JPH06293125A - 電着オフセット印刷方法および印刷版 - Google Patents

電着オフセット印刷方法および印刷版

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JPH06293125A
JPH06293125A JP10600293A JP10600293A JPH06293125A JP H06293125 A JPH06293125 A JP H06293125A JP 10600293 A JP10600293 A JP 10600293A JP 10600293 A JP10600293 A JP 10600293A JP H06293125 A JPH06293125 A JP H06293125A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 粘着性を有する非粘調性インキの使用による
印刷版へのインキングおよび被印刷体への転写が可能な
オフセット印刷方法およびそれに使用する印刷版。 【構成】 導電性の表面を有する基板1の上に、電気絶
縁性層を所定のパターンに形成し、この電気絶縁性層か
らなるマスク2部と、電気絶縁性層が設けられていない
非マスク3部とを形成させて印刷版11を形成させる工
程と、電着性の粘着性インキを含む電着浴中で、非マス
ク部の上に粘着性インキを電気化学的に析出させて粘着
性インキ層5を形成する工程と、粘着性インキ層5をオ
フセット用ブランケット6と接触させると共に、ブラン
ケット6の上に転移させる工程と、ブランケット6上に
転移させられた粘着性インキ層5を、被印刷体51面に
接触させると共に、被印刷体51面の上に再転移させる
工程とを有する電着オフセット印刷方法とそれに使用す
る印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粘着インキを電気的にイ
ンキングしてオフセット印刷する方法およびその印刷方
法に使用する印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】現在の印刷業界においてはオフセット印
刷方法が主たる印刷法として用いられている。
【0003】通常のオフセット印刷法は、平版印刷版の
画線部を親油性のインキ受容部とし、非画線部を親水性
の非受容部とした後、湿し水を与えて親水部に水膜を形
成させ、その水膜の作用で画線部のみに選択的にインキ
を付着させ、このインキをブランケットに一旦転写し、
次いで、紙やその他の被印刷体に再転写する方法が一般
的である。
【0004】一方、湿し水を用いない比較的新しい印刷
法として乾式平板オフセット印刷法があり、このもの
は、インキ非受容部に水膜を形成する代わりにシリコー
ン樹脂等からなる撥油性材料によって非画線部を形成し
てあるので、油性インキが付着せず、画線部のみにイン
キングできる原理を利用したオフセット印刷法である。
凹版オフセット印刷法は、前記2つの方法よりもインキ
転移量を多くする目的で用いられるが、湿し水は不要
で、金属板やガラス等の面にエッチングや彫刻で凹部を
形成した凹版を用い、この凹版の凹部にインキを詰め込
み、非画線部の余分なインキをドクターナイフで掻き取
った後、ブランケットを用いてオフセット印刷する印刷
法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記オフセット印刷法
は一般的な印刷法として最も普及している印刷法である
が、電子部品用精密パターン印刷や、耐候性が高くかつ
ピンホールのないレジスト印刷、あるいはインキ膜厚を
制御した薄膜級から厚膜級に至る任意の膜厚の制御、高
精度微細パターンの印刷等には適さないと言われてい
る。
【0006】例えば、平版オフセットでは得られる膜厚
が1μm程度までであり、その膜厚のばらつきも大き
く、さらにピンホールの発生も多い。また、1μm以上
の厚さに印刷する場合は複数回刷り重ねていかなければ
ならず、工程が煩雑になる。また、通常の印刷画線幅の
形成能も70〜80μm幅程度であり、ごく微細な画線
の印刷はできない。
【0007】一方、凹版オフセットでは凹版凹部にイン
キを充填する構造をとるために、平版オフセットよりも
多少インキ膜厚を大きくできる利点があるが、画線形成
能は前記平版オフセットと同等か、あるいはこれ以下で
ある。また、インキ膜厚を大きくするために凹部の深さ
を一定以上深くしてインキ量を増してもブランケットに
転移するインキ量は限度があり大部分のインキは凹版側
に残ってしまう。一般には、印刷可能なインキ膜厚は2
〜3μm程度までで、それ以上の厚膜印刷は困難といえ
る。
【0008】オフセット印刷法により形成された画線
が、印刷版のパターンに比して細線化が難しく、インキ
膜厚の任意性がない原因は、流動性の粘調なインキを用
いていること、およびそれに付随するインキング方法や
印圧その他の印刷技術に基ずくものといえる。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、粘着性を有する非粘調性イン
キの使用による印刷版へのインキングおよび被印刷体へ
の転写が可能なオフセット印刷方法およびそれに使用す
る印刷版を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の概要は、表面導
電性の基板面に電気絶縁性のマスクパターンが形成され
た印刷版の非マスク部に、導電性インキを析出させて、
インキングし、オフセット印刷用ブランケットを接触さ
せてインキを転移させ、次いで被印刷体面に、該インキ
を接触転移させるオフセット印刷である。
【0011】電着性のインキをオフセット印刷法で被印
刷体に転写することは、本願発明者の既出願である特開
平3−150376号公報に「間接的に転写する方法と
しては、例えば、印刷版に析出させた電着物質を、一
旦、オフセット印刷用ブランケットに転写し、次いで、
該ブランケットから所定の被印刷体に再転写する方法が
ある」旨の開示がなされている。しかし、先願では、こ
れ以上の開示はなく、一般印刷の範囲で考えれば、オフ
セット印刷法は、常用手段であり、その流用が可能であ
ることを示唆したにすぎない。実際に、具体的方法で良
好なオフセット印刷を行う場合には、一般オフセット印
刷法とは異なるいくつかの技術的改良を必要とし、その
改良を行うことによって本発明を完成させている。
【0012】発明の根幹となるべき事項は、以下に述べ
るインキの粘着力と、印刷版面、ブランケット面、被印
刷体面との関係であり、種々の印刷目的に好結果が得ら
れることが判明した。
【0013】この印刷法で用いる電着性の粘着性インキ
は非粘調性であり、インキの粘着力は、次の関係を保持
するように設定されている。
【0014】 印刷版面 < ブランケット面 < 被印刷体 すなわち、上記の目的を達成するため、本発明の電着オ
フセット印刷方法は、導電性の表面を有する基板の上
に、電気絶縁性層を所定のパターンに形成し、この電気
絶縁性層からなるマスク部と、この電気絶縁性層が設け
られていない非マスク部とを形成させて印刷版を形成さ
せる工程と、電着性の粘着性インキを含む電着浴中で、
前記非マスク部の上に粘着性インキを電気化学的に析出
させて粘着性インキ層を形成する工程と、この粘着性イ
ンキ層をオフセット用ブランケットと接触させると共
に、ブランケットの上に転移させる工程と、このブラン
ケット上に転移させられた粘着性インキ層を、被印刷体
面に接触させると共に、被印刷体面の上に再転移させる
工程とを有する電着オフセット印刷方法であって、印刷
版の非マスク部に電気化学的に形成された粘着性インキ
層を被印刷体に効果的に転移せしめるために、粘着性イ
ンキと印刷版面との粘着力をPf、粘着性インキとブラ
ンケット面との粘着力をBf、粘着性インキと被印刷体
面に対する粘着力をSfとした場合、Pf<Bf<Sf
の関係を満足するように粘着性インキ、印刷版面、ブラ
ンケット面および被印刷体の材質が選定されるように構
成した。
【0015】また、本発明の電着オフセット印刷用の印
刷版は、導電性の表面を有する基板の上に、電気絶縁性
層を所定のパターンで形成し、この電気絶縁性層からな
るマスク部と、この電気絶縁性層がない非マスク部とを
備える印刷版であって、前記印刷版の非マスク部には、
予め剥離性材料で処理された剥離剤層が形成されている
ように構成した。
【0016】
【実施例】以下、本発明について図面を参照しつつ詳細
に説明する。
【0017】図1(a)〜(e)には本発明のオフセッ
ト印刷方法の工程が模式的にかつ経時的に示される。
【0018】図1(a)には導電性の表面を有する印刷
版用の基板1の上に、電気絶縁性層を所定のパターンに
形成し、この電気絶縁性層からなるマスク部2と、この
電気絶縁性層が設けられていない非マスク部3とを形成
させた状態が示される。
【0019】用いる印刷版用の基板1の材料としては、
例えば、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、ニッケル、クロ
ム、ステンレス、その他の汎用性金属からなる金属版、
または電気絶縁性のプラスチック板、フィルム、紙、ガ
ラス板、セラミック板等の表面に上記金属の金属箔を接
着等により被覆したもの、あるいは前記金属の単体、合
金類または酸化インジウム−錫(ITO)に代表される
導電性酸化物その他の化合物を真空蒸着法や化学蒸着
法、あるいは塗布法その他によって導電性皮膜を形成さ
せたものを基板1として用いることができる。
【0020】導電性基板1面への電気絶縁パターン、す
なわちマスク部2の形成には、印刷法による絶縁性のイ
ンキを印刷したり、感光性樹脂による光学的パターニン
グをしたり、予め、無機絶縁性皮膜を蒸着やCVD 、
ゾル・ゲル法等によって形成しておき、それをフォトエ
ッチング等によってパターン形状にエッチング加工して
絶縁性パターンのマスク部を形成する等の公知の方法に
よって電着用印刷版11が形成される。
【0021】上記マスク部の形成に際し、印刷法では高
精度の精密パターン作製はできないものの、再現性が良
く反復性の良いものができるという特徴がある。また、
光学的パターニング法では高精度の精密パターンが得ら
れるが、高価となりかつ一般に版の反復耐久性が劣ると
いう特性がある。これに対して、SiO2 やAl23
その他の絶縁性金属酸化皮膜の加工パターンを用いるこ
とは、高精度精密で反復性の高い印刷版が得られ、好適
である。
【0022】次に、図1(b)に示されるように、粘着
性インキを電着する前に予め印刷版11面の少なくとも
画線部、すなわち、溝状の非マスク部3に剥離剤層4を
形成する。剥離剤層4は以下の理由から設けることが好
ましい。すなわち、電着した粘着性インキを印刷版11
からブランケットに転移させるためには、印刷版11か
ら粘着性インキが容易に剥離することが必要である。一
般に、粘着性インキは接着性に富むように設計されてい
るから、そのままでは転写させることが極めて困難であ
ったり、あるいは転写率が著しく悪かったりする。従っ
て、図1(b)に示すように、粘着性インキを電着する
前に予め印刷版11面の少なくとも画線部に剥離剤層4
を形成し、剥離剤層4を備える印刷版21とし、このも
のを使用すると転写が容易確実になる。ただし、剥離剤
層3の部分は電着のために、導電性が保持されているこ
とが必要になる。なお、一般に、電着以外の塗布や成形
作業には、剥離処理剤としてシリコーン樹脂やフッ素樹
脂等の比較的化学的に不活性な高分子材料が常用されて
いるが、これらは通常、導電性を持たないので本発明の
方法への適用が難しい。
【0023】このように剥離剤層4は、剥離性および導
電性を備える材質から形成され、具体的には以下のよう
な材料が挙げられる。
【0024】イオン形成基を有するオルガノポリシロキ
サン系の樹脂は、薄膜において、電着可能な導電性を有
し、かつ剥離剤としての効果も高く剥離剤層として好適
である。例えば、特開昭62−43468号公報に示さ
れた方法で樹脂分子中にオニウム塩基を導入することに
より導電性剥離層4を形成することができる。また、同
公報記載のグリシドキシ基含有シランの代わりに、例え
ば、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシランのよう
な水酸基を含有するシランを用いて同様に縮合し、次い
でジカルボン酸無水物と反応せしめてカルボキシル基を
導入した後、該カルボキシル基の全てまたは一部をアミ
ン等の塩基で中和することによっても得ることができ
る。また、シランとして例えば、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン等を併用することにより、重
合性不飽和結合を樹脂中に導入して光硬化性としてもよ
い。
【0025】上記イオン形成基の含有量は、形成される
皮膜の膜厚にもよるが、通常、0.5〜5.0モル/K
g樹脂固形分程度が望ましく、0.5モル/Kg未満で
は、形成される膜の電気抵抗が高くなり電着が困難にな
り、5.0モル/Kgを越えると、逆に電気抵抗が低く
なり、剥離剤層4が絶縁パターン(マスク層)の上に形
成されている場合に、絶縁層上にも電着が行われる危険
性があり、好ましくない。
【0026】上記ようなイオン形成基を有するオルガノ
ポリシロキサンは、通常、有機溶剤や水、又はそれらの
混合物に0.05〜10%、好ましくは、0.1〜5%
の濃度に溶解した状態で使用する。
【0027】塗布方法としては、浸漬法、スプレー法、
ローラーコート法、電着法、印刷法等の公知の種々の方
法が使用できる。塗布膜厚、すなわち、剥離剤層4の膜
厚は、特に制限はないが、通常、0.005〜5.0μ
mの範囲であることが好ましい。この膜厚が0.005
μm以下になると、剥離性が十分でなく、電着されたイ
ンキの転写性に欠けるという不都合が生じ、また、5.
0μmを越えると、パターンの再現性が低下するので好
ましくない。
【0028】塗布後の硬化に関しては、オルガノポリシ
ロキサンがオニウム塩基である場合は、60〜150℃
で、5〜60分程度乾燥すればよい。また、カルボン酸
塩型である場合は、トリスアセチルアルミニウム、テト
ラエチルアンモニウムブロマイド等の硬化触媒を添加し
て、60〜150℃で、5〜60分程度乾燥すれば、硬
化する。また、このポリシロキサンが、重合性不飽和結
合を含有する場合には、光重合開始剤、必要ならば増感
剤を添加し、紫外線や電子線などの活性放射線を照射し
て硬化させることができる。
【0029】このような剥離剤層4は、一回の印刷が終
わる毎に形成してもよいが、非能率であるので、剥離剤
層4が版基板1に強く結合し、耐摩耗性を備えた反復使
用可能型としたものの方がよい。従って、剥離剤層4の
材質は、硬化型、特に熱硬化あるいは活性放射線型の剥
離剤が好適である。なお、剥離剤層4の下には、導電性
を阻害しないアンカー剤をプリコートしてもよい。
【0030】剥離剤層4の他の形成方法としては、Ni
電着液中にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を
含有させて、両者を同時にメッキする複合メッキ法が利
用できる。例えば、汎用のスルファミン酸ニッケル電着
液中にPTFEを微粒子分散させて、Ni電着と同時に
PTFEを共析させる方法である。このように形成され
た剥離剤層4は、Ni膜中にPTFEが共存するので、
Ni単独膜よりもはるかに摩擦係数が低くなり、その表
面への他物質の付着性を低下させる性質となる。PTF
Eそれ自体は、付着性が最も低い材料であるが、極めて
電気抵抗が高いという特性を持っている。しかし、上記
のごとく、Niが共存するので両者の複合膜は導電性が
あり、かつ剥離性を備えるという特性を持っている。他
のフッ素系高分子のNi複合メッキ液(例えば、商品
名:メタフロン,上村工業(株)社製 )も開発されて
おり、同様の効果を有する。
【0031】このような複合メッキ処理による剥離性層
4を設けた印刷版21の電着面は、長期間または多数回
の摩擦によっても剥離性の劣化が少ない高耐久性印刷版
としての特徴を有する。
【0032】次に、図1(c)に示されるように、剥離
剤層4の上には、電着性の粘着性インキ層5が形成され
る。その原理が図3に示される。電着浴13には、粘着
性インキが含有され、このものは、アニオン型であって
もカチオン型であってもよい。この電着浴13中に、印
刷版11(あるいは21)を対抗電極12共に浸漬し、
電源10と接続して直流通電すると、印刷版11(ある
いは21)の導電性部である非マスク部3(剥離剤層4
の上)に、電着性粘着性インキが電着し、電着性の粘着
性インキ層5が形成される。このように電着した粘着性
インキ層5は、室温可塑性あるいは熱可塑性でもよく、
熱硬化性でも光硬化性でもよい。さらに、常温粘着性で
も熱時粘着性でもよい。
【0033】高精度精密パターンを印刷するためには、
印刷版上のインキが粘調または流動性であると、一般オ
フセット印刷と代わりがなくなるので、可塑性であって
も印刷圧力によって変形しない程度以上に硬いインキ皮
膜でかつ粘着性能が高いことが望まれる。しかし、流動
性であっても基本的にオフセット印刷に使用することは
できる。
【0034】粘着性インキが硬化性である場合には、硬
化がある程度進行するまでは粘着性が保持されなければ
ならない。硬化が終了する付近では粘着性能が消滅して
も支障がない(ただし、接着機能は保持される)。
【0035】電着可能な粘着性インキに使用し得る樹脂
としては、例えば、中和により水溶性または水分散性と
なるアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタ
ン樹脂、変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの樹
脂に硬化性を付与する方法としては、アミノ酸、ブロッ
クイソシアネートのような公知の硬化剤を添加し、また
は、これらの樹脂に重合性不飽和基を有する化合物を添
加したり、あるいは、樹脂母体に重合基を導入して光重
合開始剤や必要に応じて増感剤を添加して活性放射線硬
化型とするなど公知の方法が適用できる。
【0036】勿論、電着性粘着性インキ層5は、印刷イ
ンキの一種であるから、染料や顔料で任意に着色されて
いるが、着色は電着材料作製時、または電着浴13作製
時に溶解または分散混合できる。電着性樹脂と相溶性の
染料は樹脂に伴って、また、粒子状の顔料はその粒子周
囲が電着性樹脂に被覆されるので、電着性樹脂と共に電
析されるので着色に関する問題は発生しない。また、電
着浴の流動性調整のために溶剤や、流動性調整剤等を添
加することもできる。
【0037】従って、一般オフセットと同様に、フルカ
ラー印刷は勿論、マルチカラー印刷、カラーパターン
(画線)印刷、OHP用カラートランスパランシー印
刷、液晶ディスプレイ用等のカラーフィルター印刷、そ
の他任意の印刷に供することができる。
【0038】粘着性インキを印刷版上に電着するために
は、上記樹脂または硬化成分とを混合中和して、通常固
形分1〜30%の水溶液、または水分散液とした電着浴
13の中に、対極12と印刷版21を浸漬し、両者間に
直流通電する。ただし、粘着性インキがアニオン型の場
合は、印刷版21を陽極として、カチオン型の場合は、
陰極として通電すれば、印刷版の導電性パターン部に忠
実な形状でインキ皮膜が形成される。
【0039】このようにして形成される電着性粘着性イ
ンキ層5の膜厚は、印刷版面の絶縁パターン、すなわち
マスク部2の膜厚によってほぼ決定される。インキ層5
の膜厚がマスク部の厚さよりも薄いと、ブランケット面
と接触しないことがあり、転写が不安定となり易い。ま
た、絶縁性パターンよりも厚いと、インキ膜が横方向に
も成長し、もとの絶縁性パターンの線幅よりも太くなり
画線精度が低下する恐れが生じるが、インキ膜が絶縁性
パターン膜面よりも突き出た凸型となるのでブランケッ
ト面への転写性は良好になる(図1(c)には突出型が
示されている)。なお、オフセット印刷の場合、ブラン
ケット6面は弾性を有するので、実質的にマスク部(絶
縁性膜)よりもインキ層5が低く凹型に形成されていて
も、その凹型にある程度追従できるので転写性は一般に
良い。しかし、パターンの厳密な再現性と転写の信頼性
を要求する場合には、両者をほぼ同一平面とするかまた
はインキ層5が若干突出した状態の凸型の方が好まし
い。
【0040】一般に、絶縁性パターンであるマスク部2
の膜厚は、0.1〜5μm程度であるが、微細画線を高
精度に再現させるためには、0.1〜2.0μm程度で
あり、この時のインキ層5の突出量は、0〜0.5μm
が好ましい。インキ層が突出した場合の画線の太りは、
例えば、突出量が0.5μmの場合に0.5〜1μmで
あり、製版時にその寸法を補正しておくと再現正確性が
増す。特に、精度は要しないが膜厚を大きくしたい場合
には、絶縁性パターンのマスク層2をさらに厚くするか
または電着インキ層5の膜厚を大きくすればよく、特に
制限はないので、インキ膜厚を20〜40μm以上にす
ることもできる。
【0041】電着する粘着性インキ層5の膜厚の制御
は、電流密度、通電時間、印加電圧等の一般電着塗装に
おける厚膜調整法を適用することができる。
【0042】このように印刷版21上に形成された粘着
性インキ層4は、図1(d)に示されるようにブランケ
ット6に接触させられると共に、ブランケットの上に転
移される。しかる後、図1(e)に示されるようにこの
ブランケット上に転移させられた粘着性インキ層5は、
被印刷体51に接触させられると共に、被印刷体51面
の上に再転移させられる。
【0043】しかるに、ブランケット6の表面は印刷版
21上のインキ層5を良好な状態で転写させ、さらに被
印刷体の上に、良好で完全な再転写を行わせる特性を保
有しなければならない。
【0044】通常、ブランケット6の面は適度の弾性物
質からなり、この表面弾性によって被印刷体51の持つ
表面性(平滑面から凹凸の大きい粗面まで)に馴染んで
良質の印刷が出来るという特性を有する。一般印刷用で
は天然ゴム、合成ゴム、ゴム状弾性物質で構成され、被
印刷体51の表面状態によって種々の表面硬度のものを
適宜選定して用いることができる。しかし、従来の通常
のオフセット印刷では、粘調なインキを用いるので、印
刷版からブランケットへ、ブランケットから非印刷体へ
とインキが転移する各過程では、インキ層の構造破壊に
よってその一部が転移するので、印刷版やブランケット
側にインキが必ず残留している。従って、インキ層の破
壊と転移に基ずくパターン形状や転写再現性の低下が起
こり、印刷パターンの形成能が劣化する。
【0045】本発明の電着オフセット印刷方法では、図
1(e)に示されるように、印刷版21に形成された粘
着性インキ層5を構造破壊することなく、ブランケット
6を介して被印刷体51まで100%、あるいは、ほぼ
100%転移させ、それによって、高精度精密なインキ
パターン5aを被印刷体51面に形成させることを目標
にしているので、ブランケット6面等の物性に特殊な条
件が必要になる。 すなわち、印刷版の非マスク部に電
気化学的に形成された粘着性インキ層を被印刷体に効果
的に転移せしめるために、粘着性インキと印刷版面との
粘着力をPf、粘着性インキとブランケット面との粘着
力をBf、粘着性インキと被印刷体面に対する粘着力を
Sfとした場合、Pf<Bf<Sfの関係を満足するよ
うに粘着性インキ、印刷版面、ブランケット面および被
印刷体の材質が選定される。
【0046】ここで、例えば、金属、ガラス、セラミッ
ク、紙、プラスチック等の被印刷体は、一般に、粘着性
インキ層5との接着性が大きいものが多いから、特別の
配慮をしなくても十分にインキ付着(転写)が可能であ
る。ただし、ある種のプラスチック類、例えばポリテト
ラフルオロエチレン等を被印刷体とする場合には、接着
性増加のために前処理等が必要になり得る。
【0047】ブランケット6が粘着性インキ層5に対し
て、印刷版21と被印刷体51との中間の粘着力を持つ
ように上記条件を、満足させるためには、ブランケット
6の表面は適度の接着性と剥離性を兼ね備えていなけれ
ばならない。そのためのブランケット表面基材として、
シリコーン樹脂やポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂その
他の接着力の弱い材料を基材として使用することができ
る。勿論、これらを単独で用いた場合には、時にはイン
キの接着性が印刷版面よりも低過ぎることもある。しか
し、ブランケットは適度な硬度の弾性面を持つ必要があ
り、通常は充填材を混合して調整するので、同様にして
基材の接着性も容易に調整することが出き、目的の接着
性を付与させることができる。
【0048】一般オフセット印刷のブランケットの常用
硬度は、JIS法で70°〜85°(78〜80°が多
い)の範囲が適当であるが、本発明の方法でもこの範囲
および高精度印刷を目的とする場合にはそれ以上の硬度
のブランケットを用いるのがよい。
【0049】目的に合わせて調整されたブランケット6
を用いて、上述したように印刷版面21の電着した粘着
性インキ層5に加圧接触させた後、剥離するとブランケ
ット6面にインキパターン5a(インキ層5)が転写さ
れる(図1(d))。次いで、図1(e)に示すように
被印刷体52とを同様に加圧接触させて粘着性インキパ
ターン5a(インキ層5)を被印刷面51に転写させ、
印刷が完了する。
【0050】ブランケット6は、平版のままでも、また
ローラ状にして使用してもよい。また、適当な曲率の円
弧状で使用してもよい。
【0051】一般印刷用ブランケットは、1〜4mmと
厚いが、加圧変形しない適当な基板の上に10〜数10
0μmの薄い弾性膜を塗布形成したもの又はフィルム状
のものが好ましい。さらに、常温加圧のみでなく、熱時
粘着性インキの場合には加温しつつ加圧してもよい。
【0052】被印刷体6に粘着性インキ層5(インキパ
ターン5a)が転写された後は、インキを硬化させる。
硬化は室温放置、加熱、放射線照射等の粘着性インキの
特性に合わせた方法により行う。
【0053】このようにして得られた被印刷体51面の
インキパターン5aは、そのまま完成パターンとして用
いる場合と、エッチング等のレジストとして用いる場合
とがある。後者の場合では、被印刷体のレジストの存在
しない部分をその素材に適応した公知のエッチング剤お
よびエッチング方法で加工し、凹凸パターンを形成した
り、打ち抜きパターンを形成させる。さらに、必要に応
じて残存するインキ皮膜を適当な溶剤や酸、アルカリ溶
液等で除去して加工を完成させることもできる。
【0054】図1(e)は、例えばガラス製の基板7の
上に形成された例えばアルミからなる薄膜層8を持つ被
印刷体51面にインキパターン5aを転写し、硬化させ
てインキレジストとしたものである。図2は、図1
(e)に示される状態から塩化第2鉄溶液で薄膜層8を
エッチングしてからインキレジスト(インキパターン5
a)を除去したエッチングパターン、すなわち、ガラス
基板7の上にアルミ薄膜パターン9を形成した例であ
る。
【0055】
【実施例】以下に具体的実施例を示し本発明をさらに詳
細に説明する。実施例1 大きさ300×300mm、厚さ0.15mmのステン
レス基板上にネガ型感光性電着レジスト・ゾンネEDU
V−376(関西ペイント(株)製)を用い、最小線幅
5μmを含む解像力パターンを全面に指定処方にしたが
って形成させた電着用印刷版を作製した。
【0056】次いで、全面または少なくともインキ電着
画線部に下記の要領で作製したオルガノポリシロキサン
からなる剥離剤を約0.1μmの厚さに塗布して剥離剤
層を形成させた。
【0057】(剥離剤作製法)γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン100部、メチルトリメトキシシ
ラン500部、酢酸30部、N−ジメチルエタノールア
ミン38部、脱イオン水250部を混合攪拌しつつ、6
0℃、5時間保持し、第4級アンモニウム塩基を含有す
るオルガノポリシロキサン溶液(固形分55%)を得
た。剥離剤としては、この溶液をメタノール/水=1/
1(容積比)液で固形分が1%になるように希釈したも
のを用いた。
【0058】次いで、下記の要領で作製した粘着性イン
キ電着剤浴の中に、上記の印刷版を浸漬し、印刷版を陽
極、対極を陰極として50Vで45秒間直流通電した
後、引き上げて水洗し、さらに80℃で10分間乾燥し
た。
【0059】このようにして印刷版の導電性パターン部
に約2μmの厚さで5μm線幅まで解像した粘着性イン
キ電着剤層(粘着性インキ層)が形成された。
【0060】(粘着性インキ電着剤浴の作製)n−ブチ
ルアクリレート982部、アクリル酸72部、ベンゾイ
ルパーオキサイド2部を反応溶液中で70℃、5時間重
合した後、2000部のブチルセロソルブに溶解したも
のを原液とした。この原液1000部とトリエチルアミ
ン20部の混合液に脱イオン水3380部を攪拌しつつ
加えて、固形分7.5%のアニオン型粘着性インキ電着
剤浴とした。
【0061】次いで、平滑な厚さ0.15mmのステン
レス板面に、約20μmのシリコーンゴム層を形成させ
たブランケット板を密着し、ゴムローラで圧着して引き
剥すとブランケット板に粘着性インキ層が良好に転写さ
れた。
【0062】一方、ガラス板面にCrの薄膜層(厚さ
0.15μm)を蒸着した被印刷体にブランケット面の
粘着性インキ層のパターンを密着させ、同様に80℃の
加熱ゴムローラーを圧着してCr面上にインキパターン
を再転写させた。80℃の加熱ゴムローラーを圧着して
加熱転写した理由は、ブランケットの上の粘着性インキ
層のパターンの上に剥離剤に用いたオルガノポリシロキ
サンの薄層が同時に一部転移し、粘着接着を阻害するこ
とを防止するためである。
【0063】次いで、転写された粘着性インキ層のパタ
ーンをエッチングレジストとし、塩化第2鉄溶液(40
度ボーメ液)用いてエッチングを行った後、水洗乾燥
し、最後に電着剤パターンを過酸化水素を含む濃硫酸熱
液で溶解除去し、水洗乾燥し、Crパターンのガラス板
を得た。
【0064】解像限界は、5μm線で、画線のエッジの
スムースさは良好であった。
【0065】電着用印刷版は剥離剤層の剥離剤の機能が
なくなるまで、数回使用できたが、機能がなくなった後
は再度、剥離剤処理をして反復使用した。
【0066】ここで、オルガノポリシロキサン処理の電
着印刷版面、シリコーンゴムブランケット面、Cr薄膜
面に対する本粘着性電着剤の粘着力を、JIS Z−0
237−1980に基づいて測定したところ、剥離剤処
理印刷版面は、15gf/10mm、ブランケット面は
約60gf/10mm、Cr薄膜面(被印刷体)は、約
250gf/10mmの粘着力を示した。実施例2 上記実施例1と異なるのは、以下に示すように剥離剤に
光重合性オルガノポリシロキサンを用い、印刷版の反復
性をさらに向上させた点にある。
【0067】(剥離剤作製法)γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシランの50%メタノール溶液400
部、メチルトリメトキシシラン200部、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン100部、酢酸2
部、および脱イオン水162部を反応溶液中で混合攪拌
しつつ、60℃、5時間保った後、トルエンと酢酸ブチ
ルを夫々200部づつ加えて、メタノールを系外に流出
しつつ4時間を要して、90℃まで徐々に昇温し、90
℃で1時間保った後、無水マレイン酸95部およびN−
ジメチルエタノールアミン85部を加え、さらに3時間
90℃に保って、透明なカルボン酸アミン塩および重合
性二重結合を有するオルガノポリシロキサンの溶液を得
て原液とした。この原液は固形分約52%、カルボン酸
アミン2.1モル/Kg固形分であった。
【0068】この原液をエチルセロソルブ/メタノール
の1/1(容積比)の溶液で固形分が10%になるよう
に希釈し、前記実施例1の印刷版面に乾燥膜厚が1μm
になるようにスプレー塗布し、80℃、10分間乾燥し
た後、高圧水銀等で露光量300mj/cm2 の照射を
行い、オルガノポリシロキサン剥離剤層を形成させた。
【0069】次いで、このように剥離剤処理した印刷版
を、下記の要領で作製した電着浴中に浸漬させ、印刷版
を陰極、対極を陽極として80Vで60秒間通電した
後、引き上げて80℃、10分間水きり乾燥を行った。
【0070】 (粘着性インキ電着剤浴の作製) N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート 115部 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 150部 n−ブチルアクリレート 400部 メチルメタアクリレート 150部 n−ブチルメタアクリレート 185部 アゾビスイソブチロニトリル 50部 上記の混合液を反応容器内で70℃に加熱攪拌されてい
るエチルセロソルブ400部中に2時間かけて滴下し、
さらに2時間保った後、アゾビスブチロニトリル20部
を250部のエチルセロソルブに溶解した溶液を3時間
かけて滴下し、さらに70℃で3時間保って粘着性電着
剤原液とした(固形分:約60%)。この原液1000
部と、ブロックイソシアネート120部、ジブチル錫ジ
ウラレート19部の混合液に脱イオン水12060部を
攪拌しつつ加えて、固形分5%のカチオン型粘着性イン
キ電着浴とした。
【0071】次いで、直径15cmの表面をシリコーン
樹脂で処理した加熱可能なブランケットローラー(表面
粘着性:60〜70gf/10mm)を表面温度100
℃で前記電着済の印刷版面に圧着しつつ転がし、粘着性
インキ導電パターンを転写した。
【0072】このブランケットローラーを、50μmの
厚さのポリイミドフィルムに18μmの銅箔をラミネー
トした基板面に同様に圧着しながら転がして、銅箔面に
再現良く粘着性インキ電着膜パターンを転写形成させ
た。
【0073】次いで、転写フィルムを150℃、10分
間加熱して、電着パターンを硬化させた後、銅箔部を4
0度ボーメ塩化第2鉄溶液でエッチングし、さらに60
℃、5%乳酸水溶液でインキ電着膜を除去することによ
って、良好なエッチングパターンを得た。ただし、18
μm厚銅箔のエッチング特性(サイドエッチング等によ
る)から得られた銅箔パターンの下限は15μmライン
までであった。また、転写済の印刷版は数10回反復使
用することができた。実施例3 大きさ200×200mm、厚さ150μmの鏡面イン
バー材基板(線膨張係数:8×10-6)に下記のピロ燐
酸銅浴を用いて、5μmの厚さに銅メッキをし、つい
で、上記実施例1と同様にして、電着レジスト層を形成
し、外周が200×200mmの領域に、100μmの
線幅でピッチが390μmの平行線パターンを形成させ
て電着用印刷版とした。 (ピロ燐酸銅浴組成) Cu227 ・3H2 O 94 g/l K427 340 g/l NH4 OH(28%) 3ml/l pH 8.8 P比(P27 4- /Cu2+) 7.0 液温 55℃ 電析速度(5A/dm2 ) 1.0μm/min 次いで、印刷版の露出銅面部を2%HCl水溶液で洗浄
して、表面酸化物を除去した後、Ni電着液中に、フッ
素樹脂系の微粒子を分散させた複合メッキ浴(商品名:
メタフロン溶液、上村工業(株)社製:PTFE含有ス
ルファミン酸Ni浴)中に浸漬し、液温50℃、電流密
度5A/dm2 で印刷版を陰極として通電し複合メッキ
した。膜厚はレジスト厚さよりやや薄い状態とした。こ
の操作によって、メタフロンのメッキが銅面を覆い含有
するPTFEの性質によって導電性、剥離性を電着面に
与えることができた。
【0074】次いで、上記実施例2で用いた粘着性イン
キ電着浴を3浴準備し、これらの各浴にそれぞれ、R、
G、B色の微粒子を分散させて3色の電着浴を作製し
た。使用した顔料は、夫々、R用にはピグメントレッ
ド、G用にはフタロシアニングリーン、B用にはフタロ
シアニンブルーであった。各色顔料は、予め超微粉砕し
たものを用意し、これを粘着性インキ電着剤原液中に2
0%(固形分に対し)混入し機械混合および超音波分散
によって均一に分散させて用いた。
【0075】R色粘着性インキ電着浴中において、前記
印刷版面の上にR色電着層(厚さ1.5μm)を得た。
【0076】一方、1.1mm厚さの無アルカリガラス
版に、Cr蒸着(膜厚0.1μm)した後、線幅30μ
m、ピッチ130μmのメッシュを通常のフォトリソ法
で形成させたいわゆるブラックマトリックス(BM)板
を準備し、上記実施例2と同様に印刷版からブランケッ
トローラーにR色インキ電着層を転写した後、BMの3
0μm線の間の所定の位置に正確に位置合わせした後に
転写した。
【0077】次いで、印刷版を洗浄後、G色インキ粘着
性電着剤浴中において、G色インキ電着層を得、前記と
同様にブランケットローラに一旦転写した後、同じBM
ガラス基板のR色のとなりの所定の位置に正確に再転写
した。さらに同様にして、B色インキ粘着性電着剤浴を
用いてB色インキ電着層を同じBMガラス基板のRとG
の色の隣に転写し、各色の境界にCrのブラックマトリ
ックスを有するR、G、Bの3色ストライプパターンを
得た。
【0078】しかる後、150℃、10分間電着層を硬
化させて、液晶用カラーフィルターモデルパネルとし
た。このカラフィルターは、分光特性が適正でかつ耐熱
性が高いという良好な性質を示した。
【0079】印刷版は数10回の反復使用に十分耐える
ことができ、また、一版のみを各色の電着に用いるので
はなく、予め、各色用に3版用意した場合にはより合理
的かつ能率的に作業することもできた。実施例4 印刷用紙に対する従来法のオフセット印刷法と対比する
ために以下の実験を行った。
【0080】厚さ0.1mm、大きさ300×400m
mの鏡面ステンレス板に前記実施例3の場合と同様に、
厚さ5μmの銅メッキをし、この上に膜厚2μmの電着
レジスト膜(膜厚2μm)を形成し、A−4版サイズで
175線/インチの網版からなる4色分解した4枚の連
続調網ポジ写真原版を露光現像し、シアン、マジェン
タ、イエロー、ブラック印刷用の4枚の電着用印刷版を
得た。前記4色分解はカラースキャナーによって通常法
で作製したものであり、ハイライト網点サイズは約15
μmであった。次いで、各版にメタフロン複合メッキを
約1.5μmの厚さに行い、電着部に剥離性を与えて印
刷版を完成させた。
【0081】印刷インキとしては、前記実施例3のカチ
オン粘着性電着剤を用い、R、G、Bに変えて、C(シ
アン)、M(マジェンタ)Y(イエロー)K(ブラッ
ク)顔料を用いた。ただし、使用顔料の主な材料は次の
通りである。C:フタロシアニンブルー、M:ファナー
ルローズ、Y:ベンジジンイエロー、K:CMY顔料の
混合系で黒色化。
【0082】C,M,Y,Kの各電着浴中に対応する印
刷版をそれぞれ入れ、印刷版を陰極として実施例3の条
件で粘着性インキを約1.5μmの厚さに電着した。こ
れらを水洗乾燥した後、オフセット校正機の所定の位置
に印刷用紙と共にセットし、装着してあるシリコーン面
を持つブランケットローラを用いて4版を交換しながら
オフセット印刷した。4色印刷の印刷順はCMYKであ
り、各印刷版には予め、絵柄位置合わせ用のトンボ(レ
ジスターマーク)を付けておき、それを用いて光学的に
正確に位置合わせしながら重ね刷りを行った。
【0083】各色を連続転写した場合には、転写は良好
に行われ、ブランケット面へのインキの残りやトラッピ
ング(先刷りインキのブランケット面への逆転現象)、
網点の白抜け等も発生しなかった。
【0084】最後に、4色転写後の印刷用紙を120
℃、20分間乾燥硬化して完了とした。完成印刷物を観
察したところ、通常インキでは起こる網点の太りや網点
形状の崩れもなく、印刷版面の網点形状が正確に再現さ
れていた。
【0085】この結果、通常の印刷では網版原版から印
刷に至る工程中にかなりの網点サイズや形状変化がある
ので、この変化量を含む製版を行う必要があったが、本
印刷方法ではオフセット工程での変化量が極めて少な
く、正確な網点再現ができるため、画像の調子再現設定
が容易であり、又、線画や複雑な文字・記号等の再現が
微細なところまで正確に行われ、印刷物品質の著しい向
上が確認できた。
【0086】
【発明の作用効果】本発明の方法と、一般のオフセット
印刷法によるパターン形成能を比較すると、一般オフセ
ットの印刷法では、画線の形成精度が悪く、微細画線の
形成が不可能であるのに対し、本発明の電着オフセット
印刷法によれば容易にそれが可能になる。また、電着イ
ンキがすべて一括転写されるので従来困難であった任意
の厚膜のインキ層が正確に得られるので、エッチング用
レジストインキの形成や高濃度が必要なOHP用や、広
告その他の透過型トランスパレンシーフィルムや、液晶
ディスプレイ等のカラーフィルター作製が一度の印刷で
確実に得られ、生産性が格段と向上し、コストダウンが
可能になる。
【0087】電着インキの高精度パターン形成能によっ
て、従来高価なフォトリソグラフィー法によらざるを得
なかった高密度微細パターンを持つプリント基板の作製
や、その他の精密パターンの形成が必要な部材製造等
に、安価なオフセット印刷法の適用が可能となり、能率
的作業とコスト低減化が図られる。
【0088】また、従来から厚膜数μm以上の厚膜印刷
にはスクリーン印刷が利用されているが、スクリーン版
の伸びや膜厚制御、パターン線幅制御等に問題を抱えて
いたが、本発明の方法によってスクリーン印刷でもでき
なかった厚膜印刷や微細高精度印刷が可能になりスクリ
ーン印刷分野をカバーして余る印刷法が提供された。ま
た、このような印刷法を耐久性良く実施するには本発明
の印刷版が好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は、本発明のオフセット印刷方
法の工程を模式的かつ、経時的に示した図である。
【図2】図1(e)の状態からさらにエッチング、レジ
スト除去して形成したエッチングパターンを示す図であ
る。
【図3】電着性の粘着性インキ層を形成するための電着
浴の概略模式図である。
【符号の説明】
1…基板 2…マスク部 3…非マスク部 4…剥離剤層 5…粘着性インキ層 6…ブランケット 11,12… 印刷版 51…被印刷体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性の表面を有する基板の上に、電気
    絶縁性層を所定のパターンに形成し、この電気絶縁性層
    からなるマスク部と、この電気絶縁性層が設けられてい
    ない非マスク部とを形成させて印刷版を形成させる工程
    と、 電着性の粘着性インキを含む電着浴中で、前記非マスク
    部の上に粘着性インキを電気化学的に析出させて粘着性
    インキ層を形成する工程と、 この粘着性インキ層をオフセット用ブランケットと接触
    させると共に、ブランケットの上に転移させる工程と、 このブランケット上に転移させられた粘着性インキ層
    を、被印刷体面に接触させると共に、被印刷体面の上に
    再転移させる工程とを有する電着オフセット印刷方法で
    あって、 印刷版の非マスク部に電気化学的に形成された粘着性イ
    ンキ層を被印刷体に効果的に転移せしめるために、粘着
    性インキと印刷版面との粘着力をPf、粘着性インキと
    ブランケット面との粘着力をBf、粘着性インキと被印
    刷体面に対する粘着力をSfとした場合、Pf<Bf<
    Sfの関係を満足するように粘着性インキ、印刷版面、
    ブランケット面および被印刷体面の材質が選定されるこ
    とを特徴とする電着オフセット印刷方法。
  2. 【請求項2】 前記印刷版の非マスク部には、粘着性イ
    ンキ層を形成する前に、予め剥離性材料で処理された剥
    離剤層が形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載の電着オフセット印刷方法。
  3. 【請求項3】 電着可能な粘着性インキは、経時的にも
    しくは熱により、又は活性放射線により硬化する特性を
    備え、硬化後は粘着性が消滅する特性を有することを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の電着オフセッ
    ト印刷方法。
  4. 【請求項4】 電着可能な粘着性インキは、任意の色に
    着色されており、着色パターン、多色印刷等が可能であ
    ることを特徴とする請求項1ないしは請求項3のいずれ
    かに記載の電着オフセット印刷方法。
  5. 【請求項5】 電着可能な粘着性インキは、エッチング
    加工等に適正を有するレジスト特性を備えることを特徴
    とする請求項1ないしは請求項4のいずれかに記載の電
    着オフセット印刷方法。
  6. 【請求項6】 導電性の表面を有する基板の上に、電気
    絶縁性層を所定のパターンで形成し、この電気絶縁性層
    からなるマスク部と、この電気絶縁性層が設けられてい
    ない非マスク部とを備える印刷版であって、 前記印刷版の非マスク部には、予め剥離性材料で処理さ
    れた剥離剤層が形成されていることを特徴とする印刷
    版。
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