JPH06280606A - 補助エンジン装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 人力駆動と動力駆動とを切り換えて被駆動装
置を駆動する補助エンジン装置においてエンジンの始動
を容易とする。 【構成】 人力駆動系路に一方向クラッチ１１５を設け
るとともに、動力駆動系路に、遠心クラッチ２９と並列
に一方向クラッチ３９を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自転車，脱穀機，粉ひ
き機，身体障害者用移動車等、主として人力で駆動する
被駆動装置を、重負荷あるいは長時間の作業に際してエ
ンジンの駆動に切り換えて労力を軽減し、あるいは主と
してエンジンで駆動する非駆動装置を、エンジン系路の
故障の際に人力で駆動するための補助エンジン装置に係
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の補助エンジン装置では、
エンジンの駆動軸から遠心クラッチ、減速装置を介して
被駆動装置を駆動する動力駆動系路と、人力によってこ
の被駆動装置を駆動する人力駆動系路とが設けられ、動
力駆動系路には、図１１に示すような遠心クラッチ１と
手動クラッチ３が設けられていた。すなわち、遠心クラ
ッチ１は、エンジンの駆動軸５に装着されたシュー７が
所定の回転速度以上のとき、ばね９に抗して外周付近の
ドラム１１に押圧され、ドラム１１のボス部に形成した
小ギア１３から減速装置（図示せず）に動力を伝達す
る。手動クラッチ３はつぎのように構成されている。駆
動軸５に固着された円板１４の外側面に環状の摩擦板１
５が固着し、その外方に円形の押圧板１７が作動軸１９
を回動することによって摩擦板１５に押圧するよう構成
されている。押圧板１７は外周に形成された突起１８が
ドラム１１の軸方向の切欠溝２０に係止し、ドラム１１
とともに回転するよう設けられている。また押圧板１７
は適宜位置に設けたレバー（図示せず）を握ると摩擦板
１５を押圧して駆動軸５と小ギア１３との伝動を接続
し、手を離すと、ばね（図示せず）によって押圧板１７
が摩擦板１５から離れて伝動が遮断される。また手動駆
動系路には、一方向クラッチが介在して設けられてい
る。

【０００３】従来の構成によれば、被駆動装置は主とし
て手動で駆動されるが、必要に応じてエンジンの動力で
駆動する。エンジンの始動に際しては、レバーを握って
手動クラッチ３を接続して、人力駆動系路を操作して被
駆動装置を駆動すると、エンジンとともに回転してエン
ジンが始動する。エンジンが始動したらレバーを離すと
手動クラッチ３は遮断され、エンジンはアイドル回転で
は遠心クラッチ１は遮断の状態にある。スロットルを操
作して回転数を増すと遠心クラッチ１が接続して被駆動
装置はエンジンによって駆動される。この状態では人力
駆動系路は一方向クラッチによって自由の状態となり静
止している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の構成では、エン
ジンの始動に際して、手動クラッチを操作する必要があ
り、エンジンを回転させる動作と同時に手動クラッチを
操作することが厄介であった。また手動クラッチを廃し
て、通常のリコイルスタータによって始動するものもあ
ったが、自転車等の被駆動装置の種類によっては、リコ
イルスタータの位置が限定されて操作が厄介であった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、人力駆動系路
に一方向クラッチを設けるとともに、動力駆動系路に、
遠心クラッチと並列に一方向クラッチを設けたものであ
る。

【０００６】

【作用】本発明では、被駆動装置を人力で駆動する場合
には、人力駆動系路によって駆動するがエンジンを始動
させる際には、この人力駆動系路によって被駆動装置を
駆動するとともに、エンジンを回転させる。一方向クラ
ッチは相対的に一方向の回転のみ伝達するので、エンジ
ンが始動すると一方向クラッチは相対的に逆方向に回転
することになってエンジンの回転は被駆動装置に伝達さ
れない。同時に遠心クラッチは低速のアイドル回転の間
は接続されていない。スロットルを操作してエンジンの
回転速度を大きくすると遠心クラッチが接続されて減速
装置を経て被駆動装置は駆動されるが人力駆動系路は一
方向クラッチによって逆方向の動力は遮断されて静止の
状態が保持される。

【０００７】

【実施例】以下、図面により本発明の一実施例について
説明する。図１〜図７において、まず被駆動装置（本実
施例では自転車）をエンジンで駆動する動力駆動系路に
ついて説明する。エンジン２１のクランクケース２３に
はクランク軸２５の一端の駆動軸２７が突出し、駆動軸
２７の端部には遠心クラッチ２９が装着され、駆動軸２
７が所定の回転速度以上となると、ばね３１に抗してシ
ュー３３が遠心力によってドラム３５に押圧され、ドラ
ム３５と一体のボス部に形成されたギヤ３７を回転させ
る。駆動軸２７とギヤ３７との間には一方向クラッチ３
９が設けられ、図３に示す矢印方向の相対的回転方向に
はローラ４１が傾斜面４３と駆動軸２７と表面との間に
挟持されて動力が伝達され、反対方向には解除されて自
由となる。

【０００８】エンジン２１のシリンダ４５には、始動時
に内部の燃焼室４７の圧力を放出するためのデコンプ装
置４９が装着されている。デコンプ装置４９はばね５１
によって開放状態の弁５３が、エンジン２１が始動着大
したとき爆発圧力によってばね５１に抗して閉鎖する
が、始動作動中着大するまでは、燃焼室４７内の圧力が
放出口５５から放出されるので、始動のための回転が軽
くなるものである。なお、エンジン停止時において、弁
５３がデコンプ操作可能状態を保持するため弁５３の反
対端部にダンパー装置５６が設けられている。

【０００９】ギヤ３７は大ギヤ５７，小ギヤ５９，大ギ
ヤ６１，小ギヤ６３，大ギヤ６５によって減速される減
速装置６７を経て、減速ケース６９に軸支された筒状の
被駆動軸７１に伝動される。大ギヤ６５と被駆動軸７１
との間にはクラッチ装置７３が設けられている。すなわ
ち、被駆動軸７１の外周のスプライン７５に嵌合して軸
方向に摺動自在のクラッチ筒７７はばね７９によって、
被駆動軸７１に回転自在に嵌合する大ギヤ６５の側面の
爪クラッチ８１に係脱自在に係止している。クラッチ筒
７７は回動自在の作動軸８３に固着する揺動アーム８５
に係合して、作動軸８３の回動に応じて大ギヤ６５と被
駆動軸７１の間の回転力を接続、遮断するものである。
作動軸８３の外端にはアーム８７が固着し、アーム８７
は減速ケース６９に軸方向に摺動自在に嵌合するロッド
８９の先端の調節ボルト９１によってばね７９に抗して
押圧されている。ロッド８９の外端にはノブ９３が固着
し、ノブ９３を押して回動させることによって、ロッド
８９に固着する係止ピン９５が減速ケース６９に設けた
深さの異る、互いに直角方向の溝９７，９９に選択係合
して、クラッチ筒７７と大ギヤ６５との接続、遮断位置
に係止する。

【００１０】動力駆動系路中には緩衝装置１００が設け
られている。すなわち、被駆動軸７１の一端に固着する
プレート１０１には、複数の凹部１０３が形成され、中
心に６角ナット、あるいは円筒状ナット１０５を焼付け
た円筒状のゴム（緩衝体）１０６が凹部１０３に嵌合し
て駆動スプロケット１０７の側面にボルト１０９によっ
て固定されている。駆動スプロケット１０７は自転車の
後輪に固着する従動スプロケット（図示せず）にチェン
１１１を介して伝動する。駆動スプロケット１０７に、
急激なエンジンの加減速あるいは被駆動装置の過負荷に
よる衝撃が加わったときには、緩衝体１０６で緩衝され
て減速ケース６９，エンジン２１を損傷することがな
く、人力駆動系路はつぎのように構成されている。すな
わち、被駆動軸７１の内径部には人力駆動軸（本実施例
ではペダル軸）１１３が回転自在に嵌合し、一方向クラ
ッチ１１５を介して駆動スプロケット１０７に接続し、
両端には足踏みペダルのアーム１１６が固着している。
一方向クラッチ１１５は通常用いられるラチェット方式
等の一方向クラッチであるので、ここでは詳細な説明は
省略する。

【００１１】人力で走行するには、クラッチ装置７３を
遮断の状態として、足踏みペダルによって人力駆動軸１
１３を駆動すると一方向クラッチ１１５，駆動スプロケ
ット１０７，チェン１１１を経て被駆動装置（本実施例
では自転車の後輪）が回転する。この状態では、減速装
置６７，エンジン２１へ回転力が伝達されないので走行
は容易である。

【００１２】エンジン２１の動力で後輪を駆動するに
は、クラッチ装置７３を接続の位置において、足踏みペ
ダル（図示せず）を駆動すると、一方向クラッチ１１５
を介して駆動スプロケット１０７が回転し、減速装置６
７を経て、ギヤ３７から一方向クラッチ３９を経て駆動
軸２７に伝達されエンジン２１が回転して始動する。足
踏みペダルが停止して、エンジンがアイドル状態で回転
しているときは、遠心クラッチ２９と一方向クラッチ３
９はともに遮断されて自由状態にあるので、動力は減速
装置６７に伝達されない。スロットル弁を操作してエン
ジンの回転速度を上昇させると遠心クラッチ２９が接続
して、減速装置６７，クラッチ装置７３，被駆動軸７
１，緩衝体１０６，駆動スプロケット１０７，チェン１
１１を経て被駆動体（後輪）を駆動する。

【００１３】図８〜図１０はクラッチ装置７３の他の実
施例７３’を示すもので、中間の大ギヤ６１を、外周に
小ギヤ６３を形成した円筒状の中間軸１１７に回転自在
に嵌合し、大ギヤ６１の内径部の軸方向の複数の溝部１
１９に、中間軸１１７の半径方向の係合孔１２１に嵌合
して、外周面に出没自在の球状の係止体１２３と係脱自
在に係止する。係止体１２３は中間軸１１７の内径部に
軸方向に摺動自在に嵌合する作動軸１２５の外周の深さ
を異にする２の円周溝１２７，１２９に係合して、中間
軸１１７と大ギヤ６５との間を接続、遮断してその状態
を係止する。作動軸１２５は減速ケース６９に回動自在
に支持された操作軸１３１に固着するカム１３３に当接
して、操作軸１３１を、端部のノブ１３５を回動するこ
とによって作動軸１２５をばね１３７に抗して摺動させ
る。操作軸１３１は、ノブ１３５を把持して、ばね１３
９を抗して引き出して回動させ、所定の位置で手を離す
と、ノブ１３５が減速ケース６９に設けた係止突起１４
１と係止してカム１３３の回動位置を係止し、クラッチ
装置７３’の接続、遮断の位置を保持するものである。

【００１４】

【発明の効果】以上のごとく、本発明によれば、人力駆
動系路と動力駆動系路とを備えた補助エンジン装置にお
いて、始動に際して手動のクラッチ操作を不要として構
造簡単で、製作費が安価となり、しかも操作容易となる
ものである。

【００１５】なお、請求項２の構成とすれば、人力駆動
の際に、駆動力が軽くなり、疲労が少なく駆動が容易と
なる。また請求項３の構成とすれば、動力駆動の際に、
エンジンあるいは被駆動装置に衝撃力を生じたとき、減
速装置またはエンジンの損傷を防止できる。また請求項
４の構成とすれば、人力駆動と動力駆動との併用の装置
を構造簡単に安価に製作できる。とくに自転車の場合に
は既製の自転車に装着が容易である。さらに、請求項５
の構成とすれば、始動時ピストンの圧縮圧力を減少して
始動を容易とする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の平断面図である。

【図２】同側断面図である。

【図３】一方向クラッチの側断面図である。

【図４】デコンプの側断面図である。

【図５】クラッチ装置の操作部分の正断面図である。

【図６】緩衝装置の平断面図である。

【図７】同要部の側面図である。

【図８】クラッチ装置の他の実施例の平断面図である。

【図９】同カムの正断面図である。

【図１０】同係止体付近の側断面図である。

【図１１】従来例の遠心クラッチ付近の平断面図であ
る。

【符号の説明】

２１ エンジン ２７ 駆動軸 ２９ 遠心クラッチ ３９ 一方向クラッチ ４９ デコンプ装置 ６７ 減速装置 ７１ 被駆動軸 ７３ クラッチ装置 １００ 緩衝装置 １１３ 人力駆動軸 １１５ 一方向クラッチ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジン２１の駆動軸２７から遠心クラ
   ッチ２９、減速装置６７および被駆動軸７１を介して被
   駆動装置に動力を伝達する動力駆動系路と、人力によっ
   て前記被駆動装置を駆動する人力駆動系路とを設け、前
   記人力駆動系路に一方向クラッチ１１５を設けるととも
   に、前記動力駆動系路の前記遠心クラッチ２９を並列に
   一方向クラッチ３９を設けたことを特徴とする補助エン
   ジン装置。
2. 【請求項２】 前記動力駆動系路中に、動力を接続、遮
   断してそれぞれの状態に係止自在のクラッチ装置７３を
   設けた請求項１の補助エンジン装置。
3. 【請求項３】 前記動力駆動系路中に、衝撃回転力を緩
   衝するための緩衝装置１００を設けた請求項１または請
   求項２の補助エンジン装置。
4. 【請求項４】 前記被駆動軸７１を筒状に形成し、内径
   部を貫通する人力駆動軸１１３との間に一方向クラッチ
   １１５を介在せしめた請求項１または請求項２の補助エ
   ンジン装置。
5. 【請求項５】 前記エンジン２１に、始動時の圧縮力を
   軽減するためのデコンプ装置４９を設けた請求項１の補
   助エンジン装置。