JPH06276870A - 水表面を利用した作物栽培装置及び栽培方法 - Google Patents

水表面を利用した作物栽培装置及び栽培方法

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JPH06276870A
JPH06276870A JP5093868A JP9386893A JPH06276870A JP H06276870 A JPH06276870 A JP H06276870A JP 5093868 A JP5093868 A JP 5093868A JP 9386893 A JP9386893 A JP 9386893A JP H06276870 A JPH06276870 A JP H06276870A
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JP
Japan
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water
crop
water storage
cultivation
raising
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JP5093868A
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English (en)
Inventor
Atsushi Arai
淳 新井
Yuzuru Yanagisawa
譲 柳澤
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Toyo Engineering Corp
Original Assignee
Toyo Engineering Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 浮上貯水部Aと、その内部の貯水面上に浮上
し下部の浸水部から給水される作物栽培部Cを有してな
る作物栽培装置とそれを用いた栽培方法である。この栽
培装置には、雨水を集積する屋根部Bとこれを前記貯水
部Aに供給する雨水供給ライン10を設けてもよい。 【効果】 水表面を耕地のように利用でき、農作物など
を収穫できる。水の供給を海表面上での雨量を利用して
行うため灌漑水の供給のための動力を必要としない。貯
水が外部に流出しにくく、施肥は貯水内の雨水に対して
行うため、施肥量が少なくてすむ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水面上、特に海上に栽培
場所を確保し農作物等を収穫する栽培装置及び栽培方法
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】人工の
増加にともない世界的に食料事情の悪化が言われてい
る。そのため、食料生産量の増加が求められており、農
耕単位面積当りの収穫量の拡大を図るため適切な施肥、
農薬の使用、潅漑設備の改良普及がなされてきている。
あるいは、山野等を切り開き、農耕面積の拡大を図るこ
とも実施されているが、農耕に適した地の多くはすでに
開墾され尽くしているため、新たな農耕地の開墾は自然
環境の破壊を伴うことが多く必ずしも最善の方法とはい
えない。さらに、気象条件の厳しい国々、例えば年々雨
期になると洪水被害に見舞われる国々では雨期までに収
穫する農作物の種類に限度があり、また年々の気候変化
のため農作物の収量も不安定となる。一方砂漠の占有面
積の大きな国々では砂漠の緑化を進める努力を続けてい
るがその進展速度は遅い。
【0003】一方、農作物の栽培方法として土壌を用い
ず、礫、砂、人工土壌等に植物を支持させ養液・日照時
間を人為的に調節し、自然界からの影響を受けず、短時
間に均一な品質を有する農作物を高収量で収穫するため
の各種の植物工場が実用化されている。またそのなかで
土地の有効利用を計るため立体的に土地利用を計る工夫
もされているが、多大な設備投資を伴い一般的ではな
い。このような背景のもとで発明者らは、年間降雨量は
地域にもよるが一般的に陸上よりも水上、特に海上の方
が多く、かつ地球全体に占める総面積もはるかに海の方
が多く海上を農耕地のように活用できれば農作物の収穫
量を増大させ得ることとに着目した。
【0004】しかし、海上の降雨を利用して農作物を育
成する技術に適応するためには下記の解決すべき課題が
ある。 (1)水の供給を直接水上、特に海上に求める場合、農
作物に塩害を与えないための水質の維持・浄化が必要と
なる。 (2)水上、特に海上の降雨を利用して農作物を育成す
るには降雨量を貯蔵し適切な時期に適切な量を農作物に
供給する必要がある。 (3)波・風の影響を受け、特に波をかぶると塩害のた
め農作物が枯死する。 したがって本発明の目的は海表面を農耕地として利用
し、かつ海上の降雨を利用して農作物を育成し塩害ので
ない栽培方法及び装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は以
下に記載された本発明による農作物栽培装置を使用する
ことによって達成できる。すなわち、本発明は(1)浮
上貯水部と、その内部の貯水面上に浮上し下部から給水
される作物栽培部を有してなることを特徴とする作物栽
培装置、(2)雨水を集積する屋根部とこれを前記貯水
部に供給する雨水供給ラインを設けてなることを特徴と
する(1)項記載の作物栽培装置、及び(3)(1)項
もしくは(2)項記載の作物栽培装置を単独でもしくは
複数組み合わせて用いることを特徴とする作物栽培方法
を提供するものである。
【0006】次に本発明の作物栽培装置を図示の1実施
例に基づきさらに詳細に説明する。図1は農作物栽培装
置の平面図である。図2は農作物栽培装置の正面図であ
る。図3は、図1の農作物栽培装置の中に組み込まれた
作物支持部の一部を切欠して示す拡大斜視図を示す。図
4は農作物栽培装置を複数組み合わせて係留した状態を
示す。図5は図4の一部拡大図である。本発明の作物栽
培装置は、上述したように貯水部(A)作物支持部
(C)を有し、さらに屋根部(B)を有していもよい。
それぞれの構成部分につき以下に詳述する。
【0007】まず貯水部(A)につき説明する。図2に
示すように貯水部(A)は、屋根部(B)の基盤となる
骨格1、骨格1及び屋根部(B)を浮上させる浮き3、
及び開口部周囲を骨格に縁取られ水を貯める袋状の貯水
シート4からなっている。骨格1は貯水部(A)、屋根
部(B)の基礎となり農作物栽培装置の強度を決める部
材でありそのため1辺が2本の棒材から成り各辺が互い
に固定具2で固定されて通常正方形の形状をしている。
後述する雨水供給ライン10の基礎となるよう、あるい
は農作物栽培装置の1辺が10mを越える場合など、骨
格1の中心を通り対角線上あるいは骨格辺に平行に棒材
を設けることも可能である。この形状は農作物栽培装置
を複数組み合わせて使用する場合隙間なく配置できる形
状であれば正三角形、正方形、長方形、正五角形、正六
角形等いずれの形状でも良い。棒材はパイプ、棒、H
鋼、I鋼等の形状をした金属、樹脂又は木材が使用可能
である。骨格1の1辺の長さは通常1m〜数十m、数十
cmから1〜2mの間隔で2本平行に並べられている。
骨格1の格辺の両端は2本のパイプが交差する4点で固
定される。この長さ、間隔及び使用本数は農作物栽培装
置の大きさ、農作物栽培装置が使用される気象条件、栽
培する作物の種類を考慮し要求される強度を得られるよ
うに選ぶことが必要である。浮き3は通常骨格の格辺の
両端に、あるいは格辺に沿って取り付けられている。浮
き3の材質は発泡スチロール等の発泡樹脂、ポリエチレ
ン等の樹脂製の中空浮き、または防食処理を施した金属
製ドラム等が用いられる。その形状は円柱、球、立方
体、角柱等いずれでも良いが、骨格1に固定し易いとい
う点で角柱、または円柱が好ましい。また骨格1と浮き
3の両方の役目を兼ねた四角いドーナツ状でも良い。貯
水部(A)の骨格1及び屋根部(B)の重量を浮上させ
るにたる浮力を有するよう設計するとともに骨格1を浮
上させ横波が骨格1を越えて水が内部に侵入することを
妨げる高さを確保するよう設計する。特に海上に設置す
る場合、設置地点での波高を考慮して設計する。防水シ
ート4は高密度ポリエチレン、又は塩化ビニール等を袋
状に加工したものでその上端は骨格1に横から横波等に
よる海水の侵入を防止するように固定される。貯水シー
トは初めはシート全体が水面上に浮遊する形で設置すれ
ば良く、降雨を受けて内部に雨水が貯まってくる。この
とき貯水シート4内部水面と外部水面はほぼ同じ高さと
なる。貯水量が貯水シート4の容量を越えたときはサイ
ホン管により内部淡水を外部に排出する。なお、作物に
対する養分の供給は貯水シート4内に貯水された淡水に
対して行うことにより実施される。
【0008】次に屋根部(B)を図2及び図1を参照し
て説明する。屋根部(B)は、上述の通り骨格1を基盤
とした支柱5、屋根シート6、屋根シート6上に集積し
た降水を貯水部(A)に供給する雨水供給ライン10、
排出ライン9、切り替えバルブ8、集積した雨水の塩分
濃度を測定する装置11、及び水位計12からなる。な
お図2は屋根シート6を除いて示す平面図である。支柱
5は骨格1上に設けられ、スチール等の金属または塩化
ビニール等の樹脂製パイプ等で作られており、天井部分
が雨水を集められるように窪んだ形状をし天井部分中央
の最も窪んだ位置に雨水取り入れ口7が設けられてい
る。屋根シート6は雨水を集合するため支柱5の天井部
分及び、かつ海上での風、海水の飛沫、横波を避けるた
め側面を覆っている。天井部分中央は上記雨水取り入れ
口となっている。材質はポリエチレン、塩化ビニール等
の透明樹脂製のシートあるいは板が使用できる。内部の
温度・湿度が高くなりすぎると農作物の生育が阻害され
るため、側面上部にゴアテックス等の溌水・通気性を持
った材料を使用することにより内部の温度・湿度を適度
に保つことが可能である。雨水供給ライン10、排出ラ
イン9は塩化ビニールパイプ等で作成され、排出ライン
9の下部は骨格1の外側パイプに固定され、排出ライン
9を通った水が外部に排出される。雨水供給ライン1
0、排出ライン9の太さは農作物栽培装置の設置される
場所の最大瞬間降雨量を考慮し排出できるようなサイズ
を設定する。
【0009】切り替えバルブ8及び集積した雨水の塩分
濃度を測定する装置11が貯水部(A)中の内部養液の
塩濃度が上昇することによる作物の生育障害の発生を防
止するため使用される。農作物栽培装置を海上に設置し
た場合、屋根部(B)の天井部まで達した波、または潮
風により屋根部(B)の天井部に付着した塩分が降雨に
より溶解し内部に侵入する可能性がある。そのため、雨
水供給ライン10と排出ライン9とを切り替え塩分を含
む雨水を排出ライン9を使って外部に排出し内部に侵入
するのを防止する。集積された雨水などの電気伝導度を
電気伝導度計11により測定し、電気伝導度計11に制
御される切り替えバルブ8によって雨水供給ライン10
を通して雨水を貯水シート4内に受け入れるか、排出ラ
イン9を使って雨水を排出するかを制御する。電気伝導
度計11の測定結果塩分を含まない水及び電気伝導度が
0.2mS以下の降雨のみ雨水供給ライン10から内部
の貯水部(A)に導く。バルブの切り替えを決定する電
気伝導度は栽培する植物の種類に応じた適切な数値を設
定する。水位計12は、降雨水が貯水シート4の容量を
越え海水面以上に溜るとその重みで浮き3及び骨格1が
押し下げられ水位計12が水面に触れると切り替えバル
ブ8を排出ライン9側に切り替える。さらに水位計12
は波が高いときには切り替えバルブ8を排出ライン9側
に切り替え不慮の大波で海水が内部に侵入しないように
する。
【0010】最後に作物支持部(C)について以下に説
明する。作物支持部(C)は、支持体13、支持浮き1
5、天板17、人工土壌18から構成され、貯水部
(A)内に設置される。作物支持部(C)は波の影響を
受けても貯水部(A)の浮き3に接触しないようロープ
などで係留もしくは固定される。また、作物支持部
(C)が貯水部(A)の骨格1、固定器2、浮き3の役
目を兼ねるように、作物支持部(C)に直接貯水シート
4を貼り作物支持部(C)と貯水部(A)両方の機能を
もたせた構造にすることも可能である。支持体13はポ
リプロピレン樹脂等で成形され、等間隔で人工土壌18
を固定する窪み14が設けられている。この窪み14に
は格子状、網状等水は自由に通過できるが人工土壌は流
出しない開孔部が設けられている。農作物栽培装置内に
一台もしくは複数台配列される。窪みは稲等の穀類を育
成する場合には20cmから30cmの間隔で配置さ
れ、直径5cm以上15cm以下で、深さ30cm以上
50cm以下である。この窪みの大きさ・間隔は植える
作物の種類によって適切な大きさを設定する。人工土壌
18はロックウール、ポリプロピレン繊維、吸湿性の高
分子ゲル及びこれらの組み合わせで構成され、稲等の穀
類を育成する場合、直径5cm以上15cm以下、高さ
10cm以上50cm以下に成形され中央部に苗を植え
るための孔が開けてある。育成する作物の種類の応じた
適切な形状を選択すれば良い。天板17は支持体13を
覆うように設けられ支持体13に任意の方法で固定され
ている。天板は塩化ビニール、アクリル板、もしくは強
化ガラス等で作成されている。その厚みは用いる材質、
大きさによって異なるが、1辺が0.5m以上2m以下
の場合1mm以上5mm以下が好ましい。農作物は根に
光が当たると生育が阻害されることから、天板17は下
部への光の透過性が低く、さらに上部への光の反射性を
高くし、作物への光の供給を促進するように上面に銀色
塗料または金属フィルムが貼られていることが好まし
い。支持体13の窪み14に対応する部分には、穴16
が開けられている。この穴20の大きさは稲などの穀類
を育成する場合には直径3cm以上、10cm以下であ
る。特にこの穴の直径は水の蒸発を防ぐために必要最小
限に設定することが望ましい。
【0011】支持浮き15は支持体13の下部に窪みを
避けて固定され作物支持部(C)を貯水部(A)の水面
上に浮上させる。材質は発泡スチロール等の発泡樹脂、
またはポリエチレン製の中空浮き、防食性を施した金属
ドラム等が使用できる。支持浮き15に要求される浮力
の大きさは育成すべき農作物の大きさ重量に合わせ設定
するが、育成初期から取り入れ時に至るまで窪みに容れ
られた人工土壌部の一部が常に貯水槽に漬かった状態で
全体が貯水槽に常時漬からないように設定する。より好
ましくは、農作物の種類に応じた最適な人工土壌18内
水分量、平均的な波の高さ、農作物の根のはる領域等の
条件から、人工土壌18上面と平均水位面との距離を設
定する。このように支持浮き15の浮力を調節すること
により農作物の根が常に十分な空気に接触しかつ水分が
供給される状態となる。さらに波(W)の影響で人工土
壌が空気に触れたり水中に漬かる状態が適度に繰り返さ
れるため農作物の生育には好ましい状態が保たれる。次
に図4及び図5に示すように、本発明に係る農作物栽培
装置19は連結具20を骨格1もしくは浮き3に設けて
複数連結し、その外周を固定式ブイ21、防波ブイ22
等で囲み係留し農作物の栽培面積を適切に調節すること
も可能である。23は係留ロープ、24は固定ロープで
ある。図4は図1、2の農作物栽培装置を100×10
0個並べた状態を示す説明図である。係留に要するロー
プ等には特に制限はない。洋上に広く本装置を並べる場
合には、浮き3、固定式ブイ、防波ブイ等を蛍光塗料に
て発光させれば海上を航行する船舶の妨げにならない。
【0012】本発明の作物栽培装置にて穀類、蔬菜、花
樹、果樹、樹木などの農作物全般について栽培が可能で
ある。前述の穀類、蔬菜等は一年生のものまたは年間数
回収穫が可能なものが好ましい。穀類としては、稲、麦
類、砂糖黍等が好ましい。蔬菜としては葉や茎を食べる
野菜、葉茎菜類、果実や種子を食用とする果菜類、花、
つぼみを食べる花菜類が好ましい。さらに詳しくは下記
のものが好ましく栽培できる。葉茎菜類としては、アブ
ラナ科に属するサントウサイ、コマツナ、タカナ、カラ
シナ、キョウナ、ターサイ、クレソン、キャベツ、芽キ
ャベツ、ハクサイ等、キク科に属するレタス、シュンギ
ク等、セリ科に属するセリ、ミツバ、パセリ、セロリ等
及びアカザ科に属するホウレンソウ等がある。果菜類と
しては、ナス科に属するナス、トマト、ピーマン、トウ
ガラシ等、マメ科に属するインゲンマメ、エダマメ、サ
サゲ、フジマメ、エンドウ、ソラマメ等及びイネ科に属
するトウモロコシ等がある。花菜類としてはアブラナ科
に属するカリフラワー、ブロッコリー等がある。
【0013】
【実施例】以下に本発明の作物栽培方法を実施例にした
がって説明するが、本発明はこれに制限されるものでは
ない。 実施例1 (貯水試験)図1〜図3に示す農作物栽培装置を組み立
てた。骨格1として内径が1/2インチのステンレスパ
イプで1辺の長さが1.5mで、10cmの間隔で2本
平行に並べたものを用いた。正方形の各辺の両端で2本
のパイプが交差する4点を固定具2としてクランプを用
いて固定した。骨格1上に設けられる支柱5は市販のス
チール製パイプで高さ1.5mで天井が窪んだ形状をし
ており、天井部分中央の最も窪んだ位置に30φの雨水
取り入れ口7を設けた。屋根シート6の天井部分、側面
部下部はいずれも市販の高密度ポリエチレンを主原料と
した透明フィルムを貼った。側面図上部30cmには市
販のゴアテックスを用いた。また、市販の高密度ポリエ
チレン透明シートを底面が1辺1.4mの袋状に加工し
た貯水シート4の上端並びに屋根シート6側面下端は骨
格1に巻き付け固定した。骨格1の各辺の両端には発泡
スチロール製で直径20cm,長さが30cmの円筒状
の浮きをその側面を骨格1の各辺の2本のパイプの間に
はさみ、ベルトにて固定した。雨水の供給ライン10、
排出ライン9は80φの市販の塩化ビニールパイプを使
用し、排出ライン9下部は骨格1の外側パイプに固定し
た。供給ライン10と排出ライン9の切り替えは集合さ
れた雨水等の電気伝導度を測定する市販の電気伝導度計
11により制御された市販の切り替えバルブ8によって
行った。バルブの切り替えの伝導は変更可能であったが
0.2mSに設定した。
【0014】以上のように準備した装置に30分おきに
10Lの海水と10Lの水道水(0.15mS)を交互
にじょうろにて屋根部(B)に注ぎこれを10回ずつ繰
り返したところ、貯水部内部には水道水の97%に当た
る97Lの水が溜まり、その溜まった水の塩濃度は0.
1%であった。これは植物の潅漑用水として十分に利用
可能であった。
【0015】(栽培試験)次に上記の装置において骨格
1に液面計12を設置した装置を用いた。貯水部(A)
内に1辺が1mでポリプロピレン樹脂で成形された格子
状の構造を持った平板に20cm間隔で直径15cm、
深さ40cmの窪みを成形して作物支持部(C)の支持
体13とした。天板17は市販の2mm厚のアクリル板
に、20cm間隔(株間)で直径8cmの穴をあけたも
のを用意した。支持体13の下には市販の発泡スチロー
ル樹脂で厚さが15cm、1辺が1mで支持体13の窪
みに合わせて直径16cmの穴があいている支持浮き1
5を固定した。支持体13に設けた窪みにはポリプロピ
レン繊維で作られた人工土壌18を保持させた。
【0016】以上のように構成された農作物栽培装置を
使用しての栽培試験を以下のようにして行った。農作物
栽培装置を1辺が2m、深さ2mの海水をいれた野外の
貯水槽に設置し、貯水部内部に300Lの水道水をいれ
た。農作物としては稲を用い、品種はこしひかりを用い
た。苗は本葉が7〜8枚になったものを、作物支持部
(C)の天板17に設けた穴に苗を挿入して支持した。
根元部の高さは平均水位と同じであった。肥料は市販の
水耕用の大塚ハウス肥料をを用いた。施肥は平均降水量
から予測して標準大塚ハウス肥料の0.5倍程度の溶液
となるよう1週間毎に大塚ハウス1号3.75g、2号
25gを投入した。また、手入れは同地域の農協推賞の
農事暦に従った。栽培期間は160日、栽培期間中の降
水量は1300mmであり、この間屋根部(B)からの
水道水の補給はなかった。栽培期間中降雨の少ない時期
に貯水内部の水量が最小で100L程度まで減少したが
貯水部内の貯水シート4が作物支持部(C)の支持体1
3の窪みに密着し、人工土壌18上部まで水位が保たれ
た。このときの肥料濃度(窒素濃度)は580ppmま
で上がったが、肥料濃度の上昇による生育阻害は観察さ
れなかった。
【0017】また降雨により貯水部(A)内の貯水量は
最高で780Lに達したが貯水許容限度の1000Lに
は達しなかった。栽培期間中人工土壌18に対する水位
の高さには変化がなかった。収穫時の貯水部の貯水量は
380Lであった。さらに、潮風、波等を想定し、3日
に一度期間中52回10Lずつじょうろで海水を屋根部
(B)から散布した。切り替えバルブ8を制御する電気
伝導値を0.2mSとしたところ栽培期間中の最高塩濃
度は0.1%であり、稲に対する塩障害は観測されなか
った。本農作物栽培装置での収穫量は1m2 当たり乾燥
籾で770gあり、陸上での平均的収量より多く、品質
も良好であった。さらに、栽培期間中雑草の発生、害虫
の発生は観測されなかったことにより、除草剤、殺虫剤
などの農薬は使用しなかった。
【0018】実施例2 実施例1の農作物の種類を稲からほうれん草に替え実施
例1と同様に栽培を実施した。品種は新日本を用いた。
播種は平均水位から15cm高い位置に行った。秋蒔き
栽培を行い、播種は9月中旬、収穫は10月下旬で栽培
日数は50日であった。期間中の降水量は600ミリ、
栽培貯水量は200L、栽培後貯水量は190Lであっ
た。栽培期間中の最高塩濃度は0.09%であった。本
農作物栽培装置での収穫量は1m2 当たり3000gで
あり、通常、陸上で得られる結果と変わらなかった。栽
培期間中、塩障害、肥料過剰及び欠乏症、雑草発生、害
虫の発生は観察されなかった。
【0019】実施例3 実施例2で農作物の種類を稲から果菜類のマメ科の代表
として枝豆に替え実施例1と同様に実施した。品種は白
鳥を用いた。播種は平均水位から15cm高い位置に行
った。普通栽培を行い、播種は5月中旬、収穫は8月中
旬で栽培日数は90日であった。期間中の降雨量は85
0ミリ、栽培前貯水量は200L、栽培後貯水量は22
0Lであった。栽培期間中の最高塩濃度は0.08%で
あった。本農作物栽培装置での収穫は鞘で1m2 当たり
800gであり、通常、陸上で得られる結果と変わらな
かった。栽培期間中、塩障害、肥料過剰及び欠乏症、雑
草発生、害虫の発生は観察されなかった。
【0020】実施例4 実施例1で農作物の種類を稲から果菜類のイネ科の代表
としてトウモロコシに替え実施例1と同様に実施した。
品種はハニーバンタムを用いた。播種は平均水位から2
0cm高い位置に行った。普通栽培を行い、播種は5月
中旬、収穫は8月中旬で栽培日数は100日であった。
期間中の降雨量は900ミリ、栽培前貯水量は200
L、栽培後貯水量は230Lであった。栽培期間中の最
高塩濃度は0.08%であった。本農作物栽培装置での
収穫は穂で1m2 当たり1500gであり、通常、陸上
で得られる結果と変わらなかった。栽培期間中、塩障
害、肥料過剰及び欠乏症、雑草発生、害虫の発生は観察
されなかった。
【0021】実施例5 実施例1で農作物の種類を稲から花菜類のアブラナ科の
代表としてブロッコリーに替え実施例1と同様に実施し
た。品種はタキイ中晩生を用いた。播種は平均水位から
15cm高い位置に行った。株間を40cmとした。夏
蒔き栽培を行い、播種は6月中旬、収穫は11月中旬で
栽培日数は150日であった。期間中の降雨量は130
0ミリ、栽培前貯水量は200L、栽培後貯水量は23
0Lであった。栽培期間中の最高塩濃度は0.08%で
あった。本農作物栽培装置での収穫は1m2 当たり10
00gであり、通常、陸上で得られる結果と変わらなか
った。栽培期間中、塩障害、肥料過剰及び欠乏症、雑草
発生、害虫の発生は観察されなかった。
【0022】
【作用】本発明の水面上で作物栽培装置において、 (1).水上、海上の降雨を利用し、水表面、特に海表
面を作物の栽培場所としている、(2).屋根部(B)
を持ち、雨水の集積と、塩分を含む水の排出を行い、
(3).貯水部(A)がシートにて袋形状となってお
り、かつ貯水部水面が外水面とほぼ同一水面を保たれ、
(4).貯水面に農作物を栽培する支持体(C)が水面
上に浮遊している。貯水シート4を懸架する貯水部
(A)の骨格1は浮き3により水面より高い位置に保た
れるため屋根部側面とともに横方向からの波等による水
の侵入を防ぐことができる。さらに貯水シート4の材質
が高密度ポリエチレンあるいは塩化ビニール等の柔軟性
に富んだシートであるため、内部の淡水表面は波力の影
響を受け上下動し、かつ撹拌される。そのため作物支持
部(C)も上下動を受け人工土壌18をいれた窪み部分
は空気に触れたり水に漬かったりを自然に繰り返し作物
の根に十分な酵素を供給し、作物の生育には好ましい状
態となる。
【0023】
【発明の効果】本発明の作物栽培装置及びそれを用いる
栽培方法によれば、次のような優れた作用効果を奏す
る。 (1)陸上の降雨量の多少に無関係に作物の栽培が可能
である。特に、砂漠が国有面積の多くを占めている国
々、毎年洪水による被害を被っている国々では、時間の
かかる砂漠の緑化、潅漑用土木工事、治水工事を実施す
ることなく広大な海表面を耕地として利用でき、作物を
収穫できる。 (2)水の供給を直接陸上より雨量の多い海表面上での
雨量を利用するため、潅漑水の供給のための設備動力を
必要としない。塩分を含む雨水を外部に排出するための
排水設備を設けているため水質の浄化管理も容易に行え
作物を塩害から保護できる。 (3)貯水部がシートで作られその水面が外水面と同一
のため波力の影響を受けにくい。さらに、貯水部内の水
が外の水と同様の動きをするため、肥料分の撹拌分散、
人工土壌への空気・養液の供給など波力を利用できその
ための特別な動力を必要としない。 (4)屋根を持つため風の影響を受けにくく、作物が倒
れるなどの風害を受けない。 (5)貯水が外部に流出しにくい構造であり、施肥は貯
水内の雨水に対して行うため、通常の陸上での栽培に比
べ施肥量が少なくてすむ。 (6)屋根を設けているため、外部からの昆虫類の侵入
が防止できるため害虫駆除の労力が全く無くなるか非常
に軽減される。同時に殺虫剤の使用も必要がないか、あ
っても非常にその使用量を減少できる。 (7)作物支持部の天板により雑草の生育が防止できる
ため雑草駆除の労力が全く無くなる。あっても極めて軽
減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】農作物栽培装置の平面図である。
【図2】農作物栽培装置の正面図である。
【図3】作物支持部(C)の斜視図である。
【図4】外周を固定式ブイ、防波ブイで囲まれ、係留さ
れる連結された複数の農作物栽培装置である。
【図5】図4の一部拡大図である。
【符号の説明】
(A) 貯水部 (B) 屋根部 (C) 作物支持部 1 骨格 2 固定具 3 浮き 4 貯水シート 5 支柱 6 屋根シート 7 雨水取り入れ口 8 切り替えバルブ 9 排出ライン 10 雨水供給ライン 11 電気伝導度計 12 水位計 13 支持体 14 支持体の窪み 15 支持浮き 16 穴 17 天板 18 人工土壌 19 農作物栽培装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浮上貯水部と、その内部の貯水面上に浮
    上し下部の浸水部から給水される作物栽培部を有してな
    ることを特徴とする作物栽培装置。
  2. 【請求項2】 雨水を集積する屋根部とこれを前記貯水
    部に供給する雨水供給ラインを設けてなることを特徴と
    する請求項1記載の作物栽培装置。
  3. 【請求項3】 請求項1もしくは請求項2記載の作物栽
    培装置を単独でもしくは複数組み合わせて用いることを
    特徴とする作物栽培方法。
JP5093868A 1993-03-30 1993-03-30 水表面を利用した作物栽培装置及び栽培方法 Pending JPH06276870A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09313056A (ja) * 1996-05-31 1997-12-09 Norihiko Hirano フローティングプランター
JP2004237141A (ja) * 2003-02-03 2004-08-26 Tomoharu Takashima 浮島式水質浄化装置
CN103704160A (zh) * 2012-06-28 2014-04-09 张朝峰 一种水上种养结合器具的制造方法
JP2020191840A (ja) * 2019-05-29 2020-12-03 株式会社増田採種場 非結球性芽キャベツの栽培方法、包装品、及び栽培キット

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