JPH06292822A - 高濃度オゾン水製造方法及び高濃度オゾン水製造装置 - Google Patents

高濃度オゾン水製造方法及び高濃度オゾン水製造装置

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JPH06292822A
JPH06292822A JP8252092A JP8252092A JPH06292822A JP H06292822 A JPH06292822 A JP H06292822A JP 8252092 A JP8252092 A JP 8252092A JP 8252092 A JP8252092 A JP 8252092A JP H06292822 A JPH06292822 A JP H06292822A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高濃度で、半減期が長い利用価値が高いオゾ
ン水を経済性よく製造すること。 【構成】 液体ノズルとガスノズルとを有するエゼクタ
式ガスノズル17を用い、液体ノズルより反応槽1内の
原料用水A中に噴射用水Bを噴出し、噴射用水Bの噴流
による負圧によりオゾンガスを吸引してオゾンガスを微
細気泡状態にてガスノズルより原料用水A中に噴出さ
せ、オゾンガスによる微細気泡と原料用水Aとの間の気
液反応によりオゾンを原料用水A中に溶解せしめ、この
気液反応過程にて反応槽1内の原料用水Aの温度と圧力
の少なくとも何れか一方を定量的に制御し、この制御の
もとに高濃度オゾン水を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液相オゾンの利用ため
の半減期の長い高濃度のオゾン水の製造方法及び製造装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オゾン(O3 )は、化学的に不安定で、
通常、空気中でも水中でも数秒〜数十分で酸素(O2
に戻る性質を有しており、特に菌やカビ、藻などの微生
物あるいは悪臭を発する有機物に触れると、瞬間的に酸
素に戻る。オゾンは、この酸素に戻る時に強い酸化力を
持ち、その酸化力は天然元素中ではフッ素に次ぎ塩素の
7倍もあり、酸化スピードは塩素の約3000倍といわ
れている。
【0003】このような理由から、オゾンは、殺菌、脱
臭、脱色などの目的に、上下水道や廃水処理などの水処
理分野、超精密ドライ洗浄やクリーンルーム殺菌などの
半導体分野、 空気やフィルタの脱臭、殺菌など空調分
野、塗装や接着前の酸化などの表面処理分野、ゴム・プ
ラスチックや電気接点の劣化試験など酸化力を利用した
材料試験分野、手術用器具の殺菌や医療排出物の殺菌、
脱臭など医療分野など、大規模の産業に限らず、中小規
模の産業や、家庭用などにて広範囲、多岐にわたって利
用されている。
【0004】このオゾンの利用形態には、オゾンガス、
即ち気相オゾンを利用する場合と、水中にオゾンガスを
溶け込ませた液相オゾンを利用する二つの場合があり、
いずれの場合も、オゾンの強力な殺菌、脱臭、脱色力を
利用することは同じである。
【0005】気相オゾンも液相オゾンもその用途分野は
上述したように広範囲にわたっており、特に液相オゾン
は、表1に示されている如く、殺菌、脱臭及び脱色等、
上下水の浄化に使われるほか、養魚・畜産及び食品加工
などに利用されている。
【0006】
【表1】 オゾン水を生成(製造)する方法としては、オゾン−水
接触反応槽(オゾン反応槽)の底部に、直径30mm、
気孔径45〜50μm 程度の球形グラスフィルタか、
筒形の多孔質セラミック製オゾンガス散気管を設置し、
これにオゾン発生器(オゾナイザ)によって生成された
オゾンガスを送り、水中にオゾンガス気泡を送り込むこ
とにより気液反応させてオゾン水を作る方法が従来より
よく知られており、このオゾン水の製造方法は多くの分
野で最も一般的に多く用いられている。
【0007】ところで、気泡中から単位時間に水中に溶
解するオゾン量は式(1)で表わされる。
【0008】 QZ =KL a(KCG −CL ) …(1) ここで QZ :単位時間中に溶解するオゾン量(g) KL :総括物質移動係数 a :水中に存在する全気泡の表面積(m2 ) K :オゾンガスの水に対する分配係数 CG :オゾンガス濃度(g/m3 ) CL :水中のオゾン濃度(g/m3 ) 式(1)から解るように、ある条件にてオゾン水を生成
している時には、総括物質移動係数KL 、オゾンガスの
水に対する分配係数Kは変化しないから、オゾン水生成
の重要なパラメータは水中に存在する全気泡の表面積a
である。
【0009】この全気泡の表面積aは、気泡径、気泡の
上昇速度、反応槽の水深などで決まり、オゾンの溶解効
率を高くするためには、気泡径を小さく、反応槽の水
深、または密閉した反応槽内の水圧を大きくすることが
必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の如き従
来のオゾン水の製造方法では、反応槽の水深を大きくし
たり、反応槽内の水圧を大きくすると、反応槽の底部に
設置した球形グラスフィルタ、散気管に送るオゾンガス
の圧力を高くする必要が生じ、この圧力の増大に応じて
オゾンガス圧送のための動力が大きくなるから、実用上
は、反応槽の水深は数mが限度で、それ以上大きくでき
ない。このように反応槽内の水深は必要動力の経済性と
いう見地から限界があり、この要件によってオゾンガス
の水に対する溶解量は制約されてしまう。
【0011】気液接触によるオゾンの水に対する溶解に
於いては、気液接触する表面積の増大の観点から、気泡
径が小さい程、好ましいが、一般に使用されている球形
グラスフィルタ、散気管から放出される気泡の平均泡径
は約3mm程度あり、球形グラスフィルタ、散気管で
は、これより小さい平均気泡径を得ることが非常に困難
である。また、オゾンガスが水中に溶解するのは、球形
グラスフィルタ、散気管よりの発生気泡群が浮力により
反応槽を概ね垂直方向に直線的に上昇する過程のみであ
り、このため水に対するオゾンの溶解量よりも、水中を
上昇して散逸してしまうオゾンガス量の方が多い状態が
生じることがある。これではある目標時間内に、効率よ
く高濃度オゾン水を製造することができない。
【0012】これらのことから、従来は高濃度のオゾン
水を経済的に製造することが困難であり、このことがオ
ゾン水の実用的な、換言すれば商業的な有効利用範囲を
妨げていた。
【0013】オゾン水の有効利用を妨げているもう一つ
の大きな問題点は、水中オゾンの半減期が気相オゾンの
半減期に比べて桁違いに短いということである。水中オ
ゾンの半減期は、常温の中性の水で数十分程度とされ、
水のpHや温度、水中に介在している微量の有機物や無
機物により、その半減期はさらに短くなり、極端な場合
には秒単位のこともある。これは、水中の溶存オゾンが
これらの不純物を酸化するのに消耗してしまうのであ
る。したがって、このような場合には、目的のオゾン水
濃度を得るためには予め多量のオゾンを水中に溶け込ま
せる必要が生じてくる。
【0014】上述の如き事象に対処して水中オゾンの半
減期が長いオゾン水を得るためは、理論的には不純物が
殆んど存在しない純水または超純水を原料水として用い
ればよい訳である。しかし、この場合は、原料水コスト
からしてオゾン水の製造コストが高くなる。このため医
療器の殺菌などコストが高くてもよいような場合は別と
して、例えば食品加工場内の洗浄、野菜の洗浄殺菌など
の生鮮食品の製造分野、浄水場の殺菌、脱臭などの上水
処理分野などに於いては、もっと低コストのオゾン水で
なければ、オゾン水はコスト面で使用され得ない。
【0015】これらの問題に対して、オゾン水の半減期
に影響を及ぼす諸因子の研究が従来より種々なされてい
るが、オゾン水の半減期を、例えば4〜5時間、あるい
はそれ以上に延長することができるコストの安い原料水
とこれを用いたオゾン水の生成条件、すなわち実用でき
る低コストのオゾン水製造技術は未だ確立されていな
い。
【0016】本発明は、従来のオゾン水の製造に於ける
上述の如き問題点に着目してなされたものであり、経済
性よく、高濃度で、半減期が長い利用価値が高いオゾン
水を製造する方法、およびその製造方法の実施に使用す
るオゾン水製造装置を供給することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述の如き目的は、本発
明によれば、液体ノズルとガスノズルとを有するエゼク
タ式ガスノズルを用い、前記液体ノズルから高圧オゾン
反応槽内の原料用水中に噴射用水を噴出し、当該噴射用
水の噴流による負圧によりオゾンガスを吸引してオゾン
ガスを微細気泡状態にて前記ガスノズルより原料用水中
に噴出させ、当該オゾンガスによる微細気泡と原料用水
との間の気液反応によりオゾンを原料用水中に溶解せし
めることにより高濃度オゾン水を製造する高濃度オゾン
水製造方法によって達成される。
【0018】本発明による高濃度オゾン水製造方法で
は、pH値が3〜7の電解水、蒸溜水、脱イオン水の何
れかを原料用水として用い、原料用水の水温を不凍で1
5℃以下に保つことが好ましい。
【0019】また本発明による高濃度オゾン水製造方法
では、オゾンガスの原料ガスとして純酸素を用いること
が好ましい。
【0020】また上述の目的を達成するために、発明に
よる高濃度オゾン水製造装置は、原料用水を貯容する密
閉構造の高圧オゾン反応槽と、前記オゾン反応槽に噴射
用水を噴出し当該噴射用水の噴流による負圧によりオゾ
ンガスを吸引してこれを前記オゾン反応槽の原料用水中
に気泡として供給するエゼクタ式ガスノズルと、前記エ
ゼクタ式ガスノズルに対して高圧で噴射用水を供給する
高圧ポンプとを有していることを特徴としている。
【0021】本発明による高濃度オゾン水製造装置に於
いては、エゼクタ式ガスノズルは噴射用水を噴射用水源
より供給、あるいはオゾン反応槽の原料用水を噴射用水
として循環式に供給されるよう構成されていてよい。
【0022】
【作用】本発明による高濃度オゾン水製造方法によれ
ば、エゼクタ式ガスノズルを用いてオゾンガスを微細気
泡として原料用水中に噴出させるから、原料用水中に送
り込むオゾンガス気泡群の80%以上が直径10〜20
0μm、そして全気泡群の平均直径が100〜150μ
m程度の極微細気泡が原料用水中に安定かつ連続的に発
生存在する状態が得られ、オゾンガスと原料用水との気
液接触表面積が激増することになる。
【0023】この気液接触によるオゾン水製造方法に於
いては、原料用水の水圧を高めることによってオゾンガ
スの原料用水に対する溶解度(濃度)が向上する。
【0024】またこの気液接触によるオゾン水製造方法
に於いては、反応槽内の原料用水温度が定量的に制御さ
れ、これにより原料用水温度が5〜15℃に保たれ、こ
のことによりオゾンガスの原料用水に対する溶解度(濃
度)が向上する。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。
【0026】図1及び図2は本発明によるオゾン水製造
装置の一実施例を示している。このオゾン水製造装置は
オゾン反応槽1を有している。オゾン反応槽1は、密閉
構造の圧力槽により構成され、図示の実例例に於いては
円形横断面の円柱状をなしている。尚、オゾン反応槽1
は円形横断面円柱状以外の任意の形状構造のものであっ
てもよい。
【0027】オゾン反応槽1の底部近傍には原料用水入
口をなす逆止弁2が設けられており、逆止弁2には、原
料用水圧送管3、原料用水圧送ポンプ4、流量制御弁
5、原料用水供給管6が順に接続されている。これによ
りオゾン反応槽1には、電解水、蒸溜水、脱イオン水の
何れかよりなる原料用水Aが原料用水圧送ポンプ4によ
り加圧されて逆止弁2よりオゾン反応槽1へ圧送され
る。オゾン反応槽1へ圧送する原料用水Aの圧力は圧力
計7pにより、また流量は流量計7qにより各々監視さ
れる。
【0028】オゾン反応槽1の頂部近傍には原料用水出
口をなす吐出弁8が設けられており、吐出弁8はオゾン
水吐出管9によりオゾン水貯溜槽10と連通接続され、
オゾン水貯溜槽10はオゾン反応槽1にて生成されたオ
ゾン水を一時、貯溜するようになっている。オゾン水貯
溜槽10には排出弁11、排出管12が接続されてお
り、これによりオゾン水が外部に取り出されるようにな
っている。
【0029】吐出弁8は、設定圧可変型のプレシャレギ
ュレータとして構成され、圧力調整ばねの調整によりに
よりプレシャレギュレータ圧を所定の計画圧力に設定さ
れるようになっている。これによりオゾン反応槽1内の
原料用水の圧力が定量的に制御され、この圧力制御によ
ってオゾン反応槽1内の原料用水の圧力は0〜3kgf
/cm2 の範囲内の計画値に設定される。オゾン反応槽
1内の原料用水Aの圧力は圧力計13により監視され
る。
【0030】オゾン水貯溜槽10内には熱交換器14が
配置されている。熱交換器14は、冷凍機15と接続さ
れて冷却媒体を循環供給され、オゾン反応槽1内の原料
用水の冷却を行うようになっている。これによりオゾン
反応槽1内の原料用水の温度が定量的に制御され、この
温度制御によってオゾン反応槽1内の原料用水の温度は
不凍で15℃以下、より好ましくは3〜10℃の範囲内
の計画値に設定される。オゾン反応槽1内の原料用水の
温度は温度計16により監視される。
【0031】オゾン反応槽1の周壁部の底部近傍にはエ
ゼクタ式ガスノズル17が装着されている。エゼクタ式
ガスノズル17は、噴射用水槽18に貯容された噴射用
水Bを噴射し、この水Aの噴流による負圧によりオゾン
ガスを吸引してこれを噴出用水Bと共にオゾン反応槽1
に気泡として供給する。このエゼクタ式ガスノズル17
は、図2によく示されている如く、オゾン反応槽1の接
線方向に噴射を行うよう、取付方向姿勢を設定されてい
る。
【0032】エゼクタ式ガスノズル17が噴射する噴射
用水Bはオゾン反応槽1内の原料用水Aと同一、あるい
は原料用水Aとは異なった種類の水であってよい。
【0033】噴射用水槽18には液体圧送ポンプ19が
設けられている。この噴射用水圧送ポンプ19は、下端
部にフィルタ20を取り付けた液体汲み上げ管21より
噴射用水槽18の噴射用水Bを吸引し、吸引した噴射用
水Bを加圧して噴射用水圧送管22へ圧送する。この噴
射用水圧送管22はエゼクタ式ガスノズル17と接続さ
れ、噴射用水圧送管22の途中には噴射用水の流量制御
弁23と流量計24と圧力計25と温度計26が取り付
けられている。
【0034】噴射用水の流量制御弁23は可変絞り式の
通常の流量制御弁であってよく、これは、手動操作、あ
るいはアクチュエータを用いて遠隔操作され、液体圧送
管22を流れる噴射用水Bの流量を定量的に制御(換言
すれば可変設定)するようになっている。
【0035】噴射用水流量制御弁23よりエゼクタ式ガ
スノズル17側の噴射用水圧送管222には、これによ
り分岐して噴射用水Bを噴射用水槽20に戻すための噴
射用水還流管27が接続されている。噴射用水還流管2
7の途中には噴射用水圧力制御弁28が取り付けられて
いる。
【0036】噴射用水圧力制御弁28は、リリーフ圧を
定量的に可変設定できる設定圧可変型のリリーフ弁であ
ってよく、エゼクタ式ガスノズル17に圧送する噴射用
水Bの圧力を定量的に制御するようになっている。
【0037】噴射用水槽18には図示されていない噴射
用水源より噴射用水Bが、途中に開閉弁30を有する噴
射用水供給管31によって補給されるようになってい
る。噴射用水槽18の噴射用水Bの温度は温度計32に
より監視される。
【0038】次に図3、図4を用いてエゼクタ式ガスノ
ズル17について説明する。エゼクタ式ガスノズル17
は特平公1−33211号公報(特許第1549061
号)に示されているエゼクタ式ガスノズルと等価の構造
のものである。エゼクタ式ガスノズル17はノズル本体
57を有しており、ノズル本体57には噴射用水圧送管
22に接続されて噴射用水Bを圧送する噴射用水通路5
9が形成されている。ノズル本体57の先端側には液体
ノズル部材61が着脱可能に嵌合装着されており、液体
ノズル部材61の先端部にはノズル本体57の先端面中
心部より前方へ突出するノズル細管65が精密嵌合によ
り固定装着されている。ノズル細管65に形成された液
体噴孔63は、噴射用水通路59と連通しており、噴射
用水通路59より噴射用水Bを圧送されて、これを前方
へ噴出するようになっている。この場合、ノズル細管6
5の外径d1 は0.6〜1.6mm、内径d2 即ち液体
噴孔63の口径は0.3〜1.2mm程度であってよ
い。
【0039】ノズル本体57には吸引ガス通路67が形
成されており、吸引ガス通路67は一端にてニップル6
9によりオゾンガス吸引管29と接続されている。ノズ
ル本体57の円筒部外周にはノズル取付フランジ部72
を有する筒状のアウタケース73がOリング75により
気密状態にて嵌合装着されている。吸引ガス通路67は
他端にてノズル本体57とアウタケース73との間に形
成された環状通路76に連通している。環状通路76
は、ノズル本体57の液体ノズル部材装着部の周りに形
成されてノズル本体57の先端面に開口した複数個の吸
引ガス通路77の各々と連通している。
【0040】ノズル本体57の先端部外周には、ガスノ
ズル位置決め用のスペーサリング81とシムリング83
がOリング79により気密に着脱可能に嵌合装着され、
更にキャップ状のガスノズル部材85が交換可能にねじ
係合により固定装着されている。ノズル本体57の先端
面とガスノズル部材85との間には吸引ガス通路77と
連通関係にある吸引ガス室86が形成されており、この
吸引ガス室86の中心部にノズル細管65がこれを横切
って延在している。
【0041】ガスノズル部材85の先端部中央には吸引
ガス室86よりガスノズル部材85の先端面に開口した
ガス噴孔87が形成されている。ガス噴孔87は、ノズ
ル細管65の外側にこれと同心に形成され、液体噴孔6
3の軸心と同心位置にて液体噴孔63からの液体噴出方
向に沿って延在する平行通路部89を備えている。この
平行通路部89の長さLは1〜6mm程度に設定され、
内径dgは0.8〜2.0mm程度に設定されてよい
(図4参照)。
【0042】上述の如き寸法設定によりノズル細管65
の外周面と平行通路部89の内周面との間にガスリング
層が形成され、このガスリング厚さδgは(dg−d1
)/2により決まり、これは0.1〜0.2mmの範
囲に設定される。また平行通路部89の始端に対するノ
ズル細管65の先端の相対位置ΔLは0〜−6mm程度
に設定され、この調整は厚さが異なったシムリング83
の交換により行われる。
【0043】尚、ΔLの値が負であることは、ノズル細
管65の先端が、図4に於いて平行通路部89始端の左
側に位置することを意味し、ΔLの値が正であること
は、ノズル細管65先端が平行通路部89始端の右側に
位置することを意味する。
【0044】上述のオゾンガス吸引管29は、エゼクタ
式ガスノズル9に吸引されるオゾンガス吸引量とその発
生量がマッチングするよう選定されたオゾナイザ(オゾ
ンガス発生器)30と連結されている。
【0045】オゾナイザ33に与えるオゾンガスの生成
用の原料ガスはボンベ34に充填された乾燥空気または
純酸素であり、これらの原料ガスは減圧弁35により大
気圧程度にまで減圧されて原料ガス供給管36によって
オゾナイザ30に供給される。
【0046】尚、原料ガス供給管36には原料ガスの圧
力、流量を監視する圧力計37、流量計38が接続され
ている。
【0047】オゾナイザ33で生成されたオゾンガス
は、微少流量可変絞りを有する吸引ガス微少流量制御弁
39により流量を定量制御され、オゾンガス吸引管29
によってエゼクタ式ガスノズル9に供給される。
【0048】次に上述の如き構成よりなるオゾン水製造
装置の作用について説明する。
【0049】オゾン水の製造を行うに際しては、液体圧
送ポンプ19が運転され、これにより噴射用水槽18の
噴射用水Bが加圧されて噴射用水圧送管22へ圧送され
る。噴射用水Bは噴射用水流量制御弁23により流量を
制御される。また噴射用水圧力制御弁28が噴射用水B
の圧力に応じて開弁し、余剰の噴射用水Bが噴射用水還
流管27を通って噴射用水槽18に戻される。これより
噴射用水圧送管22の噴射用水Bの圧力が噴射用水圧力
制御弁28のリリーフ圧に応じて調整される。
【0050】これによってエゼクタ式ガスノズル17の
液体通路59には、噴射用水流量制御弁23により流量
を制御され、また噴射用水圧力制御弁28により圧力を
調整された噴射用水Bが連続的に圧送される。従ってエ
ゼクタ式ガスノズル9の液体通路59に供給される噴射
用水Bの流量は噴射用水流量制御弁23の流量設定値に
応じて定量的に可変設定され、またこの噴射用水Bの圧
力は噴射用水圧力制御弁28の設定リリーフ圧に応じて
定量的に可変設定されることになる。
【0051】エゼクタ式ガスノズル17の液体通路59
に供給された噴射用水Bは液体ノズル部材61内を通過
してノズル細管65の液体噴孔63よりガス噴孔87へ
向けて高速噴出される。この噴射用水Bの噴流束の外周
部には噴射用水Bの噴出流速に応じて負圧が発生し、こ
れによりオゾナイザ33により生成されたオゾンガスが
吸引ガス微少流量制御弁36により流量を定量的に計量
されつつ吸引ガス室86に入る。この吸引ガス室86に
入ったオゾンガスは、図5に模式的に示されている如
く、噴射用水Bの噴流束の外周部に沿ってガス噴孔87
の平行部通路89内に吸い込まれ、噴射用水Bの噴流に
よりC点で剪断されて微細な気泡となって噴射用水Bに
よる噴流ジェットと共にオゾン反応槽1内の原料用水A
中へ噴出する。
【0052】尚、図5は、上記したオゾンガスの微細気
泡発生のメカニズムを、上述のエゼクタ式ガスノズル1
7と同一構造の可視化実験用エゼクタ式ガスノズルにて
顕微鏡観察し、また超高速写真撮影により観察した結果
を模式的に示したものである。
【0053】上述の如きエゼクタ式ガスノズル17より
原料用水A中に送り込むオゾンガスの微細気泡は、その
気泡群の80%以上が直径10〜200μmで、全気泡
群の平均直径が100〜150μm程度の極微細気泡と
なり、このオゾンガスの極微細気泡が原料用水A中に安
定かつ連続して供給されることにより、オゾン反応槽1
内に於けるオゾンガスと原料用水Aとの気液接触表面積
が激増することになる。
【0054】これにより、上述の式(1)に於ける全気
泡の表面積aが激増し、単位時間中に原料用水A中に溶
解するオゾン量QZ が全気泡表面積aの増加に応じて増
大するようになる。
【0055】この極微細気泡の平均直径が150μmで
あるとすると、多孔質のセラミック製などの散気管から
得られる平均直径が約3mm程度の気泡の場合に対して
表面積が400倍、同じく100μmの場合には900
倍となり、前述した式(1)から理解される如く、単位
時間に原料用水A中に溶解するオゾン量QZ は従来技術
のそれに対して比較にならない程桁違いに大きいものに
なり、高濃度のオゾン水が製造されるようになる。
【0056】この場合、エゼクタ式ガスノズル17のノ
ズル細管65からオゾン反応槽1内の原料用水A中に噴
出する噴射用水Bの噴流ジェットの速度が20〜50m
/secになるよう、噴射用水Bの圧力を液体圧送ポン
プ19の吐出圧、噴射用水圧力制御弁28の設定圧より
5〜10kgf/cm2 の範囲内で調整する。この噴射
用水Bの圧力調整は、気体の圧力制御に比して容易にで
きるので、オゾン反応槽1内の原料用水Aの水圧が高く
ても20〜50m/secの噴出速度は容易に得られ、
昇圧された原料用水A中にも極微細気泡を安定かつ連続
的に大量発生させることができる。
【0057】これに対し、反応槽の底部に複数個設置し
た多孔質のセラミック製散気管による従来法の場合は、
反応槽内の水圧が散気管に直接作用するので、圧送オゾ
ンガス圧をその水圧に打ち勝つだけ高くする必要があ
り、コンプレッサ動力が、エゼクタ式ガスノズルの場合
と比較にならないほど大きいものになる。
【0058】反応槽内での原料用水に対するオゾンガス
の溶解量を大きくするためには、上述の如く、槽内水圧
を0〜3kgf/cm2 の範囲内で高くすることが望ま
しいので、気泡径が多孔質のセラミック製散気管による
場合に比して比較にならないほど小さく、しかも20〜
50m/secの液体噴出速度が槽内水圧に関係なく得
られるエゼクタ式ガスノズルによる極微細気泡を利用す
る本発明の方法は、従来の方法と比較して非常に優れて
いることが理解されよう。
【0059】次に原料用水の種類と高濃度オゾン水の生
成条件について説明する。
【0060】この生成条件としては、次に示す事項が考
えられる。
【0061】(1) 純水オゾンの溶解度及び分解度と温度
との理論的関係 (2) 気中濃度を10mg/リットルとした場合の水温と
水中オゾン濃度の関係 (3) 同一温度と圧力下における水中オゾン濃度と空気中
オゾン濃度との比(分配係数) ここで、オゾン水濃度及び半減期と、これに影響を及ぼ
す諸因子との相互関係を実験的研究に明らかにし、これ
により実用的な高濃度オゾン水及び長い半減期のオゾン
水の生成条件を決定する。
【0062】そこで本発明によるオゾン水の製造方法に
従ってエゼクタ式ガスノズルを使用し、原料用水中に放
出するオゾンガス気泡の直径が殆んどが10〜200μ
mの極微細オゾンガス気泡である場合に於て、高濃度オ
ゾン水の生成に影響を及ぼす因子を原料用水の種類(水
道水、蒸溜水、脱イオン水及び電解水)とし、原料用水
の水温及び原料用水のpH値が、オゾン水濃度及びその
半減期に及ぼす影響を下記条件による実験により見い出
した。
【0063】原料ガス …乾燥空気 エゼクタ式ガスノズルからの液体噴出圧力…PL =5k
gf/cm2 吸引オゾンガス流量 …Qg=0.25リットル/mi
n オゾンガス濃度 …Gg=3500ppm 水槽容量 …L=30リットル 水槽循環流量 …QL =0.3リットル/min 使用液体ノズル …ノズル外径d1 =0.8mm ノズル内径d2 =0.59mm ガス噴孔平行通路部内径dg =1.0〜1.2mm ガス噴孔平行通路部長さL=1〜6mm ガスリング厚さδg =0.1〜0.2mm ノズル間隔ΔL=0〜−6mm 図6及び図7はこれらの実験結果のうち、原料用水に対
する生成オゾン濃度と時間の関係、原料用水としての水
道水の温度に対する生成オゾン濃度及び半減期の関係を
示している。
【0064】表2は、全ての実験結果を解析、検討し、
得られた結論を一覧表に要約して示したものである。
【0065】
【表2】 いま、半減期の望ましい最低基準を5時間として表2の
実験結果からこの基準を満足するものを抜粋すると下記
となる。
【0066】水温13℃、pH値3及び5の電解水…半
減期th がほぼ6.5時間 水温13℃、pH値7の蒸溜水 …半減期th がほ
ぼ11時間 水温13℃、pH値7及の脱イオン水…半減期th がほ
ぼ14.7時間 オゾンガスの原料用水中への溶解度に関しては、一定の
温度においては、一定量の液体に溶ける気体の質量は気
体の圧力に比例する、というヘンリーの法則が存在す
る。また、あるオゾン濃度(Y)をもつ空気の曝気によ
って水中(蒸溜水)に溶解される溶解量(C)は、圧力
が一定ならば水温(Tw)の関数として以下の式(2)
で表される。
【0067】C={0.604(1+Tw/273)
Y}/(1+0.063Tw)…(2) これらの理論
によると、原料用水中へのオゾンの溶解度は気体の圧
力、すなわち気泡を送り込むオゾン反応槽内の原料用水
の水圧に比例して大となり、圧力が一定ならば原料用水
の温度が低いほど大となるということが理解できる。
【0068】そこで、表2の実験結果とこれらの理論を
勘案し、実際上の技術的条件から半減期を5時間以上と
した場合のオゾン水生成用の原料用水の種類と水温、p
H値、水圧の適合条件は表3に示した値とすることがで
きる。
【0069】
【表3】 なお、表3のうち、蒸溜水及び脱イオン水は、医療機器
の滅菌、半導体工場の原料、加工水の殺菌など、オゾン
水のコスト高を許容する分野に使用し、一般的な殺菌、
脱臭、脱色などにはpH値4〜5前後の電解水を原料用
水として使用する。
【0070】次に原料ガスとして、純酸素を用いた場合
について検討する。
【0071】すなわち以上のオゾン水生成実験は、原料
ガスとして乾燥空気を用いた場合であるが、その時に得
られたオゾン水の最高到達濃度は、表2から分かるよう
に、約1ppm弱が限度である。
【0072】オゾン水の使用例は表1に示してあるが、
このうちオゾンの食品分野への利用を更に詳しく見る
と、それは表4の通りである。
【0073】
【表4】 この表4から分かるようにオゾンの利用分野の主たる分
野は微生物の殺菌である。そこで、オゾン水の殺菌力と
その水中オゾン濃度との関係を調べると、それは表5の
通りである。
【0074】
【表5】 この表5から理解できるように、水中オゾン濃度が1p
pmあると、殆んどの菌及びウイルスは接触時間が僅か
に5秒、すなわち即死の状態で、100%死滅すること
がわかる。したがって、オゾン水を作る場合、半減期4
〜5時間以上が過ぎても、このような滅菌効果を発揮で
きるようにするためには、生成オゾン水の濃度を2pp
m以上にすることが望ましいということになる。これは
高濃度オゾン水である。
【0075】ところが表2の実験結果は原料ガスとして
乾燥空気を用いた場合で、その最高到達濃度は約1pp
m弱が限度である。表3に示したように、水温を低く
し、オゾン反応槽内の水圧を0〜3kgf/cm2 囲内
で高くすれば、このオゾン水濃度は1ppm以上になる
と、推論できるが、更により効果的な手段は、原料ガス
として純酸素を使用することである。原料ガスを乾燥空
気から純酸素にすると、生成オゾンガス濃度は2倍以上
になる。
【0076】原料ガスを乾燥空気から純酸素にすると、
生成オゾンガス濃度が2倍以上になることを確認するた
めに実験を行ったところ、図8に示されている如きの実
験結果が得られた。この実験結果からわかるように、原
料ガス流量が約3.3l/minに於ける最高到達オゾ
ンガス濃度は、原料ガスが乾燥空気の場合約3000p
pmであるのに対して、原料ガスを純酸素とした場合の
それは約6500ppmであり、これは乾燥空気を原料
とした場合の2.17倍である。このことから、原料ガ
スに純酸素を用いて、表3の条件でオゾン水を生成すれ
ば、生成オゾン水濃度は2ppm以上になる。このこと
から原料ガスを純酸素としたオゾン水は、半減期の4〜
5時間に至ってもその濃度が1ppm以上となり、表5
の殺菌効果を維持するが保証できる。
【0077】図9は本発明によるオゾン水製造装置の他
の実施例として、バッチ式のオゾン水製造装置を示した
ものである。尚、図9に於いて、図1に対応する部分は
図1に付した符号と同一の符号により示されている。
【0078】この実施例に於いては、オゾン反応槽1内
には反応槽上方の原料用水供給管7より原料用水Aが送
水開閉弁(流量制御弁)5を経て供給され、オゾン反応
槽1内には一定量の原料用水Aが充填される。
【0079】このオゾン反応槽1内の原料用水Aは上述
の実施例と同様に熱交換器14により所定の温度に冷却
されるようになっている。実用的には原料用水Aの温度
は3〜10℃の範囲内の計画値で冷却され、その温度は
適宜の温度計により管理される。
【0080】オゾン反応槽1内にて気液反応を完了して
所定の濃度になったオゾン水は吐出弁8よりオゾン水送
出管12へ取り出されるようになっている。
【0081】オゾン反応槽1の周壁部の底辺近傍には、
上述の実施例と同様に、エゼクタ式ガスノズル17がガ
スノズル先端から噴出される噴流ジェットによって槽内
の原料用水Aを旋回させるような姿勢位置をもって1個
または複数個装着されている。
【0082】噴射用水圧送ポンプ19は、図1の連続式
の場合とは違って、オゾン反応槽1底部周壁面に設けら
れフィルタ22を装着された原料用水送出口40より、
オゾン反応槽1内に於ける気液反応中の原料用水Aを、
噴射用水として開閉弁41を介して吸引し、これを加圧
して噴射用水送出管22へ圧送するようになっている。
この噴射用水圧送管22は、上述の実施例と同様に、途
中に噴射用水流量制御弁23などを含んでエゼクタ式ガ
スノズル17と接続されている。
【0083】噴射用水流量制御弁23よりエゼクタ式ガ
スノズル9側の噴射用水圧送管24には、これより分岐
して余剰の噴射用水をオゾン反応槽1に戻すための噴射
用水還流管27が接続され、噴射用水還流管27の途中
には噴射用水圧力制御弁28が取り付けられている。
【0084】これを要するに、図1の連続式のオゾン水
製造装置は、噴射用水槽18内に供給した噴射用水Bを
エゼクタ式ガスノズル17からオゾン反応槽内に噴出さ
せるワンウェイ方式であるのに対して、図9のバッチ式
のオゾン水製造装置は、噴射用水としてオゾン反応槽1
内に於ける気液反応中の原料用水Aを用い、これを循環
式に使用する、すなわちグローズドウェイ方式であり、
オゾン反応槽1内に於ける気液反応中の原料用水Aがエ
ゼクタ式ガスノズル17よりの噴射用水Bにより希釈さ
れることがない。
【0085】以上の説明より明かな如く、本発明によれ
ば、半減期が4〜5時間以上で、殺菌、脱臭、脱色(表
1参照)に有用な高濃度オゾン水(原料ガスが乾燥空気
の場合1ppm以上、同じく純酸素の場合は2ppm以
上)を容易に生成することができる。
【0086】表1の水中濃度の欄に示している如く、普
通の場合、0.4〜0.5ppmの濃度があれば殆んど
の利用分野において、殺菌、脱臭、脱色の効力を発揮す
ることができるので、乾燥空気を原料ガスとした濃度1
ppmの生成オゾン水でも、半減期の4〜5時間が経過
しても十分利用できることが分かる。特に、原料ガスを
純酸素にした場合には、半減期の4〜5時間が経過した
後でもオゾン水濃度として1ppm以上の値が期待でき
るので、表4に示した食品分野などに特に多い細菌及び
ウイルス等の滅菌を100%行うことができる。
【0087】また表2の実験結果及び半減期が4〜5時
間以上高濃度オゾン水の生成条件から容易に理解できる
ように、原料用水を蒸溜水または脱イオン水とした場
合、12時間前後と半減期が非常に長い高濃度オゾン水
を製造することができる。原料用水が蒸溜水または脱イ
オン水よりなるイオン水は、原料用水の製造コストが電
解水のそれに比して高いので、その用途を限定される
が、医療機器類の完全滅菌、医療排出物の滅菌、脱臭、
半導体製造分野における洗浄用水の殺菌、浄化等、コス
トよりはその効果に重点を置く分野にて利用価値があ
る。この場合のイオン水の製造装置は図9に示されたバ
ッチ式のものが適当である。
【0088】低コスト、大量生産という見地からすれ
ば、pH値が3〜5.5の電解酸性水を原料用水とした
高濃度オゾン水が最も利用価値がある。原料用水が乾燥
空気の場合1ppm以上、原料用水を純酸素とした場合
2ppm以上の高濃度オゾン水を製造できるから、半減
期の4〜5時間に注意した管理を行えば、表1に示した
全ての利用分野で有効利用できる。その製造装置は図1
に示されている如き連続オゾン水製造装置が最適である
が、図9のバッチ方式の装置も並列、交互使用すれば、
連続生産も可能である。
【0089】本発明によるオゾン水製造方法により製造
されるオゾン水の他の利用方法は、半減期が4〜5時間
以上という高濃度オゾン水の利点を利用して、これを例
えば魔法瓶と同一原理の高濃度低温オゾン水を保冷する
断熱密閉容器に入れれば、これをスーパーマーケット、
食品工場、殺菌、脱臭、脱色効果を利用したい作業現場
に運搬することができる。その作業現場で、断熱容器内
のオゾン水を容器に直結したポンプ、その他の手段方法
で取り出し、これに連結した噴霧器からオゾン水をスプ
レーしたり、散布して、例えばスーパーマーケットの食
品売場に置かれた食品類や、作業を終了した食品工場及
び食品機械の殺菌、脱臭などに使用することができる。
すなわち、地域毎にオゾン水製造ステーションを設置し
て、高濃度オゾン水を製造し、これを大小容器の断熱、
密閉保冷容器に充填して、殺菌、脱臭、脱色効果を利用
したい作業現場まで運搬し、それぞれの作業現場で半減
期までの有効時間内で使用するオゾン水利用システムを
完成することができる。
【0090】この半減期が4〜5時間以上と長い高濃度
オゾン水利用システムは規模を一層大きくして製造した
高濃度低温オゾン水を車載した保冷用大容量断熱密閉容
器に入れ、これを例えばゴルフ場のグリーンまで車輌運
搬して、オゾン水をグリーンにスプレー散布すれば、グ
リーンの無農薬病虫害防除ができるので、非常に有用で
ある。
【0091】以上に於ては、本発明を特定の実施例につ
いて詳細に説明したが、本発明は、これに限定されるも
のではなく、本発明の範囲内にて種々の実施例が可能で
あることは当業者にとって明らかであろう。
【0092】
【発明の効果】本発明による高濃度オゾン水製造方法に
よれば、エゼクタ式ガスノズルを用いてオゾンガスを微
細気泡として原料用水中に噴出させるから、原料用水中
に送り込むオゾンガス気泡群の80%以上が直径10〜
200μm、そして全気泡群の平均直径が100〜15
0μm程度の極微細気泡が原料用水中に安定かつ連続的
に発生存在する状態が得られ、オゾンガスと原料用水と
の気液接触表面積が激増する。また、原料用水の水圧を
高めることによりオゾンガスの原料用水に対する溶解度
を向上させることができる。そして高濃度で、半減期が
長く、利用価値が高いオゾン水を低コストにて経済性よ
く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるオゾン水製造装置の一実施例を示
すブロック線図である。
【図2】本発明によるオゾン水製造装置に用いられるオ
ゾン反応槽の一実施例を示す概略平面図である。
【図3】本発明によるオゾン水製造装置に用いられるエ
ゼクタ式ガスノズルの一実施例を示す縦断面図である。
【図4】本発明によるオゾン水製造装置に用いられるエ
ゼクタ式ガスノズルの噴孔部を拡大して示す縦断面図で
ある。
【図5】エゼクタ式ガスノズルによるオゾンガスの微細
気泡発生のメカニズムを模式的に示す説明図である。
【図6】原料用水に対する生成オゾン濃度と時間の関係
を示すグラフである。
【図7】原料用水としての水道水の温度に対する生成オ
ゾン濃度及び半減期の関係を示すグラフである。
【図8】原料ガスが乾燥空気である場合と純酸素である
場合に於ける生成オゾンガス濃度の特性を示すグラフで
ある。
【図9】本発明によるオゾン水製造装置の他の実施例と
して、バッチ式のオゾン水製造装置を示すブロック線図
である。
【符号の説明】
1 オゾン反応反応槽 2 逆止弁 4 原料用水圧送ポンプ 8 吐出弁 10 オゾン水貯溜槽 14 熱交換器 15 冷凍機 17 エゼクタ式ガスノズル 18 噴射用水槽 19 液体圧送ポンプ 30 オゾナイザ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正内容】
【請求項7】 エゼクタ式ガスノズルはオゾン反応槽の
原料用水を噴射用水として循環式に供給されるよう構成
されていることを特徴とする請求項4に記載の高濃度オ
ゾン水製造装置。
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 高濃度オゾン水製造方法及び高濃度オ
ゾン水製造装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液相オゾンの利用ため
の半減期の長い高濃度のオゾン水の製造方法及び製造装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オゾン(O3 )は、化学的に不安定で、
通常、空気中でも水中でも数秒〜数十分で酸素(O2
に戻る性質を有しており、特に菌やカビ、藻などの微生
物あるいは悪臭を発する有機物に触れると、瞬間的に酸
素に戻る。オゾンは、この酸素に戻る時に強い酸化力を
持ち、その酸化力は天然元素中ではフッ素に次ぎ塩素の
7倍もあり、酸化スピードは塩素の約3000倍といわ
れている。
【0003】このような理由から、オゾンは、殺菌、脱
臭、脱色などの目的に、上下水道や廃水処理などの水処
理分野、超精密ドライ洗浄やクリーンルーム殺菌などの
半導体分野、 空気やフィルタの脱臭、殺菌など空調分
野、塗装や接着前の酸化などの表面処理分野、ゴム・プ
ラスチックや電気接点の劣化試験など酸化力を利用した
材料試験分野、手術用器具の殺菌や医療排棄物の殺菌、
脱臭など医療分野など大規模の産業に限らず、中小規模
の産業や、家庭用などにて広範囲、多岐にわたって利用
されている。
【0004】このオゾンの利用形態には、オゾンガス、
即ち気相オゾンを利用する場合と、水中にオゾンガスを
溶け込ませた液相オゾンを利用する二つの場合があり、
いずれの場合も、オゾンの強力な殺菌、脱臭、脱色力を
利用することは同じである。
【0005】気相オゾンも液相オゾンもその用途分野は
上述したように広範囲にわたっており、特に液相オゾン
は、表1に示されている如く、殺菌、脱臭及び脱色等、
上下水の浄化に使われるほか、養魚・畜産及び食品加工
などに利用されている。
【0006】
【表1】 オゾン水を生成(製造)する方法としては、オゾン−水
接触反応槽(オゾン反応槽)の底部に、直径30mm、
気孔径45〜50μm 程度の球形グラスフィルタか、筒
形の多孔質セラミック製オゾンガス散気管を設置し、こ
れにオゾン発生器(オゾナイザ)によって生成されたオ
ゾンガスを送り、水中にオゾンガス気泡を送り込むこと
により気液反応させてオゾン水を作る方法が従来よりよ
く知られており、このオゾン水の製造方法は多くの分野
で最も一般的に多く用いられている。
【0007】ところで、気泡中から単位時間に水中に溶
解するオゾン量は式(1)で表わされる。
【0008】 式(1)から解るように、ある条件にてオゾン水を生成
している時には、総括物質移動係数KL 、オゾンガスの
水に対する分配係数Kは変化しないから、オゾン水生成
の重要なパラメータは水中に存在する全気泡の表面積a
である。
【0009】この全気泡の表面積aは、気泡径、気泡の
上昇速度、反応槽の水深などで決まり、オゾンの溶解効
率を高くするためには、気泡径を小さく、反応槽の水
深、または密閉した反応槽内の水圧を大きくすることが
必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の如き従
来のオゾン水の製造方法では、反応槽の水深を大きくし
たり、反応槽内の水圧を大きくすると、反応槽の底部に
設置した球形グラスフィルタや散気管に送るオゾンガス
の圧力を高くする必要が生じ、この圧力の増大に応じて
オゾンガス圧送のための動力が大きくなるから、実用上
は、反応槽の水深は数mが限度で、それ以上大きくでき
ない。このように反応槽内の水深は必要動力の経済性と
いう見地から限界があり、この条件によってオゾンガス
の水に対する溶解量は制約されてしまう。
【0011】気液接触によるオゾンの水に対する溶解に
於いては、気液接触する表面積の増大の観点から、気泡
径が小さい程好ましいが、一般に使用されている球形グ
ラスフィルタや散気管から放出される気泡の平均泡径は
約3mm程度あり、球形グラスフィルタや散気管では、
これより小さい平均気泡径を得ることが非常に困難であ
る。また、オゾンガスが水中に溶解するのは、球形グラ
スフィルタや散気管よりの発生気泡群が浮力により反応
槽を概ね垂直方向に直線的に上昇する過程のみであり、
このため水に対するオゾンの溶解量よりも、水中を上昇
して散逸してしまうオゾンガス量の方が多い状態が生じ
ることがある。これではある目標時間内に、効率よく高
濃度オゾン水を製造することができない。
【0012】これらのことから、従来は高濃度のオゾン
水を経済的に製造することが困難であり、このことがオ
ゾン水の実用的な、換言すれば商業的な有効利用範囲を
妨げていた。
【0013】オゾン水の有効利用を妨げているもう一つ
の大きな問題点は、水中オゾンの半減期が気相オゾンの
半減期に比べて桁違いに短いということである。水中オ
ゾンの半減期は、常温の中性の水で数十分程度とされ、
水のpHや温度、水中に介在している微量の有機物や無
機物により、その半減期はさらに短くなり、極端な場合
には秒単位のこともある。これは、水中の溶存オゾンが
これらの不純物を酸化するのに消耗してしまうのであ
る。したがって、このような場合には、目的のオゾン水
濃度を得るためには予め多量のオゾンを水中に溶け込ま
せる必要が生じてくる。
【0014】上述の如き事象に対処して水中オゾンの半
減期が長いオゾン水を得るためは、理論的には不純物が
殆んど存在しない純水または超純水を原料水として用い
ればよい訳である。しかし、この場合は、原料水コスト
からしてオゾン水の製造コストが高くなる。このため医
療器の殺菌などコストが高くてもよいような場合は別と
して、例えば食品加工場内の洗浄、野菜の洗浄殺菌など
の生鮮食品の製造分野、浄水場の殺菌、脱臭などの上水
処理分野などにおいては、もっと低コストのオゾン水で
なければコスト面で使用され得ない。
【0015】これらの問題に対して、オゾン水の半減期
に影響を及ぼす諸因子の研究が従来より種々なされてい
るが、オゾン水の半減期を、例えば4〜5時間、あるい
はそれ以上に延長することができるコストの安い原料水
とこれを用いたオゾン水の生成条件、すなわち実用でき
る低コストのオゾン水製造技術は未だ確立されていな
い。
【0016】本発明は、従来のオゾン水の製造に於ける
上述の如き問題点に着目してなされたものであり、経済
性よく、高濃度で、半減期が長い利用価値が高いオゾン
水を製造する方法、およびその製造方法の実施に使用す
るオゾン水製造装置を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述の如き目的は、本発
明によれば、液体ノズルとガスノズルとを有するエゼク
タ式ガスノズルを用い、前記液体ノズルから高圧オゾン
反応槽内の原料用水中に噴射用水を噴出し、当該噴射用
水の噴流による負圧によりオゾンガスを吸引してオゾン
ガスを微細気泡状態にて前記ガスノズルより原料用水中
に噴出させ、当該オゾンガスによる微細気泡と原料用水
との間の気液反応によりオゾンを原料用水中に溶解せし
めることにより高濃度オゾン水を製造する高濃度オゾン
水製造方法によって達成される。
【0018】本発明による高濃度オゾン水製造方法で
は、pH値が3〜7の電解水、蒸溜水、脱イオン水の何
れかを原料用水として用い、原料用水の水温を不凍で1
5℃以下に保つことが好ましい。
【0019】また本発明による高濃度オゾン水製造方法
では、オゾンガスの原料ガスとして純酸素を用いること
が好ましい。
【0020】また上述の目的を達成するために、発明に
よる高濃度オゾン水製造装置は、原料用水を貯容する圧
力密閉構造のオゾン反応槽と、前記オゾン反応槽に噴射
用水を噴出し当該噴射用水の噴流による負圧によりオゾ
ンガスを吸引してこれを前記オゾン反応槽の原料用水中
に気泡として供給するエゼクタ式ガスノズルと、前記エ
ゼクタ式ガスノズルに対して高圧で噴射用水を供給する
高圧ポンプとを有していることを特徴としている。
【0021】本発明による高濃度オゾン水製造装置に於
いては、エゼクタ式ガスノズルは噴射用水を噴射用水源
より供給、あるいはオゾン反応槽の原料用水を噴射用水
として循環式に供給されるよう構成されていてよい。
【0022】
【作用】本発明による高濃度オゾン水製造方法によれ
ば、エゼクタ式ガスノズルを用いてオゾンガスを微細気
泡として原料用水中に噴出させるから、原料用水中に送
り込むオゾンガス気泡群の80%以上が直径10〜20
0μm、そして全気泡群の平均直径が100〜150μ
m程度の極微細気泡が原料用水中に安定かつ連続的に発
生存在する状態が得られ、オゾンガスと原料用水との気
液接触表面積が激増することになる。
【0023】この気液接触によるオゾン水製造方法に於
いては、原料用水の水圧を高めることによってオゾンガ
スの原料用水に対する溶解度(濃度)が向上する。
【0024】またこの気液接触によるオゾン水製造方法
に於いては、反応槽内の原料用水温度が定量的に制御さ
れ、これにより原料用水温度が5〜15℃に保たれ、こ
のことによりオゾンガスの原料用水に対する溶解度(濃
度)がさらに向上する。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。
【0026】図1及び図2は本発明によるオゾン水製造
装置の一実施例を示している。このオゾン水製造装置は
オゾン反応槽1を有している。オゾン反応槽1は、密閉
構造の圧力槽により構成され、図示の実施例に於いては
円形横断面の円柱状をなしている。尚、オゾン反応槽1
は円形横断面円柱状以外の任意の形状構造のものであっ
てもよい。
【0027】オゾン反応槽1の底部近傍には原料用水入
口をなす逆止弁2が設けられており、逆止弁2には、原
料用水圧送管3、原料用水圧送ポンプ4、流量制御弁
5、原料用水供給管6が順に接続されている。これによ
りオゾン反応槽1には、電解水、蒸溜水、脱イオン水の
何れかよりなる原料用水Aが原料用水圧送ポンプ4によ
り加圧されて逆止弁2よりオゾン反応槽1へ圧送され
る。オゾン反応槽1へ圧送する原料用水Aの圧力は圧力
計7pにより、また流量は流量計7qにより各々監視さ
れる。
【0028】オゾン反応槽1の頂部近傍には原料用水出
口をなす吐出弁8が設けられており、吐出弁8はオゾン
水吐出管9によりオゾン水貯溜槽10と連通接続され、
オゾン水貯溜槽10はオゾン反応槽1にて生成されたオ
ゾン水を一時、貯溜するようになっている。オゾン水貯
溜槽10には排出弁11、排出管12が接続されてお
り、これによりオゾン水が外部に取り出されるようにな
っている。
【0029】吐出弁8は、設定圧可変型のプレシャレギ
ュレータとして構成され、圧力調整ばねの調整によりに
よりプレシャレギュレータ圧を所定の計画圧力に設定さ
れるようになっている。これによりオゾン反応槽1内の
原料用水の圧力が定量的に制御され、この圧力制御によ
ってオゾン反応槽1内の原料用水の圧力は0〜3kgf
/cm2 の範囲内の計画値に設定される。オゾン反応槽
1内の原料用水Aの圧力は圧力計13により監視され
る。
【0030】オゾン反応槽1内には熱交換器14が配置
されている。熱交換器14は、冷凍機15と接続されて
冷却媒体を循環供給され、オゾン反応槽1内の原料用水
の冷却を行うようになっている。これによりオゾン反応
槽1内の原料用水の温度が定量的に制御され、この温度
制御によってオゾン反応槽1内の原料用水の温度は不凍
で15℃以下、より好ましくは3〜10℃の範囲内の計
画値に設定される。オゾン反応槽1内の原料用水の温度
は温度計16により監視される。
【0031】オゾン反応槽1の周壁部の底部近傍にはエ
ゼクタ式ガスノズル17が装着されている。エゼクタ式
ガスノズル17は、噴射用水槽18に貯容された噴射用
水Bを噴射し、この水Aの噴流による負圧によりオゾン
ガスを吸引してこれを噴出用水Bと共にオゾン反応槽1
に気泡として供給する。このエゼクタ式ガスノズル17
は、図2によく示されている如く、オゾン反応槽1の接
線方向に噴射を行うよう、取付方向姿勢を設定されてい
る。
【0032】エゼクタ式ガスノズル17が噴射する噴射
用水Bはオゾン反応槽1内の原料用水Aと同一、あるい
は原料用水Aとは異なった種類の水であってよい。
【0033】噴射用水槽18には液体圧送ポンプ19が
設けられている。この噴射用水圧送ポンプ19は、下端
部にフィルタ20を取り付けた液体汲み上げ管21より
噴射用水槽18の噴射用水Bを吸引し、吸引した噴射用
水Bを加圧して噴射用水圧送管22へ圧送する。この噴
射用水圧送管22はエゼクタ式ガスノズル17と接続さ
れ、噴射用水圧送管22の途中には噴射用水の流量制御
弁23と流量計24と圧力計25と温度計26が取り付
けられている。
【0034】噴射用水の流量制御弁23は可変絞り式の
通常の流量制御弁であってよく、これは、手動操作、あ
るいはアクチュエータを用いて遠隔操作され、液体圧送
管22を流れる噴射用水Bの流量を定量的に制御(換言
すれば可変設定)するようになっており、その流量は微
少流量計24により監視される。
【0035】噴射用水流量制御弁23よりエゼクタ式ガ
スノズル17側の噴射用水圧送管22には、これにより
分岐して噴射用水Bを噴射用水槽18に戻すための噴射
用水還流管27が接続されている。噴射用水還流管27
の途中には噴射用水圧力制御弁28が取り付けられてい
る。
【0036】噴射用水圧力制御弁28は、リリーフ圧を
定量的に可変設定できる設定圧可変型のリリーフ弁であ
ってよく、エゼクタ式ガスノズル17に圧送する噴射用
水Bの圧力を定量的に制御するようになっている。
【0037】噴射用水槽18には図示されていない噴射
用水源より噴射用水Bが、途中に開閉弁30を有する噴
射用水供給管31によって補給されるようになってい
る。噴射用水槽18の噴射用水Bの温度は温度計32に
より監視される。
【0038】次に図3、図4を用いてエゼクタ式ガスノ
ズル17について説明する。エゼクタ式ガスノズル17
は特平公1−33211号公報(特許第1549061
号)に示されているエゼクタ式ガスノズルと等価の構造
のものである。エゼクタ式ガスノズル17はノズル本体
57を有しており、ノズル本体57には噴射用水圧送管
22に接続されて噴射用水Bを圧送する噴射用水通路5
9が形成されている。ノズル本体57の先端側には液体
ノズル部材61が着脱可能に嵌合装着されており、液体
ノズル部材61の先端部にはノズル本体57の先端面中
心部より前方へ突出するノズル細管65が精密嵌合によ
り固定装着されている。ノズル細管65に形成された液
体噴孔63は、噴射用水通路59と連通しており、噴射
用水通路59より噴射用水Bを圧送されて、これを前方
へ噴出するようになっている。この場合、ノズル細管6
5の外径d1 は0.6〜1.6mm、内径d2 即ち液体
噴孔63の口径は0.3〜1.2mm程度であってよ
い。
【0039】ノズル本体57には吸引ガス通路67が形
成されており、吸引ガス通路67は一端にてニップル6
9によりオゾンガス吸引管29と接続されている。ノズ
ル本体57の円筒部外周にはノズル取付フランジ部72
を有する筒状のアウタケース73がOリング75により
気密状態にて嵌合装着されている。吸引ガス通路67は
他端にてノズル本体57とアウタケース73との間に形
成された環状通路76に連通している。環状通路76
は、ノズル本体57の液体ノズル部材装着部の周りに形
成されてノズル本体57の先端面に開口した複数個の吸
引ガス通路77の各々と連通している。
【0040】ノズル本体57の先端部外周には、ガスノ
ズル位置決め用のスペーサリング81とシムリング83
がOリング79により気密に着脱可能に嵌合装着され、
更にキャップ状のガスノズル部材85が交換可能にねじ
係合により固定装着されている。ノズル本体57の先端
面とガスノズル部材85との間には吸引ガス通路77と
連通関係にある吸引ガス室86が形成されており、この
吸引ガス室86の中心部にノズル細管65がこれを横切
って延在している。
【0041】ガスノズル部材85の先端部中央には吸引
ガス室86よりガスノズル部材85の先端面に開口した
ガス噴孔87が形成されている。ガス噴孔87は、ノズ
ル細管65の外側にこれと同心に形成され、液体噴孔6
3の軸心と同心位置にて液体噴孔63からの液体噴出方
向に沿って延在する平行通路部89を備えている。この
平行通路部89の長さLは1〜6mm程度に設定され、
内径dgは0.8〜2.0mm程度に設定されてよい
(図4参照)。
【0042】上述の如き寸法設定によりノズル細管65
の外周面と平行通路部89の内周面との間にガスリング
層が形成され、このガスリング厚さδgは(dg
l )/2により決まり、これは0.1〜0.2mmの
範囲に設定される。また平行通路部89の始端に対する
ノズル細管65の先端の相対位置ΔLは0〜−6mm程
度に設定され、この調整は厚さが異なったシムリング8
3の交換により行われる。
【0043】尚、ΔLの値が負であることは、ノズル細
管65の先端が、図4に於いて平行通路部89始端の左
側に位置することを意味し、ΔLの値が正であること
は、ノズル細管65先端が平行通路部89始端の右側に
位置することを意味する。
【0044】上述のオゾンガス吸引管29は、エゼクタ
式ガスノズル17に吸引されるオゾンガスを生成するオ
ゾナイザ(オゾンガス発生器)33と連結されている。
【0045】オゾナイザ33に供給するオゾンガス生成
用の原料ガスはボンベ34に充填された乾燥空気または
純酸素であり、これらの原料ガスは減圧弁35により大
気圧またはオゾン反応槽1内の原料用水の設定圧力程度
にまで減圧されて原料ガス供給管36によってオゾナイ
ザ33に供給される。
【0046】尚、原料ガス供給管36には原料ガスの圧
力、流量を監視する圧力計37、流量計38が接続され
ている。
【0047】オゾナイザ33で生成されたオゾンガス
は、微少流量可変絞りを有する吸引ガス微少流量制御弁
39により流量を定量制御され、オゾンガス吸引管29
によってエゼクタ式ガスノズル17に供給される。
【0048】次に上述の如き構成よりなるオゾン水製造
装置の作用について説明する。
【0049】オゾン水の製造を行うに際しては、液体圧
送ポンプ19が運転され、これにより噴射用水槽18の
噴射用水Bが加圧されて噴射用水圧送管22へ圧送され
る。噴射用水Bは噴射用水流量制御弁23により流量を
制御される。また噴射用水圧力制御弁28が噴射用水B
の圧力に応じて開弁し、余剰の噴射用水Bが噴射用水還
流管27を通って噴射用水槽18に戻される。これより
噴射用水圧送管22の噴射用水Bの圧力が噴射用水圧力
制御弁28のリリーフ圧に応じて調整される。
【0050】これによってエゼクタ式ガスノズル17の
液体通路59には、噴射用水流量制御弁23により流量
を制御され、また噴射用水圧力制御弁28により圧力を
調整された噴射用水Bが連続的に圧送される。従ってエ
ゼクタ式ガスノズル17の液体通路59に供給される噴
射用水Bの流量は噴射用水流量制御弁23の流量設定値
に応じて定量的に可変設定され、またこの噴射用水Bの
圧力は噴射用水圧力制御弁28の設定リリーフ圧に応じ
て定量的に可変設定されることになる。
【0051】エゼクタ式ガスノズル17の液体通路59
に供給された噴射用水Bは液体ノズル部材61内を通過
してノズル細管65の液体噴孔63よりガス噴孔87へ
向けて高速噴出される。この噴射用水Bの噴流束の外周
部には噴射用水Bの噴出流速に応じて負圧が発生し、こ
れによりオゾナイザ33により生成されたオゾンガスが
吸引ガス微少流量制御弁39により流量を定量的に計量
されつつ吸引ガス室86に入る。この吸引ガス室86に
入ったオゾンガスは、図5に模式的に示されている如
く、噴射用水Bの噴流束の外周部に沿ってガス噴孔87
の平行部通路89内に吸い込まれ、噴射用水Bの噴流に
よりC点で剪断されて微細な気泡となって噴射用水Bに
よる噴流ジェットと共にオゾン反応槽1内の原料用水A
中へ噴出する。
【0052】尚、図5は、上記したオゾンガスの微細気
泡発生のメカニズムを、上述のエゼクタ式ガスノズル1
7と同一構造の可視化実験用エゼクタ式ガスノズルにて
顕微鏡観察し、また超高速写真撮影により観察した結果
を模式的に示したものである。
【0053】上述の如くエゼクタ式ガスノズル17より
原料用水A中に送り込むオゾンガスの微細気泡は、その
気泡群の80%以上が直径10〜200μmで、全気泡
群の平均直径が100〜150μm程度の極微細気泡と
なり、このオゾンガスの極微細気泡が原料用水A中に安
定かつ連続して供給されることにより、オゾン反応槽1
内に於けるオゾンガスと原料用水Aとの気液接触表面積
が激増することになる。
【0054】これにより、上述の式(1)に於ける全気
泡の表面積aが激増し、単位時間中に原料用水A中に溶
解するオゾンガス量QZ が全気泡表面積aの増加に応じ
て増大するようになる。
【0055】この極微細気泡の平均直径が150μmで
あるとすると、多孔質のセラミック製などの散気管から
得られる平均直径が約3mm程度の気泡の場合に対して
表面積が400倍、同じく100μmの場合には900
倍となり、前述した式(1)から理解される如く、単位
時間に原料用水A中に溶解するオゾンガス量QZ は従来
技術のそれに対して比較にならない程桁違いに大きいも
のになり、高濃度のオゾン水が製造されるようになる。
【0056】この場合、エゼクタ式ガスノズル17のノ
ズル細管65からオゾン反応槽1内の原料用水A中に噴
出する噴射用水Bの噴流ジェットの速度が20〜50m
/secになるよう、噴射用水Bの圧力を液体圧送ポン
プ19の吐出圧を噴射用水圧力制御弁28の設定圧より
5〜10kgf/cm2 前後の範囲内で調整する。この
噴射用水Bの圧力調整は、気体の圧力制御に比して容易
にできるので、オゾン反応槽1内の原料用水Aの水圧が
高くても20〜50m/secの噴出速度は容易に得ら
れ、加圧された原料用水A中にも極微細気泡を安定かつ
連続的に大量発生させることができる。
【0057】これに対し、反応槽の底部に複数個設置し
た多孔質のセラミック製散気管による従来法の場合は、
反応槽内の水圧が散気管に直接作用するので、圧送オゾ
ンガス圧をその水圧に打ち勝つだけ高くする必要があ
り、コンプレッサ動力が、エゼクタ式ガスノズルの場合
と比較にならないほど大きいものになる。
【0058】反応槽内での原料用水に対するオゾンガス
の溶解量を大きくするためには、上述の如く、槽内水圧
を0〜3kgf/cm2 の範囲内で高くすることが望ま
しいので、気泡径が多孔質のセラミック製散気管による
場合に比して比較にならないほど小さく、しかも20〜
50m/secの液体噴出速度が槽内水圧に関係なく得
られるエゼクタ式ガスノズルによる極微細気泡を利用す
る本発明の方法は、従来の方法と比較して非常に優れて
いることが理解されよう。
【0059】次に原料用水の種類と高濃度オゾン水の生
成条件について説明する。
【0060】この生成条件としては、次に示す事項が考
えられる。
【0061】(1) オゾンの溶解度及び分解度と温度との
理論的関係 (2) 気中濃度を10mg/リットルとした場合の水温と
水中オゾン濃度の関係 (3) 同一温度と圧力下における水中オゾン濃度と空気中
オゾン濃度との比(分配係数) ここで、オゾン水濃度及び半減期と、これに影響を及ぼ
す諸因子との相互関係を実験的研究で明らかにし、これ
により実用的な高濃度オゾン水及び長い半減期のオゾン
水の生成条件を決定する。
【0062】そこで本発明によるオゾン水の製造方法に
従ってエゼクタ式ガスノズルを使用し、原料用水中に放
出するオゾンガス気泡の直径が殆んどが10〜200μ
mの極微細オゾンガス気泡である場合に於て、(1) 水道
水、蒸溜水、脱イオン水及び電解水など原料用水の種
類、(2) その水温と(3) pH値などが、生成されるオゾ
ン水濃度及びその半減期に及ぼす影響を調べるため下記
の条件に基づいて実験を行った。
【0063】 図6及び図7はこれらの実験結果のうち、原料用水に対
する生成オゾン濃度と時間の関係、原料用水としての水
道水の温度に対する生成オゾン濃度及び半減期の関係を
示している。
【0064】表2は、全ての実験結果を解析、検討し、
得られた結論を一覧表に要約して示したものである。
【0065】
【表2】 いま、半減期の望ましい最低基準を5時間として表2の
実験結果からこの基準を満足するものを抜粋すると下記
となる。
【0066】水温13℃、pH値3及び5の電解水…半
減期th がほぼ6.5時間 水温13℃、pH値7の蒸溜水 …半減期th がほ
ぼ11時間 水温13℃、pH値7及の脱イオン水…半減期th がほ
ぼ14.7時間 オゾンガスの原料用水中への溶解度に関しては、一定の
温度においては、一定量の液体に溶ける気体の質量は気
体の圧力に比例する、というヘンリーの法則が存在す
る。また、あるオゾン濃度(Y)をもつ空気の曝気によ
って水中(蒸溜水)に溶解される溶解量(C)は、圧力
が一定ならば水温(Tw)の関数として以下の式(2)
で表される。
【0067】
【数1】 C={0.604(1+Tw/273)Y}/(1+0.063Tw) …(2) これらの理論によると、原料用水中へのオゾンの溶解度
は気体の圧力、すなわち気泡を送り込むオゾン反応槽内
の原料用水の水圧に比例して大となり、圧力が一定なら
ば原料用水の温度が低いほど大となるということが理解
できる。
【0068】そこで、表2の実験結果とこれらの理論を
勘案し、実際上の技術的条件から半減期を5時間以上と
した場合のオゾン水生成用の原料用水の種類と水温、p
H値、水圧の適合条件は表3に示した値とすることがで
きる。
【0069】
【表3】 なお、表3のうち、蒸溜水及び脱イオン水は、医療機器
の滅菌、半導体工場の原料、加工水の殺菌など、オゾン
水のコスト高を許容する分野に使用し、一般的な殺菌、
脱臭、脱色などにはpH値4〜5前後の電解水を原料用
水として使用する。
【0070】次に原料ガスとして、純酸素を用いた場合
について検討する。
【0071】すなわち以上のオゾン水生成実験は、原料
ガスとして乾燥空気を用いた場合であるが、その時に得
られたオゾン水の最高到達濃度は、表2から分かるよう
に、約1ppm弱が限度である。
【0072】オゾン水の使用例は表1に示してあるが、
このうちオゾンの食品分野への利用を更に詳しく見る
と、それは表4の通りである。
【0073】
【表4】 この表4から分かるようにオゾンの利用分野の主たる分
野は微生物の殺菌である。そこで、オゾン水の殺菌力と
その水中オゾン濃度との関係を調べると、それは表5の
通りである。
【0074】
【表5】 この表5から理解できるように、水中オゾン濃度が1p
pmあると、殆んどの菌及びウイルスは接触時間が僅か
に5秒、すなわち即死の状態で、100%死滅すること
がわかる。したがって、オゾン水を作る場合、半減期4
〜5時間以上が過ぎても、このような滅菌効果を発揮で
きるようにするためには、生成オゾン水の濃度を2pp
m以上にすることが望ましいということになる。これは
高濃度オゾン水である。
【0075】ところが表2の実験結果は原料ガスとして
乾燥空気を用いた場合で、その最高到達濃度は約1pp
m弱が限度である。表3に示したように、水温を低く
し、オゾン反応槽内の水圧を0〜3kgf/cm2 囲内
で高くすれば、このオゾン水濃度は1ppm以上になる
と、推論できるが、更により効果的な手段は、原料ガス
として純酸素を使用することである。原料ガスを乾燥空
気から純酸素にすると、生成オゾンガス濃度は2倍以上
になる。
【0076】原料ガスを乾燥空気から純酸素にすると、
生成オゾンガス濃度が2倍以上になることを確認するた
めに実験を行ったところ、図8に示されている如きの実
験結果が得られた。この実験結果からわかるように、原
料ガス流量が約3.3l/minに於ける最高到達オゾ
ンガス濃度は、原料ガスが乾燥空気の場合約3000p
pmであるのに対して、原料ガスを純酸素とした場合の
それは約6500ppmであり、これは乾燥空気を原料
とした場合の2.17倍である。このことから、原料ガ
スに純酸素を用いて、表3の条件でオゾン水を生成すれ
ば、生成オゾン水濃度は2ppm以上になる。このこと
から原料ガスを純酸素としたオゾン水は、半減期の4〜
5時間に至ってもその濃度が1ppm以上となり、表5
の殺菌効果を維持するが保証できる。
【0077】図9は本発明によるオゾン水製造装置の他
の実施例として、バッチ式のオゾン水製造装置を示した
ものである。尚、図9に於いて、図1に対応する部分は
図1に付した符号と同一の符号により示されている。
【0078】この実施例に於いては、オゾン反応槽1内
には反応槽上方の原料用水供給管7より原料用水Aが送
水開閉弁(流量制御弁)5を経て供給され、オゾン反応
槽1内には一定量の原料用水Aが充填される。
【0079】このオゾン反応槽1内の原料用水Aは上述
の実施例と同様に熱交換器14により所定の温度に冷却
されるようになっている。実用的には原料用水Aの温度
は3〜10℃の範囲内の計画値で冷却され、その温度は
適宜の温度計により管理される。
【0080】オゾン反応槽1内にて気液反応を完了して
所定の濃度になったオゾン水は吐出弁8よりオゾン水送
出管12へ取り出されるようになっている。
【0081】オゾン反応槽1の周壁部の底辺近傍には、
上述の実施例と同様に、エゼクタ式ガスノズル17がガ
スノズル先端から噴出される噴流ジェットによって槽内
の原料用水Aを旋回させるような姿勢位置をもって1個
または複数個装着されている。
【0082】噴射用水圧送ポンプ19は、図1の連続式
の場合とは違って、オゾン反応槽1底部周壁面に設けら
れフィルタ20が装着された原料用水送出口40より、
オゾン反応槽1内に於ける気液反応中の原料用水Aを、
噴射用水として開閉弁41を介して噴射用水圧送ポンプ
19で吸引し、これを加圧して噴射用水送出管22へ圧
送するようになっている。この噴射用水圧送管22は、
上述の実施例と同様に、途中に噴射用水流量制御弁23
などを含んでエゼクタ式ガスノズル17に接続されてい
る。
【0083】噴射用水流量制御弁23よりエゼクタ式ガ
スノズル17側の噴射用水圧送管22には、これより分
岐して余剰の噴射用水をオゾン反応槽1に戻すための噴
射用水還流管27が接続され、噴射用水還流管27の途
中には噴射用水圧力制御弁28が取り付けられている。
【0084】これを要するに、図1の連続式のオゾン水
製造装置は、噴射用水槽18内に供給した噴射用水Bを
エゼクタ式ガスノズル17からオゾン反応槽内に噴出さ
せるワンウェイ方式であるのに対して、図9のバッチ式
のオゾン水製造装置は、噴射用水としてオゾン反応槽1
内に於ける気液反応中の原料用水Aを用い、これを循環
式に使用する、すなわちグローズドウェイ方式であり、
オゾン反応槽1内に於ける気液反応中の原料用水Aがエ
ゼクタ式ガスノズル17よりの噴射用水Bにより希釈さ
れることがない。
【0085】以上の説明より明かな如く、本発明によれ
ば、半減期が4〜5時間以上で、殺菌、脱臭、脱色(表
1参照)に有用な高濃度オゾン水(原料ガスが乾燥空気
の場合2ppm以上、同じく純酸素の場合は4ppm以
上)を容易に生成することができる。
【0086】表5の水中濃度の欄に示している如く、普
通の場合、1ppm前後の濃度があれば殆んどの利用分
野において、殺菌、脱臭、脱色の効力を発揮することが
できるので、乾燥空気を原料ガスとした濃度1ppmの
生成オゾン水でも、半減期の4〜5時間が経過しても十
分利用できることが分かる。特に、原料ガスを純酸素に
した場合には、半減期の4〜5時間が経過した後でもオ
ゾン水濃度として1ppm以上の値が期待できるので、
表4に示した食品分野などに特に多い細菌及びウイルス
等の滅菌を100%行うことができる。
【0087】また表2の実験結果及び半減期が4〜5時
間以上高濃度オゾン水の生成条件から容易に理解できる
ように、原料用水を蒸溜水または脱イオン水とした場
合、半減期が12時間前後と非常に長い高濃度オゾン水
を製造することができる。原料用水が蒸溜水または脱イ
オン水よりなるイオン水は、原料用水の製造コストが電
解水のそれに比して高いので、その用途は限定される
が、医療機器類の完全滅菌、医療排出物の滅菌、脱臭、
半導体製造分野における洗浄用水の殺菌、浄化等、コス
トよりはその効果に重点を置く分野にて利用価値があ
る。この場合のイオン水の製造装置は図9に示されたバ
ッチ式のものが適当である。
【0088】低コスト、大量生産という見地からすれ
ば、pH値が2〜5の電解酸性水を原料用水とした高濃
度オゾン水が最も利用価値がある。原料ガスが乾燥空気
の場合2ppm以上、原料ガスを純酸素とした場合4p
pm以上の高濃度オゾン水を容易に製造できるから、半
減期の4〜5時間に注意した管理を行えば、表1に示し
た全ての利用分野で有効利用できる。その製造装置は図
1に示されている如き連続オゾン水製造装置が最適であ
るが、図9のバッチ方式の装置も並列、交互使用すれ
ば、連続生産も可能である。
【0089】本発明によるオゾン水製造方法により製造
されるオゾン水の他の利用方法は、半減期が4〜5時間
以上という高濃度オゾン水の利点を利用して、これを例
えば魔法瓶と同一原理の高濃度低温オゾン水を保冷する
断熱密閉容器に入れれば、これをスーパーマーケット、
食品工場、殺菌、脱臭、脱色効果を利用したい作業現場
に運搬することができる。その作業現場で、断熱容器内
のオゾン水を容器に直結したポンプ、その他の手段方法
で取り出し、これに連結した噴霧器からオゾン水をスプ
レーしたり、散布して、例えばスーパーマーケットの食
品売場に置かれた食品類や、作業を終了した食品工場及
び食品機械の殺菌、脱臭などに使用することができる。
すなわち、地域毎にオゾン水製造ステーションを設置し
て、高濃度オゾン水を製造し、これを大小容器の断熱、
密閉保冷容器に充填して、殺菌、脱臭、脱色効果を利用
したい作業現場まで運搬し、それぞれの作業現場で半減
期までの有効時間内で使用するオゾン水利用システムを
完成することができる。
【0090】この半減期が4〜5時間以上と長い高濃度
オゾン水利用システムは規模を一層大きくして製造した
高濃度低温オゾン水を車載した保冷用大容量断熱密閉容
器に入れ、これを例えばゴルフ場のグリーンまで車輌運
搬して、オゾン水をグリーンにスプレー散布すれば、グ
リーンの無農薬病虫害防除ができるので、非常に有用で
ある。
【0091】以上に於ては、本発明を特定の実施例につ
いて詳細に説明したが、本発明は、これに限定されるも
のではなく、本発明の範囲内にて種々の実施例が可能で
あることは当業者にとって明らかであろう。
【0092】
【発明の効果】本発明による高濃度オゾン水製造方法に
よれば、エゼクタ式ガスノズルを用いてオゾンガスを微
細気泡として原料用水中に噴出させるから、原料用水中
に送り込むオゾンガス気泡群の80%以上が直径10〜
200μm、そして全気泡群の平均直径が100〜15
0μm程度の極微細気泡が原料用水中に安定かつ連続的
に発生存在する状態が得られ、オゾンガスと原料用水と
の気液接触表面積が激増する。また、原料用水の水圧を
高めることによりオゾンガスの原料用水に対する溶解度
を向上させることができる。そして高濃度で、半減期が
長く、利用価値が高いオゾン水を低コストにて経済性よ
く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるオゾン水製造装置の一実施例を示
すブロック線図である。
【図2】本発明によるオゾン水製造装置に用いられるオ
ゾン反応槽の一実施例を示す概略平面図である。
【図3】本発明によるオゾン水製造装置に用いられるエ
ゼクタ式ガスノズルの一実施例を示す縦断面図である。
【図4】本発明によるオゾン水製造装置に用いられるエ
ゼクタ式ガスノズルの噴孔部を拡大して示す縦断面図で
ある。
【図5】エゼクタ式ガスノズルによるオゾンガスの微細
気泡発生のメカニズムを模式的に示す説明図である。
【図6】原料用水に対する生成オゾン濃度と時間の関係
を示すグラフである。
【図7】原料用水としての水道水の温度に対する生成オ
ゾン濃度及び半減期の関係を示すグラフである。
【図8】原料ガスが乾燥空気である場合と純酸素である
場合に於ける生成オゾンガス濃度の特性を示すグラフで
ある。
【図9】本発明によるオゾン水製造装置の他の実施例と
して、バッチ式のオゾン水製造装置を示すブロック線図
である。
【符号の説明】 1 オゾン反応槽 2 逆止弁 4 原料用水圧送ポンプ 8 吐出弁 10 オゾン水貯溜槽 14 熱交換器 15 冷凍機 17 エゼクタ式ガスノズル 18 噴射用水槽 19 液体圧送ポンプ 30 オゾナイザ
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体ノズルとガスノズルとを有するエゼ
    クタ式ガスノズルを用い、前記液体ノズルから高圧オゾ
    ン反応槽内の原料用水中に噴射用水を噴出し、当該噴射
    用水の噴流による負圧によりオゾンガスを吸引してオゾ
    ンガスを微細気泡状態にて前記ガスノズルより原料用水
    中に噴出させ、当該オゾンガスによる微細気泡と原料用
    水との間の気液反応によりオゾンを原料用水中に溶解せ
    しめることにより高濃度オゾン水を製造する高濃度オゾ
    ン水製造方法。
  2. 【請求項2】 前記原料用水は、pH値が3〜7の電解
    水、蒸溜水、脱イオン水の何れかであることを特徴とす
    る請求項1に記載の高濃度オゾン水製造方法。
  3. 【請求項3】 前記オゾンガスの原料ガスが純酸素であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の高濃度オ
    ゾン水製造方法
  4. 【請求項4】 原料用水を貯容する密閉構造の高圧オゾ
    ン反応槽と、前記オゾン反応槽に噴射用水を噴出し当該
    噴射用水の噴流による負圧によりオゾンガスを吸引して
    これを前記オゾン反応槽の原料用水中に気泡として供給
    するエゼクタ式ガスノズルと、前記エゼクタ式ガスノズ
    ルに対して高圧で噴射用水を供給する高圧ポンプとを有
    していることを特徴とする高濃度オゾン水製造装置。
  5. 【請求項5】 前記反応槽には、原料用水の冷却を行う
    冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項4に
    記載の高濃度オゾン水製造装置。
  6. 【請求項6】 エゼクタ式ガスノズルは噴射用水を噴射
    用水源より供給されるよう構成されていることを特徴と
    する請求項4に記載の高濃度オゾン水製造装置。
  7. 【請求項7】 エゼクタ式ガスノズルはオゾン反応槽の
    原料用水を噴射用水として循環式に供給されるよう構成
    されていることを特徴とする
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