JPH0629451B2 - 溶鋼のア−ク加熱とCa処理の連続操業方法 - Google Patents

溶鋼のア−ク加熱とCa処理の連続操業方法

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JPH0629451B2
JPH0629451B2 JP15202586A JP15202586A JPH0629451B2 JP H0629451 B2 JPH0629451 B2 JP H0629451B2 JP 15202586 A JP15202586 A JP 15202586A JP 15202586 A JP15202586 A JP 15202586A JP H0629451 B2 JPH0629451 B2 JP H0629451B2
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行雄 片桐
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は溶鋼のアーク加熱とCa処理の連続操業方法に
関し、詳細には溶鋼をアーク加熱してからCa処理をす
るまでの間に、操業上の時間的損失や溶鋼の温度降下を
極力抑制する様にした溶鋼のアーク加熱とCa処理の連
続操業方法に関するものである。
[従来の技術] 溶鋼の連続鋳造は、これまでいわゆるブルーム連鋳を中
心として発展してきており、実施化率は極めて高く、当
初の希望目的にほゞ到達している。その為現在の連鋳技
術者は新しい展開を求めて種々検討を行なっているが、
しょのひとつにビレット連鋳等の小断面サイズの連鋳が
ある。この様な小断面サイズの連続鋳造では、タンディ
ッシュノズルの径も小さくなるので、Si−Alキルド
鋼やAlキルド鋼が主体の条用特殊鋼では非金属介在物
によるノズル閉塞が従来のブルーム連鋳に比べてはるか
に発生し易いものである。タンディッシュノズルがいっ
たん閉塞すると、生産の停止や不良品の発生、更には全
体的な生産計画の狂い等重大な問題に発展する。この様
な閉塞事故が発生する原因については溶鋼脱酸の為に
投入されるAlに基づく脱酸生成物(Al系介在
物)が比較的高融点であること鋳造温度は一般に低温
度であり、この様な低温度条件の下では、上記Al
系介在物が固体状態を呈し、タンディッシュノズル内
面に付着し易いからであると考えられている。
この様なノズル閉塞を防止する手段としては、溶鋼鋳の
Al系介在物を低融点化することが考えられ、低
融点化を目的として溶鋼中へCaを添加する技術が実施
されている。
しかしてこの様なCa処理は、高融点のAl系介
在物を低融点のCaO・Al(カルシウム−アル
ミネート)系介在物に変換することによって連鋳条件下
において融体化し、その結果としてタンディッシュノズ
ル内面へのAl系介在物の付着を防止し、円滑な連続鋳
造を可能にするものである。
更に、Al系介在物は一般に堆積して肥大化し易
く、溶鋼中に巻込まれて鋳片内部に捕捉され鋼質の汚染
を招くので、Ca添加技術は溶鋼の清浄化といった観点
からしても極めて有効な技術である。従ってCa添加は
連鋳製品の大小にかかわりなく行なわれており、本発明
においても連鋳製品の大きさ等について格別の制限を受
けるべきものではない。
Ca添加方法としてはインジェクション法やワイヤフィ
ーダ法等が知られているが、そのうち溶鋼中へのCa歩
留り等を考慮するとワイヤフィーダ法が最も好ましい方
法であると言われている。
第2図は従来のワイヤフィーダ法の概略説明図である。
当該方法は、Ar等の不活性ガス(非酸化性ガス)を取
鍋1の底部から不活性ガス吹込管11及びポーラスプラ
グ12を介して溶鋼8に供給し、溶鋼8を撹拌すると共
に、アンコイラ3に巻回されたCa系ワイヤ4をインジ
ェクタ5によって送給し、ガイドパイプ6を介して溶鋼
8に強制的に添加するものである。そして取鍋1の上方
は上蓋10によって覆われており、当該上蓋10は溶鋼
の温度降下やスプラッシュの飛散等を防止する役目を果
たしている。また前記上蓋10にはCa系ワイヤ4を挿
通する為の挿通孔13が形成されるのは勿論のこと、集
塵設備としてのダクト14が設けられており、当該ダク
ト14によってCaワイヤ4を添加する際に発生する白
煙(酸化による)や塵芥を収集する様にしている。尚図
中9は溶鋼8上に形成されるスラグである。
しかしながら第2図に示した技術では、撹拌の際に溶鋼
8の表面が激しく波うち、ときには溶湯面が上方空間に
直接露出することすらあり得る。その結果、大気やスラ
グから溶鋼8への酸素や窒素等の取込みが頻繁に生じる
といった問題があった。
上述した様な問題を解決する為に、第2図に示した技術
を改良したものとして、例えば特開昭56−87636
号公報には第3図に示す様な技術が提案されている。当
該技術は、取鍋1の上方を上蓋10aによってシールす
る構造とし、該上蓋10aに設けられた不活性ガス吹込
み管16を介して溶鋼8の上方空間18にAr等の不活
性ガスを吹込み、該空間18を非酸化性雰囲気とするも
のである。第3図に示した上蓋10aは前記第2図に示
した上蓋10と同様の効果をも達成し得るものであるが
両者は全く別の観点からなされたものであると言える。
しかしながらいずれにしても、ワイヤフィーダ法の最近
の傾向としては種々の目的で上蓋10,10a等が設け
られるが一般的である。
[発明が解決しようとする問題点] 一方LD転炉で得られた精錬鋼は、溶鋼8を取鍋1へ移
し換える際に、或は次工程に移される間の待機中に、若
干の温度降下を生じるので連鋳に先立って加熱する必要
があるが、溶鋼を加熱する方法としてはアーク電極によ
るアーク加熱が最も一般的である。
第4図は、溶鋼8のアーク加熱状況を示す概略説明図で
ある。これは取鍋1に溶鋼8を収容した後、取鍋1の上
方を保護蓋20によって覆い、溶鋼8を大気から保護し
た状態でアーク電極21によって溶鋼8をアーク加熱す
るものである。その際溶鋼8の上方空間18には、第3
図に示した場合と同様に不活性ガス吹込み管16aを介
してAr等の不活性ガスが吹込まれ、該空間18は非酸
化性雰囲気とされる。また前記保護蓋20には、一般的
に溶鋼測定温用や合金投入用の小孔22が形成されてい
る。
上記の様にして溶鋼8のアーク加熱が完了すると、従来
ではCa系ワイヤ4の添加位置まで取鍋1を移動する必
要であった。即ち前記第2図及び第3図に示した様なア
ンコイラ3やインジェクタ5等の様なCa系ワイヤ添加
設備は、アーク加熱が行なわれる場所とは別の場所に設
けられているのが一般的であった。従って、溶鋼8が収
容された取鍋1をCa系ワイヤ添加設備がある位置に設
置しなおす為には、アーク電極21を引上げると共に保
護蓋20を取外し、取鍋1を所定の位置に移動させた後
にCa添加の為に必要な上蓋10,10a等を装着する
必要があった。この様な一連の作業における時間的損失
は避け難く、時間経過による溶鋼の温度降下、或は一旦
保護蓋を取外すことによって生じる放熱による溶鋼の温
度降下等は決して無視できない。即ち溶鋼8の温度降下
の程度が大きいと、その後行なわれるCa添加の際にそ
の反応機構に少なからず影響を与えまた連鋳の実施その
ものに悪影響を与える。従って従来はこの様な降温を見
越したアーク加熱を行なう必要があり、エネルギー的に
不経済であった。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであっ
て、その目的とするところは、溶鋼にアーク加熱を施し
てからCa処理をするまでの間に、操業上の時間的損失
や溶鋼の温度降下を極力抑制する様にした溶鋼のアーク
加熱とCa処理の連続操業方法を提供する点にある。
[問題点を解決する為の手段] 本発明は、溶鋼を小孔付保護蓋によって大気から保護し
た状態でアーク加熱を行ない、引続いて同一雰囲気下で
アーク電極を抜き出すことなく、前記保護蓋の小孔を介
してCa系ワイヤを挿入してCa処理を行なう点に要旨
を有するものである。
[作用] 本発明は上述の如く構成されるが、要はアーク加熱の際
に必要とされる保護蓋を、Ca添加の際に必要とされる
上蓋と兼用するといった着想のもとでなされたものであ
る。即ちアーク加熱の際に用いられていた保護蓋には測
温用や合金投入用の既設の小孔が形成されているので、
それらの小孔をCa添加用としてそのまま利用すること
によって、溶鋼のアーク加熱に引続いて溶鋼のCa添加
をも連続的に実施し得るものである。このことによって
保護蓋の取外し、取鍋の移動及びCa添加の為の専用蓋
(前記上蓋10,10a)の装着といった時間的損失の
発生を防ぎ、結果的に溶鋼の温度降下といった希望しな
い現象を極力抑制することができるようになる。
[実施例] 第1図は本発明方法の実施状況を示す概略説明図であ
る。前記第4図に関連して述べた様に、転炉から取鍋1
に収容された溶鋼8は、まずアーク電極21によってア
ーク加熱されるのであるが、本発明においてもアーク加
熱状況は第4図に示した場合と何ら変わるものではな
い。そして本発明では第1図に示す様に、アーク加熱し
た後にアーク電極21や保護蓋20を取外すことなく及
び取鍋1を移動することなく、引続き同一雰囲気下でC
a処理を行うものである。即ち前記第4図に示した様に
溶鋼8をアーク加熱した後、そのままの状態で第1図に
示す様にアーク電極を保護蓋から抜き出すことなくガイ
ドパイプ6を小孔22に連結する。そしてアンコイラ3
に巻回されたCa系ワイヤ4をインジェクタ5によって
供給し、ガイドパイプ6及び前記小孔22を介して取鍋
1内の溶鋼8中に強制的に添加する。またアーク加熱の
際には溶鋼8の上方空間は、Ar等の不活性ガスが供給
されることによって非酸化性雰囲気とされるのは上述し
た通りであるが、第1図で示した様に本発明におけるC
a処理の際にもそれらの設備はそのまま利用できる。
上述した構成を採用して溶鋼8のアーク加熱処理及びC
a処理を連続操業することによって、保護蓋の取外し、
取鍋1の移動及びCa処理専用上蓋10,10a(前記
第2図及び第3図参照)の装着の為に従来必要とされて
いた時間的損失が低減でき、それに伴なって溶鋼8の温
度降下といった不本意な現象を極力抑制することのでき
るという効果が得られる。またアーク加熱を行なう設備
が設置されている場所には、集塵設備が備えられている
が一般的であり、本発明ではその集塵設備をCa処理の
ときに利用でき、別途設ける必要がないのでこの様な観
点からも極めて有為義である。
本発明者らは、本発明の効果を確認する為に下記の手順
に従って実験を行なった。
90tLD転炉からの溶鋼8を取鍋1に収容し、第1図
に示した実施状況に従ってアーク加熱及びCa処理を行
ない、その後連続鋳造を行なった。また比較の為、第4
図に示した装置を用いて溶鋼8をアーク加熱した後、取
鍋1を移動して前記第3図に示した状況でCa処理をす
る場合(従来例)についても実験を行なった。
その結果は下記第1表に示すが、第1表中の消費時間
は、アーク加熱終了後からCa処理終了までの所要時間
である。
上記第1表の結果から明らかであるが、酸素や窒素の取
込みはいずれの場合にも認められなかったものの、従来
例では消費時間において移動その他の作業の為に実施例
に比べて2分の余分時間を消費し、この結果溶鋼8の温
度降下に顕著な差となって現われた。
尚本発明方法を実施する為には、第1図に示した様に、
Ca処理の為に必要とされる諸設備をアーク加熱処理の
為の設備付近に移動・設備する必要のあるのは勿論であ
り、また既設の設備をその為に変更する必要があるのは
否めない。しかしながら本発明による効果を考慮した場
合、これらの不利益は本発明の利益によって相殺される
と共に、それ以上の効果を達成することができるもので
ある。
上述の実施例では溶鋼8を撹拌する手段については一切
触れなかったけれども、撹拌手段については何ら限定す
るものではなく、前記第2,3図に示した様な不活性ガ
スによる撹拌を行なってもよいのは勿論のこと、必要に
よっては取鍋1の近傍に図示しない電磁誘導撹拌装置を
設備して溶鋼を撹拌する様にしてもよい。当該装置を用
いて溶鋼8を撹拌することによって、従来技術(前記第
2,3図)に示した様な不活性ガスによる撹拌と比べて
溶鋼8が上方空間18に露出することがなくなり、溶鋼
8への酸素や窒素等の取込みが防げるのでより効果的で
ある。
[発明の効果] 以上述べた如く本発明によれば、既述の構成を採用する
ことにより、操業上の時間的損失や溶鋼の温度降下を極
力抑制することに成功した。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法の実施状況を示す概略説明図、第2
図は従来のワイヤフィーダ法の概略説明図、第3図は改
良型ワイヤフィーダ法の概略説明図、第4図は溶鋼をア
ーク加熱する状態を示す概略説明図である。 1……取鍋、3……アンコイラ 4……Ca系ワイヤ、5……インジェクタ 6……ガイドパイプ、8……溶鋼 9……スラグ、10,10a……上蓋 20……保護蓋、21……アーク電極 22……小孔

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶鋼を小孔付保護蓋によって大気から保護
    した状態でアーク加熱を行ない、引続いて同一雰囲気下
    でアーク電極を抜き出すことなく、前記保護蓋の小孔を
    介してCa系ワイヤを挿入してCa処理を行なうことを
    特徴とする溶鋼のアーク加熱とCa処理の連続操業方
    法。
JP15202586A 1986-06-27 1986-06-27 溶鋼のア−ク加熱とCa処理の連続操業方法 Expired - Lifetime JPH0629451B2 (ja)

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