JPH06283249A - スパークプラグ用ガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スパークプラグの脱着作業時において、スパ
ークプラグとシリンダーヘッドとの気密性を保持するガ
スケットの脱落を防止すると共に、圧力センサを組み込
んだスパークプラグにおいては、精度をも向上させよう
とする。 【構成】 環状の板体からなるガスケットの下面に円周
状の溝部を周設すると共に、主体金具の取付座部の下部
に装着した上、爪出しリングパンチを上記溝部に嵌合さ
せて、溝部内周に形成される薄肉部を変形させ係止縁と
し、この係止縁をもってネジ部上部に係止して脱落を防
止し、更に係止縁形成時における歪みを最小限として圧
力センサの出力誤差を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関に装着され
るスパークプラグにおいて取付時における気密性を保持
するガスケットの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、内燃機関に装着されるスパークプ
ラグにおいて取付時における気密性を保持するガスケッ
トの構造は、スパークプラグの脱着に際しても確実にス
パークプラグ側に装着された状態にあって、かつ気密性
保持のためそのガスケットの弾性が失われないことが要
求されることから、金属薄板端縁を二重に折曲して曲率
の小さい中間湾曲部とその曲率が大きい内側湾曲部を外
側湾曲部を介して連続的に構成した上、スパークプラグ
の装着による外側湾曲部への負荷にともなって、内側湾
曲部を押圧せしめ、当該内側湾曲部を内方に突出変形さ
せて気密性を保持すると共にガスケットの脱落を防止し
てなるもの（実公昭５６−３３１１３５号）等が提案さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来のものにおいて、実公昭５６−３３１１３５号の場
合は、金属薄板端縁を二重に折曲して曲率の小さい中間
湾曲部とその曲率が大きい内側湾曲部を外側湾曲部を介
して連続的に構成していることから、ガスケット自体の
構造は、中空バネ体となっているので、スパークプラグ
の装着にあたってガスケットに締付荷重荷重が加わる
と、外側湾曲部への負荷に伴って、内側湾曲部を押圧せ
しめ、当該内側湾曲部を内方に突出変形させるものとな
り、気密性を保持する点では優れたものとなるが、ガス
ケット自体の内部が中空体となっているため混合気の燃
焼に伴って発生する燃焼熱を受けた場合、この燃焼熱の
放散が十分には行えない欠点がある。そのためスパーク
プラグへの受熱を確実に放散できるように銅等の熱伝導
性に優れる適度な軟質金属による環状板体を使用するこ
とがあるが、スパークプラグの脱着に際して上記環状板
体が脱落してしまう恐れがある。

【０００４】また、近年、内燃機関の高性能化に伴っ
て、燃焼圧の変動を検出し、点火時期等を制御すること
を目的として、スパークプラグの主体金具の座面のガス
ケット部分に圧電素子等からなる圧力検出装置を内蔵し
たスパークプラグが提案されているが、このように圧力
検出装置を内蔵したガスケットにおいて気密性保持など
を目的として薄鋼板のガスケットを装着しても出力に歪
みを生じてしまうので、銅やアルミニウム又はこれらを
主体とする合金による環状板体のガスケットを装着する
ことが提案されているが（実開昭６１−５７８３０
号）、スパークプラグの脱着に際して上記環状板体のガ
スケットの脱落が生じ易いものである。

【０００５】そのため、上記環状板体のガスケットの脱
落を防止するべく、主体金具の下部にフランジ環によっ
て担持して圧力センサーを配置すると共に、このフラン
ジ環に対して内周にネジ部を有するガスケットリングを
スパークプラグのネジ部を利用して一体に当接固定させ
てなるもの（実開平１−１３４３９１号）が提案されて
いるが、圧力センサーにおける燃焼圧の変動は確実に検
出することができても、構造が複雑であり、量産に乏し
い欠点がある。

【０００６】そこで、この発明は上記従来のものの持つ
欠点を解消するものであり、簡単な構造により、スパー
クプラグの脱着に際しても気密性を保持してガスケット
の脱落を防止することができるようにすると共に、特に
圧力センサーを内蔵したスパークプラグにおいては、燃
焼圧の変動の精度を十分に確保することができるように
しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そのために、主体金具の
取付座部の下面に装着される環状の板体であるガスケッ
トにおいて、上記ガスケットの下面に円周状の溝部を周
設し、溝部内周縁をスパークプラグのネジ部方向に折曲
自在となる薄肉部に形成し、該薄肉部をネジ部側（内径
側）に曲げて係止縁を設け、プラグからの脱落を防止し
てなり、更には上記ガスケットを特に、圧電素子を内蔵
する取付座部下面に装着してなるものである。

【０００８】

【作用】上記の構成を具えるので、スパークプラグの脱
着にあたって脱落し易いガスケットは、主体金具の取付
座部の下面に対してガスケットの上面を当接させた上、
上記ガスケットの下面に円周状に周設する溝部に対し
て、爪出しリングパンチを嵌合させることで、この円周
状の溝部の周設にともなって形成される薄肉部は、スパ
ークプラグのネジ部方向に折曲するものとなるので、ス
パークプラグの脱着に際してガスケットが下方に移動し
ても、この爪出しリングパンチによる薄肉部の折曲によ
り、薄肉部先端によって形成される係止縁の直径がスパ
ークプラグののネジ部径よりも小さくなるので、スパー
クプラグのネジ部の上部に係止するものとなり、スパー
クプラグのネジ部より外部に脱落することを防止でき
る。

【０００９】また、ガスケット自体は環状の板体である
のでシリンダーヘッドに対して密着するので気密性に優
れたものとなると共に、圧力センサーを内蔵したスパー
クプラグにおいては燃焼室内の混合気の燃焼圧を圧力セ
ンサーに対して確実に伝達することができるものとな
り、高性能化した内燃機関に対する制御を精度高く行え
るようにすることができるものである。

【００１０】

【実施例】この発明を図に示す実施例により更に説明す
る。（１）は、この発明の実施例であるガスケット（１
８）を具える圧力センサ内蔵スパークプラグであり、こ
の圧力センサ内蔵スパークプラグ（１）は、先端に突出
して中心電極（３）を、その後方に導電性ガラスシール
（５）に挟持された抵抗体（６）と共に端子電極（７）
を軸孔（４）内に保持、或は封入、固定してなる絶縁体
（２）と、この中心電極（３）の先端部に対向する位置
に外側電極（９）を有すると共に、内燃機関自体に装着
する際にプラグホールに螺合固定するネジ部（１０）を
螺設し、更に下端部にプラグホール周縁に密着するこの
発明のガスケット（１８）を配置する取付座部（１１）
内に、圧電素子（１３）を絶縁板（１４）と板パッキン
（１５）によって挟持されると共に金属ケース（１６）
内に封入され、スパークプラグの締付荷重の変動によっ
て発する電気信号を伝達してなるリード線（１７）に接
続してなる圧力センサ（１２）を内蔵する主体金具
（８）から構成されるものである。

【００１１】そして、内部に圧力センサ（１２）を内蔵
する主体金具（８）の取付座部（１１）の下部に配置さ
れるガスケット（１８）は、環状の板体からなり、上記
環状の板体からなるガスケット（１８）の下面（１９）
に円周状の溝部（２０）を周設することにより、溝部内
周縁側にスパークプラグ（１）のネジ部（１０）方向に
折曲自在となる薄肉部（２１）を形成してなるものであ
る。

【００１２】なお、主体金具（８）の取付座部（１１）
の下面周縁にテーパー加工等が施されている場合には、
ガスケット（１８）の上面内周縁に、気密性を保持する
ためにテーパー加工（２３）または段部等を施すことが
適当である。

【００１３】この発明は以上の構成を具えるので、スパ
ークプラグ（１）の脱着にあたって脱落し易いガスケッ
ト（１８）においては、主体金具（８）の取付座部（１
１）の下面に対してガスケット（１８）の上面を当接さ
せた上、上記ガスケット（１８）の下面（１９）に円周
状に周設する溝部（２０）に対して、先端にスパークプ
ラグ（１）のネジ部（１０）方向にテーパー部（２２
ａ）を有する爪出しリングパンチ（２２）を嵌合させる
ことによって、このガスケット（１８）の下面において
円周状の溝部（２０）の周設にともなって形成される薄
肉部（２１）は、スパークプラグ（１）のネジ部（１
０）方向に折曲するものとなるので、スパークプラグ
（１）の脱着に際してガスケット（１８）が下方に移動
しても、この爪出しリングパンチ（２２）による薄肉部
（２１）のスパークプラグ（１）のネジ部（１０）方向
への折曲により、ガスケット（１８）の薄肉部（２１）
先端によって形成される係止縁（２４）の直径がスパー
クプラグ（１）のネジ部径よりも小さくなるので、スパ
ークプラグ（１）のネジ部（１０）の上部（２６）に、
このガスケット（１８）の薄肉部（２１）によって形成
される係止縁（２４）の内周縁（２５）が係止するもの
となり、気密性を保持するガスケット（１８）がスパー
クプラグ（１）のネジ部（１０）より外部に脱落するこ
とを防止できる。

【００１４】また、ガスケット（１８）自体は環状の板
体であるのでシリンダーヘッド（２７）に対して接触す
る面積も大きく採れる上、爪出しリングパンチ（２２）
のガスケット（１８）の下面（１９）において環状に周
設された溝部（２０）への嵌合によって薄肉部（２１）
により形成され、スパークプラグ（１）のネジ部（１
０）の上部（２６）に係止する係止縁（２４）は、ガス
ケット（１８）の全周に渡るものとなるので、ガスケッ
ト（１８）の上下面に生じる折曲加工に伴う歪みを最小
限とすることができることから、特に、圧力センサ（１
２）を主体金具（８）の取付座部（１１）内に内蔵した
スパークプラグ（１）においては、燃焼室内の混合気の
燃焼圧を圧力センサ（１２）に、ガスケット（１８）を
通じて確実に伝達することができるものとなり、高性能
化した内燃機関に対する点火時期等の制御を精度高く行
えるようにすることができるものである。

【００１５】そこで、図６（イ）に示すように、単なる
環状の板体からなるガスケットに対して爪出しパンチ
（４２）により３箇所爪出し加工（４３）を行いガスケ
ット（４８）を固定してなるもの（Ａ）及び図６に示す
ように、環状の板体の内周縁に舌片縁（５３）を設け、
爪出しパンチリング（５２）によって舌状縁（５３）を
内径側に変形させてガスケット（５８）を固定してなる
もの（Ｂ）と、この発明の実施例であるガスケット（１
８）において、圧力センサ（１２）の出力の誤差（出力
の標準偏差／出力の平均値）を測定したところ、図５に
示すように、この発明のガスケット（１８）は明かに出
力の誤差を抑制し、精度が大巾に向上する効果が認めら
れた。

【００１６】図７は、この発明の他の実施例を示し、環
状の座金型圧力センサ（３１）に環状の板体からなるガ
スケット（１８）を配したスパ−クプラグである。座金
型圧力センサ（３１）はＵ字形状の金属ケース（３２）
内に電極板（３４）を介して圧電素子（３３）（３３）
を積層し、板パッキン（３５）及びシール用パッキン
（３６）を用いて金属ケース（３２）の端部を加締めた
構造を備えている。この圧力センサ（３１）をスパ−ク
プラグ（１）の主体金具（８）の取付座部（１１）に嵌
合し、圧力センサ（３１）に当接してガスケット（１
８）の上面を重ね、下面（１９）に設けた円周状の溝部
（２０）を上記実施例と同様に爪出しリングパンチ（２
２）を用いてネジ部（１０）の方向に折曲させて薄肉部
（２１）によって係止縁（２４）を形成し、ネジ部（１
０）の上部（２６）内に係止させてガスケット（１８）
の脱落を防止するようにしたものであり、ガスケット
（１８）は同じように効果を奏する。

【００１７】

【発明の効果】以上のとおり、簡単な構造により、シリ
ンダーヘッドとスパークプラグとの気密性を保持するガ
スケットの脱落を防止できると共に、圧力センサを内蔵
したスパークプラグにおいては、燃焼圧の変動を確実に
圧力センサに対して伝達することができるものとなるの
で、その圧力センサによる点火時期等の制御を精度高く
行うことができる優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例であるガスケットを具える圧
力センサ内蔵スパークプラグの部分断面図である。

【図２】この発明の実施例であるガスケットの下方から
の全体斜視図である。

【図３】そのガスケットの取付状態における要部拡大部
分断面図である。

【図４】その他の実施例であるガスケットの縦断面図で
ある。

【図５】この発明の実施例と従来のガスケットとの圧力
センサの出力誤差を示した表である。

【図６】比較用の従来のガスケットを示す平面図及びガ
スケットの取付状態における要部拡大部分断面図であ
る。

【図７】この発明の他の実施例である座金型圧力センサ
を備えたスパ−クプラグの部分断面図である。

【符号の説明】 １ 圧力センサ内蔵スパークプラグ ２ 絶縁体 ３ 中心電極 ４ 軸孔 ５ 導電性ガラスシール ６ 抵抗体 ７ 端子電極 ８ 主体金具 ９ 外側電極 １０ ネジ部 １１ 取付座部 １２ 圧力センサ １３ 圧電素子 １４ 絶縁板 １５ 板パッキン １６ 金属ケース １７ リード線 １８ ガスケット １９ （ガスケットの）下面 ２０ 溝部 ２１ 薄肉部 ２２ 爪出しリングパンチ ２３ テーパー部 ２４ 係止縁 ２５ 内周縁 ２６ （スパークプラグのネジ部の）上部 ２７ シリンダーヘッド ３１ 圧力センサ ３２ 金属ケース ３３ 圧電素子 ３４ 電電極 ３５ 板パッキン ３６ シール用パッキン

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主体金具の取付座部の下面に装着される
   環状の板体であるガスケットにおいて、上記ガスケット
   の下面に円周状の溝部を周設し、溝部内周縁をスパーク
   プラグのネジ部方向に折曲自在となる薄肉部に形成し、
   該薄肉部をネジ部側（内径側）に曲げて係止縁を設け、
   プラグからの脱落を防止してなるスパークプラグ用ガス
   ケット。
2. 【請求項２】 プラグ締付荷重の燃焼圧に対する変動を
   検出する圧電素子を内蔵する取付座部下面に装着される
   請求項１記載のスパークプラグ用ガスケット。