JPH06285327A - 排煙脱硫方法および装置 - Google Patents

排煙脱硫方法および装置

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JPH06285327A
JPH06285327A JP5076676A JP7667693A JPH06285327A JP H06285327 A JPH06285327 A JP H06285327A JP 5076676 A JP5076676 A JP 5076676A JP 7667693 A JP7667693 A JP 7667693A JP H06285327 A JPH06285327 A JP H06285327A
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tank
liquid
absorbent
air
slurry
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JP5076676A
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English (en)
Inventor
Ryuichiro Hiruta
龍市郎 蛭田
Masakatsu Nishimura
正勝 西村
Shigeru Nozawa
滋 野澤
Hiroyuki Kako
宏行 加来
Naruhito Takamoto
成仁 高本
Hiroshi Masutomi
博 益冨
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸収液タンク部を小さくでき、少量の酸化用
空気により効率よく酸化すること、また石灰石スラリの
供給場所を特定しなくても効率よく脱硫反応が行える排
煙脱硫方法および装置を提供すること。 【構成】 SOxを吸収した亜硫酸カルシウムを含むス
ラリへ吸収液タンク4の側壁の1カ所または複数の箇所
から微細な空気を供給し(撹拌機2Bで供給空気を細か
く剪断する)、タンク4内に気泡の密な部分と気泡の希
薄な部分を形成し、タンク4内に液の見掛け比重の差に
よる鉛直方向の吸収剤スラリの循環流(上昇流16、下
降流18)を形成させると共にタンク4に設置した撹拌
機2Aにより水平方向の旋回流を生起させ、全体として
タンク4全域で鉛直方向のら旋状のスラリ循環流を形成
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば火力発電所用ボ
イラ装置などに付設される排煙脱硫方法と装置に係り、
特に吸収剤スラリ中に生成される亜硫酸カルシウムの酸
化を促進させるのに好適な湿式排煙脱硫方法と装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】湿式排煙脱硫方法として、石灰石または
石灰などのカルシウム化合物を吸収剤として排ガス中の
硫黄酸化物(以下、SOxと略記する)を吸収し、反応
生成物である亜硫酸カルシウムを安定な石膏に転化して
副生物として回収する、いわゆる石灰石−石膏法の湿式
排煙脱硫方法がよく知られている。この石灰石−石膏法
の脱硫反応を示せば、次の通りである。 CaCO3+SO2+1/2H2O→CaSO3・1/2H2O+CO2 (1) CaSO3・1/2H2O+1/2O2+3/2H2O→CaSO4・2H2O (2) 従来、この種の湿式排煙脱硫方法においては、吸収剤を
含む吸収液と排ガスとを気液接触させて、排ガス中のS
Oxを吸収し、同時に石膏を副生する方法として、SO
xを含む排ガスと気液接触する吸収部を設けるとともに
吸収部下部に循環用の吸収液の滞留部を設け、SOx吸
収後の吸収液のpHの低い領域全体に亜硫酸カルシウム
を酸化させるために多量の空気を供給する方法が採用さ
れていた。
【0003】図10は従来の典型的な排煙脱硫方法を示
す。同図において、排ガス41の導入口および清浄ガス
43の排出口をそれぞれ有する吸収塔42と、吸収塔4
2内の下部に形成された吸収剤スラリの液溜部である吸
収液タンク44と該タンク44内に設けられた酸化用空
気を供給するための酸化用空気供給ノズル45とタンク
44内で固形物の沈殿防止のためのスラリ撹拌機53
と、吸収塔42内の上部に設けられた吸収液48の噴霧
ノズル46およびミストエリミネータ47と、吸収液タ
ンク44から前記ノズル46へ吸収液48を循環させる
ための循環ポンプ49から主として構成されている。S
Oxを含んだ排ガス41は吸収塔42に導入される。一
方、タンク44内の吸収液48は循環ポンプ49により
吸収塔42の上部から塔内に噴霧され、SOx濃度の高
い排ガスと気液接触し、SOxは前記(1)式の反応に
より吸収液48中に吸収され、吸収液タンク44に回収
される。SOxが除去された排ガスはミストエリミネー
タ47を通過した後、清浄ガス43として塔頂から系外
へ排出される。
【0004】SOxを吸収した吸収液48は落下し、吸
収液タンク44内に溜められ、該タンク44内に設けら
れた酸化用空気供給ノズル45にコンプレッサ50によ
って昇圧された空気51が供給され、タンク44の内部
全面に気泡状として供給され、SOxを吸収した吸収液
48と接触して前記(2)式により、亜硫酸カルシウム
を酸化し石膏とする。一方、本反応により消費される炭
酸カルシウムに相当する新しい石灰石スラリ52は、酸
化用空気供給ノズル45より下方の吸収液タンク44へ
供給される。吸収液タンク44下方には吸収液中の固形
分の沈降を防止するための撹拌機53が設けられてい
る。また、酸化されて石膏を生成した吸収液48の一部
は石膏スラリ54として石膏回収プロセスへ供給される
(例えば、特公平62−55890号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、S
Oxを吸収した亜硫酸カルシウムの酸化を促進するため
に、亜硫酸カルシウムのpHを低く保つと同時に酸化用
の空気をpHの低い亜硫酸カルシウムを含む吸収液48
全体に供給し、酸化する必要があった。そのため、SO
xを吸収後、吸収液タンク44に落下した吸収液48を
pHを低い状態に保つために、該タンク44内の吸収液
48の撹拌を抑制し、鉛直方向の循環流の発生を防止す
るとともに、滞留する吸収液48のpH上昇要因である
新しく供給される石灰石スラリ52を吸収液タンク44
の底部に供給し、酸化前の亜硫酸カルシウムを含む吸収
液48との混合を抑制することが行われている。さら
に、亜硫酸カルシウムを含む吸収液48の撹拌を抑制す
るために、すなわち、吸収液タンク44内での吸収液4
8の混合を防止するために亜硫酸カルシウムを酸化する
ための酸化用空気51を亜硫酸カルシウムを含む吸収液
48全域に均一に供給し、鉛直方向に循環流が発生しな
いようにする必要がある。そのため、酸化用空気供給ノ
ズル45を吸収液タンク44内の全面に均等に多数配設
して酸化用空気51を供給する必要があった。
【0006】上述した亜硫酸カルシウムを硫酸カルシウ
ムに酸化する方法には次のような問題点があった。その
一つは、吸収液タンク44の上部を酸化に必要な部分、
さらには該タンク44の底部を石灰石スラリ52の供給
部とpHの回復に必要な部分に分ける必要があるため、
吸収液タンク44部分の容量を大きくする必要があった
ことである。さらに、酸化用空気供給ノズル45の先端
をスケーリング防止(閉塞防止)の観点より小さくする
ことができないために酸化用空気を微細な気泡とするこ
とができず、酸化用空気供給量が多く必要となり、その
ための補機の電力消費量が増加し、経済性が悪いという
問題があった。本発明の目的は、吸収液タンク部を小さ
くでき、少量の酸化用空気により効率よく酸化するこ
と、また石灰石スラリの供給場所を特定しなくても効率
よく脱硫反応が行える排煙脱硫方法と装置を提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成によって達成される。すなわち、吸収塔上部に気液
接触部を設け、吸収塔下部に吸収剤スラリの液溜部を設
けて、該液溜部の吸収剤スラリを気液接触部に循環噴霧
することで吸収塔内に導入される排ガス中の硫黄酸化物
およびダストを除去する排煙脱硫方法において、液溜部
の下部に吸収剤スラリ中の固形分の沈降を防止するため
の水平旋回流を発生させるとともに、液溜部側面の少な
くとも1ケ所から微細空気を注入し、注入した空気の気
泡群が吸収液タンク半径の10〜90%域で液面に出現
せしめるように微細空気の注入方向を設定することによ
り、吸収液タンク内部全域で鉛直方向の吸収剤スラリ循
環流を生起させ、該鉛直方向の循環流と前記水平旋回流
により吸収液タンク壁に沿ったら旋状の吸収剤スラリ循
環流を形成させ、気液接触部で生成した亜硫酸塩を酸化
させる排煙脱硫方法、または、吸収塔上部に気液接触部
を設け、吸収塔下部に吸収剤スラリの液溜部を設けて、
該液溜部の吸収剤スラリを気液接触部に循環噴霧するこ
とで吸収塔内に導入される排ガス中の硫黄酸化物および
ダストを除去する排煙脱硫装置において、液溜部の下部
に吸収剤スラリ中の固形分の沈降を防止するための水平
旋回流を発生させる撹拌手段と、吸収液タンク内に注入
した空気の気泡群がタンク半径の10〜90%域で液面
に出現せしめるように微細空気の注入方向を設定する液
溜部側面の少なくとも1ケ所に設けられた微細空気供給
手段とを設け、前記撹拌手段と微細空気供給手段により
吸収液タンク壁に沿ったら旋状の吸収剤スラリ循環流を
形成させ、気液接触部で生成した亜硫酸塩を酸化させる
排煙脱硫装置である。
【0008】ここで、硫黄酸化物の吸収剤として、炭酸
カルシウム、水酸化カルシウム、ドロマイトなどからな
るカルシウム系の吸収剤を用いて、副生品として石膏を
回収することができる。前記微細空気供給手段は、空気
供給手段と該空気供給手段からの吸収液タンク内に供給
される空気を細く剪断する撹拌手段とから構成しても良
い。また、液溜部の下部に吸収剤スラリ中の固形分の沈
降を防止するための水平旋回流を発生させる撹拌手段と
吸収液タンク内に供給される空気を細く剪断する撹拌手
段のうち、少なくともいずれかの撹拌手段は、その撹拌
手段の回転軸が取り付けられている吸収液タンク壁面と
該タンク中心軸を結ぶ直線に対して所定角度偏向した方
向に撹拌手段の回転中心軸が取り付けることができる。
さらに、強制的にタンク内に水平旋回流を発生させる撹
拌手段としてタンク上部に基部が支持された縦型撹拌機
を使用しても良い。本発明では、硫黄酸化物の吸収剤と
して、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ドロマイト
などからなるカルシウム系の吸収剤を用いて、副生品と
して石膏を回収することができる。
【0009】
【作用】吸収塔内での反応および吸収液タンク内での反
応を詳細に検討した結果、吸収塔内では下記反応が起こ
ることが判った。 SO2+H2O→H2SO3 (3) 2H2SO3+CaCO3→Ca(HSO32+H2O+CO2 (4) (4)式で生成したCa(HSO32(重亜硫酸カルシ
ウム)は吸収液タンク内で吸収剤であるCaCO3およ
び酸化用空気中のO2と下記式で反応する。 Ca(HSO32+CaCO3+H2O →2CaSO3・1/2H2O+CO2 (5) Ca(HSO32+O2+H2O →CaSO4・2H2O+H2SO4 (6) H2SO4+CaCO3+H2O →CaSO4・2H2O+CO2 (7) さらに、これらの反応の内で(6)式、(7)式の反応
は(5)式の反応に比べ数段早く進み、Ca(HS
32のタンク内での酸化には、吸収液中のCa(HS
32を吸収剤スラリ中に吹き込まれた酸化用空気と効
率よく接触させることが重要であることがわかった。す
なわち、吸収液タンク内の反応は(6)式、(7)式の
反応が支配的であるため、該タンク内の撹拌を制御し、
石灰石スラリの供給する場所を酸化用空気の吹込み部の
後段側とする従来の脱硫方法に対し、吸収液タンク内で
の吸収液の撹拌を十分行い、該吸収液と空気の混合、接
触を十分行わせる方法を採用することが酸化の促進に
は、より効果があるとともに石灰石スラリの供給位置も
特に限定しなくても良いことが判明した。
【0010】すなわち、吸収液タンク内に滞留する吸収
剤スラリ中へ、該タンク側壁の1ケ所または複数の箇所
から微細空気を供給することにより、注入空気の流れに
沿う気泡を多く含む吸収液は見掛け比重が小さくなるた
め空気群とともに液面まで上昇し、反対に液面で気泡を
失った循環スラリは相対比重が大きくなりタンク底へ向
かって下降するという鉛直方向の循環流が発生する。こ
れは器の中の水を下から加熱した場合に水の比重差によ
って生じる自然対流と同様な現象である。加えて吸収液
タンクに設置した撹拌機によりさらに強制的に循環流を
助長することにより、該タンク内の吸収液は、タンク壁
に沿ってら旋状の循環流を生じるため、鉛直方向の下向
流よりも上昇速度の遅い微細気泡や溶存空気を豊富に含
む吸収液をタンク全域に拡散可能となり、吸収剤スラリ
と空気の接触を十分行わせることができる。そのため、
従来方法よりも少量の酸化用空気で効率の良い酸化が可
能であるとともに、吸収剤スラリの供給箇所の限定も不
要となり、小さいタンク容量で従来と同一の効果を得る
ことが可能となる。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例として吸収液タンク側面
の空気供給部に撹拌機を設け、微細な空気を吸収剤スラ
リ中に供給する例を図面とともに説明する。 実施例1 図1から図6は、本発明の第1の実施例として吸収液タ
ンク側壁の空気供給部に撹拌機を設け、微細な空気を吸
収液中に供給する吸収塔部分を有するシステムに係る湿
式排煙脱硫装置を説明する図であり、図1は装置の概略
構造図、図2は吸収液タンク内の吸収剤スラリの密度差
を説明するための吸収液タンク部の縦断面図、図3は吸
収液タンク内の吸収液スラリの流動を示す立体的模式
図、図4は吸収液タンクにおける供給空気量と酸化率の
関係を示すグラフ、図5は吸収液タンクにおける気泡発
生位置と相対酸化率を示すグラフ、図6は吸収液タンク
の空気供給部に設けた撹拌機の配置を示す吸収液タンク
の横断面図である。
【0012】まず最初に、図1を用いて装置全体の構成
について説明する。同図に示すように、この装置は吸収
塔1より主に構成される。火力発電所用ボイラ装置(図
示せず)からの排ガス3は吸収塔1に送気され、ここで
気液接触部8から噴霧される石灰石を含有した吸収剤ス
ラリ9と対向接触される。この接触により、排ガス3は
冷却され、排ガス3中の不純物(ダスト、酸性ガスな
ど)とSOxが除去される。SOxが除去された排ガス
3はデミスタ10を通過した後、塔頂より系外へ排出さ
れる。SOxを吸収した吸収剤スラリ9は、気液接触部
8の下部に一体に設けられたスラリ循環用の吸収液タン
ク4に一旦溜められる。この吸収剤スラリ9は吸収液タ
ンク4の下部に設けられた撹拌機2Aで撹拌され、吸収
液タンク4内の吸収剤スラリ9中の固形分の沈降が防止
される。吸収液タンク4内に吸収剤スラリ9は循環ポン
プ6ならびスラリ循環ライン11によって吸収塔1上部
の気液接触部8に供給され、前述と同様に排ガス3と接
触して脱硫処理が行われる。
【0013】一方、コンプレッサ12またはブロワ(図
示せず)によって昇圧された空気13は、空気導管14
を通って空気供給手段である撹拌機(酸化用撹拌機)2
Bの近傍の吸収液タンク4内に供給され、撹拌機2Bの
プロペラにより細く剪断されて微細気泡7となるととも
に吸収剤スラリ9と混合される。気泡7を混入された吸
収剤スラリ9は図2に示すように気泡存在部17では見
掛け比重が小さくなり、吸収液タンク4の液面に向かっ
て上昇し(上昇流16)、気泡7を放出した吸収剤スラ
リ9は相対比重が大きくなり該タンク4の中央部で下降
する(下降流18)ため鉛直方向の循環流を生じる。こ
の循環流は撹拌機2Aにより生じる水平面内の吸収剤ス
ラリ流の影響により、図3に示すようなタンク4の壁面
に沿ったら旋状の循環流(上昇流16と下降流18)と
なり、本循環流により溶存空気が豊富にあり、しかも本
循環流の下降流18の流速よりも上昇速度の遅い微細気
泡7を含む吸収剤スラリ9が吸収液タンク4の全域に供
給されるため、吸収液タンク4に貯留する吸収剤スラリ
9中の亜硫酸カルシウムは効率良く酸化されることにな
る。そして亜硫酸カルシウムが酸化されて石膏が生成す
る際、前述したように硫酸も生成し、これは吸収剤スラ
リ9中の石灰石と反応し、石膏が生成する。またタンク
4の上部に供給された吸収剤スラリ9もタンク4内で循
環している吸収剤スラリ9と十分混合される。こうして
生成した石膏は、吸収剤スラリ9の一部から抜き出され
て、図示していない石膏回収プロセスに送られる。
【0014】撹拌機(酸化用撹拌機)2Bの近傍に空気
を供給し、撹拌機2Bのプロペラによりこの空気を細く
剪断し、循環している吸収剤スラリ9と混合した場合の
供給空気量と酸化率の割合をパイロットモデルを用いて
確認した結果を図4に実線で示す。図中破線は従来の方
法により空気供給を行った場合を示し、従来方法では、
空気供給ノズルがスケーリングにより閉塞することを防
止するためノズル径を大きくせざるを得ず、微細空気の
供給が困難であり、供給空気量は亜流酸カルシウムの酸
化当量に対し3倍以上必要であった。しかし、本実施例
の方法によれば供給空気量は亜流酸カルシウムの酸化当
量に対し2倍以下で済むという知見を得た。なお、図4
中供給空気量が0でも酸化率が50%を示すのは、吸収
剤スラリ9が吸収塔1内で噴霧される際に、排ガス3中
の残存酸素により自然酸化されることによる。また。本
実施例の効果を示す実線が空気量が3倍以上の箇所で急
激に低下するのは、テストに用いた撹拌機2Bの空気を
細く剪断する能力の上限を示しており、能力以上の空気
が供給されたため、撹拌機2Bのプロペラが空気流の中
で回転する状態(空回り状態)であることを示す。
【0015】図5に図4と同一のパイロットモデルを用
いて供給空気量を一定(当量比1.0)とした場合の気
泡群が吸収液タンク4の液面に出現する位置と相対酸化
率の関係を示す。テストは図6のタンク横断面に示すよ
うに撹拌機2Bを吸収液タンク4の相対向面に設置し、
取付角度αを変化させて気泡7群の液面出現位置を変化
させ、相対酸化率を比較し、吸収液タンク4内に発生す
るタンク壁に沿ったら旋状の循環流の発生状態を推定し
たものである。図5に示すように、吸収液タンク4の半
径の10〜90%(壁面を0%、中心を100%とした
場合)に相当する領域で気泡7がタンク4の液面に発生
するように空気を供給すれば、ほぼ所期の亜流酸カルシ
ウムの酸化性能が得られることを示す。なお、タンク4
の中心部で気泡群を出現させた場合に相対酸化率が低下
する現象は図7の矢印に示すような吸収剤スラリ9の循
環流が生じ、図3に示すようなら旋状の循環流が生じな
いためと推定される。
【0016】本結果をもとにさらに本実施例に係る湿式
排煙脱硫装置のパイロットテストを行った際のテスト条
件とその結果を示せば次の通りであった。 排ガス量 30,000m3N/h SO2濃度 3,000ppm 吸収塔 スプレ式一塔型 空気吹込み用撹拌機 2台(横型)(取付角度
α=15°) 循環流形成用撹拌機 2台(横型) 酸化用空気量 800m3N/h 吸収剤スラリ/ガス比 20リットル/m3N 石灰石過剰率 2% 気泡群液面発生位置 タンク半径の60〜70%
(壁面を0、タンク中心を100%とした場合) この条件でテストした結果、脱硫率は95%、吸収剤ス
ラリ9の中の亜硫酸カルシウムの酸化率99.8%の高
率であった。
【0017】実施例2 本発明の他の実施例を図8に示す。本実施例では、吸収
液タンク4が吸収塔1の気液接触部8と別置されている
場合である。その他の部材については図1で説明した部
材と同一番号のものは同一用途に用いられるものであ
る。この実施例の効果はタンク4内の循環流を実施例1
よりも強く起し、酸化用の空気量をさらに低減できるこ
と、および循環流を助長するための撹拌機2の台数を低
減することができることである。図8に示すように吸収
液タンク4には、空気をタンク側壁より撹拌機2Bの他
に、縦型撹拌機20をタンク4の中心に1台設け、タン
ク4全体に循環流を起し、吸収塔1の気液接触部8で生
成した亜硫酸カルシウムを酸化させる方法である。この
時には、吸収剤スラリ9の循環ポンプ6に空気が吸い込
まれ、循環ポンプ6のキャビテーションが起こる問題が
あるため、該ポンプ6のサクション配管の部分に気泡分
離機21を設置している。
【0018】本実施例に係る湿式排煙脱硫装置のパイロ
ット運転を行った際のテスト条件とその結果を示せば次
の通りである。 排ガス量 30,000m3N/h SO2濃度 3,000ppm 吸収塔 気液接触部、スプレ式 タンク別置 空気吹込み用撹拌機 2台(横型) 循環流形成用撹拌機 1台(縦型)(図8参照) 酸化用空気量 800m3N/h 吸収剤スラリ/ガス比 20リットル/m3N 石灰石過剰率 2% 気泡群液面発生位置 タンク半径の40〜50%
(壁面を0、タンク中心を100%とした場合) この条件でテストした結果は、実施例1と同様に脱硫率
は95%、スラリ中の亜硫酸カルシウムの酸化率は9
9.8%の高率であった。以上、本発明の実施例として
吸収液タンク4の側面の空気供給部に撹拌機2を設け、
空気をプロペラで細かく剪断し微細な空気粒にしてスラ
リと混合する例を用いて説明したが、タンク4の壁に微
細空気の噴出ノズルを設け貯留スラリ内へ微細空気を注
入しても同一の効果が得られるものであり、本発明は実
施例として前述した方法のみを限定するものではない。
【0019】本発明の上記実施例により次のような効果
がある。 1、湿式脱硫装置においてガス中のSO2を吸収して生
じた亜硫酸カルシウムを、吸収液タンク4中で従来装置
よりも少ない空気量で効率良く酸化することが可能とな
り、省エネを図ることができるため、動力費が低減でき
る。 2、従来構造では吸収液タンク4下部全面に配設する必
要があった酸化用空気供給ノズルを上記実施例では該タ
ンク4の側面の1ケ所または複数箇所に設置すれば良い
ことになり、吸収液タンク4内の配管設置に伴う支持構
造物等の設置が不要となり、構造が簡素でしかも設備費
の低減を図ることができる。 3、上記実施例により、吸収液タンク4全域を有効に活
用できるため、タンクサイズをコンパクトにすることが
可能となり、設備費の低減を図ることができる。 4、上記実施例では、吸収液タンク4側面から空気を供
給するため、空気供給口にシャットオフ構造を採用する
ことにより、装置運転中にノズルのスケーリング閉塞が
生じても運転を継続しつつメインテナンスが可能とな
り、装置信頼性が格段に向上する。 5、上記実施例により、装置が大容量化し吸収液タンク
4径が大きくなった場合でも吸収液タンク4の全域に酸
化用空気の供給が可能であり、装置が大型化した場合で
も装置の信頼性を低下させることなく経済性の良い脱硫
装置の供給が可能である。例えば100万kwクラスの
火力発電所用ボイラに付設する湿式排煙脱硫装置では、
図9に示すように吸収塔の総高hは約30m、内径dは
約20m、貯留するスラリ9の液深は5〜13m程度の
大型吸収塔となるが、この場合でも本発明では経済的に
対応が可能である。
【0020】
【発明の効果】本発明により、吸収液タンク中で従来の
装置よりも少ない空気量で効率良く酸化することが可能
となり、動力費が低減でき、酸化用空気供給ノズルの設
置箇所が少なくて済み、構造が簡素でしかも設備費の低
減を図ることができる。また、本発明によりタンク全域
を有効に活用できるため、タンクサイズをコンパクトに
することが可能となり、設備費の低減を図ることがで
き、また、装置が大容量化しタンク径が大きくなった場
合でも循環タンク全域に酸化用空気の供給が可能であ
り、装置が大型化した場合でも装置の信頼性を低下させ
ることなく経済性の良い脱硫装置の供給が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係る湿式排煙脱硫装置の
概略構造図である。
【図2】 実施例1の吸収液タンク内の吸収剤スラリの
密度差を説明するための吸収液タンク部の縦断面図であ
る。
【図3】 実施例1のタンク内のスラリの流動を示す立
体的模式図である。
【図4】 実施例1の供給空気量と酸化率の関係を示す
グラフの図である。
【図5】 実施例1のタンクにおける気泡発生位置と相
対酸化率を示すグラフの図である。
【図6】 実施例1の空気供給部に設けた撹拌機の配置
を示すための循環タンク部の横断面図である。
【図7】 吸収液タンク中心部で気泡群を出現させた場
合の相対酸化率が低下する現象を説明する図である。
【図8】 本発明の実施例2に係る湿式排煙脱硫装置の
概略構造図である。
【図9】 吸収塔の概略寸法を示すための図である。
【図10】 従来技術を示す湿式排煙脱硫装置の概略構
造図である。
【符号の説明】
1…吸収塔、2…撹拌機、3…排ガス、4…吸収液タン
ク、6…循環ポンプ、7…気泡、8…気液接触部、9…
吸収剤スラリ、11…循環ライン、13…空気、14…
空気導管、16…上昇流、18…下降流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加来 宏行 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 高本 成仁 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 益冨 博 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸収塔上部に気液接触部を設け、吸収塔
    下部に吸収剤スラリの液溜部を設けて、該液溜部の吸収
    剤スラリを気液接触部に循環噴霧することで吸収塔内に
    導入される排ガス中の硫黄酸化物およびダストを除去す
    る排煙脱硫方法において、 液溜部の下部に吸収剤スラリ中の固形分の沈降を防止す
    るための水平旋回流を発生させるとともに、液溜部側面
    の少なくとも1ケ所から微細空気を注入し、注入した空
    気の気泡群が吸収液タンク半径の10〜90%域で液面
    に出現せしめるように微細空気の注入方向を設定するこ
    とにより、吸収液タンク内部全域で鉛直方向の吸収剤ス
    ラリ循環流を生起させ、該鉛直方向の循環流と前記水平
    旋回流により吸収液タンク壁に沿ったら旋状の吸収剤ス
    ラリ循環流を形成させ、気液接触部で生成した亜硫酸塩
    を酸化させることを特徴とした排煙脱硫方法。
  2. 【請求項2】 硫黄酸化物の吸収剤として、炭酸カルシ
    ウム、水酸化カルシウム、ドロマイトなどからなるカル
    シウム系の吸収剤を用い、副生品として石膏を回収する
    ことを特徴とする請求項1記載の排煙脱硫方法。
  3. 【請求項3】 吸収塔上部に気液接触部を設け、吸収塔
    下部に吸収剤スラリの液溜部を設けて、該液溜部の吸収
    剤スラリを気液接触部に循環噴霧することで吸収塔内に
    導入される排ガス中の硫黄酸化物およびダストを除去す
    る排煙脱硫装置において、 液溜部の下部に吸収剤スラリ中の固形分の沈降を防止す
    るための水平旋回流を発生させる撹拌手段と、吸収液タ
    ンク内に注入した空気の気泡群がタンク半径の10〜9
    0%域で液面に出現せしめるように微細空気の注入方向
    を設定する液溜部側面の少なくとも1ケ所に設けられた
    微細空気供給手段とを設け、前記撹拌手段と微細空気供
    給手段により吸収液タンク壁に沿ったら旋状の吸収剤ス
    ラリ循環流を形成させ、気液接触部で生成した亜硫酸塩
    を酸化させることを特徴とした排煙脱硫装置。
  4. 【請求項4】 微細空気供給手段は、空気供給手段と該
    空気供給手段からの吸収液タンク内に供給される空気を
    細く剪断する撹拌手段とから成ることを特徴とする請求
    項3記載の排煙脱硫装置。
  5. 【請求項5】 液溜部の下部に吸収剤スラリ中の固形分
    の沈降を防止するための水平旋回流を発生させる撹拌手
    段と吸収液タンク内に供給される空気を細く剪断する撹
    拌手段のうち、少なくともいずれかの撹拌手段は、その
    撹拌手段の回転軸が取り付けられている吸収液タンク壁
    面と該タンク中心軸を結ぶ直線に対して所定角度偏向し
    た方向に撹拌手段の回転中心軸が取り付けられているこ
    とを特徴とする請求項4記載の排煙脱硫装置。
  6. 【請求項6】 強制的にタンク内に水平旋回流を発生さ
    せる撹拌手段としてタンク上部に基部が支持された縦型
    撹拌機を使用することを特徴とする請求項3または4記
    載の排煙脱硫装置。
JP5076676A 1993-04-02 1993-04-02 排煙脱硫方法および装置 Pending JPH06285327A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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