JP3478301B2 - 厚膜印刷方法 - Google Patents

厚膜印刷方法

Info

Publication number
JP3478301B2
JP3478301B2 JP07284694A JP7284694A JP3478301B2 JP 3478301 B2 JP3478301 B2 JP 3478301B2 JP 07284694 A JP07284694 A JP 07284694A JP 7284694 A JP7284694 A JP 7284694A JP 3478301 B2 JP3478301 B2 JP 3478301B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrodeposition
printing
electrodeposit
printing plate
thick film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP07284694A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07257011A (ja
Inventor
敏 武内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP07284694A priority Critical patent/JP3478301B2/ja
Publication of JPH07257011A publication Critical patent/JPH07257011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3478301B2 publication Critical patent/JP3478301B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆる厚膜印刷方法
の分野における新規な印刷方法に係り、さらに詳しく
は、例えば、形成させるパターンの印刷膜厚を十分に厚
く、且つ高精度に印刷することを目的とした膜厚印刷方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙、プラスチックシート、木材板、金属
板、ガラス・セラミック板その他のシート状物の表面
に、膜厚の厚いインキパターンを印刷する用途は古くか
ら存在している。この用途に対応すべく印刷方法として
は、スクリーン印刷法と凹版印刷法が用いられている。
例えば、紙上に着色インキを厚刷りし、印刷物の立体感
を出したり、木材や金属版面に保護層を兼ねて美麗な厚
膜印刷を行い高級感を与えたり、種々の印刷物の品位向
上のために常用されている。この場合、特に、スクリー
ン印刷法が便利容易なのでよく利用されていることは周
知のことである。
【0003】スクリーン印刷法は、繊維や金属線を用い
て適当な開口率を保有させて編み上げたスクリーン
(絹、ナイロンスクリーン、金属スクリーン等)を保持
枠に均一張り、その面に感光性樹脂膜を塗布してパター
ニングし、印刷不要部の開口部を遮断し、印刷部のみに
インキを通過させ印刷する方法である。この方法によれ
ば、オフセット印刷やグラビヤ印刷に比べて、インキの
転写量を格段に多くできる利点があり、厚膜印刷法とし
て極めて一般的な方法である。一方、より微細高級な厚
膜印刷物としてよく知られているものとして、紙幣や株
券、その他の金券類があり、これらの印刷物には凹版印
刷法を用いるのが普通である。
【0004】凹版印刷法は、磨いた銅版面に直接、彫刻
刀を用いて工芸的に溝を彫刻したり銅版面にワックスを
塗布しそのワックスを彫刻してレジストとする手法、あ
るいは感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィー手法に
より化学エッチングで溝を形成させた凹版を用い、その
凹部にインキを詰め込み、しかる後、紙等に転写する方
法である。インキ膜厚は数十ミクロンになり、微細な高
級感のある印刷物が得られ偽造などが極めて困難な製品
が得られるという特徴がある。
【0005】これらの古くから存在する印刷法には、そ
れぞれ特徴があり、他の印刷法では表現できない利点を
持っているので、現在に至るまで代替え印刷法が出現し
ていないが、多くの課題も存在する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば、スクリーン印
刷法には、印刷原理に由来する本質的問題点が幾つか存
在する。すなわち、スクリーン自体は前述したようにシ
ルク、ナイロンその他の繊維、或いはステンレス等の金
属細線を適当な開口率を持つように編み上げたもので、
これを木製或いは金属製の枠に張力を掛けて貼り、緊張
状態に固定し、そのスクリーン面にフォトレジスト等に
よりパターンマスクを形成する。
【0007】印刷はスクリーン印刷版と被印刷物を若干
離した状態(1〜5mm程度)に配置し、マスクの存在
しない開口部を通して、与えたインキに硬質ゴム等から
なるスキージ板で圧力を掛け、スクリーンを被印刷物面
に接触するまでたわませながら、インキを開口部を通し
て擦り込んで被印刷物面に印刷する。スキージが通過し
た部分は、スクリーンがその弾力によって被印刷物面か
ら直ちに離れるので良好な印刷パターンが形成される。
【0008】このような印刷プロセスにおいては、後述
するように高精度印刷の観点から問題が生じることがあ
る。すなわち、スクリーン自体を緊張状態で枠に固定す
るために、局部的に固定の弱い部分が発生すると変形が
起こり、形成されているパターンの形状やパターン配置
等が狂ってくることがある。
【0009】また、固定が良好であっても印刷過程でス
キージ圧により、スクリーンに一時的な伸びが起こる
が、多数回印刷中に、伸びの復元性が弱まり次第に緊張
状態が低下してパターン寸法やピッチ等に狂いを発生さ
せるという問題もある。この現象は、特に印刷面積が大
きい場合に顕著に現われ、印刷版の使用回数を低下させ
る原因ともなっている。
【0010】スクリーン印刷の別の問題点としては、ス
キージでインキをスクリーン目から押し出して印刷する
ために、印刷後インキをフローさせてスクリーン目をな
くすなどインキ面の平滑化処理が必要となる。従って、
インキ層が薄いとフローが起こらないのでスクリーン目
がそのまま残存し、印刷品質を低下させることがある。
【0011】また、インキを押し出しつつ圧着しながら
の印刷であるためにパターン自体の高精度化に限度があ
り、一般に量産に適する最小印刷線幅は、70〜100
μm程度となって微細化印刷には適していない。
【0012】オフセットやその他の印刷法に比べ、厚膜
印刷には有利であるが、実際に印刷膜厚を正確に限定す
る仕様に対しては、インキの粘度その他の諸特性やスキ
ージ圧、スキージ角度、材質、速度等の厳密な制御が必
要であり、大面積印刷などに対しては高度な熟練を要す
る。
【0013】厚膜印刷に有利であるとは言え、スキージ
による圧着・かきとり印刷であるため、一回の印刷での
インキ付着高さは通常、30〜50μm程度(オフセッ
ト印刷では、数μm以下)が限度であり、一般量産印刷
では20〜30μm程度が普通である。さらに、スクリ
ーン版自体も高価であり、特に大型版や高メッシュ(例
えば、300線/インチ以上等の仕様のもの)版ではそ
の傾向が高くかつ耐久性にも問題が生じるので、印刷物
価格が一般に高価となっている。
【0014】これに対して、凹版印刷は、前述したよう
に一般に銅版面に溝を作り、その溝にインキを充填して
被印刷物面に転写する方法である。高級な印刷物が得ら
れるのは前述した通りであるが、特に手工的な高度な熟
練技術が必要である。
【0015】この場合、銅版面を用いるので、スクリー
ン印刷法における前述したような狂いは発生しない。
【0016】溝の深さは、一般に数μmから100μm
程度で、この溝を手工的(彫刻凹版)またはフォトエッ
チング法(食刻凹版)などで形成させる。版の溝には粘
度の極めて高いインキを擦り込むようにして充填させ
る。インキ充填後は、溝部以外のインキをスキージした
り、布面で擦り取って不必要なところにインキが付着し
ないようにし、この面に、印刷用紙などを圧着して溝内
のインキを転移させる方法である。溝内のインキは高粘
度(硬いインキ)なので、紙に転写した後もフローせず
にそのままな印刷が可能であり、かつ工芸的な印刷表現
に有利となっている。なお、グラビア印刷も一種の凹版
印刷法であるが、微細な個別の凹型セルの集合構成であ
ること、およびインキは極めて流動性の高い低粘度イン
キを用いることなどで厚膜印刷が不可能であるため、こ
こでは先行技術として引用しないことにする。
【0017】ここで人工的に彫刻凹版を作るには、鋭利
な彫刻刀と熟練した製版者の技術に頼らなければなら
ず、一般的な手法とは言い難い。
【0018】より簡便化するために、線画写真版を作り
これをマスクとして、銅版面に塗布された感光性樹脂に
露光し、現像して化学エッチングするフォトエッチング
法が利用されているが、線幅やエッチング深さを制御す
るのにかなりの熟練を必要とする。
【0019】また、印刷版材に表面を研磨平滑化した厚
い銅版が、彫刻のしやすさやエッチングの容易性から好
んで使用され、そのため高価にならざるを得ない。
【0020】印刷に当たっては、オフセットインキなど
に比べてはるかに硬いインキを強制的に充填し、更に非
画線部のインキを拭き取るなどの操作が必要なため、必
然的に印刷速度を増加することができない。
【0021】このような諸問題は、凹版印刷物を高価に
し、凹版印刷法の特徴を生かした汎用印刷法としての普
及を妨げている。
【0022】本発明は、このような実情に鑑みて創案さ
れたものであり、その目的は、被印刷物面に形成される
画線の印刷膜厚を厚くし、且つ簡易な操作で高精細な印
刷が可能である膜厚印刷方法を提供することにある。ま
た、印刷版の繰り返し使用における耐久性に優れるとと
もに、被印刷物面への転写性に優れ、安価で、さらには
大面積印刷にも極めて有効な膜厚印刷方法を提供するこ
とにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下の本願発
明の方法によって解決することが出来る。
【0024】すなわち、本発明の厚膜印刷方法は、少な
くとも表面に導電性を備える基板上に、電気絶縁性のマ
スクパターンを形成した電着用印刷版を、イオン性高分
子化合物水溶液中に有機あるいは無機化合物からなる着
色剤および/または印刷適性材を含有せしめた電着液中
に投入し、該電着用印刷版を一方の電極とし対向電極板
を他方の電極として直流電流を流し、電着液中の前記イ
オン性高分子化合物と共に前記着色剤および/または印
刷適性材を印刷版面のマスクパターン部以外の導電部に
電積させて電着物を形成し、しかる後、当該電着物を被
印刷物に転写する厚膜印刷方法であって、前記電着液中
に熱可塑性接着剤成分を含有させ、電着後の転写におい
て熱転写操作を行なうように構成される。また、本発明
の厚膜印刷方法は、少なくとも表面に導電性を備える基
板上に、電気絶縁性のマスクパターンを形成した電着用
印刷版を、イオン性高分子化合物水溶液中に有機あるい
は無機化合物からなる着色剤および/または印刷適性材
を含有せしめた電着液中に投入し、該電着用印刷版を一
方の電極とし対向電極板を他方の電極として直流電流を
流し、電着液中の前記イオン性高分子化合物と共に前記
着色剤および/または印刷適性材を印刷版面のマスクパ
ターン部以外の導電部に電積させて電着物を形成し、し
かる後、当該電着物を被印刷物に転写する厚膜印刷方法
であって、前記電着液中に、さらに粘着性を有するイオ
ン性電着性材料を含有させ、このものを電着物と共析さ
せて電着物に粘着性を与え、電着後の転写操作を行うよ
うに構成される。
【0025】本願発明の原理は、前記通常厚膜印刷に用
いられている顔料、ビヒクル等のインキの主材料を、電
気的化学的手法である電着法を利用することによって平
版印刷版のマスクの存在しない導電性パターン部(画線
部)に任意の厚さに電着させ、次いで印刷版面から被印
刷物面に転写させることから構成される。なお、ビヒク
ルとは、一般印刷や塗料分野において、インキ用顔料を
分散・固着させる液状成分、アマニ油、桐油、合成樹脂
類等を用いる。
【0026】導電性パターン面に電気化学的に電着させ
る技術は、金属電着において最も一般的であり、また近
年では有機物、特に高分子材料を溶解或いは分散状態で
電着し、電着塗装や電着パターニングなどを行う分野に
多く利用されている。
【0027】この電着法の一つの利点は、電着浴中(液
中)で任意時間或いは任意量の電流を流すことによっ
て、電着物の膜厚を自由に制御できることである。従っ
て、スクリーン印刷や凹版印刷の場合と同程度の膜厚が
必要な場合には、その膜厚に達するまで電着を続けた
後、次いで、電着物を転写すれば要求膜厚の印刷物を得
ることが出来る。
【0028】スクリーン印刷および凹版印刷で得られる
印刷膜厚に対応する膜厚は容易に得られ、印刷版面の電
着物が積層されて高抵抗となり、電流を遮断しないかぎ
り電着作用が継続できるので、電着材料の選択によって
従来不可能であった厚さの印刷膜厚も一回の印刷で形成
することができる。さらに、印刷パターンの画線精度に
ついては、電着法の基本的特性として極めて有利な特性
を持っているため十分満足し得る精度を確保することが
できる。
【0029】すなわち、電着法の場合には、版面上に形
成されている絶縁性マスクの膜厚の高さまでは電着物が
マスクの壁面に添って成長するので、マスクパターンの
精度を良好に復元させることが出来る。ただし、マスク
の高さを越えると壁面の影響がなくなるので、面方向に
も広がるため画線幅が太り、精度低下を招くが、その越
える度合いが少ない場合は、マスクの精度より低下する
度合いは無視できる。また、マスクの膜厚を越える度合
いが一定ならば、線幅の太り度合いは一定なので予めパ
ターン設計時に調整しておけば、要求線幅の正確な作成
が容易にできる。
【0030】本発明の方法では印刷版が平版型であり、
印刷基板には一般平版印刷と同様に薄板基板を使用しス
キージ等は使用しない。従って、機械的に伸縮を起こす
機会も存在せず、また、機械的伸びに強固な金属板等の
選択もできるために、スクリーン印刷におけるような印
刷時の伸縮に付随する問題は存在しない。
【0031】また、凹版印刷版のような厚く重量のある
銅版の代わりに、軽量の薄板金属板その他が使用できる
ので、大面積の印刷板の取扱も容易となる利点もある。
【0032】以上の原理から、本発明の方法による電着
インキングを用いた厚膜印刷法においては、従来不可能
であった高精度・高密度・大膜厚のパターンを、大面積
の被印刷物面に容易に印刷出来るという新規な特徴を発
現することができる。
【0033】次に、本発明に関して、図面を参照しつ
つ、より詳細な説明を行う。
【0034】図1には電着法の原理図が示されており、
電着すべき着色剤および/または印刷適性材と、これれ
の電着担体となるイオン性高分子化合物とを含有する電
着液を入れた電着槽13内に、イオン性高分子化合物の
極性と反対の極性になるように、電気的に外部電源10
と接続された電着用印刷版11が挿入され、さらにこの
印刷版11面と対向させて外部電源10に接続した反対
極性の対向板12が設置される。
【0035】印刷版11はその原理的構造が図2に示さ
れ、導電性基板1面に電気絶縁性材料からなるマスク部
2を所定パターンで形成したものである(マスクパター
ンの形成)。
【0036】次いで、外部電源10より直流電流を流す
と、電着液13中のイオン性高分子化合物(イオン性電
着材)は、印刷版面の非マスク部である導電部に電気化
学的に中和されて電析する。本来、中性である前記電着
すべき着色剤および/または印刷適性材はその周囲に吸
着しているか、あるいは周辺に存在するイオン性高分子
化合物が印刷版11面に吸引されるときに同伴されて電
析し、両者が電着物3となる。
【0037】なお、印刷版11のマスク部2は電流が遮
蔽されているので電着が起こらず、非マスク部のみに電
着が起こり電着物パターンが形成される。
【0038】電着物の厚さは電流量が多いほど厚くな
り、マスク部2の膜厚よりも厚くなると、厚さ方向と共
にマスク部2の面方向(横方向)にも成長し、非マスク
部の画線幅よりも太くなる。
【0039】この状態のモデル図が図3に示される。す
なわち、マスク部2の面と同じ厚さの電着物3は、マス
ク部2により形成された電着画線幅と殆ど同じである
が、マスク部2′の面より電着物3′を若干厚く成長さ
せると画線幅よりも若干太り、マスク2″面よりも電着
物3″を更に厚くさせると太りの量は大きくなって電着
画線の精度も低下する。ただし、マスク2面よりも突き
出た電着物の線幅の太りは、電着条件にも依るので予め
実験数値を把握しておき設計時に参考にすれば、線幅制
御が可能である。
【0040】しかし実際の操作では、仮に、30μmの
膜厚印刷を希望するならばマスク部2の厚さを30μm
とし、それに合わせて電着を行なえばマスクパターンと
ほぼ同精度の電着物3が得られるので、精度の保持には
マスク面からあまり突出するような電着を行なわないよ
うにする事が好ましい。ただし、微小突出は精度を落と
さずに転写効果を向上させる効果がある(例えば、後述
する第4図(a)に示される)。
【0041】図4(a)、(b)は転写の概念図を示し
たものである。基板1上にマスク部2を有する印刷版の
非マスク部に、電着物3を形成した電着基板21(第4
図(a))から、当該電着物3を被印刷物5に転写する
には、電着基板21と被印刷物5とを密着した後、両者
を引き剥がす。すると、図4(b)に示されるように被
印刷物5面に電着物3が転写され、転写画線4が形成さ
れた印刷物22が得られる。
【0042】電着物3を転写した基板は、元の印刷版1
1となり反復して使用できる。図4(b)は印刷版11
と印刷物22との関係を示している。
【0043】印刷版に形成された電着物3は、基板1面
との関係により、転写の際に必ずしも剥離し易いとは限
らない。電着物3と基板1面との接着性が強い場合には
転写が困難になり、その場合には、例えば、図5に示さ
れるように、基板の電着面に剥離層6を形成して剥離を
容易にした剥離性印刷版51を作成して使用すればよ
い。剥離層6は基本的に導電性を阻害しない材料で、か
つ薄膜層にすることが望ましい。本質的に絶縁性の低い
材料であって且つ剥離性があるならばより好ましい材料
である。また、絶縁性が高い材料であっても、薄膜にす
ることによって基板の導電性を阻害しないので、十分に
使用し得る。
【0044】一方、基板面が剥離性であっても電着物3
に粘着性がなければ、確実に被印刷物5に転写できない
こともある。この場合には、図5に示されるように被印
刷物5面に粘着剤層7を予め形成した転写用被印刷物5
2を用い、その粘着性を用いて転写画線4を、確実に形
成させることが出来る。
【0045】また、図6に示されるように、前記図5で
説明した剥離性印刷版51に電着物3を1次電着で形成
した後、続けて電着性粘着剤層8を2次電着することも
出来る。この場合には、前記図5で説明した転写用被印
刷物52を用いずに無処理の被印刷物5を用いても転写
出来るので、被印刷物の選択範囲が増し又操作も簡便と
なる。
【0046】次に本発明の厚膜印刷方法に用いられる材
料及び処理工程等について説明する。
【0047】印刷版の基本材料には一般に導電性を備え
る基板を用いる。例えば鉄、銅、アルミニウム、亜鉛、
錫その他の汎用金属板等やカーボンその他の導電材料を
主成分とした導電性基板が好ましい。また、プラスチッ
クやセラミック・ガラス等の電気絶縁性材料でもその表
面に金属無電解めっき膜や導電性蒸着膜を形成したり、
金属箔を貼り合わせて表面を導電性にした基板も使用で
きる。
【0048】特に、大面積印刷の場合には基板寸法が変
化して見当不良を起こさないように、線膨張係数が小さ
く機械的応力に対して安定な金属板が好ましく、比較的
小面積印刷の場合には軽量で取扱やすい樹脂系フィルム
基板等を用いてもよい。
【0049】基板面に絶縁性マスクパターン(マスク部
2)を形成するにはフォトレジストを用いるのが簡便で
あり、一般には、市販の殆どのフォトレジストの利用が
可能である。基板面にフォトレジストを塗布・乾燥し、
パターン露光現像する方法で極めて一般的な方法であ
る。この変形法として、より使いやすいフォトレジスト
形成材料にドライフィルムがあり、これも一般的に用い
ることができる。
【0050】多数の同一パターンの印刷版を作成する場
合に、印刷法でレジストインキを印刷し、それをマスク
パターンとすることも出来る。
【0051】ただし、これらのマスク材料は有機物なの
で印刷版としての反復耐久性に欠けると思われる場合に
は、低融点ガラスその他の無機材料を塗布硬化させた
後、フォトエッチング法によって絶縁材料をエッチング
してマスク部を形成させ、高耐久性の版とすることが出
来る。
【0052】このように形成されるマスク部2の膜厚
は、前述した印刷膜厚と印刷精度を勘案して決定するこ
とが必要である。
【0053】電着液の液組成の主成分は、印刷版の電気
極性と反対の極性を持つイオン性高分子化合物と、着色
剤および/または印刷適性を与える材料(印刷適性材)
であり、その分散溶媒は水又は若干のアルコール添加水
である。もちろん、電着をスムースに行なうため、ある
いはさらに印刷適性を向上させるために、必要に応じて
各種の添加剤が副成分として用いられる。
【0054】電着液に含有される着色剤ないしは印刷適
性を与える材料について、以下説明する。
【0055】印刷物は、主として視覚的な用途が多いか
ら着色が重要である。電着液中に含有される着色剤とし
ては、顔料が主であり、一般的には、有機顔料が使用さ
れる。その使用例として、例えば、赤色にはブリリアン
トカーミン6B、レーキレッドCなど、黄色にはジスア
ゾイエロー、ベンジジンイエローなど、緑色にはフタロ
シアニングリーン、青色にはフタロシアニンブルー、ビ
クトリアブルーレーキなど、紫色にはメチルバイオレッ
トレーキ、ジオキサンバイオレットなど、橙色にはベン
ジルオレンジ、白色にはチタンホワイト、黒色にはカー
ボンブラック、無色には炭酸カルシウム、硫酸バリウム
などがよく用いられる。白色や無色顔料は、色濃度の調
整用などにも使用され、また顔料混合によって、それぞ
れ異なる色料とすることもある。これらの顔料は、一般
にサブミクロン粒径の微粒子として使用する。印刷適性
を与える材料(印刷適性材)は、例えば、転写性、固着
性、硬化性、光沢その他を満足させるために用いられ
る。
【0056】印刷適性材に関して、より具体的には、一
般インキで顔料を分散させ、印刷後に固着させる目的で
添加されるビヒクルが挙げられる。ビヒクル用樹脂とし
ては、ロジン変性フェノール、石油系樹脂、アルキッド
樹脂、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂その他が用い
られ、これらの樹脂とを、あまに油やきり油等と共に有
機溶剤中に溶解してビヒクルとする。
【0057】電着液の場合には、これらのビヒクルと顔
料を十分混練りしたインキ成分を有機溶剤で希釈し、後
述するイオン性高分子材料と適当な分散剤を含む水溶液
中においてエマルジョン化して、電着液とすることがで
きる。エマルジョンのインキ成分は数ミクロンまたはそ
れ以下の粒径が望ましい。
【0058】一方、イオン性高分子材料に顔料の結着性
あるいは固着性その他の機能があれば、一般インキのビ
ヒクル性能を保持することになるので前記ビヒクル用樹
脂類を含有させなくてもよい。この場合には、顔料とイ
オン性高分子材料とを主成分として十分に混練りし、顔
料を分散した後、適性量の水を加えて電着液とする。し
かし、一般には通常インキほどではないにしても、適当
量の前記ビヒクル樹脂と、イオン性高分子材料とを配合
したほうが印刷諸特性に適合させ易い(以上から、結着
性・固着性のあるマトリクス材料を印刷慣用語のビヒク
ルと総称することにする)。
【0059】また、紙を対象とした一般印刷以外の、例
えば、金属面印刷、建材面印刷、プラスチック面印刷そ
の他の任意材料面印刷には、それぞれ適性のあるビヒク
ル材料が異なるので、イオン性高分子材料のみでは適応
しきれないこともあって、両者が共存する場合の方が適
性電着液を調整するのに便利でもある。
【0060】従来から電着技術は、一般に、電着塗装そ
の他の塗布法に用いられており、有機イオン性材料、特
に有機高分子材料が主成分である。塗装や塗布を目的と
しているので着色剤或いは充填剤として無機や有機顔料
粉体等を含んでおり、イオン性材料が塗装用電極面に電
析されるときに本来イオン性を持たない顔料粒子も共析
させて着色塗装などが行なわれる。この場合、イオン性
材料は、非イオン性材料の担体であり、また結合剤的機
能をも有する。
【0061】電着液に含有されるイオン性材料としての
イオン性高分子化合物としては、天然樹脂系、合成油
系、アルキッド樹脂系、エステル樹脂系、アクリル樹脂
系、エポキシ樹脂系等種々知られている。アニオン型で
は古くからマレイン樹脂系やポリブタジエン樹脂系等
が、又カチオン型ではエポキシ樹脂系が多く、ポリブタ
ジエン樹脂系、メラミン樹脂系、アクリル樹脂系等の所
謂ポリアミノ樹脂系等もよく用いられている。
【0062】アニオン型はR- (例、R−COO- )、
カチオン型はR+ (例、R−NH+)の電離構造をとる
ので、アニオン電着では電着基板を+極に、カチオン電
着では−極にすることによって電気化学的に夫々の電着
剤を対応する電極版面に電析させることが出来る。
【0063】具体例として、例えば、紙面に厚膜印刷を
行なう場合には、簡単な基本組成例として、エポキシ樹
脂系カチオン水溶液中に顔料や充填剤微粉末を分散し、
電着印刷版11(第2図)を陰極とし、陽極に不溶性対
向電極を配した電着液中に直流電流を流せば、印刷版1
1の非マスク部(導電部)にエポキシ樹脂と顔料および
充填剤が電析される。そして、所定の膜厚に電着した後
に引き上げて水洗乾燥し、図4に示されるように被印刷
物(例えば、紙)と密着した後、引き剥がして紙面に固
着させ印刷を完了する。顔料や充填剤の量は、電着イン
キ中の硬さやマット性を付与し、ビヒクルは印刷後の結
着性・光沢等に関与する。特に光沢を得たい場合には、
光沢付与剤を添加してもよい。電着膜厚は、電着時間に
応じて厚くできるので、時間管理によって膜厚管理が容
易にできる。
【0064】電着速度を増すためには、電着電圧を増加
させるか、または電着物に導電性を与える(または、電
気抵抗を低下させる)と目的が達成できる。後者の場合
には、電着物質面への電流供給が電着物の低い電気抵抗
のために、厚さに関係なく容易にできるからである。
【0065】より電気抵抗が高い電着物では、より長い
電着時間を必要とする。また、誘電体材料で構成された
電着物では、電着膜厚の成長と共に抵抗が増大するの
で、膜厚を大きくするためには電着電圧を増大させなが
ら電着するが、材料によっては膜厚の増加に伴って抵抗
値が増加し過ぎて電流が流れなくなり、電着膜厚に上限
が出来ることもある。
【0066】印刷版11の非マスク部の上に形成された
電着物3を被印刷物5面に転写するに際し、電着物3と
印刷版11との接着が強すぎて転写が困難な場合には、
前述したように印刷版の電着面に導電性を阻害しない剥
離層6(図5,6)を予め形成させて剥離剤処理をして
おき、これによって転写を容易にすることが出来る。例
えば、汎用剥離剤であるシリコーン樹脂類は一般に電気
絶縁性のものが多いが、1μm以下の薄膜で形成してお
けば電着が可能であり且つ剥離性能も維持できる。従っ
て、シリコーン処理した面の電着物3は容易に剥離転写
が可能である。また、ふっそ樹脂系の処理をしてもよ
い。
【0067】印刷版11がステンレス板等の場合には、
図7に示されるように電着面に予めCu,Ni,Ag,
Snその他の金属薄膜60を1次電着し、次いで目的の
電着物3を電着した後、転写すると、図8に示されるよ
うに電着物3は金属薄膜60ごと被印刷物5面に転写さ
れるから、転写後に適当なエッチング液を用いて金属薄
膜60を溶解除去して目的を達成することが出来る。ス
テンレス面は電着される金属との親和性が弱く容易に剥
離する性質を持つからである。この場合の剥離用1次金
属電着では、電着される金属が導電性であるから厚さを
任意に設定出来るが、一般には1〜2μm程度が除去操
作も容易なので好ましい。また、目的によっては、あえ
て除去せずに表面金属光沢を有する印刷物としてもよ
い。
【0068】ところで、仮に電着物3に接着性がなく、
かつ転写が確実に行われない場合には、例えば被印刷体
面に予め接着剤を塗布して接着剤層7(図5)を形成し
ておき、次いで転写を行なう。
【0069】さらに、ある種の接着剤は、それ自体に導
電性を付与できるから、目的物を電着して電着物を形成
した後、続いて粘着性を有するイオン性電着性材料を電
着して粘着剤8(図6)を形成し、無処理の被印刷物5
面に転写することが出来る。この場合は、被印刷物面に
接着剤処理をする必要がないからより簡便である。
【0070】この種の粘着性を有するイオン性電着性材
料は、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系、ポリエステル
樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、その他によって作成
することが出来る。
【0071】また、このような粘着性を有するイオン性
電着性材料を、電着液中に含有せしめ、共存する顔料や
充填物の微粒子等を共析電着し、電着物に粘着性を与え
て電着後の転写を容易かつ確実にならしめることができ
る。あるいは、電着液中に熱可塑性接着剤成分を含有さ
せ、電着後の転写において熱転写操作を行うこともでき
る。熱転写操作については、後述する実施例で詳述す
る。この場合、熱可塑性接着剤成分としては、アクリル
樹脂系、ウレタン樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、ポリエス
テル樹脂系等が挙げられ、熱転写の温度としては、10
0〜300℃の範囲、圧力2〜20kg/cm2 の範囲
とすることが好ましい。加熱方法としては、熱ローラ
ー、熱板、赤外線加熱、その他の方法がある。
【0072】印刷版に電着された電着物の厚さは、前述
のように電気量に比例して定まるから通電時間や印加電
圧を調整することによって任意の厚さとすることができ
る。従って、厚膜印刷物に必要な厚さが定まれば、使用
する電着インキの抵抗などの特性に応じた電着条件を設
定することができ、また定電圧法あるいは定電流法のど
ちらかの方式を使用するかを定めておけば、作業の管理
も比較的に容易なものになる。
【0073】電着方法の特性として、電着物の成長はレ
ジストパターンの形状に忠実に成長する度合いが大きい
ので、電着物の厚さの割合に比して一般印刷法よりも高
い解像度が得られるので、より線密度の高い印刷物(細
線印刷物)を得ることができる。この特性は、従来彫刻
凹版(または蝕刻凹版)でのみしか得られなかったイン
キの盛り上がった、複雑優美な印刷物を得ることも可能
となり、熟練を必要とする非能率的な凹版印刷法の代替
印刷法としても利用することができる。
【0074】
【実施例】以下、具体的実施例を示し、本発明をさらに
詳細に説明する。なお実施例中、『部』とは『重量部』
を示す。
【0075】(実施例1)表面を研磨した厚さ0.1m
m、大きさ150mm×150mmのステンレス板上
に、市販のメッキ用フォトレジスト(ヘキスト社製、商
品名AZLP−10)を厚さ約10μmに塗布・乾燥
し、10ポイントの文字を主体とし、0.1mm弱の線
幅を持つ画線を含む写真原版(ポジ型)を密着して露光
した後、所定の処理法に従い現像・乾燥し、更に熱硬化
処理(120℃、15分)を行ない電着用印刷版を作成
した。
【0076】一方、カーボン微粉末30重量%、水溶性
成分を含まない印刷インキ要ビヒクル(主成分は、あま
に油およびロジン変性フェノールなど)70重量%から
なる黒色混合物40重量%と、電着担体としてカルボキ
シル基を有するアクリル系共重合体樹脂10重量%、中
和剤としてトリメチルアミン2重量%、エタノール10
重量%、水38重量%を混合撹拌してエマルジョン状態
のアニオン型電着液を得た。
【0077】上記電着用印刷版と白金電極を対向させ
て、上記電着液中に挿入し、直流電源の陽極側に電着用
印刷版を、陰極側に白金電極を、それぞれ、接続して、
40Vの電圧で20秒間電流を流して電着した。しかる
後、版を電着液中から引き上げ、これを水洗・乾燥して
厚さ約35μmの写真原版に対応する厚膜電着物を得
た。この厚膜電着物の電析物内には、電着の特性として
数%の水分を含むにすぎないため、電着後または水洗後
の水分は電着物の表面の付着水であり、エアーガンで吹
き飛ばすことによりほぼ指感的に乾燥状態を示した。ま
た、未乾燥の印刷インキ用ビヒクルを含むため指感的粘
着性をも示し、印刷用インキよりも硬い(高粘度)状態
であり、流動性は全く示さなかった。
【0078】次いで、印刷版面に上質紙およびコート紙
を、それぞれ、重ね、紙側から圧力5kg/cm2 のゴ
ムローラで圧着した後、両者を引き剥して電着物を紙面
に転移させた。ステンレス板の電着部に一部電着物の薄
層が残る部分もあり、線幅も電析時よりは若干太りぎみ
ではあったが、全体的には、所定の厚さ(約35μm)
でスクリーン印刷よりも良好な厚膜印刷を得ることがで
きた。なお、本実施例で用いた電着インキは、酸化重合
による硬化タイプであるので、印刷物は放置して乾燥
(硬化)させた。
【0079】(実施例2)実施例1において、電着用印
刷版作成の後、電着操作前に、その表面に市販の剥離剤
に使用しているシリコーン樹脂の希釈液を、塗布膜厚さ
約0.2μmにスピンナーを用いて塗布し、印刷版面に
剥離層を形成させ、次いで実施例1と同様に電着実験を
行った。シリコーン剥離層は薄いので、導電性が維持で
き、その面への電着を阻害せずに電析を行うことができ
た。この剥離処理によって、転写時の剥離性が向上し、
印刷版面へのインキ残りが全く見られず、紙の剥離が軽
くなり、転写操作は上記実施例1の場合よりも容易とな
った。線幅の精度も極めて良好であった。
【0080】(実施例3)実施例1において電着用印刷
版作成の後、インキ電着の前に、Cuの1次電着を約1
μmの厚さに行ない(下記に電着浴組成が示される)、
十分水洗いしてから水きりをし、そのままインキの2次
電着を行なった。次いで、電着面と白色ポリエステルフ
ィルム面とを密着させ、実施例1に準じてゴムローラー
転写を行ったところ、一次電着のCu箔と共にインキが
フィルム面に容易に転写された。次いで過硫酸アンモニ
ウム希薄溶液を用いて表面のCu箔をエッチング除去
し、水洗乾燥した。
【0081】転写時の剥離性は極めて良好で、軽い圧力
で転写できるので画線の太りも少なく精密な厚膜印刷物
が得られた。
【0082】 Cu電着浴組成(ピロ燐酸Cu浴) Cu227 ・3H2 O 94g/l K427 340g/l NH4 OH(28%) 3ml/l pH 8.8 電析速度(5A/dm2 ) 1.0μm/min. (実施例4)実施例1において、電着インキ成分を下記
のように変更して熱転写印刷を行った。それ以外は実施
例1と同様とした。なお、電着浴の作成は以下の通りで
ある。すなわち、アクリル樹脂70部、カーボン微粒子
20部、シリカ微粒子10部を熱時(230℃)混合
し、練りローラーで十分混練りして分散させた後、冷却
して黒色塊状物を得、次いで、これを微粉砕機としてよ
く用いられているジェット粉砕機で微粉砕して着色成分
とした。
【0083】この着色成分15部を、カルボキシ基含有
のアクリル系共重合体樹脂20部、トリメチルアミン5
部、エタノール15部、水60部からなる電着液中に十
分に分散させてアニオン型電着液とした。また、上記の
カーボンの代わりに、赤色顔料(ブリリアントカーミン
6B)、青色顔料(フタロシアニンブルー)、黄色顔料
(ベンジジンイエロー)を用いて各色の微粉末を作り、
上記と同様な要領で各色のアニオン型電着液を作成し
た。
【0084】電着用印刷版への電着操作は実施例1に従
い、約40μmの厚さに電着し、次いで、コート紙を重
ねた後、約200℃の熱転写ローラーを用いて回転圧着
して熱転写を行った(熱転写操作)。
【0085】電着物の転写は、良好に行われ、各色の厚
膜印刷を得ることができた。また、写真原版を変えて、
一枚の紙上に、文字を黒色、別々の画線を3色にそれぞ
れ転写して黒、赤、青、黄の画線を含む熱転写による美
麗な厚膜印刷物を得ることができた。
【0086】(実施例5)実施例4において、耐熱性の
弱い白色塩化ビニールフィルム面に室温転写を行うため
に、フィルム面に市販の粘着剤(日本カーバイト(株)
製、商品名PE−118)を約5μmの厚さに塗布し、
シリコーン剥離処理(実施例2に準じる)をした電着済
の印刷版面重ね合わせた後、ゴムローラーを用いて室温
で回転圧着し、次いでフィルムを引き剥して転写させ
た。その結果、精度の良好な転写物が得られた。
【0087】(実施例6)実施例4において、電着用印
刷版面に市販のシリコーン剥離液を塗布乾燥して、アク
リル樹脂系の電着インキ浴から30μmの厚さに1次電
着を行った。次いで、下記の組成で示されるアニオン型
アクリル樹脂系電着粘着剤浴中に移し、該電着粘着剤成
分を1次電着層上に、2次電着して表面に粘着性を与え
た。2次電着に際して、電圧は10V、粘着剤膜厚は5
μmであった。
【0088】次いで、電着用印刷版とコート紙を室温で
ローラー圧着して剥離することによって、コート紙上に
電着物が全て良好に転写され、単色および複数色の立体
感の有る美麗かつ繊細な35μmの厚さの厚膜印刷物を
得ることができた。
【0089】2次電着浴(粘着剤浴)組成 nブチルアクリレート982部、アクリル酸72部、ベ
ンゾイルパーオキサイド2部を反応溶液中で70℃、5
時間重合したのち、2000部のブチルセロソルブに溶
解したものを原液とした。この原液1000部とトリエ
チルアミン20部の混合液に脱イオン水3380部を撹
拌しつつ加えてアニオン型粘着剤浴とした。
【0090】(実施例7)上記実施例6において着色電
着剤と粘着電着剤を、同時に1度で電着し、電着物に粘
着性を付与することを試みた。
【0091】すなわち、実施例6の1次電着浴液(着色
剤浴)50部と2次電着浴液(粘着剤浴)50部を十分
に攪拌混合して、着色した電着浴とした。この浴槽中に
電着用印刷版を入れ、電圧10Vで厚さ50μmに電着
した。次いで電着用印刷版を引き上げ電着物を水洗・ブ
ロー乾燥した。電着物には粘着性が付与されていること
が確認された。この上に、コート紙を重ねてローラー圧
着し、コート紙上に電着物を転写印刷した。この印刷物
の状態は凹版印刷物のような感触を示すことが確認され
た。
【0092】
【発明の効果】以上のように、本発明の電着用印刷版に
よる厚膜印刷法を用いれば、被印刷物面に形成される画
線の印刷膜厚を厚くし、且つ簡易な操作で高精細な印刷
が可能となり、さらに印刷版の繰り返し使用における耐
久性に優れるとともに、被印刷物面への転写性に優れ、
安価で、さらには大面積印刷にも極めて有効な厚膜印刷
法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電着法の原理図を示したものである。
【図2】印刷版の原理構造図を示したものである。
【図3】非マスク部に、電着物が種々のパターンで電着
される状態、特に、マスク部の高さと電着物の厚さとの
関係により電着状態がどのように変わるかを説明するた
めの図である。
【図4】転写の概念を説明するための図である。
【図5】電着物の剥離性を向上させるための好適な印刷
版および被印刷物の構成例を示す図である。
【図6】電着物の剥離性を向上させるための好適な印刷
版および印刷方法を説明するための図である。
【図7】電着物の剥離性を向上させるための好適な印刷
版および印刷方法を説明するための図である。
【図8】電着物の剥離性を向上させるための好適な印刷
方法を説明するための被印刷物側の図である。
【符号の説明】
1…導電性を備える基板 2…マスク部 3…電着物 4…転写画線 5…被印刷物 6…剥離層 7…粘着剤層 8…電着性粘着剤層 11…印刷版 21…電着基板 22…印刷物 51…剥離性印刷版 52…転写用被印刷物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 3/06 H05K 3/18 - 3/24 C09D 5/44

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面に導電性を備える基板上
    に、電気絶縁性のマスクパターンを形成した電着用印刷
    版を、イオン性高分子化合物水溶液中に有機あるいは無
    機化合物からなる着色剤および/または印刷適性材を含
    有せしめた電着液中に投入し、該電着用印刷版を一方の
    電極とし対向電極板を他方の電極として直流電流を流
    し、電着液中の前記イオン性高分子化合物と共に前記着
    色剤および/または印刷適性材を印刷版面のマスクパタ
    ーン部以外の導電部に電積させて電着物を形成し、しか
    る後、当該電着物を被印刷物に転写する厚膜印刷方法で
    あって、 前記電着液中に熱可塑性接着剤成分を含有させ、電着後
    の転写において熱転写操作を行なうことを特徴とする厚
    膜印刷方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面に導電性を備える基板上
    に、電気絶縁性のマスクパターンを形成した電着用印刷
    版を、イオン性高分子化合物水溶液中に有機あるいは無
    機化合物からなる着色剤および/または印刷適性材を含
    有せしめた電着液中に投入し、該電着用印刷版を一方の
    電極とし対向電極板を他方の電極として直流電流を流
    し、電着液中の前記イオン性高分子化合物と共に前記着
    色剤および/または印刷適性材を印刷版面のマスクパタ
    ーン部以外の導電部に電積させて電着物を形成し、しか
    る後、当該電着物を被印刷物に転写する厚膜印刷方法で
    あって、 前記電着液中に、さらに粘着性を有するイオン性電着性
    材料を含有させ、このものを電着物と共析させて電着物
    に粘着性を与え、電着後の転写操作を行うことを特徴と
    する厚膜印刷方法。
  3. 【請求項3】 前記着色剤は、顔料および/または充填
    剤であることを特徴とする請求項1または請求項2に
    載の厚膜印刷方法。
  4. 【請求項4】 前記印刷適性材は、前記着色剤を分散お
    よび固着させるためのビヒクルであることを特徴とする
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の厚膜印刷方
    法。
  5. 【請求項5】 前記印刷版面の導電部に、導電性を阻害
    しない剥離剤処理を行った印刷版を使用することを特徴
    とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の厚膜
    印刷方法。
  6. 【請求項6】 前記印刷版面の導電部に、予め該導電部
    と接着性の弱い剥離性の金属薄膜を形成させた後、この
    金属薄膜の上に電着物を電着し、しかる後、これら電着
    物と金属薄膜とを共に被印刷物面に転写した後、さらに
    金属薄膜のみを溶解除去することを特徴とする請求項1
    ないし請求項4のいずれかに記載の厚膜印刷方法。
JP07284694A 1994-03-18 1994-03-18 厚膜印刷方法 Expired - Fee Related JP3478301B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07284694A JP3478301B2 (ja) 1994-03-18 1994-03-18 厚膜印刷方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07284694A JP3478301B2 (ja) 1994-03-18 1994-03-18 厚膜印刷方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07257011A JPH07257011A (ja) 1995-10-09
JP3478301B2 true JP3478301B2 (ja) 2003-12-15

Family

ID=13501165

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07284694A Expired - Fee Related JP3478301B2 (ja) 1994-03-18 1994-03-18 厚膜印刷方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3478301B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07257011A (ja) 1995-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE60310030T2 (de) Drucken durch differentialadhäsion
DE60106282T2 (de) Gel-verfahren zum drucken variabler informationen
US5458715A (en) Alignment transfer method
GB461716A (en) Improvements in metallic screens, stencils and the like and formation thereof
DE19857878A1 (de) Druckplatte und Verfahren zu deren Herstellung
JPS60432B2 (ja) 部分着色金属化粧板
DE19852415B4 (de) Festfarben-Druckoriginalplatte und Verfahren zur Herstellung derselben
EP0306932A2 (de) Druckform für das Hochdruckverfahren
US5037504A (en) Method of forming fine patterns
EP0432713A2 (de) Verfahren zur Herstellung von Bildern auf tonbaren lichtempfindlichen Schichten
DE19852456B4 (de) Festfarben-Druckoriginalplatte und Verfahren zur Herstellung derselben
EP0523567B1 (de) Bronze- oder Effektdruckfarbe und Verfahren zur Herstellung eines Bronze- oder Effekt-druckes
JP3478301B2 (ja) 厚膜印刷方法
JP3288471B2 (ja) 電着オフセット印刷方法および印刷版
TW455743B (en) Method for manufacturing a color filter
DE2906902C2 (de) Vorsensibilisierte Tiefdruckplatte
JP2966031B2 (ja) 微細パターンの形成方法
DE2415942A1 (de) Flachdruckmatrize
DE69909290T2 (de) Verfahren zur Herstellung eines wärmeempfindichen Elements durch Sprühbeschichtung
DE3941493C1 (ja)
DE102010052075A1 (de) Verfahren, Tiefdruckzylinder und Zusammensetzung zur Erzeugung einer Texturschicht auf flexiblen oder halbsteifen Substraten
JP3280780B2 (ja) 厚膜回路印刷方法
DE2416010A1 (de) Flachdruckmatrize
DE2258075A1 (de) Flexographisches druckverfahren, sowie verfahren zur herstellung einer flexographischen druckform
DE388753C (de) Verfahren zur Herstellung einer Tiefdruckform auf einer metallenen Flachdruckplatte

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081003

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091003

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101003

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111003

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees