JPH06279727A - 徐放性組成物 - Google Patents

徐放性組成物

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JPH06279727A
JPH06279727A JP6686693A JP6686693A JPH06279727A JP H06279727 A JPH06279727 A JP H06279727A JP 6686693 A JP6686693 A JP 6686693A JP 6686693 A JP6686693 A JP 6686693A JP H06279727 A JPH06279727 A JP H06279727A
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acrylic polymer
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meth
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Nobuo Morohashi
信夫 諸橋
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は,有効物質の放散速度を制御すること
のできる徐放性組成物を提供するものである。 【構成】水酸基を含む化合物,環状酸無水物,およびエ
ポキシドを反応させて得られるポリエステルと,アクリ
ルポリマーの混合物に徐放させる有効成分を混合してな
る徐放性組成物。この組成物において,ミクロ相分離構
造を変化せしめ,徐放性を制御することができるように
なった。 【効果】本発明により,高分子材料が持つ優れた特性を
損なうことなしに有効成分の放散速度を制御できるよう
になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ポリマー中に香料や殺
菌剤等の有効成分を混合させ,該有効成分の放散速度を
制御できる,被覆材等に用いられるポリマーブレンドに
よる徐放性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,有効成分の放散速度を制御する方
法はフィルムを積層する方法(特開昭62−17512
9号公報),熱可塑性樹脂と無機化合物等の含浸体の組
合せ(特公平1−17377号公報)等種々行われてい
る。しかし,これら従来の方法では,塗料に適用するこ
とが難しく,適用できたとしても目的組成物を得るまで
には多くの工程を要し,必ずしも優れた方法とはいえな
かった。ポリマーブレンドによる徐放性材料はこれらの
方法の欠点を解消したもので,塗料に適用した場合,多
くのバリエーションをとることができる利点がある。こ
のタイプの徐放性材料は,船舶や海の構造物を保護する
ために用いられる防汚塗料,家庭の浴室や外壁などの湿
度が高い所に発生するカビを防止する防カビ塗料などが
知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,フィルムを
積層する方法や熱可塑性樹脂と無機化合物等の含浸体の
組合せでは困難であった塗料系への適用を狙いとしたも
のである。特に徐放性を,すなわち有効成分の放散速度
を自由に制御でき,塗料としての性能も発現しうる樹脂
組成物を見い出すことを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は,水酸基を含む
化合物(a),環状酸無水物(b),およびエポキシド
(c)を反応させて得られるポリエステル(A)5〜1
00重量部と,アクリルポリマー(B)5〜100重量
部に(C)低分子有効成分を混合してなる組成物によっ
て徐放性を発現せしめるものである。ポリエステル
(A)における水酸基を含む化合物(a)は,(1)水
酸基を2個以上有する化合物,(2)水酸基とカルボキ
シル基を有する化合物,(3)水酸基とアミノ基を有す
る化合物,(1)〜(3)から選ばれる1種以上の化合
物であり,ポリエステル中2.4〜33モル%であるポ
リエステル(A)がアクリルポリマー(B)とミクロ相
分離構造を形成する上で好ましく。良好な徐放性を示
す。
【0005】アクリルポリマー(B)は,(1)2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレートをモノマーとして
用いて得られる水酸基を含むアクリルポリマー,(2)
(メタ)アクリル酸をモノマーとして用いて得られるカ
ルボキシル基を含むアクリルポリマー,(3)アクリル
アミドをモノマーとして用いて得られるアミド基を含む
アクリルポリマー,(4)アクリロニトリルをモノマー
として用いて得られるニトリル基を含むアクリルポリマ
ー,(1)〜(4)から選ばれる1種以上のアクリルポ
リマーであり,それぞれに定められるモノマーにおける
量はアクリルポリマー中20モル%以下であるアクリル
ポリマー(B)がポリエステル(A)とミクロ相分離構
造を形成する上で好ましく。良好な徐放性を示す。
【0006】本発明のポリエステル(A)において,エ
ポキサイド(c)として,(メタ)アクリロイル基を有
する化合物を用いることにより不飽和基を導入すること
ができ,硬化性を有する徐放性組成物を得ることができ
る。
【0007】本発明の徐放性組成物の徐放性能は,ポリ
エステル(A)とアクリルポリマー(B)との間の相溶
性の問題に起因する,ミクロ相分離構造の生成によるも
のである。すなわち,その構造の一例をあげると,いく
つかのポリエステルオリゴマーが会合して球状のコアが
形成され,長鎖のアクリルポリマーが周囲に配された,
スタビライザーで安定化されたラテックスに類似の構造
をなしているものが考えられる。この場合,コアの粒径
の違いにより有効成分の放散速度が異なることになる。
ミクロ相分離構造はその他にシリンダー状,ラメラ状の
構造が明かにされているが,何れの構造においても,そ
の各相の大きさを変えることによって,徐放性を変化さ
せることができる。
【0008】このミクロ相分離構造における球状粒子の
粒径,あるいは相分離の程度を制御する方法は,これま
で多く報告されている(Painterら,Macro
molecules,1991,24,3929−39
36等)が,公知の方法であればどのような方法を使用
してもよい。一例を示すと,ミクロ相分離構造はポリマ
ーブレンドにおける相溶性と関連しているので,相溶性
を変化させるようにポリマーの官能基量を変化させれば
よい。本発明におけるアクリルポリマー(B)とポリエ
ステル(A)の徐放性組成物においては,アクリルポリ
マー(B)の水酸基量を少なくすることにより,ポリエ
ステル(B)との相溶性を低く抑え,ミクロ相分離構造
における球状粒子の粒径を大きくして徐放性を制御する
方法が考えられる。
【0009】本発明の徐放性組成物において,水酸基を
有する化合物(a)としてはメタノール,エタノール,
1−プロパノール,2−プロパノール,1−ブタノー
ル,2−ブタノール,ペンタノール,ヘキサノールなど
の脂肪族飽和アルコール,アリルアルコール,クロチル
アルコール,プロパギルアルコールなどの脂肪族不飽和
アルコール,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,3
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレート,N−メチロールア
クリルアミドなどの水酸基を有する(メタ)アクリレー
トまたは(メタ)アクリルアミドなど,シクロペンタノ
ール,シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール,ベ
ンジルアルコール,シンナミルアルコールなどの芳香族
アルコール,フルフリルアルコール,テトラヒドロフル
フリルアルコールなどの複素環アルコール,エチレング
リコール,プロピレングリコール,1,4−ブチレング
リコール,ブテンジオール,ヘキサンジオール,シクロ
ヘキサンジオール,ビスフェノールA,ジエチレングリ
コールなどのジオール,グリセリン,トリメチロールプ
ロパンなどのトリオール,フェノール,o−クレゾー
ル,m−クレゾール,p−クレゾールなどのフェノール
類などのアルコール性またはフェノール性の水酸基を有
する化合物であればよい。
【0010】しかしこの中でも,水酸基を2個以上有す
る多価アルコールや,2−ヒドロキシ−n−酪酸,3−
ヒドロキシ−n−酪酸,p−ヒドロキシ安息香酸,ヒド
ロキシピバリン酸,サリチル酸,バニリン酸,12−ヒ
ドロキシステアリン酸などのカルボキシル基と水酸基を
同時に有する化合物,あるいはエタノールアミン,1−
アミノ−2−プロパノール,o−アミノフェノール,m
−アミノフェノール,p−アミノフェノールなどのアミ
ノ基と水酸基を同時に有する化合物など,2つ以上の官
能基を有する化合物が好ましい。
【0011】本発明の徐放性組成物において,環状酸無
水物(b)としては多価カルボン酸の分子内無水物であ
り,飽和または不飽和の脂肪族多価カルボン酸無水物,
脂環式多価カルボン酸無水物,芳香族多価カルボン酸無
水物など,あるいはこれらの一部が飽和または不飽和の
炭化水素基,芳香環基,ハロゲン原子,複素環基などで
置換されたものがあり,これらの具体例としては,無水
こはく酸,無水フタル酸,無水マレイン酸,無水イタコ
ン酸,無水グルタル酸,無水ドデセニルこはく酸,無水
クロレンデック酸,無水ピロメリット酸,無水トリメリ
ット酸,シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物,ヘ
キサヒドロ無水フタル酸,メチルヘキサヒドロ無水フタ
ル酸,テトラメチレン無水マレイン酸,テトラヒドロ無
水フタル酸,メチルテトラヒドロ無水フタル酸,エンド
メチレンテトラヒドロ無水フタル酸,メチルエンドメチ
レンテトラヒドロ無水フタル酸,5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロキシフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物,無水メチルナ
ジック酸,無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸,グリ
セロールトリス(アンヒドロトリメリテート),エチレ
ングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などが
ある。
【0012】本発明の徐放性組成物において,エポキシ
ド(c)としては,フェニルグリシジルエーテル,スチ
レンオキサイド,シクロヘキセンオキサイド,ブテンオ
キサイド,グリシジル(メタ)アクリレート,グリシジ
ルシンナメート,アリルグリシジルエーテル,ビニルシ
クロヘキセンモノエポキサイド,1,3−ブタジエンモ
ノエポキサイドなどがあり,これらは飽和もしくは不飽
和の炭化水素基,芳香環基,ハロゲン原子,複素環基な
どで置換されていてもよい。
【0013】上記水酸基を有する化合物(a),環状酸
無水物(b)およびエポキシド(c)を反応させて,ポ
リエステル(A)が得られる。反応は,適当な溶媒の存
在下あるいは不存在下,N,N−ジメチルベンジルアミ
ン,トリエチルアミン,トリブチルアミン,N,N−ジ
エチルアニリン,N,N−ジメチルアニリンなどの三級
アミンなどを触媒として行なう。エチレン性不飽和基を
有するモノマーを使用し,樹脂を硬化性とした場合に
は,不飽和基の保護のために,ハイドロキノン,ハイド
ロキノンモノメチルエーテル,tert−ブチルカテコ
ール,p−ベンゾキノンなどのラジカル重合禁止剤を添
加した状態で行なうことができる。
【0014】反応は,水酸基を有する化合物(a)の水
酸基と環状酸無水物(b)の酸無水物基とが先ず優先的
に反応し,次いで,この反応により生じたカルボキシル
基とエポキシド(c)のエポキシ基とが反応し,二級の
水酸基を生じる。さらに,生じた水酸基と環状酸無水物
(b)の酸無水物基とが反応するというように,以下,
順次,上記と同様の反応を進行させることができる。
【0015】
【化1】
【0016】R1 ,R2 ,R3 :C1 〜C10の有機基、
n=2以上の整数
【0017】この反応において,水酸基を有する化合物
(a)の量に対して反応させられる環状酸無水物(b)
およびエポキシド(c)の量を調整することにより,水
酸基を有する化合物(a)を末端とする,所望の長さの
ポリエステル(A)をつくることができる。それぞれの
化合物の割合は,環状酸無水物(b)がジカルボン酸無
水物である場合には, 水酸基を有する化合物(a)1モ
ルに対して環状酸無水物(b)1〜20モル,およびエ
ポキシド(c)1〜20モルの割合で,すなわち,水酸
基を有する化合物(a)が,2.4〜33%であること
が好ましい。また,環状酸無水物(b)とエポキシド
(c)とはほぼ等モルの割合で反応させることが好まし
い。環状酸無水物(b)がトリカルボン酸である場合に
は,水酸基を有する化合物(a)1モルに対して環状酸
無水物(b)1〜10モルおよびエポキシド(c)1〜
20モルの割合で,また,環状酸無水物(b)1モルに
対してエポキシド(c)をほぼ1〜2モルの割合で反応
させることが好ましい。水酸基を有する化合物(a)1
モルに対して反応させられる環状酸無水物(b)または
エポキシド(c)の量が1モル未満の場合には,得られ
るポリエステル(A)の分子量が低く,水酸基を有する
化合物(a)の残留もあって,必要な特性が得られな
い。逆に,環状酸無水物(b)またはエポキシド(c)
の量が20モルを超える場合には,反応の制御が難しく
なる傾向がある。
【0018】本発明の徐放性組成物において,アクリル
ポリマー(B)は,水酸基,カルボキシル基,アミド基
(N−置換アミド基),ニトリル基,三級アミノ基,二
級アミノ基等の官能基を有するものが好ましい,とりわ
けポリエステルの水酸基と強いインターラクションを示
す水酸基,カルボキシル基,アミド基(N−置換アミド
基),ニトリル基を適度に有するアクリルポリマーが好
ましい。これらのアクリルポリマーは,水酸基,カルボ
キシル基,アミド基(N−置換アミド基),ニトリル
基,三級アミノ基,二級アミノ基などを有するモノマー
のうちの一種または数種と,アルキル(メタ)アクリレ
ート,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,ビニルエーテ
ル,スチレンなどのモノマーとの共重合体などである。
また,水酸基,カルボキシル基,アミド基(N−置換ア
ミド基),ニトリル基,三級アミノ基,二級アミノ基な
どを有するモノマーがアクリルポリマー(B)中に占め
る含有量は,20%以下が好ましい。官能基を有するモ
ノマーが20%を越えると,合成中に不溶物が生じた
り,分子量が大きくならなかったりして,良質のアクリ
ルポリマー(B)をつくることができない。
【0019】水酸基を有するモノマーとしては,2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート,3−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート,N−メチロールアクリルアミド,ア
リルアルコールなどをあげることができる。カルボキシ
ル基を有するモノマーとしては,アクリル酸,メタクリ
ル酸,クロトン酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン
酸,シトラコン酸などがある。アミド基(N−置換アミ
ド基)を有するモノマーとしては,アクリルアミド,メ
タクリルアミド,N−メチル(メタ)アクリルアミド,
N−エチル(メタ)アクリルアミド,N−メトキシメチ
ル(メタ)アクリルアミド,N−エトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド,N−プロポキシメチル(メタ)ア
クリルアミド,N−ブトキシメチル(メタ)アクリルア
ミド,N−tert−ブチルアクリルアミド,N−オク
チルアクリルアミド,ジアセトンアクリルアミドなどが
ある。ニトリル基を有するモノマーとしては,アクリロ
ニトリル,メタクリロニトリル,クロトノニトリル,フ
マロニトリルなどがある。また,アルキル(メタ)アク
リレートとしては,メチル(メタ)アクリレート,エチ
ル(メタ)アクリレート,ブチル(メタ)アクリレー
ト,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート,オクチ
ル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリ
レートがある。その他,シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート,ベンジル(メタ)アクリレート,テトラヒドロ
フルフリル(メタ)アクリレートなどやアルキル基が芳
香環基,複素環基,ハロゲン原子などで置換されている
アルキル(メタ)アクリレートなど,一般にアクリルポ
リマーの合成に用いられるモノマーを本発明のポリマー
の合成にも用いることができる。
【0020】反応は通常のラジカル重合であり,反応方
法に何等制限はなく,溶液重合,塊状重合,乳化重合な
どの公知の重合法で行なうことができるが,反応のコン
トロールが容易であることや直接次の操作に移れること
から溶液重合が好ましい。溶媒としては,メチルエチル
ケトン,メチルイソブチルケトン,トルエン,セロソル
ブ,酢酸エチル,酢酸ブチルなど本発明の樹脂が溶解す
るものであれば何でもよく,単独でも,複数の溶媒を混
合してもよい。また,重合反応の際に使用される重合開
始剤もベンゾイルパーオキサイド,アセチルパーオキサ
イド,メチルエチルケトンパーオキサイド,ラウロイル
パーオキサイドなどの有機過酸化物,アゾビスイソブチ
ロニトリルなどのアゾ系開始剤など公知のものであれば
何でもよく,とくに制限はない。
【0021】それぞれの反応によって得られたポリエス
テル(A)と,アクリルポリマー(B)とを混合するこ
とにより,徐放性組成物を得ることができる。混合は室
温で見かけ上,均一になる程度まで撹拌すれば十分であ
るが,相互の混合の状態をより高めるために,溶媒の沸
点以下の温度での加熱撹拌を行なってもよい。
【0022】本発明において,エポキシド(c)として
エチレン性不飽和基を有するエポキシドを用いた場合,
ポリエステル(A)が不飽和基を持ち,電子線硬化や適
切な重合開始剤との併用での熱硬化,光硬化などの硬化
法により,簡単に硬化することができる。
【0023】熱硬化の場合に用いられる重合開始剤とし
ては,ジ−tert−ブチルパーオキサイド,tert
−ブチルクミルパーオキサイド,ジクミルパーオキサイ
ドなどのジアルキルパーオキサイド類,アセチルパーオ
キサイド,ラウロイルパーオキサイド,ベンゾイルパー
オキサイドなどのジアシルパーオキサイド類,メチルエ
チルケトンパーオキサイド,シクロヘキサノンパーオキ
サイド,3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパー
オキサイド,メチルシクロヘキサノンパーオキサイドな
どのケトンパーオキサイド類,1,1−ビス(tert
−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどパーオキシケ
タール類,tert−ブチルヒドロパーオキサイド,ク
メンヒドロパーオキサイド,1,1,3,3−テトラメ
チルブチルヒドロパーオキサイド,p−メンタンヒドロ
パーオキサイド,ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオ
キサイド,2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒド
ロパーオキサイドなどのヒドロパーオキサイド類,te
rt−ブチルパーオキシアセテート,tert−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート,tert−ブ
チルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル
類などの有機過酸化物,アゾビスイソブチロニトリル,
アゾビスバレロニトリルなどのアゾ系化合物など公知の
ものであれば特に制限はない。重合開始剤は,本発明の
徐放性組成物100重量部に対して通常0.1〜15重
量部,好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられ
る。
【0024】有機過酸化物のうちラジカル発生速度の小
さいものを用いる場合には,N,N−ジメチルベンジル
アミン,トリエチルアミン,トリブチルアミン,N,N
−ジエチルアニリン,N,N−ジメチルアニリン,N−
フェニルジエタノールアミン,N−フェニルジイソプロ
パノールアミン,ジメチル−p−トルイジン,トリエタ
ノールアミン,4−フェニルモルホリンなどの三級アミ
ンや,リチウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウ
ム,セリウム,ジルコニウム,バナジウム,モリブデ
ン,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,銅,亜鉛,ス
ズ,鉛などの金属のラウリル酸塩,ナフテン酸塩,オク
チル酸塩,オレイン酸塩,オクテン酸塩などの脂肪酸
塩,ロジン塩などの樹脂酸塩,アセチルアセトネート錯
塩などのキレート化合物などから選ばれる金属化合物の
うちの1種または2種以上を促進剤として用いることが
できる。これらの促進剤のうち,三級アミンは通常有機
過酸化物100重量部に対して,1〜100重量部の割
合で,金属化合物は有機過酸化物100重量に対して,
0.01〜10重量部の割合で用いられる。
【0025】光硬化の場合に用いられる重合開始剤とし
ては,ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾ
インエチルエーテル,o−ベンゾイル安息香酸メチル−
p−ベンゾインエチルエーテル,ベンゾインイソプロピ
ルエーテル,α−メチルベンゾインなどのベンゾイン
類,ジメチルベンジルケタール,トリクロルアセトフェ
ノン,2,2−ジエトキシアセトフェノンなどのアセト
フェノン類,2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェ
ノン,2−ヒドロキシ−4´−イソプロピル−2−メチ
ルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類,α−ア
シロキシムエステル,ベンゾフェノン,メチルベンゾフ
ェノン,p−クロルベンゾフェノン,p−ジメチルアミ
ノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類,2−クロル
チオキサントン,2−エチルチオキサントン,2−イソ
プロピルチオキサントンなどのチオキサントン類,ベン
ジル,ジベンゾスベロンなどの他,加藤清視編:「UV
・EB硬化ハンドブック−原料編−」(1985年12
月,高分子刊行会刊)第67〜73頁あるいは山下普
三,金子東助編「架橋剤ハンドブック」(昭和56年1
0月,大成社刊)第582〜593頁に記載されている
ものがある。
【0026】これらの重合開始剤は,促進剤とともに用
いてもよい。このような促進剤としては,4,4´−ビ
ス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン,N−ジメチルア
ミノ安息香酸エチル,ジメチルエタノールアミン,グリ
シンなどの他,加藤清視編:前掲書,第67〜73頁に
記載されたものを用いることができる。光として紫外線
や可視光線など波長の比較的長いものを用いる場合に
は,硬化効率の面から,重合開始剤および必要に応じて
促進剤を用いることが好ましい。重合開始剤,本発明の
徐放性粘着剤組成物100重量部に対して,通常0.0
5〜20部,好ましくは0.5〜10部の割合で用いら
れる。
【0027】本発明の徐放性組成物において,混合させ
る低分子有効成分(C)はその性能を阻害しない範囲で
あれば特に制限はなく,その目的に応じて選択されるも
のである。例えば,防汚塗料や防カビ塗料に使用される
場合,レブリン酸,サリチル酸等のカルボン酸類,チミ
ジン,L−メントール等のアルコール性水酸基含有化合
物,ジメチルジチオカーバメート等のジチオカーバメー
ト類,1−ナフトール−4−スルホン酸等の含硫黄芳香
族系化合物,トリエチルピロリン酸等のリン酸化合物,
フェノール,クレゾール等のフェノール類,2−(4−
チアゾリル)ベンツイミダゾール等のベンツイミダゾー
ル類,2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール
等のベンゾチアゾール類,テトラクロル−4−メチルス
ルホニルピリジン等のピリジン系化合物等が例示され
る。また,香気成分の放散を目的とする場合,混合させ
る有効成分としては2−ウンデカノン等の脂肪族ケトン
類,アニシルアセトン等の芳香族ケトン類,テアスピロ
ン等の脂環式ケトン類,メントン等のテルペン系ケトン
類,ノナナール等の脂肪族アルデヒド類,シンナムアル
デド等の芳香族アルデヒド類,イソ吉草酸イソアミル等
の脂肪族エステル類,ケイ皮酸エチル等の芳香族エステ
ル類,ローズオキサイド等の環状エーテル類,リモネン
等の炭化水素類等が挙げられる。
【0028】本発明の徐放性組成物には,その性能を阻
害しない範囲で,必要に応じて顔料,染料,マイカ等の
無機充填剤,銀粉,銅粉,ニッケル粉などの金属粉,カ
ーボンブラック,グラファイト,シランカップリング
剤,あるいは,トリレンジイソシアネート,イソフォロ
ンジイソシアネート,などのイソシアネート化合物など
を加えることができる。
【0029】本発明において,加熱処理の場合には,オ
ーブン中で通常,80〜150℃で3〜20分間程度行
なわれる。また,光照射の場合の光としては,太陽や蛍
光灯を線源とする可視光線,高圧水銀灯,超高圧水銀
灯,メタルハライドランプ,カーボンアーク灯,キセノ
ンランプなどを線源とする紫外線,コバルト60を線源
とするγ線,またはX線発生器を線源とするX線などの
他,電子線加速器などを線源とする電子線も含める。こ
れらの中でも実用上は,可視光線,紫外線,または電子
線,とりわけ波長が200〜800nmの可視光線また
は紫外線を用いることが好ましい。光として紫外線を用
いる場合には,反応効率の面から前記の通り,重合開始
剤および必要に応じて促進剤を用いることが好ましい。
線源の出力,線源からの距離,照射面積,用いる樹脂や
重合開始剤および促進剤の種類と量,徐放組成物層の厚
さ,テープまたはシート基材の種類や厚さなどによって
異なるが,通常,電子線の場合の照射量は0.5〜50
Mrad,紫外線の場合は,20〜5000mJ/cm
2 程度,照射の時間は0.3〜30秒程度である。
【0030】
【実施例】以下,実施例により本発明を説明する。例
中,部とは重量部を,%とは重量%を,それぞれ表わ
す。
【0031】(ポリエステルの合成)下記組成物をそれ
ぞれ混合し,空気雰囲気中,80℃で10時間反応さ
せ,冷却後,酢酸エチル125部を加えて,2種類のポ
リエステルの溶液(固形分40%)を得た。
【0032】ポリエステル(A1) エチレングリコール 2.0部 ヘキサヒドロ無水フタル酸 51.0部 グリシジルメタクリレート 47.0部 N,N−ジメチルベンジルアミン 0.9部 ハイドロキノン 0.2部 酢酸エチル 25.0部
【0033】ポリエステル(A2) エチレングリコール 2.0部 無水フタル酸 52.0部 グリシジルメタクリレート 48.0部 N,N−ジメチルベンジルアミン 0.9部 ハイドロキノン 0.2部 酢酸エチル 25.0部
【0034】(アクリルポリマーの合成)80℃に加熱
した下記のそれぞれの組成の混合物125部に,同組成
の混合物125部を滴下し,滴下終了後,12時間加熱
還流させ,冷却し,4種類のアクリルポリマーの溶液
(固形分40%)を得た。
【0035】アクリルポリマー(B1) ブチルアクリレート 98.0部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 2.0部 アゾビスイソブチロニトリル 0.2部 酢酸エチル 150.0部
【0036】アクリルポリマー(B2) ブチルアクリレート 96.0部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 4.0部 アゾビスイソブチロニトリル 0.2部 酢酸エチル 150.0部
【0037】アクリルポリマー(B3) ブチルアクリレート 94.0部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 6.0部 アゾビスイソブチロニトリル 0.2部 酢酸エチル 150.0部
【0038】アクリルポリマー(B4) ブチルアクリレート 92.0部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 8.0部 アゾビスイソブチロニトリル 0.2部 酢酸エチル 150.0部
【0039】
【実施例1】ポリエステル(A1)の溶液50部とアク
リルポリマー(B1)〜(B4)の溶液50部を混合
し,これにベンゾイミダゾール1.0部を混合し室温1
0時間撹拌し徐放性樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液
をPETフィルムに塗工し,60℃3分加熱し,溶剤を
揮発させて乾燥膜にした,この乾燥膜にエレクトロカー
テン型の電子線照射機(エナジーサイエンス社製B−1
50−15−10L型)を用いて10メガラッドの電子
線を照射し,透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM−1
200EX)で観察したところアクリルポリマー中に5
ミクロンから0.5ミクロン程度のポリエステル粒子が
存在し,この粒子径はアクリルポリマー中の2−ヒドロ
キシエチルメタクリレートの量が少なくなると大きくな
っていた。電子線照射をする前の徐放性樹脂膜を用い
て,65℃湿度80%の雰囲気中でベンゾイミダゾール
の放散の促進試験を行った結果,表1に示すようにベン
ゾイミダゾールの徐放性樹脂膜への残留率がアクリルポ
リマーの種類により段階的に変化していた。
【0040】ポリエステル(A2)の溶液50部とアク
リルポリマー(B1)〜(B4)の溶液50部を混合
し,これにイソ吉草酸イソアミル0.7部を混合し室温
10時間撹拌し徐放性樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶
液をPETフィルムに塗工し,40℃3分加熱し,溶剤
を揮発させて乾燥膜にした,この乾燥膜を光学顕微鏡で
観察したところアクリルポリマー中に5ミクロンから
0.5ミクロン程度のポリエステル粒子が存在し,この
粒子径はアクリルポリマー中の2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートの量が少なくなると大きくなっていた。電
子線照射をする前の徐放性樹脂膜を用いて,空気中に放
置しイソ吉草酸イソアミルの放散速度の試験を行った結
果,表2に示すようにイソ吉草酸イソアミルの徐放性樹
脂膜への残留率がアクリルポリマーの種類により段階的
に変化していた。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明の徐放性組成物によって,上記実
施例に示すとおり,通常の開環重合によるポリエステル
とラジカル反応によるアクリルポリマーの単純な組合せ
のみで,それ以外の複雑な操作は全く必要とせず,有効
成分の混合及び徐放性の制御が容易に実施できるように
なった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 133/26 167/02 PLA 8933−4J // C09D 5/00 PSD 6904−4J 5/14 PQJ 6904−4J PQM 6904−4J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基を含む化合物(a),環状酸無水
    物(b),およびエポキシド(c)を反応させて得られ
    るポリエステル(A)5〜100重量部と,アクリルポ
    リマー(B)5〜100重量部に,(C)低分子有効成
    分を混合してなる徐放性組成物。
  2. 【請求項2】 水酸基を含む化合物(a)が,(1)水
    酸基を2個以上有する化合物,(2)水酸基とカルボキ
    シル基を有する化合物,(3)水酸基とアミノ基を有す
    る化合物,(1)〜(3)から選ばれる1種以上の化合
    物であり,ポリエステル中2.4〜33モル%を用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の徐放性組成物。
  3. 【請求項3】 アクリルポリマー(B)が,(1)2−
    ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートをモノマーとし
    て用いて得られる水酸基を含むアクリルポリマー,
    (2)(メタ)アクリル酸をモノマーとして用いて得ら
    れるカルボキシル基を含むアクリルポリマー,(3)ア
    クリルアミドをモノマーとして用いて得られるアミド基
    を含むアクリルポリマー,(4)アクリロニトリルをモ
    ノマーとして用いて得られるニトリル基を含むアクリル
    ポリマー,(1)〜(4)から選ばれる1種以上のアク
    リルポリマーであり,アクリルポリマー中の,それぞれ
    定めるモノマーは20モル%以下であることを特徴とす
    る請求項1記載の徐放性組成物。
  4. 【請求項4】 エポキサイド(c)として,(メタ)ア
    クリロイル基を有する化合物を使用し,組成物を硬化性
    としたことを特徴とする請求項1記載の徐放性組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008088440A (ja) * 2007-12-26 2008-04-17 Nippon Paint Co Ltd 防汚塗料組成物
JP2017537185A (ja) * 2014-10-29 2017-12-14 レジネート マテリアルズ グループ、インコーポレイテッド ポリマー可塑剤組成物

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JP2008088440A (ja) * 2007-12-26 2008-04-17 Nippon Paint Co Ltd 防汚塗料組成物
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