JP3533552B2 - 直流アーク炉 - Google Patents

直流アーク炉

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JP3533552B2 JP12924297A JP12924297A JP3533552B2 JP 3533552 B2 JP3533552 B2 JP 3533552B2 JP 12924297 A JP12924297 A JP 12924297A JP 12924297 A JP12924297 A JP 12924297A JP 3533552 B2 JP3533552 B2 JP 3533552B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄スクラップや直
接還元鉄等の鉄源を溶解する2本の上部電極を有する直
流アーク炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄スクラップや直接還元鉄等を溶解する
製鋼用アーク炉において、電源のフリッカ障害が少な
く、電極原単位の少ない直流アーク炉の設置が進んでい
る。そして、生産性向上のため、大型化及び大電力化が
進み、生産能力が200トン/時以上の直流アーク炉も
稼働している。直流アーク炉は、黒鉛製の1本の上部電
極を炉の中心に設けて同心円状の溶解を行なう炉が主体
であり、この場合、炉の大型化及び大電力化に伴い負荷
電流を増大する必要があるが、上部電極の許容電流制限
により大型化の上限が決まっていた。又、過大な電流を
黒鉛製上部電極に流した場合には、上部電極の割れや折
損等の異常消耗が増加し、直流アーク炉の長所である電
極原単位の低減効果が得られないという問題も生じた。
【0003】そこで、大型の直流アーク炉において、複
数本の上部電極を有する炉が提案され、例えば、特開平
6−300467号公報には、図4の平面図に示すよう
に、炉本体1内を昇降する黒鉛製の2本の上部電極4、
5を有する直流アーク炉が開示されている。ところで、
直流アーク炉の場合、一般に、炉本体1の底部に設けた
炉底電極3を陽極、上部電極4、5を陰極とするので、
上部電極4、5を流れる電流は炉底側から上向き方向に
流れ、この電流により上部電極4、5の周囲に、電流方
向に対して右回りの水平磁場21(磁力線の方向が水平
方向の磁場)が形成される。そのため、上部電極4、5
と炉底電極3との間に発生するアーク19には、他方の
上部電極4、5の周囲に形成される水平磁場21によ
り、フレミングの左手の法則に従って電磁力(吸引力)
が作用する。その結果、アーク19は互いに他方の上部
電極4、5の方向に偏向することになる。
【0004】このため、アーク19による強大な熱負荷
が互いに他方の上部電極4、5に加わり、上部電極4、
5の消耗が過大となる。又、加熱源であるアーク熱が2
本の上部電極4、5の間に集中するため、2本の上部電
極の間のみが溶解域20となって広範囲の溶解を行なう
ことができず、溶解効率が低下すると共に、炉蓋への熱
負荷が増大して設備トラブルを招くことも多々あった。
【0005】更に、電極に給電するための給電導体に流
れる電流が水平磁場を作り、この磁場もアークに作用す
る場合には、この水平磁場による電磁力により2つのア
ークは同一方向に偏向されるため、不均一溶解のみなら
ず、アークの偏向方向の炉壁の損傷等の問題も発生する
ことになる。
【0006】又、特開平1−167571号公報には、
3相交流アーク炉と同様に、3本の上部電極を有する直
流アーク炉が開示されている。しかし、上部電極を3本
とした場合には、黒鉛製の上部電極の表面積が大きくな
るので、酸化消耗が増加して電極原単位の低減効果が得
られないばかりか、アークが上部電極による相互の電磁
力により炉の中心に向かうため、強力な熱負荷を炉蓋に
与えてしまい、2本の上部電極の場合より、更に設備の
損傷やトラブルにつながることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、炉の大型
化及び大電力化と共に提案されてきた複数本の上部電極
を有する従来の直流アーク炉は、水平磁場によりアーク
が偏向するため、直流炉の特徴である電極原単位の低減
を達成できないばかりか、設備の損傷や溶解効率の低下
を招き、直流アーク炉の効果を十分に発揮しているとは
言いがたく、改善の余地が大きいのが現状である。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、2本の上部電極を有する
大型直流アーク炉において、アークの偏向方向を制御し
て局所溶解を防止し、電極原単位を低減すると共に、設
備の損傷がなく、且つ、溶解効率の良い直流アーク炉を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明による直流ア
ーク炉は、炉本体と、炉本体の底部に設けた炉底電極
と、炉本体内を昇降する2本の上部電極と、上部電極に
接続する上部給電導体と、炉底電極に接続する下部給電
導体と、上部給電導体及び下部給電導体の端間に接続す
る直流電源とを備え、上部電極と炉底電極との間でアー
クを発生させる直流アーク炉において、前記下部給電導
体は水平方向に周回するコイル形状をしており、炉底電
極及び上部電極にアークを発生させるための電流を供給
することで、前記下部給電導体は、アーク発生位置に
アークの偏向方向を他方の上部電極の方向から外すよう
に作用する鉛直磁場を形成することを特徴とするもので
ある。
【0010】図1(a)は、炉底電極を陽極とし、陰極
として2本の上部電極を有する直流アーク炉において、
上部電極に発生するアークの偏向方向を概略的に示した
正面図であり、図中、4、5は上部電極、18は溶湯、
19はアーク、21は水平磁場、Iは上部電極4、5を
流れる電流、Fhは水平磁場21によりアーク19に作
用する電磁力である。図1(a)に示すように、上部電
極4と溶湯18とで発生するアーク19には、他方の上
部電極5を炉底側から上向きに流れる電流Iが形成する
水平磁場21により、フレミングの左手の法則に従っ
て、アーク19を他方の上部電極5の方向に向ける電磁
力Fhが作用する。同様に、上部電極5と溶湯18とで
発生するアーク19にも、他方の上部電極4の方向に向
ける電磁力Fhが作用するので、アーク19は互いに他
方の上部電極4、5の方向に偏向する。即ち、2つのア
ーク19、19には相互に吸引力が作用し、アーク1
9、19は互いに近寄る方向に偏向する。
【0011】本発明では、鉛直磁場(磁力線の方向が鉛
直方向の磁場)を形成する磁場発生装置を炉本体の下方
に設け、この鉛直磁場を上記の水平磁場と共に、両方の
アークに印加する。図1(b)は、磁場発生装置を水平
方向に周回するコイル形状とし、水平磁場と、炉底側か
ら上方に向かう鉛直磁場とが印加された時のアークの偏
向方向を概略的に示した平面図であり、図中、8はコイ
ル形状の磁場発生装置、19aは水平磁場のみ作用した
時のアークの偏向方向、iは磁場発生装置8のコイルに
流れる電流とその方向、Fvは鉛直磁場によりアーク1
9に作用する電磁力、θは偏向角度であり、図1(a)
と同じものは説明を省略する。図1(b)に示すよう
に、炉底側から上方に向かう鉛直磁場がアーク19に印
加されると、アーク19にはアーク19を旋回させる電
磁力Fvが作用する。尚、この旋回方向は、図1(b)
の場合には、磁場発生装置8のコイルに流れる電流iと
同一方向となる。図1(b)では磁場発生装置8のコイ
ルに流れる電流iは、炉の上方から見た場合、反時計廻
りであるので、反時計廻りにアーク19を旋回させる電
磁力Fvが作用し、アーク19は他方の上部電極4、5
に対してそれぞれ左側へ、偏向角度θだけ偏向し、最終
的には、水平磁場21による電磁力Fhと鉛直磁場によ
る電磁力Fvとが平衡する方向に偏向する。
【0012】アーク発生位置での水平磁場強度をBh、
又、アーク発生位置での鉛直磁場強度をBvとして、水
平磁場強度(Bh)と鉛直磁場強度(Bv)と上部電極
に流れる電流(I)とから、水平磁場によりアークを偏
向させる電磁力(Fh)及び鉛直磁場によりアークを旋
回させる電磁力(Fv)を求める。アークの発生状況を
上部電極先端の片減り角度の調査から判断すると、アー
クは上部電極軸心に対して約20〜30度の角度を持っ
て発生しているので、各々の単位長さ当たりの電磁力
は、以下の(1)式、及び(2)式で表される。 Fh=(I×cos20°)×Bh ……(1) Fv=(I×sin20°)×Bv ……(2)
【0013】又、アークの他方の上部電極方向からの偏
向角度(θ)は、(3)式で表される。 sinθ=Fv/Fh ≒0.36×(Bv/Bh) ……(3)
【0014】即ち、アーク発生位置における鉛直磁場強
度(Bv)を大きくすればする程、アークの偏向角度
(θ)は大きくなり、例えば、アーク発生位置における
鉛直磁場強度(Bv)を水平磁場強度(Bh)と同一と
すれば、偏向角度(θ)は約20度となる。更に、鉛直
磁場強度(Bv)を水平磁場強度(Bh)以上とすれ
ば、それに応じて偏向角度(θ)は20度以上になる。
【0015】このように、本発明ではアークを他方の上
部電極の方向から偏向させることができるため、上部電
極への直接的な熱影響が防止されて電極原単位が低減
し、又、2つのアークが離れる方向に偏向されるので、
溶解域が広がり局所溶解が防止されて溶解効率が向上す
る。
【0016】本発明においては、磁場発生装置として、
水平方向に周回するコイル形状とし下部給電導体を利
用する
【0017】炉底電極への下部給電導体の一部を、炉底
を水平方向に周回するコイル形状として炉本体下方に配
置した後、炉底電極に接続させる。そして、上部電極と
炉底電極との間に加熱・溶解用の直流電流を流すと、下
部給電導体のコイル形状部において、強力な鉛直方向の
磁場が形成されるので、下部給電導体が磁場発生装置を
兼用することができる。この場合には、専用の磁場発生
装置を配置する必要もなく、又、磁場発生装置の電源も
併用することができるので、設備費を軽減することがで
きる。
【0018】第の発明による直流アーク炉は、第1の
発明による直流アーク炉において、前記下部給電導体
、アーク発生位置において水平磁場強度より大きい
磁場強度の鉛直磁場を形成することを特徴とするもので
ある。
【0019】アーク発生位置での鉛直磁場強度を水平磁
場強度より大きくすれば、アークの偏向角度(θ)は常
に20度以上となり、上部電極への直接的な熱影響が防
止されて電極原単位が低減する。又、2つのアークが離
れる方向に偏向されるので、溶解域が広がり局所溶解が
防止されて溶解効率が向上する。
【0020】第の発明による直流アーク炉は、第1の
発明又は第2の発明による直流アーク炉において、前記
炉本体、炉本体の中心を通る直線上に出鋼口と作業口
とを有し、2本の上部電極の間隔炉本体内径の1/4
〜1/2で、且つ、2本の上部電極の中心を結ぶ直線
出鋼口と作業口とを結ぶ炉の中心線に対して45度以上
90度未満傾斜していると共に、出鋼口に近い上部電極
のアーク作業口方向に偏向し、作業口に近い上部電極
のアーク出鋼口方向に偏向するように前記下部給電導
を配置したことを特徴とするものである。
【0021】2本の上部電極の間隔が炉本体内径の1/
4未満では、間隔が狭過ぎるために、広域溶解ができな
いと同時に、アークを偏向させても他方の上部電極への
熱影響が発生して、電極原単位の改善効果が少ない。
又、2本の上部電極の間隔が炉本体内径の1/2を超え
ると、炉壁に電極が近くなり、片方の上部電極にのみ通
電した場合には、炉壁への熱負荷が過大となって、炉壁
の損傷が発生する。
【0022】2本の上部電極の中心を結ぶ直線が出鋼口
と作業口とを結ぶ炉の中心線に対して45度未満では、
作業口と作業口に近い上部電極との距離が短くなるた
め、操業中に作業口から炉本体内に吹き込む昇温用又は
脱炭用酸素によって、作業口に近い上部電極が酸化され
易くなり、電極原単位の増大を招き、好ましくない。尚
本発明では、2本の上部電極の中心を結ぶ直線が炉の中
心線となす角度は、小さい方の角度即ち鋭角の方の角度
で示したものである。又、90度の場合には、電源と上
部給電導体との配置が複雑となるので、好ましくない。
【0023】そして、出鋼口に近い上部電極のアークを
作業口方向に偏向させ、又、作業口に近い上部電極のア
ークが出鋼口方向に偏向させるので、溶解域が広くな
り、溶解効率が向上する。
【0024】第の発明による直流アーク炉は、第1の
発明ないし第の発明の何れか1つの発明による直流ア
ーク炉において、前記直流電源を2系列配置し、2本の
上部電極に流れる電流を個別に制御可能としたことを特
徴とするものである。
【0025】直流電源を2系列配置し、2本の上部電極
に流れる電流を個別に制御可能としているので、一方の
上部電極のみの電流を変更して、2本の上部電極に流れ
る電流値に差をつけることができる。すると、例えば一
方の上部電極の電流を低減すれば、その上部電極が形成
する水平磁場が弱くなるので、鉛直磁場による電磁力の
割合が増加し、偏向角度(θ)が大きくなる。これによ
りアークの偏向角度を任意に制御できると共に、更に広
範囲の溶解域を形成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明を図面に基づき説明する。
図2は、本発明の1つの実施の形態である直流アーク炉
の正面断面の概略図であり、図3は、炉体部の平面断面
の概略図である。
【0027】図において、平面形状が長円状の炉本体1
は、底部に炉底電極3、長円の先端部に出鋼口15、出
鋼口15と炉本体1の中心とを通る中心線p上で且つ出
鋼口15の反対側に作業口16を備えている。炉本体1
の上部開口部には炉蓋2が配置され、この炉蓋2を貫通
して上部電極4、5が設けられている。上部電極4、5
の水平方向の位置関係は、炉本体1の中心に対して、上
部電極4が作業口16側に、又、上部電極5が出鋼口側
15にずらして配置されている。その際に、出鋼口15
と作業口16とを結ぶ炉本体1の中心線pに対して、上
部電極4の中心と上部電極5の中心とを結ぶ直線がなす
角度ψを45度以上90度未満とし、更に、上部電極4
と上部電極5の間隔が、炉本体1の内径の1/4〜1/
2とすることが好ましい。そして、上部電極4、5は、
電極支腕13、13aの先端に設けた電極クランプ1
4、14aを介して電極支腕13、13aに支持され、
電極支腕13、13aの他端は昇降装置12、12aに
連結されており、こうして、上部電極4、5は昇降装置
12、12aにて炉本体1内へ独立して昇降される。電
極クランプ14、14aには、他端を直流電源6、7の
陰極に接続された上部給電導体10、11が接続され、
又、炉底電極3には、他端を直流電源6、7の陽極に接
続された下部給電導体9が接続されて電源回路が形成さ
れる。この下部給電導体9を、炉本体1の底部におい
て、水平方向に炉底電極3の周囲を周回するコイル形状
として配置した後、炉底電極3に接続した。こうして、
コイル形状の下部給電導体9を、鉛直磁場を発生する磁
場発生装置8として機能させた。尚、磁場発生装置8の
コイルに流れる電流iは、炉の上方から見た場合、反時
計廻りとなる。
【0028】直流アーク炉の溶解・精錬は、炉蓋2を外
して鉄スクラップ17を炉本体1内に装入し、直流電源
6、7より給電しつつ、上部電極4、5を昇降させて上
部電極4、5と炉底電極3及び鉄スクラップ17との間
でアーク19を発生させる。このアーク熱により鉄スク
ラップ17を溶解し、溶湯18を生成させる。溶湯18
の生成後は、上部電極4、5と溶湯18との間でアーク
19を発生させ、溶解を継続する。
【0029】鉄スクラップ17の溶解用直流電流iが流
れると、磁場発生装置8では鉛直磁場22が、又、上部
電極4、5の周囲には水平磁場21が形成される。尚、
水平磁場21及び鉛直磁場22の矢印は、磁力線の方向
であり、本実施の形態では、水平磁場21は炉本体1を
上から見た場合に反時計廻りに、鉛直磁場22は磁場発
生装置8のコイル内を炉底側から上方に抜けるように形
成される。この鉛直磁場22による電磁力で、上部電極
5に発生するアーク19は、上部電極4と結ぶ直線に対
して、炉本体1を上から見た場合に反時計廻りに偏向角
度(θ)だけずれて発生する。同様に上部電極4に発生
アーク19も反時計廻りに偏向角度(θ)だけずれて発
生する。このように、出鋼口15側の上部電極5のアー
ク19の偏向方向は作業口16方向に、又、作業口16
側の上部電極4のアーク19の偏向方向は出鋼口15方
向になるので、アーク19が互いに他方の上部電極4、
5に直接的な熱影響を与えることがなく、又、広い溶解
域20を形成することができる。
【0030】偏向角度(θ)が小さいと、他方の上部電
極4、5への熱影響が防止できないと共に溶解域20が
狭くなるので、アーク発生位置における鉛直磁場強度を
アーク発生位置における水平磁場強度より大きくして、
偏向角度(θ)を20度以上とすることが望ましい。
又、逆に偏向角度(θ)が大き過ぎると、アーク19が
炉本体1の炉壁に向かい、炉壁の溶損が発生するので、
偏向角度(θ)は90度以下とすることが望ましい。偏
向角度(θ)は、前述の(3)式に示したように、アー
ク19発生位置における鉛直磁場強度と水平磁場強度の
比で決まるので、最適範囲の偏向角度(θ)を得るため
に、常用の溶解電流値による水平磁場強度を算出し、こ
の水平磁場強度に対して必要な鉛直磁場強度を求め、磁
場発生装置8のコイルの周回数、即ち鉛直磁場強度を決
めることができる。又、電源6、7を個別に備えている
ので、各々の上部電極4、5に流れる電流値を個別に制
御することで、偏向角度(θ)を任意に制御可能とな
り、操業中に適宜溶解域20の面積を制御することがで
きる。
【0031】尚、本発明は上記に限るものではなく、例
えば、磁場発生装置8のコイルの周回方向を逆にして
も、アークの偏向角度(θ)が、炉本体1を上から見た
場合に時計廻りになるのみで、上記と同一の効果を得る
ことができ、又、出鋼口15と作業口16との位置関係
は、炉本体1の中心に対して90度の位置であっても、
本発明に全く支障とならない。更に、直流電源は1つで
も良く、又、コイル形状の下部給電導体9に代わり専用
の磁場発生装置8を配置すれば、鉛直磁場強度を溶解速
度を保持したまま任意に変更することができるので、ア
ーク19の偏向制御がより容易となるが、この場合設備
費は増加する。
【0032】
【実施例】図2及び図3に示す直流アークにおける実施
例を以下に説明する。
【0033】炉本体の内径は7.2mで、150トン容
量である。直径24インチの黒鉛製上部電極を2.5m
の距離を離し、そして、一方の上部電極を炉本体の中心
から作業口側に0.7mずらし、又、他方の上部電極を
炉本体の中心から出鋼口側に0.7mずらして配置し
た。この場合、2つの上部電極の中心を結ぶ直線と、炉
本体の中心線とがなす角度ψは約56度である。この上
部電極には個別の直流電源から各々最大70kAの電流
が供給される。一方、炉本体底部には直径3mの炉底電
極を設け、そして、下部給電導体は、2つの直流電源に
共通となっており、炉底電極の周囲を1周半するコイル
形状とした後、炉底電極に接続されている。2つの直流
電源に共通としたので、下部給電導体には最大140k
Aの電流が流れる。
【0034】この結果、アーク発生位置における水平磁
場強度は約80ガウス、鉛直磁場強度は150ガウスと
なり、溶解後の上部電極先端の片減り方向の調査及び溶
解途中の炉内観察から、アークは、偏向角度(θ)を反
時計方向に約45度として偏向したことが分かった。
又、他方の上部電極の電流値を半分にすると、アークは
更に旋回して、偏向角度は約60度となり、溶解域が広
がった。
【0035】アークの方向が他方の上部電極の方向から
外れているので、アーク熱による他方の上部電極への損
傷や消耗はなく、電極原単位は1本の上部電極の場合に
推定される純消耗に対して1割程度の増加にとどまっ
た。仮に、1本の上部電極で140kAを流した場合に
は、上部電極先端の欠落や割れ等の異常消耗により、は
るかに悪い電極原単位になるが、良好な電極原単位を維
持できた。
【0036】又、アークが相互に炉本体の中心からずれ
て外側を向き、作業口に近い上部電極のアークが出鋼口
までを溶解し、出鋼口に近い上部電極のアークが作業口
側までを溶解することにより、同心円に近い広範囲な溶
解が実現できた。そして、炉蓋への熱負荷も全く問題と
ならなかった。更に、アークからの距離が離れているた
めに炉壁への熱負荷も軽く、炉壁が損傷を受けることは
なかった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、アークの偏向方向を他
方の上部電極の方向から外すことが可能となり、アーク
の過大な熱負荷を他方の上部電極に直接かけることを防
止できるので、黒鉛製上部電極の酸化消耗や異常消耗が
少なくなり、良好な電極原単位を得ることができる。
又、アーク熱を広範囲に広げることができるので、同心
円に近い広範囲な溶解域が実現でき、熱損失が少ない効
率の良い溶解が可能となる。そして、同時にアーク熱を
分散させたことにより、炉蓋や炉壁への熱負荷が低減
し、設備の損傷等のトラブルも防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁場によるアークの偏向方向を概略的に示した
図であり、(a)は水平磁場による偏向方向を示す正面
図、(b)は水平磁場と鉛直磁場とによる偏向方向を示
す平面図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態である直流アーク炉
の正面断面の概略図である。
【図3】本発明の1つの実施の形態である直流アーク炉
の炉体部の平面断面の概略図である。
【図4】従来の2本の上部電極を有する直流アーク炉に
おけるアークの偏向方向と溶解域とを概略的に示した平
面図である。
【符号の説明】
1 炉本体 2 炉蓋 3 炉底電極 4 上部電極 5 上部電極 6 直流電源 7 直流電源 8 磁場発生装置 9 下部給電導体 10 上部給電導体 11 上部給電導体 12 昇降装置 13 電極支腕 14 電極クランプ 15 出鋼口 16 作業口 17 鉄スクラップ 18 溶湯 19 アーク 20 溶解域 21 水平磁場 22 鉛直磁場
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−42850(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F27D 11/08 F27B 3/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉本体と、炉本体の底部に設けた炉底電
    極と、炉本体内を昇降する2本の上部電極と、上部電極
    に接続する上部給電導体と、炉底電極に接続する下部給
    電導体と、上部給電導体及び下部給電導体の端間に接続
    する直流電源とを備え、上部電極と炉底電極との間でア
    ークを発生させる直流アーク炉において、前記下部給電
    導体は水平方向に周回するコイル形状をしており、炉底
    電極及び上部電極にアークを発生させるための電流を供
    給することで、前記下部給電導体は、アーク発生位置
    、アークの偏向方向を他方の上部電極の方向から外す
    ように作用する鉛直磁場を形成することを特徴とする直
    流アーク炉。
  2. 【請求項2】 前記下部給電導体は、アーク発生位置に
    おいて、水平磁場強度より大きい磁場強度の鉛直磁場を
    形成することを特徴とする請求項1に記載の直流アーク
    炉。
  3. 【請求項3】 前記炉本体は、炉本体の中心を通る直線
    上に出鋼口と作業口とを有し、2本の上部電極の間隔は
    炉本体内径の1/4〜1/2で、且つ、2本の上部電極
    の中心を結ぶ直線は出鋼口と作業口とを結ぶ炉の中心線
    に対して45度以上90度未満傾斜していると共に、出
    鋼口に近い上部電極のアークは作業口方向に偏向し、作
    業口に近い上部電極のアークは出鋼口方向に偏向するよ
    うに前記下部給電導体を配置したことを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載の直流アーク炉。
  4. 【請求項4】 前記直流電源を2系列配置し、2本の上
    部電極に流れる電流を個別に制御可能としたことを特徴
    とする請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の直
    流アーク炉。
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