上電極と炉底電極をもつ直流アーク電気炉は３相アーク
電気炉にたいして次のような優れた利点をもっている。

(a)均等溶解のため、電力原単位及び耐火物損耗が低減
される。

(b)電極原単位が低減される。

(c)騒音が低い。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら上電極と電源をつなぐ電流回路には、上電
極の上下の位置制御のためフレキシブルな部分が必要
で、通常、電気炉の近くでＵ字状に懸吊されている。こ
の懸吊された前記給電ケーブル及びその他電流回路によ
る磁界の影響が、炉内のアークに及ぼされ、アークが傾
くことを本考案者が知見した。

このアークの傾きにより、炉内の熱負荷が不均一になる
ので、操業時間の延長に伴う電力原単位の増加と能率の
低下、または炉内耐火物の不均一な損耗による耐火物原
単位の増加により、生産コストの増大を招くことにな
る。

本考案はかかる事情に鑑みてなされたもので、アークの
傾きによる炉内熱負荷の不均一が解消される直流アーク
電気炉を提供しようとするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案による直流アーク電気炉は、陽極または陰極の極
性をもつ炉底電極と、これと反対極性の上電極とを有す
る直流アーク電気炉において、給電回路に流れる電極の
磁界により惹起されるアークの傾きに対して、これと反
対方向側に前記上電極を炉心に対し偏心させて設けたこ
とを特徴とする。

［作用］ 前述の通り、一般的には、アークの傾きは給電ケーブル
と反対方向になるので、炉内のこの方向の側にアークが
多く発生し、また熱負荷が大きくなって不均一な炉況に
なる。従って、上電極の位置を、アークの傾きの程度に
応じて、給電ケーブルの方向にずらせることによって前
記不均一を解消することができる。

［考案の実施例］ 添付の図面を参照しながら本考案の一実施例について詳
細に説明する。第１図は本考案の一実施例を示す略図で
ある。外部の高圧交流電源の電圧を下げるトランス７
と、トランス７で降圧された交流を整流するサイリスタ
５と、リップルを低減させる直流リアクトル６が設けら
れている。また、溶湯１１が保持された直流アーク電気
炉１０の炉底には炉底電極２、電気炉の上部には上電極
１が配置され、前記上電極からサイリスタ５の間は電力
線で結ばれ、その間に上電極１の昇降が出来るように、
フレキシブルな給電ケーブル４が懸吊されている。この
図に示した矢印は直流電流の流れる方向である。また、
上電極１は、図示されているように、炉心に対して偏心
させて配置され、炉心から給電ケーブル４の側、即ち、
給電ケーブル４に流れる電流の磁界によって惹起される
アーク３の傾きに対し反対方向の側（この図における右
側）にずらして設けられている。

以上のように構成された直流アーク電気炉１０の作用に
ついて説明する。トランス７及び整流装置５により所定
の電圧で直流にされた電流は、直流リアクトル６を経て
炉底電極２から溶湯１１、アーク３、上電極１および給
電ケーブル４を図の矢印のように流れる。電気炉に近い
給電回路に流れる電流の磁界が、電気炉内のアーク３に
作用して、これを給電ケーブル４の反対側に傾ける。

前述の通り上電極１が、給電ケーブル４に流れる電流の
磁界によって惹起されるアーク３の傾きと反対方向の側
に、炉心に対し偏心させて設けられているので、 アークの傾きによる問題点、即ち炉内の電流分布の偏
り、または炉内の熱負荷の不均一が解消される。

［考案の効果］ 本考案によれば、上電極が、給電ケーブルに流れる電流
の磁界によって惹起されるアークの傾きに対して反対方
向の側に、炉心に対し偏心させて設けられているので、
アークの傾きによる炉内の熱負荷の不均一が解消され、
操業コストが低減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す図である。 １…上電極、２…炉底電極、３…アーク、 ４…給電ケーブル、５…整流装置、 ６…直流リアクトル、７…トランス、 １０…直流アーク電気炉、１１…溶湯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】陽極または陰極の極性をもつ炉底電極と、
   これと反対極性の上電極とを有する直流アーク電気炉に
   おいて、給電ケーブルに流れる電流の磁界により惹起さ
   れるアークの傾きに対して、これと反対方向側に前記上
   電極を炉心に対し偏心させて設けたことを特徴とする直
   流アーク電気炉。