JPH06281894A - コンタクトレンズの処理方法 - Google Patents

コンタクトレンズの処理方法

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JPH06281894A
JPH06281894A JP5355367A JP35536793A JPH06281894A JP H06281894 A JPH06281894 A JP H06281894A JP 5355367 A JP5355367 A JP 5355367A JP 35536793 A JP35536793 A JP 35536793A JP H06281894 A JPH06281894 A JP H06281894A
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hydrous
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hydrous contact
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昭 中川
Satoko Kondou
聡子 近藤
Ryoko Oi
良子 大井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 含水性コンタクトレンズの洗浄、消毒処理に
際して、かかる含水性コンタクトレンズからの蛋白質等
の汚れをより一層効果的に除去せしめ得る手法を提供す
る。 【構成】 蛋白質分解酵素を含有せしめたコンタクトレ
ンズ用洗浄溶液に含水性コンタクトレンズを浸漬して、
80℃を越えない温度下に所定時間保持し、該含水性コ
ンタクトレンズの洗浄を行なう第一の工程と、続いて、
該含水性コンタクトレンズの浸漬された洗浄溶液を加熱
せしめ、該含水性コンタクトレンズの煮沸消毒を行なう
第二の工程とを、含むように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、含水性コンタクトレンズを洗
浄、消毒することからなる含水性コンタクトレンズの処
理方法に係り、特に有効量の蛋白質分解酵素を含有する
コンタクトレンズ用洗浄溶液を用いて、含水性のコンタ
クトレンズを洗浄、消毒処理する方法に関するものであ
る。
【0002】
【背景技術】コンタクトレンズは、大別して、含水性の
材料からなるものと非含水性の材料からなるものとに区
分され、その中で、含水性の材料からなるコンタクトレ
ンズとしては、ポリヒドロキシエチルメタクリレートや
ポリビニルピロリドンを主成分とするもの等が知られて
いる。そして、この含水性の材料からなる含水性コンタ
クトレンズでは、洗浄液や保存液中の成分がレンズ内に
入り込み易いため、それらの処理液が刺激性の成分を含
んでいたり、処理液の浸透圧が生理的レベルより高すぎ
る場合に、装用時に目に刺激を与えたり、充血等を引き
起こしたりすることとなる。そのため、処理液中の成分
の安全性や濃度には、充分注意を払うことが必要となっ
ている。
【0003】ところで、含水性、非含水性の何れのコン
タクトレンズであっても、その使用に伴って、涙液成分
等に由来する蛋白質等の汚れがレンズ面に付着するよう
になるところから、従来より、これを蛋白質分解酵素に
て分解、除去する方法が広く普及し、例えば特開昭63
−159822号公報、特開平1−167726号公
報、特開平1−180515号公報等においては、その
ような蛋白質分解酵素を用いたコンタクトレンズの洗浄
操作に使用される洗浄溶液の幾つかの例が、示されてい
る。
【0004】また、含水性コンタクトレンズにあって
は、かかる蛋白質等の汚れをレンズから除去する洗浄操
作の後に、細菌の汚染を防ぐために、煮沸等による消毒
を行なうことが義務付けられているのである。
【0005】しかしながら、従来の蛋白質分解酵素を含
有せしめた洗浄液を用いた含水性コンタクトレンズの洗
浄、消毒方法にあっては、そのような洗浄溶液に含水性
コンタクトレンズを浸漬し、連続的に加熱昇温して、煮
沸せしめることにより、単一工程にて、洗浄と殺菌とを
行なうものであるが、そのような手法にあっては、かか
る蛋白質分解酵素による洗浄効果を充分に発揮させるこ
とは困難であったのである。そして、蛋白質の汚れが付
着したまま、含水性コンタクトレンズに残存してしまう
と、その後引き続いて、含水性コンタクトレンズに義務
付けられている煮沸消毒を実施すると、蛋白質が変性、
凝固して、レンズに固着するようになり、ひいてはレン
ズの寿命を縮める問題も内在していた。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情に鑑
みて為されたものであって、その課題とするところは、
蛋白質分解酵素を含有するコンタクトレンズ用洗浄溶液
を用いて、含水性コンタクトレンズを洗浄、消毒処理す
るに際して、かかる含水性コンタクトからの蛋白質等の
汚れをより一層効果的に除去せしめ得る手法を提供する
ことにある。また、本発明の他の課題とするところは、
溶液の浸透圧を比較的低く抑制しつつ、溶液中で酵素を
良好に安定化させ、含水性コンタクトレンズに対して安
全に且つ手軽に使用することの出来る、洗浄効果の高い
コンタクトレンズ用液剤組成物を用いて、コンタクトレ
ンズを効果的に洗浄、消毒処理する方法を提供すること
にある。
【0007】
【解決手段】そして、本発明にあっては、上記した課題
解決のために、有効量の蛋白質分解酵素を含有せしめた
コンタクトレンズ用洗浄溶液を用いて、含水性コンタク
トレンズを洗浄、消毒することからなる含水性コンタク
トレンズの処理方法にして、(a)前記洗浄溶液中に含
水性コンタクトレンズを浸漬して、80℃を越えない温
度下に保持することにより、該含水性コンタクトレンズ
の洗浄を行なう第一の工程と、(b)かかる第一の工程
に続いて、該含水性コンタクトレンズの浸漬されたコン
タクトレンズ用洗浄溶液を加熱せしめ、該含水性コンタ
クトレンズの煮沸消毒を行なう第二の工程とを、含むこ
とを特徴とする含水性コンタクトレンズの処理方法を、
その要旨とするものである。
【0008】また、本発明にあっては、有効量の蛋白質
分解酵素とグリセリンとホウ酸及び/又はホウ酸塩とを
含有せしめたコンタクトレンズ用洗浄溶液を用いて、含
水性コンタクトレンズを洗浄、消毒することからなる含
水性コンタクトレンズの処理方法にして、(a)前記洗
浄溶液中に含水性コンタクトレンズを浸漬して、80℃
を越えない温度下に保持することにより、該含水性コン
タクトレンズの洗浄を行なう第一の工程と、(b)かか
る第一の工程に続いて、該含水性コンタクトレンズの浸
漬されたコンタクトレンズ用洗浄溶液を加熱せしめ、該
含水性コンタクトレンズの煮沸消毒を行なう第二の工程
とを、含むことを特徴とする含水性コンタクトレンズの
処理方法をも、その要旨とするものである。
【0009】さらに、本発明にあっては、蛋白質分解酵
素を含有する溶液に対して、グリセリンの5〜40%
(w/v)とホウ酸及び/又はホウ酸塩の4〜20%
(w/v)とを、グリセリンの100重量部に対してホ
ウ酸及び/又はホウ酸塩が10〜100重量部となる割
合で、それぞれ含有せしめたコンタクトレンズ用液剤組
成物を、水性媒体で希釈して得られる、有効量の蛋白質
分解酵素を含有せしめたコンタクトレンズ用洗浄溶液を
用いて、含水性コンタクトレンズを洗浄、消毒すること
からなる含水性コンタクトレンズの処理方法にして、
(a)前記洗浄溶液中に含水性コンタクトレンズを浸漬
して、80℃を越えない温度下に保持することにより、
該含水性コンタクトレンズの洗浄を行なう第一の工程
と、(b)かかる第一の工程に続いて、該含水性コンタ
クトレンズの浸漬されたコンタクトレンズ用洗浄溶液を
加熱せしめ、該含水性コンタクトレンズの煮沸消毒を行
なう第二の工程とを、含むことを特徴とする含水性コン
タクトレンズの処理方法をも、その要旨とするものであ
る。
【0010】なお、この蛋白質分解酵素を含有する溶液
に対してグリセリンとホウ酸及び/又はホウ酸塩の所定
量がそれぞれ含有せしめられたコンタクトレンズ用液剤
組成物には、有利には、所定の界面活性剤が、30%
(W/V)以下の割合において、更に含有せしめられる
こととなる。
【0011】また、本発明は、有効量の蛋白質分解酵素
とグリセリンとホウ酸及び/又はホウ酸塩とを含有し、
浸透圧が400mmol/kg以下とされたコンタクト
レンズ用洗浄溶液を用いて、含水性コンタクトレンズを
洗浄、消毒することからなる含水性コンタクトレンズの
処理方法にして、(a)前記洗浄溶液中に含水性コンタ
クトレンズを浸漬して、80℃を越えない温度下に保持
することにより、該含水性コンタクトレンズの洗浄を行
なう第一の工程と、(b)かかる第一の工程に続いて、
該含水性コンタクトレンズの浸漬されたコンタクトレン
ズ用洗浄溶液を加熱せしめ、該含水性コンタクトレンズ
の煮沸消毒を行なう第二の工程とを、含むことを特徴と
する含水性コンタクトレンズの処理方法をも、その要旨
とするものである。
【0012】さらに、以上の如き本発明に従う含水性コ
ンタクトレンズの処理方法においては、ホウ酸及び/又
はホウ酸塩として、通常、ホウが用いられ、また前記第
一の工程における含水性コンタクトレンズの洗浄溶液中
への浸漬保持が、有利には、40〜80℃の温度下にお
いて行なわれ、更にまた処理(保持)時間としては、一
般に、1分〜24時間の間において、適宜に決定される
こととなる。
【0013】
【作用・効果】このように、本発明に従う含水性コンタ
クトレンズの処理方法にあっては、含水性コンタクトレ
ンズを所定のコンタクトレンズ用洗浄溶液中に浸漬し
て、単一工程にて洗浄と消毒を行なうものではなく、8
0℃を越えない温度下における保持によって洗浄を行な
う第一の工程と、煮沸消毒を行なう第二の工程とを別異
の工程と為し、2段階にて行なうようにしたものであっ
て、これによって、蛋白質等の汚れを含水性コンタクト
レンズから効果的に除去せしめた後、煮沸消毒を実施し
得ることとなったのである。
【0014】すなわち、本発明にあっては、蛋白質分解
酵素を用いた含水性コンタクトレンズの洗浄(第一の工
程)が、そのような蛋白質分解酵素の有効量を含む洗浄
溶液中に含水性コンタクトレンズを浸漬して、80℃を
越えない温度下において保持することによって実施され
ることにより、かかる蛋白質分解酵素の酵素活性を効果
的に長く維持しつつ、洗浄が行なわれることとなるので
あり、そのため、含水性コンタクトレンズに付着する蛋
白質等の汚れが効果的に除去せしめられ得ることとなっ
たのであり、それ故に、そのような洗浄工程を経た後、
直ちに、加熱せしめられて、煮沸消毒されても(第二の
工程)、残存する蛋白質の変性凝固、ひいてはレンズ寿
命の短縮等の問題を惹起することなく、含水性コンタク
トレンズの煮沸消毒が有利に実施され得ることとなるの
である。
【0015】
【具体的構成】ところで、かかる本発明に従う含水性コ
ンタクトレンズの処理方法において用いられる、有効量
の蛋白質分解酵素を含有せしめたコンタクトレンズ用洗
浄溶液としては、含水性コンタクトレンズの洗浄に有効
な蛋白質分解酵素量を含有する溶液であれば、公知の如
何なるものをも、使用可能である。
【0016】なお、この、含水性コンタクトレンズの洗
浄に用いられ得る蛋白質分解酵素としては、一般に、そ
の活性部位によって、セリンプロテアーゼ、チオールプ
ロテアーゼ、金属プロテアーゼ、カルボキシルプロテア
ーゼの4種類に分類することが出来る。その中で、チオ
ールプロテアーゼは、その活性触媒部位がチオール基で
あるために、システインやチオ尿素の如き還元剤が必要
とされる。しかし、かかる還元剤は、空気中の酸素によ
って酸化され易く、液剤中に安定に存在させることが困
難である問題を有している。また、金属プロテアーゼ
は、活性触媒部位が亜鉛等の金属である。而して、本発
明に従う洗浄方法において、水性媒体として用いられ得
る市販のコンタクトレンズ保存液には、しばしば金属キ
レート剤が含まれていることから、この様な金属キレー
ト剤によって、金属プロテアーゼは活性を失ってしまう
恐れがある。更に、カルボキシルプロテアーゼは、一般
に、酸性プロテアーゼとも呼ばれる蛋白質分解酵素で、
酸性領域において酵素活性を有する。しかし、コンタク
トレンズ用溶液の如く、手指や目に接触する危険が考え
られる液剤において、そのpHを刺激の強い酸性領域に
することは、好ましくないのである。
【0017】これに対して、セリンプロテアーゼは、活
性触媒部位にセリン残基が関与する蛋白質分解酵素であ
って、セリン残基と特異的に結合するジイソプロピルフ
ルオロリン酸や、フェニルメタンスルホニルフロリド等
の薬剤によって失活することが知られており、これらの
薬剤に対する失活様式により、セリンプロテアーゼか否
かが推定されているものである。この酵素は、還元剤が
不要で、金属キレート剤の影響を受けず、中性付近に酵
素活性の至適pHを有しているため、本発明では、好適
に用いられることとなる。
【0018】かかるセリンプロテアーゼの具体例として
は、動物由来のトリプシン、キモトリプシンや、放線菌
由来のストレプトマイセスのプロテアーゼや、細菌由来
のバチルスのプロテアーゼや、糸状菌由来のアスペルギ
ルスのプロテアーゼ等が知られている。そして、この様
な蛋白質分解酵素は、種々市販されており、例えば、
「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業株式会社製)、
「アルカラーゼ」、「エスペラーゼ」、「サビナー
ゼ」、「ズブチリシンA」、「PEM」(ノボノルディ
スクバイオインダストリー社製)、「プロテアーゼN
『アマノ』」、「プロテアーゼP『アマノ』」(天野製
薬株式会社製)、「アクチナーゼAS」(科研製薬株式
会社製)等があり、それらの中から適宜に選択して使用
することができる。なお、市販のものの中には、セリン
プロテアーゼ以外のプロテアーゼや、アミラーゼやリパ
ーゼ等の糖質分解酵素や脂質分解酵素が精製の過程で止
むを得ず含まれていることがある。
【0019】そして、本発明において、かかる蛋白質分
解酵素の配合量は、得ようとする洗浄効果に応じた有効
量に基づいて、適宜に決定されることとなるが、好まし
くは0.01〜20%(w/v)程度、更に好ましくは
0.1〜10%(w/v)程度の割合となるように決定
される。その配合量が少な過ぎると、洗浄効果が不充分
となるからであり、また酵素濃度が高過ぎると、洗浄に
際して、皮膚の障害を惹起するという危険性が生じるか
らである。
【0020】なお、蛋白質分解酵素の中には、分子内に
カルシウムイオンと結合する部位があるものもあり、分
子内にカルシウムイオンを取り込んだ状態において、一
層安定な分子構造となる。それ故に、この様な蛋白質分
解酵素を用いる場合には、カルシウムイオンを、0.0
1〜0.2%(w/v)程度添加することにより、酵素
安定性を更に向上せしめることが望ましい。このカルシ
ウムイオンの供給源としては、水に対する溶解性が良好
な、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム
等が好適に採用される。
【0021】また、本発明に用いられるコンタクトレン
ズ用洗浄溶液にあっては、有効量の蛋白質分解酵素と共
に、グリセリンとホウ酸及び/又はホウ酸塩とが有利に
含有せしめられることとなる。それらグリセリンとホウ
酸及び/又はホウ酸塩との併用添加による相乗効果によ
って、低い浸透圧の溶液中で、蛋白質分解酵素を有利に
安定化し得ることとなったのであり、含水性材料からな
る含水性コンタクトレンズに対して、安全に使用し得る
特徴を発揮するのである。
【0022】そして、そのような有効量の蛋白質分解酵
素とグリセリンとホウ酸及び/又はホウ酸塩と含有せし
めたコンタクトレンズ用洗浄溶液は、それぞれの成分を
所定濃度で含有するコンタクトレンズ用液剤組成物を水
性媒体で希釈することによって、有利に得られることと
なるが、そのような液剤組成物における配合成分の中
で、グリセリンは、生体に対する作用が穏和で、しばし
ば酵素の安定剤として用いられてきたが、本発明では、
その配合量が5〜40%(w/v)とされる。その濃度
が、5%(w/v)よりも低いと、十分な酵素安定性が
得られず、また40%(w/v)よりも高いと、浸透圧
が高くなり過ぎ、含水性コンタクトレンズを洗浄する際
に濯ぎが不充分となると、眼刺激を引き起こす恐れがあ
るからである。
【0023】一方、ホウ酸やホウ酸塩は、或る程度の殺
菌力があり、生体に対する作用が穏和で、刺激性もない
ことから、洗眼や、結膜嚢の洗浄、消毒に広く用いられ
ており、眼に対する安全性も高い。そして、本発明で
は、そのようなホウ酸やホウ酸塩は、それらの合計量に
おいて4〜20%(w/v)の割合で配合されることと
なる。その濃度が、4%(w/v)より低い場合は、十
分な酵素安定性が得られず、また20%(w/v)より
高くても、酵素安定化効果に向上が見られないばかり
か、浸透圧が高くなり過ぎ、含水性コンタクトレンズを
洗浄する場合に濯ぎが不充分であると、眼刺激を引き起
こす恐れがあるからである。なお、ホウ酸及び/又はホ
ウ酸塩は、酵素に対しては緩衝液の成分としてしばしば
用いられているが、その場合は、一般に1%(w/v)
以下の濃度で用いられているに過ぎない。本発明におい
ては、ホウ酸塩及びホウ酸塩のいずれを用いても、また
それらを混合して用いても良い。いずれを用いるか、又
はそれらの混合割合は、コンタクトレンズ用液剤組成物
のpHの値をどのようにするかによって決定され、また
そのような液剤組成物のpHは、目に対して刺激が少な
く、蛋白質分解酵素が安定であるpHの範囲から決めら
れる。なお、ホウ酸塩の具体例としては、ホウ砂、ホウ
酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸アンモニウム、ホ
ウ酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0024】なお、グリセリンによる酵素安定化機構、
ホウ酸及び/又はホウ酸塩による酵素安定化機構、及び
それらグリセリンとホウ酸及び/又はホウ酸塩の相乗的
な酵素安定化の機構は何れも明らかではないが、グリセ
リンは、酵素蛋白質の分子表面の自由水を奪い、水素結
合によって、酵素と複合体を作り、酵素の三次元構造を
安定にしている可能性が考えられる。また、ホウ酸及び
/又はホウ酸塩は、多くの水酸基を有する多価アルコー
ルと反応して錯化合物をつくることが知られているが、
ここでは、酵素蛋白質の分子表面に多く存在するセリ
ン、スレオニン、チロシン等が有する水酸基と反応し
て、酵素の三次元構造を安定にしている可能性が考えら
れる。更に、グリセリンとホウ酸及び/又はホウ酸塩を
混合することによって、酵素安定化効果が更に向上され
る理由としては、ホウ酸及び/又はホウ酸塩が酵素とグ
リセリンの両方の水酸基に結合し、架け渡しの役割をし
ている可能性が推測されるが、明確な作用機構は不明で
ある。
【0025】そして、上述のように、グリセリンとホウ
酸及び/又はホウ酸塩は錯化合物を形成することから、
実質の分子数が相加的にはならず、従って、グリセリン
とホウ酸及び/又はホウ酸塩を混合することによって、
コンタクトレンズ用液剤組成物の浸透圧は、それぞれの
成分が有している浸透圧の総和よりも低くなる。このた
め、それぞれの成分で安定化させたよりも低い浸透圧
で、有利に酵素を安定化させることができるのである。
【0026】また、日本薬局方解説書(第11改正版)
に記載されているように、ホウ酸及び/又はホウ酸塩の
溶解性は、水に対してよりも、グリセリンに対する方が
極めて良く、水に対しては、約5%(w/v)しかホウ
酸及び/又はホウ酸塩を溶解させることができないが、
グリセリンに対しては、約50%(w/v)もホウ酸及
び/又はホウ酸塩を溶解させることができる。従って、
本発明に係るコンタクトレンズ用液剤組成物のように、
ホウ酸及び/又はホウ酸塩を、グリセリンと共に配合す
れば、多量のホウ酸及び/又はホウ酸塩を溶解せしめ得
るのであり、それによって、蛋白質分解酵素の安定性を
効果的に高めることが可能になるのである。
【0027】そして、本発明において、グリセリンとホ
ウ酸及び/又はホウ酸塩とは、十分な酵素安定化効果を
得るために、グリセリンの100重量部に対して、ホウ
酸及び/又はホウ酸塩が10〜100重量部の割合とな
るように配合する。即ち、グリセリンの100重量部に
対して、ホウ酸及び/又はホウ酸塩の割合が10重量部
よりも低くなると、高温での酵素安定性が著しく低下す
るからである。コンタクトレンズ用液剤組成物には、高
温での長期的な酵素安定性は必要とされないが、夏期の
密閉された部屋においては、一時的に60℃以上になる
ことも考えられることから、この様な過酷な条件におい
ても良好な安定性を維持し得るようにすることが望まし
いのである。一方、グリセリンの100重量部に対して
ホウ酸及び/又はホウ酸塩の割合が100重量部より多
くなると、40℃程度の中温での長期的な酵素安定性が
低下するばかりか、液剤組成物の溶解性が飽和に近づ
き、界面活性剤などの他の成分を溶解させることが困難
になる場合が生じるからである。なお、好ましくは、グ
リセリンの100重量部に対して、ホウ酸及び/又はホ
ウ酸塩は10〜20重量部の割合で配合されることとな
る。
【0028】そして、そのようなコンタクトレンズ用液
剤組成物にあっては、コンタクトレンズに付着した眼脂
等の油性の汚れを除去するために、有利には、所定の界
面活性剤が30%(w/v)以下の濃度で、更に加えら
れることとなり、その場合、ノニオン系界面活性剤、ア
ニオン系界面活性剤、両性界面活性剤の何れをも使用す
ることができる。なお、界面活性剤の下限値としては、
一般に、0.01%(W/V)程度である。
【0029】それら界面活性剤のうち、ノニオン系界面
活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂
肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセ
リン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエ
チレン脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0030】また、アニオン系界面活性剤の具体例とし
ては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン
酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
【0031】さらに、両性界面活性剤としては、アルキ
ルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピル
ジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カル
ボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム
ベタイン等を挙げることができる。そして、これら各種
の界面活性剤の中から、適宜に選択されたものが配合さ
れれば良いが、含水性コンタクトレンズ用の液剤組成物
を調製する際には、特に眼刺激がないもの、または低い
ものを選択することが望ましい。
【0032】そして、上記成分の他にも、本発明に用い
られるコンタクトレンズ用液剤組成物においては、必要
に応じて、従来から使用されている如き、pH調整剤や
防腐剤等の各種の添加剤が更に配合されても何等差し支
えない。例えば、コンタクトレンズ用液剤組成物は、目
に対しての刺激を少なくするためや、蛋白質分解酵素を
安定化するために、通常、pHが5〜10、好ましくは
6〜9に調整されることが望ましい。従って、必要に応
じて、塩酸、酢酸または、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、トリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメ
チル)アミノメタン等のpH調整剤が、適量添加される
こととなる。また、防腐剤は、通常、0.001〜1%
(w/v)の範囲で添加されることとなるが、具体的に
は、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息
香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸のメチルエステ
ル、エチルエステル、プロピルエステル、ポリヘキサメ
チレンビグアニド塩酸塩、アレキシジン二塩酸塩、クロ
ルヘキシジングルコネート、塩化ベンザルコニウム、α
−4−〔1−トリス(2−ヒドロキシエチル)塩化アン
モニウム−2−ブテニル〕ポリ〔1−ジメチル塩化アン
モニウム−2−ブテニル〕−ω−トリス(2−ヒドロキ
シエチル)塩化アンモニウム、Na −ココイル−L−ア
ルギニンエチルエステル・DL−ピロリドンカルボン酸
塩(但し、a=α)、グリセリルモノラウレート等を使
用することができる。
【0033】ところで、上記の各種成分を配合して調製
される、本発明に用いられるコンタクトレンズ用液剤組
成物は、コンタクトレンズを洗浄する際に、適当な水性
媒体にて希釈されて、用いられることとなる。ここで用
いられる水性媒体は、含水性コンタクトレンズを洗浄処
理する場合には、浸透圧が約400mmol/kg 以下の市販
の保存液、生理食塩水、精製水、防腐剤を含む専用希釈
液の何れをも用いることができる。
【0034】そして、その場合の希釈率は、通常、水性
媒体の100容量部に対して、コンタクトレンズ用液剤
組成物を、0.05〜5容量部の割合とするのが好まし
い。コンタクトレンズ用液剤組成物の割合が、その範囲
よりも低くなると、酵素活性が不充分となって、洗浄効
果が劣る恐れがあるからである。一方、その範囲よりも
高くなると、コンタクトレンズ用液剤組成物中の酵素安
定化成分が希釈液中に多量に入り、酵素が十分にその効
果を発現することができなくなる恐れがあり、更には、
希釈液の浸透圧が生理的浸透圧から著しく離れてしま
い、含水性コンタクトレンズに適用すると、レンズサイ
ズに悪影響を及ぼしたり、濯ぎが不充分な場合に装用時
に眼刺激を与えることになるからである。
【0035】このように、本発明に用いられるコンタク
トレンズ用液剤組成物は、希釈前の状態において、比較
的低い浸透圧で酵素安定化を達成していることから、生
理的な浸透圧に調整された市販の保存液や、生理食塩水
を用いて希釈する場合でも、希釈後の浸透圧が生理的レ
ベルからかけ離れてしまうようなことがない。従って、
含水性コンタクトレンズに対してさえも、安全且つ極め
て手軽にコンタクトレンズの洗浄処理を行なうことがで
きるようになったのである。そして、使用時に希釈する
ことによって、酸素活性を充分に発現させ得ることか
ら、優れた洗浄効果を得ることができるのである。
【0036】そして、このようにして調整された有効量
の蛋白質分解酵素を少なくとも含有するコンタクトレン
ズ用洗浄溶液を用いて、含水性コンタクトレンズを洗浄
するに際しては、該洗浄溶液中に含水性コンタクトレン
ズを浸漬して、80℃を越えない温度下に保持すること
により、目的とする洗浄操作が行なわれることとなる。
この含水性コンタクトレンズの蛋白質分解酵素による洗
浄に際しては、その処理温度が高い程、一般に、洗浄効
果は高くなるが、酵素は高温に対して安定性が悪いの
で、80℃を越えるような温度下では、酵素活性が短時
間に低下し、充分な効果が得られないのである。この洗
浄温度としては、好ましくは40℃〜80℃、特に45
℃〜55℃の範囲内の温度が有利に採用されることとな
る。また、洗浄時間としては、含水性コンタクトレンズ
の汚れの程度等によって、適宜に選択されることとなる
が、何れにしても、そのような汚れが実質的に完全に除
去され得るに充分な時間、保持される必要があり、一般
に1分〜24時間の放置により、好ましくは約15分〜
4時間、特に30分〜2時間の放置により、含水性コン
タクトレンズの洗浄が行なわれることとなる。
【0037】このような洗浄操作によって、含水性コン
タクトレンズに付着せる蛋白質等の汚れは、効果的に除
去せしめられることとなるが、かかる含水性コンタクト
レンズは、そのままでは装用することが出来ず、そのよ
うな洗浄の後に、細菌の汚染を防ぐために、煮沸による
消毒を行なう必要がある。
【0038】このため、本発明にあっては、かかる洗浄
操作の終了した含水性コンタクトレンズに対して、その
洗浄工程(第一の工程)に続いて、コンタクトレンズ用
洗浄溶液に浸漬された状態下において、かかる洗浄溶液
を加熱せしめ、その煮沸消毒(第二の工程)を実施する
のである。なお、この含水性コンタクトレンズの煮沸消
毒操作は、通常の手法に従って行なわれることとなる。
【0039】かくして、本発明に従って洗浄消毒操作の
実施された含水性コンタクトレンズにあっては、洗浄工
程と消毒工程とが別異の工程として実施され、具体的に
は洗浄処理のための保持工程の存在によって、段階的に
行なわれ、従来の如く一連の工程として連続的に行なわ
れるものではないところから、蛋白質分解酵素の安定性
を保持しつつ、その酵素活性を有利に引出し、以て含水
性コンタクトレンズの汚れを効果的に除去せしめ得るこ
ととなったのであり、それ故に煮沸消毒によって、残留
蛋白質(汚れ)が変性凝固して、レンズに固着し、レン
ズの寿命を縮める問題も、有利に解消され得ることとな
ったのである。
【0040】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、
修正、改良等を加え得るものであることが、理解される
べきである。
【0041】実施例 1 下記表1に示される配合割合にて、精製水に、グリセリ
ンとホウ酸及び/又はホウ酸塩、並びに必要な塩化カル
シウム、ノニオン系界面活性剤、ソルビン酸カリウムを
混合して、加温しながら溶解せしめた。これに、表1に
示される割合の所定の蛋白質分解酵素を添加し、攪拌し
て溶解せしめた。そして、試料液No1及び2のものに
ついては、塩酸を適量加えることにより、それぞれpH
6.85、pH6.50に調整し、また試料液No3及
び4のものについては、水酸化ナトリウムを適量加える
ことにより、それぞれpH7.48 、H7.00に調
整して、コンタクトレンズ用液剤組成物を調製した。
【0042】また、かかる得られた4種の試料液No1
〜No4について、70℃の温度下で3時間放置した後
のそれぞれの蛋白質分解酵素の活性を測定し、下式
(1)によって、酵素活性残存率(%)を算出して、そ
の結果を、下記表1に併せ示した。式(1): 酵素活性残存率(%)=〔放置後の酵素活性/調製時の
酵素活性〕×100
【0043】なお、蛋白質分解酵素の活性の測定は、以
下のようにして行なった。即ち、37℃に加温した0.
6%カゼイン溶液(0.05Mリン酸一水素水溶液、p
H7.0)の5mlに対して、275nmにおける吸収が
0.3〜0.7の範囲に入るように試料液(コンタクト
レンズ用液剤組成物)を精製水で希釈した希釈液を1ml
添加し、これを37℃で10分間保つ。その後、沈殿試
薬(0.11Mトリクロル酢酸、0.22M酢酸ナトリ
ウム、及び0.33M酢酸の混合液)を5ml加えて、更
に37℃に30分保ち、未分解の蛋白質を沈殿せしめ、
ろ過する。そして、ろ過後のろ液中の275nmにおけ
る吸収Aを求めた。また、別に、予め、希釈液:1ml、
沈殿試薬:5ml、カゼイン溶液:5mlをこの順で加え、
37℃に30分保った後、ろ過し、ろ過後のろ液中の、
275nmにおける吸収Ao を求めた。そして、A及び
Ao より、下式(2)に基づいて、酵素活性を求める。
なお、1分間にチロシンの1×10-6g相当量の275
nm吸収を示す非蛋白性物質を生成する酵素活性を1u
とした。式(2): 酵素活性(u/ml)=〔(A−Ao )/As 〕×50×
(11/10)×希釈倍率 〔但し、As =0.391(275nmにおけるチロシ
ン50ug/mlの吸収), 希釈倍率=(精製水の容量部+試料液の容量部)/試料
液の容量部〕
【0044】
【表1】
【0045】次いで、保存ケースを4個準備し、それぞ
れに、上記の試料液No1〜No4をそれぞれ2滴と、
浸透圧が290mmol/kg の市販の含水性コンタクトレン
ズ用保存液(株式会社メニコン製、メニソーク)をそれ
ぞれ2.5ml加えて、満たした。そして、数カ月の装用
により汚れの固着した含水性コンタクトレンズ(株式会
社メニコン製、メニコンソフトMA)を4枚用意し、こ
のコンタクトレンズを前記の保存ケースにそれぞれ1枚
づつ挿入した。それら保存ケースに蓋をして、軽く振っ
て、中の溶液を均一にした後、20℃の室温から50℃
の温度まで10分間で昇温し、そのまま50℃で1時間
保持したのち、さらに10分間で100℃まで昇温し
て、その温度で15分間維持するようにプログラムした
恒温器(ヤマト科学社製、恒温器DN43型)に入れ、
スイッチを入れた。そして、スイッチが切れて、室温ま
で降温したところで、コンタクトレンズをそれぞれの保
存ケースから取り出し、コンタクトレンズ用保存液で濯
ぎ、実体顕微鏡で観察したところ、何れの含水性コンタ
クトレンズにあっても、汚れが綺麗に除去されているこ
とを認めた。
【0046】実施例 2 数カ月の装用により、汚れの固着した含水性コンタクト
レンズ(株式会社メニコン製、メニコンソフトMA)を
一枚用意し、このレンズを、市販の含水性コンタクトレ
ンズ用保存液(株式会社メニコン製、メニソーク)を
1.2ml満たしたレンズケース中に入れた。次に、コン
タクトレンズ用液剤組成物として、実施例1のNo2の
試料液を用い、これをレンズケース中の保存液に一滴
(約0.03g)滴下し、そして蓋をして均一に攪拌し
た後、60℃の湯浴中で30分間保持することにより、
含水性コンタクトレンズの洗浄を行ない、続いて市販の
煮沸消毒器(株式会社メニコン製、メニコンライザーミ
ニ)にセットして、煮沸消毒を行なった。消毒後、該レ
ンズを実体顕微鏡で観察したところ、汚れが綺麗に除去
されていた。
【0047】比較例 1 実施例1と同様に、試料液No1〜No4を用い、それ
ぞれの2滴と、メニソーク2.5mlを保存ケース中で均
一に混合せしめ、実施例1と同程度の汚れが固着した含
水性コンタクトレンズ(株式会社メニコン製、メニコン
ソフトMA)を、それぞれ1枚ずつ挿入、浸漬せしめ
た。次いで、該保存ケースを、20℃の室温から20分
で100℃になるように昇温し、そのまま100℃で1
5分間恒温となるようにプログラムした恒温器(ヤマト
科学社製、恒温器DN43型)に入れ、スイッチを入れ
た。スイッチが切れて、室温まで戻ったところで、コン
タクトレンズを取り出し、コンタクトレンズ用保存液で
注ぎ、実態顕微鏡で観察したところ、何れのレンズも殆
ど除去されていなかった。
【0048】比較例 2 保存ケースに実施例1の試料液No2のコンタクトレン
ズ用液剤組成物を2滴滴下し、浸透圧が290mmol/kg
の市販の含水性コンタクトレンズ用保存液(株式会社メ
ニコン製メニソーク)を、2.5ml加えて満たした。次
いで、かかる保存ケースに蓋をして、均一に攪拌した
後、この溶液の浸透圧を測定したところ、305mmol/k
g であった。
【0049】比較例 3 実施例1で用いたコンタクトレンズ用液剤組成物の代わ
りに、市販の非含水性コンタクトレンズ用酵素洗浄剤
(株式会社メニコン製、プロテオフ)を用いて、実施例
1と同様な洗浄操作を行なったところ、プロテオフの2
滴(約0.05g)とメニソークの2.5mlを加えて攪
拌した後の浸透圧は、448mmol/kg と、極めて高くな
っていた。そのため、含水性コンタクトレンズの処理に
は、使用することが出来なかった。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効量の蛋白質分解酵素を含有せしめた
    コンタクトレンズ用洗浄溶液を用いて、含水性コンタク
    トレンズを洗浄、消毒することからなる含水性コンタク
    トレンズの処理方法にして、 前記洗浄溶液中に含水性コンタクトレンズを浸漬して、
    80℃を越えない温度下に保持することにより、該含水
    性コンタクトレンズの洗浄を行なう第一の工程と、 かかる第一の工程に続いて、該含水性コンタクトレンズ
    の浸漬されたコンタクトレンズ用洗浄溶液を加熱せし
    め、該含水性コンタクトレンズの煮沸消毒を行なう第二
    の工程とを、 含むことを特徴とする含水性コンタクトレンズの処理方
    法。
  2. 【請求項2】 有効量の蛋白質分解酵素とグリセリンと
    ホウ酸及び/又はホウ酸塩とを含有せしめたコンタクト
    レンズ用洗浄溶液を用いて、含水性コンタクトレンズを
    洗浄、消毒することからなる含水性コンタクトレンズの
    処理方法にして、 前記洗浄溶液中に含水性コンタクトレンズを浸漬して、
    80℃を越えない温度下に保持することにより、該含水
    性コンタクトレンズの洗浄を行なう第一の工程と、 かかる第一の工程に続いて、該含水性コンタクトレンズ
    の浸漬されたコンタクトレンズ用洗浄溶液を加熱せし
    め、該含水性コンタクトレンズの煮沸消毒を行なう第二
    の工程とを、 含むことを特徴とする含水性コンタクトレンズの処理方
    法。
  3. 【請求項3】 蛋白質分解酵素を含有する溶液に対し
    て、グリセリンの5〜40%(w/v)とホウ酸及び/
    又はホウ酸塩の4〜20%(w/v)とを、グリセリン
    の100重量部に対してホウ酸及び/又はホウ酸塩が1
    0〜100重量部となる割合で、それぞれ含有せしめた
    コンタクトレンズ用液剤組成物を、水性媒体で希釈して
    得られる、有効量の蛋白質分解酵素を含有せしめたコン
    タクトレンズ用洗浄溶液を用いて、含水性コンタクトレ
    ンズを洗浄、消毒することからなる含水性コンタクトレ
    ンズの処理方法にして、 前記洗浄溶液中に含水性コンタクトレンズを浸漬して、
    80℃を越えない温度下に保持することにより、該含水
    性コンタクトレンズの洗浄を行なう第一の工程と、 かかる第一の工程に続いて、該含水性コンタクトレンズ
    の浸漬されたコンタクトレンズ用洗浄溶液を加熱せし
    め、該含水性コンタクトレンズの煮沸消毒を行なう第二
    の工程とを、 含むことを特徴とする含水性コンタクトレンズの処理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記コンタクトレンズ用液剤組成物中
    に、界面活性剤が、更に、30%(w/v)以下の割合
    において含有せしめられている請求項3に記載の含水性
    コンタクトレンズの処理方法。
  5. 【請求項5】 有効量の蛋白質分解酵素とグリセリンと
    ホウ酸及び/又はホウ酸塩とを含有し、浸透圧が400
    mmol/kg以下とされたコンタクトレンズ用洗浄溶
    液を用いて、含水性コンタクトレンズを洗浄、消毒する
    ことからなる含水性コンタクトレンズの処理方法にし
    て、 前記洗浄溶液中に含水性コンタクトレンズを浸漬して、
    80℃を越えない温度下に保持することにより、該含水
    性コンタクトレンズの洗浄を行なう第一の工程と、 かかる第一の工程に続いて、該含水性コンタクトレンズ
    の浸漬されたコンタクトレンズ用洗浄溶液を加熱せし
    め、該含水性コンタクトレンズの煮沸消毒を行なう第二
    の工程とを、 含むことを特徴とする含水性コンタクトレンズの処理方
    法。
  6. 【請求項6】 前記ホウ酸及び/又はホウ酸塩が、ホウ
    砂である請求項2乃至請求項5の何れかに記載の含水性
    コンタクトレンズの処理方法。
  7. 【請求項7】 前記第一の工程における含水性コンタク
    トレンズの洗浄溶液中への浸漬、保持が、40〜80℃
    の温度下において行なわれる請求項1乃至請求項6の何
    れかに記載の含水性コンタクトレンズの処理方法。
  8. 【請求項8】 前記第一の工程における含水性コンタク
    トレンズの洗浄溶液中への浸漬、保持が、1分〜24時
    間の間、行なわれる請求項1乃至請求項7の何れかに記
    載の含水性コンタクトレンズの処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000109892A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Rohto Pharmaceut Co Ltd 多糖含有コンタクトレンズ用液剤
JP2002296551A (ja) * 2001-03-30 2002-10-09 Kobayashi Pharmaceut Co Ltd コンタクトレンズ用クリーナー
JP2005346099A (ja) * 2005-07-07 2005-12-15 Rohto Pharmaceut Co Ltd 多糖含有コンタクトレンズ用液剤

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