JP7365751B2 - 溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法 - Google Patents

溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7365751B2
JP7365751B2 JP2021085194A JP2021085194A JP7365751B2 JP 7365751 B2 JP7365751 B2 JP 7365751B2 JP 2021085194 A JP2021085194 A JP 2021085194A JP 2021085194 A JP2021085194 A JP 2021085194A JP 7365751 B2 JP7365751 B2 JP 7365751B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
liquid
dissolved
mixing container
internal space
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021085194A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022178414A (ja
Inventor
佳季 脇本
徹太郎 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2021085194A priority Critical patent/JP7365751B2/ja
Publication of JP2022178414A publication Critical patent/JP2022178414A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7365751B2 publication Critical patent/JP7365751B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、溶解している置換前の気体に代えて、特定の気体を、置換後の気体として液体中に溶解させる溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法に関する。詳しくは、例えば、水に溶解している不要な気体(置換前の気体)を脱気させ、この水に、酸素、オゾン、フッ素、窒素等、必要とする特定の気体を、より高濃度に溶解させて、いわゆる高機能水を生成する溶存気体置換装置とその置換方法に関する。
半導体用シリコン基板や、液晶用ガラス基板等、電子機器用基板の洗浄では、近年、気体溶解水が洗浄液に用いられている。気体溶解水は、例えば、酸素ガス、オゾン、炭酸ガス、希ガス、不活性ガス、水素ガス等、特定の気体を、水に溶解させた液体である。このような気体溶解水を製造する装置の一例が、特許文献1に開示されている。
特許文献1は、気相室と液相室を気体透過膜で区画した気体透過膜モジュールに対し、通水手段により、被処理水を液相室に通水すると共に、ガス供給手段により、ガスを気相室に供給し、気体透過膜を通じて、気相室内のガスを液相室内の被処理水に溶解させることにより、ガス溶解水を生成するガス溶解水供給装置である。この装置では、真空排気手段により、気相室内を真空排気しながら、ガスは、ガス供給手段により、気相室内に供給される。
ところで、魚類を養殖する養魚池等では一般的に、飼育水での溶存酸素量が豊富であれば、魚類等の生育は促進するとされている。そのため、酸素が飼育水に送り込まれ、溶存酸素量の増大が図られている。酸素は、一例として、周知の酸素溶解装置により、飼育水に供給される。酸素溶解装置は、養魚池等に水を供給する配管上に設けられ、酸素溶解装置では、水は、酸素を貯留したタンク内に供給され、タンク内で酸素を水に溶解させた酸素水が、養魚池等に供給される。
特開2015-180500号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、凝縮水を含む気相室内を真空排気しながら、気相室内のガスは、気体透過膜を通じて、液相室内に供給されるため、時間あたりに、液相室内で被処理水と接触できるガスは、気体透過膜の面積に応じた量に制限されるばかりか、効率良く液相室内に供給できない。しかも、気相室内のガスを被処理水に供給している間、気体透過膜での凝縮水の付着等、何らかの理由により、ガス以外の異物に起因して、この気体透過膜に目詰まりが生じてしまうと、ガスが、気相室内から液相室内に十分に行き渡らなくなってしまう虞もある。その結果、ガスを被処理水に溶解させたガス溶解水の生成にあたり、時間あたりの量として、より多くの量のガスを、被処理水に溶解させることができないため、より大量のガス溶解水を、効率良く生成することができない。
また、例えば、養魚池や水族館において、飼育水の溶存酸素量を増やすために設置される酸素溶解装置の用途等では、酸素水は、水に溶解する酸素濃度をより高くした状態で、かつ大量に必要とされるため、溶存酸素濃度をより高くした酸素水を、安定してより多く生成できる技術が、求められていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、機能性を高めた液体の生成にあたり、液体に溶存している不要な気体(置換前の気体)を脱気して、この液体に、置換後の気体である必要な気体を、より高濃度で、効率良く溶解させることができる溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様における溶存気体置換装置は、溶存している不要な気体を液体から脱気させ、置換後の気体として必要な気体を該液体に溶解させて、置換後気体溶液を生成する溶存気体置換装置において、前記必要な気体と前記液体を内部空間に収容可能な気液混合容器と、前記必要な気体を、大気圧を超える高圧下で貯留する気体貯留部と、前記気体貯留部と前記気液混合容器内とが連通する気体導入管路で、前記必要な気体の流通を制御する気体流通制御弁と、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部と前記気液混合容器内とが連通する液体導入管路で、前記液体の流通を制御する液体流通制御弁と、前記液体を送出するポンプと、前記液体を微細化して吐出可能なノズルと、前記気液混合容器内で、前記液体を設定温度に調節可能な液体温度調節手段と、前記気液混合容器内に存在するガスを吸引して外部に排気可能なガス排気手段と、前記ガス排気手段と前記気液混合容器内とが連通する排気管路で、前記ガスの流れを制御するガス流通制御弁と、制御手段と、を備え、前記ノズルは、前記気液混合容器の前記内部空間に、前記液体導入管路と連通して配設され、前記気液混合容器は、前記内部空間に収容された前記液体と前記必要な気体との気液混合物を、前記ポンプにより、循環させて流動可能な液体循環系統を有すること、前記制御手段は、前記ガス排気手段により、大気圧より低圧に真空引きした状態の前記気液混合容器内で、前記液体温度調節手段により温度調節された前記液体を、前記ポンプにより、循環を伴いながら、前記ノズルから噴霧すると共に、前記気体導入管路より、前記必要な気体を、噴霧したミスト状の前記液体と接触可能な状態で、供給すること、を特徴とする。
この態様によれば、不要な気体は、ポンプとガス排気手段により、水等の液体から効率良く脱気され、脱気された状態の液体に、酸素等の必要な気体を、高圧下で効率良く供給することができるようになるため、水等に酸素等を溶解させた置換後気体溶液を、より短い時間で、かつより高濃度に製造することができる。
上記の態様においては、前記液体流通制御弁は、前記液体導入管路のうち、前記液体貯留部と前記ポンプとの間に配設され、前記液体循環系統では、前記液体導入管路とは別に、液体循環管路が、前記ポンプと並列に、前記気液混合容器の前記内部空間と連通して前記液体流通制御弁に接続されていること、前記制御手段は、前記液体導入管路を通じて、前記液体を前記液体貯留部から前記気液混合容器の前記内部空間に供給する第1流路と、前記気液混合容器の前記内部空間に収容した前記液体、または前記気液混合物を、前記液体循環管路を通じて循環させて、前記気液混合容器の前記内部空間に供給する第2流路とを、前記液体流通制御弁で、選択的に切り替えること、が好ましい。
この態様によれば、第1流路と第2流路とを切り替えることで、液体に溶存している不要な気体の脱気処理と、不要な気体の脱気後、この液体への必要な気体の溶解処理との間で、各処理がスムーズに移行できる。
上記の態様においては、前記必要な気体は、前記液体と共に、前記ノズルを通じて、前記気液混合容器の前記内部空間に供給されること、が好ましい。
この態様によれば、噴出する液体または気液混合物と、吐出する必要な気体が、ノズルによって、互いに混合し易くなる。そのため、液体に対する必要な気体の溶解が促進されるほか、気液混合物に対し、引き続き必要な気体を溶解させる過程でも、必要な気体の溶解が促進される。
上記の態様においては、前記必要な気体は、酸素であり、前記気体導入管路には、オゾンを前記気液混合容器の前記内部空間に供給可能なオゾン供給部を備えていること、が好ましい。
この態様によれば、必要な気体が、酸素とオゾンである場合に、生成される置換後気体溶液は、水等にオゾンと酸素を溶解させたオゾン水として、より短い時間で、溶存酸素濃度と溶存オゾン濃度をより高めて製造することができる。
上記課題を解決するためになされた本発明の他の態様における溶存気体の置換方法は、溶存している不要な気体を液体から脱気させ、置換後の気体として必要な気体を該液体に溶解させて、置換後気体溶液を生成する溶存気体の置換方法において、前記必要な気体を、大気圧を超える高圧下で貯留した気体貯留部と、前記液体を貯留した液体貯留部と、前記液体貯留部から液体導入流路を通じて供給された前記液体と、前記気体貯留部から気体導入流路を通じて供給された前記必要な気体を、内部空間に収容する気液混合容器と、前記気液混合容器の前記内部空間に存在するガスを吸引して外部に排気するガス排気手段と、を有し、前記液体導入流路を開路して、前記液体貯留部から前記液体を供給して前記気液混合容器の前記内部空間に収容し、前記内部空間に収容された全量分の前記液体Lを、常温より高い設定温度T1に加熱する容器内液体加熱工程と、前記気体導入流路を閉路して、前記排気手段により、前記気液混合容器の前記内部空間に存在するガスを、大気圧より低圧な真空状態で吸引しながら、前記気液混合容器の前記内部空間に対し、加熱された前記液体を、循環を伴った流動の下で、ノズルを通じて微細化し、拡散させた状態で、前記内部空間に噴霧させることで、前記液体から脱気した前記不要な気体を、前記気液混合容器外に排気させる不要気体脱気工程と、前記不要気体脱気工程の後、前記不要な気体を脱気した状態である脱気後の前記液体を、前記設定温度T1より低い設定温度T2(T2<T1)に冷却する脱気後液体冷却工程と、前記脱気後の液体が、前記気液混合容器に対し、循環を伴った流動の下で、前記脱気後の液体を、前記ノズルを通じて微細化し、拡散させた状態で、前記内部空間に向けて噴霧すると共に、前記ノズルから噴霧した前記脱気後の液体に、前記気体導入流路の開路により、前記気体貯留部から供給する前記必要な気体を、前記高圧下で接触させて混合させる気液混合工程と、を有すること、を特徴とする。
この態様によれば、液体に溶存していた不要な気体の脱気処理では、不要な気体が、比較的短い時間で効率良く脱気できるようになる上に、不要な気体の脱気後に、この液体や、液体を含む気液混合物への必要な気体の溶解処理では、必要な気体を、比較的短い時間で効率良く、溶解させて、必要な気体の溶存濃度をより高めた置換後気体溶液が生成できるようになる。ひいては、いわゆる高機能水として、酸素等の必要な気体を水等の液体に溶解させた置換後気体溶液を、より高濃度に、かつ安定した製造プロセスを経て生成することができる。
なお、本発明に係る溶存気体の置換方法で記載された常温の概念は、生成物である置換後気体溶液の用途に応じて、次述する第1の概念と第2の概念とに、選択的に使い分けられる。第1の概念とした常温とは、日本産業規格に規定(JIS Z 8703)されている「常温」として、20±15℃の概念を適用した5~35℃の範囲内にある温度を意味する。第1の概念を適用する場合として、本発明に係る溶存気体の置換方法で生成した置換後気体溶液が、例えば、河川水、湖沼水、下水、工場排水、産業廃棄水等を対象に、水質浄化を図る用途や、半導体製造工程で基板を洗浄する洗浄液としての用途、魚類等の生育を促す生物育成用水としての用途等のように、主に農林水産業、建設業、飲食業、工業等に挙げられる様々な産業分野で、いわゆる高機能水を必要として使用されるケースである。
第2の概念とした常温とは、医薬品分野で一般的に使用されている「常温」として、20±5℃の概念を適用した15~25℃の範囲内にある温度を意味する。第2の概念を適用する場合として、本発明に係る溶存気体の置換方法で生成した置換後気体溶液が、例えば、精製水、生理食塩水、経口飲用水、輸液、治療液、血液調整液(本発明に係る溶存気体の置換方法の「液体」を、血液とし、「必要な気体」を、酸素及びオゾンとして生成された置換後気体溶液)等としての用途のほか、医療機器の洗浄液としての用途等に挙げられるように、主に飲食、医療や福祉等に関係する安全衛生分野で、いわゆる高機能水を必要として使用されるケースである。
設定温度T1とは、常温帯域より高く、かつ液体の沸点を上限に、それよりも低い温度帯域の範囲内にある温度である。但し、溶存気体濃度計による計測で、液体に溶存している不要な気体の脱気状態を知得する場合には、周知の溶存気体濃度計では一般的に、計測可能な上限温度が50℃となっているため、設定温度T1は、常温帯域より高く、かつ50℃以下の温度とすることが、より好ましい。また、設定温度T2とは、必要な気体の温度と、水等の液体に関する溶解度との関係に基づく溶解度曲線において、必要な気体の溶解度に対応した温度を上限に、それよりも低い温度帯域のうち、常温帯域より低い温度である。但し、気液混合容器での結露の発生を回避するため、設定温度T2は、0℃以上、かつ常温帯域より低い温度とすることが、より好ましい。
大気圧を超える高圧下とは、大気圧より高く、かつ高圧ガス保安法に規定された高圧ガスに該当しない1MPa未満の範囲内にある圧力である。より好ましくは、炭酸飲料の規格を0.29MPa以上とした日本農林規格JASの規定に準拠して、大気圧を超える高圧下は、0.29MPa以上、1MPa未満の圧力である。
上記の態様においては、前記必要な気体は、酸素であり、前記気体導入流路には、オゾンを前記気液混合容器内に供給可能なオゾン供給部が、配設されていること、が好ましい。
この態様によれば、必要な気体が、酸素とオゾンである場合に、生成される置換後気体溶液は、水等にオゾンと酸素を溶解させたオゾン水として、より短い時間で、溶存酸素濃度と溶存オゾン濃度をより高めて製造することができる。
本発明に係る溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法によれば、機能性を高めた液体の生成にあたり、液体に溶存している不要な気体(置換前の気体)を脱気して、この液体に、置換後の気体である必要な気体を、より高濃度で、効率良く溶解させることができる、という優れた効果を奏する。
実施形態の実施例1に係る溶存気体置換装置の概要を示す説明図である。 実施形態の実施例2に係る溶存気体置換装置の概要を示す説明図である。 実施形態の実施例2に係る置換後気体溶液の生成で、オゾン(必要な気体)を水(液体)に溶解させるにあたり、参考とする実験1の結果で、吹込みオゾン濃度と溶存オゾン濃度との関係を示すグラフである。 実施形態に係る置換後気体溶液の生成で、酸素(必要な気体)を水(液体)に溶解させる過程に関して、参考とする実験2の結果で、真空引きの効果と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。 実施形態に係る置換後気体溶液の生成で、酸素(必要な気体)を水(液体)に溶解させる過程に関して、参考とする実験3の結果で、微細化した水の粒子径と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。 実施形態に係る置換後気体溶液の生成で、酸素(必要な気体)を水(液体)に溶解させる過程に関して、参考とする実験4の結果で、供給する酸素の圧力と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法の実施形態を、実施例1,2と共に、図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る溶存気体置換装置は、溶存している不要な気体を液体から脱気させ、置換後の気体として必要な気体を、少なくとも1種以上液体に溶解させて、置換後気体溶液を生成する装置であり、このような置換後気体溶液は、本発明に係る溶存気体の置換方法によって生成される。
液体は、例えば、河川水、湖沼水、下水、工場排水等の水であり、本実施形態では、水道水である。必要な気体は、例えば、水素、フッ素、窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウムやアルゴン等の不活性ガス等、水に溶解可能な物性を有するものであり、本実施形態では、酸素(実施例1)、酸素とオゾン(実施例2)である。置換後気体溶液は、例えば、精製水、生理食塩水、経口飲用水、輸液、治療液、血液等であり、本実施形態では、高機能水である。
はじめに、実施形態に係る溶存気体置換装置の概要について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態の実施例1に係る溶存気体置換装置の概要を示す説明図である。なお、図1、図2とも、図を見易くするため、電気配線等、本質的な部分以外の図示を省略している。
図1に示すように、溶存気体置換装置1は、気液混合容器2と、液体供給部3(液体貯留部)と、気体供給部4(気体貯留部)と、溶液回収部5と、制御部6(制御手段)等を備える。制御部6は、溶存気体置換装置1に有する送出ポンプ21(ポンプ)、真空ポンプ22(ガス排気手段)、三方切替弁24(液体流通制御弁)、温度調節器25(液体温度調節手段)、流量制御弁31(気体流通制御弁)の電気制御部31c、開閉弁33a~33d、開閉弁33X(ガス流通制御弁)、温度計41、溶存気体濃度計42、液面計43、及び連成計44等と電気的に接続され、弁動作やポンプの運転オン/オフ等、各種機器の作動制御を行う。
液体Lは、液体供給部3に接続する液体収容管13上の開閉弁33aにより、液体供給部3内に収容可能で、液体供給部3内に貯留されている。必要な気体G(酸素等)は、気体供給部4内に、大気圧を超える高圧下で貯留されている。気液混合容器2は、液体収容管13から供給される液体Lと、気体供給部4から供給される必要な気体Gを、液密かつ気密に収容可能な内部空間2Sを有する容器である。液体供給部3は、液体供給管11(液体導入管路、液体導入流路)により、三方切替弁24と送出ポンプ21と開閉弁33bを介して、気液混合容器2と直列に接続されている。液体供給管11は、気液混合容器2の内部空間2Sに配設したノズル23と連通して接続されている。
送出ポンプ21は、液体供給部3から液体供給管11を通じて、気液混合容器2の内部空間2Sに液体Lを送出する。ノズル23は、送出ポンプ21により送出される液体Lを、微細化して内部空間2Sに噴霧するノズルである。具体的には、ノズル23は、液体供給管11と接続可能な第1ポートと、気体供給管14と接続可能な第2ポートを併設した複ポート式のノズル23Aや、液体供給管11と接続可能な単ポート式のノズル23Bである。
複ポート式のノズル23Aは、いわゆる二流体ノズルとして、液体Lと必要な気体Gとを混合させ、より高圧で液体Lを、例えば、数μm程の微細な霧状に拡散させて噴射するノズルである。複ポート式のノズル23Aでは、液体Lとの対比で、吐出する必要な気体Gの流量割合(気水体積比)をより大きくすると、噴霧する液体Lの粒子は、より微細化する。単ポート式のノズル23Bは、いわゆる一流体ノズルとして、例えば、扇形液膜噴流を行うファンスプレーノズル等、液体Lをより高圧で、数μm程の微細な霧状に噴射可能なノズルである。なお、複ポート式のノズル23Aの構造や、単ポート式のノズル23Bの構造は、特に限定されるものではない。
気液混合容器2は、内部空間2Sに収容された液体Lを、送出ポンプ21により、循環させて流動可能な液体循環系統F,F2を有する。液体循環系統F,F2は、本実施形態では、液体Lの流通を制御する三方切替弁24が、液体供給管11のうち、液体供給部3と送出ポンプ21との間に配設されている。また、液体供給管11とは別に、液体循環管12が、気液混合容器2の内部空間2Sと三方切替弁24との間で、開閉弁33cを介して、送出ポンプ21と並列に接続されて連通している。
すなわち、溶存気体置換装置1では、制御部6は、図1に示すように、三方切替弁24により、液体Lの第1流路F1、Fと、液体Lまたは液体Lと必要な気体Gとが混ざった気液混合物LGの第2流路F2、F(液体循環系統F,F2)とを、いずれか一方のみ選択的に切り替える。第1流路F1、Fは、液体供給管11を通じて、液体供給部3から三方切替弁24、送出ポンプ21を経て、気液混合容器2の内部空間2Sに液体Lを供給する流路である。第2流路F2、Fは、気液混合容器2の内部空間2Sに収容された液体Lまたは気液混合物LGを、液体循環管12と液体供給管11を通じて、気液混合容器2の内部空間2Sに循環させて供給する流路である。
温度調節器25は、気液混合容器2に設けられている。温度調節器25は、気液混合容器2の内部空間2Sに収容された液体L、液体Lを含む気液混合物LG(以下、液体Lと気液混合物LGをまとめて、「対象液体LG」と総称する場合もある。)、または必要な気体Gに対し、加熱または冷却を行い、所望の設定温度Tに調節する。
温度計41、溶存気体濃度計42、液面計43、及び連成計44は、気液混合容器2に配設されている。温度計41は、センサー部41sにより、気液混合容器2内の対象液体LGの温度を計測する。溶存気体濃度計42は、一例として、溶存酸素濃度計や溶存窒素濃度計等であり、センサー部42sにより、対象液体LGに溶存する、指標となる気体の濃度、すなわち酸素量や窒素量等を計測する。液面計43は、対象液体LGの貯留量を知得するにあたり、センサー部43sにより、対象液体LGの液面を検出する。連成計44は、内部空間2Sの雰囲気の真空度、圧力を計測する。連成計44の計測制御部44cは、制御部6と電気的に接続されている。
気液混合容器2には、開閉弁33dを具備した放散管17が、内部空間2Sに連通して接続されていると共に、圧力調整弁32が設けられている。圧力調整弁32は、内部空間2Sにおける過剰な圧力上昇を防ぐため、雰囲気の圧力を許容範囲に調整する。圧力調整弁32において、圧力の許容範囲の上限側は、1MPa未満である。放散管17は、内部空間2Sの雰囲気をなすガスを外部に排気するための管である。制御部6は、内部空間2Sにおいて、連成計44により測定された雰囲気の真空度や圧力に基づいて、開閉弁33dに対し、弁動作を制御する。
真空ポンプ22は、吸引管15(排気管路)により、開閉弁33Xとミストフィルタ26を介して、気液混合容器2と直列に接続されて内部空間2Sと連通している。真空ポンプ22は、気液混合容器2内の雰囲気をなすガスを吸引して、外部に排気可能に構成されている。開閉弁33Xは、気液混合容器2内の雰囲気をなすガスの流通を制御する。ミストフィルタ26は、排気するガスと共に存在する水分(対象液体LG)を除去する。ミストフィルタ26と気液混合容器2とは、吸引管15と並列に配管された戻し管16とも接続されている。
これにより、開閉弁33Xが開弁すると、気液混合容器2内の雰囲気をなすガスは、真空ポンプ22により、内部空間2Sから吸引管15を通じて吸引され、ミストフィルタ26で水分を除去して外部に流出する。ミストフィルタ26で除去された水分は、戻し管16を通じて再び内部空間2Sに戻される。
気体供給部4は、気体供給管14(気体導入管路・気体導入流路)により、流量制御弁31を介して、気液混合容器2と直列に接続され、内部空間2Sと連通している。流量制御弁31は、気液混合容器2の内部空間2Sに対し、必要な気体Gの流通を制御する。
(実施例1)
実施例1では、必要な気体Gは、酸素である。図1に示すように、溶存気体置換装置1A(1)では、ノズル23は、複ポート式のノズル23Aである。気体供給管14は、液体供給管11と合流した状態で、複ポート式のノズル23Aと連通して接続されている。これにより、必要な気体Gは、対象液体LG(液体L、または気液混合物LG)と混合した状態で、複ポート式のノズル23Aを通じて、気液混合容器2の内部空間2Sに供給される。
(実施例2)
図2は、実施形態の実施例2に係る溶存気体置換装置の概要を示す説明図である。実施例2では、必要な気体Gは、酸素とオゾンである。図2に示すように、溶存気体置換装置1B(1)では、オゾン供給部51が、気体供給管14のうち、気液混合容器2と流量制御弁31との間に配設されている。オゾン供給部51は、オゾンを生成して、気液混合容器2の内部空間2Sに供給可能なユニットである。気体供給管14には、必要な気体Gとして、気体供給部4から供給される酸素と、オゾン供給部51から供給されるオゾンが、混在しながら流通可能となっている。
溶存気体置換装置1B(1)では、ノズル23は、単ポート式のノズル23Bである。気体供給管14は、液体供給管11と連通した単ポート式のノズル23Bと独立した態様で、気液混合容器2の内部空間2Sに連通して接続されている。気液混合容器2には、溶存オゾン濃度計52が配設されている。溶存オゾン濃度計52は、センサー部52sにより、対象液体LGに含む溶存オゾン量を計測する。制御部6は、オゾン供給部51及び溶存オゾン濃度計52と、電気的に接続されている。
溶存気体置換装置1A、1B(1)では、制御部6は、真空ポンプ22により、大気圧より低圧に真空引きした状態の気液混合容器2内で、温度調節器25により設定温度Tに温度調節された液体L、または気液混合物LGを、送出ポンプ21により、循環を伴いながら、ノズル23から噴霧させると共に、気体供給管14より、必要な気体Gを、噴霧したミスト状の液体Lと接触可能な状態で、供給する。これにより、この気液混合容器2の内部空間2Sに、後述する置換後気体溶液SQが生成される。
溶液回収部5は、開閉弁33eを具備した取出管18により、気液混合容器2の内部空間2Sと連通して接続されていると共に、開閉弁33fを具備した排出管19と接続されている。溶液回収部5は、内部空間2Sで生成した置換後気体溶液SQを、一時的に収容して貯留する容器である。溶液回収部5の容器内は、常に外部圧力(例えば大気圧)とほぼ同圧になるよう、構成されている。置換後気体溶液SQは、溶液回収部5から排出管19を通じて、溶存気体置換装置1外に流出されて、大気圧の下、所望の用途で消費される。
次に、実施形態に係る溶存気体の置換方法について、説明する。実施形態に係る溶存気体の置換方法は、溶存している不要な気体を液体Lから脱気させ、置換後の気体として必要な気体Gを液体Lに溶解させて、置換後気体溶液SQを生成する方法である。実施形態に係る溶存気体の置換方法は、容器内液体加熱工程、不要気体脱気工程、脱気後液体冷却工程、及び気液混合工程を有する。本実施形態では、前述した溶存気体置換装置1A、1B(1)を用いて、これらの工程について、説明する。なお、本実施形態に係る溶存気体の置換方法では、常温は、20±15℃の概念を適用した15~25℃の範囲内にある温度である。
はじめに、容器内液体加熱工程を行う。容器内液体加熱工程は、液体供給管11を開路して、液体供給部3から液体Lを供給して気液混合容器2の内部空間2Sに収容し、内部空間2Sに収容された全量分の液体Lを、常温より高い設定温度T1に加熱する。
不要気体脱気工程は、気体供給管14を閉路して、真空ポンプ22により、気液混合容器2の内部空間2Sに存在するガスを、大気圧より低圧な真空状態で吸引しながら、気液混合容器2の内部空間2Sに対し、設定温度T1に加熱された液体を、循環を伴った流動の下で、ノズル23を通じて微細化し、拡散させた状態で、内部空間2Sに噴霧させることで、液体Lから脱気した不要な気体を、気液混合容器2外に排気させる。
脱気後液体冷却工程は、不要気体脱気工程の後、不要な気体を脱気した状態である脱気後の液体Lを、設定温度T1より低い設定温度T2(T2<T1)に冷却する。
不要気体脱気工程の後、気液混合工程では、脱気後の液体Lが、気液混合容器2に対し、循環を伴った流動の下で、脱気後の液体Lを、ノズル23を通じて微細化し、拡散させた状態で、内部空間2Sに向けて噴霧すると共に、ノズル23から噴霧した脱気後の液体Lに、気体供給管14の開路により、気体供給部4から供給する必要な気体Gを、高圧下で接触させて混合させる。
具体的に説明する。実施形態に係る溶存気体の置換方法の実施にあたり、容器内液体加熱工程前では、あらかじめ開閉弁33eと開閉弁33Xと流量制御弁31は、閉弁され、開閉弁33b、33c、33dは、開弁されている。三方切替弁24では、液体Lの第1流路F1、Fが、開路されている。
容器内液体加熱工程では、まず所定量の液体Lを、送出ポンプ21による吸引で、液体供給部3から第1流路F1、F(液体供給管11)を通じて、気液混合容器2の内部空間2Sに供給する。液体供給部3では、開閉弁33aは通常、閉弁されているが、液体供給部3内部が真空にならないよう、開閉弁33aは、液体収容管13を通じた液体供給部3への液体Lの補給時に開弁され、液体Lの補給後には、閉弁される。
液体Lの供給が完了したら、送出ポンプ21の運転を停止する。次に、供給された全量分の液体Lを、温度調節器25により、常温より高い設定温度T1に加熱する。液体Lの温度は、センサー部41sで検出された温度計41の測定値より知得することができ、温度調節器25は、温度計41の測定値に基づき、設定温度T1になるまで液体Lを加熱して温度を調節する。設定温度T1は、常温帯域より高く、かつ50℃以下の範囲内にある温度である。
次に、気液混合容器2の内部空間2Sで、全量分の液体Lが、循環を伴った流動の下で、設定温度Tに加熱されたら、不要気体脱気工程を実施する。あるいは、容器内液体加熱工程で、全量分の液体Lを設定温度Tに加熱しながら、不要気体脱気工程を実施する。不要気体脱気工程では、制御部6は、開閉弁33dの閉弁と、開閉弁33b、33c及び開閉弁33Xの開弁と同時に、三方切替弁24で開路する流路を、第1流路F1、Fから第2流路F2、Fに切替える。また、制御部6は、送出ポンプ21を再び作動させると共に、真空ポンプ22を作動させる。
これにより、液体Lは、液体供給部3から気液混合容器2に供給されず、内部空間2Sに収容された全量分の液体Lだけが、送出ポンプ21により、液体循環管12を含む第2流路F2、Fを通じて、気液混合容器2の内部空間2Sを何度も循環するようになる。すなわち、気液混合容器2の内部空間2Sでは、設定温度T1に加熱された液体Lは、第2流路F2、Fを通じて、気液混合容器2内の循環を伴った流動の下で、ノズル23(23A、23B)を通じて微細化され、拡散した状態で噴霧する。液体Lの噴霧化により、溶存している不要な気体は、液体Lから脱気される。
脱気した不要な気体は、内部空間2Sの雰囲気に放たれる。不要気体脱気工程では、真空ポンプ22による気液混合容器2内の真空引きが行われているため、内部空間2Sの雰囲気をなすガスは、真空ポンプ22によって吸引され、吸引管15を通じて、気液混合容器2外に排気される。
内部空間2Sの雰囲気をなすガスは元々、例えば、空気や、必要な気体G以外の気体等であり、脱気した不要な気体を内部空間2Sに放つことにより、不要な気体を含んだ状態となる。不要気体脱気工程では、開閉弁33dを閉弁した後、真空ポンプ22により、内部空間2Sに不要な気体を含んだ雰囲気ガスを、吸引して気液混合容器2外に排気し、気液混合容器2内を、大気圧より低圧(大気圧より少なくとも-10Pa以下)な真空状態にする。
具体的に説明する。密閉された陰圧下の内部空間2Sで、内部空間2Sに収容された液体Lは、ノズル23より、数μm程の微細な霧状で、気液混合容器2内に拡散して噴射し、内部空間2S底部に貯留される。内部空間2S底部に溜まった液体Lは、送出ポンプ21により、第2流路F2、Fを通じてノズル23に向けて送出される。液体Lは、ノズル23から微粒子状に拡散した状態で、再び内部空間2Sに噴霧される。
このように、内部空間2Sに収容された液体Lだけを、送出ポンプ21により、液体循環管12を含む第2流路F2、Fを通じて、気液混合容器2の内部空間2Sを何度も循環させる。なお、内部空間2Sを漂う微粒子状の液体Lも、真空ポンプ22により、吸引管15に吸引されてしまうこともあるが、吸引された微粒子状の液体L(ミスト)は、ミストフィルタ26で捕集され、戻し管16を通じて内部空間2Sに戻される。
液体Lが、ノズル23より、微粒子状に拡散した状態で噴霧されると、液体Lが噴霧される度に、液体Lの噴霧と同時に、液体Lに溶存していた不要な気体が、液体Lから次第に脱気されて、陰圧下の内部空間2Sに放たれる。液体Lは、容器内液体加熱工程で、設定温度T1に加熱されているため、液体Lに溶存した不要な気体は、脱気し易い。また、不要気体脱気工程でも、内部空間2Sに収容した液体Lに対し、温度調節器25により、液体Lを設定温度T1に保温、または、必要に応じて、冷えた液体Lを設定温度T1まで再加熱を行うと、液体Lに溶存した不要な気体の脱気は、促進される。そのため、不要な気体は、より短い時間で脱気するようになる。
不要な気体の脱気状態は、内部空間2Sに収容した液体Lに溶存する指標の気体(例えば、酸素や窒素等)の濃度に対し、センサー部42sで検出した溶存気体濃度計42の測定値に基づき、時間当たりの変化量を考慮した判断の下で、知得することができる。
また、気液混合容器2内の真空状態は、連成計44により、内部空間2Sの真空度、圧力を検出した測定値に基づき、時間当たりの変化量を考慮した判断の下で、知得することができる。内部空間2Sの真空度は、例えば、JIS(日本産業規格)で定められた真空の区分で、少なくとも中真空(100~0.1Pa)、高真空(10‐1~10‐5Pa)に該当した真空状態にあることが好ましい。
かくして、溶存していた不要な気体が、液体Lから脱気され、真空ポンプ22の運転を停止して、不要気体脱気工程が完了する。
次に、不要な気体の脱気を終えたら、脱気後液体冷却工程を実施する。制御部6は、温度調節器25を、設定温度T1から低くして常温程度の設定温度T2(T2<T1)に調節する。これにより、不要な気体を脱気した状態である脱気後の液体Lは、設定温度T2に冷却される。設定温度T2は、0℃以上、かつ常温帯域より低い範囲内にある温度である。
次に、気液混合工程を実施する。制御部6は、不要気体脱気工程以降、送出ポンプ21を運転したままで、開閉弁33Xを閉弁すると同時に、流量制御弁31を開弁する。これにより、気体供給部4に高圧で貯蔵されている必要な気体Gは、気体供給管14を通じて供給され続け、気密下で真空状態になっている気液混合容器2の内部空間2Sに、高圧状態のまま収容される。
なお、必要な気体Gは、大気圧に対し、少なくとも0.01MPa以上の高圧状態にあり、本実施形態では、例えば、0.29MPa以上、1MPa未満の供給圧の下で、気液混合容器2の内部空間2Sに収容されるが、気体供給部4における必要な気体Gの貯留圧が、内部空間2Sへの供給圧より低い場合には、増圧ユニットが、液体収容管13上に配設されていると良い。増圧ユニットにより、液体収容管13で圧送する必要な気体Gは、貯留圧から供給圧まで増圧できるからである。
なお、必要な気体Gを内部空間2Sに収容するにあたり、内部空間2Sの圧力が許容範囲内に収まるよう、連成計44による圧力管理の下、必要な気体Gの供給量と圧力は、制御部6で流量制御弁31の弁開度を制御することによって、適宜調整される。
必要な気体Gは、実施例1の場合、内部空間2Sにおいて、第2流路F2、Fを通じて送出される液体Lとノズル23A(23)で合流して吐出される。これにより、高圧状態の必要な気体Gは、微粒子状の液体Lと互いに接触して混合し、液体Lに溶解して気液混合物LGとなる。気液混合物LG(最後には置換後気体溶液SQになる)は、内部空間2S底部に貯留される。
また、実施例2の場合では、第2流路F2、Fを通じて送出される液体Lは、ノズル23B(23)よる噴霧で微粒子状に拡散され、必要な気体Gは、微粒子状の液体Lで漂う内部空間2Sに供給される。これにより、高圧状態の必要な気体Gは、内部空間2Sで、微粒子状の液体Lと互いに接触して混合し、液体Lに溶解して気液混合物LGとなる。気液混合物LG(最後には置換後気体溶液SQになる)は、内部空間2S底部に貯留される。
ここで、溶存気体置換装置1B(1)において、必要な気体Gとして、酸素と共に、オゾンを混在させる場合に生じる作用機序について、説明する。溶存気体置換装置1Bでは、オゾン供給部51は、気液混合物LG中にオゾンを溶解させるために設けられている。オゾン供給部51では、オゾンは、酸素を含む空気を基にして生成されても良いが、気体供給部4から流入する酸素(必要な気体G)より生成されると、生成効率がより高くなるため、オゾン供給部51が、気体供給部4下流側に設けられることが好ましい。
但し、オゾン供給部51では、気体供給部4から流入する酸素の全量が、オゾンに変化して気体供給管14に流出されるものではなく、酸素全量のうちの一部の酸素は、オゾン供給部51内で処理されずオゾン化しない。そのため、気液混合容器2の内部空間2Sに通じる気体供給管14では、気体供給部4から圧送される酸素は、オゾン供給部51で置換されるオゾンと、置換されず酸素のままの二種となり、オゾンと酸素が、混在した状態となる。従って、内部空間2S底部に貯留される気液混合物LG(置換後気体溶液SQ)は、溶存オゾン水と溶存酸素水の混合溶液となり、生成される置換後気体溶液SQは、オゾン水に有する特有の効果と、酸素水に有する特有の効果の双方を、持ち合わせた作用機序を発揮する。
本実施形態に係るオゾン水とは、オゾン分子Oが、そのまま水に、ヘンリーの法則に基づいて、溶解したものだけではなく、水中の物理的条件等で、オゾン分子Oの自己分解反応が水中で起き、その自己分解反応の過程で、中間体としてOHラジカル、HOラジカルや、OHラジカルが生成されることもある。また、水中に溶解したオゾン分子Oは、酸素分子に分解され、その過程でもOHラジカル等が生成されることもある。これは、水中のオゾン分子Oが、水の解離成分である水酸化イオン(OH)と反応して、結果的に液中に、酸素分子OとOHラジカルが生成するからである。また、OHラジカルは、ヒドロキシルイオン(OH)と混同されることがあるが、各々の作用機序は全く異なり、OHラジカルは、化学的に活性であるのに対し、ヒドロキシルイオン(OH)は化学的に不活性である。
オゾンの液体(水等)への溶解量は、隔膜ポーラロ電極式等の液相オゾン濃度計によって、測定可能である。その他にも、液体に対し、オゾンの溶解時に発生するOHラジカルを、酸化還元電位計で測定することにより、液体へのオゾン溶解量を、間接的に知ることもできる。すなわち、酸化還元電位計では、OHラジカルの酸化還元電位は、一般的に2.85Vである。フッ素の酸化還元電位2.87V、オゾンの2.07V、過酸化水素の1.78V、次亜塩素酸の1.49V等と比較すると、このOHラジカルの酸化還元電位は、非常に高い水準域にあり、OHラジカルの酸化力は非常に強い。それ故に、置換後気体溶液SQを、例えば、輸液に使用される場合等、置換後気体溶液SQの用途によって、オゾン溶解量(溶存オゾン濃度)を適宜調整する必要がある。
ところで、溶存オゾン水と溶存酸素水の混合溶液に対し、溶存オゾン濃度は、オゾン供給部51において、オゾン化の処理能力の調節や、気体供給部4からオゾン供給部51に流入する酸素の供給量を調整することにより、調整可能である。また、溶存酸素濃度は、気体供給部4から供給する酸素量を調整することで、調整可能である。
その一例として、実験1の結果を図3に掲載する。図3は、実施形態の実施例2に係る置換後気体溶液の生成で、オゾン(必要な気体)を水(液体)に溶解させるにあたり、参考とする実験1の結果で、吹込みオゾン濃度と溶存オゾン濃度との関係を示すグラフである。実験1は、本実施形態に係る溶存気体の置換方法の気液混合工程に関連し、真空脱気した水にオゾンを溶解させるにあたり、水とオゾンとの接触で、吹込まれたオゾンの濃度と溶存オゾン濃度との関係を簡易的に調査した内容である。実験1の条件は、吹込まれたオゾンの濃度を、17.5ppmとした場合と、21ppmとした場合である。図3に示すように、実験1の結果より、オゾン濃度21ppmの場合の方が、17.5ppmとした場合に比べ、酸素の水への溶解速度は明らかに速く、溶解する酸素の溶存酸素濃度も、1.3~1.4倍となり、吹込まれるオゾンの濃度が高いと、溶存オゾン濃度も高くなることが判る。
必要な気体Gにオゾンが含まれる場合、気液混合物LG中の溶存オゾン濃度は、溶存オゾン濃度計52により、内部空間2S底部に貯留された気液混合物LGに、センサー部52sを浸漬した状態にして、監視される。送出ポンプ21の循環運転と、一の必要な気体Gであるオゾンの供給は、気液混合物LGにおいて、所望の溶存オゾン濃度に到達するまで続けられる。なお、液体Lに対し、酸素やオゾンに代えて、他の気体を溶解させる場合には、他の気体の物性に対応した溶存気体濃度計42を用いて、溶存する他の気体の濃度を知得すれば良い。
再び、気液混合工程の説明に戻る。内部空間2S底部の貯留前、気液混合物LGは、概ね設定温度T1となっているため、温度調節器25により、気液混合物LGを、設定温度T1より低い常温程度の設定温度T2に冷却する。気液混合物LGの温度は、センサー部41sで検出された温度計41の測定値より知得することができ、温度調節器25は、温度計41の測定値に基づいて、気液混合物LGの温度を調節する。
内部空間2S底部に溜まった気液混合物LGは、温度調節器25で設定温度T2に温度調節され、送出ポンプ21により、第2流路F2、Fを通じて再び内部空間2Sのノズル23に送出され、ノズル23から微粒子状に拡散した状態で、内部空間2Sに噴霧される。また、必要な気体Gは、気体供給部4から高圧状態のまま吐出され続けており、噴霧されている気液混合物LGと混合した状態で、内部空間2Sに供給される。これにより、内部空間2Sは、許容範囲内の圧力まで、次第に昇圧する。
このように、内部空間2Sに収容された気液混合物LGを、送出ポンプ21により、液体循環管12を含む第2流路F2、Fを通じて、気液混合容器2の内部空間2Sを何度も循環させながら、微粒子状の気液混合物LGに向けて、必要な気体Gを供給し続ける。気液混合物LGが、ノズル23より、微粒子状に拡散した状態で噴霧されると、気液混合物LGが噴霧される度に、噴霧された微粒子状の気液混合物LGは、必要な気体Gで加圧され、必要な気体Gは、次第に気液混合物LGに溶解するようになる。
すなわち、内部空間2Sでは、気液混合物LGは、常温に近い温度になっている。この気液混合物LGは、必要な気体Gの供給により、微粒子状となって内部空間2Sに噴霧される。そのため、高圧状態で供給される必要な気体Gが、微粒子状の気液混合物LGと接触すると、気液混合物LGに対し、必要な気体Gの溶解が促進され、必要な気体Gは、より短い時間で気液混合物LGに溶解するようになる。
このとき、高圧状態の必要な気体Gを、常温程度に冷却された微粒子状の気液混合物LGに溶解させると、必要な気体Gを高圧下で供給せず、気液混合物LGを設定温度T2から冷却しない場合との対比で、気液混合物LGに対する必要な気体Gの溶存状態が、長時間に亘り、より安定するようになる。
溶解した必要な気体Gの溶存状態は、内部空間2S底部に溜まった気液混合物LGに溶存する指標の気体の濃度に対し、センサー部42sで検出した溶存気体濃度計42の測定値に基づき、時間当たりの変化量を考慮した判断の下で監視し、知得することができる。本実施形態のように、必要な気体Gが酸素の場合、酸素の溶存状態は、溶存酸素濃度計(溶存気体濃度計)42による溶存酸素濃度の測定値を基に知得される。送出ポンプ21の循環運転と必要な気体Gの供給は、気液混合物LGにおいて、所望の溶存酸素濃度に到達するまで続けられる。
所望の溶存酸素濃度に到達した気液混合物LG、すなわち置換後気体溶液SQが、内部空間2Sに生成されたら、流量制御弁31を閉弁して、気体供給部4から必要な気体Gの供給を停止すると共に、放散管17を開路して、内部空間2Sを、大気圧下に減圧する。なお、高圧化した状況下にある内部空間2Sで、万が一、気液混合物LGに対する必要な気体Gの溶解が飽和状態を超えても、必要な気体Gが、内部空間2Sに供給され続けてしまった場合、気液混合工程の最後に、内部空間2Sが大気圧下に減圧されることで、過飽和になった余剰分の必要な気体Gは、外部に開放される。
かくして、気液混合工程では、置換後気体溶液SQは、内部空間2Sにおいて、常温で生成される。開閉弁33eの開弁後、置換後気体溶液SQは、開閉弁33dを開弁した下で、取出管18を通じて、溶液回収部5に移送され、開閉弁33fの開弁により、溶液回収部5から排出管19を通じて流出され、大気圧の下、所望の用途で消費される。
次に、本実施形態の実施例1,2に係る溶存気体置換装置1A,1B(1)、及び溶存気体の置換方法の作用・効果について説明する。
本実施形態の実施例1,2に係る溶存気体置換装置1A,1B(1)は、溶存している不要な気体を液体Lから脱気させ、置換後の気体として必要な気体Gである酸素を液体Lに溶解させて、置換後気体溶液SGを生成する溶存気体置換装置において、必要な気体Gと液体Lを内部空間2Sに収容可能な気液混合容器2と、必要な気体Gを、大気圧を超える高圧下で貯留する気体供給部4と、気体供給部4と気液混合容器2内とが連通する気体供給管14で、必要な気体Gの流通を制御する流量制御弁31と、液体Lを貯留する液体供給部3と、液体供給部3と気液混合容器2内とが連通する液体供給管11で、液体Lの流通を制御する三方切替弁24と、液体Lを送出する送出ポンプ21と、液体Lを微細化して吐出可能なノズル23A,23B(23)と、気液混合容器2内で、液体Lを設定温度Tに調節可能な温度調節器25と、気液混合容器2内に存在するガスを吸引して外部に排気可能な真空ポンプ22と、真空ポンプ22と気液混合容器2内とが連通する吸引管15で、ガスの流れを制御する開閉弁33Xと、制御部6と、を備える。ノズル23は、気液混合容器2の内部空間2Sに、液体供給管11と連通して配設され、気液混合容器2は、内部空間2Sに収容された、液体Lと必要な気体Gとの気液混合物LGを、送出ポンプ21により、循環させて流動可能な液体循環系統F,F2を有する。制御部6は、真空ポンプ22により、大気圧より低圧に真空引きした状態の気液混合容器2内で、温度調節器25により温度調節された液体Lを、送出ポンプ21により、循環を伴いながら、ノズル23から噴霧すると共に、液体供給管11より、必要な気体Gを、噴霧したミスト状の対象液体LG(液体L、または液体Lを含む気液混合物LG)と接触可能な状態で、供給すること、を特徴とする。
この特徴により、不要な気体は、送出ポンプ21と真空ポンプ22により、水等の液体Lから効率良く脱気され、脱気された状態の液体Lに、酸素等の必要な気体Gを、高圧下で効率良く供給することができるようになるため、水等に酸素等を溶解させた置換後気体溶液SGを、より短い時間で、かつより高濃度に製造することができる。ひいては、いわゆる高機能水として、酸素等の必要な気体Gを水等の液体Lに溶解させた置換後気体溶液SGを、より高濃度に、かつ安定した製造プロセスを経て生成することが可能になる。
従って、本実施形態に係る溶存気体置換装置1によれば、機能性を高めた置換後気体溶液SGの生成にあたり、液体Lに溶存している不要な気体(置換前の気体)を脱気して、この液体Lに、置換後の気体である必要な気体G(酸素、酸素とオゾン)を、より高濃度で、効率良く溶解させることができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態の実施例1,2に係る溶存気体置換装置1A,1B(1)では、三方切替弁24は、液体供給管11のうち、液体供給部3と送出ポンプ21との間に配設され、液体循環系統F,F2では、液体供給管11とは別に、液体循環管12が、送出ポンプ21と並列に、気液混合容器2の内部空間2Sと連通して三方切替弁24に接続されていること、制御部6は、液体供給管11を通じて、液体Lを液体供給部3から気液混合容器2の内部空間2Sに供給する第1流路F1と、気液混合容器2の内部空間2Sに収容した対象液体LG(液体L、または液体Lを含む気液混合物LG)を、液体循環管12を通じて循環させて、気液混合容器2の内部空間2Sに供給する第2流路F2とを、三方切替弁24で、選択的に切り替えること、を特徴とする。
この特徴により、第1流路F1と第2流路F2とを切り替えることで、液体Lに溶存している不要な気体の脱気処理と、不要な気体の脱気後、この液体Lへの必要な気体Gの溶解処理との間で、各処理がスムーズに移行できる。
また、本実施形態の実施例1に係る溶存気体置換装置1A(1)では、必要な気体Gは、液体Lと共に、ノズル23A(23)を通じて、気液混合容器2の内部空間2Sに供給されること、を特徴とする。
この特徴により、噴出する液体Lまたは気液混合物LGと、吐出する必要な気体Gが、ノズル23A(23)によって、互いに混合し易くなる。そのため、液体Lに対する必要な気体Gの溶解が促進されるほか、気液混合物LGに対し、引き続き必要な気体Gを溶解させる過程でも、必要な気体Gの溶解が促進される。
また、本実施形態の実施例2に係る溶存気体置換装置1B(1)では、必要な気体Gは、酸素であり、気体供給管14には、オゾンを気液混合容器2の内部空間2Sに供給可能なオゾン供給部51を備えていること、を特徴とする。
この特徴により、必要な気体Gが、酸素とオゾンである場合に、生成される置換後気体溶液SGは、水等にオゾンと酸素を溶解させたオゾン水として、より短い時間で、溶存酸素濃度と溶存オゾン濃度をより高めて製造することができる。
また、本実施形態に係る溶存気体の置換方法は、溶存している不要な気体を液体Lから脱気させ、置換後の気体として必要な気体Gを液体Lに溶解させて、置換後気体溶液SQを生成する溶存気体の置換方法において、必要な気体Gを、大気圧を超える高圧下で貯留した気体供給部4と、液体Lを貯留した液体供給部3と、液体供給部3から液体供給管11を通じて供給された液体Lと、気体供給部4から気体供給管14を通じて供給された必要な気体Gとを、内部空間2Sに収容する気液混合容器2と、気液混合容器2の内部空間2Sに存在するガスを吸引し外部に排気する真空ポンプ22と、を有し、液体供給管11を開路して、液体供給部3から液体Lを供給して気液混合容器2の内部空間2Sに収容し、内部空間2Sに収容された全量分の液体Lを、常温より高い設定温度T1に加熱する容器内液体加熱工程と、気体供給管14を閉路して、真空ポンプ22により、気液混合容器2の内部空間2Sに存在するガスを、大気圧より低圧な真空状態で吸引しながら、気液混合容器2の内部空間2Sに対し、設定温度T1に加熱された液体を、循環を伴った流動の下で、ノズル23を通じて微細化し、拡散させた状態で、内部空間2Sに噴霧させることで、液体Lから脱気した不要な気体を、気液混合容器2外に排気させる不要気体脱気工程と、不要気体脱気工程の後、不要な気体を脱気した状態である脱気後の液体Lを、設定温度T1より低い設定温度T2(T2<T1)に冷却する脱気後液体冷却工程と、不要気体脱気工程の後、脱気後の液体Lが、気液混合容器2に対し、循環を伴った流動の下で、脱気後の液体Lを、ノズル23を通じて微細化し、拡散させた状態で、内部空間2Sに向けて噴霧すると共に、ノズル23から噴霧した脱気後の液体Lに、気体供給管14の開路により、気体供給部4から供給する必要な気体Gを、高圧下で接触させて混合させる気液混合工程と、を有すること、を特徴とする。
この特徴により、液体Lに溶存していた不要な気体の脱気処理では、不要な気体が、比較的短い時間で効率良く脱気できるようになる上に、不要な気体の脱気後に、この液体Lや、液体Lを含む気液混合物LG(対象液体LG)への必要な気体Gの溶解処理では、必要な気体Gを、比較的短い時間で効率良く、溶解させて、必要な気体G(酸素)の溶存濃度(溶存酸素濃度)をより高めた置換後気体溶液SQが生成できるようになる。ひいては、いわゆる高機能水として、酸素等の必要な気体Gを水等の液体Lに溶解させた置換後気体溶液SGを、より高濃度に、かつ安定した製造プロセスを経て生成することが可能になる。
すなわち、本実施形態に係る溶存気体の置換方法では、十分に脱気した状態で微細化された液体Lの内部には、電離や水和をしない低溶解度の溶存気体が、ほとんど存在しない状態であるため、微細化した液体Lの分子間隙間に、必要な気体Gを、より多く短時間で溶解させることができる。脱気処理において、不要な気体の脱気を真空状態で行い、溶解処理において、高圧下の状態で、必要な気体Gを一旦、微細化した液体Lの分子間隙間に溶解させている。そのため、本実施形態に係る溶存気体の置換方法によれば、脱気処理で真空脱気を行わず、溶解処理で加圧しない場合と比べ、気液混合工程を終えて、大気圧に減圧した後の状態として、溶存させた必要な気体Gを、液体L内に安定的に留まらせることができる。
このように生成された置換後気体溶液SQは、例えば、魚類を養殖する養魚池等で使用される飼育水のほか、酸素や二酸化炭素を最適な濃度に調整して溶解し、農林水産業用の生物育成のための機能水、酸素やオゾンを最適な濃度に調整して溶解し、河川や湖沼の浄化および産業廃棄水の浄化用溶液等として、使用可能である。また、高純度の高濃度オゾン水は半導体製造用や医療機器の洗浄に使用が可能である。
ところで、本出願人は、本実施形態に係る溶存気体の置換方法について、その有意性を確認する目的で、実験2~4を参考とした簡易的な調査を行った。
実験2は、本実施形態に係る溶存気体の置換方法の不要気体脱気工程に関連し、20℃の水に濃度99.5%の酸素を溶解させるにあたり、不要な気体の脱気時での真空引きの効果と、溶存酸素濃度との関係を調査した内容である。実験2の条件は、不要な気体の脱気時に内部空間2Sに存在する雰囲気ガスを、真空度2.7kPa(絶対圧力)で真空引きする場合と、このガスを全く真空引きしない場合である。図4は、実施形態に係る置換後気体溶液の生成で、酸素(必要な気体)を水(液体)に溶解させる過程に関して、参考とする実験2の結果で、真空引きの効果と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。図4に示すように、実験2の結果より、不要な気体の脱気時に、内部空間2Sの雰囲気ガスの真空引きが行われると、真空引きしない場合に比べ、水に溶存できる酸素濃度の領域に、短時間で達するようになり、酸素の溶解が促進されていることが判る。
実験3は、本実施形態に係る溶存気体の置換方法の気液混合工程に関連し、20℃の水に濃度99.5%の酸素を溶解させるにあたり、微細化した水と酸素との接触で、微細化した水の粒子径と溶存酸素濃度との関係を調査した内容である。実験3の条件は、ノズルを通じて噴霧したミスト状の水の平均粒子径(直径)を、Φ0.5mmとした場合と、Φ0.1mmとした場合である。図5は、実施形態に係る置換後気体溶液の生成で、酸素(必要な気体)を水(液体)に溶解させる過程に関して、参考とする実験3の結果で、微細化した水の粒子径と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。図5に示すように、実験3の結果より、水の平均粒子径Φ0.1mmの場合の方が、Φ0.5mmとした場合に比べ、酸素の水への溶解速度は明らかに速く、溶解する酸素の溶存酸素濃度も、4~5倍となり、酸素の溶解が促進されていることが判る。
その理由について、液粒状の水の平均粒子直径を、説明の便宜上、Φ1.0mmからΦ0.1mm、Φ0.01mmとした場合を挙げて、簡単に説明する。粒子直径Φ1.0mmの液粒1つが、粒子直径Φ0.1mmに微細化して複数個に分散されると、液粒1個あたり表面積は、1/100に減少する一方、液粒の全数は、1000倍に増加する。その結果、微細化した粒液体全体の総表面積は、分散前の10倍に増える。同様に、粒子直径Φ1.0mmの液粒1つが、粒子直径Φ0.01mmに微細化して複数個に分散されると、微細化した粒液体全体の総表面積は、分散前の100倍に増える。このように、液粒状の水の平均粒子直径が、より小さくなればなる程、無数に分散された微細な粒液全体において、粒液の総表面積が増大化する。そのため、粒液に溶存していた不要な気体の脱気処理では、不要な気体が、微細な粒液全体の総表面に広く接触できるようになり、比較的短い時間で効率良く脱気できるようになる。また、不要な気体の脱気後に、この粒液への必要な気体の溶解処理では、必要な気体が、微細な粒液全体の総表面に広く接触できるようになり、比較的短い時間で効率良く、溶存濃度をより高めて溶解できるようになるからである。
実験4は、本実施形態に係る溶存気体の置換方法の気液混合工程に関連し、20℃の水に濃度99.5%の酸素を溶解させるにあたり、水と酸素との接触で、供給する酸素の圧力と溶存酸素濃度との関係を調査した内容である。実験4の条件は、微細化した水に接触させる酸素の供給圧力を、0.12MPa(絶対圧力)の加圧下で行う場合と、特に加圧せず大気圧下で行う場合である。図6は、実施形態に係る置換後気体溶液の生成で、酸素(必要な気体)を水(液体)に溶解させる過程に関して、参考とする実験4の結果で、供給する酸素の圧力と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。図6に示すように、実験4の結果より、加圧下で酸素を水に接触させる場合の方が、大気圧下で酸素を水に接触させる場合に比べ、溶解した酸素の溶存酸素濃度は、約1.2倍となり、酸素の溶解が促進されていることが判る。
従って、本実施形態に係る溶存気体の置換方法によれば、機能性を高めた置換後気体溶液SGの生成にあたり、液体Lに溶存している不要な気体(置換前の気体)を脱気して、この液体Lに、置換後の気体である必要な気体G(酸素、酸素とオゾン)を、より高濃度で、効率良く溶解させることができる、という優れた効果を奏する。
なお、本実施形態に係る溶存気体の置換方法では、容器内液体加熱工程と不要気体脱気工程が、同時に行われても良い。これにより、容器内液体加熱工程において、液体Lが設定温度T1に加熱された後に、不要気体脱気工程を実施する場合に比べ、不要な気体の脱気処理に掛かる時間が、短縮できるからである。加えて、加熱される液体Lの温度ムラが抑制でき、不要な気体の脱気処理を、効率良く行うことができるようになる。
また、脱気後液体冷却工程と気液混合工程が、同時に行われても良い。これにより、脱気後液体冷却工程において、液体Lが設定温度T2に冷却された後に、気液混合工程を実施する場合に比べ、必要な気体Gの溶解処理に掛かる時間が、短縮できるからである。加えて、冷却される脱気後の液体L(気液混合物LGを含む)に温度のムラが抑制でき、必要な気体Gの溶解処理を、効率良く行うことができるようになる。
また、本実施形態に係る溶存気体の置換方法では、必要な気体Gは、酸素であり、気体供給管14には、オゾンを気液混合容器2内に供給可能なオゾン供給部51が、配設されていること、を特徴とする。
この特徴により、必要な気体Gが、酸素とオゾンである場合に、生成される置換後気体溶液SGは、水等にオゾンと酸素を溶解させたオゾン水として、より短い時間で、溶存酸素濃度と溶存オゾン濃度をより高めて製造することができる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態では、気液混合容器2内に収容した全量分の液体Lを、温度調節器25で加熱することで、液体Lに溶存している不要な気体の脱気を、効率良く促進させた。しかしながら、加熱する場合に比べ、不要な気体を脱気させる効率は低下するものの、気液混合容器内に収容した液体の加熱を、省いても良い。
(2)また、実施形態の実施例2では、単ポート式のノズル23Bを具備した溶存気体置換装置1Bを挙げたが、溶存気体置換装置は、単ポート式のノズル23Bに代えて、複ポート式のノズル23Aを用いて構成されていても良い。
本発明に係る溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法は、農林水産業、建設業、飲食業、工業等に挙げられる様々な産業分野のほか、医療や福祉等に関係する安全衛生分野等において、使用されている液の一例として、生物育成用水、飲用液、産業廃棄水の浄化、環境改善、及び輸液等に挙げられる機能液の製造に利用することができる。特に、本発明に係る溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法により、高純度で高濃度に製造されるオゾン水は、半導体の洗浄工程や、医療機器の洗浄の利用に適する。
1,1A,1B 溶存気体置換装置
2 気液混合容器
2S 内部空間
3 液体供給部(液体貯留部)
4 気体供給部(気体貯留部)
6 制御部(制御手段)
11 液体供給管(液体導入管路・液体導入流路)
12 循環系統管(液体循環管路)
14 気体供給管(気体導入管路・気体導入流路)
15 吸引管(排気管路)
21 送出ポンプ(ポンプ)
22 真空ポンプ(ガス排気手段)
23,23A,23B ノズル
24 三方切替弁(液体流通制御弁)
25 温度調節器(液体温度調節手段)
31 流量制御弁(気体流通制御弁)
33X 開閉弁(ガス流通制御弁)
51 オゾン供給部
T 設定温度
L 液体
G 必要な気体
LG 気液混合物
SQ 置換後気体溶液
F,F2 液体循環系統
F1 第1流路
F2 第2流路

Claims (6)

  1. 溶存している不要な気体を液体から脱気させ、置換後の気体として必要な気体を該液体に溶解させて、置換後気体溶液を生成する溶存気体置換装置において、
    前記必要な気体と前記液体を内部空間に収容可能な気液混合容器と、
    前記必要な気体を、大気圧を超える高圧下で貯留する気体貯留部と、
    前記気体貯留部と前記気液混合容器内とが連通する気体導入管路で、前記必要な気体の流通を制御する気体流通制御弁と、
    前記液体を貯留する液体貯留部と、
    前記液体貯留部と前記気液混合容器内とが連通する液体導入管路で、前記液体の流通を制御する液体流通制御弁と、
    前記液体を送出するポンプと、
    前記液体を微細化して吐出可能なノズルと、
    前記気液混合容器内で、前記液体を設定温度に調節可能な液体温度調節手段と、
    前記気液混合容器内に存在するガスを吸引して外部に排気可能なガス排気手段と、
    前記ガス排気手段と前記気液混合容器内とが連通する排気管路で、前記ガスの流れを制御するガス流通制御弁と、
    制御手段と、を備え、
    前記ノズルは、前記気液混合容器の前記内部空間に、前記液体導入管路と連通して配設され、前記気液混合容器は、前記内部空間に収容された前記液体と前記必要な気体との気液混合物を、前記ポンプにより、循環させて流動可能な液体循環系統を有すること、
    前記制御手段は、前記ガス排気手段により、大気圧より低圧に真空引きした状態の前記気液混合容器内で、前記液体温度調節手段により温度調節された前記液体を、前記ポンプにより、循環を伴いながら、前記ノズルから噴霧すると共に、前記気体導入管路より、前記必要な気体を、噴霧したミスト状の前記液体と接触可能な状態で、供給すること、
    を特徴とする溶存気体置換装置。
  2. 請求項1に記載する溶存気体置換装置において、
    前記液体流通制御弁は、前記液体導入管路のうち、前記液体貯留部と前記ポンプとの間に配設され、
    前記液体循環系統では、前記液体導入管路とは別に、液体循環管路が、前記ポンプと並列に、前記気液混合容器の前記内部空間と連通して前記液体流通制御弁に接続されていること、
    前記制御手段は、前記液体導入管路を通じて、前記液体を前記液体貯留部から前記気液混合容器の前記内部空間に供給する第1流路と、前記気液混合容器の前記内部空間に収容した前記液体、または前記気液混合物を、前記液体循環管路を通じて循環させて、前記気液混合容器の前記内部空間に供給する第2流路とを、前記液体流通制御弁で、選択的に切り替えること、
    を特徴とする溶存気体置換装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載する溶存気体置換装置において、
    前記必要な気体は、前記液体と共に、前記ノズルを通じて、前記気液混合容器の前記内部空間に供給されること、
    を特徴とする溶存気体置換装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載する溶存気体置換装置において、
    前記必要な気体は、酸素であり、
    前記気体導入管路には、オゾンを前記気液混合容器の前記内部空間に供給可能なオゾン供給部を備えていること、
    を特徴とする溶存気体置換装置。
  5. 溶存している不要な気体を液体から脱気させ、置換後の気体として必要な気体を該液体に溶解させて、置換後気体溶液を生成する溶存気体の置換方法において、
    前記必要な気体を、大気圧を超える高圧下で貯留した気体貯留部と、
    前記液体を貯留した液体貯留部と、
    前記液体貯留部から液体導入流路を通じて供給された前記液体と、前記気体貯留部から気体導入流路を通じて供給された前記必要な気体を、内部空間に収容する気液混合容器と、
    前記気液混合容器の前記内部空間に存在するガスを吸引して外部に排気するガス排気手段と、を有し、
    前記液体導入流路を開路して、前記液体貯留部から前記液体を供給して前記気液混合容器の前記内部空間に収容し、前記内部空間に収容された全量分の前記液体Lを、常温より高い設定温度T1に加熱する容器内液体加熱工程と、
    前記気体導入流路を閉路して、前記排気手段により、前記気液混合容器の前記内部空間に存在するガスを、大気圧より低圧な真空状態で吸引しながら、前記気液混合容器の前記内部空間に対し、加熱された前記液体を、循環を伴った流動の下で、ノズルを通じて微細化し、拡散させた状態で、前記内部空間に噴霧させることで、前記液体から脱気した前記不要な気体を、前記気液混合容器外に排気させる不要気体脱気工程と、
    前記不要気体脱気工程の後、前記不要な気体を脱気した状態である脱気後の前記液体を、前記設定温度T1より低い設定温度T2(T2<T1)に冷却する脱気後液体冷却工程と、
    前記脱気後の液体が、前記気液混合容器に対し、循環を伴った流動の下で、前記脱気後の液体を、前記ノズルを通じて微細化し、拡散させた状態で、前記内部空間に向けて噴霧すると共に、前記ノズルから噴霧した前記脱気後の液体に、前記気体導入流路の開路により、前記気体貯留部から供給する前記必要な気体を、前記高圧下で接触させて混合させる気液混合工程と、を有すること、
    を特徴とする溶存気体の置換方法。
  6. 請求項5に記載する溶存気体の置換方法において、
    前記必要な気体は、酸素であり、
    前記気体導入流路には、オゾンを前記気液混合容器内に供給可能なオゾン供給部が、配設されていること、
    を特徴とする溶存気体の置換方法。
JP2021085194A 2021-05-20 2021-05-20 溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法 Active JP7365751B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021085194A JP7365751B2 (ja) 2021-05-20 2021-05-20 溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021085194A JP7365751B2 (ja) 2021-05-20 2021-05-20 溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022178414A JP2022178414A (ja) 2022-12-02
JP7365751B2 true JP7365751B2 (ja) 2023-10-20

Family

ID=84238759

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021085194A Active JP7365751B2 (ja) 2021-05-20 2021-05-20 溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7365751B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19803980A1 (de) 1997-09-06 1999-07-29 Otto Heat Heizungs Vorrichtung zum Entgasen von flüssigen Medien
JP2009248048A (ja) 2008-04-09 2009-10-29 Shori:Kk 気液混合水生成装置
JP2020138149A (ja) 2019-02-28 2020-09-03 キヤノン株式会社 ウルトラファインバブル生成方法、ウルトラファインバブル生成装置、およびウルトラファインバブル含有液
JP7328311B2 (ja) 2021-03-12 2023-08-16 千住金属工業株式会社 フラックスおよび電子デバイスの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19803980A1 (de) 1997-09-06 1999-07-29 Otto Heat Heizungs Vorrichtung zum Entgasen von flüssigen Medien
JP2009248048A (ja) 2008-04-09 2009-10-29 Shori:Kk 気液混合水生成装置
JP2020138149A (ja) 2019-02-28 2020-09-03 キヤノン株式会社 ウルトラファインバブル生成方法、ウルトラファインバブル生成装置、およびウルトラファインバブル含有液
JP7328311B2 (ja) 2021-03-12 2023-08-16 千住金属工業株式会社 フラックスおよび電子デバイスの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022178414A (ja) 2022-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2749495B2 (ja) 高濃度オゾン水製造方法及び高濃度オゾン水製造装置
US6648307B2 (en) Method to increase the quantity of dissolved gas in a liquid and to maintain the increased quantity of dissolved gas in the liquid until utilized
JP6116658B2 (ja) 気体溶解装置及び気体溶解方法
US7029587B2 (en) Water purification
TWI508770B (zh) A method for producing a high concentration of ozone water, and a manufacturing apparatus for a high concentration of ozone water
US20070034230A1 (en) Method and system for producing ozonized deionized water
JP4734416B2 (ja) 硫酸の電解装置、電解方法及び基板の処理装置
JP2000507853A (ja) オゾン滅菌装置及びオゾン発生装置
CN101001806A (zh) 二氧化氯溶液发生器
JP4505234B2 (ja) 水素水製造装置および水素水製造方法
JP5020784B2 (ja) オゾン水の製造装置及び製造方法
JP7365751B2 (ja) 溶存気体置換装置、及び溶存気体の置換方法
JP2009297588A (ja) 加熱オゾン水の製造方法
JP5412135B2 (ja) オゾン水供給装置
JP2751943B2 (ja) 高濃度オゾン水製造方法及び高濃度オゾン水製造装置
TW201908242A (zh) 洗淨水供給裝置
JP2010199124A5 (ja)
TW201726560A (zh) 氫水生成裝置及氫水生成方法
JP2002018253A (ja) 水素溶解装置
JP4447126B2 (ja) 超純水製造装置
JP4587111B2 (ja) オゾン溶解水供給装置
JP5198426B2 (ja) 洗浄装置及びオゾン水生成装置
JPH0523150A (ja) 脱気方法及び炭酸水製造法並びに製造装置
CN115398036B (zh) 用于生成一氧化氮的设备、系统和方法
KR20230121851A (ko) 일산화질소를 생성하기 위한 장치, 시스템 및 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230919

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231003

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231009

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7365751

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150